2013年12月13日

第1回税理士先生のための営業力アップセミナー

-経営革新等支援機関を活かした売上アップ法-

セミナー目的と概要

・簡易経営診断により経営状況の分析を行いお客様の経営状況を正しく知っていただきます →経営状況の見える化

・経営分析サービスでは、銀行からの視点(格付分析)で、お客様の経営の状況評価をし、以後どのようにすれば銀行から簡単に融資を引き出せるかの視点にフォーカスしてアドバイスいたします

・経営分析サービスは、今のお客様に何が必要か、どのような取り組みから始めれば良いかが具体的にわかります

ご挨拶

激変する経済環境下で、企業は自力で生き抜き、そして未来永劫継続して存続しなければなりません。

そのためには、「強い企業」でなくてはならず、「あるべき企業像(ビジョン)に立ち向かう強い意志」が必要です。しかし、経営の現場では、やるべき事ができていないケースが非常に多く見られます。

そんな企業ニーズに対応するために何を行うべきか、今回は財務体質強化のための具体的手法をお伝えしながら、顧問先企業の財務体質強化の支援手法を身につけて頂くためのセミナーです。


セミナーカリキュラム等、詳細については下記のボタンよりPDFでご確認できます。

セミナー・研修概要


本講座の開催概要

■日時:
平成24年9月7日(金)
13:00~15:00 (受付開始12:30)

■会場:
新宿NSビル7階 日本生命会議室

新宿区西新宿2-4-1
03-3342-7423

お申込みについて

■本セミナーは終了いたしました。

第1回認定税理士対象「認定支援機関」活用セミナー

-経営革新等支援機関を活かした売上アップ法-

セミナー目的と概要

本セミナーは、経営改善の知識を身につけて頂き、経営改善プログラムをもとに顧問先の経営改善に寄与することで会計事務所の売上アップを目的としています。

本セミナーでは売上アップのために、
・簡易なヒアリングから企業体質を把握する方法(ツール有り)
・経営改善提案から顧問料アップに繋げるアプローチ(各種プログラム有り)
・助成金活用による企業負担の軽減方法
を身に付けて頂きます。

ご挨拶

24年8月施行の「中小企業経営力強化支援法」に基づき、中小企業の抱える経営課題を解決するために、財務・会計知識の豊富な専門家の支援制度として「経営革新等認定支援機関」が設けられました。

しかしながら、企業経営者・現場の金融機関担当者にこの制度のメリットが十分に認知されているとは言い難く、ましてや、支援機関に認定された専門家が、この制度の活用法を分かっていないケースが多く見られます。

CNCグループでは、実務として企業支援にこの制度を多数活用している実績があります。その実務ノウハウを是非とも認定機関を取得されている皆様と共有したいと考えております。

本セミナーは、中小企業経営力強化支援法に対応する「経営革新等支援機関認定税理士」様のみを対象とさせて頂きます。


セミナーカリキュラム等、詳細については下記のボタンよりPDFでご確認できます。

セミナー・研修概要


本講座の開催概要

■日時:
平成25年9月19日(木曜日)
18:00 ~ 20:00

■受講料:
5,000円/1人

■会場:
ちよだプラットフォームスクエア

東京都千代田区神田錦町3-21ちよだプラットフォームスクエア
03-3233-1511
大手町駅C2b出口より徒歩8分

お申込みについて

■本セミナーは終了いたしました。

第2回認定税理士対象「認定支援機関」活用セミナー

-経営革新等支援機関を活かした売上アップ法-

セミナー目的と概要

本セミナーは、経営改善の知識を身につけて頂き、経営改善プログラムをもとに顧問先の経営改善に寄与することで会計事務所の売上アップを目的としています。

本セミナーでは売上アップのために、
・簡易なヒアリングから企業体質を把握する方法(ツール有り)
・経営改善提案から顧問料アップに繋げるアプローチ(各種プログラム有り)
・助成金活用による企業負担の軽減方法
を身に付けて頂きます。

ご挨拶

24年8月施行の「中小企業経営力強化支援法」に基づき、中小企業の抱える経営課題を解決するために、財務・会計知識の豊富な専門家の支援制度として「経営革新等認定支援機関」が設けられました。

しかしながら、企業経営者・現場の金融機関担当者にこの制度のメリットが十分に認知されているとは言い難く、ましてや、支援機関に認定された専門家が、この制度の活用法を分かっていないケースが多く見られます。

CNCグループでは、実務として企業支援にこの制度を多数活用している実績があります。その実務ノウハウを是非とも認定機関を取得されている皆様と共有したいと考えております。

本セミナーは、中小企業経営力強化支援法に対応する「経営革新等支援機関認定税理士」様のみを対象とさせて頂きます。


セミナーカリキュラム等、詳細については下記のボタンよりPDFでご確認できます。

セミナー・研修概要


本講座の開催概要

■日時:
平成25年10月24日(木曜日)
18:00 ~ 20:00

■受講料:
5,000円/1人

■会場:
ちよだプラットフォームスクエア

東京都千代田区神田錦町3-21ちよだプラットフォームスクエア
03-3233-1511
大手町駅C2b出口より徒歩8分

お申込みについて

■本セミナーは終了いたしました。

各種セミナーの企画・開催、企業研修を行っております。

企業の「全体最適」を実現する実践ノウハウを持った各専門分野のスペシャリストが、 『コンサルタントを必要としない企業体質にする=自力経営支援』 を実現するためのセミナー・研修を各種開催しております。

現在募集中のセミナー・研修、過去に開催したセミナー

また、状況に応じた企業研修も行っております。

認定支援機関として顧問先の経営改善に寄与する会計事務所になれる『経営革新等支援機関』を活かした会計事務所の売上アップ手法速習セミナー

プロの経営コンサルタントが教える!
「事業再生への取り組み方」と「認定支援機関を活用した顧問料のUP方法」

セミナー目的と概要

~「経営革新等支援機関」認定会計事務所必見!!~
セミナー開催日午前に、金融機関から承認を得る改善計画の立案ポイント解説と改善計画業務実践の最適ツールを紹介する『銀行が納得する経営改善計画研修会』(★無料御招待★)を企画しております。
是非午後のセミナーと合わせて、認定支援機関業務実践の情報収集にお役立てください。

ご挨拶

「中小企業経営力強化支援法」に基づき、中小企業の抱える経営課題を解決するために、専門家の支援制度として「経営革新等限定支援機関」が設けられました。
しかしながら、企業経営者・現場の金融機関担当者にこの制度のメリットが十分に認知されているとは言い難く、また支援機関に認定された専門家がこの制度の活用法を分かっていないケースが多く見られます。

当セミナーは事業再生の専門家である「株式会社マネジメントパートナーズ」様と企業支援の実務に認定機関制度を多数活用されている実績を持つ「株式会社コンサルティングネットワーク」を講師に招き、会計人が認定支援機関として身につけるべきノウハウをお話いただきます。

本セミナーの特徴

・会計人が認定支援機関として身につけるべきノウハウをわずか半日で学べる!!
・【第1部】会計事務所との共同での「事業再生」実例から学ぶ!
・【第2部】認定支援機関としての新しいビジネス展開を学ぶ!


セミナーカリキュラム等、詳細については下記のボタンよりPDFでご確認できます。

セミナー・研修概要


【第1部】会計事務所との共同での「事業再生」実例から学ぶ!

食品メーカー、営業赤字70百万円からの再生実例公開

■ それは地元密着銀行からのSOSから始まった。顧問税理士はいったい何をしていたのか?
■ 破綻寸前の地域名門企業は経営を取り戻し、立ち直れるのか?
■ 組織を壊さず、組織を活かす事業リストラとは
■ 後継者が幹部と取り組む、ワンマン経営者からの世代交代
■ 経営支援業務のプロフェッショナル集団「あんしん経営をサポートする会」に所属する税理士と一緒に管理会計に取り組んだ事例

【講師】株式会社マネジメントパートナーズ シニアコンサルタント/中小企業診断士福田徹

【プロフィール】
吉野家ディーアンドシーなどで、10年以上にわたり飲食店の店舗運営や経営管理に携わる。
2008年より経営コンサルタントとして独立。食品製造業や小売業での現場の業務改善、生産工程見直し、マーケティングなどを得意とする。


【第2部】認定支援機関としての新しいビジネス展開を学ぶ!

経営革新等支援機関を活かした会計事務所の売上アップ法

■ 簡易なヒアリングから企業体質を把握する方法
■ 経営改善提案から顧問料アップにつなげるアプローチ
■ 経営改善計画の作り方
■ 助成金活用による企業負担の軽減方法
■ 助成金獲得方法と実例公開

【講師】株式会社コンサルティング・ネットワーク(認定支援機関) 代表取締役澤田和明

【プロフィール】
9年間の会計事務所勤務で多種多様な企業への税務・財務面からの経営指導を経験後、訪問販売会社取締役、建設業での人事・労務・財務全般の指導・予算統制・増資などの経験を経て、平成15年3月経営コンサルタントとして独立。
現在は企業再建・再生コンサルティング及び研修講師等の活動を展開しており、著書も多数。


本講座の開催概要

■日時:
平成25年11月28日(木曜日)
【第1部】10:00 ~ 12:00
【第2部】13:30 ~ 17:30

■受講料:
【第1部】無料
【第2部】3,000円/1人(※追加1名様無料ご招待)

■定員:
【第1部】先着10名様 ※所長先生orそれに準ずる方
【第2部】先着50名様 ※所長先生orそれに準ずる方

■会場:
株式会社MAP経営東京本社(地下鉄中野坂上駅直結)

〒164-0012
東京都中野区本町2-46-1サンブライトツイン23F

お申込みについて

■本セミナーは終了いたしました。

「認定支援機関」の補助金活用による企業支援プログラム

-経営改善計画策定支援による顧問料アップ-

セミナー目的と概要

本セミナーは、認定支援機関制度活用により公的資金である補助金・助成金を活用して、企業の経営力強化を図るプログラムを学んで頂くことを目的としています。

ご挨拶

中小企業の経営力アップを認定支援機関が後押しする制度をご存知でしょうか?
本制度の利用が、6月末には全国で145件だったものが、9月末時点で800件を超えたことが分かりました。

中小企業支援の目的で制定された「認定支援機関」を有効に活用して、企業の経営力アップを支援しませんか?

認定支援機関である(株)コンサルティング・ネットワークは、企業支援にこの制度を多数活用している実績があります。その実務ノウハウをもとに補助金の活用による「経営改善計画策定支援」方法のノウハウをお伝えします。


本セミナーの特徴

・経営改善実例を題材にしたカリキュラム
・警戒全計画作成演習により、裏付けのある計画作成
・経営改善支援センター申請現場での折衝方法体感


セミナーカリキュラム等、詳細については下記のボタンよりPDFでご確認できます。

セミナー・研修概要

本講座の開催概要

■受講料:
300,000円(6時間/1日×3日)

お申込み・お問い合わせについて

セミナー・研修についてのお申込・お問い合わせにつきましては、
お電話、フォームにて承ります。

セミナー・研修お問い合わせ

03-3518-9440

税理士先生のための「財務体質改善」支援プログラム

-顧問先企業の「財務体質改善」支援による顧問料アップ-

セミナー目的と概要

本セミナーは、普段作り慣れている決算書を活用して、企業の財務体質強化を図るための「決算書フィードバック」手法を学んで頂くことと、会計事務所経営における「リスクマネジメント」の理解から「会計事務所の経営改善」手法を学んで頂きます。

ご挨拶

激変する経済環境下で、企業は自力で生き抜き、そして未来永劫継続して存続しなければなりません。
そのためには、「強い企業」でなくてはならず、「あるべき企業像(ビジョン)に立ち向かう強い意志」
が必要です。しかし、経営の現場では、やるべき事ができていないケースが非常に多く見られます。
そんな企業ニーズに対応するために何を行うべきか、今回は財務体質改善のための具体的手法をお伝えしながら、顧問先企業の財務体質改善の支援手法を身につけて頂くためのプログラムです。

本セミナーの特徴

・簡易経営診断により経営状況の分析を行い お客様の経営状況を正しく知っていただきます →経営状況の見える化

・経営分析サービスでは、銀行からの視点(格付分析)で、お客様の経営の状況評価をし、経営改善のアドバイスに活かします

・経営分析サービスは、今のお客様に何が必要か、どのような取り組みから始めれば良いかが具体的にわかります

セミナーカリキュラム等、詳細については下記のボタンよりPDFでご確認できます。

セミナー・研修概要


本講座の開催概要

■受講料:
300,000円(6時間/1日×3日)

お申込み・お問い合わせについて

セミナー・研修についてのお申込・お問い合わせにつきましては、
お電話、フォームにて承ります。

セミナー・研修お問い合わせ

03-3518-9440

銀行取引円滑化支援プログラム

-銀行が企業を見る視点の理解により経営効率の最大化を図る-

セミナー目的と概要

銀行の会社を見る手法や考え方(与信審査や与信管理等)のポイントを抑える事により銀行取引の円滑化を図り、銀行から信頼を得られる会社となる支援手法を学んで頂きます。

ご挨拶

「雨が降った時に傘を貸さない。」銀行を揶揄するときに使われる決まり文句です。
銀行の商品はお金です。お金を扱う仕事だけに商売の性質は他のビジネスとは趣がかなり異なります。このプログラムは銀行内部を経験した視点と経営者側の立ち位置両方の視点から得た経験を元にしたプログラムです。経営者の立場として銀行の見方考え方(与信の考え方)を知る事は銀行取引を円滑に進める最短の手法です。

銀行の企業を見る視点を熟知して、日常の銀行取引の円滑化はもとより、苦しい時(つまり雨が降っている時)でも支援(傘を貸してくれる)してくれる経営体質へ変わる支援手法を身に付けて頂くためのプログラムです。

本セミナーの特徴

・銀行の見方考え方やスタンスを理解し、銀行的な視点で客観的な会社分析手法を身に付ける事が可能です。
・困った時に銀行から支援を取り付けるため必要な具体的なコミュニケーション手法を身に付ける事が出来ます。
・顧問先に合った銀行を取捨選択できる力量を身に付ける事でより有利な調達条件を引き出す事が可能です。
・このプログラムを実践して頂く事で銀行取引において顧問先に他の企業とは圧倒的な差別化の提供出来ます。

セミナーカリキュラム等、詳細については下記のボタンよりPDFでご確認できます。

セミナー・研修概要

本講座の開催概要

■受講料:
300,000円(6時間/1日×3日)

お申込み・お問い合わせについて

セミナー・研修についてのお申込・お問い合わせにつきましては、
お電話、フォームにて承ります。

セミナー・研修お問い合わせ

03-3518-9440

2013年8月30日

財務ノウハウ(1)

財務ノウハウ(2)

(1)決算書や資金繰り表を銀行はどう見るか

<質問>
1.銀行の担当者の話では、経常収支を非常に重視しているということですが、経常収支と営業キャツシュフローとどういう違いがあるのですか?
<回答>
1.経常収支は、資金繰り表の中で計算されるもの、営業キャッシュフローは、キャッシュフロー計算書の中で計算されるものです。似たような概念ですが、計算式がそもそも違います。銀行においては、キャッシュフロー計算書が企業から提出されることはあまりなく、一方で資金繰り表が提出されるのはよくあることなので、資金繰り表の項目である経常収支を重視している、と言われるのでしょう。
<質問>
2.経常収支は単純に判断するとプラスになればよいというらしいですが、2期連続や3期連続とか、隔年でマイナスの場合は、こうだとかいう判断方法があれば教えてください。
<回答>
2.経常収支は月ごとにプラスマイナスのでこぼこはあっても、年間を通じてならやはりプラスであることが望ましいです。マイナスがある年があるということは望ましくなく、そのマイナスはあくまで一時的な要因があった、ということを銀行に説明する必要があります。
<質問>
3.実際、金融機関は、中小企業の決算書にどのくらいの信憑性を見ているのですか? 人によっては1割という人もいるみたいですが。
<回答>
3.信憑性は1割といえども、ただ銀行は企業の状況を判断するに、決算書を見るしかありません。だから銀行としては、企業から提出される決算書は信頼するしかないのです。銀行は企業から提出される決算書を信頼することができなければ、こわくて融資を出すことができなくなってしまいます。
<質問>
4.銀行は、債務超過でなく、経常黒字で、債務償還年数が10年以内で、経常収支がプラスなら、基本的に融資できるという判断になるのでしょうか?
<回答>
4.銀行は、企業の財務状況がこうだから融資は出せる、という基準があるわけではなく、質問にある状況で融資は絶対に出るということはないですが、融資審査においては有利となる状況であることでしょう。

 

(2)銀行から今後5年の損益を出してほしいと言われた場合

中小企業を経営するみなさまにとって、銀行等から 「将来の損益の見込を教えて下さい」と言われた場合、損益計算書をベースに今後5年分の売上や原価、経費その他の各項目を数値で入れていくものが一般的であります。
銀行等から提出を求められていてもその大半の方は

「将来のことがわからないのに、それをつくることなどできない」

「そんなものは机上の空論であり、やったところで何も変わらない」

と考えることで、作成が止まってしまう、もしくはあまり考えずに何となく記入して、とりあえず出してしまう、となっているように感じます。

今の世の中、3カ月先のことすらわからないことは事実です。 しかし、未来のことがわからないことと、その計画を立てられないことは、全く別のことです!

なぜ中小企業は将来の損益予測を立てる必要があるのか

  • ◎そもそも、未来予測というのは変動していくことが当然であり、予測→検証のプロセスを何回も繰り返していくことで徐々に、予測と実際との誤差を減らしていくものである。
  • ◎その未来予測の変動に対応していくことが経営にとって重要であり、経営改善を行うべき項目になり得るからです。

例えば、一番予測が困難な「売上」について、もう少し具体的にいうと、

①現時点で想定される、会社の状況を構成する要素を項目別に分解。

②それぞれの項目の変動を見越して、それをもう一度当てはめ、再構成する。

③変動が有った場合には、その変動要因を分析して、さらに再構成する。

以上を繰り返しを行っていきます。具体的には、どの市場、どのお客様に、いつ、どのようなアプローチをして、いつ頃いくらの受注が見込めるかを、読み込むことです。

 

(3)未来の損益予測はどのようにして立てるのか

ちなみに、予測の1割や2割の部分は違ってもよいのです。
悪い方にズレたとしても、その原因が分かり、対応ができるのか、別の手法によりその穴を埋められるのかを考え、実行に移せるのかが重要なのです。

小売店の売上の一例を挙げてみますと、例えばこのように売上を分解できます。
潜在顧客数×見込顧客化率×来店率×購入率×購入単価 = 将来の売上
この式は、このように考えていくことができます。
1.潜在するお客様の数が「潜在顧客数」
2.潜在顧客数の内、チラシやホームページ等で見込顧客化した率を掛ければ「見込顧客数」が分かり
3.見込顧客数と来店数の比率から来店率が分かり
4.来店数と購入数の比率から購入率が分かり
5.購入数に平均購入単価をかければ売上、となります。
6.また、リピート率が向上すれば、将来の売上をより多く確保できます。

例えば、
※チラシを配れば「見込顧客化率」や「来店率」を向上させられるのではないか。
※店舗のレイアウトや導線を変えることで、購入率を向上させられないか。
※お客様との接客手法を変えることで購入単価やリピート率を上げられないか。

あくまで例ではありますが、一つ一つの項目に対する取組を考えていくことになります。
このようなことは、なんとなくみなさんやっているのではないでしょうか。

■なんとなくやっていても果たして計測しているのか

しかし、今それぞれがどのくらいの比率で、今まで行ってきた施策によってどのくらいの変動が発生していて、どこが改善可能なのか、というところまでは意識していない方が多いのではないでしょうか?

重要なことは、1%の数値が2%になれば、それは1%の違いであっても売上への影響度は2倍、という目線を持つこと。 また上記の例で言えば「見込顧客化率」「来店率」「購入率」「購入単価」「リピート率」の5つがそれぞれ10%改善するだけで、1.1×1.1×1.1×1.1×1.1≒1.61、約1.6倍の売上になる、ということです。

◎より効果を上げるため、まず最初に手をつけるべきはどこなのか
◎やり方を変えてみた際に、どのように変動したか

これをできるだけ簡単に・正確にできるのかどうかがポイントになります。

それぞれの数値を見出すことができれば、売上目標を出すことも、売上から逆算して、それぞれの数値目標を出すこともできます。

一つの数値を向上させる、ということを目標とすれば、そのために何をすれば達成可能か、という考え方から、元々は数値であった将来の目標を行動計画に落とし込むこともできます。

ここまでできれば、将来の目標は机上の空論などではなく、○○の行動ができれば、最終的に目標数値を達成できる、という本物の経営計画にまで持っていけるのです。

資金繰りに追われてしまうと、このようなことができなくなってしまいがちですが、資金繰りを改善させるためには、最終的には収益力の改善が必須です。

一度、売上の構造を分解し、項目別に計測することを考えてみてはいかがでしょうか。

 

(4)数値目標はどうすれば行動目標に置き換わる?

★まず、前項にて述べた、売上の構造の一例を、もう一度挙げます。
◎潜在客数×見込顧客化率×来店率×購入率×購入単価=将来の新規売上

この将来の新規売上に、リピート客からの売上を足したものが、将来の売上になります。

ここで考えるべきは、この項目の大半が、「顧客の状況や行動」によって構成されている、という点です。

1.まず、売上の数値を、それを構成する顧客の数や、質に変換する

売上は通常、単価×数と考えられ、これは当然外してはならない基本であります。

最初のフェーズの客が、それぞれの比率によって最終的に購入顧客になり、購入単価によって売上になる構造ですから、逆にある売上を実現するために必要な客の数や単価に変換することができる、ということです。
2.その顧客数を取り扱うために、必要な業務プロセスと人員数を考える

定義された顧客の数から、それに対応するための業務プロセス(仕事の取組手法)や人員の数を考えます。

例えば、これまで100の購入顧客数を想定していたものを120にするとなれば、業務の効率化を行うなり人員を増員するなりの対応が必要ですし、例えば「来店率」の増加で20の顧客増加を目指そうと思えば、広告宣伝方法について対応することが必要になります。

単純にそれを行った場合(例えばシステムの導入や人員の追加、広告回数の増加)にはコストが発生しますので、利益として極大化されるように調整を行わなければなりませんが、重要なことは「それだけの効果が得られなければならない」ことが明確になるということです。

また、「顧客を月に○○人対応し、売上を△△円上げられるような人でなければ、採用してはいけない」という、明快な採用の目標にもなるのです。

また、業務プロセスというと難しいイメージになりますが、こちらはまずは「スケジュール」と考えていただきたいと思います。
「一月に○○人の対応をしなければならないが、他に□□の業務もある」と予測された場合に、無理に全部何とかしようとすることはお勧めできません。

社長自身であればなおさらのこと、無理は長く続きません。体が健康であればこそですから。とはいえ、誰しも一日は24時間しかありません。となれば、当然
・より簡単にすること
・他の社員や外注先に任せられるものは任せること
・より「自分自身で行うべき」仕事に注力すること

が必要であり、これを考えることが中小企業にとっての業務プロセス改善の根幹になります。
3.人の活動目標としての行動計画に整理する

ここまで行うと、必然的に「行動計画」にまとめることができるようになります。必要となった要員数に対して、「それぞれが、どのように動けば必要な顧客数に到達できるか」を行動に置き換えるのです。

例:売上の構造を
 アポ入れ客×面会率×提案率×成約率×購入単価 = 将来の売上とした場合、
 面会率が20%(アポイントを申し入れたうち、面会できた率)
 提案率が40%(面会したうち、提案できた率)
 成約率が25%(提案したうち、成約出来た率)とすると、
 1件の成約を得るために必要なアポイントの申出が1÷0.25÷0.4÷0.20=50 50件となります。

従って、必要な顧客数が5件であれば250件のアポイントを得るための行動が必要となり、今ある未開拓顧客リストが150件ならば、不足分の100件をどのように増やすのか、例えば紹介依頼をもう一度行えないか、それはいつまでに何件できるのか、というように、今目標達成のために行うべき行動に変換することが可能になります。
一方、250件ものアポイントを入れる時間が物理的に不可能と判断されるのであれば、「面会率」他の数値を向上させて対応する決断を行い、よりその項目の実施が得意な社員に対応を集中させることや、やり方を変える等の改善を考えることで、必要なアポイント数の方を削減させます。

上記の例で言えば、例えば面会率が25%になれば
 1÷0.25÷0.4÷0.25=40
となり、5件の成約に必要なアポイント数は200に減少します。
当然、面会率を向上させるわけですから、これまでよりも確実に面会できる、例えば紹介を頂くことにより注力することが必要である、と判断できます。

そうなれば、行動目標は、「まずはこれから2か月で紹介元を50件確保する」
そのために何をするか、というところまで具体化することができます。

こうして練られた行動計画は、銀行に対する説得力はもちろんのこと、何よりも自らが「何をすればよいのか」理解できる上に、「これができれば目標数値が達成できる」→「会社がここまで再生できる」行動と数字が連動した素晴らしい計画になります。

ぜひ、一度ご自分の会社でも目標数値→必要な顧客数に置き換え→必要な業務プロセスと人員に置き換えすることで、行動計画に落とし込むことをお勧めいたします。

 

(5)損益計画のみの経営計画の落とし穴

利益はほぼ達成できたのに、お金が増えていない。逆に、減っていることがある。
こんな疑問を感じたことはないでしょうか?

売上・利益に重点を置いているから、経営者の意識が売上・利益重視に傾いてしまい、儲けることへの意識が希薄になっていると感じています。

~売上利益重視の一例を出しますと~

前期で
年間固定費
変動費率
売上高
売上債権回転日数
在庫回転日数
仕入債務回転日数
5,000万円(償却なしと仮定)
60%(売上原価が全て変動費、それ以外全て固定費とします)
2,500万円(損益分岐点ギリギリ)、
(30日)
(30日)
(40日)という企業があるとします。

※損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)

この企業が今期、売上高利益率5%を目標として、固定費・変動費率は変わらず、売上のみで達成しようとした場合、 14,285万円の売上が必要となります

※目標売上高=固定費÷(1-(目標変動費率+目標利益率))

仮にこの計画を達成できた場合、売上・利益としては

売上高 
変動費 
固定費 
利益
14,285万円
8,571万円
5,000万円
714万円



(売上高利益率5%)

となり、目標を達成できて、良い結果が出たとも言えますが、営業マンが売上を重視するあまり、取引先の言いなりになり、

平均回収サイトが10日伸び、売上債権残高が多くなってしまった。
(売上債権回転日数 30日 売上債権1,027万円
   ↓
 売上債権回転日数 40日 売上債権1,565万円)

  • ・売上を増やすために取扱品目を大量に増やしたことで在庫が膨れ上がり、入庫から売れるまでの平均日数が10日伸び、在庫高が多くなってしまった。
(在庫回転日数30日 在庫616万円
   ↓
 在庫回転日数40日 在庫939万円)

・取扱品目を増やすために仕入取引業者を拡大させた結果、平均支払サイトが5日縮まってしまった。 (仕入債務回転日数40日 仕入債務822万円
   ↓
 仕入債務回転日数35日 仕入債務822万円)

売上・利益を重視する上で、上記3点が結果として出た場合、会計の「発生主義の原則」による損益においては、全く影響はでませんが、

「儲け」の視点から見た時に、

売上債権投資増 
在庫投資増 
仕入債務増 
合計投資増
538万円
323万円
0円
861万円

となり、一方で損益計算上の利益をそのまま現金回収額と見た場合、

714万円(回収)-861万円(投資)=△147万円(儲け)

となり、この企業は、事業を拡大し利益は出ているのに、お金が減ってしまう(儲かっていない)状態に陥っています。

よって、経営計画は貸借・損益だけで作るのから一歩進めて、投資・回収の視点からも、計画を作成すると、とても良い経営計画になることでしょう。

 

(6)売掛金の早期回収ノウハウで変わる企業の健全性と信頼度

企業相手の取引になると代金の支払い条件は"後払い"になることが一般的だ。
しかし小売業や製造業の場合には、商品の販売代金を次の仕入れへと回転させなくてはいけない。そのため、売掛金の額が大きくなるほど資金繰りは苦しくなっていく。

売掛金を現金回収するまでにかかる期間は、各業界によって平均値というものがあるが、業者取引が主体の卸売業では約70日となっている。これは7月に出荷した商品の代金は9月まで現金化できないことを意味している。

企業の健全性でいえば、売上高に占める売掛金の割合が15%以内であれば安全だが、常に30%を超えているようだと危険域へと入る。そうならないためにも、売掛金(売掛債権)をできるだけ短期で回収するための対策と手法を考えていく必要がある。またその裏側では売掛金回収を専門とするビジネスも成り立つようになっている。

【早期払い割引き制度導入メリット】

取引先に対する支払サイトの条件は一度決めてしまうと、その後に変更することがなかなか難しい。取引先は自社の資金繰りを好転させるために、できるだけ長期の支払いサイトを希望してくるのが一般的である。それを冷徹に断って取引関係にヒビが入ることを恐れて、渋々と条件を呑んでしまうということがよくある。
※支払サイトとは、商品の引き渡しから決済日(入金日)までの期間を表す。

そんな場合には、支払サイトにいくつかの選択条件を与えて、たとえば請求から10日以内の入金であれば請求額に対して2%の割引きをするといった早期払い割引き制度を導入してみることが効果的だ。もちろん従来の期日で支払う選択肢も残しておけば、こちら側の条件を押しつけることにはならないため、取引関係が悪化することはない。

【早期払い割引きの導入で得られる利点】
◎未収金を早く回収できる
◎支払日の選択によって各取引先の信用度を自動的にチェックできる

資金繰りに余裕のある会社であれば、入金日を先延ばしして割高な代金を払う理由はないために、自ずと早期の支払サイトを選択してくるはずである。そんな取引先は倒産する確率が低いために、今後も売掛金による取引量を増やしたとしても安全性が高いはずだ。逆に、いつでも長い支払サイトを選択してくる取引先は、資金繰りに余裕がないことが推測できるため、取引の拡大には慎重になったほうが無難だ。

売掛金の早期払い割引きを導入することによって、割引き分の資金負担が増えることになるが、これは代金の回収期間が70日から10日に改善されることで好転する60日分の金利コストで償却すると考えればツジツマが合う。会社が運転資金を銀行から借入れする金利が2%とした場合、3千万円の売掛金回収が2ヶ月間短縮されることで軽減される金利コストは以下の算式により、10万円にもなる。

《売掛金回収の早期化による金利コストの軽減額》
3千万円×2%×(2ヶ月÷12ヶ月)=10万円

算式:売掛金残高×金利レート×売掛金回収の短縮期間

さらに売掛金を早期回収したい場合には「ファクタリング」と呼ばれるサービスを活用する方法もある。

ファクタリングとは
大手の銀行やノンバンクが新たな金融サービスとして手掛け始めているもので、取引先から売掛金を抱えている会社がファクタリング会社に売掛債権を譲渡して支払代金を立て替えてもらう仕組みだ。
 

たとえば、建材の卸会社が住宅メーカーに対して90日の支払サイトで建築資材を納入している場合、建材会社は商品納入後すぐにファクタリング会社から商品代金を受け取ることができる。ファクタリング会社は90日後の支払期日に住宅メーカーから代金を受け取ることになるが、事前に建材会社へ支払った代金からは"前払い分"の金利手数料が差し引かれているため、その差額分がファクタリング会社の収益になる。

《ファクタリングサービスの仕組み》

建築資材の納入 建材卸会社 住宅メ-カー ファクタリング会社

《ファクタリングサービス》

☆このような取引手法は、従来の手形決済の煩わしさとリスクを解消する方法としても注目されている。

※ただしファクタリングを導入するには取引先(例:住宅メーカー)に対して売掛債権を譲渡することの許諾を受けなくてはならない。そのため今のところファクタリングの活用は、良好な関係にある固定取引先に限られているのが実態。

しかし


これをインターネット上の企業間取引へと応用することも可能だ。卸会社が立ち上げている Webサイトに見知らぬ企業から新規取引の申込がされたようなケースでは、売掛金や手形の受け取りで取引を開始することにはリスクが伴う。
そこでファクタリング会社を介した取引形態にしてしまえば卸会社側の代金未収リスクは解消される。またファクタリング会社には取引先を審査するプロの与信能力があるため、ファクタリング会社がNGを出した会社はいくら魅力的な注文内容でも、新規の取引先として適さないという判断ができる。

■株式会社フィデック
http://www.fidic.co.jp/
ファクタリングの具体的な仕組みはまだ発展途上の段階だが、その必要性を痛感している企業は多いため、中小企業専門またはネット取引専門といったファクタリングサービスには商機がある。その先行事例として株式会社フィデックでは、中小企業向けに売掛金の早期資金化サービス「C.F ダイレクト」を事業化している。その仕組みは上図のファクタリングと共通しているが、同社のクライアントには大手の小売チェーンも名を連ねている。

 

(7)【売掛金焦げ付き先へのサービサー導入】

売掛金の請求を何度しても入金してこないという悪質な取引先については、債権管理回収業者(サービサー)に未収金の取り立てを委託するという最終手段がある。債権回収業は、平成10年に日本でもサービサー法が制定されたことによって合法的に認められるようになった。現在では法務省からの営業許可を得たサービサー業者が国内に約100社ほど存在している。
■債権回収会社(サービサー)制度について(法務省)
http://www.moj.go.jp/KANBOU/HOUSEI/chousa01.html

★サービサーが回収代できる債権には、金融機関の買付債権の他、通販会社や流通会社の売掛債権も含まれている。具体的な債権回収のモデルとしては、焦げ付いた売掛金を抱えている会社から集金代行の依頼を受ける「受託型」と、サービサー自身が焦げ付いた売掛金を債権者から買い取った上で債務者に対して代金を請求、回収する「買取型」とがある。
受託型のモデルでは、代金の回収に成功した場合に回収額の約30~50%がサービサーの回収手数料となる。買取型のモデルでは、サービサーが焦げ付いた売掛金の債権を10~20%程度で買取り、それ以上の金額を債務者から回収することに成功すれば「回収額-債権買取額」の差額が収益となるわけだ。

《受託型の売掛金回収代行》

債権者 サービサー 債務者

《買取型の売掛金回収代行》

債権者 サービサー 債務者

焦げ付いた売掛金にサービサーを活用しても未収金を全額回収することは難しいし、サービサーの手数料も割高ではあるが、売掛金回収ノウハウとしてサービサーを使っている企業に対しては、悪質な取引先も支払いの優先順位を高めるという焦げ付きの抑止効果が期待できる。また焦げ付いた債権をサービサーに買い取ってもらうことにより売却損を計上すれば、決算上は一時的にダメージを受けるものの、不良債権を長年抱えて会社をジリジリと疲弊させていくことがなくなる。

もちろんサービサーの活用は最終的な手段としてではあるが、厳格な売掛金回収のノウハウを持っている会社には、悪質な業者が近寄ってこないという効果が大きい。企業間の取引には信用が重視されるが、取引先からの未払いを一度でも許してしまうと、その噂が業界に広がって他社からの信用も失ってしまう懸念があるのだ。取引先との支払条件は良好な信頼関係を築く上でも大切な項目。「こことの取引は大切にしたい」という会社に対しては、決済の優先順位を他社よりも高くするのが普通である。自分の会社の取引先がいずれも支払サイトが長いようであれば、それは取引の力関係がいずれも弱いことを意味していると捉えておくべきだろう。

 

(8)売掛金回収の失敗に中小企業がどう対処するか

●何度も交渉しているのに回収できない・・
売掛金の未回収のため企業の方でも回収努力をしているのですが、「実際にどんなことを行っているんですか?」と聞いてみると

「担当者の方から何度か電話連絡をしています。」
「担当者から電話と合わせて催促の手紙やFAXを送っています。」
「担当者が相手先に行って直接支払の交渉をしています。」 などの回答が一番多いです。

1.担当者任せ
2.会社としての方針がない

  • ◎担当者任せではその人の能力次第になってしまうのです!
  • ◎できるだけそうならないためには、売掛金回収に強い人が専門に対応することか、会社としてキチンと方針を決めて回収に臨むことです。

方針とは
"交渉してダメだったらどうするのか"これを決めることです。

 

※注意していただきたいのは、この方針を決めるに当たって、客観的な以下2つの資料を見て考えて欲しいということです。

・これまでの取引経緯を整理たもの
・相手先の会社情報

この中には、回収につながるヒントが必ず隠れています。
「交渉してダメだったらどうするか」という方針を決めるための材料を集めること、これが、あなたが一番始めに行わなければならないアクションなのです。

 

(9)将来性を見て融資

いつも思うのですが、売上を右肩上がりに伸ばしていける経営者の特徴は、売り方を知っている、ということです。

私が経営者と話をすると、タイプが次の2つに分かれますが、
1.自社を語るとき、商品やサービスの素晴らしさ、技術力の素晴らしさを中心に語る経営者。
2.自社を語るとき、商品やサービスをどうやって売っていっていくか、を中心に語る経営者。
1のタイプの経営者は、たいてい売上は上がっていません。横ばいか減少傾向であることがほとんどです。
一方、2のタイプの経営者は、高い確率で、売上が増加傾向です。

経営者が、1のタイプか、2のタイプかは、日頃経営者が、何を重視しているか、によります。
商品やサービスが素晴らしくても、売る力がなければ、なんともなりません。
あなたの会社が売上を増加させていきたいのであれば、経営者としては、2のパターンとなるべきです。
将来性がある企業は、商品やサービスが素晴らしい、というよりも、売る力ある企業です。

銀行に将来性のある企業と思わせるには
★自社が右肩上がりで売上が増えてきている、ということをアピール。
★右肩上がりでないなら、決算書が良い、という内容でアピールするしかありません。

 

(10)うちには払わないのに他社には払っている!

  • ・仕事をするために必要最低限の仕入先や外注先、社員の給与などは支払っています。そして、金貸しへの支払いもしていることでしょう。
  • ・では、なぜあなたには支払いがないのでしょうか?当社の顧問先で、急場の資金繰りを組み立てている時の一場面を見てみましょう。

当 社: 「A社長、このままの資金繰りでは、今月の給与支払いが厳しいですね・・。払うためには、買掛先の支払い延期交渉をするしかないと思います。」
A社長: 「そうですよね・・。そうすると大きな支払先は3社程度になるのですが・・。その中でも、Z社は金額も大きいですが、あそこは遅れるとすぐに取引を停止してきます。それに、Z社からしか仕入れができないものもありますから、ちょっと・・。」
当 社: 「そうすると、あとはB社とC社ですね。そこはいかがですか?」
A社長: 「B社とC社は付き合いも長いですし、頼み込めばなんとかなるかもしれません。」
当 社: 「そうですか。ただ、それでも足りませんね。あとは、このD社とE社はどうでしょう?金額もそれなりに大きいですし、理想的にはB社もC社も含めて、支払サイト自体を延ばしてもらえると、今後も随分楽になるんですが・・・。」
A社長: 「ですね・・。ただ、D社もやはりダメです。あそこの社長は、ともかく支払いにうるさいんです。以前も一日遅れただけで怒鳴り込んでくる始末で・・。E社は、う~ん、この状況ですから仕方ありませんね。なんとかこちらは頼んでみます。」

・同じような重要度だとしても、どこかには支払いをして、どこかには支払いをしないということが起こります。

その差が出るひとつの例が、支払にうるさい会社だから、ということです。

さらに、何としてでも払わなければいけない、と思われている支払があります。それが、金貸しへの借入金返済です。

そうすることによって、明らかに将来的に事業継続が困難になっているにもかかわらずです。給与を払わなければ社員が辞め、買掛金の支払いを止めれば仕入れや外注が現金払いになったり、取引停止になったりするかもしれません。
それほどのリスクを背負ってでも、金貸しには払うのです。
何がそこまでさせるのでしょうか。金貸しとあなたの違いは何でしょうか?

ここをしっかりと考えることが、売掛金回収を大きく前進させてくれるはずです。そしてむしろ、未然に未回収を防止できるようになるでしょう。

 

(11)融資に影響は出る?未回収の売掛金を銀行に突っ込まれた

・売掛金が引っ掛かってしまった場合、入ってくるお金が入ってこないですから、当然資金繰りが悪化することになります。 この場合に、考えられる策はいくつもありますが、その中でも銀行に運転資金の融資を申し込むことを考えてみましょう。

「取引先のA社が倒産して2,000万円引っ掛かってしまいました。その分、融資してください。」 こう言って融資を申し込んだとします。その時の銀行員の本音は、「これは、審査はなかなかとおしづらいな・・。」です。

極端な話、いつも運転資金の融資を申し込むときみたいに、わざわざ売掛金が引っ掛かったことを銀行に言わず、融資を申し込む方がまだよいです。

なぜなら、売掛金や受取手形が回収できないものだとわかると、その金額をまるまる、あなたの会社の評価から落とさなくてはいけなくなるからです。

では、売掛金が引っ掛かってしまった事実を言わないで融資を申し込んだらどうなるのでしょう?

実は、すぐにはわからないことが多いのです。
例えば、
・自分の銀行の取引先だった
・その売掛先を調べてみたら、倒産していたことが分かった。
・連続した2期の決算書を見て、その売掛先への売掛金金額が全く同額である。
ということになれば気付きます。
つまり、すぐには気付かないかもしれませんが、いずれは銀行にもわかってしまうということです。

このように考えていくと、売掛金が引っ掛かってしまうと・・

1.資金繰りが悪化する
2.銀行の融資審査に影響が出る
3.さらに資金繰りが悪化する

という負の循環に陥ってしまう可能性があるということになります。 こうならないためには、引っ掛からない対策と共に、もし売掛金の未回収が出てしまっても、すぐに回収できる仕組みが必要です。

 

(12)次々に未入金が出てきてきりがない・・

売掛金回収のことを考えている人は、既に起きてしまった状況に対処するためが多いです。 そうして起こった問題にだけ対処している限り、同じことが何度でも繰り返されます。なぜなら、根本的な考え方や仕組みは何も変わっていないからです。

根本的に売掛金の未回収を出さないようにするためポイントは3点あります。

1.新規取引先の審査
2.既存取引先の管理
3.売掛金回収・債権回収

1の新規取引先の審査について

新規取引先の場合、そもそも、その取引先と売掛取引を行っていいのか、後払いでもキチンと支払ってくれるのか、その取引先の信用力から判断して、支払条件はどこまで許せるのか(何ヶ月後までに支払ってもらえればいいのか)、売掛金の限度額はいくらまでにするのか、などの取り決めを行っていると思います。

ここがまず始めのポイントです。
この審査を厳しくするのか、緩くするのか、この調整で売上が上がったり下がったりすると同時に、未回収も比例して増えたり減ったりすることになります。

◇審査厳しい=売上減少=売掛金の未回収減少=安全性高い
◇審査緩い =売上上昇=売掛金の未回収増加=安全性低い

2の既存取引先の管理について

売掛取引が開始された後、継続的に取引を行っていく中で、変化する取引先の信用状態をどのように把握し、売掛金の限度額や支払条件をどのようにコントロールしていくのかということです。

例えば、ある取引先に資金繰り悪化や倒産の噂が出たとします。
この時に、新規取引時に審査した当時の取り決めどおりに取引を継続するのか、リスク回避策として、外部の調査を入れたり、営業マンを確認に出向かせる、さらには、取引額を減らしたり、ストップしたりと条件を変えるのかということです。
ここをキッチリと行うのか、緩くするのか、この調整でコストが上がったり下がったりすると同時に、売掛金回収・債権回収も比例して増えたり減ったりすることになります。

◇管理厳しい=コスト上昇=売掛金の未回収減少=安全性高い
◇管理緩い =コスト減少=売掛金の未回収上昇=安全性低い

3の売掛金回収・債権回収について

売掛金の未回収が発生してしまい、その対処をどうするのか、最悪の場合の売掛金回収をどのように進めていくのか、これが最後の段階です。
ここは、どの場合にはこうするというルールや、それを実行するスピードによって回収率が変化していくことになります。

◇回収アクション早い=売掛金の回収率良い=安全性高い
◇回収アクション遅い=売掛金の回収率悪い=安全性低い

このように考えていくと、売掛金回収・債権回収の段階に至るには、その前に1の新規取引先の審査と2の既存取引先の管理という、2つの段階が必ず踏まれているということがわかると思います。

未回収の売掛金が発生し回収できていないという結果は、「売掛金回収・債権回収の方法」と共に、その前の段階である、「新規取引先の審査」と「既存取引先の管理」にも原因があるということです。

つまり


根本的に今後の未回収をなくしていこうと考えるのであれば、その前の段階である1の新規取引先の審査、2の既存取引先の管理も含め、3の売掛金回収・債権回収の方法と共に、3つを考え合わせる必要があるのです。

 

(13)危ない会社を事前に見極めることができていれば・・

起きてしまった未収金に対する対処法を学んでおくことも必要ですが、それ以前に、どうしたら引っ掛からないのかを学ぶことはより重要になってきます。

どのように危険を察知するのかについて、既に取引のある売掛先の管理という点にスポットを当ててお話しましょう。

重要なポイントはいかに他社よりも早く危険な兆候を掴むことができるか
他社が先に気付いて回収のアクション、例えば財産への差押えなどを行ってしまえば、その取引先は倒産の危機に陥ることも考えられます。仮にそうなれば、あなたの会社は取りっぱぐれることになり兼ねません。
こうしたことを防ぐためにも、また、相手にまだ体力があるうちであれば、円満に解決できる可能性が高いということからも、いかに早く危険兆候をつかめるかが重要になってくるのです。
そう考えていくと、誰がその兆候を感じ取れるのかというと、必然と絞られてきます。
営業の形態にもよりますが、取引先と日頃コミュニケーションを取っているのは営業マンです。
そして、営業マンの仕事の定義を、単に受注を受けて売上を上げてくるだけでなく、その売上を回収するところまでが仕事である、とキチンと定めることです。

営業マンは取引先のどんな点に注意を払えばいいのでしょうか。
まず、情報の入手先ですが、
□取引先(社長・役員・経理財務担当・営業担当・総務など)
□同業者
□取引先の販売先
□業界団体
以下のような例が危険兆候と捉えられます。
【営業面】

 ⇒販売先に変化があった
  ○主要な販売先が倒産した
  ○クレームから主要な取引先に取引を停止された
 ⇒仕入先に変化があった
  ○主要な仕入先がかわった
  ○理由なく注文が大幅に増加した
  ○ライバル会社への発注分が急にこちらにくるようになった
 ⇒商品構成が大幅に変わった
  ○旧来の仕入先に未払いが発生し、仕入できなくなったために新しい仕入先が入ってきた
 ⇒在庫が積み上がっている
  ○商品・製品にクレームが多く返品が多い
  ○売れいきが悪く在庫が積み上がっている
 ⇒本業に関係ない事業に手を出し始めた
 ⇒新規事業や関連事業がうまくいっていない
【財務面】

 ⇒支払日が遅れた・変更された
 ⇒回収額が約束と違った(請求書どおりに払わない)
 ⇒支払方法変更の申し出があった(現金・小切手から手形へ)
 ⇒手形サイト延長の申し出があった
 ⇒主取引銀行が変わった(支払銀行の変更)
 ⇒脱税等の不正で摘発された
 ⇒ノンバンクからの借入の噂
 ⇒保証金取崩しの申し出があった
 ⇒経理責任者が支払日に不在がちになった
 ⇒小口払いはするが大口支払は延ばそうとする
【人の面】

 ⇒経営者が不在がち
 ⇒経営者夫婦が離婚した
 ⇒経営者や幹部社員が高級外車を乗り回しているなど生活が派手
 ⇒社内で内紛が起こっている
 ⇒幹部社員が退職した(特にNo2や経理財務担当者が重要)
 ⇒従業員の活気がなく、仕事が投げやりになってきた
 ⇒従業員が会社の文句ばかり言っている
 ⇒従業員の定着性が悪くなった
 ⇒ハッタリをきかせた大きな話ばかりするようになった

  • ※あくまでも一例ですが、財務面は、すぐに倒産する危険もある兆候ですから、十分な注意が必要です。
  • ※営業面と人の面は、すぐに倒産とまではいかないまでも、業績悪化の懸念材料としてチェックしておく必要があります。
    そして、これらを組み合わせて状況を判断して下さい。
    例えば既に人の面と営業面に危険兆候が表れていて、ここにきて、支払を遅らせてほしいと財務面の危険兆候まで出た、ということであれば、これは本当に危ないということで判断もしやすくなります。

 

財務ノウハウ(3)

(1)貸借対照表の純資産がマイナスであるとどうなるか

貸借対照表においては、右下にある「純資産」がプラスでなければ、融資を受けられる可能性はほぼ0になります。

また、貸借対照表の表面上は純資産がプラスでも、資産の部にある資産が、資産価値のないものであったら、その分は純資産から差引きされて計算されます。貸借対照表において、純資産は資産-負債ですから、例えば、
 資産50百万円-負債45百万円=純資産5百万円
と純資産がプラスであっても、資産の価値が実質40百万円しかないと、実質資産40百万円-負債45百万円=実質純資産△5百万円となります。純資産がマイナスであることを債務超過と言いますが、この場合は表面上は債務超過でなくても実質的に債務超過ですので、実質債務超過、といいます。

資産価値を注意深く見られやすい項目の一つに、売掛金、があります。

例えば、売掛金が30百万円あっても、そのうちの10百万円の売掛金が回収見込みのない不良売掛金であれば、実質売掛金は20百万円とみられます。
ですから、売掛金を銀行にどう見られているか、は気をつけておかなければならないことの一つです。

 

(2)銀行が不良売掛金をどう発見するか

次の2つのパターンがあります。

  • 1.売掛金が、前の決算書と同じ金額である。
例えば、A会社に対する売掛金が、前の決算書の勘定科目明細では
8,530,000円、今回の明細でも8,530,000円、計上されていたとします。
1年をまたいで、売掛金が全く同じ金額であることは通常ありえないですから、このパターンは不良売掛金とみられやすいです。
  • 2.売掛金の勘定科目明細で「その他」に計上されているものが異常に多い。
売掛金の勘定科目明細をみると、
B社
C社
D社
E社
その他
合計
4,240,000円
1,490,000円
747,000円
126,000円
9,420,000円
16,023,000円





となっていたとします。
E社が126,000円なのに、その他で9,420,000円で上がっているのは、明らかにおかしいです。れを見ると、銀行は「ここに不良売掛金が隠されているな」と見ます。

※もちろん、倒産した売掛先の会社名が表示されていて、銀行はその売掛先の会社名を調査して倒産している会社とはじめて分かって、それを不良売掛金とするのが通常ですが、ただ銀行も、売掛金の勘定科目明細にずらっと並んでいる売掛先、1社1社、調査するのも大変ですから、倒産した売掛先の会社名が表示されていても、案外、銀行は分からなかったりします。

ただ、この2つのパターンは、銀行にとって不良売掛金を見抜くパターンなので、そこは頭に入れておいてください。

 

(3)債権回収の応用編

同意不要・裁判手続き不要で相手の売掛先から直接回収できるのか?

  • ・つい先日、外注費を払えず資金繰りに窮してしまったA社さんから、ご相談をいただきました。
  • ・外注先への支払いができなくなってしまった原因は、まさにその外注先にお願いした仕事の代金が、発注者の方からもらえていないからでした。

条件付きになりますが、F社がD社から直接回収可能なんです!

→納品済→ →納品済→
F社(外注) A社(相談者) D社(発注者)
←代金×← ←代金×←
[直接交渉]----------→

このF社の回収活動は、『債権者代位権』に基づいて行われていると考えられます。

債権者代位権とは・・・・・ 債権者が、債務者の持っている権利を債務者自身に代わって行使する(代位する)権利のことを言います。(民法423条)
1.債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利はこの限りでない。
2.債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為はこの限りでない。

F社としては

1.A社が持つD社に対する売掛金を譲り受ける『債権譲渡』であったり、
2.売掛金を回収することについて代理権を授与してもらう『代理受領』という方法でも、
A社がD社に対する売掛金を回収するための権利を行使することができます。

しかし、この2つの行為をするには、A社からの"同意"が必要です。
3.A社が持つD社に対する売掛金を『差押え』て回収することも可能ですが、差押えのためには、あらかじめ裁判で勝訴するなどして"債務名義"という差し押さえの許可証のようなものを取得したりするなど、面倒な手間やコストが多いのは言うまでもありません。
4.A社の同意も、債務名義もないままに、A社が持つD社に対する売掛金を回収する行為を行うことができるとしたのが、『債権者代位権』

債権者代位権は、簡易な差押えとも言われています。
債権者であるF社にとっては便利な制度ですが、債務者のA社にしてみれば、自分の財産を他人によって勝手に管理されることになり、過度に干渉される危険性をはらんでいます。
そのため、下記要件をクリアしていなければいけないことになっています。

①A社が無資力であること
※無資力=債務超過
※債務超過:会社が保有する資産額よりも負債額の方が多い状態
※例外事項あり
②A社がD社に対して回収活動を行っていないこと
※例え生ぬるい回収活動であっても、A社がなんらかの回収活動をしていれば権利行使ができません。
③債権者代位権を行使するのは履行期が到来している金銭債権が原則
※例外あり
※D社からA社への売掛金支払日が過ぎていないのに、F社がこの権利を行使することはできません
④代位行使される権利が一身専属の権利でないこと
※一身専属の権利:慰謝料請求権や離婚した際の財産分与請求権など

★なお、当然の事ですが、権利を行使できる額は、F社のもつ債権額の範囲分までに限定されます。100万円の売掛金を守るために、300万円分を取り戻す、ということをやってはいけません。
しかし、こうして自らが取りたてた分は、直接自分(債権者)で受け取っても良いことになっています。

注意していただきたいのは、裁判所の許可も、ここでいうA社の同意も不要という非常に強力な権利ですから、その取り扱いには慎重を期していただきたいと思います。
現実的に自分の債権回収に活用しようと思えば、まずは一度、専門家へ相談された方が無難でしょう。
やってはみたが、後から裁判にかけられて返す羽目になった、ということもありえるからです。
まずは相手の状況を見極め、そこから回収方針を定めることが先決です。

 

(4)水商売の世界に学ぶポイント制の給与システム

決められたビジネスルールに従って点数化するシステムは、顧客だけでなく従業員に対しても効果的に活用することができる。

会社の給与体系
「固定給」  月々安定した固定給の比率が高いと従業員は前向きな努力を怠りがちになる
「実力給」  仕事の成果に応じた実力給の比率を高くすると、一部の優秀な社員だけが高給を得て、それ以外の社員は軒並み給料が下がってしまい、退職者が増える弊害がある。

そこで経営者はある水準の給与は保証しつつ、さらに努力次第で高収入が得られるような給与体系を考案しなくてはならないが、ここにもスコア化の仕組みを利用することが可能だ。

それに近い給与体系で斬新な工夫がみられるのが、"キャバクラ"と呼ばれる時間制クラブで全国的に普及しているのが「ポイント時給制」

これはホステスが接客することで売り上げた項目をすべてスコアとして毎月集計して、その総得点数によって当月の時給単価を決めるという方式。たとえば「本指名=1ポイント」「場内指名=0.5ポイント」「同伴=1ポイント」「ドリンク1杯=0.1ポイント」というように仕事の実績をスコア化して、一ヶ月間で各ホステスが何ポイント獲得したのかを集計する。

《ある時間制クラブの時給体系》
・月間100ポイント未満の場合............時給2,500円
・月間100~ 119ポイントの場合.........時給2,800円
・月間120~ 139ポイントの場合.........時給3,100円
・月間140~ 159ポイントの場合.........時給3,400円
・月間160~ 179ポイントの場合.........時給3,700円
・月間180~ 199ポイントの場合.........時給4,000円
・月間200~ 219ポイントの場合.........時給4,300円
・月間220~ 239ポイントの場合.........時給4,700円
・月間240~ 259ポイントの場合.........時給5,000円
・月間260~ 279ポイントの場合.........時給5,300円
時給×労働時間

・一ヶ月の労働時間数:1日6時間×20日=120時間
●月間85ポイント獲得したホステスの給料←──┘
   │ ...時給 2,500円×120時間=30万円
   │
 ┌┤ ●月間 210ポイント獲得したホステスの給料
 ││ ...時給 4,300円×120時間=51.6万円
 ││
 │└─●月間 270ポイント獲得したホステスの給料
 │  ...時給 5,300円×120時間=63.6万円
 │
 └─→ 同じ労働時間でも獲得したポイント数で給料は2倍以上の差になる。

上表のポイント制度では、人気がないホステスでも時給2500円は最低ラインとして保証されていて、人気が上がる(ポイント数が増える)ほど当月の時給単価が高くなる仕組みになっている。逆に、先月までは人気が最も高くて時給5300円のホステスでも、今月は80ポイントしか稼げなかったということであれば、時給は2500円の設定に下がるというわかりやすいシステムになっている。

仕事の内容をスコアとして点数化して集計したものに時給単価を乗じるという給与体系には、不公平感が少なく、目標の月給を稼ぐには何ポイントを稼げばよいのかという努力の道筋が立てやすい。

 

(5)未回収の売掛金と共に心中する?

実際に、当社の顧問先やご相談に来ていただく会社でも、高確率で未回収売掛金や貸付金が残っていて、既に倒産していたり、所在不明なこともあるのですが、相手先が営業している状態で回収できない売掛金があることもかなり多いです。

そうした中小企業の社長に聞いてみると、 ・取引がなくなれば売上減少が避けられないため円満解決したい考えが根底にあるようです。

既に資金繰りが悪化している会社と付き合うのですから、危険な賭けになることが多いはずです。
であれば、本当に円満解決できる相手なのか、最悪の場合でも回収できるような相手なのか、そして、むしろ今後付き合うべき相手なのかの検証がなされているべきだと思います。

判断基準
1.「倒産のサインはどれくらい出ているか」
【営業面】  ⇒販売先に変化があった
 ○主要な販売先が倒産した
 ○クレームから主要な取引先に取引を停止された
⇒仕入先に変化があった
 ○主要な仕入先がかわった
 ○理由なく注文が大幅に増加した
 ○ライバル会社への発注分が急にこちらにくるようになった
⇒商品構成が大幅に変わった
 ○旧来の仕入先に未払いが発生し、仕入できなくなったために新しい仕入先が入ってきた
⇒在庫が積み上がっている
 ○商品・製品にクレームが多く返品が多い
 ○売れいきが悪く在庫が積み上がっている
⇒新規事業や関連事業がうまくいっていない
【財務面】  ⇒支払日が遅れた・変更された
⇒回収額が約束と違った(請求書どおりに払わない)
⇒支払方法変更の申し出があった(現金・小切手から手形へ)
⇒手形サイト延長の申し出があった
⇒主取引銀行が変わった(支払銀行の変更)
⇒脱税等の不正で摘発された
⇒ノンバンクからの借入の噂
⇒保証金取崩しの申し出があった
⇒社長や経理責任者が支払日に不在がちになった
⇒小口払いはするが大口支払は延ばそうとする
⇒従業員の活気がなく、仕事が投げやりになってきた
⇒従業員が会社の文句ばかり言っている
⇒従業員の定着性が悪くなった
⇒本業に関係ない事業に手を出し始めた
⇒ハッタリをきかせた大きな話ばかりするようになった
このようなサインです。思い当たる節がありませんか?当然、多ければ多いほどに危険です・・。
2.「支払意思は明確か」について
「払います。」というだけで、いつまで経っても払ってこない取引先があると思いますが、これはまったくダメです。
表面的に「払います」という言葉で支払意思を判断するのではなく、なぜ払えないのか、いつまでに、いくら、どのような原資で払うのかなどについて、具体的に説明できるのか、その裏付けとなる資料があるのかどうかを支払意思が明確かどうかの基準としてみてはいかがでしょうか。
3.「支払能力はあるのか」
もしもの場合に、差押えしてでも回収する原資があるのかどうか、支払能力の有無はこう定義すべきだと思います。
興信所の点数や業歴・知人の紹介だから、昔からの付き合いだから大丈夫などの推論によるものでは、支払能力はまったく判断できません。
逆に、もしそのような判断基準であれば危険です。
支払能力の判断は、そもそも、何が支払能力足り得るのかを知ることがとても重要になってきます。
一般的には、預金、売掛金、不動産などが挙げられます。
これらも、できる限り裏付けを伴わせるべきでしょう。
4.「財務状態はどこまで悪化しているか」
これを測るためには、
・決算書(できれば3期分)
・最新の試算表
・資金繰り表
・銀行借入一覧
などを見せてもらうことができれば詳細に把握することができます。
まずは、このような資料を出してくれるのかどうかが一つの基準であり、次に、出してくれた資料、または興信所などにある資料を分析した結果、どのような状態なのかがもう一つの基準です。

このようにいくつかの基準を作って、本当に円満解決できる相手なのか、最悪の場合でも回収できる相手なのか、むしろ、今後付き合うべき相手なのかをよく考えていただきたいと思います。

 

(6)プロセスを細分化して未入金・未回収効率を下げる

売掛金の発生から回収までの流れを考えていきましょう。


分類 1.与信管理 2.債権回収(未回収売掛金の回収)

 


いかがですか?
自社で機能していないと思われる部分はありましたか?

 


ポイント

実際に改善活動を行っていくためには、プロセスを細分化して自社の現状を確認すると共に、何が理想的なのかも考えていかなければいけません。

そうして、現状と理想的姿の間にあるギャップを見つけていくことで、どうすれば改善していけるのかを考えやすくすることができます。

1.取引先の審査
 ◇取引先の情報収集
 ◇取引の可否決定
 ◇取引限度額の設定
 ◇取引条件の設定
 ◇契約条件の検討
 ↓
2.契約
 ↓
3.取引開始
 ↓
4.取引先の管理
 ◇請求業務
 ◇入金確認
 ◇取引先の定期チェック
 ↓
5.未入金が発生
 ↓
6.自社による回収活動
 ◇回収プラン策定
 ◇支払能力調査
 ◇支払意思喚起
 ◇交渉(口頭・手紙・内容証明)
 ↓
7.法律家への相談
 ↓
8.強制回収アクション
 ◆自社対応
  ⇒差押え手続
  ⇒裁判
 ◆法律家対応
  ⇒法律家名での内容証明郵便(督促状)
  ⇒差押え手続
  ⇒裁判
 ↓
9.回収

以上のような流れです。

 

(7)未入金管理の基本は"期限を切ること"

未入金先へ連絡を取って、まず何をするかといえば

1.未入金理由を尋ねる
2.支払期限を切る

■"期限を切る"にもやり方がある

回収交渉の基本は"期限を切る"ということですが、この期限の切り方にも、正しい方法と正しくない方法があります。
早速トーク事例を見てみましょう。

Aさん:「すいません。まだ御社からのご入金を確認できていないのですが、どうなっていますでしょうか・・。」
Bさん:「あ~すいません。すっかり忘れていたみたいです。すぐにお支払いしますので。」
Aさん:「では、今月中には払っていただけますか?」
Bさん:「わかりました。すいません。」
Aさん:「それではよろしくお願いします。」

Aさんは、支払期日を切れたことに満足しているかもしれませんが、"自分から期限を提示"したことで、もしかしたら損をしているかもしれません。
なぜなら、Bさんからしたら、それこそ10日待ってもらえれば助かると思っていたのに、思いもよらずAさんから今月中と言われ、心の中では小躍りしていたかもしれないからです。
これが積もり積もれば、大きく資金繰りに影響してくることになるのです。

■"後出しジャンケン"交渉術とは・・

希望する条件に合わなければ、
「それは困りましたね」
「もっと早くなりませんか?」
「そんなに資金繰りが厳しいのですか?」

とか、他にも、
「すいません。通常の入金日から1ヵ月を超える場合は、私の判断ではご返答できないものですから、また追って上司の方からご連絡させていただきます。」

のようなルールを作っておくなどして、"牽制"します。

こうして条件交渉を繰り返し、当初から希望していた条件か、それよりもよくなってから条件を飲めば良いのです。

 

(8)部門利益管理で業績UPする

■まず、大切なのは、月次損益です。

経営の出発点としては、売上げではなく、利益の状況を毎月の推移で把握しておくことが、非常に大切になってきます。 なぜなら、利益の配分が企業の将来を決めるからです。

配分の一般的な大きな内訳 ①将来への投資原資
②内部留保
③返済
④税金
⑤従業員への還元 の5つ

※特に、従業員への還元には、注意が必要です。

例えば、従業員に対して、何かの拍子に、今年はボーナスを 出すという言葉を経営者が従業員に言ったとします。
その言葉を経営者は、忘れたとしても、必ず従業員は必ず覚えています。
そして、決算の時期になり、利益が予想より低く、ボーナスを見送った とすると、従業員のモチベーションはどうなるでしょうか?

『社長は言ったことを守らない。』と、 従業員の社長に対する信頼関係というのは、大きく崩れてしまいます。

こういった事が起こらないようにするためにも、 経営者は毎月の利益状況を把握しなければなりません。
利益予想をし、効果的な昇級・昇格を考えるのは、経営者しかできない 仕事ですし、会社の舵取りを行う上で、経理部門の強化・透明性というのは、 企業が発展していく上で非常に大きなウエイトを占める要素であることは 間違いありません。

■その上で、部門レベルの利益管理も非常に大切になってきます。

今後は部門別に経営者を育てる感覚で、営業利益ベースでの予算・実績によって人を評価する仕組みに変えていかないと、部門営業ベースでのコントロールが難しくなってきます。

その為には


現在、顧問先では、部門別にメインバイヤー制度を引き、部門担当者に販売・買取・売場・在庫のマネジメントを行って頂いています。

売上・粗利率・粗利額・買取額・営業利益額・在庫・回転率を 予算化し、実績と比較して月の会議をするようにしています。

★この会議のねらいは、部門担当者の経営者意識の植え付けです。

★もうひとつのねらいは、経営者に従業員に対する目標を 明確化して頂くことです。

経営者も今まで数値で把握されていない会社が多いので、どこが正解かを 迷われている部分があります。それでは、現場の方も迷われるのは仕方が ありません。特に、売上げ予算の設定、粗利率予算の設定、回転率予算の設定は、商売の仕方そのものになります。
要するに、自社の商売の仕方を決定して頂くのです。

■この目標値(自社の答えを)設定をして、毎月の動きを捉えていくことが、第一ステップとしては、非常に大切になってきます。

売上・・・どれだけ客と広くつきあっているか?
粗利率・・・どれだけ客と深くつきあっているか?
回転率・・・どれだけ客と早くつきあっているか?

この3つの指標は、全ての小売業で非常に大切になってきます。

次に、こういった部門利益を正確に算出しようすると、棚卸しの頻度が大切になってきます。ひどい会社になると、年1回の棚卸しだけという事になりますが、これでは、年間の利益予想が立ちません。顧問先でも毎月棚卸しを行っている所も ありますが、最低限、年に4回、四半期に1回は棚卸しをするようにお伝えしています。

そうしないと


部門利益が確定しないし、部門別の対策が遅れてしまうからです。

★また、棚卸しをするメリットとしては、担当者に在庫の把握をしてもらうこともさることながら、売場がきれいになることもあります。売場の端から端まで実棚卸しを行うので、普段なら見えにくい部分にまで、手が入るので、長期在庫の把握になったり、整理・整頓につながったりします。

ぜひ、部門利益管理をすすめながら、スタッフのレベルアップにつなげられてはいかがでしょうか?

 

(9)節税と銀行融資

あなたの会社が、銀行から融資を受ける機会が多く出てくる可能性があるなら心にとどめておいていただきたいことがあります。

それは、「節税第一に考えない」ということです。

あなたの会社の顧問税理士は、期末になると、税金を安くするための対策をいろいろ提案してきませんか?税金を安くするということは、逆に言うと、利益を減少させる、ということになります。

銀行が融資を審査するに際し、一番注意深く見るものは、あなたの会社の純資産がいくらであるか、銀行は一番、見るところです。この自己資本を大きくすることが、銀行融資を受けやすくする特効薬となります。

その自己資本が、節税によって利益がほとんどなかったり、赤字になったりした場合、銀行の融資審査は、必然的に厳しくなります。

  • ●例えば自動車。必要があるならまだしも、節税のために必要でない自動車を購入したり、高額の自動車を購入したりすると、現金が無駄に流出するので資金繰りに影響が出ますし、それを借入金でまかなえば、将来の借入枠をせまくしてしまうことになります。
  • ●節税のための保険は、決算書を悪くしてしまうので、融資が必要な会社であれば、やめた方がいいです。

無理に経費を作ってまで落とさないというとです。

安易に「節税、節税」と考えないでください。自社の状況をしっかり把握した上で、利益を優先させて融資を受けやすくするか、融資が必要でないので節税対策をとるか、考えてください。

 

(10)資金調達と売上の関係

「A 売上1億円 利益5百万円
 B 売上1千万円 利益5百万円
 どちらの企業が大きな金額で融資を受けやすいか」

答えは、Aです。
Bの方が、利益率は高く、一見融資を受けやすいようにみえますが、銀行が融資をしやすいのは、売上が大きいAの方です。

確かに、銀行の格付が高いのは、利益率の大きいBです。
しかし、例えば銀行に2千万円を申込んだ場合、銀行はAに対しては、「売上1億円だから、運転資金として2千万円ぐらいは必要だろう。」
という考え方をしますが、Bに対しては「なんで売上1千万円なのに、融資が2千万円必要なの?」という考え方をします。

ただ、売上を大きくしたばっかりに利益率を低くして格付が下がってしまうことは問題ですし、また売上を自社で計上するのであれば、その分、回収リスクも大きくなります。バランスを考えていくことが大切です。

 

(11)事業再生・会社再生の道しるべ"撤退"

しばらくやってみて、どうしても売上が伸ばせなかったり、黒字にならなかったり、利益が少ないのに人員・時間・エネルギーがとられてしまう事業になってしまう場合もあります。

その場合は、その事業からの「撤退」を考えるべきです。

「撤退」を考えるにあたっては、部門別の損益が分かるようにすることが大事です。

そして、その事業がどれぐらいの利益なのか、もしくは損失なのか、その事業を行うことによって会社にプラスになるのかどうか、たいして利益もないのに経営者がエネルギーをとられてしまうことはないかなど、いろいろ検討し、「撤退」を考えます。

ただ、せっかくはじめた事業、なかなか「撤退」に踏み切れないでしょう。

私自身の会社も、売上に占める割合が1%の事業を3つ、撤退することにしました。
その3つの事業は、わずかながらも毎月利益が出ていて、それが撤退にちゅうちょする一番の理由でした。
しかしその事業にとられる時間とエネルギーを考えると、残り97%の事業に注力した方がよいと考えたのです。この97%の事業の方は将来も大きく伸ばしていけるものであり、こちらを伸ばしていきたいと考えました。
この3つの事業にエネルギーをとられ、残り97%の事業へのエネルギーをその分、注ぐことができない状態が続いていましたので、「撤退」に踏み切ることができました。

「撤退」、ふみきれるといいのですが、経営者の気持ちとしてなかなかふみきれない場合も多いかと思います。
その場合は、コンサルタントや顧問税理士、まわりの人などに相談してみるのもよいでしょう。

 

(12)銀行から支援を受けられない会社 その1

●業績が悪い会社

業績が悪い会社は具体的に、以下の要件にあてはまる会社です。
1.利益が赤字である会社
利益とは、特に営業利益。経常利益を指します。
赤字である会社は、利益により融資の返済をすることが難しくなります。そうなると、融資が返ってこないことを心配し、銀行はそのような会社に融資をしなくなります。
2.債務超過である会社
債務超過とは、決算書の貸借対照表における純資産の部合計がマイナスの会社ですが、そうでなくても、不良売掛債権、不良仮払金などがあり、実質的に純資産がマイナスである会社も、ここに当てはまります。
債務超過の会社は、倒産の黄信号が出ています。そんな会社に銀行が融資をするのは難しいでしょう。
3.赤字・債務超過とまではいかなくても、低迷している会社
現在、赤字もしくは債務超過ではなくても、業績が低迷している会社は、いずれ赤字・債務超過となる事態が予想されます。
近い将来赤字・債務超過となる会社に、銀行が融資をするのは難しくなります。

しかし


上のいずれかに当てはまる会社でも、融資を思うように受けられる可能性を高める方法があるのです!

以下の2つの方法です。
  • ●赤字もしくは債務超過であっても、実態よりも業績を良く見せる決算書を作る。
    (粉飾決算を作るというわけではありません。粉飾決算ではなくても、決算書の作り方によって業績を良く見せることができるのです。)
    また、最近決算書を提出済みの会社でも、決算書の内容よりも実態の業績が良いということを、銀行にうまく説明する。
  • ●近い将来、業績が良くなって、赤字もしくは債務超過の状態から脱することができることを、銀行に説明する。

  • ★このいずれかの方法をとることによって、今まで業績が悪く、銀行から思うように融資が受けられない会社でも、融資が受けられる可能性を高めることができるようになります。

それでも別の資金調達方法があるのではないか、私どもは考えてみます。

よく注目するのは売掛金です。

★売掛金は、担保にすることができます。それを担保に、融資を受けられないか、考えます。


その手法をとるにあたって、望ましい状態は
  • ●売掛先と債権譲渡禁止特約を結んでいない、つまり取引契約書などで、売掛金は第三者に譲渡しません、という特約を結んでいない。
    →特約を結んでいると売掛金は担保にすることができません。
    そもそも売掛先となんの契約も交わしていなければ大丈夫です。
  • ●売掛先の多くが、事業者であり、継続的な取引先である。
    →個人向けの売掛金は担保にできません。またスポットの取引の売掛金も担保にすることは困難です。(その場合、ファクタリングという手法を考えることもありますが。)
  • ●売掛金の総額が2千万円以上ある。
    →売掛金の総額が小さいと金融機関が話に乗ってくれにくくなります。

※またこの手法を説明するときに、相談者の方からよく聴かれることが、「売掛先に、担保の事実を知られてしまうのではないか。」ということです。
ただこの手法を使う場合、売掛先に知られないような方法を使うので、売掛先に知られてしまうことはほとんどありません。

 

(13)他の銀行が融資を出さないことを銀行はどう見るか

私の知り合いの銀行では、融資を出している企業から、3カ月ごとに、銀行ごとの融資残高を聞くようになっていました。

そうやって、その企業がつきあっている他の銀行からも、定期的に融資が出ているのかどうか、確認するのです。

そのため、他の銀行、特にその企業に対しての融資シェアが大きい銀行がしばらく融資を出していないということであれば、銀行は、自分のところだけ融資を出してその後、痛い目にあってはいけないと、融資を出さなくなるのです。

横並びでどこの銀行からも融資が出なくなる事態を避けるためには、特にメインの銀行にて、定期的に融資を受けられるようにしておくことが重要です。

メイン銀行からの信頼を大きくするためには 毎月試算表を見せて業績報告を行い、また3年~5年ぐらいの経営計画を作ってその進捗状況を見せ、常に深い関係を保てるようにしておくことが必要です。

しかし、それでもメイン銀行が融資を出さなくなる時があるかもしれません。


メイン銀行が融資を出さず、一方で多くの返済をし続けているということは、他の銀行から融資が出ていても、その返済負担を補えるほどではなく、早晩、資金繰りが破たんしてしまうことは目に見えています。

そのため、メイン銀行に融資を申し込んでも審査が通らなくなったら、融資の返済金額を圧縮する、リスケジュールの申し出を行うかどうか、検討する時期、ということになります。
その動きを先延ばしにすると、あなたの会社にある資金は、どんどん減っていくことになります。

常に、数ヵ月後の資金繰りを見据えた意思決定を経営者は行わないと、取り返しのつかないところまで追い込まれてしまうことになります。

 

(14)担当の銀行員に「他の銀行もあたってみたら?」と言われた

銀行員が、融資を申し込んできた経営者などに「他の銀行もあたってみてください。」と言った時、その背景にどんなことがあったのかというと、その会社への融資は困難、という銀行の方針です。

あなたの会社を担当する、得意先係(営業係)や融資係の銀行員の頭の中に、銀行のその企業への方針は頭に入っています。 なぜなら銀行は、融資先企業1社1社に、決算書などから導きだされる信用格付とともに、「取組方針」といってその企業への融資スタンスも、格付決定時に一緒に決めているからです。

例えば、次のように5段階があり、どの融資先企業においても、取組方針が決められます。

A.積極推進方針 積極的に融資を売り込むこと
B.推進方針 Aほどではないが融資を売り込むこと、という方針です。AとBの違いは、例えば自分の銀行とともに他の銀行も融資を売り込んできている場合、Aの方針であれば金利を一気に低く提示してでも融資を売り込む、Bの方針であればそこまでしない、というようなイメージです。つまり、収益度外視してでも融資のシェア(その企業においての銀行ごとの融資量のシェア)を高めるか、そこまで無理しないか、その違いがあります。
またAとBはいずれも、その銀行がその企業に対しての融資量を増やしていく方針となります。
C.現状維持方針 現状の、その企業に対しての融資量を維持する程度にとどめる、という方針です。融資は毎月の返済によって残高が減少していきますが、減少した分を埋めるぐらいなら融資していく、という方針です。
D.消極方針 新たな融資は困難になります。返済が進むことにより減っていく残高を埋めるほどの融資まではしなかったり、もしくはその企業への融資を今後しない、ということがDの方針となります。
E.取引解消方針 融資はしないどころか、いろいろな手を使ってその企業への融資を回収していく、という方針です。Eまでいくと、その企業への融資を少しでも多く、早く解消しようと、担当の銀行員は積極的に交渉してくるでしょう。

このように、「取組方針」が、どの企業に対しても決められています。

「他の銀行もあたってみたらどうでしょうか。」と言われたら、
あなたの会社は、大きな確率で、「D.消極方針」「E.取引解消方針」ということです。
 

はじめから融資が出ないのが分かっているのであれば、その場で断わってくれればよいではないか。と思うかもしれませんが、なぜその場で断わってくれないのか。それは、次の理由からです。

1.その場で断わって、融資を申し込んだ経営者などが怒り出すことをおそれている。(一応銀行内で審査したがだめだった、という形で断りたいということ。)
2.融資の可否は、担当の銀行員で決めるのは銀行内で禁止されている。(支店長など上層部に報告し、断ることについての承認が必要。)

「他の銀行にもあたってみてほしい。」という言葉が出てきたら、融資審査が通る可能性は少ないと考え、早めに次の手を考えておく必要があります。

 

(15)融資受けられない+手形を切っている会社の落とし穴

1.銀行から融資が受けられない。
2.買掛金の支払いなどで手形を切っている。

このような企業は、より資金繰りに注意を払っていただきたいです。

例えば、次のような企業があるとします。

年間の売上400百万円 当期利益1百万円、減価償却費9百万円借入総額200百万円 毎月返済金額5百万円

簡易のキャッシュフロー計算式で、年間キャッシュフローを計算すると当期利益1百万円+減価償却費9百万円=年間キャッシュフロー10百万円となります。
年間返済金額は60百万円(5百万円×12ヶ月)なので、年間返済金額60百万円>年間キャッシュフロー10百万円となり、このような企業は単純に計算して、60百万円-10百万円=50百万円、現金預金が減少していくことになります。

このような企業の場合、年間で減少する現金預金50百万円は、融資を受けて補うことになります。このような融資を銀行用語でハネ資金と言います。
名目は運転資金での融資となりますが、実際はキャッシュフローで返済できなかった分を融資を受けて補う形になります。

しかし、問題はこのようなハネ資金の融資が受けられない企業です。

そのような企業の経営者として、もっともやってはいけないこと、それは資金が足りない分を、手形を多く切ることによって乗り切ろうとすることです。

例えば、現時点で支払手形が20百万円あるとしましょう。
上記例の企業で、年間50百万円の現金預金が減少し、その分を補てんする融資が受けられないとすると、やってしまいがちなのが、その不足分を、手形を切ることによって補おうとすることです。

資金不足分を手形で資金繰りすることにより、支払手形はどんどん膨らんでいき、1年後は多額の支払手形となります。行き着く先は、支払手形の不渡り→倒産、となってしまいます。

上記例の企業の場合、融資が受けられず資金繰りがまわらないのであれば、やるべきことはリスケジュール、つまり返済条件の変更を銀行に交渉することです。

毎月の返済金額5百万円を、ほぼ0円までに持っていくことができれば、支払手形を増やしていくことなく、資金繰りがまわるようになっていきます。

銀行融資はリスケジュールして毎月の返済金額を減らすことができますが、支払手形はそんなことはできません。手形ジャンプという奥の手はありますが、銀行融資のリスケジュールの方がずっとやりやすいです。

 

(16)赤字の会社でも融資が受けられる

■事業計画書を使う

保証付融資はいっぱいいっぱい、決算書の内容が悪くビジネスローンが悪くビジネスローンが通らない、このような企業は、資金調達の手段がもうないのでしょうか。

このような状態の企業が銀行から融資を受けようとするために強力なツール、それは「事業計画書」です。

※赤字であったり、債務超過であったりする企業でも、事業計画書により融資が出るケースは、最近多く出てきています。
不良債権の処理も一段落し、貸出姿勢が積極的になりつつあるのが、その背景にあります。

  • ★事業計画書は銀行よりも、政策公庫、商工中金などの、いわゆる政府系金融機関に有効に効いてきます。政府系金融機関は、営利を第一目的とせず中小企業の育成を第一目的としているので、現在の状態が良くなくても、事業計画書でアピールすることにより融資を期待しやすいのです。
  • ★金融機関が事業計画書に求めるものは、会社の理念、商品の将来性など、文章として書くものよりは、今後3年ぐらい、売上・利益はどのように推移していくのか、その「数字」です。もちろんその数字の根拠も書かなければなりません。売上が毎年倍増していくと言っても、それはどのように達成されるのかが書かれなければいけません。
  • ★銀行員は、「数字」を第一にします。いくら立派な理念、いくら立派な商品があっても、それが利益に貢献していくということを数字で示すことができなければ、その事業計画書は銀行にアピールするものとはほど遠いものとなります。
  • ★数字をあげて具体的に自社について分析し、説明できるような経営者を、有能とみます。 事業計画書でもそうです。いくら立派なことが文章でならべられていても、数字に落とし込めていなければ、事業計画書の価値は大きく落ちます。

 

(17)銀行が融資をこれ以上、出してくれない!

その会社の状況を調べてみると・・・

1.決算内容は特に悪くない。
2.取引銀行は1つ。
3.会社は年々、売上が上がっている。

対策は


取引銀行を増やす。

★銀行から見ると、1つの企業に対して融資できる総量は、限りがあります。
なぜなら、銀行は融資先を分散することによって、リスクを抑えているからです。

年々、売上が上がってきている会社は、「増加運転資金」が必要となります。売上が大きくなればなるほど、売掛金、在庫で抱える金額は大きくなります。融資を多く受けていくことができなければ、会社の成長は止まってしまうのです。

成長著しい会社は、銀行とのつきあい方を考え、融資を増やしていけるように対策をうっていくことが重要なのです。

融資取引銀行を増やす銀行と接点を持つための方法
  • ①ねらいをつけた銀行と取引している知り合いの経営者に、紹介してもらう。
    ただ、この方法では、紹介してくれる知り合いの経営者がいなければなりません。
  • ②ねらいをつけた銀行に、まずは預金口座を開設します。
    銀行は、法人が預金口座を開設したいと言ってきた場合、テラー(預金窓口の行員)ではなく、上席者が出てきます。
    なぜなら、法人は、実態のない法人や、犯罪に使われる法人も多く、そのような法人に預金口座を開設したら銀行はやっかいなことに巻き込まれるためです。
  • ③そのため、法人が預金口座を開設したいと言ってきたら、上席者が対応し、預金口座を開設してもよいのかどうか審査します。
    審査といっても、融資の時みたいに厳しい審査ではありません。何か問題がありそうな法人かどうかの審査です。
その審査を、逆手にとるのです。
  • ④上席者が出てきたら、法人が問題ないかどうか審査するために、いろいろ聞いてきますが、その時に、会社案内と、最新の決算書を渡すのです。理由は、「問題ない法人であることを証明するために会社案内と決算書を見てほしい。」というようにします。
  • ⑤そうしたら、会社案内と決算書は、よほど営業センスのない預金係の上席者ならともかく、普通であれば、 その会社案内と決算書は営業係にまわされます。なぜなら、銀行にとっては新規融資先獲得のチャンスだからです。
⑥決算書を見て、この企業に一度行ってみよう、と銀行員に思わせたらしめたものです。

 

(18)銀行から資料の提出を要求されたが、自社を警戒しているのか?

(質問) 今、リスケジュールを各銀行様にお願いしてます。
1つの銀行が言われますには、信用保証協会は長くて返済期間を5年に延ばすのがせいいっぱいです。またリスケジュールについて保証協会が審査しましてこれもどうなるか当銀行では解りません。保証協会が決めることですからとのことですが、これは言われるままにのみ込まなくてはいけませんか?
(回答) リスケジュールの考え方は、返済期間を5年に延ばす、というような考え方ではなく、毎月の返済金額を少なくする、という考え方です。 例えば、ある融資の残高が1200万円、毎月の返済金額が40万円としますと、残り返済期間は2年半ということになりますが、この返済期間を延ばして5年にする(そうすると毎月の返済金額は20万円になる)、という考え方ではなく、毎月の返済金額を1万円にする、という考え方です。
「返済期間」が先にくるのではなく、「毎月の返済金額」が先にくるのです。「返済期間を延ばしたい」という交渉ですと、現在A様が体験されているような交渉になってしまうので、そうではなく「毎月返済金額を1万円にしてほしい」という交渉を行う必要があります。

銀行の言うことにほんろうされていらっしゃるみたいですが、銀行は、「銀行にとって一番メリットとなることを言う」ので、銀行の言うことに惑わされないことが重要ですね。

 

(19)リスケジュール

この質問、多くの経営者の方からいただきます。

そもそも銀行は、融資を行ったらその後、3カ月に1回は、試算表や銀行ごとの借入一覧は要求します。

融資先企業ごとに、ファイリングされ、その資料の中に、試算表を添付し、銀行ごとの借入明細を付けています。それを、担当の銀行員は3カ月に1回のペースで更新しなければならないのです。
それに基づいて、企業に、資料提出を依頼しているだけです。

だから、試算表や銀行借入一覧を要求されたことは、融資を受けている企業にとっては当たり前のことで、そのことだけで何も心配することはありません。

 

(20)銀行から今までにない資料を要求された

例えば、売上先の一覧や、仕入先の一覧など、今までに提出したことのない資料を要求されたとします。

★この場合、次の3つのケースがあります。

  • 1.融資申込後の融資審査において、稟議書を書く人が、稟議書の資料の肉付けとして、詳細な資料がほしい、もしくは稟議書が回覧されるにあたって、融資係長や支店長などから、ここをもう少し知りたいという指示があって、資料を追加したいケース。
  • 2.決算書提出後、決算書の中の勘定科目明細で、不足している部分があったり、もしくは決算書を分析するために細かい明細が必要であるケース。
  • 3.銀行の自己査定作業の中で、債務者区分の決定にあたっての判断材料として資料不足であるところを補ったり、もしくは金融庁のヒアリングにあたって銀行が金融庁から突っ込まれないようにあらかじめ想定される資料を用意しておきたい場合。

  • ◎いずれにしても、資料不足の状態があり、そこを補いたい、という趣旨が第一となります。
  • ◎資料不足を補いたいということですから、資料の提出を要求すること事態が、銀行がその企業を警戒している、ということには結びついてきません。

★銀行が聞きたいポイントは、だいたい決まっています。

なぜこの資料が要求されたのか、その資料を聞くと、銀行は何を知りたいのか、だいたい分かります。

例えば売上明細であれば、

  • ・こちらの会社は、安定的な売上先はどれぐらいあるのだろうか。(数年にわたっての売上先ごとの売上金額。)
  • ・1社もしくは数社へ売上を大きく依存しているのかそれとも売上は分散されているのか。
  • ・それぞれの売上先の、業績や安全性はどうなんだろう。
  • ・売上高は、粉飾していないだろうか。

だから、例えば売上明細を提出するにしても、その売上明細から見えてくる自社の弱点を考え、それを補うような文章を付けておくと、銀行に与える印象は良くなります。

例えば1社への売上依存が6割あり、その企業の動向に左右されやすい体質であれば、「前期の売上の6割はA社によるものであるが、弊社としてはA社依存ではA社の動向に左右されやすいため、売上先を分散できるよう、B社以下既存の売上先に営業担当を1カ月に1回訪問させ新たな受注ネタの情報収集をするとともに、○○県内の業種○○業の企業を300社ピックアップし、新規開拓の活動を行っている。」

現状の弱点をほったらかしにしているのではなく、その弱点を経営者としては把握し、それを克服するために対策をうっている、という姿勢を見せるのです。

それで銀行に伝えたことが、融資審査の材料となり、自己査定の債務者区分決定への材料となり、良い方向に向かうのです。ただの資料提出という作業自体でも、それをメリットにできないか、工夫してみてください。

 

・ストック型の借入

会社を倒産させない資金繰りの鉄則は、現金預金をできるだけ多く持っておく、とても単純ですが、これが一番の、資金繰り策、となります。

例えば年商600百万円(6億円)、月商50百万円(5千万円)の企業であれば、その企業の現金預金が一番少なくなる瞬間(集中支払い日に支払った後など)に、50百万円の現金預金がある状態、です。

■現金預金を豊富に持つには、やはり第一に銀行から融資を受けることです。

×借入総額が少ないのが安全な経営だ!と言う人がいますが、大間違いです。

◎現金預金が多いのが安全な経営

借入総額が少ないのが安全な経営と思いこんで、そこに経営者の目がいってしまうと、現金預金がぎりぎりの状態でまわさなければならない事態に陥りかねません。
そして、資金不足となってしまう時にやっと気がついて、あわてて銀行から融資を受けようとしても、そんなに簡単に受けられないことでしょう。

「借入総額が少ないのが安全な経営だ」論の根拠は、借入総額が多いと返済負担が大きいから、借入総額を少なくしよう、ということでしょう。
借入総額が多くなり、返済負担が大きくなった。その状態で、融資を定期的に受けて資金繰りをまわしていたが、ある時から融資が受けられなくなった。
そのような時には、銀行と交渉して返済金額を0円近くにしてもらえればよいです。

 

また、融資を受けて、それが使われずに月々返済されていくのみだから、利息(と保証協会保証料)がもったいない、という考え方もあるでしょう。
ただ、それは「保険料」のようなもので、融資で受けた金額が使われずに月々返済されるのみであれば、それはそれでよいのです。

 

融資は、受けられる時に受けておくべきものです。資金が足りなくなりそうだからと資金不足の直前に受けようとし、うまく融資が受けられなかったら、それだけですぐに経営の危機に陥ってしまいます。

融資は、企業にまだ余裕がある時に受けやすいものですから、受けられる時に受けておきましょう。

 

・「これが最後の融資ですよ」は何を意味するか

銀行から融資を受ける際、「これが最後の融資ですよ。」と言われたとします。
言われた企業側としては、この言葉は何を意味するのか、不安になってしまいますね。

銀行員が融資先企業の方にこの言葉を伝える時の経緯は、だいたい次のようなものです。

企業から融資の申込みを受けた。
  ↓
銀行内で、融資審査が行われた。
  ↓
しかし、審査はスムーズに通らず、銀行内で融資を出すか出さないかについて議論が何回も交わされた。
  ↓
ただなんとか今回の融資は出したいと、審査通過に有利な材料を得るために、企業からも追加の資料の提出を受けるなどして、あらためて審査が行われた。
  ↓
そのような努力の甲斐もあって、やっと今回の融資審査は通った。
  ↓
ただ、今回の審査は難航したため、企業側に、次の融資は簡単に出るとは思ってもらいたくないと銀行は考えた。
  ↓
銀行の担当者は、その企業に「これが最後の融資ですよ。」と伝えた。

「これが最後の融資ですよ。」と銀行から言われたことがある方は、だいたいこのような流れがあったのではないでしょうか。

ここから考えると、「これが最後の融資ですよ。」と言われた場合、銀行はその会社に対し、融資審査は厳しく行う、というスタンスであることになります。

しかし、本当にこれが最後の融資となってしまい次に融資を申込んでも絶対に通らないかというと、そうではありません。⇒なぜなら、次に融資を申込んでも通らないということであれば、そもそも今回の融資自体を出していないはずだからです。

今回は融資が出たということは、その会社に対しての銀行の「取引方針」は、下記の区分が銀行にあるのだとしたら、 A.積極推進方針 B.推進方針 C.現状維持方針 D.消極方針 E.取引解消方針 「C.現状維持方針」となっている可能性が高いと思われます。 ※ちなみに「C.現状維持方針」の企業に対しての銀行のスタンスは、その企業に対しての融資量を維持する程度にとどめる、という方針です。

しかし


今後の企業の状況によっては「D.消極方針」、つまり新たな融資は困難になる方針、に転落してしまう可能性もある、という背景があって、「これが最後の融資でよ。」という言葉になって現れるのです。

具体例

A銀行で、現在受けている融資は80百万円である。今回は20百万円の融資を受けてA銀行での融資残高は100百万円になったが、A銀行からは「これが最後の融資ですよ。」と言われた。ちなみにA銀行には、今回の融資後、全部の融資を合わせて1ヶ月2百万円ずつ返済することになる。

この場合、1年後にはA銀行での融資残高は76百万円になります。この会社は利益がそんなに出ていなく、返済は手元にある預金から行っている形(利益によるキャッシュフローで返済できていない)になってしまっているので、このままでは資金不足に陥ってしまいます。

このような状況において、この会社は、1年前にA銀行から言われた「これが最後の融資ですよ。」の言葉どおり、A銀行から融資を受けることはできないのでしょうか。


答えは、その時の、企業の業況によります。

ということは、「これが最後の融資ですよ。」という言葉を言われたのであれば、その次の決算がどうであるかが、いつにもまして重要となります。
だから、次の決算が出たら、その銀行に早く提出して融資を申込みしてみて、その銀行のスタンスをすぐにはかるべきです。

そして融資が出ないとしたら、すぐにでもリスケジュール、つまり現在の融資返済の減額交渉を行っていく必要があります。
そうしないと、融資が受けられないのに銀行への返済ばかりが進んで、早晩資金がショートしてしまうことになります。

「これが最後の融資ですよ。」と言われたら、企業としてはその後の銀行対策、そして資金繰り対策により慎重であらねばなりません

 

財務ノウハウ(4)

(1)銀行の、できる担当者、できない担当者

■あなたの会社を担当する銀行員が仕事ができる人かどうかをどう見分けるか

問題は、その担当者が、「仕事ができる」人か、「仕事ができない」人か、それにより、あなたの会社において、影響が出てくる、ということです。

仕事ができる担当者
  • ◎担当者の方からあなたの会社に、融資の提案をしてくれます。
    例えば、銀行の担当者が次のように言ってくれるとします。
    「前回融資を出してから6ヶ月が経とうとしていますが、そろそろ融資を検討してみませんか。」
    提案ができる銀行マンであれば、仕事ができると見てよいでしょう。
  • ◎また銀行の得意先係は、ノルマを課されています。仕事ができる担当者であれば、そのノルマの達成に積極的であり、企業に積極的に融資の提案をし、企業から融資を申込まれたらその審査が通るように、支店長などを説得できるような融資稟議書を書くこともできます 。
仕事ができない担当者
  • ◎担当者が「何かご用はないですか?」としか言えない人であればどうでしょうか。このような担当者は、論理的に物事を組み立てることができない人です。 つまり、論理的に書く技術が必要である稟議書を上手く書くことができない人である可能性が高くなります。
  • ◎また、企業側から融資の話をされることを待っているということは、受身の姿勢の人、ということになるでしょう。
  • ◎また、仕事ができない担当者であれば、仕事の段取りも遅くなりがちです。

このように、あなたの会社に銀行の担当者が、仕事ができる人かできない人かによって、あなたの会社が、銀行と円滑な融資取引ができるかどうか、大きな影響が出てしまうことになります。

仕事ができない銀行員を「属性」で見ていくと、30代後半以降で、特に役職についているでもない人は、仕事ができない人である可能性が高いです。 銀行の標準では、30代前半ぐらいから、係長や課長、支店長代理など、なんらかの役職がついてきます。 それが30代後半以降の年齢でも平行員であると、銀行内で仕事ができない人であるとみなされていることになります。

■銀行では誰を担当者とするかをどう決めるか

例えば、ある支店に、得意先係の長を含めて5名の得意先係行員がいたとします。
得意先係の長は、その支店において重要な取引先とされている企業を担当します。
残り4名で、地区を4つに分け、そのテリトリーごとに担当者が決められます。
ということは、あなたの会社が仕事ができる担当者に当たるかどうかは、運不運でしかないわけです。

 

(2)できない銀行担当者にあたった場合の対処法

では、仕事ができない担当者にあたって、我慢の限度を超えるぐらい仕事ができない担当者であった場合、どうすればよいでしょうか。

答えは簡単です。担当者を別の人に変えてもらうことです。

※担当者を変えてほしいという要望は、さすがに担当者本人には言いにくいでしょうから、その支店の別の行員に、申し出をしてみましょう。得意先係の長や融資係の長、副支店長などがよいでしょう。

  • ◎また、得意先係や融資係の別の平行員に対して申し出するのは、おそらくその行員は支店内で発言権がない人ですから、その行員で話が止まってしまう可能性があります。
  • ◎一方、支店長に申し出するのもよくないです。支店長にそのような話をすることにより、その担当者の評価は大きく下がることになります。あなたの会社にとって、その担当者の評価がどうなろうと関係ない、と言ってしまえばそれまでですが、その担当者のことを考えると、支店長に担当者の変更の申し出をすることはあまりよくないかと思います。
  • ◎ただあまりにもあなたの会社に対して悪い影響を与えた担当者であったのなら、直接、支店長に担当者変更を申し出てもよいでしょう。

銀行員の、一つの支店にいる期間は2~3年です。
仕事ができない担当者にあたってしまったのなら、その担当者と2~3年、付き合わなければなりません。
我慢の限度を超える担当者であったのなら、担当者の変更を申し出ましょう。

 

(3)銀行が融資審査の返事をなかなかしてくれない

融資を申込んだ方としては、一日でも早く融資を受け、会社の現預金を潤沢にして、安心したいですよね。 そのようなあなたの思いとは裏腹に、銀行はなかなか融資の返事をしてくれない。そうしている間に、この日にだけは必ず資金がほしい、という日がどんどんせまってきます。 このような時、一方の銀行では、何が起こっているでしょうか。

  • ◎融資審査は、稟議方式で行われます。つまり、融資審査についての稟議書が担当者により作成され、それが次の順番でまわることになります。
    得意先係の担当者→得意先係の係長→融資係の担当者→融資係の係長→次長→支店長
  • ◎また、金額が大きいなど、支店長では融資審査を決裁することができない案件であれば、支店長の後に、本部(審査部)にまわされ、本部において融資審査の決裁がなされることになります。
  • ◎これを見ても分かるように、融資審査の稟議書は多くのところを回るので、なかなか融資審査の結論が出ないのです。
  • ◎また、稟議書をすぐにまわしてくれるとよいのですが、あるところでとどまることも多いです。

銀行に融資を申込み、その結果がなかなか出ない時は、融資を申込んだ相手である銀行員をせっつくことからはじめるとよいでしょう。

ただ、この場合でも、決してその担当者にきつく怒ってはいけません。


きつく怒られてしまうと、その会社が融資が出るように取り組んでみようという気持ちがその後、薄れてしまうようになります。あまり、その会社に近づこうとしなくなるかもしれません。

融資審査の結果を早めに出してもらうためには

融資の申込書に、「○月○日までに返事をいただくことを希望します。」と書いておくことです。
必ず、書面で伝えるようにします。

以上、述べたように、融資審査の結果がなかなか出ないのは、「何か重大なこと」があなたの会社の案件において起こっているから、というわけではありません。
ただ単純に、稟議書が滞っていることが原因であります。

また場合によっては、融資を申込んだ担当者が、稟議書をまだ書いていない、ということもありえます。

このようなこともありますから、融資を申込んだら、なるべく多くその担当者と話す機会を作り、融資の稟議書が早くまわるようにするために働きかけていきましょう。

 

(4)日本政策金融公庫と民間銀行とのバランス

<質問>

最近の「日本政策金融公庫」との付き合い方についての質問です。
現在の弊社の概況をお知らせすると 都銀、地銀、地元第2地銀、信金及び政策公庫との取引があります。少々オーバーバンキング気味ですが、メインは地銀です。
毎期決算明け早々に年間の「ハネ資金」(※企業が事業で稼ぐ現金内では返済をまかなえずに資金が減少していくため、それをまかなうための融資のこと)をいずれかの銀行でお世話になっています。

それぞれの借入金額は、せいぜい正常運転資金の範囲前後で、できるだけ分散化をはかっています。借入総額は年商の約4~5割です。 これまではメインバンクの借入総額が一番多かったのですが、今回はそのタイミングがずれて来期借入後の来期末決算では、政策公庫の残高が一番多くなってしまいます。
将来の設備投資などの点を考えるとメイン行のプロパー融資や信用保証協会保証付融資よりも、何となく政策公庫での実績を重視した方が良いような気がしますが、一方で「いざという時のための銀行」として融資枠を確保(あえて来期は借りない)という選択肢もあります。

状況説明が長くなりましたが、他行(地銀など)を意識した「政策公庫との付き合い方」に留意点などがありましたらアドバイス下さい。 因みに幸いなことにこの7~8年は黒字決算で、今期も黒字化の見込みです。
(K様)


<回答>

日本政策金融公庫は、政府系金融機関ですが、銀行は、政府系金融機関をどう見ているか。それは、民間の銀行ではまかないきれない融資を補完してくれる金融機関、と見ております。
そのため、政府系金融機関の融資残額が一番多くなろうと、そういったことは、民間の銀行としてはたいして気にしていないものです。

あなたがおっしゃるように、将来を見据えて「総額ここまでの融資を借りたことがある」という実績を付けておくために、政策公庫から借りるという選択肢もありでしょう。政策公庫としても、民間の銀行としても、融資審査において必ず見るのが、「ここ2~3年において、この会社に一番、融資の総額が多くなった時はどれだけ融資をしていたか」です。

例えば、ある銀行が1年半前に、ある会社に融資総額が82百万円までなっていたとします。現在の融資総額が58百万円であれば、82-58=24、24百万円の融資が、出しやすくなります(業況が悪くなっていなければですが)。
こういう意味で、借入実績を付けておくと、その後の融資が受けやすいことになります。

また政策公庫は、中小企業の育成のための金融機関ですので、民間の銀行よりも融資審査が通りやすく、いざという時のために今はあえて借りないでおく、という選択肢もあるでしょう。

ここまで述べたように、政策公庫のような政府系金融機関の融資残高がどうであるか、民間の銀行はたいして気にしていないものです。分けて考えてよいでしょう。

 

(5)銀行との融資交渉の秘訣

★私たちが、多くいただく質問の一つに

「明日、銀行と融資交渉をするが、こんなことを言ったら審査が通りやすくなる、もしくは通りにくくなる秘訣があるのか?」というものがあります。


答えは、そのようなものはありません、ということになります。

作成された稟議書は、次の順番で回覧されていきます。
  • 1.支店長で決済できる融資の場合 得意先係の行員→得意先係の係長→融資係の行員→融資係の係長→次長→支店長(決裁)
  • 2.支店長で決裁できない融資の場合 得意先係の行員→得意先係の係長→融資係の行員→融資係の係長→次長→支店長→審査部(本部)の行員→審査部の部長(決裁)

ここで重要なのは、稟議書は書面で回覧される、ということです。

※書面で回覧されるということは、稟議書作成時に、稟議書に盛り込まれる内容が審査を大きく左右する、ということです。

あなたの融資交渉の交渉相手の行員が稟議書を作成しますが、交渉にあたって、融資を通りやすくしてもらおうとあなたが自社のアピールを「口頭」で行ったとします。

しかし、交渉相手の行員は、その全てをメモし稟議書に書くことは難しいでしょう。

融資交渉であなたの会社をアピールするときに、「口頭」で行うのではなく、「書面」で行うのです。 また融資申込も口頭で行うのではなく、「借入申込書」を作成し書面で行う方がよいでしょう。その方が、融資の希望条件を明確な形で銀行に伝えることができます。

アピール材料としては、事業計画書が一番強力なものとなります。
口頭で「自社の売上は今期は前期に比べ2割アップする」といっても、相手は聞き流すぐらいですが、事業計画書でそれがうたわれ、売上がアップする根拠を銀行が理解しやすいように書くと、口頭で伝えるより、よっぽど効果があります。 そのような書面で書かれたものは、稟議書に添付資料として添付されます。 ということは、審査を通しやすくするにあたってあなたが伝えたいことが、融資決裁者である支店長や審査部部長までしっかり伝わる、ということです。

融資審査を有利にすることをいかに書面で伝えるが重要です。

 

(6)メイン銀行の融資を他の銀行で借換えしてよいものか

<質問>

銀行からの借入についての相談です。
年間売上は前期1億5000万円ですが今期は1億1000万円になりそうです。
現状、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)から2500万円と銀行から3500万(2本)の借入があります。N銀行においては、今年の2月に借換を行ったばかりです。

上記の状況及びN銀行の対応等から今後の新規融資は難しいと思っていたのですが、先日短期融資等で取引のある信用金庫からN銀行からの借入+新規分で借換をしないかといわれました。
過去10年近くメインバンクとしてつきあってきたN銀行から信用金庫に借入先を変えて良いものか悩んでいます。
(F様)

<回答>

N銀行借入分を信用金庫へ借換えするのはだめです。その後、N銀行からスムーズに融資を受けられなくなることでしょう。
この場合、もし借換えが行われたとしたら、N銀行としては、あなたの会社から裏切られた、という思いを持ちます。
それだけ、銀行としては融資を他行に借換えられるのは、屈辱なことなのです。

あなたの会社が、N銀行と取引解消するつもりなら別ですが、そうでないなら借換えはやめてください。

 

(7)運転資金の種類について

銀行からみた【運転資金】の分類を参考にしていただいて、資金繰りの悩みから少しでも解放されて、今後の銀行との関係を良化するようにしましょう。

・銀行が融資するときの【運転資金】は1種類ではありません、
・お金に色はありませんが、銀行が融資するお金には青・黄・赤の3色あります。

・貸したい(青色)融資
・積極的に貸すことはないが貸してもよい(黄色)融資
・貸したくない(赤色)融資

・では銀行での【運転資金】の「資金目的」には、どんなものがあるのでしょうか?

1番:経常運転資金 (売上を現状維持する場合に恒常的に必要な仕入・経費等の支払資金)
2番:増加運転資金 (売上が増加する場合や決済条件に変化が生じた場合に必要となる資金)
3番:賞与資金 (夏期・冬期のボーナス資金)
4番:決算資金 (決算時に必要な納税、株式配当、役員賞与、等)
5番:季節資金 (季節によって商品仕入等が増加するときに必要となる資金)
6番:その他運転資金 (手形決済資金、買掛金決済資金、赤字による経費支払資金、等)

★1番・2番は
★3番・4番・5番は
★6番は
(青色)貸したい融資
(黄色)積極的に貸すことはないが貸してもよい融資
(赤色)貸したくない融資

その上限を判定する基準が、『正常な運転資金』という呼び名の【運転資金】です。
「正常でない運転資金」だと判定されたら借入はできません。
借入を実現するためには、『正常な運転資金』として判定されなければならないのです。

※その計算式は・・・  売上債権(売掛金+受取手形(割引・裏書譲渡手形は除く))
+在庫(不良在庫を除く)
-仕入債務(買掛金+支払手形(設備支払手形を除く))

以上の金額が、1番:経常運転資金であり、すべての金融機関を合計して借入が可能となる計算上の上限金額となります。
また2番:増加運転資金は、売上債権の増加額+在庫の増加額-仕入債務の増加額が、計算上の上限金額となります。
1番・2番の場合は、企業が存続する限り必要な資金となりますから、できるだけ自己資本でまかなうのが理想ですが、ほとんどの企業の場合は借入金でまかなっていることでしょう。

ですから、長期借入資金というよりも、むしろ永久に必要な資金ということになり、〔借りっぱなし〕になってもおかしくありません。
ならば、借入をするときに、元金返済をゼロにできたほうが資金繰りの不安・心配は、大幅に減少することになります。
当座貸越・手形貸付(極度)での借入を実現するようにしましょう。
いずれの借入方法でも、毎月の金利支払いと一部印紙代でOKです。

3番~5番については、『正常な運転資金』としての基準は適用されませんが、目的・金額・返済方法が決まっていますので、資金の目的の証拠があれば、1番・2番の運転資金がいっぱいの場合でも、融資は可能となる場合があります。
ただし、3番~5番の資金については原則6ヶ月以内に返済するルール(場合によっては9ヶ月~12ヶ月)がありますので、手形貸付(都度)扱いが一般的です。
ちなみに6番については、ほぼ借入ができないと考えてください、借入可能となるのは、保証協会付の別枠融資や緊急保証の場合です。

■運転資金の借入時期等について

1)資金繰り予想表を作成し、資金の必要な月の3ヶ月前に申込む。
銀行には、融資したい時期と融資をしたくない時期があります。
1ヵ月前に申込んでも銀行の貸したくない時期に当たると、計画通りに借入できないケースが多数発生します。
また、余裕をもって申し込んでおくことによって、次年度から銀行から営業に来る確率が高くなります。
ですから、資金繰り予想を立てるということは、事業継続には必要不可欠なのです。
2)1行ではなく、数行同時に申込みを行う。
1つの銀行で申し込んで、断られてから次の銀行に申し込むと、余分な時間がかかります。
タイム・イズ・マネーですから、数行同時に申し込んでください。
万が一全部の銀行から借りてくれという回答が来たら、ありがたい悩みとして、楽しみながら借入する銀行を選択してください。
  • 3)3番~5番については、支払う時期がほぼ確定していますから、必ず、決算期の3か月前、賞与支給月の3ヶ月前に申込みを行いましょう。

 

(8)経営者は腹をくくれ

「銀行から資金調達ができず、資金繰りが苦しい場合にどうしたらよいか。」

絶対にだめなのは
  • ×金利が10数%もする商工ローンやヤミ金から借りること。
  • ×会社に関係のない第三者を保証人にしてまでお金を借りようとすること。
    迷惑をかける人を増やしていくだけです。
  • ×買掛金や給料の支払いを遅らせようとすること。
    最終的にはやむをえないとしても、それはあくまで最終手段として考えましょう。
 
資金繰りを円滑にまわしていくにはどうすればよいか、それを考えることが優先順位としては一番になります。

そのために、すぐにできる手段があります。
それは、リスケジュール。つまり、銀行に融資の返済を緩和してもらうことです。

 

  • ★このリスケジュール、経営者としてはその決断に、勇気がいることでしょう。
    これは、もう経営者の決断しかないです。誰が決断してくれるでもなく、経営者だけです。決断できるのは。
  • ★経営者では決断ができず、危機意識がない他の役員に聞いてみて「もう少し様子を見よう」と言われ、何の手立てもとらず、資金繰りが破綻してしまった企業。
  • ★5社や10社のコンサルタント会社で相談してどこからも「リスケジュールしかないですね。」と言われても、どこかで「究極の裏技があるだろう。」とさまよい続ける経営者。

私が、今まで多数の中小企業経営者から相談を受けてきて、そのような企業を見てるから、実感をこめて言えます。決断が一ヶ月遅れると、それだけ現金を失い、再生が困難になります。

 

(9)リスケジュール判断時期

  • ・銀行から融資が受けられず、一方で毎月の融資返済は大きい。そういう企業は、返済負担がとても重荷になります。
  • ・その場合、銀行と交渉して、毎月の返済金額を少なくしてもらう返済条件変更交渉、いわゆるリスジュール交渉を行います。

しかしリスケジュールには、資金繰りを一気に楽にするという大きなメリットがある一方、副作用もあります。

「リスケジュールを行うと、二度と銀行から融資を受けられなくなる。」
という大きな誤解が、中小企業経営者の中で蔓延していますが、二度と融資が受けられないわけではなく、リスケジュールを行っている間は、リスケジュールを行っている銀行において、融資が受けられないにすぎません。
「二度と」「一生」、融資が受けられないわけではありません。

リスケジュールを決断する前にまずは、取引している全ての銀行で、融資が受けられないかあたってみてください。

そして、全ての銀行で断られたり、融資が受けられたとしてもわずかの金額であったりすれば、そこでリスケジュールを決断するのです。

ある銀行がリスケジュール(融資返済を減額すること)に対してどのように対応してくるか、その一部抜粋です。

  • ・ビジネスローンのリスケジュールは半額までが限界。それ以上のリスケジュールを求めると、サービサーへ移行となる。
  • ・リスケジュールを求めると、関連会社のサービサー「●●債権回収」が窓口となる。それは交渉窓口が移るのみで、債権が売却されるわけではない。
  • ・リスケ進行中、昨年11月より適用し、今4月末をもって「期限の利益喪失」を図り、利息分を元金に内入れして行く方向を提案され、それに乗るようにした。その上で、最大限期間を考慮しても3年が限界。要は3年以内に不良債権処理を行うということです。●●●●●の場合、ほぼ同じようです。 
    本件は40億企業の場合であり、借入総額15億が裸与信であります。規模がもっと小さいければ、処理の速度は速まるものと思われる。
  • ・●●4県のビジネスローンのリスケジュール担当は●●一人でやっています。リスケジュールは半額程度で5年程度で完済できる計画でないと受け付けてくれません。ただ、金額・期間とも『程度』なので多少幅をもった交渉は可能です。

 

(10)リスケジュールを行うと二度と融資が受けられなくなる?

ある企業が毎月の返済額を減らして頂こうと思い、某地方銀行にお願いに行きましたところ、言われたことの回答です。

(a)これは一行だけではできず、融資行全行一斉にやらなければならない。
(回答)
これは、そのとおりです。理由はリスケジュールを行わない銀行があると、リスケジュールを行う銀行から見れば「なぜあの銀行はリスケジュールを行わないのか。」というように、不公平に見られてしまう。
というところにあります。またリスケジュールを行う銀行と行わない銀行とがあると、中途半端なリスジュールになります。毎月返済が300万円あったとして、それを一部の銀行でリスケジュールを行って150万円まで減額しても、はたして毎月150万円、支払いができるでしょうか。リスケジュールを行うのなら、全銀行、一斉に行うのが原則です。
  • (b)これは信用保証協会付の融資なので、リスケジュールをやったら今後一切信用保証協会付の融資は受けられなくなる。
(回答)
そのようなことはありません。信用保証協会付の融資において、「リスケジュール」は毎月の返済金額を抑えること、「代位弁済」は信用保証協会に、企業の代わりに融資残額を銀行に支払ってもらうことです。
そうすると信用保証協会に債権が移ります。代位弁済になると、代位弁済を行った融資を全額返済するまでは信用保証協会に保証を付けてもらって融資を受けることはできなくなりますが、リスケジュールまででしたら、将来利益が上がるようになって返済が再開したら、融資は受けられるようになります。
  • (c)返済の延滞が一ヶ月を過ぎると事故扱いになり、その場合でも信用保証協会付の融資は一切受けられなくなる。
(回答)
一ヶ月過ぎると自動的に事故扱いになるわけではありません。延滞となっても、リスケジュール交渉を行って毎月の返済金額を減額することに金融機関側が同意すれば、それは返済条件の変更という、事故でない状態となります。
ただ、リスケジュールを行っている期間中は、その銀行からは融資は受けられません。返済が再開したら、融資は受けられるようになります。リスケジュールを行うと「二度と」融資が受けられなくなるのではなく、「リスケジュールを行っている期間中」は融資が受けられなくなるのです。その違いはしっかりご認識ください。

 

(11)関係会社がある場合とリスケを行っている場合の融資

<質問>

会社を二つ持っています。ひとつはリスケジュールをしています。もうひとつはリスケはしていません。この会社は日本政策金融公庫から2本借り入れがあります。
現在3本目を申し込んでおります。面談後三週間が過ぎますが、いまだ回答がありません。

銀行での融資ができるのでしょうかお尋ねします。
(有)B 卸売業 綱渡り状況 リスケ中
(有)H 美容室経営 債務超過であるが、ここ二年単年度では黒字で、今年度も黒字です。代表はどちらも私がしています。すると他の銀行へ融資を申し込んでもだめなのでしょうか、 (K様)

<回答>

まず、BとHは同じ代表者ということで、金融機関の見方とすれば、同一体、つまり同じ会社として見られます。まずポイントは、BとHが同一体として見られているのかどうか。例えば日本政策金融公庫でHの決算書を出しているが、Bは出さず、またその銀行でBの存在が気づかれていないのであれば、日本政策金融公庫はBだけを見て、融資審査を行うでしょう。逆も然りです。

また同一体として見られているとして、B社がN信用金庫でリスケジュールしていても、日本政策金融公庫や他の銀行で、リスケの事実が分からなければ、リスケが原因で融資を受けられないことはないです。決算書などの審査によります。

 

(12)預金ロックに気をつける

リスケジュール交渉を行うには、その交渉を行う銀行の預金口座からお金を抜いて、延滞状況にしておく、のはセオリーです。

リスケジュールの希望を銀行に持ちかけると、たまに、銀行が自社の預金口座を動かせなくすること、いわゆる預金ロック、を行ってくることがあります。
  • ※定期預金があるのであればそれも解約して抜いておかなければなりません。(定期預金の解約は、銀行から抵抗があるかもしれないですが、なんとかやりとげてください。)

リスケ交渉前にやっておくこと

1.リスケジュール交渉を行おうとする銀行の預金口座は、お金を抜いておく。

2.連帯保証人の預金口座からもお金を抜いておく。

3.後でそれら口座からお金を振込されないように、売掛先などに振込口座の変更を依頼しておく。

 

(13)リスケジュールの交渉は成功するかどうか

リスケジュールを銀行が応じてくれると、「借入金変更契約書」を銀行と交わし、その中で今後の返済方法をどう変更するかが明記され、変更契約を交わすこととなります。
つまり、銀行が同意して返済方法を変更することになるので、連帯保証人に取立がいくこともないし、不動産担保が競売にかけられることもないのです。

しかし銀行がリスケジュールに応じなかった場合、銀行の同意が得られないということで、次の段階に進みます。

信用保証協会の保証がついた融資(保証付融資) スケジュール交渉がうまくいかないと、銀行が信用保証協会に代位弁済を求め、代位弁済となります。そうすると、債権者は銀行から信用保証協会に移ります。その後は信用保証協会との交渉になります。
保証がない融資(プロパー融資) 銀行が債権者として次の手をうってくる場合もあれば、サービサーという債権回収会社に銀行が債権を売却して、そのサービサーとの交渉となる場合もあります。

ここでポイントとなるのが、1.保証人、2.担保、です。


保証人に資産があるのであれば、その資産を守ることを考えていく必要があります。
不動産担保も同じです。

※そして残った残債は、支払いを金融機関等が請求しようとしても、支払えないものは支払えないので、金融機関等もあきらめたような感じになります。

保証付融資であれば、保証人に毎月少しずつ支払ってもらえればよいという感じになったり、プロパー融資であれば、それがサービサーに売却されても、サービサーとしては少しずつ支払ってもらい、数年支払い続ければ後はこれだけの金額を支払ってもらえばそれでケリをつけますよ、というような感じになったりします。

まとめますと、リスケジュールに成功しない、つまり銀行がリスケジュールを応諾してくれなかった場合でも、支払えないものは支払えないので、保証人と担保の問題があればその対策を考えていきながら、金融機関等の動向を見ていく、という方向になります。

リスケジュールを行って将来返済再開すれば、再び融資が受けられるようになりますが、保証付融資の代位弁済やプロパー融資のサービサー売却となれば、その後融資が受けられない、ということを認識しておく必要があります。


しかし、保証付融資の代位弁済であれば、保証人が少しずつ返済をしていくことになりますので、その融資がいくら大きな金額でも、実態は融資がほとんどないも同然、つまり返済がほとんどないので大きな残債が残っていても実質的にはほとんどないも同然、ということになります。

プロパー融資でサービサーに売却された場合も同じです。サービサーは、銀行から不良債権を買うので、額面の金額から大幅に値引きしてその債権を買います。

例えば残債が5,000万円の融資でも、不良債権なので価値がほとんどないとされ、200万円でその債権を買ったりします。
サービサーとしては、200万円以上回収できれば後は利益なので、300万円支払ってもらってその時点でケリをつけたりします。
債務者としては、もとは5,000万円あった融資が300万円の返済で終わるので、とても楽でしょう。
その銀行から今後融資を受けられなくなるということにはなりますが、このメリットは大きいです。

またリスケジュールでは金利は通常どおり支払っていかなければなりませんが、保証付融資の代位弁済やプロパー融資のサービサー売却では、元金返済と金利支払いがまとめて考えられますので、金利支払いの負担がなくなるような形になり、そのような点もメリットとなります。
このように、リスケジュールが成功しなかった、つまり銀行がリスケジュールに応じてくれなかったら、それはそれとして、次の世界があるわけです。

 

(14)リスケジュールの必要条件とは?

<質問>

弊社はビジネスホテルという、装置産業であり、例にもれず大きな借入金があります。
この不況で資金繰りが悪化しており、リスケジュールの交渉をしているところなのですが銀行側からの回答が、「まだ資金的な余力があるのでリスケジュールには応じられない」というものでした。「資金的な余力」というのは、ズバリ経営者の個人資産です。個人資産の投入は、これまでも常に行ってきていることは銀行も知っています。それらの返済も全くできていないにもかかわらず、「まだ足りない」とする銀行の姿勢は、出尽くしたら捨てるつもりではないかと思わせるほどです。

銀行が言うにはリスケに応じる条件には3つあって
1.調達の手段がもうないこと
2.経営者に資産が残っていないこと
3.リスケジュール後の具体的な再建計画書も必要だそうです。
1についてはまだ保証協会の枠が残っていますし、2についても少しは残っています。借入金が返せないから交渉しているのに、限度まで借りさせるという考えにはどうしても納得がいきません。本当にこれらは必要条件なのでしょうか? (F様)

<回答>

あなたの会社の損益状況や資金繰り状況を見ているわけではないので、例でしか言えないのですが、例えば、毎月返済金額が500万円、×12で、年間返済金額が6,000万円であれば、事業自体のキャッシュフロー、つまり現金の出入りが年間でトントンとして、年間6,000万円借入することができれば、なんとか資金繰りはまわるのではないでしょうか。こういう資金調達ができる状況であれば、リスケジュールを行わず資金調達で資金繰りをまわしていくべきです。

問題は、この例で年間2,000万円しか調達ができなさそうな場合など、借入はできるもののとてもそれでは資金繰りがまわらない場合です。こういうことが予想されるのであれば、2,000万円調達して、現金預金を豊富な状況にしておき、それとともに別の銀行ですぐにリスケジュール交渉をスタートし、2,000万円借りた銀行においては2~3カ月後からリスケジュール交渉をする、というように、調達が多少できることを利用して、現金預金を豊富にしながら一方でリスケジュール交渉を行っていくやり方です。会社を再生させるには、一方で多少の調達により現金預金をある程度もてるようにしながら、一方でリスケジュールにより資金の流出を一気に抑える、そうして資金繰りを楽にしておくと、やりやすくなります。

リスケジュールの条件が銀行からいろいろつけられようと、そんな条件が合わないからとリスケジュール交渉を止めてはだめです。「1.調達の手段がもうないこと」の条件があり、一方借入が多少できる状況であれば、上記のようなやり方を行いながら、この条件を気にすることなくリスケジュール交渉を進めていくのがよいでしょう。

「2.経営者に資産が残っていないこと」も同様です。資産があっても、それがどれだけの資産かは分かりませんが、個人の生活費分は確保しておくべきですし、それ以上の分は、会社に投入して現金預金を豊富にし、会社再生のための軍資金にするべきです。資産があることが銀行に分かってしまうのは、その銀行で経営者個人の預金を多くおいているからでしょうか。それであれば融資を受けていない銀行にその預金をうつし、個人資産はほとんどなくなってしまった、というように見せられないのでしょうか。
「3.リスケ後の具体的な再建計画書」これは作らなければなりません。それにより、どう再建していき、また返済をどう再開できるようにしていくのか、方向を伝えるためです。これは作ればよいことなので、早く作って銀行にもっていきましょう。

 

(15)あなたの会社が融資の借換えを行うにあたって注意すべきこと

・融資を受けている企業は、自己査定といって銀行が行う自行の貸付金(企業から見たら借入金)資産の査定作業の中で、1社1社、債務者区分をつけられています。

区分は  正常先
要注意先(要注意先の中の一般の)
要管理先(要注意先の中の)
破綻懸念先
実質破綻先
破綻先
となります。要注意先には、一般の要注意先と、要管理先があります。

債務者区分が下になる融資先に対しての貸付ほど、銀行としては貸倒引当金を多く積まなければならなくなり、そのように区分がつけられた企業は、融資を受けることが困難となっていきます。
一般の要注意先であれば融資を受けるのに支障が出てきます。要管理先以下になると基本的に融資は受けられなくなります。
そのため、自分の会社が、一般の要注意先以下にならないように、気をつけなければなりません。せめて、要管理先以下にはならないことです。

要管理先となる要件
3カ月以上延滞となっている融資があるか、「貸出条件緩和債権」があるか、これらいずれか一つが当てはまることです。

 

「貸出条件緩和債権」とは

以下の4つのいずれかの定義が当てはまる融資のことを言います。ただし、そうなった理由が、企業の信用力の悪化によるものに限ります。
  • 1.融資期間中、金利を引き下げ・棚上げ・減額・免除したもの。
  • 2.当初の最終返済期限を延長したもの。
  • 3.分割返済していたものを、返済猶予・ステップアップ返済・期日しわ寄せ返済・期日一括返済へ変更したもの。
  • 4.正常な運転資金として算定される額以上に借入した運転資金の返済期日に、返済財源がなく、継続、延期したもの。 (正常な運転資金・・・売掛金+受取手形+棚卸資産-買掛金-支払手形)

ここでのポイントは、企業の信用力の悪化により、融資がこのような状態になったかどうか、です。 例えば、リスケジュール。リスケジュールとは、毎月の返済金額を、銀行と交渉して少なくしてもらったり、一括返済の期日に、その期日を延ばしてもらったり分割返済にしてもらうなど、融資の返済条件を、企業にとって楽な方向に変更することを言います。

リスケジュールは、企業側から銀行に交渉しますが、この場合、企業の資金繰りが厳しいから交渉を行うので、企業の信用力の悪化により行われるとみなされることになり、リスケジュールを行うとその企業の債務者区分は要管理先以下になってしまいます。

これが、リスケジュールを行っていると融資が受けられない理由です。

また、リスケジュールが、単なる毎月返済額を少なくするという形ではなく、借換えという形をとっても、それがリスケジュールとみなされることもあります。

例えば、次のようなケースです。
(例)
既存の長期借入が2億円残っている状態で年間5,000万の返済しているという前提で、設備投資のために新たに4億円の融資が必要だが、既存の2億円と4億円を足して6億円の融資額で、年間3,000万の20年払いにしてほしいと銀行に依頼した場合。

このケースでは、銀行が「企業の信用力の悪化」により借換えの手段を使って返済額を圧縮した、と判断したら、貸出条件緩和債権になってしまいかねません。

要は、このような借換えを行う背景がどうであるか、です。

そのため、もしあなたの会社がこれから、返済額が緩和されるような借換えを行う場合、銀行としてはその借換えをどう見るか、銀行と事前に話し合っておくべきです。

 

(16)銀行との返済交渉の質問

<質問>

リスケジュールを取引銀行に約定の数日前に申し入れましたが、必要書類の作成に幾日か要するのとその月分の返済の資金繰りも間に合わない現状です。

担当の融資係には延滞のままだと話ができないかもしれないと言われ、また、月中での延滞はまだしも月超えはしない方が会社の将来のためですよとも言われました。何となく言ってる意味合いは理解も出来るのですが、具体的にはどのようなことを指しているのでしょうか?

  • 1.延滞のままだと話ができないと言うのは銀行がですか保証協会ですか?
  • 2.月中の延滞と月超えの延滞の違いは信用情報センターに登録されるからですか?また、登録されるとしたら月を超えた時点ですぐにですか?後、月超えの延滞を1度してしまったら将来どのようなデメリットがあるのですか?

<回答>

銀行としては、返済を1カ月分でも進めてもらうに越したことはないため、企業に返済を促すことを第一の目的として、「延滞のままだと話ができない」ということをよく言ってきますが

あなたの会社で最も重要なことは、資金繰りをまわすことであって銀行の返済を進めることではないですよね?銀行の言うことはうのみにしないことです。1カ月分でも返済をしないことにより、あなたの会社はその分、資金を確保でき、それは会社建て直しのための重要な資金になるはずです。

1について・・・ 保証協会保証付融資はあくまで銀行が資金を出している融資ですので銀行と交渉することになりますが、銀行が「延滞のままだと話ができない」と言ってブロックをかけていると考えてください。
2について・・・ 企業の融資は、信用情報センターには関係ありません。信用情報センターは、「個人」での融資の情報を取り扱っているからです。
だから延滞が月中であろうと月超えであろうと関係ありません。また延滞を行うと、その記録は、信用情報センターは関係なくても、その銀行や、保証協会に残ります。延滞が数日続くと、その記録が残ってしまうので、しばらくはその銀行からの融資や、保証協会の保証を付けた融資が受けにくくなるでしょう。

 

(17)できる会社は、今後1年分の資金繰り表を銀行に見せている

あなたの会社は、資金繰り表を作っていますか?

銀行から融資を受けている会社であれば、資金繰り表を作っておくのは、資金繰り対策において、基本中の基本です。

資金繰り表
実績資金繰り表・・・過去の資金繰り
予定資金繰り表・・・今後の資金繰り

資金繰り表を作っているとして、銀行との関係がうまくいっている企業は、その資金繰り表を毎月、最低でも3カ月に1回は提出しているものです。
融資を受けている企業であれば、1カ月に1回は、銀行と接触を持つべきです。
接触を持つには、試算表を提出したい、資金繰り表を提出したい、という理由で十分です。

★銀行に資金繰り表を提出する目的は、企業の資金繰り状況を銀行に報告するとともに、資金繰り表にて、今後の融資を受けたい時期、融資を受けたい金額を事前に銀行に伝えておくという目的があります。

★ぎりぎりでの融資申込みがなくなります。だいたい、融資を受けたい月の3カ月以上前から、資金繰り表を使って融資の話をしておくイメージでしょうか。

企業によっては、今後の1年の融資希望として、1年先の融資の話をしているところもありますが、そこまで資金繰り表に基づいた銀行との話ができるのは、とても理想的なことです。
このように、余裕を持って融資の話ができると、企業としては余裕を持って資金繰り対策ができるし、銀行もじっくりと融資を検討しやすいので、これが銀行との関係を円滑にできることにつながっていきます。

 

(18)リスケジュールにあたって担保提供必要?

<質問>

3年位まえに、リスケジュールを取引銀行に申し入れましたが、所有不動産の中に長男の嫁名義の建物があり、それを担保に入れないと保証協会が話に乗ってくれないとのこでした。ですので、長男と嫁に相談したら担保提供はできないとのこと。それから銀行と何回も交渉しましたが、保証協会が、うん、といってくれないとのことで、話が進展しませんでした。そこで昨年12月より今年の3月まで支払いを延滞しました。今年の4月に入り銀行よりリスケジュールの話があり、5月より1年間のお話でした。ただいま実行中です。今後どうしても、嫁名義の建物は担保提供、しなくてはいけないでしょうか。

<回答>

結局はお嫁さん名義の不動産を担保に入れなくてもリスケジュールを行ってくれたということで、リスケジュールを更新していくにしても、その時に担保として差し入れる必要はないでしょう。
ただ今後もずっと返済金額を少しずつでも増やしていかない中でのリスケジュール更新は、銀行や保証協会も納得しないでしょうから、早急に利益体質を作っていき、少しずつでも返済額を増やしていけるようにしていく必要があります。

 

(19)他行のリスケジュール交渉状況を聞かれたら?

<質問>

本日、自ら銀行に、リスケジュールをお願いに上がりました。
政府系金融機関のNさんはその場で大丈夫のようでしたが、他の銀行は他行の様子を見ながら考えましようとのことでした。その時に保証人さんをつけてもらうかもしれませんよ、またNさんはいくらでリスケジュールして下さいましたと告げたのがいいですか?

<回答>

リスケジュール交渉を行っている銀行に、他行の様子を聞かれたら、他行がリスケジュールに合意してくれていたらその事実を伝えて、あなたの銀行もやってほしいと促してもよいでしょうが、気をつけなければならないのは、その他行のリスケジュール金額が中途半端な場合です。
経営者自らリスケジュールを行うと、例えば毎月の返済金額100万円を50万円にする(本来なら返済を0円近くにするまで粘り強く交渉をするべきなのに)ような中途半端なリスケジュールをしがちです(50万円にしたところで返済を続けられるのですか?)。
そのような場合に正直に伝えると「ではうちも50%カットでよいですね。」とその銀行においても中途半端なリスケジュールをされがちなので、他行のリスケジュール交渉の状況を言うことはケースバイケースで考えなければなりません。他行が中途半端なリスケジュールであれば、いっそのこと「0円近くで合意できそうな感じ」とでも言っておいた方がよいでしょう。

 

(20)リスケジュールをやっているのに資金繰りが苦しい

★ざっと、弊社にお電話いただく方の3~4割は、すでにリスケジュールを実行済の中での、それでも資金繰りが苦しいというご相談です。

多くの企業では、毎月の銀行への返済負担が重いのであり、その返済を0円近くにまですると、普通であれば資金繰りは楽になるはずです。

しかし、リスケジュールを行うと同時に、事業の赤字を黒字化対策を行なっていません。
資金繰りが苦しい会社の6~7割が、このパターンです。

残りの3~4割はリスケジュールを行っても返済金額の減額が、十分にできていない、ということろにあります。
例えば毎月300万円の返済をしていたとして、それを、銀行と交渉して毎月100万円の返済に抑えてもらったとします。
しかしそれでよいのは、毎月100万円以上の現金が生み出されるほど、利益を出している会社です。ということは、毎月100万円の返済に抑えるとすると、200万円の減額ということで一見、良さそうに見えるのですが、実は不十分だ、ということになります。
銀行と粘り強い交渉を行い、0円近くにまで返済を抑えるべきだったのです。

大事なのは経営者の「あきらめない気持ち」です。

リスケジュールを行っても資金繰りが苦しいと、「やることはやった。」と思って、経営をあきらめ、つまり破産などの法的整理を選択しがちですが、リスケジュールはやっても、会社を立て直すための対策をあまり行っていない企業が実に多いとよく感じます。
本当に、抜本的な対策を立てて実行していかないと、このような企業は生き残っていけません。
いつ経営者が、開きなおって、再生への道を歩むことを決断するか、です。

 

(21)得意先係行員からいろいろなことを要求されている

<質問>

弊社 数十年の取引であるメイン行A銀行と、数年の取引であるサブ行B銀行、C銀行、の三行取引です。
今回、B銀行より、御社との取引(融資)で、銀行が儲かっていない(旨みがない)ので、何とかしてほしいと言われました。
具体的には、投資信託を買ってほしい、当行の預金口座にもっと入出金してほしい、担保を入れてほしい、信用保証協会の融資を使ってほしい、積立を増額してほしい(現在は月々10万)などなど要求されました。

応じてくれないのなら、お付き合いが太くならないうちに別れたほうが...という勢いでした。
現在 3000万円の当座貸越と 手形貸付枠2000万円です。
当貸は500万円~3000万円の間で使っています。今月は500万円だけです。
手貸はたまに使いますが、今月は使っていません。9月末と3月末はお付き合いで当貸3000万円MAXまで借りています。金利は1.5%~1.9%ぐらいです。

たしかに儲からないかもしれませんが、得意先係から、手を引くぞというようなニュアンスの発言には困惑しました。
私自身は、銀行から借りてやっているなんていう態度はとっていないつもりです。
立場の違う融資係から言われるとか、儲かってないので金利を上げさせてほしいとか言われるのなら理解できますが・・・
このような少し強引と思うようなやり方はありえる範囲でしょうか?
このような態度からなにか銀行側の狙いが見えますでしょうか?

<回答>

銀行内で、銀行の収益を増やす役割を持つのは、得意先係です。融資係の役割は貸倒れを作らないことが第一なので、収益を増やすために、融資先企業に、ああしてほしい、こうしてほしい、というようなことは言わないでしょう。だから、得意先係の行員から、ご質問内容にあるようなことを言われるのは自然です。
また銀行は、1社1社の融資先において、融資取引以外に、どんな取引があるのか、またその融資先からもたらされる利益はトータルでいくらか、というデータを出しております。それで、B銀行はあなたの会社との取引は細く、また利益もあまりないので、ご質問内容にあるようなことを言ってきているのでしょう。おそらく得意先係行員が、その上司や支店長などからきつく言われていることと思われます。

このような得意先係行員の要求を全て断わっても、融資自体引き上げようとすることは、あなたの会社の業況が悪くないかぎりは、やってこないでしょう。利益がマイナス(例えば、あなたの会社において当座貸越や手形貸付から銀行が得られる利息収益から、調達コスト・社内経費などを除いた利益がマイナスになる場合)になるのであれば、銀行が考えるべきことは、当然金利の引き上げであり、その前に融資の引き上げは、順番が違います。

上司から、あなたの会社からもたらされる利益を増やせと言われているのと、投資信託や信用保証協会保証付融資のノルマ達成を言われているのが重なって、そのプレッシャーから、あなたの会社に対していろいろ要求しているのでしょう。
特に無視してもかまいませんが、得意先係行員に少し花をもたせて今後のコミュニケーションをスムーズにするという観点から、少しぐらいは何か、付き合ってあげてもよいかもしれません。

 

・リスケジュール更新時に敷金・保証金を担保に入れてほしいと言われた

<質問>

2年前にリスケジュールを各銀行にお願いしました
・日本政策金融公庫・担保あり
・地元地銀T銀行・担保あり
・地銀S銀行・担保なし
・都銀M銀行・担保なし
それぞれに対応してもらいました今年もう一年我慢すればリースなど終わるので、この1年だけは元本0円で利息のみの返済にできないかと、都銀M銀行に話をしたところ、賃貸の敷金、保証金を担保にしてくれと言われました。 敷金、保証金等は担保提供する必要があるのでしょうか。もともとはM銀行はビジネスローンでしたので、当然担保は、いらなかったのですが・・・

<回答>

銀行は、リスケジュールの申込時や、更新の申込時に、追加の担保や保証人を要求し、保全(もし貸倒れとなった場合の補てん手段)を少しでも確保しておこうと考えるものです。
ただ、それら担保を追加してくれと言われても、突っぱねればよいです。

銀行は、あなたの会社や、経営者個人の資産などから、担保となりそうなものを探します。あなたの会社において、担保として追加できそうな不動産や預金などはなく、だから敷金や保証金に目を付けてきたのでしょう。銀行の言うことを聞く必要はありません。
言い方としては「大家さんが、敷金や保証金を担保に入れるのを嫌がる」とでも言っておきましょう。

 

・金利の分割支払い交渉、再リスケジュール交渉は可能か

<質問>

広告・印刷関係の会社です。
今年の一月より銀行返済のリスケジュールを行っています。
当時、法案が通った直後で弁護士より書類を作ってもらいました。金利は払う状態だったのですが引き落としはされてない状態でした。
銀行担当者からは今まで手続きがかかってしまったが銀行内部では通り、保証協会も通るでしょうとのことですが半年分の金利を現金で払ってほしいとのことでした。

リスケを行い半年で出た利益は昨年未払いの社会保険・税金の支払いに充ててしまい半年分一括で支払えば社員の給料遅配を起こしかねません。 当社の現状の返済能力は元金、利息込みで本来の四分の一程度です。それくらいに抑えて頂けたらなんとか運営し返済も可能です。
銀行からは他には払ってうちには払ってもらえないのですかとのことですがなんとか当社の現状を理解していただき半年分の金利を分割、また上記のように再リスケを行いたいのですがどのようにすれば銀行に納得してもらえますでしょうか?

<回答>

金利は分割で支払いできるように交渉してみましょう。銀行の方では、未収利息という勘定であがっているので、それを分割で支払うことによって、内入していくという形になります。無理ない支払いができる範囲で、支払い計画と資金繰り表、経営改善計画書(これはリスケジュール交渉時に提出しているでしょうが)を持っていきます。

また他の方法で、リスケジュールによって抑えた毎月の元金返済金額をさらに抑える、再リスケの交渉を行うことは、一度は減額した返済金額をさらに抑えるということで、交渉に困難は伴いますが不可能ではないです。
交渉方法は通常のリスケジュール交渉と変わりません。
ただやはり、最初のリスケジュール交渉時に、無理のない支払い金額を算出してから交渉にいどみたいものです。

 

・リスケジュールは短期融資と長期融資で違いがあるのか

<質問>

借入金返済のリスケジュールに関するご質問です。
当社は、製造業で年間売上300百万円、短期借入金35百万円、長期借入金が65百万円あり、短期借入の約定返済が月1,800千円、長期借入の約定返済が月1,100千円あります。借入れ先は信用金庫と公的金融機関です。
既存借入金のみでも毎月のキャッシュフローからの返済が難しい状態ですが、起死回生を図るため、この度取引先で社長が高齢のため廃業する会社から高収益事業部門の譲渡を受け、売上・利益拡大を考えています。

機材、材料費等事業買収のための資金が約6百万円必要であり、公的金融機関に新規事業のための融資を申し込みましたが断られました。 メイン銀行である信用金庫に既存借入金返済対策と新規事業資金確保のため借入返済のリスケジュールの相談をしたいと考えています。 借入金残高は、公的金融機関は約1,000千円で他はすべて信用金庫1行です。
新規事業と経費削減で当面1年を乗り切れば売上・利益が回復し現在の約定返済は可能と考えています。

質問の内容
  • 1.どのようなストーリーでリスケジュールの相談をすればいいのか?
    リスケジュール申し込みの留意点
  • 2.短期の約定返済のリスケと長期の約定返済のリスケはどのように違うのか?
    金融機関は短期貸付のリスケと長期貸付のリスケはどちらがやりやすいのか?
    短期資金のリスケと長期資金のリスケは今後の当社の信用格付に差はあるのか
以上ご教示お願いします。

<回答>

借入額は月商4ヶ月分と、そんなに多いとも感じないのですが、公的金融機関から断られたのは、はたして新規事業が評価されなかったのか、御社の財務内容に問題があったのか、その判断が必要です。

新規事業資金としては融資は断られても、通常の運転資金であれば融資が受けられるのかもしれないですし、また取引されている信用金庫でも運転資金の融資が受けられるかもしれません。リスケジュールの判断は、それらでも融資が受けられない場合に行うべきです。

リスケジュールを行う場合、返済条件変更申込書と経営改善計画書、資金繰り表をもって金融機関に相談にいきます。今は返済できないから見守っていてほしい。しかしこの経営改善計画により利益を出せるようにし、返済を再開できるようがんばります、というのがリスケジュールのストーリーです。

また短期融資と長期融資のリスケジュールに違いはありません。 どちらも行ってください。どちらか一方だけリスケジュールを行う、という中途半端なことは行わないでください。

 

・リスケジュール後の方向性

・事業で稼ぐ現金(キャッシュフロー)をCFとして表すと、毎月の資金繰り(単位:万円)が次のような企業があるとします。

CF 返済 合計
現状 △100 △400 △500
事業活動で、毎月100万円の現金が流出し、さらに銀行への返済が毎月400万円あり、毎月500万円ずつ現金(手元にある現金・預金)が減少していっています。

上記のような状況では、事業が赤字ですので、銀行は融資を出さないことが多いでしょう。
その場合は、毎月の返済を抑える交渉、つまりリスケジュール交渉を銀行と行います。それで、資金繰りがだいぶ楽になるようになります。

例えば上記例で、リスケジュール交渉により、毎月の返済金額400万円を0円にまで減額できると、次のようになります
CF 返済 合計
現状 △100 △400 △500
  ↓
リスケ後 △100 0 △100

・しかし、安心してはいけません。毎月のCFを黒字に転化し、そしてCFを多くしていく、つまり事業を改善していって利益を多く生み出すことにより、現金を多く生み出せるようになり、早く返済を元に戻すことができるようにしていかなければなりません。

手元の現金を最低月商1ヶ月分、理想は2ヶ月分、ためるまでは、返済金額はできるだけ上げていかないよう、銀行と交渉します。
なぜ銀行への返済を増やしていかず、手元の現金をためていくべきなのか。
それは、経営の安全性を高めるためです。
手元に現金が豊富にある状態であれば経営者としては余裕を持った経営ができますし、投資すべきところに投資を行うことができます。

 

・次の表は、毎月のCFが△100万円→+100万円と改善し、毎月100万円ずつ、現金をためていくことができている状態です。

CF 返済 合計
現状 △100 △400 △500
  ↓
リスケ後 △100 0 △100
  ↓
改善後 100 0 +100
そして、手元に現金が十分たまっていったら、返済をじょじょに再開していくようにします。
上記の状態であれば、毎月0円→50万円ぐらい、返済を再開しても問題ないでしょう。

CF 返済 合計
現状 △100 △400 △500
  ↓
リスケ後 △100 0 △100
  ↓
改善後 100 0 +100
そして、さらなる事業の改善により、CFを500万円まで改善できたとします。

CF 返済 合計
現状 △100 △400 △500
  ↓
リスケ後 △100 0 △100
  ↓
改善後 100 0 +100
  ↓
一部再開 100 △50 +50
  ↓
もっと改善 500 △50 +450
そうすると、完全に返済を再開することができます。

CF 返済 合計
現状 △100 △400 △500
  ↓
リスケ後 △100 0 △100
  ↓
改善後 100 0 +100
  ↓
一部再開 100 △50 +50
  ↓
もっと改善 500 △50 +450
  ↓
完全再開 500 △400 +100
イメージできますでしょうか。これが、銀行にリスケジュールを行った後、企業として目指すべき方向性です。

現実は、こんなに劇的に経営を改善できるものではないですが、理想を追い求めるのは経営者の役目でしょう。

 

・資金調達とリスケジュール

資金調達とリスケジュール(融資の返済金額減額や猶予)、どちらをやったらよいか。

金融円滑化法により、企業においてリスケジュールという手法は一般的になり、多くの経営者が、抵抗が少なくリスケジュールを行うことができるようになりました。
しかし、リスケジュールを行わずに、通常通り返済を続けられるのならその方がよいのです。
リスケジュールを行うと、やはり企業としては、一歩踏みこんだことになるのです。

リスケジュールは、全銀行一律に行うことが鉄則ですが、リスケジュールを行うと、リスケジュール期間中は融資を受けることができません。

そもそも、現状、銀行から融資が出ない状態でリスケジュールを行って融資が出ないといってもそれは問題ないですが、現状、銀行から融資は出る状態であるのにリスケジュールを行って融資が出なくなることが問題なのです。
だから、銀行から融資は出る状態であるのに、リスケジュールを行うという選択はありえないわけです。

銀行から融資が出ず、一方で通常どおり返済を進めると資金繰りが厳しくなるからリスケジュールを行うわけで、融資は出るのにリスケジュールを行うのは間違っています。
企業としては、そこを間違って判断してはなりません。!

 

・銀行から融資が少しは出る場合のリスケジュール判断

・次のようなケースもあるでしょう。銀行から融資は出るが、融資でいっぱいいっぱい出る金額より、返済負担の方がずっと大きいケースです。

企業が現金流出するのは事業赤字と融資返済ですが、事業がトントン、つまり事業で流出する現金は0とし、毎月融資返済が500万円ある場合。
毎月現金が500万円流出し、年間6,000万円流出してしまうので、このような企業は年間を通じて6,000万円を調達する必要があります。 ただ、いくらがんばってもせいぜい2,000万円しか調達できない場合、どうしたらよいでしょう。

その場合、さっさと2,000万円を調達して、調達して少し経ってからリスケジュール交渉をスタートする、というやり方になります。

企業としては、一番手元に現金が残るやり方を考えるべきです。

資金調達を行うと同時にリスケジュール交渉を行うと、銀行から見たら「はじめから返さない気だったのか。」と見られてしまうので、融資を受けた銀行においては2、3回返済してからリスケジュール交渉、一方で融資を受けられない銀行にはすぐにリスケジュール交渉を行って返済金額を0円近くにすることが、企業の手元により多くの現金を残すことになり、有効となります。

そして、事業が赤字であればすぐに利益向上対策をとり、なけなしの現金を減らしていかないようにしなければなりません。

 

・既にリスケジュールをしているので新たに借入できない場合

中途半端なリスケジュール、つまり元金返済が一部しか減額されていなかったりしていませんか?


『正常な運転資金』の部分は元金ゼロにしてもらうようしっかり交渉しましょう。

  • ★リスケジュール期間は、手間がかかりますが3~6ヶ月と短目にしてみて、できるだけ銀行と交渉する時間を増やすようにしましょう。コミュニケーションの頻度が、あなたの会社を救う機会になります。
  • ★また、資金繰り安定のための金利引下げも積極的に交渉しましょう。 資金繰りが良化すること、間違いなしです。

では、『正常な運転資金』でない運転資金の場合はどうでしょうか?


ここは、最長3年間の元金据え置きを依頼してみましょう。

  • ★その間に、事業を立て直し、適正な利益を出し、返済開始を実現しましょう。

    3年間の時間があれば【必ず事業を再生します】と、銀行で言えるくらいの決意を持ってください

 

・リスケジュールにおいて銀行ごとにいくらずつ返済するか

・リスケジュール(返済条件変更)を申し込んだ後、かならず問題となるのが「各銀行に毎月いくらの返済をするか」という問題です。

今回は、各銀行への返済額を決める方法について説明します。

具体的な手順
手順1 今後の収入と支出を冷静に判断して計算する。

手順2 計算した収入と支出にもとづいて毎月確実に返済できる返済総額を計算する。

手順3 返済総額を各銀行に配分する方法を決める。

手順4 各銀行との個別交渉に入る。

手順1 今後の収入と支出を冷静に判断して計算する。

1)現状の収入額と支出額を表に書き出す。
2)次に当面1か年の予想資金繰り表を作成する。

綿密な経営改善計画を作成することから始めるのがベストです。
しかし実際には時間的な余裕もなく、作成方法もわからずにいる企業がほとんどです。
資金繰りは待ってくれません。スピードがもっとも大事な問題ですので、銀行側にその旨を正直に伝えて、後日改めて綿密な経営改善計画を提出することで了解を得ます。
まずは資金繰りがわかる資料を作成して現状を把握することから始めましょう。
手順2 計算した収入と支出にもとづいて毎月確実に返済できる返済総額を算出する。

作成した収入と支出にもとづいて、実際に返済できる金額を決めましょう。
一度変更した後で、再度減額を申し込むことは信用の失墜となります。
よって確実に返済できる金額を銀行に提示することが大事です。

次のことを考えて返済額の目安とします。
  • 1)経常的な年間の返済財源は、「年間利益+減価償却額」が上限です。
    設備維持にかかる投資資金や、優先して返済しなければいけない資金を差し引いた金額以内を返済財源と考えましょう。
    • 2)資産処分等の返済財源がある場合は、処理できる日時に十分余裕をもたせて返済計画に組み入れましょう。
      • 3)現預金が月商の1か月分もないことは経験則上異常な状況です。
        また今後の銀行調達ができないことを考えれば2か月分あっても少ないぐらいです。
        十分な現預金ができるまでは思い切って元金据置の返済を依頼することも一つの方法です。
手順3 返済総額を各銀行に配分する方法を決める。

案分方式(プロラタ方式)で算出するのが基本的な考え方です。
具体的な案分方式の計算式は次の様になります。

(案分計算の具体例)  X銀行 債権額 1,000万
Y銀行 債権額 2,000万
Z銀行 債権額 3,000万
総債権額     6,000万

毎月返済可能財源  6万
毎月返済可能財源×(X銀行債権額÷総債権額)=X銀行への毎月返済額→6万×(1,000万÷6,000万)=1万

毎月返済可能財源×(Y銀行債権額÷総債権額)=Y銀行への毎月返済額→6万×(2,000万÷6,000万)=2万

毎月返済可能財源×(Z銀行債権額÷総債権額)=Z銀行への毎月返済額→6万×(3,000万÷6,000万)=3万
手順4 いよいよ各銀行との個別交渉に入りましょう。

銀行側は少しでも多くの返済を要求してきます。

あくまでこちら側主導で決定していくことが大事です。

こちら側主導でないと、各銀行がそれぞれに主張する金額や根拠に惑わされていつまでたっても調整できない状況となってしまいます。
本来ならばメインバンクがその役割をするのが筋でしょうが、中小企業や個人事業主に対しては、そこまで動いてくれないのが実情です。
公平な立場から各銀行の調整をしてくれるどころか、メインバンクだからと債権者側の権利だけを主張するひどいケースもあります。

リスケジュールのさまざまな返済額算出根拠

(ア)債権残高で案分する。
先ほどの例で説明した案分方法です。
もっとも基本的な方法であり、この方法で進めればたいていの銀行は納得します。
下記の(イ)~(オ)の方法はかなり高度な交渉力が必要となりますので、一般の方にはお勧めはできません。
しかし債権者側からは自行の取り分を少しでも多くしようと「屁理屈」のように使ってきますので考え方だけは知っておきましょう。
(イ)担保で保全された額を除いて案分する。
つまり無担保部分を優先して返済する方法です。
担保で保全されている部分は確実に回収できるので、後回しで返済するという考え方です。
弁護士等が介入して配分するときによく利用する方法です。
無担保の銀行等がよく主張する方法です。
この方法を主張してきた場合には、担保処分で返済するのではなく、あくまで毎月の収入での返済を前提としていることを言って理解してもらいます。
(ウ)当初の返済金額により案分する。

先ほどの例で説明した案分方法を「債権額」でなく「毎月の返済額」で案分計算する方法です。たとえば、X銀行の返済額は次の様に決まります。

(案分計算の実例)
X銀行 当初の毎月返済額 
Y銀行 当初の毎月返済額 
Z銀行 当初の毎月返済額 
当初の毎月返済総額

毎月返済可能財源


20万
30万
40万
90万

6万

毎月返済可能財源×(X銀行の当初毎月返済額÷当初毎月返済総額)=X銀行への毎月返済額→6万×(20万÷90万)=13,333円
(エ)それぞれ借入金1本ごとに同額の返済金額とする。

これは次の様なケースでよく利用します。

  • 1)少額の返済額を提示した時に便宜上採用する。
  • 2)借入金の種類上、1万以上の返済額を設定する方法をとるしかない場合。
    たとえば、制度融資(保証協会付)や一部の保証会社付融資でこのケースがあります。
    多くは、債権者側の交渉条件というよりも制度上やむをえない事情からです。
    理由を聞いた上で各行の理解を得て了解しましょう。
    ただし将来返済金額が大きくなってきたときには案分方式にかえてゆきましょう。
(オ)返済財源を考慮して検討する。
当初の返済財源を考慮して変則的に返済財源を決める場合があります。
たとえば、当初に特定の売掛金や未収入金の回収を返済財源としていたときには、その分をそのまま充当する場合があります。
もちろん他行の承諾はとっておくことが前提です。
そして充当後の残額分のみを各銀行で案分する方法です。
しかしこの方法は各銀行の同意が得られなかった場合に長期間もめる原因にもなりかねませんので要注意です。

■リスケジュールの各銀行との個別交渉

当初の返済条件を変えなければならなくなった事態を招いたのはこちら側の責任ですので、まずは詫びることが大事です。
この姿勢は最後まで忘れてはならないことです。
しかし、一方で今後の返済を行っていくのはやはり自分側であることは間違いないことです。
最後まで返済に責任を持つという意味でも、自分自身が主導的になって返済方法を提案していくことが大事なことだと思います。

 

・リスケジュール中に新規借入ができる方法

■新規借入が再びできるようになるために、いうまでもないのは、リスケジュールを行う前の返済条件に戻すことですが、この厳しい経済状況下で、そんなことは不可能に近いと思われます。
ただ、そこまでの状態に戻さなくても新規借入をできるようにする方法がありますので、具体例を用いて説明をいたします。

(具体例)

Y社の場合 (現在元金棚上げ利息のみ支払い中)

プロパー融資 保証協会付 残高計
A銀行
B銀行
C信金
合 計
4,800万円
1,200万円
0
6,000万円
4,200万円
1,500万円
300万円
6,000万円
9,000万円
2,700万円
300万円
12,000万円

1.保証協会付融資分の返済開始

まず保証協会に行って保証協会付融資分の正常化を図りたいので、保証協会付融資分の返済を始めたい旨のご相談をしてみて下さい。

以前なら運転資金の返済期間は最長で通常5年でしたが、資金繰り円滑化借換保証(借入を一本化し返済期間を最長10年まで延ばせる制度)導入後、運転資金であっても10年の返済期間でみてくれる場合が多くなりました。
上記具体例の場合、保証協会付融資分の合計6,000万円を120回で除してみて算出される金額、月50万円の返済をC信金にて交渉してみます。
(なぜC信金を窓口にするか。C信金は保証協会付融資のみなので、返済を開始するにあたって話がしやすい)

→6カ月間滞りなく返済をすることができれば、保証協会はY社の保証協会付融資について正常に戻ったと判断します。
2.A銀行及びB銀行融資分の返済
1で保証協会付融資分の返済実績を積み上げられれば、A銀行及びB銀行のプロパーの借入金について、各120回で除した金額の返済を開始する
交渉を各銀行として下さい。また、C信金からの借入残高は6カ月経過した時点で0円になりますので、A銀行及びB銀行からの保証協会付融資分についても資金繰り円滑化借換保証を使って一本化するか、それぞれ120回で除した返済金額を返済するように交渉をして下さい。
3.新規融資の実行
1の返済を開始し始めて1年後あたりには保証協会付融資が実行されることが、私の経験上では多いです。
(当然のことながら、企業の経常利益が黒字化されていることと融資実行時点ですべての借入金が少なくとも120回で除した金額分の返済が開始されていることが条件になると思われます。)

(留意点)
ただ、この手法を使うと正常化に向け返済は進めたもののその後予想に反して業績が悪化して新規融資が実行されない場合などは、今まで以上に資金繰りが厳しくなるというリスクを秘めています。
経営者の方に経営改善計画をきちんと履行できる手腕がないと安易にお勧めはできませんので、慎重にご検討をされた方が賢明です。

 

財務ノウハウ(5)

(1)リスケジュールのタイミングをどう判断するか

リスケジュールにおいて重要なのは、そのタイミングです。
このタイミングは、早すぎても遅すぎてもいけません。
タイミングが早ければ、リスケジュールをしなくてもよかったのにリスケジュールすることになってしまったり、タイミングが遅ければ、遅れる間に返済がどんどん進んでしまうので、資金が枯渇してしまうことになったりします。

まず、リスケジュールを行うべきと判断とは
銀行から新たな融資が受けられるかどうかを基準にします。

 

例えば、事業におけるキャッシュフローが年間0、毎月の返済金額が300万円の企業があるとします。
その企業は、年間3,600万円の返済を行うことになります。
キャッシュフローが年間0で、返済額が年間3,600万円あるため、その間に新たな融資が受けられなければ現金預金は△3,600万円、減少してしまうことになります。だから、その企業は年間、3,600万円の融資を受けられるようにしなければならないのです。
しかし、銀行から融資が全く受けられなかったり、受けられたとしても年間返済額3,600万円に到底、満たない金額の融資しか受けられなかったりすると、現金預金は枯渇してしまうことになります。

どこの銀行からも融資が受けられなくなったり、もしくは年間に消えていく現金預金を補う金額に到底、満たない金額しか融資が受けられなさそうであったりすれば、それがリスケジュールを行うタイミングであります。

注意!
しかし、どこの銀行からも融資が受けられない、ということを気づくことが遅れてしまうと、リスケジュールのタイミングが遅れてしまうことになります。

リスケジュールのタイミングが遅い企業の例

例えば、現在23年3月、現金預金1,000万円、毎月の事業キャッシュフロー0、月間返済額300万円とします。 今、どこの銀行からも融資が受けられないことが分かったら、リスケジュールするタイミングは、今、ということになります。


しかし、今、融資を申し込まず、そこから3ヶ月×300万円=900万円の返済を進めて、23年6月に残り現金預金100万円になったところでやっと銀行に融資を申込み、審査が通らず、どこの銀行からも融資が受けられないということが分かったとします。


その場合、リスケジュールを行っても残り現金預金が100万円しかありません。

融資が受けられないことに、気づくタイミングが遅いのです。

23年3月時点、残り現金預金が1,000万円の時点でどこの銀行からも融資が受けられないことに気づいて、すぐにリスケジュールを行えば、残り現金預金1,000万円がある状態になり、多少は余裕を持って、経営を行うことができます。

ここから考えると、各銀行のあなたの会社への融資スタンスを常に把握しておき、リスケジュールのタイミングが遅くなりすぎないようにすることが重要であることが、分かります。ここから考えると、各銀行のあなたの会社への融資スタンスを常に把握しておき、リスケジュールのタイミングが遅くなりすぎないようにすることが重要であることが、分かります。

次のようなケースではどうでしょう。

リスケジュールのタイミングが遅い企業の例年間の事業キャッシュフローは0、年間3,600万円の返済があり、一方で現在は、ある銀行で1,500万円は融資が受けられそう(ただその銀行から今後1年間は追加融資は受けられなさそう)であるが、他の銀行からは融資が受けられる見込みない。


この場合、年間で消えてしまう現金預金3,600万円に対して、年間で受けられる融資が1,500万円しかなく、リスケジュールを行いますが、その1,500万円の融資は、すぐに受けておくべきです。

  • ■融資を受けられない他の銀行ではすぐにリスケジュールを行い、一方で1,500万円の融資を受けられる銀行においては融資を受けておき、2,3ヶ月返済したら、その銀行でもリスケジュールを行うのです。
  • ■1,500万円の融資を受けられる銀行には、実際に融資金が入金となるまでは、もちろん他行でリスケジュールを進めているという話をしてはなりません。
  • ■またその1,500万円の融資が信用保証協会保証付融資だったら、他行での保証付融資のリスケジュールを同時に進めてしまうと、その1,500万円の融資の保証協会保証はおりないことになってしまうので、それも間違えてはなりません。


このように、各銀行の融資スタンスをはかり、リスケジュールのタイミングが遅くならないことにすることが重要です。

■次に、リスケジュールのタイミングが早すぎないようにする、とはどういうことかについて述べます。

特に、金融円滑化法によりリスケジュールという手段が一般的なものになってから、リスケジュールを行わなくてもよいのにリスケジュールを行っている企業を、多く見受けます。

第一に、銀行から普通に融資が受けられるのに、その融資を受けることを選択せず、リスケジュールしてしまう企業、です。

例えば、年間の事業キャッシュフロー0、年間返済額3,600万円の企業で、年間3,600万円の融資を受けられる企業であるにもかかわらず、これ以上融資を増やしたくないという理由で、リスケジュールを行ってしまう企業があります。


この場合、リスケジュールを行ってはなりません。
リスケジュールは、銀行から融資が受けられず、返済負担が大きくなった場合にとる「次の手段」です。


なぜなら、リスケジュールを行うと、やはり銀行は、リスケジュールを行った企業に対しては厳しい見方をするようになるからです。 その銀行は、その企業に対し、リスケジュール期間中は融資を出さないし、また返済を再開し、正常な状態に回復するのも時間がかかります。

 

(2)工務店におけるキャッシュフロー経営とは

"勘定合って銭足らず"よく耳にする言葉ですよね。

帳簿上では利益が出ているのに、なぜか金が無い状態を言い表しています。ただ、やっかいなのが建設業の場合、"勘定も合っていなし、金もない"という会社が結構多いんです。


こんな会社でも、最悪、キャッシュフローだけ意識して経営していたなら、何とか持ちこたえることができるかもしれませんが。

一般的に「キャッシュフロー経営」とは、キャッシュフロー計算書により、現金の流れを重視して、現預金残高を大きくしていく経営のことです。

このキャッシュフロー計算書は上場企業だけに作成が義務づけられていて、
 1.営業活動によるキャッシュフロー
 2.投資活動によるキャッシュフロー
 3.財務活動によるキャッシュフロー
が判るようになっています。
重要なのは、1の営業 活動によるキャッシュフローを意識して経営を行うことです。

いま中小工務店がやらなければならないことは
「資金繰り表」の作成です。
少なくても3~6ヶ月先の資金計画ぐらいは把握できるようにしましょう。私が担当している工務店さんには、資金繰り表でも「日繰り表」を毎日付けて貰うようにしています。

 

いつ、どこに、いくら支払うか、予定を入れ、日々実際の入出金に合わせてメンテナンスをします。

ここで重要なのが、把握できている範囲で出来るだけ先の予定を入れる事が鍵だということです。

受注工事が増えたら、都度メンテナンスをして、おおよその金額と支払い時期がわかるようにしておきます。

これによって、土壇場で慌てることなく前もって資金繰りが考えられます。

この日繰り表は、出来ることなら社長さん自らが作成して欲しいものです。
中小工務店の場合、結局、資金調達は社長さんの仕事でしょうから、頭の中に"日繰り"をたたき込んでおきましょう。

 

(3)元請け、下請け、どっちが良いの?

"ゼネコンを目指した"、一、専門工事業者がありました。
専門工事業者ですから、とび・土工、鉄筋、型枠・・・と、数多くの業種があるわけですが、その一職種に特化した下請会社が、元請会社である、ゼネコンを目指したというわけです。

この会社の社長が言うには、ゼネコンの元社員で、現場で施工管理をやっていた技術者が入社したことで、建築一式工事を請けたそうです。詳しくは言えませんが、その現場で契約上のトラブルが発生し、請負金を巡って訴訟中となっているらしく、当然、かなりの金額が滞っているので、経営的に窮地に立たされています。

  • ●出来るからやるのは「建設者」の発想であり、発注者との合意を、法律に則って履行する「契約者」としては如何なものでしょう。やはり、一度原点に戻って事業の立て直しを考えるべきだと話しました。
  • ●繰り返しになりますが、ゼネコンになるということは、発注者と約束した建物を、約束通りの「価格」で「安全」に「工期」内で造らなければならないということです。 それではじめて約束した「金額」を受け取れる権利を主張できるのです。
    ただし、例え、約束した「金額」を受け取れない場合でも、下請け業者には、請負代金の支払いなど、約束を履行しなければなりません。
  • ●私は下請け業者が、元請けを目指すのは悪いことだとは思いません。 実際、下請け業者でも三次下請けであれば、二次を目指し、二次は一次を目指すべきだと思っています。しかし、そうなるには、そうなる資質を備えていかなければなりません。何事も一足飛びにはできないのです。

財務を立て直すこと、それから地に足のついた「事業再生計画」の策定を第一にするべきです!

 

(4)建設業の再生方法

■建設業は、1件1件の工事でどれだけ利益を出していけるか、がその企業のトータルの利益を決める業種であります。

粗利管理の重要性
  • ◎原価積算の正確性、外注や材料費の相見積りによる原価の抑制、十分な利益を確保した見積り提示、が重要。
  • ◎また、それとともに、施主や元請け先からのサービス工事、つまり追加工事をサービスで引き受けないことも、利益確保の上で重要になってきます。
  • ◎工事ごとの粗利管理をしっかり行わないと、1件1件の工事において利益がほとんど確保できなかったり、もしくは赤字工事になったりして、その企業は苦しい状況に追い込まれてしまいます。
予算実績管理
  • ◎必ず予算と実績の比較を行っていますでしょうか。
  • ◎実績でどれだけ原価がかかったかを見ないと、予算の設定が適正であったのか検証することができず、今後の粗利管理に生かしていくことができません。
  • ◎予算実績管理を行わないと、サービス工事のこわさが分かりません。
    サービス工事を行うと、とたんに利益は少なくなります。粗利管理を行わないと、これが分かりません。

■例を見てください。1年で工事が5件ある企業だとしますと

工事名 売上 原価 粗利益 (単位:百万円)
工事A
工事B
工事C
工事D
工事E
合計
150
70
90
130
80
520
120
60
70
120
60
430
30
10
20
10
20
90
この企業の共通経費が80百万円だとしますと、この企業の利益は90-80=10百万円、となります。 1件1件の工事で粗利益を稼いで、共通経費をまかなうイメージはこのような感じです。

ところが、工事Aにおいてサービス工事を請けてしまい、その分の原価が20百万円かかったとしましょう。


そうすると、工事Aの粗利益は10百万円となり、この企業の1年間の利益は△10百万円となってしまいます。

サービス工事を安易に引き受けず、20百万円をせめて追加請求していれば、赤字の転落はなかったです。 このように、サービス工事は、その企業の業績を一気に悪化させます。簡単に請けてしまってはいけません。

建設業の再生のためには、一にも二にも、工事ごとの粗利益の改善です。

 

(5)建設業における公共事業と民間事業の戦略

■同業他社と競争し、高額商品である住宅(もしくは大規模修繕リフォーム)のご契約をいただくために、第一に検討しなければならないポイントを申し上げます。

  • 1.自社の会社としての『強み・弱み』は何か?を考え、自社の強みをどう生かすことができるか?
  • 2.誰(どんなターゲット層)に、何(どんな住宅・リフォーム商品)を、どのように販売することができるのか?

必ず、1が最初でなければいけません。
なぜならば、自社の状況を検討し、戦略を練った上で、そのターゲットに向けた情報を発信しなければ、集客も契約もできないからです。

例えば、ターゲットとすべきは、30代や団塊世代を狙うべきだ、自然素材を売りにした住宅を販売すべきだ、オール電化や太陽光発電などエコ商品をターゲットにしたら良い!と、コンサルタント会社からの提案を受けて2からスタートすると...
オール電化や太陽光発電等世間で注目されているから、というだけでは、同じものを取り扱っている会社はたくさんありますので、お客様からお問合せをいただいたとしても、ご契約できるかどうかはわかりません。価格競争にさらされる危険性が高いです。

営業的な入口は、あなたの会社の特徴(=強み)は、ハッキリとした他社との差別化をどう打ち出せるのか?の検討がなければ、成果を出し続けることはできません。

■新規事業へのシフトをお考えになる場合には、現在の事業の財務面も併せて検討することが重要です。

まずは、現状の財務の問題点・改善点を検討した上で、現在の資金繰り表を作成し、最低でも6か月、基本的には12ヵ月先までの収支を確認します。

なぜならば、例え、今すぐにご契約をいただいても、着工は早くて3か月先、基礎工事からお引渡まで、4ヵ月の工期として、支払の多くは上棟後発生し、それからお引渡後2ヶ月程度まで発生し続けますので、契約前にその工事の支払が全て終了するまで原価・工程管理の中で利益額(率)を把握し続けることが大きなポイントとなります。

なぜならば、お客様との基本的な金額の同意は契約時に決まりますが、利益は全ての支払いが終了した後に確定するのですから。

自社でお建ていただくお客様を集客するための広告宣伝費(顧客獲得単価)契約までの追客コストを把握していなければ、利益確保は覚束ないのです。

■すべてにおいて毎月の予算実績管理を徹底していく必要があります。
つまり、あなたの会社を発展させるには、『財務』と『売上向上』が全て一体となった計画=戦略がなければ、成功できないとういうことです。どちらか一方だけではいけません。

 

(6)会計データとにらめっこ

私の会社は7月決算で、平成25年7月期の売上・利益がどうやって成り立ってるかの分析はもちろん、部門別の会計を行い、データを分析しておりました。
そして、ずっと会計データとにらめっこしていました。

そのようにすると、利益をもっと大きくするにはどうすればよいか、見えてくるものです。
利益を大きくするための対策が浮かんでくるのです。

利益を大きくするためにもっともやらなければならないことは、経営者自身が会計データとにらめっこすることだと思います。

会計データのいろいろなところを見まくることにより、業績をアップさせるためのいろいろな対策が浮かんできます。
対策が浮かんできたら、あとはそれを実行するだけです。

 

資金繰りを良くする、銀行から融資を受けやすくするために、もっともとるべき対策は
業績アップです!

 

経理を行わない、いわゆるどんぶり勘定の企業は、自然と業績が悪くなります。経営者が会計データを見ることができないで、どうやって業績アップの対策が立てられましょうか。

業績アップのために、毎月、試算表を翌月の中旬ぐらいまでに作り、経営者が会計データとにらめっこして、対策を練るべきです。

 

(7)赤字補填の借入の見分け方

資金調達には、大きく分けて2種類の性質があります。

・売上増加にともなう運転資金、生産力増強のための設備資金など、前向きな資金調達
・赤字で資金が減少していくにあたって、その補填のための後向きな資金調達

見分ける方法があります。


売上が増加していないことを前提として、決算期ごとに、借入総額が増えていっているかそうでないかを見ることによって、見分けることができます。

資金繰りが苦しくなったのは銀行のせいではないですよね。赤字を黒字にする対策を怠り続けた経営者の問題ですよね。

原因を他人(銀行)のせいにすると、経営者になんの反省も生まれず、その会社は改善、いや改革していくことはできません。 早めに気づいてください。

 

(8)事業融資は「住宅ローン」ではない

中小企業経営者と話をしていると、銀行からの事業融資を、住宅ローンと同じ感覚でとらえている方が多いことに気がつきます。
何かと言いますと。
企業で借りる事業融資は、完済、を目指すべきではない、ということです。一方で、個人で借りる住宅ローンは、完済を目指してください。

多くの中小企業経営者は、銀行から融資を受けることを「悪」と考えています。
そういう経営者は、「無借金経営」を目指そうとします。
無理なのに無借金経営を目指すと、どうしてもギリギリの、現金預金保有量で資金をまわそうとします。


以下のAとB、どちらの会社が、資金繰りがまわっていて安全な企業、と言えるでしょうか。

A.現金預金 100万円 借入金 5,100万円
B.現金預金3,100万円 借入金 8,100万円

当然、Bの会社の方が、安全な企業、ということになります。

無借金経営を目指すと、現金預金が尽きる寸前まで、借入をせずに資金をまわそうとします。

現金預金がギリギリとなります。

しかし、融資は経営者が望めば、出てくるものではありません。
  審査が通らなければ、どうでしょう。もうAの会社は、アウトです。

  • ★事業を営むには、当然、運転資金が発生します。
  • ★設備資金も発生します。
  • ★売上が大きくなればなるほど、売掛金や在庫が多く発生します。それで資金が足りなくなり、銀行から融資を受けて資金を確保します。
  • ★このように、銀行から事業資金を受けているという状態は、企業が事業活動を行っていくためには「当たり前の状態」なのです。

無借金経営は、キャッシュフローをいかに大きくするか、という観点からしか、目指すことはできません。
無借金にしたいのなら、まずはいかに、利益を大きくするか、そちらを考えるべきです。それが結果として、無借金経営に近づいていくことになります。

キャッシュフローの簡易計算式は次のとおりです。
キャッシュフロー=利益+減価償却費
キャッシュフロー計算書を作れば正確なキャッシュフローが計算できますが、それが難しいのであれば決算書内の損益計算書を見て、上記計算式で計算してみるとよいでしょう。

キャッシュフローが返済額を上回ると、現金預金量は減らさずに、借入残高を減らしていくことができます。そうすると、無借金経営、に近づいてきます。
一方で、キャッシュフローが返済額を下回ると、返済が進むにつれ、現金預金量が減っていくことになります。


そうなった場合、新たな借入を起こせばよいのです。
企業は、銀行から融資を受けている状態が「当たり前の状態」なのです。

 

(9)代表者の住宅ローンを返済猶予する場合の事業融資への影響

<質問>

代表者個人の住宅ローン(住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)より借入中)の返済猶予を申入れして、可能となった場合に、その後、代表者の個人保証が必須の、信用保証協会への法人借入れに影響は出るのでしょうか?
現在資金繰りが厳しいため、返済猶予法が施行されている間に、住宅ローンの返済猶予を申請し、代表者の給与を運転資金に充てたいと考えているのですが信用保証協会の借入れに影響するのであれば、無理なのではと思案中です。

<回答>

信用保証協会保証付融資の審査は、信用保証協会と、融資を出す銀行が行います。
その保証協会と、銀行に、代表者の住宅ローン返済猶予の情報が分かると、保証協会の保証審査、銀行の融資審査に著しく不利になります。
住宅金融支援機構の住宅ローンが返済猶予されている情報は保証協会に伝わることはありませんが、問題は銀行です。住宅金融支援機構の住宅ローンを返済している銀行と、保証付融資を申込む銀行が別々であれば、住宅ローンを返済猶予している情報が銀行に分かることはないでしょう。

 

(10)決算書のポイントは3つ

銀行が企業に融資を出すかどうか審査をする際に、最も重要なのは、決算書です。

決算書が、審査のウェートの8割を占めます。決算書の重要性を今一度、ご認識ください。 では決算書で、どこが重点的に見られるか。それを知っておけば、銀行から融資を出しやすい決算書はどのような決算書か、分かるようになります。


貸借対照表で最も重要なのは
  • ◎純資産がどれだけあるか
    純資産とは、企業の持つ資産から、負債を引いたものです。この数値が高い企業は、財務体質良好な企業と言えます。
  • ◎純資産の絶対額と、そして純資産を総資産で割った比率「自己資本比率」がポイントとなります。これらの数値が高い企業は、財務体質良好な企業として、融資審査は通りやすくなります。
  • ◎純資産がマイナスの企業は、それだけで融資を受けられる可能性が限りなく低いということになります。
損益計算書で重要なのは
  • ◎営業利益と経常利益がどれだけあるか
    営業利益は、事業でどれだけ稼ぐ力があるかをあらわします。
    経常利益は、コンスタントにどれだけ稼ぐ力があるかを表します。
  • ◎一方、当期純利益は、土地を売却して損失が出た場合の「固定資産売却損」での特別損失など、その期だけの特別な要因が影響します。そのため、営業利益、経常利益ほど重要視されるわけではありません。
  • ◎営業利益・経常利益がプラスであることは、融資審査を通しやすくするためには絶対、なのです。

そして決算書の中で最重要なポイントは

 貸借対照表・・・純資産
 損益計算書・・・営業利益・経常利益


いくら、融資を受けやすくするためのテクニックを使おうとしても、これらの数値を良くすることに勝ることはありません。 これらの数値を良くするには、毎月試算表を作って経営管理をし、その結果良い決算になるように経営していくことが求められます。経営者の努力が重要なのです。

 

(11)汚れた貸借対照表

貸借対照表で最も重要視されるのが、純資産合計です。

純資産=資産-負債ですが、純資産がマイナスということは、資産より負債の方が大きい、ということです。
これが債務超過です。
しかし、純資産がプラスで、見た目は債務超過ではなくても、実質債務超過と見られることもあります。


純資産=資産-負債ですが、資産に計上されているものが資産価値がなければ、その分、資産は差し引きして見られます。

そのため、貸借対照表の資産の部において、いかに不良資産を出さないか、融資審査を大きく左右します。


債務超過かどうかは、融資審査においては天と地ほどの大きな差です。

影響は大きいです。ではどうしたらよいかというと、資産の部において、不良資産として見られるものを少なくするしかありません。
例で言えば、経営者に対しての貸付金15百万円を経営者が会社に返済して貸付金を0にすることができればいいです。

しかし、それができれば苦労しません、実際はほとんどの企業で、無理でしょう。

対策


その場合、生命保険を使って貸付金を消す方法があります。 この方法を使って貸付金を保険積立金に振り替えてしまえば、不良資産として見なされる資産を少なくして、銀行から良い評価を受けるようになることが期待できます。

今回は貸付金が不良資産の場合を例にしましたが、仮払金、未収入金など他の資産科目でも、返ってくる見込みのない資産として不良資産として見なされるものは消した方がよいです。

経営者向けの貸付金を例にしましたが、関係会社向けや、従業員向けなどで、返ってくる見込みのない資産でも、同じことが言えます。
これら不良資産として見られるものも、保険積立金に振り替える方法などを活用して、消していくとよいでしょう。

 

(12)将来期待できる商品や技術

銀行員が、よくうのみにするのが、「将来期待できる商品や技術」です。
銀行員は、その分野の専門家ではありません。あらゆる業種と融資取引をしており、ある特定の分野で専門的な知識がある、というわけではないのです。
そのため、この商品や技術は、将来このように広がっていく、というような事業計画を、もっともらしく書けば、銀行員は「すごそう!」とうのみにします。

そのため、いかに、斬新な商品や技術を、それが将来どれぐらいの売上増加につながるか、銀行にアピールするかは、銀行から融資を引き出すための有効な手段ということになります。
それで通常は融資が出ない会社でも、融資が出てしまうことは多いのです。

しかし!

事業が赤字でも、将来性が期待できる商品や技術をアピールした事業計画を見てもらって出た融資は、ほとんどの場合、赤字の補てんに消えてしまいます。
そうなると、借入金はふくらんでしまう一方。
残ったのは莫大な借入金と、赤字体質のままの事業、ということになります。

あなたの会社は、このようなことになっていないか、見直してみてください。

 

(13)余計なことにお金を使わないで!

資金によほど余裕のある企業ならまだしも、そうでないのであれば、余計なことにお金を使えないはずです。資金繰りが厳しいのは、本業とは関係のない、余計なことにお金を流出させてしまっていることがひとつの要因であるケースは多いです。

貸借対照表を見れば、その会社はどのようなことにお金を流出させているか、分かります。

・知人の会社や、個人から頼まれてお金を貸すこと。
 →知人の会社や個人への貸付金

・儲け話が舞い込んできて投資をしてしまったこと。
 →その事業や事業会社への出資金や有価証券、貸付金

・事業の見通しが立っていない新事業のために別会社を作りそこにお金をつぎこむこと。
 →別会社への出資金や貸付金

・社長個人での、遊びや贅沢、投資話のために社長にお金を出すこと。
 →社長個人への貸付金

・必要もない不動産を、ただ不動産を所有したいという所有欲のためだけで買うこと。
 →過大な有形固定資産

負債の部を見ると、借入金勘定があります。

貸付金(知人の会社)25百万円
貸付金(赤字の別会社)30百万円
出資金(赤字の別会社)20百万円

借入金が200百万円。としますと、借入金200百万円のうち、75百万円が、余計なことに実質的に使われていると見ることができます。 このような余計なことにお金を使わなければ、この会社の借入金は125百万円ですんでいるはずです。

 

(14)銀行はお金をあげるのではない

  • ・赤字の会社に、銀行は融資をしません。私の会社は、あくまで正攻法で、中小企業の資金繰りが円滑にまわるように、取り組んでいます。赤字の会社には、どうやって資金繰りがまわるようにするか、あらゆる手を考えて実行していきます。
  • ・資金調達第一、ではありません。裏技みたいなものはありません。
  • ・裏技・テクニックを追い求めても、それがたまたま、一時的には功を奏すかもしれませんが、効果は短期間です。裏技があったとして、融資を受けられても、業績が悪いままであれば融資を受け続けるのにも限りはあります。

しかし


多くの経営者は、その正攻法を実践し、資金繰りがまわるようになっています。

正攻法と言っても、資金繰り困窮時で資金繰りをまわす方法なので、経営者には聞いたことがない方法を伝えています。ただ、会社が生き残っていくためには、こんな方法やりたくない、なんて言っていられないでしょう。

経営者としては、

 ○資金繰りをまわすためにはどうすればよいか。を考えていくべきであって、
 ×資金調達をするためにはどうすればよいか。

を第一に考えてはいけないのです。資金調達のことを全く考えないわけではなく、資金繰りをまわすために資金調達もひとつの方法として考えるべきです。

 

(15)取引銀行を絞る?

・連日、多くの中小企業経営者様からご相談をいただきますが、その中で、取引銀行を集約、もしくは1行に絞りたい、という話もよく聞きます。

例えば、次のようなイメージです。

現状の借入
A銀行 
B銀行 
C銀行 
1億3千万円
5千万円
2千万円
こちらを、次のように集約
A銀行 
B銀行 
1億3千万円
7千万円
(C銀行の融資を借換)

もしくは、次のように集約
A銀行  2億円 (B銀行・C銀行の融資を借換)

しかし、こんなことは、行わないでください。
銀行とのつきあいにおいて、取引銀行は多く持つことは、鉄則です。
そうしないと、次のようなデメリットがあります。

  • ・ある銀行に融資を申し込んで断られた場合、他に取引銀行がなければ別の銀行に融資を申し込むことはできない。
  • ・優良な企業であれば金利引下げを交渉できるが、取引銀行が少ないと金利の競争相手がなく、金利は高止まりとなってしまう。
  • ・このように、取引銀行を集約することは、デメリットばかりでメリットはありません。
そもそも、優良な企業でないかぎり、集約しようとする銀行は、他の銀行の融資の借換を引き受けないことでしょう。

銀行から常に融資を受ける必要がある企業であれば、融資を申込む金融機関の選択肢を自らせばめることは、やってはならないのです。選択肢は広げていくことが、鉄則です。

 

(16)資金があと1か月もつかどうか・・・

①この場合、まず、頭の中を
「通常の資金繰り → 緊急の資金繰り」に切り替えてください。
 
  • ②入りを増やすために資金調達の手段をいろいろとっていくとともに、出を減らすために、優先順位をつけた支払いを行います。

  • ③全て支払いを行うと、資金がショートします。そのため優先順位をつけた支払いを行い、一方では優先順位が後の支払いは支払先に対して待ってもらう交渉を行うことによって、資金のショートを防いでいきます。では、支払いの優先順位はどうやってつけていったらよいのでしょうか。

  • ④そもそも、中小企業が、資金が出ていくのは、大まかに分けて次の5つです。
    1.銀行返済
    2.社会保険・税金
    3.経費
    4.買掛金(仕入・外注)
    5.給与        この中で、支払いの優先順位が高い準に、5→4→3→2→1です。

このように考えると、「緊急の資金繰り」においては、銀行返済や社会保険・税金の支払いは、優先順位は後でもよいのです。 一方で、銀行などへ、支払い条件の緩和の交渉をしていきますが、まずは緊急事態なので、交渉の前に延滞するのです。

 

(17)融資申込みに必須の「資金使途」

融資を申し込むにあたって、銀行から必ず「資金使途」というものを聞かれます。

資金使途には、大きく2つに分かれます。
・設備資金・運転資金

設備資金 設備資金として融資を申し込むにあたっては、必ず、その設備の見積書等、証拠書類が求められます。
そして融資がおりたら、その資金を、支払先へすぐに振り込むことがが求められます。
また、後日、融資によって手に入れた設備を、銀行員が確認に行くこともあります。
運転資金

運転資金は、資金繰りに使われるための資金なので、何に使うか、証拠書類を出すことはできません。
そのため、運転資金として融資を受けたい場合は、その旨を銀行に伝えるだけでよいことになります。将来6ヶ月~1年ぐらいの予定資金繰り表を作り、融資を受けるとどう資金繰りがまわるか、銀行に伝えると、審査においては多少、有利になります。
運転資金といっても、その資金の支払先が決まっている場合もあります。

例えば、建設業によく見られる、工事引当の資金。
工事の、外注費や材料費の支払いが先行し、入金が後になる場合、企業の資金繰りは大きな負担になります。
そのため、工事の発注書や契約書などを証拠書類として、入金予定日に一括返済をすることを約束して、融資を受けます。

例えば、季節ごとに売上の増減が激しい業種を対象とした、季節資金。

例えば衣服製造業で、冬のシーズンに向け夏のうちに衣服を製造し、在庫として蓄えておく、このような場合には夏の時期にいろいろな支払いが先行しますが、その時期に融資を受けて、冬のシーズンに売上を上げて資金を回収し、それを返済にあてます。短期の融資となります。

また、賞与資金や納税資金として、融資を受けることもあります。
これらは全て運転資金の範ちゅうですが、何に使うかが明確なので、証拠資料を出すことができます。工事引当の資金であれば発注書や契約書、季節資金であれば製品や商品の製造・仕入→販売計画や昨年の実績、賞与資金であれば賞与支給予定の計算書、納税資金であれば税理士から出される 納税予定などです。

とすると、単なる運転資金として融資を申し込んだ方が面倒くさくなくてよいのでは、ということになりますが、資金使途をしぼった運転資金として融資を申し込むと、審査が有利になるのです。

なぜなら、資金の使い道がこの場合はっきりしているので、銀行としては 融資を出しやすいのです。設備資金も同じです。

 

(18)粉飾決算がばれるとどうなる?

・銀行は、粉飾決算が分かった場合の対応として、特に取り決めはしていません。
・銀行は次のように対応してきます。上の段階から下の段階にかけて、厳しい対応、ということになります。

【第1段階】新規融資は出さないようにする。
【第2段階】既存の融資の一括返済を求めてくる。
【第3段階】経営者や、場合によっては粉飾決算を作った税理士に、貸倒れた融資の損害賠償を求めてくる。
        (融資が出た時の決算書を作った税理士が損害賠償を請求されます。)
【第4段階】詐欺罪として刑事告訴してくる。

これら、どの段階の対応かは、・粉飾決算の度合い(どれぐらいの利益や資産勘定を上乗せしていたか)粉飾決算で受けた融資の量 などによって、支店と審査部との話し合いの上、銀行は決めます。
ほとんどの場合、第1段階、せめて第2段階までです。第3段階や第4段階はめったにないでしょう。

またこれらリスクよりも、私が重要なリスクと考えることがあります。


それは、通常は融資を受けられないような企業が、粉飾決算で融資を受けることによって、経営者は安心してしまい、経営改善を後回しにすることです。
粉飾決算は、それがばれた時のリスクも高いのですが、それ以上に、粉飾決算が問題の先送りを引き起こし、企業がどうしようもない状態までなってしまうことの方がリスクが高いのです。

 

(19)銀行は粉飾決算をどう見破るか

どうやって見破られたのかというと、

ケース1
  • ・信用保証協会で審査を行ってもらおうと信用保証協会に決算書を提出 したが、他の銀行から提出された決算書が違っていた。
ケース2
・銀行に提出された決算書が、前期と当期で、数字のつながりがなかった。

銀行の支店は、大きく「得意先係」「融資係」「預金係」と分かれます。

得意先係 企業に営業して、融資案件をとってくる「攻め」の立場。
融資係 融資審査にあげられた案件の審査を行い、貸倒れが増えないようにする「守り」の立場です。

  • ◎ほとんどの銀行では、決算書をコンピュータで分析して粉飾の可能性を探るソフトがあり、全ての融資先の決算書を分析しています。
  • ◎他に経営者への質問や実地調査などによって、銀行は、粉飾決算を見破るために、いろいろな取組みを行っています。

粉飾が判明したらその後の融資はいっさいストップ、回収をはかっていく、という流れになります。

 

(20)税金や社会保険を滞納してしまっている

資金繰りがまわらず、法人税・消費税・従業員からの源泉徴収分など、税金を滞納してしまっている企業、社会保険事務所に支払わなければならない社会保険料を滞納してしまっている企業があります。


税金や社会保険料の滞納をそのままにしておくと、税務署や社会保険事務所は、あなたの会社の財産に「差押え」をかけてきます。

  • ①預金口座を差押えようとしてもそこには資金がないので、まずねらわれるのは所有している不動産、です。
  • ②不動産が差押えられても、依然滞納の解消ができない場合、競売手続きを進めてきます。そして不動産を、税務署や社会保険事務所の手で、処分されてしまいます。
  • ③また、不動産とともに税務署や社会保険事務所が差押えをねらってくるのが、売掛金、です。そもそも不動産を所有していない企業は、売掛金が真っ先にねらわれることになります。

売掛金が差押えられると売掛先に対し、差押えの通知がいくことになります。
そうなると、その売掛先は、あなたの会社が倒産間近の企業として、警戒してくることになります。売掛金の差押えをきっかけに取引が解消となれば、あなたの会社は商売を続けられなくなります。

税金や社会保険が滞納してしまったら、何よりもやらなければならないのは税務署や社会保険事務所との交渉です。

 

(21)社員への給料が支払えないかも・・・

まず、銀行返済を止めることによって、給与支払いの資金は捻出できないか、考えてみます。。

多くの企業の場合、これで問題解決する場合は多いです。銀行の返済を止めても商売は続けられますが、給与の支払いを止めると商売は続けられません。その後、銀行とリスケジュール交渉を行っていきます。
それでも給与支払いができない場合、どうするか。

給与支払いの中で、支払いの優先順位をつけます。
経営者の給与は当然、後回しにします。
次に、役員です。役員は経営側の人間であり、このような非常事態の場合にこそ、協力を求めるべきです。
そして、一般社員の給与を最優先に考えます。

それでもまだ足りない場合。
この場合は、社員に説明して、給与の遅配に理解を求めるしかありません。
肝心なのは、次の3つです。

1.経営者がおわびの姿勢を見せる。
給与の遅配という事態が起きると、当然、社員は不安に思うことでしょう。感情的になる人もいるでしょう。
まずは経営者が頭を下げることによって、社員の高ぶった感情を抑えるのです。また、経営者が頭を下げることによって「社長も大変なんだ。」という同情心を社員に抱かせ、今後の給与支払交渉をしやすくします。
2.いつに給与が支払いできるのか、日付を提示する。
社員の不安は、給与が支払われないこともそうですが、いつ支払いされるのか、ということにもあります。 いつ、給与が支払いできるのか。それを提示することによって、社員の不安をある程度抑えることができます。
ただやってはいけないのは、資金繰り計画も立てず、感覚だけでこの日は支払いできるだろうと、支払い日を提示することです。
一度提示した支払い日は、遅らせることはできないものと思ってください。確実に支払いできる日を検討し、給与がいつ支払いできるのかを社員に提示してください。
3.一部でも支払いをすることによって、支払いの姿勢を見せる。
社員の不安は、経営者が給与支払いを遅らせると言っても、経営者は本当に給与の支払いをしようという気があるのか、というところにもあります。
例えば25万円の給与の社員がいる場合、その社員に、給料日に5万円でも支払いをしておくことによって、経営者として、必ず給与は支払う、という姿勢をアピールすることができます。
全社員に全額、給与を支給できないのであれば、いくらなら支給できるのかを考え、一部でも給料日に支払うことにより、社員の不安を抑えることができます。

このように、給与が給料日に支払えない場合、まずは社員の気持ちを考えた上で行動していくことが、この困難を乗り切るために重要になります。

 

(22)新しい決算書が出たら、銀行のスタンスを見る

決算期が過ぎ、新しい決算書ができあがったら、やってみるとよいことがあります。 特に、前回の決算書より、今回の決算書の方が内容が悪い場合。新しい決算書をもとに、銀行に融資を申込んでみて、銀行のスタンスを探ってみてはどうでしょうか。


  • ★信用保証協会保証付融資は1行だけにしか申込めないので、どの銀行に申込んでみるかは状況を見て検討しなければなりませんが、プロパー融資やビジネスローンは、どの銀行にも一斉に申し込んでみることができます。
    実際に借りる借りないは別にして、銀行の融資審査がどうなるかを見ることによって、新しい決算書で、融資が出るかどうか、を探るのです。

新しい決算書で、融資が出る銀行もあれば出ない銀行もある、ということならまだしも、ほとんど全ての銀行で融資が出ない、ということであれば、次の決算書が出るまでの1年間は、銀行からの資金調達がほとんど期待できない、ということです。
  • ★その場合、キャッシュフロー、つまり事業で稼いだ現金で、毎月の融資返済がまかなえるかどうか、がポイントとなります。
  • ★預金が減り破綻が予想されるのであれば、早急に対策をうつ必要があります。 リスケジュール、つまり銀行に交渉して、毎月の返済金額を減額してもらう手が考えられますが、専門家に相談すべきです。

 

(23)売上が月ごとに大きく増減する会社の経費削減のやり方

企業の中には、売上が月ごとに、大きく増減する企業があります。
そのような企業が損益を改善させるポイントは、売上の増減による影響を極力少なくするにはどうするべきか、です。


事業活動にかかる費用には「固定費」と「変動費」とがあります。
固定費とは売上の増減にもかかわらず一定にかかる費用、変動費とは売上の増減に比例して変化する費用のことをいいます。

固定費の割合が高い企業
(社員の給料)
売上が落ちるとき、利益も大きくマイナスとなります。なぜなら、売上の 増減に比例して変化する変動費の割合が小さいため、売上が落ちると固定費の負担が一気にのしかかってくるからです。
変動費の割合が高い企業
(材料費・外注費・仕入原価)
売上が落ちるとき、利益の減少は、固定費の割合が高い企業ほど大きくはありません。なぜなら、売上の増減に比例して変化する変動費の割合が大きいため、売上が落ちると変動費としてかかる費用も落ちるからです。

そこから考えると、月ごとの売上の増減が激しい企業は、売上が落ちても利益への影響を少なくするため、費用の中で変動費の割合を高く、固定費の割合を低くすることが、セオリーとなります。

(例えば)
製造業。受注状況によって、売上が大きい月もあれば小さい月もある企業が大半でしょう。
固定費の代表的なものは社員の給料、変動費の代表的なものは外注費です。

私どもが相談を受ける製造業で、赤字企業の特徴を見ると、売上が大きい月に合わせた人員構成となっている、ということです。 売上が大きい月に、製造部門がスムーズにまわるように、人員を入れています。
ただ、そのような状態では、売上が小さい月には、余剰人員がでてきてしまうことになります。製造部門の社員に、仕事がない人が出てきてしまうのです。 余剰人員、余剰時間が発生するということは、その分、会社の費用負担は大きく、そこで赤字を発生させてしまう、ということになります。

これが、赤字の製造業の企業でよく見られる特徴です。
そのような企業は、売上が小さい月でも、利益が大きく赤字にならないように仕組みを変える必要があります。
そこで、製造部門をスリム化し、売上が小さい月でも余剰人員や余剰時間が発生しないぐらいまで、人員を減らします。

そうすると、売上が大きくなった月は当然、人手が足りなくなります。そこは、外注でカバーします。
こうすると、余剰人員・余剰時間の発生を防ぐことができるため、赤字の発生を抑えることができ、その企業の損益は大きく改善します。

売上が小さい月をベースに人員を構成し、売上が大きい月は外注でカバーする企業は、固定費の割合が小さく、変動費の割合が大きい企業です。
売上の増減による影響を、こうすることによって小さくできます。安定した経営ができます。
今回は製造業を例にあげましたが、どの業種でも、同じことが言えます。

 

(24)固定費の変動費化にひそむ問題と、その改善策

次に、建設業の会社を例に、考えてみます。

現場の正社員が5人いましたが、仕事の多い時と少ない時の差が激しく、人員構成を考えてみたら、正社員5人の体制は仕事の多い時に合わせた人員体制となっていました。
仕事の少ない時も同じように給料を支払わなければなりません。それで、仕事の少ない時は、人件費の負担が重く、赤字となっていたとします。
そこで、現場の正社員5人のうち、職長1人、他1人残し、3人に退職してもらいます。
一方、新たに外注として職人4人を確保し、その4人は仕事に出た日のみに変動費である外注費として支払うことにします。

固定費である正社員給料は削減できるのですが、一方で外注比率は高まりますし、必要な時にタイミングよく来てもらうことも難しくなってきたりします。
また時間単価で言えば、正社員の場合よりも、支払う費用が高くなりがちです。
このように、固定費の変動費化、つまり正社員に辞めてもらい、外注に変えていくと、毎日の職人の手配の負担は大きくなることでしょう。
また経営者としては、次のように考えることもあるでしょう。
「タイミング良く職人の手配ができないと、受注できた仕事をキャンセルしなければならなくなったり、そうするとその受注先からの仕事が今後来なくなってしまうおそれもあるので、無理してでも技術のない高い外注費の職人を連れてこなければならなかったり、それで時には利益が出なくなってしまったり、技術不足から補修などがかさんで赤字になってしまう場合もあるではないか。」 職人を手配し段取りをする職長の負担も大きくなることでしょう。

だからといって、仕事のピークに合わせて、正社員を増やしてしまえば赤字になります。

この例にひそむ問題は、管理体制、にあります。

  • ■仕事の受注見通しはどうか、職人のスケジュールはどうか、ということを、職長、職人、もしくは経営者で、共有しておく必要があります。
  • ■職長、職人、経営者間でGoogleカレンダーなどを使ってスケジュールを共有したり、全くパソコンが使えない人であれば1日1回は連絡をとってスケジュールを確認しておいたりするなど、情報共有手段はいろいろあるはずです。
  • ■仕事が多い時に困るからと、余剰人員を抱えるのではなく、仕事が多い時でもいかに仕事の受入体制を確保できるか、その体制を構築することを考えます。
  • ■ある仕事に慣れない職人でも、職長が仕事の状況をチェックしておくなど、管理体制をしっかり構築することを考えます。

どうしても仕事が多い時に合わせた人員を確保したいというのなら

仕事の少ない時に、余剰の社員を余らせるのではなく、仕事の少ない時には余剰の社員を営業に出させるなど、時間を有効に使わせるべきでしょう。 「ふだんは現場の社員に営業をさせることなんてできないよ。」というのなら、仕事が少ない時に余剰社員が出てしまう人員体制はとるべきではありません。

仕事が少ない時に照準を合わせた、人員体制を心掛けるようにしてください。

 

(25)決算書の貸借対照表は債務超過

しかし、役員借入金が多くあり、それを実質自己資本とみなすと、債務超過でなくなる。
だから、債務超過の状態はほっておいてもよい(と、顧問税士からアドバイスを受けている。)

債務超過、つまり決算書の貸借対照表において、純資産がマイナスの状態であるのは、銀行から融資を受けるにあたって、致命的です。
銀行融資の教科書的な本を読むと、決算書では債務超過であってもその超過額を上回る役員借入金があれば、それを銀行は実質自己資本とみなし、債務超過でない企業として扱ってくれる、ということがよく書いてあります。
しかし、それは机上の空論です。
やはり、決算書を見て債務超過であるのなら、その企業には融資を出しづらいのです。コンピュータが決算書を分析して審査するビジネスローンも、三井住友銀行のクライアントサポートローンという商品以外は、債務超過の企業は対象外なのです。例え債務超過額を上回る役員借入金があったとしても。

  • ■役員が会社に貸し付けている貸付金を「債務免除」する、という方法があります。
    決算で、役員が債務免除して、それを債務免除益として計上します。
    こうして債務超過が解消となれば、決算書の貸借対照表において純資産がプラスとなります。
  • ■また、役員借入金を資本金に組み入れて債務超過を解消することもできますが、この方法についても税金のことを気をつけなければなりません。

はっきり言って、債務超過である企業、そうでない企業、銀行融資の審査において、天と地の差はありますよ。銀行からスムーズに融資を受けたいのなら、そこは、はっきりと意識を持ってください

 

(26)とうとう商工ローンや消費者金融に手をだしてしまった

・銀行から融資が受けられない企業がやってはいけないこと

商工ローンや消費者金融に手をだしてしまうこと

問題は、次の場合です。

1.事業が赤字であり、赤字を補填するため。
この場合、赤字が借入に化けることになります。一時的な赤字であっても黒字ベースに回復するならまだしも、赤字に陥った企業のほとんどは、そうではなく赤字体質がつづくことになります。
そうすると、赤字が続く限り、永遠に借入で補填しなければならないことになります。これでは、いずれ破綻してしまうことになります。それに加えて、金利の負担がどんどんふくらみます。
2.銀行への融資返済の資金を作るため
この場合、よく考えてみてください。銀行の、2~3%の低金利の融資が、商工ローンなどの、10%~20%の高金利の融資に取って代わることになります。
高金利でお金を借りて低金利のものを返す。すごい矛盾ですね。
このように、銀行からお金が借りられない場合、商工ローンや消費者金融などでお金を借りてしのぐというのは、絶対やってはならないことなのです。

それと、もう一つ。高金利のお金を借りるにあたって知っておかなければならないことがあります。

商工ローンや消費者金融は、高い金利をとられる上に、少しでも返済できなくなったらすぐに強硬な手段をとってきます。 商工ローンや消費者金融などでお金を借りてしのぐというのは、絶対やってはならないことなのです。

 

(27)次の決算が大きく赤字となる場合

前期決算は黒字でした。来期決算は、大きな赤字が予想されるとき


今のうちに、借りられるだけ借りておくことです。

前期決算が黒字であったら、今期の今までの試算表では赤字であっても、銀行は前期の黒字を見て、融資審査してくれやすい、ということです。

そして、今期決算が出たら、それを各銀行にもっていって、また融資を受けることはできないか、融資を申込んでみます。
そうすることによって、各銀行が今期決算をふまえて、どういうスタンスでくるのか、を探ることができます。

それで、融資が出なかったら、おそらく今後1年間は、その銀行で融資が出ない、ということです。
そういった場合、1年間は融資を受けられない状態で、今後1年の資金繰りはどうなるのか、経営計画と資金繰り表で、十分、検討します。

そして、1年のうちに資金繰りが破綻することが予想されたのなら、銀行に毎月の返済金額を少なくしてもらう、いわゆるリスケジュールの交渉も、視野に入れなければなりません。
その判断は、遅くなってはいけません。遅くなると、資金が尽きてしまうから、会社立て直しのための資金も残っていません。
多くの会社は、相談にこられるタイミングが遅いです。

 

(28)売掛金を担保にできないか?

売上が一定である場合、売掛金も常に一定(多少の上下はあっても)であるのが通常です。そのため、一定して企業に存在する売掛金は、担保の一つとして考えやすいです。
例えばいつも売掛金が5,000万円ある企業の場合、売掛金の内容を全て精査して、2,500万円を担保評価とする、というように、実務では行われます。

ただ、売掛金といっても、いろいろなタイプの売掛金があります。
そのタイプによって、担保として見やすい売掛金と、そうでない売掛金とに分かれます。

1.継続的な得意先に対するものかどうか
毎月継続的に売上が発生する得意先に対する売掛金は、常に一定して売掛金が存在することになるため、安定した担保として、担保価値を見やすいです。一方、単発で売上が発生した得意先に対する売掛金は、売掛金は一定して存在するということにはならないため、担保として見にくくなります。
2.債権譲渡禁止特約を結んでいるかどうか
取引契約書等を交わし、その中で債権譲渡禁止特約、つまり売掛金は第三者に譲渡しないものとする、という特約が結ばれている得意先に対する売掛金は、担保とすることはできません。そのような特約が結ばれていないか、そもそも得意先と取引契約書をわざわざ交わしていないのであれば、その得意先に対する売掛金は担保として見やすくなります。
3.売掛先の業況はどうか
そもそも、業況が芳しくない得意先に対しての売掛金は、その得意先が倒産して回収できなくなってしまう可能性が高いので、担保として見にくいです。

売掛金を担保とした融資を検討する場合は、その売掛金の担保価値を、以上のように見ていきます。

「売掛金を担保とすると、その売掛先に、売掛金を担保とした事実が知られ、信用不安が起こってしまうのではないか。」とよく質問があります。

売掛金を担保にするためには以下3つのいずれかを行わなければなりません。
1.「通知」売掛先に対し、売掛金を担保にしたことを通知する。
2.「承諾」売掛先から、売掛金を担保にしたことについて承諾をもらう。
3.「登記」売掛金を担保にしたことを、商業登記簿(売掛金を担保にして融資を受けた企業の登記簿)に登記する。

1.2の方法は、当然、売掛先に対し、売掛金を担保とした事実が知られてしまうことになります。
しかし3の方法は、あくまで融資を受けた企業内でのことなので、売掛先に対し、売掛金を担保とした事実が知られてしまうことはなくなります。
そのため、この方法を使えば、売掛先に知られることなく、売掛金を担保にして融資を受けることができます。

そうすると、次のような不安も経営者は感じてしまうことでしょう。
「商業登記簿を銀行や取引先に提出する機会は多く、売掛金を担保にしていることが見られると、銀行や取引先から警戒されないか。」 売掛金を担保にしたことは、商業登記簿の、別紙に記録されます。
そのため、その別紙を提出しなければ、よいことになります。

ただ、実務的な話をしますと、信用保証協会の保証を付けた売掛債権担保融資でなく今まで述べたような?「5,000万円の一定した売掛金総額に対して2,500万円の担保価値を見てその金額を融資する。」という方法ではなく、「1本の売掛金が発生し、それを担保として融資を受け、その売掛金が回収となったらその回収金を返済にあてる。」という方法がとられ、まとめていくらの融資を受けるという形ではないため、使い勝手はよくないかもしれません。

そのため、私たちが、売掛金を担保とした資金調達の相談を受ける場合、ノンバンク、その中でも売掛債権担保融資を専門的に行っているところを、紹介し、多くの金額がスムーズに受けられるように、アドバイスしています。

そういう危機的状況の会社は、リスケジュールで一気に資金の流出を減らし、売掛債権担保融資で一気に資金を確保し、それを会社再生資金として、そこから再生に向けスタートしなければ、数ヵ月後、破綻してしまうことが目に見えてしまいます。
そのあたりの判断は、経営者として難しいところだと思います。
顧問税理士や、われわれのような資金繰り専門コンサルタント会社などに相談するのも一つの手です。

 

財務ノウハウ(6)

(1)銀行が嫌う業種

銀行が融資審査を行う時に、その企業がどのような事業を行っているかは融資審査において重要なことの一つです。以下の事業を行っている企業は、銀行は嫌って、融資を出すことはなかなかないでしょう。

・風俗
・クラブ・スナック(女性が横について接客するもの)
・MLM(マルチレベルマーケティング)
・貸金業
他にもいろいろありますが、世間的に見て、どうしても偏見で見てしまう事業、といったら分かりやすいでしょう。

また気をつけていただきたいのは、このような事業を、主体で行っていなくても、事業の一つとして行っている企業は、どうしても銀行はマイナスで考えてしまいがちになってしまうことです。

このような事業をどうしても行いたいのであれば、別会社で行い、役員や株主にも念のため、入らない方がよいでしょう。

極端なことをいうと、そのような事業を行っていることは銀行に分からないようにしておくのも、一つの手として考えられなくもありません。

 

(2)メイン銀行、サブ銀行・・・と、どうバランスをとっていくべきか

メイン銀行の定義はあってないようなもので難しいですが、融資金額が一番多い銀行、不動産担保を一番多く入れている銀行、売上入金が一番多い銀行、支払手形を切っている銀行等、総合的に考えてメイン銀行を判断します。
しかし取引が入り組んでいる企業であれば、メイン銀行の判断が難しい場合も多いでしょう。
そもそもメイン銀行が最後は絶対助けてくれるということがなくなった現在、わざわざメイン銀行を決めるのも意味がないような気がします。

融資のメニューの中で、一番ハードルが高いのが当座貸越です。なぜなら当座貸越は融資の極度を決めてそれ以内ならいつでも借りたり返したり自由だから、融資の返済期限が決められている証書貸付や手形貸付よりも銀行にとってはリスクが大きいからです。よほどの優良企業でないかぎり、当座貸越の極度が設定されるためには不動産などの担保を入れる必要があります。(極度額が少ないカードローン型の当座貸越は別ですが。)
そのため、当座貸越の極度を設定している銀行は、メイン銀行と考えやすいです。他は、銀行ごとのトータルでの融資総額の大きさによりますね。
私募債は、まとまった大きい金額の資金調達の手段ですが、都市銀行が中心にやっており、私募債があるという理由だけでメイン銀行であるとは考えにくいです。

また、プロパー融資を行っている銀行はメイン銀行として考えやすいです。
よく、プロパー融資と信用保証協会付融資を受ける銀行を分けている企業を見かけますが、プロパー融資を積極的に行ってくれる銀行にはできるだけ多く、信用保証協会保証付融資を集める方がよいでしょう。信用保証協会保証付融資は銀行にとってリスクが少なく、プロパー融資を行う銀行と信用保証協会保証付融資を行う銀行を分けることはバランスが悪くなってしまうからです。

 

(3)一括返済の融資が返済できない場合どうするか

私の会社にかかってくる資金繰り相談電話の中で、多くあるご相談が、「銀行に6月10日に、手形借入で借りていた1千万円の一括返済の期限がくるが、返済資金がない」というように、一括返済の融資が返済できない、というパターンです。

この場合、どうしたらよいでしょうか。

  • ×良くない方法の一つは、銀行へ融資を返済するために、高金利でマチ金などからお金を引っ張ったり、友人・親戚などからお金を借りたりすることです。

  • ×銀行にお金を返せないより、マチ金や友人・親戚などへお金を返せない方が、やっかいです。マチ金の取立ては銀行よりずっと厳しいし、もしくは友人・親戚との人間関係をこわしてしまうことになってしまうからです。

  • この場合、とるべき方法は、銀行に、本来なら一括返済するものを、分割返済にしてもらうよう交渉することです。
    しかし気をつけなければならないのは、その分割返済額をどうするか、です。

    例えば、1千万円を6ヶ月、毎月160万円ずつ返済すると銀行に簡単に約束してしまうと、それだけ返済して資金繰りがまわるのならよいのですが、そうできるだけの資金繰りではないから、一括返済ができなかったのです。
    会社が存続可能な余裕のある返済額に交渉しましょう!

 

(4)毎月返済500万円→毎月150万円、で払っていけるのか

  • ・銀行から融資を受けたら、その返済は、キャッシュフローで行っていきます。
  • ・キャッシュフローの計算方法ですが、正確に計算するのは大変なので、ざっとしたキャッシュフローを見るために、以下の計算式で簡易的に 計算することができます。

キャッシュフロー=当期利益+減価償却費

■なぜリスケジュールを行っても、資金繰りがまわらない企業が多いのか。


  • ■キャッシュフローを意識してリスケジュール交渉を行っていない。
  • ■現状の会社のキャッシュフローがいくらであり、そのキャッシュフロー内で返済を行うには返済金額をいくらまで抑えるべきか。
    それを意識したリスケジュール交渉を行っていないから、中途半端なリスケジュールを行って、資金繰りがまわらなくなってしまうのです。

 

(5)ハシゴを外される・・・

融資が全く受けられなかったり、受けられても年間で10百万円や20百万円で、50百万円に届かなかったり、と。こういった場合、リスケジュール、つまり返済減額交渉、を行うしかありません。

ただ、なぜこのように、いきなりハシゴを外される、つまりいきなり融資を受けられなくなるのでしょうか。原因は、次のようなものがあります。

  • ・損益で赤字を出した。
  • ・赤字を出して債務超過(貸借対照表の純資産がマイナス)となった。
  • ・黒字であるものの、売上が増えていないのに売掛金や在庫が大きく増え、銀行にとってあやしい動き(粉飾決算?)と見えた。
  • ・前期決算に比べて、売上が増えていない、設備投資も大きくしていないのに借入が大きく増えた。(借入が赤字補てんにまわった?)
  • ・代表者や関係会社への貸付金が大きく増えた。(銀行融資が転貸された?)
  • ・銀行の融資審査がいきなり厳しくなった。
    (最近、三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行はビジネスローンの審査を厳しくしています。りそな銀行・みずほ銀行はビジネスローンの取扱いをやめました。信用保証協会保証付融資は、責任共有制度開始で銀行のリスクが増えており、審査が厳しくなっています。)

など、いろいろな理由が考えられます。

~いきなり融資が受けられなくなることを防ぐためには~

■きちんと経営を行う
■余計な節税をせず利益をきちんと上げる
■借入した資金を代表者へ流用しない
■余計な別会社を作って資金を流出させない
■経営者としてあたりまえのことをあたりまえに行う。

そういった経営努力を行わないと、銀行からいきなりハシゴを外されることになります。
まだ融資が受けられているからと、安心しては絶対になりません。

 

(6)ただ担保を差し出すな!

あなたの会社に、担保となっていない不動産がある場合、銀行から、その不動産を担保に入れてほしいという話をされることは多いのではないでしょうか。 しかし、その不動産をやすやすと担保に差し出してはなりません。

あなたの会社と銀行とは、あくまでビジネスの関係、対等な関係です。 担保を入れるなら、その見返りはあるべきです。

その場合、新たな担保を差し出す条件として、新たなプロパー融資を出してくれるなら、としてみてはどうでしょうか。 また融資の金額は、その不動産の時価と同額程度ぐらい、交渉してみるべきです。

ただこの場合、気をつけなければならないのは、その1億円の融資をA銀行は出してくれるにしても、短期の一括返済や、半年・1年分割返済など、短期で完済してしまう条件で融資を受けないことです。

銀行が、短期の一括返済や、半年・1年分割返済の条件で融資を出す、と言っている場合、銀行は、早期に完済させ折り返し融資は出さず、結果、もともとの融資総額2億円の保全を図れた、という状況を目指しています。

また1つの銀行に担保を差し出す際、気をつけなければならないのは、他行の目、です。 メイン銀行であるA銀行に新たな担保を差し出すのなら、まだ説明はつくでしょう。 しかし、例えばC銀行に担保を差し出すと、当然、A・B・D各銀行は、不公平感を抱いてしまい、今後の融資取引に支障が出てしまいます。

新たな担保を差し出すのなら、やはり理由付けは必要です。

 

(7)プライムレートの意味

(Q)
(旧)長期プライムレートと新長期プライムレート、短期プライムレートのそれぞれの意味を教えてください

(A)
・(旧)長期プライムレート
長期信用銀行や信託銀行の、信用度の高い一流企業に対する「長期(1年超)」の「最優遇貸出レート」のことです。
金利は、各行が独自に決めることになるのですが、みずほコーポレート銀行が発行する「みずほコーポレート銀行債券(5年物利付金融債)の表面利率に0.9%上乗せした金利に設定されるのが一般的です。
・新長期プライムレート
「短期プライムレート」に一定水準を上乗せした「レート」で、「短期プライムレート」の変動にともない変動します。これは、短期金利が長期金利を上回ると、短期の調達手段しか持たない都市銀行などの一般銀行が長期の貸出をした場合、調達するコストの方が高くなり、収益を圧迫することになるため、短プラに連動する長期金利新長期プライムレートが設定されました。例えば新長プラは、期間3年以内で短プラ+0.3%というように、各銀行ごとに決められます。
・短期プライムレート
短期プライムレート(短プラ)は、都銀など一般銀行の、信用度の高い一流企業に対する「短期(1年以内)」の「最優遇貸出レート」です。
このレートは、各銀行ごとに、調達コストをベースに金利動向や利益などを勘案し決められています。

 

(8)担保を外したい

(Q)
600坪の工場を移転して高令者用賃貸住宅を建てたいのですが、日本政策金融公庫の担保になっています。
是非ともはずしたいのですがどうすればはずしてもらえますか600坪の土地に住宅金融支援機構から融資を頼みたいのですが、日本政策金融公庫の担保をはずして住宅金融支援機構に担保を付けなければなりません

(A)
日本政策金融公庫に、残りの融資を全額返すことができれば当然よいのですが、それが難しいから相談されていると思います。
その土地を、日本政策金融公庫が担保価値をいくらで評価しているかがカギとなります。その評価額を推定し、金額を決めて日本政策金融公庫に相談します。その金額を支払うから、全額返済はできないが担保は外してほしい、と交渉します。そうすると、日本政策金融公庫も交渉してきて、返済する金額がいくらで妥結できるか、前に進みます。そして日本政策金融公庫と妥結したら、その金額を返済して担保を外してもらいます。
ただこの場合も、その金額は用意しなければならないことになります。ただでは担保を外してもらえません。

 

(9)ベンチャー企業の資金調達

(Q)
ベンチャー企業の間接調達についてご相談は可能ですか?
現状、借り入れは無いのですが開発、広告等で出費がかさみ、ビジネスモデルで日本政策金融公庫に話したところNGでした。
そこで経費を切り下げ今年度中には単月黒目的でチャレンジをしぼっていますが、いざ貸せないとなっては事業継続ができないので早めの措置を考えて行動しています。

(A)
創業してまだ若い会社、売上が少ない会社は、基本的に融資は
 ・信用保証協会保証付融資
 ・日本政策金融公庫
この2つで融資を受けることになります。
これらの機関から融資を受けやすくする方法は、黒字になる事業計画を作ることです。
ビジネスモデルの説明だけでは不足で、メイン資料は、今後3年ぐらいの損益計画(月次計画)で、それに付随してビジネスモデルなど、どのようにその数字を上げていくか、というものにしないと、相手は積極的になってくれません。

 

(10)定期預金を解約できるか?

融資を受けている銀行において、企業としては定期預金は作らないのが原則です。

ただ融資をしている銀行としては、保全の一つ、つまり返済ができなくなった時にすぐに相殺できるように、定期預金を作ってくれ、と言ってきます。
そうやってやむを得ず、定期預金を作ることも多いでしょう。

融資を受けている銀行においての定期預金は、次の2つの形があります。
・担保としてとられている定期預金
  • ■定期預金を担保とするには、質権設定契約書を交わし、定期預金の通帳や証書を銀行に差し出します。
  • ■定期預金は、担保としているのであれば、融資が返済されないかぎり解約することはできません。
・フリー定期預金
  • ■フリー定期預金は担保となっていないため、企業側の意向で、解約することができます。
    しかし、そのような定期預金を解約しようと思って銀行の窓口に行っても、後ろから預金係の役席行員が出てきて、解約したい理由を尋ねられ、解約を引き止められるケースが多いでしょう。
    理由はもちろん、融資先企業が融資返済できなくなった時のための保全を確保しておくためです。
  • ■しかし、フリー定期預金の解約はあくまで、預金者の自由です。フリー定期預金を解約しようとして銀行の引止めに合ったら、一度であきらめず粘り強く交渉して下さい。

いっとき、現金預金が豊富で定期預金を作りたいと思っても、それは融資を受けていない銀行にて行うべきです。いつでも解約しやすいような体制を心がけるべきです。

 

(11)別会社での新規融資

(Q)
先代から業務内容を変更し引き継いだ会社を経営しておりました。
会社ではすでにリスケ状態だったところに私が代表に就任、去年の10月に1800万円あった借金のうち保証協会分1000万円を返済、その後支払いを通常払いに回復し保証協会分残債60万円、政策公庫600万円という状態までもって来ました。
銀行にも政策公庫にも先代(現在故人、義母所有)の不動産が根抵当に入っている状態です。
先代の残した借金の支払いに追われ、新規融資がおりず、会社の経営が好転しない状態を打開するべく、新たな環境で心機一転頑張るために新しい会社を2月に起業しましたが政策公庫から融資を受けられますか?

(A)
信用保証協会保証付融資、日本政策金融公庫からの融資の返済が、リスケジュール状態から脱し、通常の状況に戻っているようですから、リスケジュールの状態がネックになることはなく、この会社でも、新しい会社でも、融資は可能でしょうね。
ただこの場合、信用保証協会や政策公庫での融資制度である創業融資は、使えません。ただ別会社を作っただけであり、創業とは言えないからです。
そのため通常の融資を考えることになるのですが、新会社の業績、それともともとの会社の業績を見られての審査になるでしょうね。

 

(12)民事再生後の資金調達

私たちが、厳しい状況の中小企業経営者からご相談を受ける中で、たまに「民事再生を行えば再生できるんだ。」と考えていらっしゃる経営者がいます。

実際中小企業が民事再生法を使って再生を果たすことは、困難なことが多いです。

  • ■民事再生法申請を行うと、銀行等金融機関や仕入先等取引先に、債務をカットしてもらうことになります。
    そうすると、債務をカットされた金融機関からは今後の借入れが困難、というより不可能になりますし、債務をカットされた取引先からは今後の取引拒否、もしくは取引拒否されなくても、現金支払いを要求されることになります。

そうなると、民事再生法を申請する企業においては、必要なものは「資金」となります。

民事再生法を申請したからといって、資金の不安から一気に開放されるわけではないのです。民事再生法を申請した企業こそ、その後の資金繰りをどう行っていくか、考えていかなければなりません。そこで、次の2つの手が考えられます。


  • ・スポンサーをあらかじめ探しておくか、民事再生法申請を行った後にスポンサー探しに動き、資金を支援してもらう。
スポンサー候補となる企業も、ビジネスでやっているのですから、当然、民事再生を行おうとする企業を傘下におさめることのメリットがないといけません。 民事再生を行おうとする企業が、事業自体は利益が出ていたり、魅力的な顧客を抱えていたり、魅力的な技術力があったりと、メリットがなければ、なかなかスポンサーはつきません。 そのため、民事再生が頭にある経営者は、まずは自社が、外から見て魅力的と言えるかどうか、考えてみなければなりません。
  • ・民事再生法を申請した企業向けの融資を受けられないか検討する。
日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫・中小企業金融公庫等)の「事業再生支援資金」「企業再建・事業承継支援資金」、商工組合中央金庫の「事業再生支援貸付」、信用保証協会の「再建企業向融資」など、政府系金融機関が、民事再生企業向けの融資制度を用意しております。
しかし融資制度があるといっても、現実的に審査が通るのはなかなか困難です。

私たちが、厳しい状況の中小企業経営者にいつも伝えているのは、破産や民事再生などの法的整理を行う前に、再生に向けてやれることはいっぱいある、ということです。

「民事再生」という言葉が一人歩きし、どんな企業でも民事再生法によって再生できるんだ、という誤解を持っている経営者は多いのですが、民事再生の現実をよく考えてみてください。

 

(13)まとめての借換え?

  • ★毎月の返済金額を、借換えによって減額することができます。しかし、借換えを行うにしても同じ銀行内で行うべきです。

例えば、A銀行の1.5億円の借入の明細が(ここではプロパー融資か保証協会保証付融資かは考えないこととします。)
9,000万円 残り返済回数30回 毎月300万円返済
4,000万円 残り返済回数20回 毎月200万円返済
2,000万円 残り返済回数10回 毎月200万円返済
合計、毎月700万を返済しています。

これを、3,000万円上乗せして1.8億円で全部を借換えし、返済回数を60回とすると、毎月返済金額は300万円となり、借換えの効果が出ます。
(この場合、条件変更とみなされ格付が下がる可能性もありますので、そうならないようあらかじめ銀行と話合っておきます。)

このように、借換えは同じ銀行内で行うべきです。なぜなら、借換えにより別の銀行の融資を返済すると、その別の銀行としては、恥になり、おもしろくないからです。
銀行に、企業がケンカを売ることになり、その銀行との関係が悪化します。

また、融資を受ける銀行は、できるだけ多くすることが基本です。
理由は、
 ・1つの銀行が1社に対して融資できる量は、リスク分散の観点から限りがある。
 ・1つの銀行だけだとその銀行が融資を渋った時に打つ手がなくなる。

 

(14)日本政策金融公庫・民間銀行・信用保証協会間の情報のやりとり

(Q)

当方アパレル関係の小売りで開業21年目の個人事業主です。
ただいま地元信用金庫(1社)で4口(1口はプロパー、3口は保証協会付き)と日本政策金融公庫で2口の借入があります。
3年ほど前までは業績もそこそこで両庫とも融資依頼を断られたことが無く、お願いする度に何らかの形で融資を実行してくれましたが、同業の身内(経営は全く別)の倒産もあり、信金はH18年3月を最後に再三の融資依頼にもかかわらず、融資を出してくれなくなりました。

その倒産による保証人債務(約300万)をかぶってしまい、貯蓄や保険を取り崩したり、妻の親に無心をしたり、幸いなことに長年取引のあるメーカーの協力(仕入掛率のダウンや売れ残り品の引き取り、買掛金支払いの延長など)で何とかやってきました。
インターネット販売をH18年より開始し、実店舗での来店客数・売上減少にも関わらす、昨年はトータルで開業以来最高の売上高を出し、融資を断り続けられた信用金庫も2年半ぶりの今年8月に市の小口資金で500万(保証協会付き)を実行してくれました。
しかし、その資金も現在は、返済や買掛金の決済・新たな仕入用運転資金であっという間に底をついてしまいました。
そこで毎月の返済額があまり変わらない日本政策金融公庫で借入(借換え)をしたいのですが・・・・・

H19年度は申告書も以前より改善され、H18年8月の融資分と、あと4ヶ月ほどで返済完了する計2口の融資残の合計もMAX時の半分以下となりました。
ただし、昨年の10月と今年の1月の2回、前回の融資実行から間もないことと、信金を含めた借入残が多いとのことで、融資依頼を断られた経緯があります。
この夏の信金での融資と時期が近いため、その融資を受けたことが日本政策金融公庫でのマイナス材料にならないのかが不安です。
日本政策金融公庫と他の一般銀行や信用保証協会の情報のやりとりはあるのでしょうか?

(A)

日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫・旧中小企業金融公庫など)と、民間の銀行や信用金庫、信用保証協会間では、

日本政策金融公庫―民間の銀行や信用金庫→情報のやりとりなし

日本政策金融公庫―信用保証協会→情報のやりとりなし  

民間の銀行や信用金庫―信用保証協会→オンラインの情報のやりとりはないが、民間の銀行や信用金庫は、信用保証協会に対し、どこの銀行でどれだけの保証を行っているか照会をよく行っているとなります。
信用金庫で融資を受けたことは、直接は日本政策金融公庫では分かりません。

しかし日本政策金融公庫はおそらく御社の銀行通帳等の提出を要求してくるので、それで分かってしまう可能性があります。もしくは日本政策金融公庫に提出する御社の借入一覧や試算表などでも借入事実を知られてしまう可能性があります。
また、御社は手元預金を潤沢にしていく必要があります。あなたは、「借換え」を考えているようですが、新たな融資が受けられ、それと合わせ既存の融資を返済しないですむのなら、それにこしたことはありません。
第一に、手元の預金を増やすことを心がけてください。

 

(15)親族のしがらみ

中小企業の中には、親子・兄弟・親戚など、親族が多く関わっているところも多いかと思います。
親族で固めた経営のメリットは、会社の目標に一丸となりやすいところでしょうか。
ただ、デメリットも多いのが同族経営です。

同族の役員や社員などは、なかなか辞めてもらうことが、できません。
仕事をしっかりやってくれてるとは言えないが、親族であるから、しがらみがあって、会社が危機的状態になっているのに、辞めてもらうこともできない、そのようなケースは多くあります。

対策
  • ◎会社に関わる親族を集めて、親族会議を行うのも手です。
    会社の窮境を打ち明け、どうやって会社の立て直しを図っていくか、経営者だけでなく親族間で問題を共有することにより、親族も協力的になってくれることが期待できます。
    今まで仕事にやる気がなかった親族社員が、やる気を出してくれるかもしれません。
    親族会議では、会社の立て直しのために、経営者以下、体制を固め、一丸となって会社再生に進んでいくことを確認します。
  • ◎このままでは会社が倒れてしまうことを訴え、赤字の黒字化のためには人をスリム化することが必要であることを訴え、協力してもらいます。
    後に遺恨を残さないのは無理がありますが、何も話し合いしないで一方的に辞めてもらうより、じっくり話し合った上での方が、その後すっきりすることでしょう。

注意!
同族企業の経営者の方、やりにくさはよく分かります。しかし、危機的状況だからこそ、会社存続のため、経営者としてのリーダーシップ、それと決断力が求められるのです。

 

(16)旧債振替

■旧債振替という用語は、銀行から融資を受けている会社の経営者でしたら、覚えておきたい用語です。

旧債振替とは
信用保証協会保証付融資(以下保証付融資といいます)で受けた資金を、その銀行の既存の融資の返済にあてること、を言います。

 

新規の保証付融資で既存の保証付融資を返済(つまり借換え)することは、企業・銀行・信用保証協会での事前の打合せの上、よくあるケースなのですが、新規の保証付融資で既存のプロパー融資(ビジネスローンもプロパー融資の一つです。)を返済するのは、後々大きな問題となり、信用保証協会は銀行に代位弁済することを拒否するのです。 なお、同じ銀行のプロパー融資を返済してはだめですが、別の銀行のプロパー融資を返済するのは、旧債振替とはなりません。

【旧債振替の例】

  • ・保証付融資を受け、その資金で分割返済のプロパー融資をまとめて返済した。
  • ・保証付融資を受け、その資金で一括返済のプロパー融資を返済した。
  • ・保証付融資を受け、その資金で、手形割引を以前行って不渡りになり銀行から買い戻し請求されている手形を買い戻した。

【今回の緊急保証制度で保証がおりやすくなった今、心配していることがあります】

  • ・企業にとっては、プロパー融資が保証付融資に置き換わっていくことになり、保証付融資の枠が少なくなり、不利になるのです。銀行は逆に、プロパー融資が保証付融資に置き換わっていくので貸倒れリスクが少なくなり有利になります。
  • ・保証付融資は、プロパー融資より審査が通りやすいので、なるべくプロパー融資を優先させて、保証付融資の枠は後々のためにとっておくのが、銀行つきあいのセオリーです。
  • ・相談にこられる会社にも、旧債振替ギリギリとなっているケースが見受けられます。
    そのような事実があるのであれば、そこを銀行に対する交渉のカードとして企業側が使えるのかもしれません。

 

(17)消費者金融4社より300万円借り入れがあります。保証協会の審査は通りますか?

(A)
信用保証協会は個人信用情報は見ないので(見れる状態にはあるが見ない)個人で消費者金融を借りているということは分からないでしょう。(絶対ではないですが)。
消費者金融のことは気にせず、信用保証協会保証付融資を申し込んでみてはいかがでしょうか。

 

(18)保証協会に代位弁済してもらった場合、借り手側の有利になる事と不利になる事を教えて下さい。

(A)

信用保証協会に代位弁済(代弁)されるとは、信用保証協会保証付融資が、延滞になってリスケジュール交渉を行わずそのままほっておくと、保証協会が企業の代わりに全額返済(代位弁済)して、債権者が銀行から保証協会に移ることを言います。
代位弁済を行うと、有利になることは、リスケジュールの段階に比べ支払いが楽になることです。
リスケジュールの段階では減額した後の元金返済金額に加え、利息は全額支払わなければならないですし、また保証料も、融資残高が残っている分、支払っていくことになります。

一方代位弁済後は、元金と利息を合わせた額をベースに、いくらずつ保証協会に返済していくかを決めるので、支払いは一気に少なくなります。
代位弁済を行うデメリットは、その保証協会での残高が残っているうちは保証協会から新たな保証が受けられないこと、代位弁済した銀行においては今後融資を受けることができないこと、また不動産担保を入れていれば競売に移行することが通常であること、保証人に取り立てがいくこと、となります。そのため、守りたい不動産であればそれを守る対策、また保証人の資産状況を見た上での守り固めを早いうちに行っていく必要があります。

 

(19)信用保証協会保証付融資の流れ

協会付融資の流れのイメージは1.~8.になります。

1.融資を受けたい企業から、協会融資の申込みがなされます。
  • 2.担当行員が借入申込書を作成して、「渉外担当⇒渉外役席⇒融資担当⇒融資役席⇒支店長」と借入申込書が回覧されて支店内決済がなされます。(所要日数イメージは3日程度)
  • 3.支店内決済で本案件の取扱いを認める場合は渉外担当行員が取引先に支店内決済が下りた旨を伝えて、協会の申込用紙に署名捺印をいただきます。
    書類を預かってから金融機関の所見に取引先の取引状況や業況などを記入し、職印(銀行の支店長印)を押印して協会に書類を送付します。(所要日数イメージ3日程度)
  • 4.協会に書類が届き保証課の担当者が審査に入ります。事前審査として申込人の協会利用残高・既保証返済状況を確認します。仮に、今回の申込金額+既保証残高の合計が保証限度額超過の場合や直近1年間において月超え延滞が定期的に発生したり、保証申し込み時点で延滞がある場合は保証限度額内での再申込みや延滞解消をしない限り審査はしてくれません。
    次は申込み案件の本審査に入りますが、申込金額が企業規模に合っているのか、お金の使い道の妥当性があるのか、直近の決算状況・決算から3ヶ月を超えている場合は試算表を精査して申込人の返済可能性を判断します。また、許認可対象業種の場合は許認可取得の有無や有効期限を必ず確認します。
    以上の内容を総合的に判断して問題ないと判断した場合は上司の保証課長に申請を上げて決裁がなされます。 (所要日数イメージは一概には言えませんが、2~3週間程度が一般的と言われております。)
5.保証決定のお知らせについては原則、申込銀行に保証書を送付します。(所要日数イメージは3~5日程度)
  • 6.保証書が申込銀行に到着してから融資係が銀行本部に融資の稟議書を作成します。(所要日数イメージは3日程度)
7.本部の審査部が稟議書の審査をします。(所要日数イメージは2日程度)
8.本部稟議が可になって融資実行になります。(所要日数イメージは2日程度)

この一連の流れを見ていただいても分かるように、協会をからませた融資の場合は通常のプロパー融資と比較しても3.~5.の部分の工程が必要になりますので、2~3週間程度の時間が余分にかかってしまいます。

このように融資実行までにどうしても時間を必要としてしまう協会付融資ですが、4.の時間を短くする方法がないわけではありません。


■信用保証協会に行ってみよう
  • ・まずは保証協会に定期的に訪問するように心掛けて下さい。
  • ・銀行員は融資先企業のことを全て理解している訳ではありません。
  • ・その中で銀行員が、融資先企業のポイントを協会に上手く伝えることができなくて、保証協会から保証が得られなかったことをよく聞きます。
  • ・ですからこのようなことがないように、年に1回は決算書ができ上がった段階で、必ず訪問をするように心掛けて下さい。

定期的に保証協会に訪問して、自社の内容を直に伝えておき融資申込みをしていれば、協会の担当者も濃い情報収集ができるようになりますので、審査スピードが速くなる場合があるのです。

(Q)
私は東京都内で内装工事業を営んでおります。
年商は1億6千万円程度で、現在借入れ残高として信金に1,900万円と日本政策金融公庫に300万円程があります。
返済は何とかこなしてきましたが 取引先の倒産や赤字物件の工事や未払い金が増え、下請け業者への支払いの遅れが出てきました。
そんな中、税務署から5年前の申告漏れを指摘され 重加算税を含め700万円程度納めろと言ってきました。
納付計画書も作成しましたが、毎月の納付金額が少なすぎると、受付けてくれません。
銀行から借入れて納めようと思いがんばってますが税金の未納部分で信用保証協会からOKの返事が取れません。

(A)
税金の未納があれば、信用保証協会の融資審査に引っかかってしまいます。
この場合、700万円をどこかから調達して税金の未納部分をなくし、保証付融資を借りる、しかありません。
もしくは税務署との交渉においては、月30~40万円程度は、納付金額がほしいところですし、それを認めさせるにも経営計画により税務署を納得させられる納付計画書にしたいところです。
それにしても、年商1億6千万円ですから、借入総額は5,6千万円ぐらいあっても普通です。それが現在、2,200万円しかない、一方でいろいろな方面で未払いがある、ということは、あなたの会社の資金繰り対策がうまくなされていない、ということが想像されます。 借入はもっと可能であったにも関わらず、起こすべき借入れをせず、そして資金繰りが厳しい。
ここは、財務管理体制の整備を考えるべきだと思います。
今回の件をきっかけに、今一度、自社の財務管理体制を見直してみてください

 

・大都市に進出している地方銀行をねらう

地方銀行の東京支店、大阪支店など、大都市に進出している支店は、その銀行で融資量を稼ぐ役割を担っている支店、という位置づけである場合が多いです。

例えば四国地方の銀行は、大阪に支店を多く出しています。
なぜなら、地元の四国では融資を出すところが少なく、大阪に出ていって大阪の企業で一定の売上規模の企業に融資を出すことにより、融資量を稼いでいます。
融資量が大きくなると、利息収入が多くなります。つまり融資量を稼ぐことによって、銀行の一番の収益源、利息収入を稼ぐことができるのです。

例えば、愛媛県の銀行の大阪支店があるとします。

・愛媛県に工場がある大阪本社の会社
・社長が愛媛県出身である大阪本社の会社
・愛媛県の会社と大きな取引のある大阪本社の会社

などが、その愛媛県の銀行の大阪支店と取引しやすいのです。

あなたの会社が東京・大阪など、大都市にあるのであれば、このようなつながりを考えて、地方銀行で進出してきている支店との取引をねらってもよいでしょう。

その支店としても、地元とつながりのある企業であれば、そうでない企業より、取引開始の言い分を、本部に伝えやすいのです。

 

・返済の延滞をするとどうなる?

銀行から融資を受けている中小企業の経営者であれば、誰でも不安に思うことは、融資の返済を延滞するとどうなるか?ということではないでしょうか。
これをお話するに、まずみなさんに、知っておいていただきたい用語があります。

それは期限の利益
期限の利益とは、例えば3,000万円の融資を5年(60か月)分割返済の条件で受けるとします。
返済の側面から見てみると、この融資を受けても、1日後すぐに全部返済しなさい、ということにはならないですよね。
60か月、月に割って50万円ずつ、返済してもらえばよいですよ、ということになります。
これを、債務者から見て1か月ごとの各期限(=約定返済日)まで銀行は返済を待ってくれて、すぐに全部返せ、とは言ってこないということなので、期限の利益、とよびます。

 

返済を1日でも延滞すれば、「金銭消費貸借契約書」には期限の利益を喪失する、と書いてあります。ということは、残り全部の金額をすぐに支払いなさい、ということになります。それができなければ、競売、差押え、など次の手がうたれる、ということになります。

しかし実務上は、1日延滞しただけで銀行がすぐに手をうってくることはまずないです。

  • ①また延滞して、ケースバイケースですが3か月程度ほったらかしにしておくと、銀行から催告書といって、融資の返済を促す通知を送ってきます。
  • ②また信用保証協会保証付融資においては、原則90日延滞すれば、一定の冷却期間をおいたうえで銀行は信用保証協会に代位弁済を請求することが可能となります。早いと延滞後6か月程度で代位弁済されます。そうなるとその後は企業と信用保証協会との交渉となります。
  • ③ただ、そのような状態になっても、銀行と交渉してリスケジュール、つまり毎月の返済金額を減額する交渉を行って同意をもらえば、延滞状況が解消され、銀行の同意を得た返済金額の減額状況となり、銀行は矛先を収めてくれます。

必要なのは、何よりも銀行と向き合うことです!

銀行に、なぜ業況が悪くなって返済できなくなったのか、今後どうやって改善を行って利益体質を作って返済を再開できるようにするのか、それを書面で分かるようにして説明し、リスケジュールの応諾をもらえるように交渉します。

 

・社会保険の分割納付交渉

(Q)
弊社は数年前に社会保険を滞納しておりました。
いろいろと催促をされまして、今は毎月銀行引き落としになっておりますので、毎月きちんと納めております。
また滞納分も毎月10万円ずつ返済しており、残り500万円弱になっております。(当時は1,000万円弱ありました)
この滞納に、遅延金が発生しておりまして、現在800万円程になっております。
金利も14%程と非常に高く 払う気にもなりませんし、払える額でもありません返済計画書を提出するようにと、書類が届きました。
やはり支払わなければならないのでしょうか?なんとか安くすることはできないのでしょうか?

(A)
社会保険料の遅延金を安くすることはできません。
少しずつでも、払っていかざるをえません。
どのように分割するか(弊社の事例では20回以上分割にできたこともあります)、返済計画書、それとそれを補完する事業計画書と資金繰り表も資料として作成し、年金事務所に相談してください。

 

・代表者への貸付金

(Q)
資本金5,000万円・年商2億円の株式会社です。
銀行借入以外に、個人的な知り合いや、ノンバンク等からも多額の借入をしています。
しかし、決算書に記載すべき内容ではないと考え、代表者勘定で処理をしています。
しかし、返済時、利息が高額になり、代表者に対する貸付が多く残った形になります。
銀行融資に際し、代表者勘定の内容を問われた際に、上記の理由を説明すれば、納得するものでしょうか。
また、代表者への貸付は、どの程度の金額までなら決算書上、マイナスに作用せずに済むでしょうか。
代表者への貸付を清算するためには、代表者から現金を入れてもらうほかにどのような方法がありますでしょうか

(A)
知人やノンバンクから借入があり、その利息負担を会社でもった場合、代表者に対しての貸付金が多く発生していることでしょう。
このような理由を銀行に説明はしないでください。代表者が知人やノンバンクから多くの借入が多くあることが分かってしまい、銀行の目が厳しくなるだけです。
また代表者への貸付金の程度ですが、少ないに越したことはありません。
代表者への貸付金は不良資産として見られるのが普通なので、その貸付金を純資産から減らしてみてその結果純資産がマイナスとなれば、実質債務超過と見られるので、融資審査において大きな不利となります。
代表者への貸付金を清算するには、「貸付金清算プラン」といった、生命保険を使った方法を使うことが多いです。

 

・私募債について

私募債のメリット
  • ・償還が一括償還もしくは6カ月ごとなどの条件のため、資金繰りが楽になる。
  • ・私募債が受けられる企業は財務内容が一定の条件を満たしている企業であり、信用力のある企業という証明になる。
  • ・資金調達手段の一つである社債のノウハウを得られる。
デメリット ・償還時にまとまった金額が必要となるため、その準備をしておかなければならず、それができなければ融資での調達を考えなければならないが、その時に融資が受けられない場合はどうするかを考えなければならない。(これは通常の融資を受けた場合にも言えますが・・・)

融資の場合は、返済が困難となった場合リスケジュールという手段がありますが、社債ではそれがなく、デフォルト、つまり債務不履行ということになっていきます。 これらメリット・デメリットを考え、どうしても私募債を導入したいのかどうかを考えてください。

 

・経理財務担当者の憂鬱

弊社にご相談いただく方の1割は経理財務部門の方(残り9割は経営者の方です)ですが、 そのような方々からご相談をいただいていて、いつも思うのは、

経理財務部門の方がいくら、自分の会社をなんとかしようと動いても、経営者が動かなければ、何も変わっていかない。

本当なら社長が危機感を感じて、なんとかしよう、と動いていかなければならないのに、社長よりも経理財務部門の方が危機感を感じ、動いている中小企業が多く見られます。

【しかし、経理財務部門の方はいかんせん、決裁権がありません。社長が決断してくれなければ、何も動いていきません。】

コンサルタントの私たちでも、一番難しいのは「人の考え方を変えること」です。社長の考え方が「自社をなんとかせねば」というように変わらなければ、何も動いていきません。
では、社長がいつ、そのような意識を持つか

今月の支払いが足りないなど、本当に最大の危機状態に陥った時にしか変わらないことが多いです。

経理財務部門から社長に忠告がある時は、最大の危機に陥ってしまう前にすぐに対策をうつべき時なんです。

 

・親戚・知人からのお金の借り方

なぜ、親戚・知人にお金を貸してほしいと頼んでも、断られてしまうのか。
お金を貸してほしいと言われる方の立場から見ると、分かるでしょう。
お金を貸してほしいと言われたら、まず考えるのは、「本当に返ってくるのか?」です。

では、親戚・知人が最後の頼みの綱で、お金を貸してほしいと頼む際に、貸してくれやすい頼み方、貸してくれにくい頼み方、を考えていきます。

貸してくれにくい頼み方
ただ単に「お金を貸してください。」と言うことです。 「どうやってお金を作るか、何も具体策がないじゃないか。本当に返ってくるのか?」と疑問に思うのが普通でしょう。

 

貸してくれやすい頼み方
次の資料を用意します。
  • ・自分の会社をどうやって立て直していくのかを書いた経営改善計画書。そこにはむこう3年ぐらいの月次損益計画と月次資金繰り表を入れる。
  • ・その資金繰り表をもとに、親戚・知人から借りたお金をどうやって返していくかを書いた返済計画。
  • ・借用書
    お金を貸してほしいと頼まれた親戚・知人としては、返済計画があり、またその根拠が経営改善計画や資金繰り表で分かりますので、貸したお金が返ってくることの不安が少なくなります。
    また借用書を交わし、どうやって返していくかをその借用書の中で書いておくことによって、貸した方としてはお金が返ってくることに確信を持てます。

 

このようなものを用意してお金を借りに行くのとそうでなくお金を借りにいくのとでは、相手の受ける印象は大きく違うでしょう。 大金を借りようとするのですから、借りるための準備はしっかりするべきです。

親戚・知人からお金を借りるのは、最後の手段です。

  • ×決して、赤字を補てんするために使ってはなりません。
    銀行へ返済するために使ってはなりません。
    赤字補てんや銀行返済のために使うと、またすぐに、「お金が足りなくなった。どこか借りることないか。」ということになってしまいます。

○会社立て直しのために大事に使うようにしてください。

 

・融資を希望金額どおりに出させる方法

■私たちが多く受ける相談の一つに、
 「融資は受けられたが、希望金額より少ない金額になってしまった。」というものがあります。

ここで、銀行員の心理を考えてみます。
  • ◎銀行の審査において、融資が出る金額というのは、これだけは絶対に出る、というものはありません。
    なんとなくこれだけ出る、というものです。結構、感覚で決めるところが大きいのです。
  • ◎また、企業から言われた融資希望金額より少ない金額で審査を通すと、後に万が一貸し倒れとなった場合、上から審査の適切さを問われても、「今回は貸し倒れとなったが、審査はしっかり行った。」
    という言い訳がしやすくなります。貸し倒れの事態も想定して、希望金額より少なくして審査を通した、という言い訳がしやすくなります。
では企業としては、どうしていけばよいでしょうか。

単純に、経営者が本当に希望する金額より多めの金額を、融資希望金額として銀行に伝えることです。

2,000万円を融資してほしいのなら、そのまま2,000万円を融資希望金額として伝えると、減額して1,500万円や1,000万円にされやすいです。
それであったら、希望金額を3,000万円で伝えてみます。
そうすると、減額されて、実際に経営者が希望する金額ぐらいは出る可能性が高くなります。
このような話を聞いて、経営者としては、なんて単純なんだ、と思うのかもしれません。
しかし実際には、結構効果があるのがこの方法です。

 

・売掛金がひっかかった時

■事業を行ってくると、つきものの問題が、売掛金が回収できない、という問題です。

売掛先が事業を継続している状況で、入金期日に入金がなかったら、その入金があるまでは、その売掛先への販売をストップしたり、もしくは下請けをストップさせたりして、これ以上の売掛金未回収をおこさないようにする対策が考えられます。

しかし現実問題、自社内の、その売掛先への売上ウェートが高かったりすると、なかなか簡単に割り切れないものでしょう。そして売掛金をどんどんふくらませて、結局売掛先が倒産してしまったら、大きな金額を引っ掛かってしまうことになります。

このようなケースにそなえ、やはり売上先を分散させることは必要です。特定の1社や2社への売上ウェートが高かったら、その企業が倒れたら自社も共倒れとなります。そういう事態を防ぐために、売上先の分散は、リスクを抑える上で重要な対策です。

では、売掛先が倒れ、実際に売掛金が引っ掛かってしまったら、どうしたらよいでしょうか。

この場合に、銀行に運転資金の融資を申し込みますが、いつも運転資金の融資を申し込むときみたいに、わざわざ売掛金が引っ掛かったことを銀行に言わず、融資を申し込む方がよいです。

ただ銀行に売掛金の引っ掛かりを気付かれないようにするのは、その銀行からまだ融資が受けられている状況の場合であり、リスケジュールを行っていたりしてその銀行からいっさいの融資が受けられていないのであれば、リスケジュールの継続など銀行の協力をもらうために、あえて売掛金が引っ掛かった事実を企業側から伝えた方がよかったりします。

  • ■ちなみに、売掛金が引っ掛かった場合への備えとして、中小企業総合事業団の、経営セーフティ共済というものもありますので、備えとしてかけておくことも考えておいた方がよいでしょう。

経営セーフティ共済→ http://www.smrj.go.jp/tkyosai/index.html

 

・商業手形割引の金利

(Q)

商業手形割引の金利について。割引金利の基準は短期プライムレートでどの銀行も行われているようですが、短プラ以下になることは可能なのでしょうか?

短プラベースの理由としては、支払期日が異なるので銀行側の資金調達の効率が悪いため、短プラが限度である、と説明を受けました。大手の会社には短プラ、マイナス何%など適用しているのでしょうか?

(A)

割引金利が短プラ以下になることは可能です。しかし、それでも都市銀行の一番低い短プラが限度です。短プラは銀行によってちがいますが、例えばあなたの会社の取引銀行の短プラが1.875%で、都市銀行の一番低い短プラが1.625%であれば、短プラ以下の金利と言っても1.625%が限度です。

短プラ以下の金利が適用されるのは大手というよりも、財務内容の良い会社です。そのような会社には割引の取引を増やそうと、各銀行が金利で競うからです。

 

・担保がついている不動産を売却したい

(Q)

会社(父が社長、私は役員)の経営がこのご時世でご多分に漏れず苦しい状況にあります。経営資金確保の為に会社の不動産の売却を考えていますが、もちろん担保になってます。銀行との協議によって売却が出来る場合、第一・第二抵当権を持つ銀行と信組両方と話をしなければならないと思いますが、どういう交渉をすれば良いのでしょうか?

資産の評価額は1億5千万前後。第一抵当権を持つ銀行の負債が3千万位。第二抵当権を持つ信組はまだ2億以上残っています。この様な状況の場合、もし売った場合でも自社で使えるお金は残らないのでしょうか?

(A)

まず買い希望者を探し、買い希望者に「買付申込書」といって、「私はこの不動産を○○円で買いたいです。」というようなことを書いた書面を作ってもらいます。それをもとに、担保をつけている金融機関と交渉していきます。

まず第一順位抵当権がある金融機関に話をします。そこで、売却してそれを一部返済にあててくれれば担保を外してもかまわないよ、という感触が得られたら、後順位の抵当権設定の金融機関にも話をしていきます。

抵当権を設定されている状態であっても、不動産の「売却自体」は可能ですが、抵当権が設定されている物件に買い手はいないでしょう。売却代金での返済配分案を抵当権を設定している各金融機関に説明し、全て抵当権を外してもらうことに同意を得られたら、やっと売却の実務に入っていくことができます。

しかし、あなたの会社の場合は、売却代金を経営資金に使いたいということです。しかし銀行は、信用のある会社でなければ、抵当権が設定されている金額分、物件売却代金は全て融資返済にあてさせるのが通常です。銀行が、売却代金の一部を経営資金に使ってもよいと言ってくれれば良いのですが、その交渉はなかなか難しいところです。

 

・「保証人」の性質

■銀行融資において、重要なポイントの一つが、「保証人」です。

代表者である保証人に求めるものは しっかり経営して返済を行い、返済ができなくなったら責任をとってほしい、ということです。
代表者でない保証人に求めるものは 保全、つまり企業が返済できなくなったら、変わりに返済してほしい、というところです。

  • ■代表者でない保証人として、例えば
    ・不動産を持っている人
    ・サラリーマンで、勤めている企業が安定しており、勤続年数が3年以上である人など、細かい条件が求められることもあります。
  • ■企業が返済できなくなった局面において、銀行にとって担保は確実な回収手段ですが、保証人はそうではありません。だから、銀行融資において、保証人は気休めにつける程度、のものでしかありません。

  • ■また、保証人について、よくあるのが、銀行が後日、追加で「保証人を新たに入れてほしい」と要求してくる場合です。

代表的なのが、リスケジュール、つまり返済金額の減額の交渉時に、保証人を要求される場合です。
この場合、銀行の要求はつっぱねるしかありません。
「保証人を探しているがなかなか引き受けてくれない。」
などの理由をつけて、要求は受け入れないようにします。リスケジュール時において保証人をつけると、その保証人に最終的に迷惑をかける可能性は、当然高くなります。迷惑をかけてはいけません。

 

・新規の銀行があなたの会社にとびこんでくるようになる方法

新しい銀行から融資を受けたい場合、はじめは銀行の方からあなたの会社にアプローチしてくるようにしなければなりません。

銀行の方から、あなたの会社にアプローチしてくるように「仕掛け」を行いましょう。

それは、帝○データバンクのような企業調査会社の資料です。
銀行には、本部に営業支援の部署があります。
営業支援の部署から、3か月に1回や半年に1回、支店のテリトリー内にある企業のリストが、企業調査会社のデータから抽出され、配布されるのです。 例えば帝○データで、評点が50点以上の企業はそこそこの企業、55点以上の企業は優良な企業という見方をします。
銀行員の新規融資先の開拓の仕方は、このように企業調査会社のデータを見て、という場合が多いです。

■ということは、次の2つが、多くの銀行があなたの会社に新規融資先の見込み客としてとびこんでくる仕掛けとなります。

1.企業調査会社に、あなたの会社の企業情報が掲載されること。
2.企業調査会社のデータで、あなたの会社の評点が高くなること。

 

・根抵当権極度額は減額できるか?

(Q)
担保の書き換えなどはできますか?
たとえば、借入当初に不動産を担保としました。返済が順調に進み残高が当初借入額の半分になったとします。あきらかに不動産担保物件のほうが価値があるとします。この場合、担保の再設定などのようなことは可能でしょうか?

(A)
根抵当権極度額の減額ということで可能です。ただし、その際にかかる費用は負担しなければなりません。ただ、そのような申し入れをしても、銀行から、根抵当権の減額は待ってほしいと言われることは多いです。今後、再び融資を実行したときにその時の根抵当権の極度額が大きければ、融資にともない極度額を再び増額することがなく、手続きが楽だからです。
もし将来、その銀行から融資を再び受けたいということであれば、根抵当権極度額はそのままにしておくのも一つの考え方です。

 

財務ノウハウ(7)

(1)保証協会へ代位弁済される?

(Q)
ある銀行で借入(運転資金)があり、この不況で返済が苦しく、利息のみの返済をしておりましたところ、あるときに「信用保証協会にまわす」といって、銀行員は用意しておりました利息を受け取らずに帰りました。
その後保証協会と話をはじめていましたが、突然その銀行より内容証明で、当座預金に入った売掛金を「利息分として受領した」という通知が来ました。
お尋ねしたいのは、用意していた利息を受け取らずに帰っておいて、当座に入った売掛金を勝手に引き出して利息に充当すると言う行為は銀行としては当たり前の行為なんでしょうか。理不尽な気がしております。

(A)

「信用保証協会にまわす」という言葉の意味は、保証協会に銀行の融資を代位弁済もらうよう手続きする、という意味でしょう。 信用保証協会の保証がついている融資は、あくまで出し手は銀行ですが、それを保証協会に代わりに払ってもらうと、その後は保証協会が、あなたの会社の債権者となり、保証協会と交渉を行っていくことになります。
当初、利息を受け取らなかったということは、代位弁済手続きに入るということが銀行内で決まっていて、その銀行員に、指示があったことと思われます。

また、当座預金に入った売掛金を利息分として受領したことについてですがもとは売掛金であっても、当座預金に入金となったら、当座預金の一部となります。銀行が、延滞となっている融資の利息を当座預金から受領したということであれば、この銀行の行為は法的に特に問題はない行為でしょう。
また状況から、保証協会への代位弁済手続きが着実に進んでいるのでしょう。

あなたの会社が、現時点でやっておくべきことは、保証協会保証付融資の保証人と担保がどうなっているかを洗い出しておき、今後の対策を考えていくことです。
保証協会への代位弁済が行われると、保証人への取立てや、担保の競売手続きが現実的となっていきますので、影響を最小限に抑えられるような対策を考えていく必要があります。

 

(2)信用保証協会の保証枠は合算される?

(Q)
東京都と神奈川県の保証協会で信用保証を受けている場合の無担保保証枠
 8000万円はどのようになりますでしょうか教えてください。考え方としては、
 例えば東京都+神奈川県=8000万か
 東京都=8000万円、神奈川県=8000万円
を最高限度額として保証してもらえるのでしょうか。

(A)

信用保証協会の保証枠は、合算で決められます。
質問の例で言えば、東京都+神奈川県=8000万です。
全国の信用保証協会がオンラインでつながっていて、他の信用保証協会でいくら保証枠を使っているか、すぐに分かります。

なお、保証協会は、企業が支店登記をしている地域の保証協会も使えるので、東京都が本社、神奈川県が支店(支店登記あり)という場合などで、このように複数の都道府県の保証協会を使う場合が起こりうるのです。
もしくは、愛知県信用保証協会と名古屋市信用保証協会のように、「市」にも保証協会がある地域で、名古屋市の企業が愛知県と名古屋市の保証協会を使う場合なども起こりえるケースです。

 

(3)信用保証協会保証付融資が代位弁済となるとどうなるか

経営者の中には、信用保証協会自身が融資を出している、と勘違いされている方もいらっしゃいますが、あくまで融資の資金を出しているのは銀行です。銀行の融資に、信用保証協会が保証をしている、という形です。

信用保証協会
保証
銀行
融資
企業
 
その融資の返済ができなくなり、リスケジュール(返済条件変更)交渉も行わず、延滞のままほっておくと

代位弁済になります。

代位弁済とは、融資の返済ができなくなった企業に代わって、信用保証協会が企業の代わりに、銀行に残額を一括返済することを言います。

代位弁済となると、その代位弁済金額が全額、信用保証協会に返済とならないかぎりは、信用保証協会は保証を付けてくれません。

一方、信用保証協会保証付融資でも、リスケジュールであれば、リスケジュール期間中に利益が上げられる体質になって返済再開ができ、6カ月経過すれば、審査しだいですが保証を付けてくれるようになります。

ここで、次の違いを再認識してください。

延滞は、銀行や信用保証協会に無断で返済をしないことで、ほっておくと代位弁済に移行されます。 リスケジュールは、返済できないならできないで銀行や信用保証協会と交渉し、毎月の返済金額を減額してもらうことです。
延滞をほったらかしにして代位弁済となれば、代位弁済金額が全額完済となるまでは、信用保証協会は保証を付けてくれません。 一方リスケジュールの形であれば、リスケジュール期間中に利益が上げられる体質にして返済を元に戻せば、信用保証協会は保証を付けてくれるようになります。リスケジュールした融資金額を全額返済しなくても。

こう考えると、やはり代位弁済になるよりは、銀行や信用保証協会と交渉してリスケジュールしておく方が、後々のことを考えるとよい、ということになります。

しかしリスケジュールの方は、元金の返済額は減額しても、利息はしっかり支払う必要があります。一方代位弁済の方は、利息も含めて信用保証協会と支払交渉を行うので全体的に支払いの負担は少なくなります。
利息の負担を考えると、企業の資金繰りがよほど厳しい状況であれば、いっそのこと代位弁済として企業の支払い負担を一気に改善する、という手もあります。

いずれにせよ、返済が厳しくなってきて、新たな融資も受けにくくなったら、どうすればよいか対策を考える必要があります。最もいけないのは、何も動かないで、単なる延滞にしてしまうことです。

 

(4)団体信用生命保険(保証協会団信)

法人の代表者に万が一のことがあった場合の後のことを考えるのなら、保険は加入しておいた方がよいでしょう。

(Q)
信用保証協会保証付融資を信用金庫から受けた時、「団体信用生命保険(保証協会団信)」を借入限度額まで行いましたが、加入されない借入者が大半との事で、私の加入した判断は正しかったのでしょうか?

(A)

保証協会団信とは、
「信用保証協会からの債務保証を伴って融資を受けた個人事業主の方が、その債務を全額返済されないうちに死亡もしくは所定の高度障害といった不測の事態に陥られた場合、または信用保証協会からの債務保証を伴って融資を受けた法人がその債務を全額返済されないうちに、代表権を有する連帯保証人の方が死亡もしくは所定の高度障害といった不測の事態に陥られた場合に、社団法人全国信用保証協会連合会が生命保険会社から受け取る保険金をもとに、金融機関に対する債務を弁済することによって、事業の維持安定・円滑な事業継承とともに、ご家族・後継者の安心を図ることを目的とした制度(全国信用保証協会連合会のサイトより抜粋)」というものであり、任意加入となっています。

例えば住宅ローンを受ける際には、団体信用生命保険をかけますが、もし債務者が死亡するなど万が一のことがあると、残りの融資残高は保険金が払われて一括返済となり、残された家族等に債務が残らないことになります。それと同じように保証付融資においても、保証協会団信に加入していれば、法人の代表者に万が一のことがあった場合に、保険金が払われて一括返済されることになり、残された法人の維持安定、後継者への円滑な事業承継が図られることになります。だから、法人の代表者に万が一のことがあった場合の後のことを考えるのなら、保険は加入しておいた方がよいでしょう。

 

(5)人件費を変動費化できないか

いかに固定費の割合を減らし変動費の割合を増やすかを考えることによって、売上低下の局面に強い企業作りができます。

以下、単純な事例を見てみます。

売上が100百万円(1億円)で、経費が80百万円かかっている会社があるとします。利益は、100-80=20百万円です。
この経費が、
 1.100%固定費
 2.50%固定費50%変動費
 3.100%変動費
の場合、売上の増減により利益はどうなるかを見てみます。単純な計算なので容易に理解していただけると思います。

売上が100百万円→70百万円と、30%低下した場合、利益はどうなるかを見てみます。
  • 1.100%固定費の場合
    売上70百万円(30%低下)
    経費80百万円(100%固定費のため変わらず)
    →利益△10百万円
  • 2.50%固定費50%変動費の場合
    売上70百万円(30%低下)
    経費68百万円
    (50%固定費50%変動費のため変動費部分40百万円が30%低下し28百万円となり、固定費部分40百万円を足すと)
    →利益2百万円
  • 3.100%変動費の場合
    売上70百万円(30%低下)
    経費56百万円(30%低下)
    →利益14百万円

このように、経費の中で変動費の割合が高い企業ほど、売上の低下の局面に強い企業、ということになります。

固定費として見られる経費の代表は、人件費です。 その人件費を、変動費化する方法を考えてみます。

1.パート社員、派遣社員の活用
売上が減少した時、社員の削減を考えなければならなくなりますが、正社員では、なかなか辞めてもらうことはできません。パート社員では辞めてもらいやすいですし、派遣社員であれば派遣を終了すればよいです。
つまり、売上が減少してもなかなか辞めさせづらい正社員は固定費として、辞めさせやすいパート社員や派遣社員は変動費として、見ることができます。
2.外注化
外注費は、変動費の代表です。例えば製造業などで、仕事が最大にある時を基準とした工場の社員を抱えている企業がありますが、仕事が少ない時を基準として工場の社員を確保し、仕事が多くなった時は外注を活用するなど、考えられないでしょうか。
3.社員の成果により変動する給与を拡大
営業社員などで考えられます。売上を多く作る営業社員も、売上を全く作らない営業社員も、同じ給与であれば、売上を全く作らない営業社員は、そこで会社に赤字をもたらしていることになります。売上や粗利益の獲得に応じた成果給部分を多く、成果によって変わらない基本給部分を少なくする給与体系を作ることにより、人件費の変動費化が進みます。
4.会社の業績に応じた賞与
毎月の給与部分を少なくし、会社の業績に応じた賞与を多くします。
例えば月給25万円の社員がいるとすると、会社の業績が赤字であれば、年間賞与を0円とし、会社が大きく利益を出しているとすると、賞与を年間100万円とします。このように、会社の利益が赤字やトントンであれば賞与を出さず、利益を上げれば賞与を出す方式にすることにより、人件費が変動費化します。

しかし、いざこれらの方法を導入しようとしても、社員の反発がこわい経営者の方は多いかと思います。

◎自社の経営状況が悪くない会社であれば、悪くなる時に備えて、やれるところからやっていったり、今後採用する社員から変えていく方法が考えられます。

問題は、現状で売上が減少して赤字が出ている企業です。

そういう企業は、待ったなしですので、例えば営業社員で売上を上げてくる社員が少なく赤字となってしまっている会社であれば3の方法を導入して人件費の変動費化を行うなど、経営者が断固とした意志を持って、人件費の変動費化を行っていくべきです。
またこういった企業の場合、会社に貢献しない社員に辞めてもらうなど、一部社員に辞めてもらう策をう必要があります。

例えば社員数30名の会社であって、5名辞めさせると黒字化する会社があるとします。
その5名を辞めさせることができなければ、30名全員、共倒れとなってしまいます。
そこを考えると、5名は辞めさせないといけないことがよく分かるのではないでしょうか。

 

(6)新会社を作る時の鉄則

(Q)
当社は建築業をしています。主にハウスメーカーの下請け工事です。
父親が代表のときの借金があり(現在の返済は金利のみ)融資が受けられない状況だったため、母親名義で別法人を5年前に立ち上げました。
私はハウスメーカーに勤めていて、1年半前から家業を手伝っているのですが、先日運転資金の借入れを申し込んだところ、保証協会の審査で落ちてしまいました。S銀行さんの話では売上等では問題はないとのことでした。
やはり、同一の住所で、家族が経営している赤字の会社があると融資は難しいのでしょうか。

(A)
新会社を作る時の鉄則は、旧会社の
1.役員、2.株主、3.保証人
を全く切り離して作るとともに、同じ住所にしてしまってはだめです。
そうしないと旧会社で融資が受けられないから融資を受けられるように新会社を作ったのだろうと信用保証協会に見透かされてしまい、融資を受けることは困難になります。

 

(7)ノンバンクからの借入

商工ローンやビジネスローン専門金融機関、不動産担保融資専門会社など、ノンバンクからの借入れを銀行に知られてしまうとどうなのか、という質問は、よくいただきます。


銀行から見ると、ノンバンクからの借入れがある企業は、通常であったら銀行から融資を受けて資金繰りを行うところ、銀行から融資が受けられず、銀行よりも金利が高いノンバンクから借入れした、という見方をされますから、そうでない企業よりは、融資を出さないというわけではないですがやはり、融資審査に慎重になってしまいます。

■また、ノンバンクといってもいろいろな種類がありますが、それぞれのタイプごとに、そこから出る融資がどういうものか、見てみましょう。

○商工ローン
以前破たんしたSFCGのように、高金利で融資を行う金融機関です。 商工ローンから融資を受けるのは、せいぜい、一時的に資金が足りない状況ですぐに返済のあてのある場合ぐらいにとどめておき、銀行から融資が受けられないからと商工ローンでしのごうとしてはなりません。
○ビジネスローン専門金融機関
融資の金額は数百万円と少額で、金利も10%あたりと銀行に比べて多少高い融資を出す金融機関で、多くは銀行の資本が入っています。このような金融機関からの融資を受けるにしても一時的な資金ぐらいにとどめておくべきです。
○不動産担保専門金融機関
不動産担保融資を専門とする金融機関があります。金利は一桁台後半から10%前後あたりとなります。担保とできる不動産があるのなら、通常であればそれで銀行から融資を受けるでしょうから、不動産担保金融機関から融資を受けるということは銀行からなかなか融資が受けられない会社、ということが通常であります。

いずれのタイプの金融機関においても、共通するのは、
 ・銀行からなかなか融資が受けられない企業が使う金融機関であること。
 ・金利は銀行からの融資よりだいぶ高いこと。
という特徴があります。

  • ★これらノンバンクから融資を受けるにあたっては、銀行の融資はリスケジュールを行い、金利の高い融資で金利の低い融資の返済を行うという構造にしないことが前提となります。
  • ★そしてノンバンクから受けた融資は、最後の会社を立て直すための資金とします。
  • ★銀行から融資が受けられない状況は、業績が芳しくない状況であり、立て直しを意識的に図っていかねばならない状況です。

 

(8)売上大幅激減の会社の立て直し方

とにかく、企業は倒産を回避し、再生に向かって進んで行かなければならないのです。

ここ数年、多くの企業から、売上が激減した、というご相談をいただきます。
この理由としてよくあるのは、1社や2社に多くの売上を依存しているパターンです。
売上が激減した場合、倒産を回避して再生への道を進むにはどうすればよいでしょうか。

この場合、2つの考え方があります。

1つは、今まで1社や2社に売上を依存していた体制を見直し、売上先を分散する体制を作ること。リスク分散の考え方です。
この場合、自社の技術を生かし、今まで依存していた業界ではなく異なった業界にアプローチできないか、を考えます。
ただ、この場合は新規売上先の開拓の必要があり、すぐにとれる対策ではないでしょう。将来的な策ではあっても、緊急事態にすぐに行うことができる策ではありません。

そこで、2つ目は「縮小均衡」 売上5億円が、例えば4.5億円に減少するような少しの売上減少であれば、一部の経費削減でしのげるのかもしれません。
しかし売上5億円が、2億円にまで減少するような売上激減の状況であれば、経費削減という生ぬるいことでは全く足りません。売上2億円で損益がトントンとなるように、損益計画を一から作ります。

最も削らなければならない経費
多くの会社では人件費でしょう

 

社員を辞めさせることができなければ、会社は破たんして、全員、共倒れということになってしまいます。

この場合の解雇は、整理解雇ということになりますが、整理解雇には次の4要件が必要です。
1 人員整理の必要性
整理解雇を行うには、相当の経営上の必要性が認められなければなりません。
2 解雇回避努力義務の履行
解雇は、最後の手段であることが要求されています。役員報酬の削減や、新規採用の抑制、希望退職の募集など、整理解雇を回避するための経営努力がなされていることが必要です。
3 被解雇者選定の合理性
解雇される社員の選定基準、具体的人選が合理的である必要があります。
4 手続の妥当性
説明、協議など、整理解雇を納得してもらう手順を踏んでいる必要があります。

※このように、整理解雇を行い、売上が激減しても損益がトントンとなる体制作りが必要です。

 

(9)催促の手紙を出して失敗した・・・

内容証明郵便の出し方

■支払を催促する活動の一つに、手紙を出して催促をするという方法もあります。
この手紙を使った催促の中で、最も過激な方法が「内容証明郵便」という特殊な郵便方法を使ったものになるのです。

内容証明郵便とは・・
 1.どんな内容の手紙を
 2.いつ相手に出したか
ということを、郵便局が証明してくれる特殊な郵便物のことです。

売掛金を回収をするためのノウハウ本を読むと、内容証明郵便が魔法のツールのように書いてあることがあります。インターネット上で検索しても、「売掛金回収と言えば内容証明郵便」というような感じです。
内容証明郵便だけで回収できるならば、誰も売掛金回収に苦労しません。実際には、むしろ内容証明を出すことで、
 ⇒"話がこじれて長引く"
 ⇒"まったく無視される"
というようなことも珍しくありません。
内容証明はなんら法的な拘束力を持つものではないために、まずもって無視できてしまうのです。

とりあえず支払が滞ったから内容証明郵便を出そう、という発想は捨てて下さい。

では、どんな時に内容証明郵便を使って催促すべきなのでしょか?

内容証明郵便は「宣戦布告」の意味合いが強いです。
コミュニケーションも取りづらく、支払意志がないならば、これはもう戦闘を開始する相手ということになります。

注意!
しかし、注意していただきたいのは、内容証明郵便を出すだけではダメだということ、出して反応がなかったらどうするのか、ここを考えてから動かなければいけないということです。

 

(10)差押えしてみたが回収できない・・

差押えすればどんな会社からでも回収できる、というのは非常識

  • ■売掛金を支払ってもらえていない場合や、貸したお金の返済がない場合など、あなたに正当な権利があれば、その相手が持っている財産の差押えをして回収することができます。
    例えば、銀行の預金口座とか、売掛金、不動産なんかがいい例です。

しかし、例えばいざ相手の預金口座を差押えできたとしても、実は回収に成功しないことがあるのです。

■具体的な事例を見てみましょう。
例えば、差押した銀行の預金口座に肝心の預金がないかもしれません。
調査した口座が、既に解約されていることもあります。
差押えをした銀行口座の名義人である、売掛金を払わない相手先が、その銀行から借入れをしていたとします。
すると、あなたが差押えを行ったことを発動条件に、その銀行はあなたに優先して口座にある預金を回収してしまうということも起こります。
ちなみに、お金を貸している銀行が持っている、そのような権利を相殺といいます。
こんなこともあるのです。
例えば、不動産を差押えしても回収できないことがあります。
それは、中小企業の場合、ほとんどの不動産が銀行借入れの担保に入っていて、既に価値がない状態になっているからです。
そのような状態だと、差押えすることすら裁判所が認めてくれないことがあります。
また、差押えができたとしても、換金手続きに高額なお金が必要なことも障害になるかもしれません。
しかも、そもそも不動産の売却には時間がかかります。高額なだけに買い手を探すための時間が必要なのです。
あなたがいくら急いで差押えをしても、換金するまでには時間がかかってしまいます。それこそ、都心の一等地だとしても換金までには最低半年は見ておいた方がいいでしょう。
早く回収して資金繰りを良くしよう、という中小企業のニーズには合わないのかもしれません。

差押えという面倒な手続きをした結果として、実際に手元にお金が帰ってくるためには何を差押えればいいのか、これを知っておく必要があります。

また、一度差押えの手続きをすると、その相手も財産を隠したり、差押えを妨害してくることが往々にしてあります。 つまり、できるだけ初回で決めないと取り逃がす可能性が高まるということなのです。

そのためには、何が換金性のある差押え対象物なのか、そしてその調査方法は何か、についてもっともっと知っておく必要があります。

 

(11)差押えは誰にでもできるのか

■あなたの会社が売掛金を持っているのであれば、もしものことを考えて、「差押え」についての最低限の知識を持つことは必要です。

まず知っておいていただきたいのは、あなたの会社の売掛金が未入金になった場合で、その入金すべき会社に倒産可能性があるとすれば、すぐにでも差押えができるという事実です。

裁判をしなくても差押えをすることができるこの手続きを、『仮差押』といいます。

裁判所に一定の保証金を積めば、あなたの一方的な主張に基づいて、相手の財産を差押えてくれるのです。

但し、何でもかんでもOKということではありません。もし不当な仮差押えであって相手に損害を与えた場合、保証金は損害賠償の一部に充当されます。

また、すぐにでも、といっても、それぞれの状況がありますので、おおよそ1ヵ月以内には差押えができると思っていただければ間違いないでしょう。

そして、弁護士さんに頼まなくても自分で手続き可能です。やはり始めてのことで不慣れな分、手間はかかると思いますが、裁判所に問合せをしながらやればできないことはありません。

機会があっても良くないですが、一度チャレンジしてみると良い経験になると思います。
実践してみてもいいですし、書籍やマニュアルで勉強してもいいのですが、そうして知識を得ておけば、いざという時の対応に違いが出てくるようになるでしょう。

 

(12)取引先から急に支払を延ばしてほしいという要請が来たら・・・

何か起こってからでは遅いです。

もし、あなただったらどう対応するでしょうか?

「急にどうして支払ができなくなったのか」
「いつ支払ができるのか」
「現在の資金繰りはどうなのか」
帝国データバンクなどの興信所に問い合わせて、興信所の点数が何点であるのか、その確認のためにデータを取得するところまで行う方もいるかもしれませんね。
状況確認でしかない

 

■ヒアリングにおいては、その会社によって質問の内容を事前に考えます。

一例として一般的なことを挙げると
  •  ⇒「メインの取引先さんは、S社さんだったと思いますが、現在も取引は継続しているんですか?」
  •  ⇒「今は、他にどんな取引先と商売をしているんですか?」
入金になってから3ヵ月以内に回収しないと回収率が激減するという事実を知っているから、最悪の場合に『何を差押えするか』という観点で行う!

 

まとめると、

 1.差押え手続について最低限の知識は持っておく  2.どんな資産が差押えできるのかを知っておく  3.上記の1と2が明確であればいざという時の対応が回収目線になる  4.結果的に未回収売掛金は減る

・売掛金の回収は社員に任せきり。
・会社としての対応は何もしていない。
・既に未回収が発生している相手先から受注を受け続けているが、なんの対応策も打っていない。
・経営者が未回収の売掛金がどこにいくらあるのか把握していない。
・過去に未回収売掛金が発生しているが、今後の対応策を立てていない。
・社内で誰も取引先の信用調査ノウハウがない。
・社内で誰も売掛金回収・債権回収に詳しい人がいない。

このような状況を放置していませんか?

 

(13)金貸しの審査と回収

■融資を検討する場合『定量』と『定性』の両面からの視点で可否を決めます。

定量とは
数字で見える部分のことだと思って下さい。
今回で言えば、不動産に貸すお金以上の価値がありましたから、この点では何の問題もないように思えます。

 

定性とは
数字では見えない部分のことです。
例えば、社長の性格、人柄、趣味、会社の評判・噂、などなど。

 

■やはり定性よりも定量情報の方が審査の上で占めるウエイトは高くなります。
おおよそノンバンクの基準から言えば、定量が80~90%、定性が10~20%

以下の8点をよくチェック
1.取引をするのかしないのか、定量と定性の両面から考えること
2.定量と定性には一定割合を決めて判断すること
3.リスクがあると判断したらそれを軽減するための方法を考えること
4.基本的にはキチンと契約を行うこと
5.契約した時点で回収時のストーリーが描けていること
6.未入金が発生した時点で当初から考えていた回収アクションを準備
7.未入金はのんびりと構えずにすぐ状況を確認する
8.やると決めたらすぐに回収アクションに移る

※中小企業にも応用できるポイントが、たくさんあります。ここをもっとしっかりとできれば、あの時、あの売掛金の未回収は出なかったのではないでしょうか。

 

(14)保証付融資が過去の経緯により受けられないがどうしたらよいか

(Q)

私の会社は、法人成りして5期目に突入いたしました。その前は、父の個人事業形態でした。2005年の10月に私が法人化し、2006年の9月に父の個人事業をそのまま吸収しました。

新しい事業を興そうと考え、銀行融資を試みました。銀行としては当社とは初めての取引だったので、信用保証協会の保証を付けて融資をしたいという事で、手続きを開始してくれましたが審査が通りませんでした。

理由は、私が法人成りしてから父の事業を吸収するまでの間に父が個人事業で信用保証付き融資を受けていて、同一の職場で仕事を行なっている以上、父の個人事業へ実行した融資は、今の法人で使っているのではないですか?という事です。

実際は、父が新たに店舗を出し、その際に借入したものですが、うまくいかずたたんでしまい、その後私が吸収した形となっています。 信用保証協会は、今の父の債務が残っている間は保証できないと言ってきます。
銀行側も信用保証協会の保証がない限りは、新規取引においてプロパー融資はできない、と回答してきます。

一つ案を出されたのは、日本政策金融公庫(旧国金)から借入し、そのお金で債務を消せば融資できる、との内容です。
これを実行して今後問題とならないかどうか?が一つと、もう一つは現状でプロパー融資を受ける事はできないか?あるいは、信用保証協会の保証にこぎつける事はできないか?という事です。

今のご時世ですので、1店舗だけだと売上/利益に限界を感じます。1つの店舗から出せる利益は少額になろうとも、2店舗3店舗と増やせば、それなりの利益ボリュームが出せるかと思うので、何とか融資にこぎつけたい所です。

(A)

お父様の個人事業を吸収したといっても、個人事業時代に受けていた保証付融資の返済が順調にいっていれば、融資を受けていることのみによってあなたの会社が保証協会の保証を受けられないことはないのですが、その融資が延滞やリスケジュールを行っている状態である、だからあなたの会社においても新たな保証協会の保証が受けられない、ということなのでしょう。

個人事業をたたんだ、ということは、個人事業において融資を受けていた保証付融資は、延滞の状態かリスケジュールの状態か、もしくは保証協会が代位弁済を行った、ということになっているのでしょうね。
延滞もしくはリスケジュールの状態であれば、通常の返済に戻して6カ月を経過させれば、また保証協会の保証を受けられる可能性が出てくるのですが、代位弁済までされている状態であれば、その分を全て保証協会に返済しなければ、あなたの会社も保証協会の保証は受けられません。

日本政策金融公庫の融資で保証付融資を返済するという案を出されたのであれば、おそらくその保証付融資は代位弁済されている融資、ということなのでしょう。 日本政策金融公庫で融資を受けて保証付融資を返済するのは、日本政策金融公庫にその事実が分かってしまうと、次に日本政策金融公庫から融資を受けようとするとき、審査において引っ掛かってしまうことでしょう。(あくまで、その事実が分かってしまうと、です。) また、プロパー融資の方が保証付融資より、審査は厳しいので、保証付融資が受けられない企業は、プロパー融資を受けることは困難です。

しかし、財務状況がよい企業であれば、過去の事情で保証付融資が受けられなくても、プロパー融資が受けられる企業は、まれに存在します。
現状のあなたの会社は、まずは個人事業時代に受けた保証付融資を、なんとかしなければなりません。
弊社事務所にて、資料を見たうえで対策を考えますので、必要であれば面談相談をお申込みください。

 

(15)「一社員の影響」により業績が悪くなる場合

中小企業は、経営者が全てです。経営者自身が、会社のすみずみまで目を届けなければいけません。

一社員の影響の例として、次のようなものがあげられます。
  • ・経理の社員が、お金を横領していて、会社は損失を多く出した。
  • ・発注担当の社員が、高い仕入や外注費などの見積りを業者から受入れ、裏でその業者からバックマージンをもらっていて、会社は損失を多く出した。
  • ・一営業マンが売上の多くを作っていて、その営業マンが辞めたとたん、売上が大きく下がった。

原因


経営者が、一社員に会社の重要な業務を任せすぎてしまっていた。
会社にはいろいろな職務がありますが、ある職務において、全面的に任せられる社員が出てくるまでは、経営者はその職務を兼ねるべきであり、はじめからある職務について全面的に任せようとすると、上記のようなひずみが出てきてしまいます。
また、ある職務を全面に任せられるのであっても、経営者としてはその職務について一通り熟知し、その担当者と情報交換すべきであります。

  • ◎経理であれば、経営者も仕訳や銀行入出金明細を時々チェックし、問題がないか見ます。
  • ◎発注業務においては、相見積状況、発注履歴などを時々チェックして、不自然な動きがないかを見ます。
  • ◎営業活動においては、営業マン個人のスキル便りではなく、会社全体で、営業成績があげられる仕組み作り、例えば会社としての顧客リスト管理、営業マンの教育研修、ロールプレイングなどを行います。

企業規模がまだそんなに大きくない中小企業です から、これらの目配りは、経営者としてできるはずです。 もっと企業が育っていくと、経営幹部に任せていったり、内部監査制度を整えていったりしますが、今のうちは、経営者がすみずみまで見ていかないと、社内はしっかりしませんし、あるきっかけで業績は急降下したりします。

今回述べたことは、会社経営において大変重要なポイントですので、自社はどうであるか、振り返ってみてください。

 

(16)経理社員として会社の資金繰りにどう貢献するか

(Q)

社員30名程、年商10億弱の卸売業の会社の経理をしていますが、銀行関係は社長が一人で行い、銀行員と話す機会がありません。相談は会計士としているようです。どういった面で、会社の資金繰りの役に立てば良いかお教えください。

また、当社は卸売業で、長年支払条件を細かく整理できていません。先代の社長(故人)も整理には消極的でした。理由は分かりません。 ついては、改めて得意先へ支払条件を聞くと、当社の信用不安と取られてしまうことも有るのでしょうか。新しい若い社長は、整理を承認しています。

(A)

御社の状況では、経理としては、まずは経営者に、損益や資金繰り、部門別会計などの経営数字を、経営判断材料として提供していくことで、貢献できるとともに、経営者もあなたを信頼するようになり、経営計画や予定資金繰り表なども経営者と一緒になって作っていけるようになるのではないでしょうか。

また、支払条件の交渉については、相手から見ると、まず間違いなく、資金繰り不安を真っ先に思い浮かべてしまいます。あなたの会社の資金繰りに問題があるのであれば支払条件の交渉は行っていかざるをえないですが、資金繰りにそれほど問題があるのでなければ、支払条件の交渉を行うことは慎重に判断されるべきです。

 

(17)見積りを出して受注を獲得する企業の再生方法

企業は、見積書をいくらの金額で出すかにより、その商談から獲得できる粗利益が大きく変わってきます。

■例えば、弊社のある顧問先様は、リフォーム業ですが、営業マンが4名、います。
ここ2年の、営業マンごとの、受注件数、売上金額、粗利金額、粗利率を分析してみました。

営業者名 受注件数 売上金額 粗利金額 粗利率



194
135
137
197
116,147,780
46,473,760
127,566,052
179,985,697
23,794,127
16,463,658
41,175,506
28,300,003
20.5%
35.4%
32.3%
15.7%

Cさんは、しっかり粗利益を出せる見積りを出すために、リフォーム業において原価部分である、材料業者や外注業者に相見積りをとり、原価を抑えながら、正確な原価の積算をした上で、粗利益をとれる見積作りにていねいに時間をかけていたのです。
一方Dさんは、売上だけで見ると一番多く、それだけ外に出ている時間が長いため、一見、営業マンとして仕事やっているように見えます。

しかし見積りは適当で、原価は過去の工事データから適当に拾ってくるだけ。とにかく売上を増やそうと、安売りにはしっています。 またDさんの特徴は、見積りにおける予算と、実績において、ぶれが大きい、ということです。
例えばある工事において、売上100万円、原価70万円で見積りをたてても、実際に原価が90万円かかってしまい、粗利益が10万円しかなかった、このようなことが多くあります。

原価の積算において、適当に計算していたためです。

一方Cさんは、原価の積算をしっかり行っていたため、予算と実績のぶれはほとんどありません。
売上はDさんの方が多いですが、粗利益はCさんの方が多いです。
会社に利益貢献をもたらしているのは、粗利益を多く稼いでいるCさんの方です。

ちなみに、AさんはDさんの紹介でひっぱってきた社員で、Dさんに営業のやり方、見積書の作り方を教えられているので、やはり粗利率は低いです。
Bさんは、粗利率は高いですが、稼いでくる売上が少なすぎます。営業マンとしては不向きでも、原価の計算をしっかり行い、着実に粗利益のとれる見積書を作ることができます。

このような分析から、私はこの会社の利益向上→再生のために、次の戦略を考えました。

戦略A
他の営業マンは、Cさんに学ぶべき。Cさんを講師に、研修を行い、また見積書の作成にあたってのマニュアルを作り、見積書作成業務の標準化を図る。
戦略B
営業は苦手だが着実に原価の積算を行い、粗利益を出して予算と実績のぶれも少ないBさんを原価積算、見積書作成担当にし、AさんとDさんが外をまわって獲得してきた案件をBさんが見積書を作るように、分業制とする。

戦略Aは、営業マンの見積書作成能力の底上げを目指した方法、戦略Bは、底上げというよりも各社員の強みを生かし会社全体でしっかり利益を出せる体制を組む方法、です。
受注を獲得する際に見積書を出す企業であれば、このように営業マンごとの売上・粗利益を計測してみてください。

そうすると、営業マンごとに数字が大きく異なることが判明し、経営者のみなさんは驚かれることと思います。
そして、どうやって会社全体で利益を上げていくか、対策を練ることができます。

 

(18)父の会社に役員として入った場合、保証人・担保を要求されるのか

(Q)

私は現在保険代理店を個人で経営しています。今は不動産賃貸をしている父の会社があります、以前は精密機械の部品製造、加工の仕事をしていました。不景気のあおりを受け受注が減り建物のみ残りそこを賃貸しております。当時の負債がまだ残っており地元の信用金庫にお世話になっております。条件変更もしてもらい返済期間を延ばし家賃分を返済に回しています。

最近になり私はその父の会社の役員とさせてもらいました、今の私の仕事の事業拡大のため法人を利用したいとの目的がありました。
ここで1つ不安なのは銀行が私を役員にしたことで保証人の追加や担保を要求してくるのではないかと言うことです。
もし銀行からこのような依頼がありましたらどのように対処したら良いでしょでしょうか。私は住宅ローンも抱え、まだそれほどの余力はありません。家族もいますし、どうしたらよろしいでしょうか。


(A)

代表取締役として入るのならともかく、代表ではない取締役では、取締役になったこと自体では保証の追加を要求されることはありません。
ただ今後、お父様の会社の条件変更期間の更新、という場面において、保証人や担保の追加を要求されることはありえます。あなた自身が、資力があったり、もしくは不動産を所有していたりするのであれば、信用金庫はそれをねらって保証人や担保の追加を要求してくることが十分想定されます。

ただそれは、やりすごすことはできます。しかし問題は、あなたがお父様の会社に役員として入っていることです。そもそも、あなた自身が法人を設立し、そこで保険代理代理店の事業など、行うべきです。それを、お父様の会社だからといって、条件変更済の負債を抱えている、事業の結びつきもない法人を利用するのは方法論として間違っています。すぐに役員を退任して新規法人を立ち上げるべきではないでしょうか。それがまた、お父様の会社の負債の保証人・担保追加要求のスキを信用金庫にも見せないことにもつながります。

 

(19)「銀行つきあい日記」のすすめ

企業の永遠の存続にとって、一番のカギを握るのが、資金繰り

■そして、資金繰りをスムーズにまわしていくことにおいて、重要なのが、銀行からスムーズに融資を受けること。

毎月の利益で生まれた現金で融資返済ができている中小企業なんて、1割もないので、ほとんどの中小企業にとっては、定期的に融資を受けていくことが、資金繰りをずっとスムーズにまわしていくための重要なポイントになります。

融資がパタリと止まりそうな時には、リスケジュール、つまり銀行と交渉して、融資の返済金額を0円近くにまで抑えてもらうことが必要です。
融資が出なくなりそうなことを察知するため、銀行があなたの会社のことをどう考えているのか、常に注意をはらっておかなければなりません。
★経営者や、財務経理担当者であるあなたは、常に気にしておかなければなりません。

■そこで、私が、中小企業の経営者や財務経理担当者の方が、やっておいた方がよいと思うのは、銀行つきあい日記、つまり、銀行と接触するたびに、次のような記録をとっていくことです。

○月○日○時、○○銀行の担当者○○氏が当社を訪問。当社は資金繰り表によれば3ヶ月後に5百万円の資金不足が発生するため、1~2ヶ月後には最低2千万円の運転資金を受けておきたい、ということを○○氏に伝える。
○○氏は、「弊行は融資を半年前に出しておりますので、まずは他行にあたってみてくれますか」と言われてしまった。今までこのような話をした時には「すぐに稟議をあげて手続きを勧めます」と言ってくれるものだが、スタンスが変わったのか?」

 

(20)試算表を銀行に提出する重要性

あなたの会社は、銀行に試算表を定期的に提出していますでしょうか。

試算表は
  • ■銀行があなたの会社の業績を知るためには重要な資料となります。
  • ■ただ銀行から求められてから試算表を提出するより、あなたの会社から銀行に試算表を提出した方が、銀行から見れば、あなたの会社に対する信頼性が高くなるでしょう。
  • ■試算表の提出は、3ヶ月に1度はやった方がよいですし、できれば毎月、試算表を提出した方がよいでしょう。

 

★そもそも銀行は、なぜ中小企業への融資に慎重になるのか★
その大きな理由の一つは、企業の情報開示不足、です。

試算表の提出もなく、1年に1回、決算のときにしか、経営数字が分からない会社は、銀行としては融資を出すのがこわいでしょう。
そもそも試算表を作っていない会社は、1年に1回の決算書ができなければ、1年たってみなければ、黒字か赤字かも分からないのです。その間、赤字であれば黒字にする対策をすぐにうたなければならないものを、1年に1回しか業績が分からなければ、そもそもその対策を行うきっかけができないのです。

試算表が毎月できてこない会社は、すぐに、試算表が毎月できてくる体制を作ってください。

また、今まで融資を申し込んだが、だめであった新規の銀行へも、試算表を送っておくのも、融資提案のきっかけ作りとして、よいことでしょう。
銀行は、たえず新規融資先を探しています。融資取引のない企業から試算表が送られてこれば、必ずチェックをし、融資提案ができるかどうかを検討します。また既存の融資がある企業でも、試算表を銀行員が見ることにより、新たな融資提案ができるかどうかを考えます。そのきっかけとして、試算表は大変有効なものです。

 

(21)融資以外の取引を銀行から言われている

(Q)

メイン1行のみの取引から、メイン1行+2行の3行取引を現在行っております。支払いや振込みはメイン行の当座で、サブ2行は専ら融資のみのお付き合いです。

この状態になって1年半がたちました。最近サブ2行から、積立や振込や支払い等(特に積立)、融資以外のお付き合いもしてほしいと度々言われます。私は会社の財布が2つも3つもあると経理が複雑になるような気がして前向きになれません。
積立も融資を受けている以外の銀行に万が一への備えとしてプールするならともかく、積立しながらそこの銀行で融資を受けるようなことをすると、支払い金利が増えてしまいます。

必要な当座残高以外はなるべく返済し、債務償還年数や流動比率などの指標をなるべくよい数字にしたいと思っております。 しかし銀行の人には「融資も預金の残高もみなさんお付き合いしてくれてますよ」と当然のように言われます。お付き合いも必要だとは思いますが、何より決算書の数字が大切だと思っておりますので・・・・
お付き合いが薄いと融資姿勢に悪影響があるのでしょうか?

(A)

銀行は、取引企業に対し、融資の取引だけではなく、「総合的」な取引を求めます。例えば、積立や振込など、いろいろな取引を求めてくるでしょう。

また、銀行の融資稟議では、その企業とどのような取引を行っているかは必ず記載されています。預金の平均残高が高かったり、振込などにより多くの手数料が銀行に落ちていれば、銀行の考え方としては、トータルで考えてその企業とつきあうメリットが大きい、となります。

ちなみに融資の稟議書では「当社は融資の他、振込、外為取引などで月5万円以上の手数料確保もできている。、さらなる取引深耕をはかりたく、本件融資したい。」というような書き方をします。銀行と融資だけではなく、いろいろな取引を行っておくことは、それだけ融資審査において有利に働く、ということです。

こう考えると、決算書の数字があまり悪くならない範囲で、融資以外の取引もしておいた方がよいでしょう。

 

(22)リースと決算書

(Q)

弊社では貸借対照表にリース資産・リース負債を載せるようにしております。
このたびリースがすべてなくなり、設備等、すべて信用金庫からの借入れで資金調達を行いました。

今回、新たに設備の借入れを申し込み、承諾はしてもらいましたが「借入金が売上の2/3になってますから・・・」「ちょっと難しくなってきますよ・・」とのこと。ここ3年、経常利益は5%以上あります。
銀行などはリース負債などはあまり気にしないのでしょうか?
今まで支払金額(リース金利)が多くなるのを嫌いリースをしませんでしたが今後は考えた方がよいのでしょうか?


(A)

銀行は、決算書を企業から受け取ったら、そのままコンピュータに入力し、各種財務指標を算出し、融資先企業の「格付」を行います。 負債が多いと、それだけ企業の財務指標は悪化します。

そう考えると、財務指標が良い決算書を意識して作るには、借入ではなくリースを使う方が良いし、またリース資産・負債は決算書に載せない(詳細は顧問税理士の方にご相談ください)方がもっと良いことになります。

銀行は、借入金を月商倍率、つまり、月商の何カ月分の借入があるか、でみます。通常の企業の場合、4カ月以下がまずます、4カ月以上8カ月以下がやや多い、8カ月以上が多い、という感覚です。ということは、売上(年商)の2/3、つまり8カ月、ということは、銀行は、借入金水準が高い、という見方をしてしまいます。借入金が多くなると、それだけ、それ以上の借入がしにくくなります。そう考えると、あなたの会社が銀行からもっと融資を受けていきたいということであれば、なるべくリースを使って銀行からの借入の方は多くしない方がよい、ということになります。

 

(23)車両のリース化により決算書の内容は良くなるか

(Q)

知人の紹介で社用車のリースバックを提案する会社が営業にきました。
弊社の車両保有台数は13台で帳簿価格は1126万円です。
車両はメーカー系列のクレジット会社にて割賦で購入しており、残債が898万円あります。
弊社は車両以外の資産がほとんど無く、車両をリースバックすると資産がなくなります。

なお、弊社の決算は4月末で年商は5億円、利益は年商の10%程度を見込んでおります。
また、キャッシュフローも特に問題がないので、リースバックをするメリットが見出せませんが、リースバックを行うことで、決算書の内容が良くなったり、また、銀行からの格付けが上がる等のメリットがあれば検討したいのですが、メリット・デメリットにつきまして教えて頂きたくお願いします。

(A)
現状では、貸借対照表において車両は資産、割賦残債は負債(未払金)ということになりますが、社用車のリース化によって、その資産・負債勘定は消えることになります。
そうすると、総資産が圧縮されて、総資産に対する純資産(自己資本)の比率が相対的に高まり、自己資本比率が向上します。 どれだけ改善するかシミュレーションを行った上、リース化により今後の総額支払いがどれだけ削減されるかなど、他の影響も見ながら、検討されるとよいでしょう。

 

・リースはリスケジュールできるか?

(Q)
すでに金融機関へのリスケをして、現在経営の自主再建に奮闘しています。
さらに削減できるものや、調整できるものがないか日々見直しているところです。そこでお尋ねしたいのですが、OA機器などのリース料などもリスケジュールすることは可能でしょうか?
また、その場合のデメリット、注意点などありましたらアドバイスいただけると幸いです。よろしくお願いします。

(A)
■リース会社は、支払えなくなったらリース物件を回収できるので、リスケジュールという概念を持っていません。しかし、リスケジュールできる可能性がないこともありません。

ポイントは、2つ。

1つ目のポイントは、リース会社1社あたりのリース料総額です。それが3,000万円、4,000万円ぐらいにまでなっていれば、交渉に応じてくれる可能性が高まります。
2つ目のポイントは、モノが中古市場でどう価格付けされているか、です。リース物件は、市場価値が下がって、リース残高を全て回収できないケースが多いです。その場合、リスケジュールに応じてできるだけ回収しようとする場合があります。このケースでも、売却して残高を一括請求されることもあります。逆に中古市場で流動性の高い商品であれば、リース残高よりも高く売れるので、引き上げて売却しようとします。 このように、リース会社のリスケは、中古市場の動向に大きく左右されます。

■またリース会社が、何系かにもよります。

リース会社の親会社が、リース物件の製造元のメーカーである場合、そのモノを引きあげて自分たちで転売することが多いです。
独立系のリース会社。ここもリスケジュールは困難で、交渉に乗ろうとしないことが多いです。
銀行系のリース会社は穏健なところが多いです。親会社である銀行がリスケジュールに応じてくれたら、それに合わせて子会社であるリース会社の方もすんなり承諾してくれる場合が多いです。

 

・銀行員が嫌がる決算書

利益が赤字であったり、債務超過であったりするのはもちろんですが、それとともに、よく分からないところにお金が流れているように見える決算書です。

■例えば、次のような決算書です。

1.経営者に、多額の貸付金や、仮払金が出ている。
経営者が会社のお金を私的流用してしまったり、もしくは粉飾決算において赤字を隠すところを経営者への貸付金にしてしまっているパターンが多いです。もしくは、領収書を出せないリベートを、経営者個人が払った形にして、そのお金は会社から出ている、というパターンもあります。
2.何かよく分からない会社に対し、多額の出資金や貸付金がある。
2については、どこかから湧いて出てきた儲け話に経営者が乗ったものであったり、関係会社を増やすのが好きな社長がその関係者の設立や関係会社の資金繰りのために、お金を出しているパターンが多いです。

あなたの会社の決算書を、一度見てみてください。

貸借対照表の中で、まず、次の勘定科目を見ます。

「前渡金」「立替金」「前払費用」「貸付金」「未収入金」「仮払金」

これらは、雑勘定といって、銀行員の感覚で言えば、「本当にこれって資産としてみなしていいの?」と考えるものです。

これらの金額が多額であると、銀行員としては、勘定科目明細でそれらの内訳を一つ一つ見て、資産としてカウントできるものか、それとも資産とみなせないものか、一つ一つ吟味していきます。
資産としてみなせないものは、純資産からひいて、実質の貸借対照表を銀行は作ります。

例えば、貸借対照表の純資産が5百万円ある会社が、一方、貸付金が経営者に対して8百万円あり、それらが全て不良資産(ちなみに経営者への貸付金はたいてい不良資産とみなされます)とみなされると、5-8=△3百万円
の実質純資産、つまり実質債務超過、とされ、融資審査において大きなハンデとなります。
また「投資有価証券」「出資金」などの金額が大きくなると
銀行員としては、「なぜこんなところにお金が出ているの?もしかして、以前に出した融資が流れてしまっているのでは・・・。」と見てしまいます。

■決算書を良く見せようと、粉飾決算を行う際にこれらの勘定科目の金額が大きくなったり、もしくは本当にお金が流れていて、それが返ってくる見込みがなくこれらの勘定科目が大きくなったりするパターンがありますが、いずれにしても、資産としてみなせないとされれば、その金額分、純資産から差引きされますので、融資審査においてはそれだけ不利になる、ということです。

 

・銀行が、ノンバンクや消費者金融の借入情報を見るようになった?

(Q)

信用組合に緊急保証を使って新しく取引を申し込むことになりました。
必要書類の中に「個人情報の取扱いに関する同意書」というものがあります。
個人信用情報機関は全国銀行個人信用情報センター、日本信用情報機構(JICC)、CICです。
登録情報の中に「借入金額、借入日、最終返済日等の契約内容およびその返済状況」があります。
以前は銀行などの場合、CRIN(※)による事故情報の共有だけだと認識しておりました。
(※CRIN:情報交流CRIN(Credit Information Network:クリン)、全国銀行個人信用情報センター、JICC、CICの間で、各機関の延滞、代位弁済等の情報等を相互利用することであり、いわゆるブラック情報・事故情報のみを相互利用している。)

法改正の影響などで銀行などの金融機関も、消費者金融などの貸金業者と同じように開示請求し、借入額や件数なども確認するようになったのでしょうか。
そうだとすると全銀協・JICC・CICすべてになりますので私や会社が借りている現在の件数8件、500万円を超える金額のノンバンクや消費者金融の利用が分かってしまい、融資は難しくなってしまう気がします。

(A)

例えば、JICCのホームページで、どこの金融機関が加盟しているか検索できますが、それで「信用組合」と検索してみますと、19件の信用組合が、ICCに加盟していることが分かります。また「銀行」で検索すると、72件となっています。
 → http://www.sokuteitool.com/asp/ja.html?u=FI0824&c=1878&f=18

多くの銀行や信用組合等が、JICCに加盟し、JICCの情報の中心であるノンバンク、消費者金融などの借入情報を見るようになってきています。
とすると、Y様の場合、ノンバンクや消費者金融からの借入情報が信用組合にも分かってしまうので、融資審査においては不利になってしまいます。

そもそも、ノンバンクや消費者金融に500万円もの借入があるということは、信用組合や銀行から思うように融資が受けられず、一方で返済は無理にでも進めており、そのしわ寄せがきているのではないでしょうか。このような状態の会社であれば、すぐにでも銀行と交渉して返済金額を減額し、資金繰りをまわしていく対策を考えていく必要があります。

 

・金利を下げる方法

企業側は意識をもって金利交渉にのぞめば、少しでも低い金利にすることができ、自社が負担しなければならない支払利息を、減らすことができます。

■銀行が企業に融資をする際の貸出金利、これはビジネスローンや、制度融資などはじめから金利が決められている融資商品でないかぎり、企業と銀行との交渉によって、決定されるものです。

銀行には、この企業に融資をするには、これだけの金利を提示しなければならないという表があります。
そこでは、その企業の格付けや、今回の融資の返済期間、また保全率(総融資額のうち、担保や保証協会付などでどれだけの金額がカバーされているかの割合)などから、これだけの金利を提示しなければならない、ということが導き出されます。

しかし、それはあくまで「目安」でしかありません。結構、担当の銀行員の「なんとなく」の感覚で、提示してくる金利が決まってしまうのです。ということは、企業側の姿勢により、金利はある程度、低くすることが可能、ということです。

金利を低くしていくために、企業側としてやっておくべきことは2つ。
1つ目ははじめから金利が決められている融資商品でないかぎり、融資にあたって銀行が提示してきた金利には、必ず抵抗するのです。

なかなか融資が受けられないような企業でも、かまいません。
その場合には「この金利では、うちの経営状態ではとても払えないよ。」というような方向から、銀行が提示してきた金利に抵抗していくのです。

そのように抵抗し、交渉していく中で、銀行はその交渉に乗らず、下げてくれないかもしれません。
しかし、金利にうるさい会社、金利にうるさい経営者、と印象付けることに価値があるのです。

そのような印象を担当の銀行員に印象付けることにより、次回の融資では、多少なりとも金利を抑えて提示しよう、という意識が、担当の銀行印に働くのです。
2つ目取引銀行を増やす、ということです。
金利には、競争原理が働きます。複数の銀行が融資を出している企業は、銀行としては自分の銀行の方から融資を受けてほしいと思い、金利を低めで提示しがちになります。 また複数の銀行から同じタイミングで融資の提案がきている場合、低い方の銀行の提示金利を高い方の銀行に伝えることにより、高い方の銀行が、より低くした金利を提示してきて、そこで競争させて、一気に金利を引き下げることもできます。

  • ■このようにして、金利を低くすることができれば、あなたの会社の利益を増やすことができます。
  • ■要は、経営者、もしくは財務経理担当者として、金利に強い意識を持つことです。
  • ■金利に強い意識を持った企業は、銀行から受ける融資の金利水準は低くなります。

 

2013年7月22日

経営ノウハウ(1)

経営ノウハウ(2)

(47)業績先行システム

近年、「業績先行管理システム」導入の支援協力に携わることが増えてきた。先行管理とは、正確に先を読み、早く手を打つことである。先行管理の考えが定着した企業は強い。業種により異なるが、3カ月、6カ月、12カ月先の目標に対する差額を明確にすることで、ライバルより先に対策を打つことができるからである。

成功させるには、次の2点が大事
(1)継続は力なり
先行管理を導入しても、その効果はすぐに現れるわけではない。根気よく続けることが大切である。「1年目は何も考えずに、とにかく真剣に取り組んでみて下さい。2年目には先行管理の良さを分かっていただけるはずです。3年目になれば先行管理の素晴らしさを実感でき、4年もすれば先行管理の考え方が定着・習慣化します。『業績が悪いから、わが社でもやってみようか』という軽 い気持ちでは、導入してもムダに終わります。」
(2)「鬼」の存在
導入当初は、営業社員から「明日の数字も読めないのに、3カ月先なんて分かるわけないですよ」という声が上がり、真剣に取り組む姿勢が見られなかった。
しかし、A社には先行管理に明るいB営業部長という人がいた。B営業部長の強力なリーダーシップの下、フォロー・チェックの徹底により、今では先行管理が機能し始め、「目標は達成すべき数字」という意識が社員のなかに芽生え始めている。

先行管理の定着化は、ライバルより一歩先んじて行動するスピードを加速させる「強力な燃料」となり得るだろう。

 

(48)業績革新の着眼点『費用と投資』

業績をつくるための原則は。固定費を上回る限界利益を生み出すことで企業の業績はつくられる。すなわち、如何にして「固定費=費用をコントロールできるか」ということになる。

成長のカギはさまざまあるが、なかでも「費用と投資」の明確な使い分けが重要なカギではないだろうか。

2つのバランスが大切
・今の業績をつくる費用
・将来の業績をつくり上げるであろう投資
 

今だけでもいけない今の延長線上に未来がある。

今の業績をつくっている源泉は一体どこにあるのか、そして未来の利益をもたらせてくれる源泉をどうつくり上げるか、この2つの視点で現状の経営資源を見ていただきたい。

 

(49)利益率アップ事例『売る用途編』

攻めの手段である"商品の用途変更"によって、限界利益を向上させた企業事例を紹介します。

<事例>
包装資材メーカーのT社は2年間で限界利益率を約17%アップさせた。では、T社はその2年で何をしたのだろうか。主な実施策は以下 の3点である。
1.モノ売りではなく、機能を売ることに徹底追求
T社は、従来の販売ルートである食品・菓子メーカーのうち、「箱詰め作業」に人手をかけている中堅・中小企業クラスに注目した。そこで徹底したマーケティングを行い、既存製品である紙箱を改良し、「組みやすく、元へ戻しやすい箱」として製品化した。
また、通常なら購買責任者に提案するところを、顧客の経営トップに対して営業活動を展開し、「アルバイト人件費の削減効果」を訴求ポイントに採用提案を実施した結果、多くの企業で採用されたのである。"紙"という機能特性を最大限にPRした結果である。
2.従来の常識を変えた
T社は次に、最終消費者へ目を向けた。通常、紙箱は製品を「包む」ものであるが、T社はそうした従来の紙箱の"常識"を覆し、「包む」から「その場で使用する」へと用途を変えたのである。具体的に言うと、保冷機能を持たせて飲料品などを持ち運べるようにした。
さらに、中身の飲料品を取り出した後に、イスや小さなテーブル代わりに使えるように改良したことで、消費者の支持を得た。「包む」から『使用する』への発想の転換が生んだ成功と言える。
3.紙でないものを紙化(100%紙製を提案)
T社が次に提案したのは、通常はプラスチックやアルミ、鉄などで作られる製品を、紙で製作することを提案したのである。具体的な事例としては、紙の机やイスなどの家具製品や、金具を一切使わない扇子などが挙げられる。

 

★「用途を売る」には3つの商品用途を開拓すること★

レベルアップ
・機能の追加と変更
・業界常識の打破
・市場なきものへの挑戦

 

劇的な利益改善の可能性を秘める「用途開拓」に、いま一度着目していただきたい。

 

(50)限度主義の経営

戦後60年を経て、日本企業の大多数が事業承継期に突入している。


創業者から2代目への承継で"失敗"する中小企業が少なくない。

原因
創業者は・・・ ○カリスマ性
○会社の隅々まで理解
○経営のポイントを肌感覚で理解している
○ゼロから会社を立ち上げた経験と判断力がある
二代目は・・・ ○育った環境も過程も違う
○創業者と同じように経営をしようとするのは難しい
対策
企業を存続させる上で、重要なこと
組織経営であり、経営指標を用いた「限度主義の経営」を行うこと。
限度基準を設け、経営に反映させることがリスク回避のカギとなる。

限度主義のポイント
(1)人件費の限度
人員について基準を持たないため、売上げが伸びると安易に人員を増やし、業績が低迷すると人減らしに苦悩する企業をよく見る。売上高と限界利益のバランスで人件費をとらえていないからである。人員については次のような限度基準を設ける必要がある。
  • ●労働分配率(人件費/限界利益)の限度基準を設定し、その基準内で人件費をコントロールしていく。
  • ●人件費増加率<売上高増加率<限界利益増加率<経常利益増加率<自己資本増加率という序列を守っていく。
(2)予算制度と予算統制
経費削減は利益に直結する。経費は目的でなく「手段」であるが、基準を設けなければ、気が付いた時にはムダな経費だらけになってしまう。
経営は限られた経費やコストで成果を上げることが重要であり、経費とコストの勘定科目を総点検して限度を設ける必要がある。そのため、限度主義に立った予算制度と予算統制を実施することがポイントになる。
(3)投資限度
特に装置産業の経営においては、投資効率が重要となってくる。投資の失敗が企業の存続に大きな影響を及ぼすため、慎重な投資判断が求められる。その判断基準としては、次のような限度基準を用いるのが良い。
  • ●借入限度の設定......借入金依存率や月商倍率を超える投資はしない。
    例:借入金依存度(借入金/総資産)は30%以下、月商倍率3カ月以下
  • ●3期連続赤字の事業は撤退する
  • ●設備投資は減価償却費と経常利益の範囲内で行う。

 

(51)3つのマークを確認しよう

今の仕事のやり方を改善し、イキイキとした職業生活を送るために、自分自身の頭上に"3つのマーク"が付いているかを常に確認してみよう。
そのマークとは「?」「×」「!」の3つである。

1.「?」(疑問の精神)
「おや?」「おかしいな?」と気付く問題意識を持っていること。それが有効な問題発見につながるためには、しっかりとした目的意識に立脚することが前提となる。「健康でさわやかに、お役に立ちながら長生きする」という人生目的や企業目的を明快に掲げていると、それを阻害するものとして「問題」が直ちにクローズアップしてくる。
2.「×」(現状否定の精神)
今やっている方法や選んでいる方向が必ずしもベストではない。よりベター、ベストなものを目指して果敢に現状を否定すること。従来から行っていて、習慣になっているものの中にこそ、思い切った革新を必要とするものがある。時代が変わり、技術革新、ニーズ変化が起きる中、それに新たなる対応を図ること。
3.「!」(感動の精神)
予定や期待を上回る成果や出来事に人間は感動を覚える。「?」「×」で仕事の革新をすすめながら、この「!」をどれだけ多く付けることが出来るかが、生きがい、働きがいを決める。義務・責任感だけではなく、能力開発、使命感、成就感を伴う仕事だ。

 

(52)コミュニケーションの格差=業績格差である。

質の高いコミュニケーションとは
答えのない「問い」に対しても。両者が選択できる方策を形づくっていけることだ。
その際に有効なのは、「そもそも、その主張は、どのような問いに対してなされたものか」を考えることである。
「どのように手を打つか」という具体的に物事をとらえる視点を、「なぜそう思うか」という抽象的な視点に移行させることは、物事の本質にもう一度着目させることになる。
相手の主張を認めながらも、コミュニケーションの生産性が感じられずに共感が生まれない状況はよくあることだ。その中でもコミュニケーションの質を高めていくためには、そもそもの論点を意識することが非常に有効な手段である。
答えのない「問い」に対して、その時々でベストな回答を行うことも今のビジネスでは求められる。そのためにも、多くの情報をさまざまな角度から練り上げる「質の高いコミュニケーション」が、ますます重要となってこよう。

 

(53)業績革新の着眼点『筋肉質なチームを作る』

経営者は、業績が悪い理由を「環境」や「部下」の責任にしてはならない。

勝敗は、リーダーの采配によって決まると言っても過言ではない。

では、リーダーはチームの勝利を手にするために、どのように采配を振るっていけば良いのだろうか。その着眼点は次の通りである。


1.リーダー自身の習慣を変えよ

  • ●人は従来の延長線上で考え、行動することが多分にある。これは会社の体質・社風・風土なども同様である。リーダー自身の考えや行動を変えなければ、会社は変わらない。
  • ●リーダーは場当たり的な対応策ばかりを打たずに、まず自分自身をよく見つめ直し、習慣を変える努力をすることだ。

2.自社の常識は顧客にとって「非常識」という考えを植え付けよ

  • ●強いチームは、何事も顧客思考で考え、行動する習慣が身に付いている。顧客が何を求めているかを常に考える習慣を身に付ける。
  • ●行き当たりばったりの考えや行動では、顧客から満足されないのは当然である。顧客第一主義の徹底を図るには、すべての判断基準を顧客に置き、顧客にとって良いか悪いかの判断を常に繰り返すことで、顧客志向の習慣が身に付いてくる。

あえて難しいことから始めるのではなく、日常業務のなかから培っていけることを徹底し、実践に移すことで筋肉質なチームができあがってくる。

 

(54)経営者・幹部必見『形骸化した会議では企業成長はない』

「ただ開催しただけで、決定事項も何もない」という形骸化した会議
企業の成長はない
 
参加者全員が本当の意味で参加、検討できる会議に生まれ変わるには

1.会議資料は事前配布
各部門の持ち時間を10分とし、そのうち報告時間は2分のみである。
前月の反省点から今月実施することを報告する。参加した各メンバー全員から意見やアドバイスを受ける。
会議資料は事前に配布し、会議前に報告書を熟読してもらう。これにより各部門の成功事例や失敗事例が共有化でき、他部門との連携も強化される。
2.改善提案を会議に取り入れる
全社員に毎月、業務改善の提案を出してもらう。各部門会議で、「どの提案事項を経営会議に提出するか」を検討する。部門内の活性化につながり、常に改善することを考える風土ができる。
経営会議では各部門の提案事項から、
  • (1)顧客満足向上
  • (2)業務効率化・コストダウン
  • (3)社員満足
という3つのカテゴリーで、お客さま・会社・社員がより進化できるものを決定する。最優秀案は社内発表し、提案者本人はそれを誇りに思い、新たな提案へのモチベーションにつながっていく。社員から提出された提案事項は幹部陣が全て確認し、10日以内に返答する事が一番重要。

 

(55)業績革新の着眼点『クレームをチャンスに変える』

クレーム件数の集計はされているが、「記録」が目的となっており、クレームが分析や改善に活かされていないケースが多い。

クレームは「企業の宝」

企業の体質強化を図ることができる。

お客さまからのクレームは、企業が見落としていた製品の弱点をユーザーや消費者の立場から教えてもらい、より良い製品作りのチャンスを与えられることだと言える。

クレーム処理の際のポイント
1.件数カウント基準
発生件数を基準にカウントするのではなく、発生率と損害金額を比較基準にする。
2.原因の深堀り
作業者自身に不良発生の原因について、「『なぜ』5回繰り返し」と「6W3H」で考えさせる。
3.お客さまの納得を得られる有効な改善策の実施
改善策を検討する際、その内容がお客さまの納得を得られるレベルかどうかの視点で検討し、作業者が無理なく継続的に実施できる内容とする。

 

(56)業務改善の着眼点『気づきの大切さ』

常識が足りない」社員の改善には
「挨拶の重要性」から常識教育を教え込む。
できるまで徹底的に注意することが不可欠である。

 

「気づきの足りない」社員の改善には
「お客さまの大切さ」について、納得するまで教育することから始める。
「お客さま」という人は、こうしたことを嫌がる人だと"暗記"させるのである。

 

お客様の周囲を注意深く観察させる。
誰よりも早く気づき、誰よりも早く対応させる。
お客さまは感動する。

 

喜ぶお客さまを見て、自分自身も良い気持ちになることに気づく
ようやくお客さまに対する気づきの大切さを理解できる。

 

(57)経営者・幹部必見『あなたの会社の羅針盤は?』

『業績資料』が会社の羅針盤になるには

いくら資料を取り揃えても、肝心な業績が一目で分かるようになっていなければ意味がない。大切なことは情報の量や速さではなく、見せ方である。
例えば、年商90億円の化学薬品メーカーB社は、自社のコスト構造を
 ●総資本経常利益率
  ⇒売上高経常利益率・総資本回転率
  ⇒固定費・限界利益率
に分解して、コントロールしている。各部門においてはキーとなる指標を設定し(例:営業における1人当たり粗利益高)、現場で分かる指標に落とし込んで生産性指標として管理している。
この時、注意しなければならないのは、現場指標が上がれば、必ず会社全体の損益が変わる状態に設定することである。
年商40億円の住宅メーカーC社では、1枚のシートを見れば自社の経営状態が分かるように工夫している。中身についても、数字を単純に並べるだけでなく、できるだけグラフ化して直感的に理解できる状態にしている。

"経営の羅針盤"として舵取りができるように、常に分かりやすく、判断できる状態にしておく必要がある。自社の状態を聞かれた時、即座に答えられる環境をつくることが、業績改善への第一歩となります。

 

(58)『企業の背骨はしっかりしているか』

効率的に経営をしていく基礎であり、経営体質強化に必要不可欠な条件とは

①経営理念
②行動指針
③長期ビジョン
④中期経営計画
⑤年度方針
⑥年度予算
背骨がきちんと定められていることが大事

企業全体のベクトルの方向性を一致させること

経営理念→中期計画→年度方針→達成していくための仕事→行動・実績が評価され、給料が決まる

経営理念に基づいて、予算や評価・分配にまで一貫した思想で貫かれていて、一般社員にまでよく理解されていればいるほど、この善循環システムはうまく機能する。

 

(59)『魅力ある会社づくり』

優秀な人材を確保し、今後、自社の成長につながるような人材基盤を固めるにあたって、まずこれらのポイントが自社に備わっているか、見直してみよう!

1.経営者自身に魅力がある 経営者の魅力は何かと言えば、「若さ」「夢」「情熱」である。ここでいう若さは暦年齢ではなく、精神年齢である。目はキラキラと輝き、発言する言葉からは夢や情熱がほとばしるような人である。中小企業は社長自ら応募者に夢を語り、共に夢の実現に向かって働きたい人たちを採用することだ。
2.会社に将来性がある 現状は増収増益であっても、これは過去に打った手の結果である。将来に対しての先行開発投資(人材・商品・事業)を、どの程度行っているかで将来性は決まる。常に成長している会社は、売上げに対して5%~10%の先行開発投資をしている。
3.労働条件が整備されている 「水は低きに流れ、人は高きに流れる」と言われるように、優秀な人材を採用するためには、業界・地域・規模別に労働条件を比較、検討して給与・賞与・休日などの整備をすることである。
4.経営に参画できる 創業期の経営はトップダウン型・ワンマン経営が多いが、2代目、3代目の経営スタイルはミドルアップ型やボトムアップ型の方がうまく経営できる。経営に計画段階から参加することで、社員のやる気を向上させることができる。
5.自分の能力開発ができる 弊社で実施している社員のモラールサーベイでも、「仕事を通して自分の能力アップをしたい」という意見が90%以上を占める会社が多い。
能力アップができない会社では、退職者が続出している。社内教育・社外教育・海外視察などを通して自己啓発、レベルアップができる会社は、社員のやる気も向上し、魅力ある会社にもなる。

 

(60)業績向上に向けた予算管理体制の構築

予算と実績の差額や達成率を見ることだけが予算管理ではない。
予算の基本的な機能としては、次の3点が挙げられる。

1.計画機能 企業経営全般にわたる経営目標を達成するために、現状を細かく分析し将来の活動や優先順位を決定する。
2.調整機能 計画がバランスよく目標に向かって効果が発揮できるように調和を図る。
3.統制機能 計画に沿って予算が効果的に運用されているか、目標と実績を把握・検討して差異を分析しながら改善措置を行う。

予算と実績との差異がなぜ生じたのかを分析して、今後の改善に結び付けることが大切です。

予算差異分析の手順

各予算項目に対する責任の明確化

予算と実績の比較と差異額の算定

差異の原因分析

今後の見通しと対策の検討

業績向上に向けた予算管理体制を構築

 

(61)経営者・幹部必見『語り継ぐ経営~見える化の勧め』

年商30億円を超え、さらには事業承継が迫っているのであれば、社長の思いを語り継げる価値判断基準の伝承とそのための体系化・落とし込みが欠かせない。

経営執行の判断基準の棚卸し。自社の経営において、外してはならないカン・コツ・ツボ。社会に対する約束。人事憲章とも言うべき社員に対する思い。重点・集中・徹底の判断基準。危機管理のための超えてはいけない喫水線バランス。経営哲学はもとより理念の真の意味と行動基準。

「語り継ぐ経営」の具体的な内容
1.経営戦略の判断基準の棚卸し 2.経営執行の判断基準の棚卸し 3.業務判断フロー 4.自社の強みの分析 5.成長過程・成長要因分析 6.自社の固有技術とそれをぶつける成長マーケットの模索 7.未来指標(社会性・開発力・革新性・基盤安定度・危機回避力) 8.ビジョン体系 9.中期経営計画 10.人事憲章
これがそのまま経営風土改革の礎になる。要は、価値判断基準の「見える化」である。

 

(62)業績革新『"早朝清掃を徹底している"企業の業績は良い』

早朝清掃の徹底により得られる効果
(1)当たり前のことを当たり前にすることの重要性に気付く
企業の業績は毎日の積み重ねであり、一朝一夕にしてできるものではない。毎日の清掃を通じて、「当たり前のことを当たり前にする」ことで会社の業績が作られていることに、全社員が気付くのである。
(2)間違いを早く発見できる習慣が身に付く
清掃を毎日徹底することで「何が正しく、何が間違っているか」という価値判断が統一され、間違いを早く発見できる習慣が身に付く。これは経営トップからすれば、自分の目では見えない問題点が早く発見されるため、経営のスピードが上がることとなる。
(3)愛社精神が高まり「モノ」を粗末にしなくなる
毎日清掃を行うことで、「社有物を壊してはいけない」「会社を汚してはならない」という愛社精神が芽生える。ある特定のモノや場所をきれいにしておくと、人間は不思議とそのモノや場を大切にしたくなるものだ。これはほとんどの人間に共通した心理である。   
(4)一体感づくりができる
全社員でローテーションを組み、会社の隅々まで清掃を行うので、全社員が必ずトイレ清掃を順番に行うことになる。ある特定の人だけがトイレ清掃を行うことはないので、社員の間で不公平感が少なくなり、社内に一体感が生まれる。つまり、全社員で業績に貢献しているという一体感づくりにもつながっていくのである。
(5)朝から足並みを揃えて、気持ち良く仕事に入れる
朝から清掃に集中することで、「きれいになった」という爽快感が全社員に伝わり、足並みを揃えて気持ち良く仕事に入れる。

人間である以上、朝のコンディションの良し悪しはさまざまである。その点を十分にわきまえて、清掃を行いながら足並みを揃え、心体両面のコンディションを整えていくのである。

企業の業績は毎日の積み重ねであり、一朝一夕にしてできるものではない。毎日の清掃を通じて、「当たり前のことを当たり前にする」ことで会社の業績が作られていることに、全社員が気付くのである。

 

(63)経営者・幹部必見『基本動作の重要性を再認識する』

「なぜ基本動作が大切なのか」 「なぜ挨拶や言葉づかい、ビジネスマナーが大切なのか」 「なぜ掃除や2S(整理・整頓)が大切なのか」 ということを真に理解し、実践していこう!

いわゆる基本動作とは、
(1)すべての仕事に共通する基礎
(2)磨き抜かれた基本動作は企業信用を高めるもの
(3)頭で理解するのではなく、習慣として身に付けるもの
(4)永い間の熟練のエキスとして型決めされ、定着したもの
何のためにするのか、という目的がきちんと認識されていないため、何となく形だけまねている
基本動作がなぜ大切なのかというと、「人は1人では生きていけない。生きていくために必要不可欠なもの」であり、「人が他人(=社会)の評価と認知を受けるためのもの」だからではないだろうか。
基本の大切さ、当たり前のことを当たり前にする大切さを再認識し、実践していただきたい。

 

(64)経営者・幹部必見『投資内容を分析せよ』

企業が存続、成長発展するには常に
★今までのやり方を廃止・改善
★新しい構築
を行い環境変化に対応していかねばならない

 

改善や新しい試みをする「投資」の分類
1.業績(事業)拡大投資
本業や新事業を拡大していく投資。生産力を高める設備投資、営業力を高める営業拠点開設、人材補強など成長するために必要な投資。
2.現状維持(メンテナンス)投資
機械が正常通り動くようにする、古くなった車両を買い換えるなど、現状の業績を確保するために必要となる固定資産にかける投資。
3.コストダウン投資
作業性を高める機械導入、使用量を削減する備品購入などムダ・ムリ・ムラをなくすための経費削減・生産性向上に必要な投資。
4.コンプライアンス投資
品質管理システムなどの企業生命線管理、社会的責任を果たすための投資。
5.フレンドシップ投資
本業での収益は生まないが付き合いやしがらみといった社交的な投資。

自社の投資はどの分類に分かれ、成果に結びついているだろうか。
いずれにせよ、かけた投資コストを回収することが基本だ。

★どれだけの利益が年間出るのか
★効率改善により年間で経費をいくら削減できるのか
★いつから利益が出るのか
★シナジー効果はいくらあるのか

以上を考慮し、中長期で計画を立てる。

つまり、投資することにより自社の業績・風土がどう変わるのかを押さえることが重要なのである。

 

(65)業務改善の着眼点『営業部内メタボリックを解消せよ』

メタボリックを解消するには運動し、食生活を変えて行動改善と体質改善が必要である。 営業部隊も同様である。営業コストは大きな固定費だ。営業社員の動きが悪くなると、経費・人件費・在庫・借入金・クレームなどが増え、営業社員の稼ぎだけで固定費をカバーできなくなる。粗利益(または限界利益)に対して、営業に関する固定費比率(体脂肪率)が上がってくる。
したがって営業部隊も行動改善・体質改善を実行し、稼ぎ高を増やして利益を増やすか、固定費を削るしかない。

営業社員が意識しなければならない数字は
  • ★自分の必要稼ぎ高(粗利益または限界利益)を明確にすること。
  • ★「自分の年収+間接部門の人件費+その他経費」を含めて、月にいくら稼がないと赤字になるかを明確にすることだ。
  • ★業績不振を改善して体内脂肪を燃焼させ、筋肉体質(生産性向上)になるためには次の4つのステップが必要である。

1.現状認識
マーケット分析、業績分析、営業マネジメント分析、営業プロセス、行動分析、業務分析、商品分析、売上方程式の策定、営業動向による行動のギャップ分析、顧客分析、ライバル分析と勝敗要因分析
2.勝てる場と新しい勝ちパターンの発見
ボトルネックの解消(営業プロセスのボトル)、売れている営業社員のパターンの整理と共有化、先行管理システム・見える化の導入、ターゲットの選択、営業行動基準の数値化
3.決めたことを着実に実行するための組織体質改善
考え方を統一し、途中であきらめたり、方法を間違ったりしないために全営業社員に対してマネージャー研修、営業社員研修などトレーニングを実施
4.新しい勝ちパターンの実施、新マネジメントによる進捗管理

 

(66)『心技体のバランス』

企業生活における「心技体バランス」の指針
1.心・・・ 目的を明確に持ち、迷いなく邁進できるテーマを設定できているか。人生と仕事の接点、業績向上と個人の幸せ目標のリンケージ。組織としてメンバーが関心を持ち、集中できるビジョン・方針・目標の設計。
2.技・・・ 仕事の基本「ハタラキヤスク・ハタラク」(早く・速く、正しく、楽に、キレイに、安く、そしてハタを楽にする)の体得と、ストレスを溜めない十分なコミュニケーションの促進。そして明るくリラックスして取り組める権限委譲とチームワーク風土づくり。
3.体・・・ 健全な財務力を常に磨き、少々の環境変化にも揺るがない業績基盤、各人の健康増進。組織の若返りや後継経営体制づくり、新しい事業戦略の構築でリスクヘッジ型・予防医学的な経営に取り組む。

 

(67)経営幹部必見『"聞く"スキルを磨く』

ただ単に部下の声に耳を傾けろということではなく、相手の立場に立った"聞く"技術を身につけていただきたい。 以下はある会社で、事業収支計画書を作成したB課長が、直属の上司であるA常務に提出したときの会話である。
  • A常務「君はこの収支計画をどう思う?」
  • B課長「ええ、これでチーム一丸となって頑張っていこうと思います」
  • A常務「いやもちろん頑張ってもらわないと困るんだが・・・どうなんだ?」
  • B課長「ど、どうと申しますと・・・。恐らく大丈夫だと思いますが。」
  • A常務「そういうことを聞いているのではないんだ!しっかりと答えてくれないとこちらとしても承認を出せないよ。全く・・・もう一度見直してくれ。」

何をどう答えて良いかわからない聞き方をしておきながら、B課長が答えに詰まっていることにA常務は苛立ちを隠せないでいる。A常務のように「どうなんだ?」が口ぐせのようになっている人は多い。

相手が答えを絞りにくい曖昧な質問をしていることに気付かないまま、相手に明確な答えを示すように強制している矛盾に気付く必要がある。

別の事例を紹介しよう。ある営業会議での会話である。
  • C部長「この件について、何か意見は?」「誰も発言はないのか?」 「常日頃から、問題意識を高く持てと言ってるじゃないか!」
果たして、参加者の問題意識が本当に低いのであろうか?C部長が活発な意見が出るのを妨げ、誰も口を開けないようにしている可能性はゼロであろうか?さらに腕を組み、しかめっ面をした状態で言われたならどうであろうか?
  • ★ただでさえ上司にはものを言いにくい
  • ★その上、まるで責めるような口調で質問されたら威圧感を感じる
  • ★「私の意見はピントが外れていたらどうしよう」
  • ★「下手に口を開いたら怒鳴られるだけだ。ここは黙って誰かが発言するのを待とう」と、発言に対して消極的な態度になってしまう
  • ★自分の意見がC部長によって採点され、評価されることを恐れる
聞き方しだいでは、あなたのリーダーシップを発揮する上での能力が測られる。部下の姿勢を正す前に自らの"聞く"姿勢を正していただきたい。

 

(68)業績革新のための『振り返り・検討・整理のポイント』

業績革新の着眼点
事業領域 現在の事業領域自体が成長性・収益性を上げられる業界であるのかを検討し、事業領域のシフト・周辺領域への拡大・撤退の判断をする。
マーケット 標的ターゲットは明確か。また、そのターゲッティングの取り方は間違っていないか。自社が提供する付加価値を認め、購買力と成長力のある"ターゲット"とすべき顧客の特性は何かを検討する。
開発 売れる玉があるのか、陳腐化していないか、差別化ポイントはあるか。 商品開発、商材探し、サービス差別化を行い、新たな需要創造のため組織的に取り組んでいるかを検討する。
粗利率 利は元にあり、仕入利益を上げられているか。営業が販売現場で売り負けていないか。付加価値の取れる商品ミックス、商品の重点化が徹底されているか。
ビジネスモデル 構造的に利益が取れるようになっているか。BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)が必要でないか。ビジネスの全体像を俯瞰して再検討する。
オペレーション 経営資源の生産性が上がるオペレーションになっているか。工程・設備・動作・人材を改善する必要性はないかをチェックする。
外注活用 固定費の変動費化は図れないか。自社養成に時間とコストがかかる技術・工程を外部に任せられないか。外注の有効性を検討する。
管理利益 ミス・ロス・クレームによる工数や費用が発生していないか。
投資効率 経営資源全般への資金投入に対してのリターンを検討する。
ファイナンス 営業外の収益力はどうか。資金調達手法の見直しは必要ないか。資本力を活かして市場占有率を高められないかを検討する。

 

(69)『部下育成のロールプレイング』

ステップ1.
面談の目的を説明する
雑談はかえって緊張や警戒を生む。単刀直入に面談の趣旨について話をすること。
ステップ2.
問題について説明する
事実のみ話をし、自身の判断や感情を加えないようにする。
ステップ3.
話を聞く
  • ○受け入れる:「なるほど」「うんうん」など、目を見て相槌を打つ。
  • ○繰り返す:相手の言葉をそのまま繰り返す。
  • ○言い換える:自分の判断を加えるのではなく、相手の言葉を同じような意味の言葉に置き換える。
  • ○話を引き出す質問をする:「はい」「いいえ」で答えられないような質問をする。
  • ○黙っている:相手が話し終わったあと、すぐこちらから話をしない。黙っていることによって話を続けてくれる。
ステップ4.
問題点について同意を得る
相手が問題について認めない限り話を進めてはいけない。問題点が存在することについて同意が得られるまでステップ2・3を繰り返すこと。
ステップ5.
一緒に解決策を決める
こちらから解決策を一方的に押し付けないこと。一緒に解決策を決めることで2つのメリットがある。
  • (1)自分でできる現実的な方法を考えられる。
  • (2)押し付けの対策より自身で考えた対策のほうが確実に取り組む。
ステップ6.
自分の言葉でまとめさせる
最後に自分の言葉でまとめさせること。いつまでに何をすべきかがわかっているか、この問題に対してどのように思っているかがわかる。

このロールプレイングを機会に、部下との接し方を意識していただきたい。部下に対する発言のうち60%を指示・命令ではなく、褒めることや改善のためのアドバイスにし、その記録を残しておくことをお勧めする。

 

(70)経営者・幹部必見『基本通りが業績につながる!』

基本がなっていなくて赤字に陥っている企業が多い

基本通りに経営を改善した結果、見事に再建を果たした会社がある。
  • ・会議のスタート時間は遅れる
  • ・何のケジメもなく会議が始まる
  • ・会議の議事録は取らない
  • ・出席者は前回の会議で何を決めたかもよくわからずに参加している
  • ・朝礼はダラダラと長い
 

根本原因は社長自身の「危機感のなさ」にあった。


改善策「社長交代」と「経営を基本通りに行う」
  • ・会議は5分前集合。
  • ・ケジメをつけて会議を始め、司会・板書・議事録の役割を分担した。
  • ・会議の議事録を取り、6W3Hを明確にした。
  • ・次の会議の時にはその結果を厳しくチェック。
  • ・工場では5Sを徹底し、各部門の5S評価を毎週行い、不完全な部門を発表して改善を促した。


全社員が一丸となって「基本通りに仕事を行う」ことに取り組んだ結果、ついに1年後には5,000万円の黒字を達成した

全社員で取り組まなければなかなか成果は出ない。要は全社員で真面目「基本通りに仕事をする」ことが重要なのである。

 

(71)業績革新の着眼点『マネジメントサイクルは回っていますか?』

PDCAサイクルが回っていれば仕事は日々進化し、同じ失敗や問題は起こらない。
  • ○計画を立て実行しているが、チェックが出来ていない。
  • ○チェックまでは出来ているが、アクションが出来ていない⇒PDCAサイクルは回らない!
CA実行のポイント
結果を重視するということである。結果の前では言い訳は無用であり、厳しく現実を直視することから始まる。
次に原因分析
「なぜ」を繰り返すことによって本質に迫る。
本質に迫るためのポイント
プロセスを数値で押えることである。3点程度に原因を絞り込み、対策は誰が、何を、いつまでに実行するのかを具体的に決める。

マネジメントサイクル

 

仕事は失敗や改善の連続である。問題が起きることが悪いのではなく、改善しないことが悪いという意識付けを全社員にしていただきたい。チェックする前と同じような対策であれば、同じ問題が繰り返し発生することは明白である。

 

(72)組織活性化『協働を通じて、仕事の質を転換する』

★決められたことを間違いなく行なう仕事から、知恵を出し合い創造する仕事、つまり人間の「心」が大きく仕事に左右するようになってきている。

~このような現代では、組織での「協働」が重要となっている。~

★協働のもたらす効果が人間の「心」に火をつける、モチベーションの向上をもたらすことになるからだ。

協働による3つの効果
お互い足りないものを補い合う
「補完効果」
補完しあう中で、お互いに刺激が生まれ、新たな発見から組織としての活性度が高まる「相乗効果」へ結びつく。
「相乗効果」 協働を通じて、仕事の質が転換され組織が活性化される。
「成長効果」 活性度の高い組織は、自己を成長させる機会を与えてくれる組織としての価値を持ち、その組織に帰属することは成長の実感と予感を抱かせる。

組織活性度を高める施策「サンキュー&チェンジ・メッセージ」

自分以外のメンバーへの感謝や変化・成長をメッセージとして本人にフィードバックするものである。
  • ・感謝される=周囲・組織への貢献が承認された"と捉え、当然モチベーションが高まる。
  • ・成長した点がフィードバックされることで成長点を意識するので、モチベーションアップヘ効果絶大である。
  • ・さらには"自己の変化を認めてくれている"という気持ちは、本来人間の高次の欲求充足であるといわれ効果も予想以上に大きい。

 

(73)『組織経営と合議制の違い』

現在は動乱の時代に入っており、経営者1人だけの構想・実行力では経営は厳しく、さらなる組織経営化が必要であると言われている。

組織化を進めたい企業の多く
失敗

「合議制」

会社の方向性や方針・やるべきことを皆で決めることである。それ自体は悪いことではないのだろうが、私の知る限り結果としては、判断スピードの減退、過度な仕組み化(文章・会議の増加)、それに伴う実行力の低下ならびに時代対応スピードの低下を招く。
成功

「組織化」

責任を明確にした上で、複数の意思決定者を作り、衆知を結集しながらも決済範囲の中で、各責任者の責任において方向性を明示することである。

企業の業績を向上させることは、還元すればいかに実行力を上げるかに集約される。実行のための組織化であることを明確に意識し、合議制の愚に陥らないよう重々注意されたい。

 

(74)経営者・幹部必見『日系企業から学ぶ製造現場』

上海にある日系企業2社の製造現場の現地法人の代表者が口をそろえて言うには。

・個人主義的色合いが強く、日本におけるQCサークルやOJTは機能しにくい
・判断・決断を下せない役職者は蔑視される

日本の製造現場が学ぶべきポイント
(1)現場教育とチームワークこそ、国内製造業の強み
製造に携わる社員個々が行なう作業のレベルや力量・スキルには、さほど大きな差はないと思う。ただ、技能習熟にかかるスピードや、組織レベルの改善は国内製造業のほうが優れているという印象を受けた。この優位性がなくなれば、中国の人件費上昇が進むとはいえ、製造業が国内にしがみつく理由はますますなくなってしまう。
また組織レベルの改善は、国内の中堅製造業といえども、幹部自身に問題意識・改善意識がなければ、チームワークも発揮のしようがない。是非、この点を心にとどめていただきたい。
(2)わからないことを決めるのが判断力・決断力
日本には自分に委ねられた判断を、上司に投げて責任回避する傾向がある。前述したように2人の総経理は、その点を違いとして指摘された。背景には国民性の違いに加え、「報告・連絡・相談」に対する重要度の違いもあるのではないかと推察する。

幹部としてあるべき姿
問題意識・改善意識を高め、現状認識力・情報収集力を養い、製造現場をより活気あるものにする。

 

(75)『組織の活性化は「報・連・相」』

★職場内トップと幹部、上司と部下の不信感など、トラブルの原因のほと んどが「報・連・相」であり、これが常態となると不信から不満となる。不満が充満すると組織は崩壊する。そこで今一度「報・連・相」の基本と本質を考えてみたい。

<基本>
1.仕事の締めくくりであり、次のステップへの始まりである
2.業務の流れを円滑にする潤滑油である
3.作業能力を向上する場である
4.相手の立場と考え方を知り、チームワークを向上する場である
「報・連・相」が徹底しない』真因 ⇒ 基本、必要性を理解できていても本質を理解していない。
本質の第一は、価値判断である。何が大事なことか、トップや上司が何を求めているのか、何を報告しなければならないのか。これらの判断が自分の価値判断基準で行われる。したがって、各人の重要順位が上司やトップの求めるものと異った場合、ミスマッチが起こる。
第二の本質は、トップや上司指揮権の下に入りたくないといった人は「報・連・相」をしたくないものである。上司に対する信頼性がない場合など意識的に報告しない。

★「報・連・相」の徹底のためには、基本の教育と同時に社内の価値判断基準を明確にする。さらにトップと幹部、幹部と部下の信頼性を高める社内風土づくりと教育が課題である。

 

(76)経営者・幹部必見『課題先送りの体質になっていないか』

★"攻めは奇手あり、守りに王道あり"という言葉からもわかるとおり、不況期こそ原理原則に立ち返る時である。ぜひ自社の経営を振り返っていただきたい。

1.粗利益(限界利益)が低い→取扱商品に問題がないか?
2.粗利益は高いが営業利益が低い→マネジメント・生産性に問題がないか?
3.損益分岐点は高くないか?固定費は?自社のコスト構造を明確にしているか?

★等々、自社のコスト構造とそれを基にした経営指標の構築が必要である。 打つ手が遅れると業績回復が遅れる。不況期に考えていただきたいのは業種、規模、生産性の3点である。これらの点を踏まえて、自社の進むべき方向性をまとめていただきたい。
○規模に合わせた組織体制になっているか。
○粗利益に 占める労働分配率の見直しをしていただきたい。

 

(77)次代を生き抜く着眼点『大混迷時代を勝ち抜くための要件とは』

何も手を打たない巣篭もり戦法で好況の機会を待っているだけでは、現状打破はできそうもないということである。大混迷時代を勝ち抜くための要件として2点を取り上げてみる。

1.将来を見据えた先手先行経営:ビジョン(将来像)の明確化・共有化
『他人と過去は変えられない、しかし自分と未来は変えられる』我々が真にマネジメントすべきは、過ぎ去った過去よりも、変えられ得る多くの選択肢をもつ将来である。

『刻々と変化する環境動向のもと自社の将来姿を明確に描き、理想と現実のギャップを先手先行で課題化し、他社に先駆けて手を打っていく』そのような先手先行経営こそが、今のグローバルハイスピード社会においてとるべき経営姿勢である。
2.仕組みで運営する組織経営:経営組織(人と仕組み)の基盤確立
これからは価値観も含めて多くのことが絶え間なく変化する時代であり、それだけにトップ・経営陣は常に高い視点での戦略経営が求められる。従って、戦略経営の遂行に邁進できるよう、管理すべきことを仕組み化し、全員がそのルールを守り、トップ・経営陣は適時、要所だけを押さえていく、そのような組織経営への転換が欠かせない。

次代を生き抜く着眼点

目指すべき先が常にはっきりしている "ビジョン経営"
それを着実に推し進めていく"計画経営"
さらにその進捗を多くの目で追っていく "組織経営"

 

(78)経営幹部必見『当事者意識を持つこと』

評論家であれば、その結果に対する責任というものはない。しかし、経営幹部は現場で結果を出すことが仕事であるので、いくら評論がうまくても仕方がない。すでに起こった事象に対して得意気に「あれがいけなかった」「何故そんなことをしたのか」と言うのであれば、そうならないように予め手を打っておくことが当然、経営幹部には求められる。
他人事のように本プロジェクトに関わっていた幹部がいた。心の奥底では「実行するのは自分ではないから」と言わんばかりの態度であった。
ところが、総責任者に任命された後取り組み姿勢に変化が表れた。発言の1つひとつにも重みが出てきた。会議中も、計画を実現するためには「誰が」「いつまでに」「何をするべきか」を掘り下げて考えるようになった。つまり"当事者意識"が芽生えたのである。

何事にも常に"当事者意識"を持って取り組めているかどうかを、ぜひ自問自答していただきたい。

 

(79)『強い会社の社員とは』

強い会社(業績の良い会社)の社員に共通している点
○原因自分論である 強い会社の社員は目標が達成できなかったことについて、決して他人や環境のせいにせず、自分自身にその原因を追究して対策を講じている。弱い会社の社員はすぐに他人や環境のせいにしがちである。
○後ろ向きの発言をしない これは会議に出席すればよくわかる。強い会社の社員は後ろ向きの発言がなく、どうしたらできるのかといった前向きな発言が多い。弱い会社の社員は「無理です」「できません」といった後ろ向きな発言が飛び交う。
○数字(業績)に興味を持っている 強い会社の社員は幹部・一般社員までの全員が、直近の会社の業績(売上・利益)をよく知っている。弱い会社の社員は、営業部門の社員ですら前月の売上高を知らない状態である。
○価値判断基準が高い 強い会社の社員は目標に対して100%達成することを常に目指しており、最後まで妥協しない。弱い会社の社員は90%の達成でも「目標は達成していないがよくやった」と妥協しがちである。
○決めたことは必ず守る 強い会社の社員は、自分で決めたことや会議で決まったことについて、その期限や行動を必ず遵守する。弱い会社の社員は期限を守らず、誰かに言われるまで行動しない。
○問題に対する処理のスピードが速い 強い会社の社員は気づき能力が高く、小さな問題の段階で処理する。弱い会社の社員は問題が大きくなるまで放っておき、誰かが処理するだろうといった考えがある。
○陰口を言わない 強い会社の社員は意見や提案があれば、会議や面談の際に意見具申をする。弱い会社の社員は何も言わず、陰でマイナス発言をする組織破壊者が多い。

強い会社の社員は意見や提案があれば、会議や面談の際に意見具申をする。弱い会社の社員は何も言わず、陰でマイナス発言をする組織破壊者が多い。 経営者・経営幹部のリーダーシップのもと、方針の徹底や社員教育の実施、あるいは上下間のコミュニケーションができているかどうかで差が出てくる。あなたの会社の社員はどちらに当てはまりますか?

 

(80)業績革新の着眼点『粗利益こそ企業の競争力』

★粗利率の高い企業には「考える習慣」が身についており、仕入れ交渉力、商品開発力、販売企画力などを徹底的に磨いている結果が、高粗利につながっているのではないだろうか。 では、中小企業においていかに粗利率を高めていけいばいいのか。

粗利率を高めるポイント

1.価格は自社が決めるという考えを持つ

法律で規制された商品以外は、自社で商品の価格を決めることが出来る。適正価格とは、「顧客が納得して購入してくれる価格」のことであり、安易に「安売り」に走らず、「どれだけ高く売ることが出来るか」ということを真剣に考えることがスタートラインである。「安売り慣れの脳死状態」になっていないか確認していただきたい。

2.粗利が取れる商品を開発(仕入)する

粗利が取れる商品とは、顧客が価格を知らない商品である。そのためには常にアンテナを高く持ち、情報収集することが必要である。 今の時代、顧客が知らない商品を探すのは難しいテーマであるが、掃除機機能とエアコンを組み合わせたパナソニックの「おそうじロボエアコン」のように、「既存技術(商品)」の組み合わせによって新しい商品を生み出すことは十分可能である。

3.提案と情報を付加する

顧客に対して「商品説明が必要な商品」は、その分高く販売することが出来る。化粧品もスーパーやコンビニで売られている商品は安いが、百貨店で美容部員が接客すると高く売れる。ポイントは、買い手より売り手の方が情報を持っていることである。 そういった商品に重点を絞り、自社の社員の提案力と情報力の強化を図りながら、高粗利商品を販売できる人材力を磨くことも必要である。

 

(81)『ミステリーショッパー』

★ミステリーショッパーという手法がある。これは顧客に扮した調査員が店舗でサービスを受け、その結果をレポートとしてまとめるものである。このような調査を利用する外食企業も多い。 ミステリーショッパーは、自社の店舗について顧客視点でチェックを行ってくれ、非常に便利なものだが、今回は自社でできる店舗の現状認識の手法を解説する。

1.商品・接客・清掃 営業時間を時間帯ごとに朝・昼・昼過ぎ・夕方・夜間と分け、経営者自ら店舗を観察し"問題はないか"、"こうしたら良いのではないか"と仮説を立ててみる。これは客席と厨房、店舗の外と全てで行ってみる。
また来店されている顧客へ声をかけ、この項目について"良いところは何か""不便はないか"など聞いて回るのである。そして各項目についての発見をまとめていく。
2.スタッフ 社員・アルバイトリーダー・アルバイトについて、人間関係や指示事項、動きについて観察する。また在籍人数や、曜日・時間帯別に適性人員がいるのか、早期退職者や異常退職者がいないか確認する。トレーニングや退職防止活動、個人評価がきちんと行われているかもチェックし、従業員満足度を確認する必要がある。
3.売上動向 曜日・時間帯別の売上分析はもちろん、競合の状況や、CSアンケートとの比較、商品別の売上も検証する。
4.利益分析 財務会計上の人件費・原価についての分析だけでは利益分析とは言いがたい。原価率は棚卸原価と標準(理論)原価の差を算出し、廃棄もどのような理由で何がどれくらい廃棄になったのかを確認する必要がある。

これらの項目を、幹部が一日かけて調べ上げ問題点を整理することで解決策が見えてくる。店舗チェックを外部に委託するのも良いが、自ら店舗を見る能力を高めていかなければならない。

 

(82)『商品貢献度分析によるコスト圧縮』

★主要メーカーは消費不振に対応して、以下のように重点商品に開発と生産販売を集中しコスト圧縮を進めようとしている。

<重点商品の判断>

(1)商品の4区分(商品回転率=売上高÷平均在庫高)

①高粗利益率・高商品回転率...かせぎ筋商品:利益を支える重点商品
②低粗利益率・高商品回転率...売れ筋商品:品切れに注意する
③高粗利益率・低商品回転率...もうけ筋商品:利益の大きい商品
④低粗利益率・低商品回転率...不利な商品:切捨てを検討する

不況期の重点商品の優先順位は、①→②→③(④は廃止)である。②と③で、売れ筋商品を優先するのは、不況期にはできるだけ在庫を少なくするオペレーションが重要だからである。

(2)交差比率・貢献比率

重点商品を数字で判断する手法が、交差比率(粗利益率×商品回転率)・貢献比率(交差比率×売上高構成比)の算出である。交差比率・貢献比率の高い商品が重点商品である。
 
<在庫圧縮によるコスト削減>

(1)在庫圧縮目標の設定と貢献度基準での削減

①圧縮目標の設定...過去3年の在庫高推移→月別・商品別在庫目標の設定
②商品貢献ABC分析...商品貢献度分析→ランク別の商品管理方針の確定

(2)在庫圧縮の効果

①保管料・保険料・倉荷料・運搬費の削減
②在庫金利(支払利息)の削減(※)
③長期在庫・不良在庫処分費の削減
④管理人件費の削減

※商品在庫は、販売代金を回収しなければキャッシュにならないため、仕入から回収までの間に立替払いが発生する。これを運転資金といい、銀行借入で対応するケースが多いため、在庫が多いと在庫金利負担が大きくなる。

コスト圧縮といっても、さまざまな手法がある。商品貢献度分析という着眼でのコスト圧縮に、これらの手法を参考にしていただきたい。

 

(83)経営者・幹部必見『中期経営計画を策定する意味』

1."わが社がどこに向かって進むのか"という道標となる
社員は目先のことだけでなく、会社の将来を見据えながら自分の人生を考える。今後、どっちへ行くのかもわからない会社では、大事な人生を送る上で不安である。社外的には例を挙げると、企業にしっかりとした明確な中期経営計画があることで、金融機関に安心感を与えることができる。
2.経営の舵取り(方向修正)ができる
現状と5年後の計画数値とのギャップが、企業が中期的に取り組むべき戦略的ギャップである。中期的な方向性の下、段階的に単年度ごとの計画があり、それと現実との差がわかるからこそ企業が基準(あるべき姿)へと戻ることができるのである。
3.環境変化により計画が大幅に変わる場合、修正・見直しを図ることができる
どのような経営環境になってもしっかりと利益を出すことのできる計画を立てておくことが必要である。また、どのコースにおいても1年目、2年目と数字に乖離が出てくることもあり、その際には毎年の実績を加味し、修正可能なものにしておくことも必要である。

中期経営計画とは、具体的な経営の羅針盤としての機能を果すものであり、健全な経営を行っていく上で大事なツールなのである。

 

(84)業績革新の着眼点『収益モデルを徹底していますか?』

企業における収益性の第一指標は総資本経常利益率(経常利益÷総資本)
この総資本経常利益率を分解すると、総資本経常利益率=売上高経常利益率{経常利益÷売上高)×総資本回転率(売上高÷総資本)
つまるところ、企業の収益性は利益率と回転率の掛け算なのである。

自社の収益モデルの勝ちパターンが「高利益率型」なのか「高回転率型」なのかを明確にした上で、その儲け方を徹底して追求していくことが高収益への近道です。

 

(85)経営者・幹部必見『リーダーのスキルアップ』

創業者であるA氏のトップダウン経営で飛躍的に成長を遂げた。A氏は亡くなる直前、B氏を次期代表者に指名した。カリスマ創業者の背中を見て育ったB氏から聞いたのが、「人間万事塞 翁が馬(この世の全ての幸福や不幸は変転し予測できないことのたとえ)」 という言葉である。

リーダーは、ありとあらゆる場面でさまざまな危機に直面する。そのような状況になれば「もうだめだ・・・」と思い、マイナス発想になりそうなものだ。しかし、今起きている災いも長い目で見れば、良いのか悪いのかは分からないのである。
B氏は常に前向き・プラス思考で、リーダーとしての魅力にあふれているが、カリスマ創業者のマネはできないと言う。しかしB氏は1年中仕事のことを考え、「何をするか(どのような事業展開をするか)」もさることながら、「だれがやるか」と「人」にこだわっている。

そのため採用にこだわりを持ち、優秀な人材を採用しようと、志望者に対して自社の将来的なビジョン(会社がどこを目指して走っているのか)や求める人材像を語りかけている。

さまざまな新しい事業分野に挑戦し続けるB氏に学ぶべきポイントは次の3点にある。

・リーダーとして常に前向き・プラス思考
・リーダーとは常に問題意識を持って、最も考えている存在
・リーダーの使命は、今の社員より優秀な人材を採用すること

B氏のリーダー論は一例であり、人それぞれに違ったリーダー論を持っているであろう。しかし共通して言えることは、

どの世界でも"一流"と言われる人は「常に勝ち続けるため」に今を賭けており、個人のビジョンが確立されているからこそ、逆境から逃げないブレない強さを持っているということだ。

経営者・経営幹部はリーダーとしての強さを備え、「感性」「バランス」「人間力」を磨き、スキルアップを目指していただきたい。

 

(86)業務改善の着眼点『執務基本の徹底』

事務職が身につけるべき"執務の基本"

1.デスクワーク ○仕事の優先順位を「お客様・上司・自分の仕事」の順で決める。
○不必要な書類は分類し、すぐに処理する習慣をつける。
2.情報連絡 ○受けた情報は、口頭の時も必ずメモする習慣をつける。
○情報を連絡すべき先と、内容、重要度、タイミングなどを考え手段を選ぶ。
3.書類への認印
  • ○書類には必ず日付と認印があり、ないものは書類とはいえない。認印を押印することは目を通した書類に対する「責任の所在」を明らかにすることであり、正確な執務をする上で必ず必要となる。
  • ○不明な点がある場合は押印せず、その内容を確認する。
4.ビジネス文書の修得 ○できる限り簡潔に書き、内容は原則として1文書1件。
5.社内文書の取り扱い
  • ○配布物には、各人がわざわざ開ける必要のないようにパンチ穴を開けておく。つまり相手の立場に立った姿勢をとる。
  • ○ホチキスは、左(または右)の上角の一個所に省略する。
6.メモの書き方・使い方
  • ○上司への伺いなど口頭だけではなく、要点を簡明にメモしたものをもって通知すること。
  • ○用件の確認、備忘、経過および措置を明確にし、後日の参考にするためのものである。 ○閲覧または処理を終えれば、作成者に返却する。 ○返事、所見、措置などその結果を朱記することにより、作成者に対して行き届いた処置となる。

 

(87)『人的生産性を高める事例』

不況に対して、生き残りをかけて、各社(中小・中堅企業において)対応を進めている。コストダウン推進のためには、スピードと実行力が必要である。今回は、生産性の改善を実施している実行事例を以下に紹介する。

A社は、生産性を調整するために、人員数・日数・時間(残業のカット含む)の3つの要素から受注高の落込みをカバーし、生産性を維持している。

理論上ではあるが、これまで残業2時間のところを残業ゼロで運営した場合、稼働時間は80%に抑えた状態になる。さらに、人員数を80名にすると総労働時間を80%に抑えた状態になり、総労働時間が最終的に64%の状態となる。
A社では、現在週休3日での運営をしているため、結果として受注高が40%ダウンする前より生産性が向上した状態となっている。人的生産性を高める改善は、社員の意識に起因する部分が最も大きく、改善するためには難易度が高い項目でもある。

一般的に、人は仕事量で時間が決まるのではなく、持ち時間に仕事量をあわせる特性がある。例えば、80%の仕事量でも100%実施するための時間がかかるし、120%の仕事量でも100%の時間で仕事をこなすことも可能である。生産性を上げるためには、120%の仕事量を与えるのが最も早い手法である。

受注高が減少した今、ムダに時間を費やすのではなく、思い切って工場(ライン)を停止させる施策も必要ではないだろうか。最近では、週休3日などにより助成金を申請し、対応する企業も増えている。一度、現在のわが社の人的生産性がどういった状態になっているか算出し、対応を検討いただきたい。

 

(88)『経営理念の見直しと明確化』

経営理念の明確な会社は強く成長している。そこで今回は"経営理念の本質"について探求したい。

企業は何らかの仕事をしている集団である。それでは原点に戻って"仕事の本質"とは何かを考えてみたい

経済活動が高度化し、発展する中で、カネがあると何でも手に入る時代になると「仕事はカネを稼ぐもの」と錯覚されるようになった。現在、仕事をそのように捉えている人も少なくはない。
しかし"仕事の本質"はあくまで「人の役に立つこと」「人の役に立つモノを作ること」である。
経営理念は"企業の本質"を踏まえて「自社の存在価値は何か。何をもって社会に貢献するか」を明確にすることであり、自社の経営方針・戦略より優先すべきことである。

関東にある中小企業のメーカーA社は、経営理念を「重量物を明確に計る」ことにして事業展開をしていたが、ライバルと競合する中で業績は厳しく苦戦していた。創業者から事業承継をした二代目経営者は、経営理念 を見直して「健康を正確に計る」とした。A社は従来の体重計に機能を付加し「体脂肪計」の開発に成功した。 このA社は、"企業の本質"である「人の役に立つモノを作る」を追求し、経営理念を変更、明確にして新しい商品づくりに成功したのである。

経営理念は経営の原点である。頻繁に変更するものではないが、環境が激変する中で見直しをすることも必要である。

 

(89)トップセールスへの道『目標達成する考え方と行動』

目標達成できない営業マンがいる一方、同じ条件で目標達成している営業もいる。彼らは、単に運良く達成しているのではない。タイプは違えど、自分なりの考え方や行動基準を持ち、人間関係をうまく築いている。その一部を紹介する。

○目標管理の考え方・行動基準

1.年間訪問件数(過去の訪問件数、平均受注粗利高を分析)

<例>

昨年目標:¥50,000/昨年訪問件数:10件

1件あたりの平均粗利¥5,000

今期目標:¥100,000/今期訪問件数:20件

まずは王道で訪問件数を増やす。物理的に無理と判断した場合、営業のレベルアップ、もしくは1件当たりの粗利額アップという選択をする。

2.B(ベース)、N(ニューベース)、S(スポット)という切り口で、どこでどれだけ稼ぎ、そのために何をするのかの作戦を練る。

B:どの顧客でどれくらい受注できるか
N:何を、どれだけやらなくてはいけないか
S:何件、いくらの見込みを出すか

3.その他(ライバルに差をつける)

スピード対応、痒い所に手が届く対応など基本的なことではあるが、顧客が「ライバル会社より心地良い対応だ」と思っていただくことが大切である。
○人間関係

仕事でいうところの人間関係とは、信頼を得て常に情報を開示してくれ、優先的に注文をもらえるような関係を築きあげている状態である。

1.会話力

普段から広く話題を収集しておかなければならない。こちらからビジネスに限定せずいろいろな話題をまき、反応の良い話で広げ、相手のガードを下げる。

2.企画提案

「本当に御社のことを考えています」という点が見える提案。見せ方はパフォーマンスのひとつでもある。「ここまでやってくれた」というものであれば信用を築ける。また、足りない部分はそれを叩き台にして情報を得る。

3.その他(ライバルに差をつける)

スピード対応、痒い所に手が届く対応など基本的なことではるが、顧客が「ライバル会社より心地良い対応だ」と思っていただくことが大切である。

 

(90)『経営組織形態(機能別組織と事業別組織)』

機能(職能)別組織,社長,生産,営業,経理,人事,事務
会社規模が小さい中では、権限を経営トップに集中し、強いリーダーシップと統率を発揮できるというメリットがある。

しかし規模が大きくなったり、職場が地理的に拡散した場合、経営トップが直接業務を把握できなくなる。すると現場との間にコミュニケーションギャップが生じ、正確・迅速な意思決定やその実行が困難になり、本来、機能別組織形態が持つメリット自体がデメリットになってしまう。

このような機能別組織の限界を打破しようと、次に生まれてくる組織形態が事業別組織である。

事業別組織,社長,A事業所,B事業所,C事業所

経営トップが持っている権限を各事業部のトップへ大幅に移譲し、各事業部があたかもひとつの会社を運営しているかのようにする。事業編成の基準としては、製品別、顧客別、地域別で部門化するのが一般的である。

組織形態に正解はないといっていい。それぞれの形態を自社に当てはめた場合に発生しうるメリットとデメリットを予測し、次の手を打っていただきたい。

 

(91)経営者・幹部必見『理念実践型経営への挑戦』

北関東でスーパーマーケットを展開するA社のB社長は、創業した父親の突然の死により十分な事業承継期間を経ることなく、経営トップの座についた。それまでのA社は経営理念もなく、方針も曖昧なまま、創業社長のリーダーシップによって経営されてきた。2代目であるB社長は、その属人的経営から脱皮し、真の組織経営へと進化させなければ、自社の成長と未来はないと確信していた。

そこでB社長は、自ら創案した経営理念とクレドを全社員に浸透させ、価値観を共有するため、月2回の研修を実施し、その中で自らの熱い想いをダイレクトに社員に伝え続けている。B社長のコミュニケーション能力の高さと研修の継続により、社員は徐々に変化し、自主的に経営理念とクレドを実践する組織へと変革しつつある。

経営方針発表会では、改めて全社員に経営理念とクレドの趣旨・目的、それを創案するに至った背景を説明し、全社基本方針を伝えることにより、一致団結して戦っていく組織体制が固められ、社員の意欲が高揚した。

"経営理念・行動指針は浸透しているか?実践する組織であるか?伝える場があるか?"今一度自社を振り返っていただきだい。

「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」(本田宗一郎氏)

 

(92)『即指摘ができる上司』

「即指摘・即実行」が、大部分の中堅・中小企業に欠けているように思われる。仕事上でのルール違反が発生し、上司がそれに気づいたとき、部下に対して即座に注意できるだろうか?

「後ですれば良い」とか、「今はそのタイミングではない」など、先延ばしにすることが多いのではないだろうか。このようなことが蔓延している企業が非常に多い。これでは社内に混乱を招くのは必然である。

「即指摘」ができるようになるにはどうすれば良いのであろうか。
  • ★社内ルールの違反が生じた"瞬間"に注意・指摘することである。遅くとも1時間以内に。
    • ★理由も明確にしたうえで注意・指摘するのである。

 

注意・指摘できない上司が多い
上司が弱すぎる。なぜだろうか?部下に嫌われたくない、うまく説明ができない、自分もできていない、などが代表的な理由であろう。

 

どのような状況になろうとルール違反はルール違反なのである。自信を持ってどんどん注意・指摘することである。それに対し、文句を言ったり、行動しなかったり、自分に不利益なことがあったりしたら、それはその会社の仕組み・考え方が悪いのである。そのような会社には自分を信じ、喰らいついて改革していく姿勢が必要である。

ぜひ、悪いことは悪いといえる上司になろうではありませんか!

 

(93)『使えないマニュアル・使わないマニュアル』

マニュアルの存在価値は、『標準化・平準化』のためのひとつのツールである。

使えない、使わないマニュアルは意味を成さない。では、何が良くないのだろうか。

1.視線が高い
マニュアルを使う側の社員の皆さんに伺うと、『わかりにくく、実際の業務とズレを感じる』という声が大半である。換言すれば『マニュアルの視線が高すぎる』のである。
使わせる側に聞いてみると、課長、部長といった幹部社員が作成しているがゆえに、『これ位は書かなくてもわかるだろう』という箇所を、全て端折っている。経験値の低い社員には『これ位』の箇所が生命線である。この部分をのりこえられずに挫折を味わう社員は多い。
2.方針・目標と連動していない
方針・目標は毎年変えているにも関わらず、動きを示唆するマニュアルは連動せず変わらない。 例えば、業務処理の生産性指標や営業の活動基準を変えた時など、それに連動したマニュアルに変えなければ、トップが望む行動にはなかなか結びつかない。それは現場=お客様に近い場所になればなるほどかけ離れてくる。
マニュアル作りも社員教育に威力を発揮する。とくに経験値の低い社員が作成すると業界・商品の勉強にもなり、初心者にも優しい、きめ細かいマニュアルができる。幹部がそれにアドバイスを与えることで、より実践的な指導ができる。

マニュアルを使いこなし、業績を上げ、それを評価され、分配に連動して初めて、社員はその存在価値と威力を認識する。今一度、目次から見直されてはいかがでしょうか。

 

(94)『態度能力を磨く』

企業人においてそれぞれの役割や仕事の成果を高めるために必要な態度能力がある。 主なものを層別にしてポイントを整理すると、次のようになる。

態度能力を磨くポイント

分類 心構え 行動基準
階層別 リーダー ぶれないポリシーを持つ 威風堂々の表情・姿勢・話し方
マネージャー 目標を設定しPDCAを回す メンバーとの積極的なコミュニケーション
ナンバーツー(補佐役) トップの弱点をカバーする トップへの緻密な報・連・相
職種別 営業パーソン 顧客との信頼関係を作る 声・笑顔・マナーと誠実な提案
生産パーソン 品質・コスト・納期を革新する 規律・安全・スピードの体得
開発パーソン 新商品・新サービスを創造する 柔軟なアイデアと独自のこだわり

これらに加えて、業種特性や各社ごとの求める姿を整理することだ。それをマニュアルとして作成し、全社的な基準として浸透をはかる。具体的には教育体系への織り込み、OJTの基準、さらには人事考課制度にもリンクさせることが大切である。

 

(95)企業体質改善の着眼点 『報告できる人、できない人」

★チームワークを高めて仕事をするために必要なのがコミュニケーションであり、正確な上司の判断に欠かせないのが部下からの報告・連絡・相談だ。

「報告」が満足にできていない企業が多い!
原因
まずは「自分で何とかしよう」「上司や周囲を巻き込みたくない」と考え行動する。

 

「お客様第一」や「会社第一」「会社の信用第一」の考えが優先するのではない。残念ながら「自分第一」「自分が一番」なのである。

これが「顧客(他人)のせいにし、自分を正当化する」状態になると、その後のクレーム対処である事実関係の確認、原因の追究や善後策、今後の再発防止策づくりの妨げになる。

解決策

報告・相談の重要性、目的や意義を理解させることだ。

<報告・相談の重要性・目的・意義>
1.業務の流れを円滑にする潤滑油である
会社・部門の共通目標に全ての流れを集約し、総合力を発揮させる神経系統である。
2.仕事の能力を向上させる場である
報告や相談を行うことにより、自分の仕事についてのやり方・考え方が整理され、また相手の考え方・要望を素直に聞くことが、成長につながる。
3.チームワークを学ぶ場である
相手の立場と考え方を知り、その中で自分の役割を考え、全社的な視野に立って自らが果たすべき責任を発見することができる。

自分を変え、リズムを変え、流れを変えるためにも、チーム全員を「報告上手」に生まれ変わらせよう。

 

(96)工場改善のポイント!『5S・ムダ取りによる生産性改善』

多くの工場を見る中で、改善が進まない工場に共通する課題には以下のようなものである。

○5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が定着できない
○高い目標設定と挑戦(改善)をしていない
○発注(指示)のあった量を作る意識が強く、時間生産性・リードタイムへのこだわりが乏しい
○在庫・仕掛品の削減対策が弱い
○工場と営業の連携が悪く、製販調整機能が弱い

工場管理の基本である5Sとは、何のために行うのか?
最大の目的は"ムダの排除"にある。
なぜ5Sを徹底するとムダ削減が図れるのか?

 

それは付加価値を生まない作業(歩く・探す・運ぶ・作り過ぎる・手直しする・不良を作るなど)を大きく減らすことができるからである。付加価値を生む作業とは、材料そのものに加工をしている瞬間のみであり、それ以外は必要ではあるがム ダな作業と定義できる。

また5Sにおける整頓(3T:定置化・定量化、定表示)を進めると、人の動きのムダ、物の停滞・運搬のムダが見えてくる。このムダを排除するのが改善の極意であり、リードタイム短縮、生産性向上へとつながる。

さまざまな改善委員会を立ち上げている会社があるが、基本である5Sを定着させることを最優先にしたほうが、改善成果がはるかに大きい。

生産現場における改善の基本的な進め方
 1.不用品の移動・処分
 2.道具類の定置化と置場表示
 3.消耗品・材料在庫の定置・定量化と表示
 4.仕掛品・製品在庫の定置・定量化、作業の流れ・物の流れの見える化
 5.汚れの発生源対策
 6.機械設備の点検・メンテナンス計画作成と実行

これらは全て5Sの実行課題であり、実行する中でムダ取り(仕掛品削減・リードタイム短縮)を行っていくのである。工場管理の基本に戻り、5Sの定着を一番の実行課題としていただきたい。

 

(97)『経営者の決断力』

~経営者が意思決定の際に陥る症状とは~

●優柔不断症
経営は意思決定の連続であり、決定は常にリスクを負う。しかし、決めるべきことを決めないことは、会社を潰す結果となる。したがって、優柔不断で意思決定をしない経営者は失格である。
●放し病
戦略や方針が決定されるが、その実行度が評価も見直しもされない決めっ放し病。さらに放置されると方針も仕組みも「自然死」する。
決断力
●決定事項の不実行
経営者が意思決定するが実行されない。決定は実行のスタートであり、実行されないことは組織に問題がある。とくに幹部人材と経営トップに意識のギャップがあり、現場に指示、情報が伝達されない。
●朝令暮改
現代の経営にはスピードが要求され、朝令暮改は意思決定に必要だとも言われるが、マイナスになる場合も多い。経営の意思決定が変われば、現場はそのことにより振り回される。決定事項に信頼感がなくなり、組織の実行力も弱くなる。

一般的な経営マネジメントの意思決定は判断力である。一方、決断とは意思決定する材料不足の中で、企業の存続を左右する大きなリスクをともなう判断、意思決定をすることである。経営者の陥る症状を意識した的確な決断力を養成しよう。

 

(98)『回らないPDCA』

PDCAが回らない要因は大きく分けて2つある。それはプランとチェックの段階に潜んでいる。

プランの段階での要因 「だいたい80%達成した」「ほぼ計画どおりできた」といった表現では、受け取り方はバラバラになる。正しくチェックするためには極力、数値化することが必要だ。達成率をコンマ以下のパーセントで表現できていれば、10人でチェックしても100人でチェックしても結果の認識は同じであるはずだ。
チェックの段階での要因

そもそもチェックの場がないというケースがある。またはチェックの場はあるものの、実際には結果確認のみで、正しいチェックになっていないということもある。

↓対応策

計画に対する差異を認識し、差異を埋めるために「誰が、いつまでに、何をするのか」を決定することが重要である。会議やミーティング、日常の報告・連絡・相談がチェックのための手段である。

組織を率いるリーダーが、計画達成の姿を具体的にイメージでき、部下に示すことができるかどうかが重要なのである。PDCAが回せない真の原因はスタートであるプランに中に潜んでいるのかもしれない。

 

経営ノウハウ(3)

(99)『リーダーシップの取れない幹部に未来はない』

<事例:年商約68億円、社員数約110人の卸売業A社>

B部長が就任した事業部は大赤字であり、部下全員が目標から逃げ、モチチベーションが低下していた。また会社のお荷物的な事業部であり、社長ですら「B部長でダメなら撤退しようか」と考えている状態であった。

B部長は現状を把握するため、部下全員と個別面談を行なった。部下から出てくる不平不満や愚痴の多さ、モチベーションの低さに驚きつつも、どこに問題の本質があるのか、なぜ赤字になっているのかを、事業部のデータなども分析しながら隈なく探した。

次に部下全員を集め、現状とあるべき姿のギャップ、また赤字脱却のために何をしなければならないのかをわかりやすく説明し、改善策を出した。 改善策には担当と期限が明確にされており、一つひとつ説明した後、頭を下げて協力を仰いだ。また、すべての情報をB部長に集まるようにするため、報・連・相(報告・連絡・相談)を部下に徹底させた。

「ピンチから逃げ出さなければ必ずチャンスになる」という信念のもと、B部長は「今、何が大切か」を常に考えながら的確に指示を出し、自ら率先垂範で部下に行動を示したのである。

そして1年後、数十万円ではあったが利益を出し、黒字を達成したのである。

B部長が逃げずに行なったことをまとめると、以下のとおりになる。

決めたことが実行されていない場合や、仕事から逃げた時には鬼になる一方、新規受注や単月の目標をクリアした時には仏のようにやさしくなり、部下と一緒に喜んだ。叱ると褒めるとをうまく織り交ぜながら、目的や目標に直面し、現実から逃げない体質をつくっていった。

1.トップの方針を理解(なぜ、自分がこの事業部を任せられたのか)
2.現状認識(問題の本質はどこにあるのか、第一ボタンを掛け違えないよう徹底的に分析)
3.改善策の発表(自らの事業部方針を立てた)
4.報・連・相の徹底を行なった(今、何が大切なのかを的確に判断するため。報告してこない部下には何度も何度も呼び出し報告させた)
5.率先垂範で部下に示した(ピンチから逃げない体質づくり)

"自分にも厳しく、部下には愛情をもって厳しく"を心がけることが大事なのである。リーダーシップの取れない幹部に未来はないであろう。

 

(100)『リーダーたるもの、前を見よ!』

人は変化できないことが赤字の原因とわかっていても、同じことを繰り返しているのである。

★ある会社では3年間赤字続きで、このままのやり方・行動ではだめだとわかっているのに、今までと同じマーケット、同じ顧客、同じ商品、同じ行動、同じ提案をしている。

原因
●「どうせ何を言っても社長(上司)は聞いてくれない」。
●新しいことを実行しようとする時、「これは前例がないから失敗すると思う」。
●「こういった理由でできないと思う」といった、できない理由を主張するリーダーが多く生息している。

問題点をそのままにしておくから弱みになる。問題点を把握し、解決する仕組みを構築すれば強みに変わるのである。

対策
●リーダーは、「どうすればできるのか」と考えていかなければ何も変わらない。
●今までしたことがないことを実行することで現状が変えられる。
●できないと思われることにチャレンジするから差別化になるのである。

リーダーシップとは・・・ 「今一番大切なことは何か」を的確に判断し、部下を前向きに動かし、結果として目標を達成させる総合力である。

 

(101)『物選び・人づくり・金づかい』

★企業経営は「物選び・人づくり・金づかい」である。時代が激変しているが、この三要素は変わらない原理原則だ。

1.物選び
企業経営の原点「WHAT」。何を事業とするのかが物選びである。自社の売上がダウンしているとすれば、市場環境・顧客ニーズにマッチングしていない証明である。企業は環境適応業であり、市場環境・顧客ニーズに合わせた「商品・技術・サービス」を開発・開拓することだ。
2.人づくり
事業戦略・商品戦略・技術開発戦略など立派な戦略を策定しても、「実行」するのは「人」である。人によって戦略成否は決まる。誰を担当にして、リーダー・責任者を誰にするか。人づくりの「妙(みょう)」である。
人は「経済的豊かさ」「精神的豊かさ」を求めて会社に入社する。経済的とは、賃金水準が他社と比較して若干高いレベルが必要であり、精神的とは社会的にも意義のある仕事をして、社内外から存在を認められることが豊かさにつながる。よくやった者への評価・分配のしくみが「人づくり」を左右する。
3.金づかい
企業の赤字は収益と経費のバランスが取れなくなった結果である。「出るを止めて、入るを計る」金づかいが必要。
財務三表と言われる貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)は企業経営の通信簿である。借入金は限度(月商3カ月分)を超えていないか、総資産利益率は何%か、自己資本比率は何%か、資金繰りに不安はないか?金使いの確認が必要だ。

 

(102)経営者必見『発想の転換と新事業』

この厳しい経済環境下でも「ピンチはチャンス」と考え、儲かる仕組み作りや次の事業を考えている経営者は多くいる。

A社は新事業を展開するのが非常にうまい会社で、社長にそのポイントを聞いてみたところ、以下の2点が大切とのことだった。

1.中小企業の幹部・社員は新事業を考えることはできても、何をやるかを決めて推進することはできないので、社長が新事業(何をするか)を決める。
2.何をするかを決めたら、新事業担当者に任せきるのではなく、自立できる所までは社長も一緒に汗をかいてすること。

社長が何をやりたいかがわからない時に、自社の幹部・社員の知恵を借りて実行するケースのほとんど
失敗
 

経営者がまず「何をやりたいか?」「何のためにするのか?」をよく考え、社員と一緒に行動することが大切である

 

(103)『企業体質を転換する5力』

経営環境が急変する中、自社の事業戦略の再構築を進めている企業は多い

どれだけ精緻な攻めの戦略を構築しても、それを展開するだけの企業体質が備わっていなければ、戦略の実行は図られないものである。

企業体質とは ・それぞれの企業で培われた社員の意識や行動スタイル
・経営者の価値観、業種特性
・組織体制
・評価の仕組み
・外部からのイメージ
・顧客の要求内容
などによって形成されるものである。

そこで提案したいのが「企業体質の転換」である

A社の体質転換5力
1.徹底力:会議の決定事項の実行度を、幹部が1週間後に店舗に訪問チェックする
2.変化対応力:全店舗四半期に一度、店内のレイアウト変更を実施する
3.現場力:幹部社員は月2回、店舗業務支援(店内販売業務)を実行する
4.共有化力:毎週1回幹部ミーティングを行い、現場情報を共有する
5.付加価値創造力:1人当たり月粗利100万円(現状70万円)に向けた取り組み強化

以上がA社の体質を転換させた「5力」である。あなたの会社の体質はどうであろうか?体質転換が必要であるならば、ぜひ自社の「5力」を見出すことをおすすめしたい。

 

(104)『"信頼"を築く3つの当たり前』

"信頼"とは特別なことではなく、ごく当たり前のことの積み重ねである。
言葉通り"○○さんを「信」じて仕事を依「頼」する"ことであり、社内外問わず基本動作ができていない人には仕事は来ないものである。

1.期限を守る
お客様に対して期限を守ることは当然であるが、社内における決定事項が期限どおりに守られていないことが多い。ひとつの仕事が遅れるとその後のアクションも遅れ、連鎖的に影響が出る。期限が決められている仕事は、どんなことがあってもそれまでにやり切ること。
2.質問に対して明確な回答をする
「○○の件はどうなったか」という質問に対して言い訳などに終始し、結局質問の内容に答えていないことが多い。 話は結論→理由→経緯の順で話すこと。
3.書類は正確に出す
やっつけ仕事や意欲に欠けていることが、書類の数字間違いや誤字・脱字の多さに表れる。出す前に自分でチェックし、第三者にもう一度チェックしてもらうこと。

以上3つのことはビジネスの世界では基本的で当たり前のことである。
「言われなくてもわかっている」「当たり前のことだ」と皆様も思われるでしょう。
しかし実際にできている人は少ない。安心して任せられる人とは「期限を守り、明確な回答をし、正確にすすめられる」人である。

 

(105)『5匹の鬼を従えよう』

★5匹の鬼をテーマに各々の着眼点を再度整理して、マネジメントのヒントに供したい。

1.「塊」(ターゲットとする客層というかたまりの決定)
団塊世代、そのジュニア、元気シニア、ミドル、ギャルなどの生活者の層、また大手、中堅、中小、零細などの規模別法人層や業種別の区分け。さらにアジア、中国、インド、都道府県などのエリア別もある。
2.「魅」(ターゲットに訴求する自社の魅力ポイントづくり)
品質、納期、価格、機能、効用、サービス、システム、人材などの要素を磨きながら、他社との違いを打ち出す力点を決め再構築する。
3.「魂」(トップやリーダーが迷わぬ魂を込める)
上層部に迷いがあれば、チームパワーを発揮できない。不退転で臨めるように、現状認識力と判断力を高めながら全エネルギーを集中させる。
4.「醜」(社会に背く醜い行為を防止する)
法律、ルール、マナーを守り、守らせる公明正大な風土を培っていく。 「法律は守るのが当たり前」という考えを浸透させ続ける
5.「魁」(他社にさきがけて着手し成功させる)
前例がないことに挑戦する勇気を持つ。成熟・衰退傾向を打破する「需要創造」への飽くなきフロンティア・スピリッツを奮い起こす。不便、不安、不快などの「不」に目を向けることで潜在ニーズ、ビジネスチャンスを発見できる。そして、すでに伸びている分野や新技術を自社に結合させることだ。

 

(106)『会議を見直す』

各社の会議に参加する機会が多いが、そこでよく遭遇する問題を紹介したい。
自社の会議改善のヒントとしていただきたい。

1.会議の開催日程が決まらない
毎月定例で開催される会議の日程が、開催日の1週間前になってようやく決まるという会社は多い。
せめて"来月の会議日程は今月決める"くらいの計画性はあっても良いと思うのだが、そうしない。
その理由として「その頃にならないと予定が立たない」ということをよく聞くが、このパターンだと忙しくなると会議参加率が間違いなく悪くなる。
さらに、直前で参加メンバーの日程調整をする役回りの人が必要になり、その調整の労力自体が無駄である。
2.時間生産性を気にするあまり、逆に議論が中途半端になる
「会議は1時間」と決めて行うのは良いのだが、所要時間を守ろうとするあまり議論が中途半端になっているケースもある。
戦略課題や営業対策などの協議は、1時間ではまとめきれないであろう。会議開催前の準備が不十分ならなおさらである。
難しい議題の会議は、時間を気にせず行える時間帯(夕方など)での開催といった工夫は必要だろう。
3.「何も変わらない」会議
「報告のみで議論がない」「結論が出ない」などがこのケース。
客観的に見て、"何が決まったのか""それで本当に業績向上や業務改善が図れるのか"疑問に感じてしまう。会議を振り返り、「誰が、いつまでに、何をやるのか」という要素がひとつもなければ、真の意味での会議とは言えないだろう。

 

(107)『企業体質改善の着眼点 全社で取り組む5S活動』

5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字から出来ている用語であり、ビジネスの世界で広く普及しているが、単なる社内の美化活動と誤解されていることが多い。5Sの真価は企業体質の改善にあると言える。
5S活動はその運用次第で、リーダー人材育成や組織風土改革を実現することが出来る。

全社的5S活動の成果

・組織としての全社員の意思統一
・管理職者と中堅クラスのリーダーシップ向上
・チームワークの強化
・方針や業務、在庫の見える化
・ムダの削減による業務およびスペースの効率化・・・など

 

(108)『非常事態時の経営計画を策定せよ』

これからの時代を生き残っていくためには、どのような経営計画が必要なのであろうか。

非常事態時の経営計画書を策定する際のポイントは、次のとおりである。

<見直しすべき着眼点とその内容>

販売・仕入・生産・資金・人員・投資・組織計画、関連・協力先との関係について、それぞれ見直しをかける必要がある。それぞれの内容については、営業収支で○ヵ月赤字が続いた場合は、○○までコストダウンを図るといった具合に、時間軸と実行内容を明確にして策定すると良い。

従来の経営計画とは、成長していくために目標を立てていけば良いものであった。すでにその考え方は過去の産物である。時代の流れが急に変化したとしても、それに合わせた計画をしっかり準備しておけば非常事態を乗り切り、これからの時代に成長もできるであろう。
この機会に「非常事態時」を乗り切れるような経営計画を策定していただきたい。

 

(109)自己啓発『"点火型"人間へ』

★自分のモチベーションをコントロールすることは非常に大変であるが、経営者に最も強く要求される能力は「パッション(情熱)」である。

情熱には次の5つの型がある。
1.自ら自分に火をつけられる「自燃型」
2.自ら燃えるどころか他人にも火をつけられる「点火型」
3.2の「点火型」にマッチを擦ってもらって燃える「可燃型」
4.全く燃えない「不燃型」
5.自分が燃えないどころか他人の火を消してしまう「消火型」

★当然ではあるが、経営者は「点火型」でなくてはならない。
★「情熱」なくして目的を達せられないのも明らかである。
★社員がヤル気を出すかどうかの8割が経営者の責任である。

社員の"業績をつくるピラミッド"

成果(業績),過程(プロセス),能力(スキル),姿勢(ヤル気)
左記図より、やはり情熱(=ヤル気)は必要であり、「自燃型」が望ましい。少なくとも「可燃型」でなければならない。
★社員からの不満のほとんどが愚痴に近い。 聞いている同僚たちのヤル気を削ぐ「消火型」の行為である。目の前の事象を前向きに捉えるか、後ろ向きに捉えるかは、その人自身の心の持ち方ひとつである。

 

(110)『企業体質改善の着眼点 3現・3即・3徹』

★改善・改革の心構えとして「3現・3即・3徹」という言葉がある。この意味は次の通り。

3現・・・現場・現実・現物 何かを変えたい!」と思ったら現状を知る必要がある。その時は、現場に出向き、現状の姿を捉え、具体的な事象を見て聞いてまとめるのである。そして全員が納得するまで原因をしっかり追求し、改善策を立てることが重要である。
そこまでして初めて3現が実行できたといえる。
3即・・・即時・即座・即応 「何か異常が起こった!」時には、すぐにその場で対応する癖をつけるべきである。異常だけでなく、「沢山の仕事をこなす時」もそうである。
すぐにその場で処理し、決して仕事を溜め込んではいけない。毎日コツコツと処理していけばほとんどこなすことができる。
3徹・・・徹頭・徹尾・徹底 「あきらめようかな?」と思ったら、徹頭・徹尾・徹底を自問自答していただきたい。これは「最初から最後まで徹底的にやりぬく!」、「とにかくやり通す!」という意味である。この迫力を常に抱いた前向きな人材が実に少ない。そのような人材を育て上げた企業は活き活きしていて風土も良い。また平均年齢が高くても活力があり、不況でもめげない強さがある。

★「3現・3即・3徹」を普段の仕事の中で意識し、実行したいものである。

 

(111)『どうなる?どうする?今が実力』

★自社を取り巻く環境変化が大きく変化している昨今、打開策を考える際


まず自社の正しい現状認識が必要である。

★なぜ赤字なのか?

原因は自社の商品・サービスの価値が顧客に受け入れられていないと考えること。
不景気で倒産する会社は世の中に1社もない。倒産するのは自社を取り巻く環境変化に対応できない会社であり、原因は会社の内部にある。

★ではその原因は何か?

1.強みが陳腐化している 会社には必ず他社にはない持ち味・強みがある。
圧倒的なものでなくとも他社と比較して優れている点である。
ただし過去の取り組みにしがみつき、進化させる努力がなくては、その他大勢の中の「価格競争」にあっという間に埋没してしまう。
「価格より価値」という土俵で勝負するためにも、磨くべき持ち味・強みをこの機会に社内で明確にすることだ。
2.弱みを磨く 従来からある強みだけで勝負できるほど、激変する環境変化は甘くない。
顧客により高いレベルアップを期待されている弱みを鍛える努力を怠ってはならない。
例えば、顧客からの要望への対応力が優れている場合、中小企業の営業現場では「呼ばれたら来る」とか「毎日訪問してる」といった基本的な日常業務活動だけでの優位性では、差別化は難しい。
訪問頻度より情報発信・提案力を求められている。
これらの全社的なバックアップ体制・底上げが必要だ。
3.開拓・開発に取り組む 需要予測をする。「もしこのままでいけば」という仮説を立て、業績の不足は何らかの取り組みで補わなければならない。今後どうなるのか?それに対してどうするのか? 今や成り行きだけでのオーダーやたまたま買う顧客は存在しない。本物しか生き残れない今が自社の実力と考えれば、必要な顧客数・受注量・販売高はどの程度か。そのように考えれば、新しい商品・サービス・取り組みの必要性が明確になる。

 

(112)『先行管理とスピード感』

★もし赤字体質であるなら、それを生み出している原因は何か?早期にその根本要因を見極め、改善していくことが重要になってくる。

原因
「先行で物事を考える力」に欠け、「スピード感がない」ことがほとんどである。
 
「先行で物事を考える力」とは、仕事のPDCAサイクルを回す意味において、来るべき業務量を考え、それを時間内に効率的に仕上げるのに必須の能力である。仕事の基本とも言えよう。

したがって会議ひとつにしても、その開催目的を考えるなら討議事項を決めたり、資料作成などが必要となる。その段取りを考えた場合、自然と毎月の開催時期が型決めされてくるはずである。

それが欠けているということは、組織全体が先行で物事を考える力が身についていないということであり、仕事のリズムが作れず、自然とスピードが遅くなってくるのである。

営業現場においては、攻めと守りの時間配分などのバランスが崩れるし、生産現場では生産計画を立てることができない。内部管理者においては、ムダ・ムラ・ムリが発生し、期限までに業務を仕上げていくことができなくなる。

※仕事の基本である「先行管理力」と「スピードある行動」をもって、黒字体質でこの難局を乗り切ろう!

 

(113)『自分自身の"強み"を認識しよう』

採用した新入社員の傾向として、以下の点を挙げている。

【業種:自動車販売業 年商:約200億 従業員:約400名】
  • 1.カーライフのソリューションを提供することが求められているのも関わらず、車をそれほど好きでない人が一部見られるようになった。
    (買手市場に環境が変化する中で、選ぶことができなかった)
  • 2.成長意欲は持っているが、役職にはつきたがらない人が増えてきた。
  • 3.給料は「ほどほどで良い」と思う人が増え、「実績主義よりもある程度は年功序列の方が良い」と考える人が増えてきた。
    (役職者になれば実績主義は止むを得ない)

これらより、近年の新入社員の傾向を表すキーワードは「ほどほど」と言えるのではないだろうか。

では、人材育成としてどのようなアプローチをしていけば良いのか。

個々の"強み"を本人に明確に認識させ、現場で活かせるように動機付けをしてあげることである。

早期に能力発揮をしてもらい、徐々に自信をつけてステップアップさせるためには、"弱み"を克服させるよりも"強み"を発揮させる方が、早く効果が見込めるであろう。

★"強み"を明確に認識させる方法★

1対1で今までの人生の中の成功体験を、インタビュー形式で語らせる方法である。

役割分担し、お互いに15分程度で良い。短時間でも自身の成功体験から引き出すので、自身で認識している"強み"と認識できていなかった"強み"が明確になる。その"強み"を現場でどのように活かすかということを考えさせるのである。

簡単だが効果の高い方法である。ぜひ実践されることをお勧めする。

個々の人間には必ず"強み"がある。

 

(114)『定時・定点で空間を切る』

一度来ていただいた方をリピーターや口コミで周りに宣伝していただけるようなお客様になっていただけるかが、成功の大きな分岐点である。

お客様はハードとソフトの両方を厳しく検証する。

教訓『定時・定点チェック』

『開店から閉店まで同じ品質でお客様を迎え、サービスを受けて(または商品を購入して)帰っていただく』ことに尽きる。
 
★店舗は時間の流れと共に状況が刻々と変わる。変化のスピードについていけないと店の外も中も荒れ、その荒れた状況をお客様は敏感に察知する。
定時・定点観測は、『いつ・どこに立ち・何を見て・判定し・その場、その時点で対処しきること』である。決してチェックリストに従いチェックするだけのことではない。長い時間をかけて行うことはできないので、店の時間を切り取る必要がある。

お勧めする取り組みは『5分で20個以上の"異常"を見つけることができるか』というチェックである

★これを毎日、定時に決めて行う。『何をチェックするのか、どの場所に立つか』ということを検証する過程で、しだいにお客様の視点に立つことができる。それはお客様に指摘された内容を、素直に再確認する行為に他ならない。

このように原点に立ち返ってこだわり抜くことで、お客様を固定ファンにできた店や業績が上がった店が増えている。

 

(115)『最も価値の高い仕事』

経営者や幹部にとって最も価値の高い仕事は
「社員の意識を変える」、もしくは「高いレベルで維持し続ける」ことだと考えている。

 

ところがこの"意識改革"が実に難しい。

部下の日常を思い出していただきたい。「報告をしない、整理整頓ができない、約束を守らない、時間にルーズ」など気になることはないだろうか?これら全ては人の行いであり、その行いはその人の意識次第である。実際ビジネスの世界では能力よりも意識の差が決め手となるケースが多い。

ところが、社員の懐に入ってまで意識を変えようとする経営者が意外に少ないのである。中間管理職などへの「人任せ」、あるいは「本人任せ」、しまいには「本人のせい」ということで諦めてしまっている。

もちろん、人は年齢を重ねるごとになかなか性格を変えられないというのも理解できる。しかしそれは、これまでの人生で経験したことが固定概念となって謙虚さを失くしてしまい、素直に人の話に耳を傾けたり、基本や原点に立ち戻れなくなったせいではないだろうか。言ってみれば年齢というよりもその人の意識の問題である。
さて、この意識を変えるには、それなりのショック療法が必要である。「タバコを止めなければ命を落としますよ」・・・医者からこのように言われたら、あなたはどうするだろうか。

「今のような考えや行動を真剣に改めてもらわないと、会社にいてもらう意味がないよ」・・・表現の仕方は考慮しなければならないが、こういった聞き流せないようなショックを社長や管理者が与えなければ、人は決して変わらないだろう。 本人が気づいて自ら変える(自己改革)ことに越したことはないが、それができないのであれば、上司が愛情を持って厳しく言い正すしかない。部下の意識を変える、高いレベルで維持させることこそ上司本来の仕事であり、それを避けてはいけない、逃げてはいけないということだ。

諦めてしまう前に、お互い真剣に向き合ったかを謙虚に反省すべきである。組織における改革は上層部から始まるもの。トップ自らが自己改革を行い、幹部の意識を変え、その幹部がさらに部下の意識を変える。組織の活性化は真に経営者・幹部にかかっている。

 

(116)『理念と実践』

理念だけでは生きられないが、理念がなければ生きる資格がない。

これは、理念が立派でも実践不足であれば生き残ることは難しいが、理念がないのなら「生きる資格」がないということである。

良い成果を獲得し続けるためのボルテージを保つには、
存在目的や使命をハッキリさせ、強い理念を持ち続けること。ハート、熱き思い、強い目的意識があってこそ、知恵と工夫のエネルギーも湧いてくものだ。

 

苦しい時、「何のためにこの仕事をやっているのか?」と脳裏をよぎったなら、
公明正大な指針が必要だ。
「ビジョン」「使命」「自己実現」という高い欲求の到達目標である。

 

★理念も実践も共に必要なものだ。それは、より多くの人々のためになる「良い成果」を実現するという使命感の確立と、現実的な問題解決のスキルアップに全社一丸となって取り組むことである。
上に立つ人の本音の利他精神と、不退転の実行力が強く求められる。

 

(117)『当事者意識が"ヤル気"を生む』

組織のために働く社員を育てたいと思うなら
社員が「自分が組織を経営している」という当事者意識を持たせることが大切である。
当事者意識とは働いている社員が「自分が主体的に仕事を動かしている」「自分が経営者の一人だ」と考えること。
そのような意識を持つと、自社の業績や仕事に対してさらに能力を発揮する。

 

社員に当事者意識を持たせるためのポイント
1.自社についての情報を与える
できる限り、自社の業績や経営陣が決めた情報を社員にオープンにする。
また、自社の歴史や会社の取り巻く経営環境などを考えさせ、自社の全体像を理解させる。
2.自社がどのように業績を上げているかを理解させる
自社の業績がどのように上がっているのか、顧客はどのような価値を求めて自社の商品やサービスを利用しているのか、それらがどのように自社の業績と結びついているのか、を理解させる。
3.新たなことに挑戦する行動を奨励する
失敗のリスクを恐れるのでなく、そのリスクを冒して新しいことに挑戦する ことを褒め称える。

社員には
 ★会社の方向性
 ★何のために自分達が仕事をしているのか
 ★自分の仕事にどのような意義があるのかを意識させること。

 

(118)『卓越したマネジメント力を身につけよ』

★卓越したマネジメント力を身につけることが必要不可欠になってきているが・・・

従来のやり方から脱却できていない企業の例
  • ●方針・目標がトップ方針と連鎖していない
  • ●管理指標が進捗率になっていて業績につながる指標になっていないために、目標を達成しても業績があがっていない
  • ●方針・目標管理もPDCAサイクル<Plan(計画)→Do(実施)→Check(問題点・原因究明)→Action(処置・対策)>をきちんと回さず、ひどい時には来年の方針・目標を策定するときに初めてサイクルを回す

方針・目標管理では、トップが経営方針・目標を設定し、それに基づき、各部門の管理・監督者が方針・目標を連鎖させる形で設定。さらに管理指標を達成すると業績があがるものにすることが必要だ。

管理サイクルを回すためにボードを利用し、ボードに方針・目標管理の書類をわかりやすく、見やすいレイアウトで表示・掲示する。その上でトップ、管理者が内容のレビューを行ながら、方針・目標管理のサイクルを回すことが必要である。

この活動の特色は、物と業務と管理を見えるようにしてマネジメントを行っていくことである。管理サイクルが見えることにより、PDCAの質が上がり、管理サイクルがスピードアップし、成果が上がるのである。

 

(119)『捨てる戦略』

P.F.ドラッカーがその著書の中で、「あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていない。そのために、あまりにわずかの企業しか明日のために必要な資源を手にしていない」と述べている。

急速に進行する陳腐化を踏まえ、成果を期待できない分野からの資源の引き上げを組織的に行い、資源を体系的に集中することが、成長戦略をつくる上での基本なのである。

「捨てる戦略」

1.コスト削減による、損益分岐点引き下げ戦略

(1)「顧客との取引条件の見直し」「仕入先の変更・集約・取引条件の見直し」等を行い、変動費の削減を図る。
(2)「組織のスリム化」「多階層の見直し」「営業拠点の統合」「人件費の削減」「借入金返済による金利削減」「設備費用の削減」等を行い、固定費の削減を図る。

2.止血による、収益拡大戦略

(1)本社費配賦前の赤字事業から撤退し、不採算を排除する。将来を見据えた健全な赤字事業であれば、撤退の対象とならないものもあろうが、客観的にみて「今、あえて推進する必要のないもの」「利益率の改善が見込めないもの」「トップの思いだけのもの」「片手間なもの」は撤退の対象となる。
(2)採算の取れていない「顧客」「商品」「エリア」からも撤退する。 これらの不採算を放置したまま事業を推進すると、本来注力すべき部分に経営資源を分配出来ず、事業の競争力が低下する。

捨てる」ことにより、今よりも収益体質になることを頭では解っていながらも、
・「過去からのしがらみ」
・「成功体験の踏襲」
・「現状を客観視出来ない体質」により、その意思決定がなかなか進まない企業は実に多い。

新たな可能性に経営資源を分散させる前に、日常を客観視し、「捨てる」による徹底的なウエイト・コントロールに取り組まれてはいかがだろうか?

 

(120)『数字へのこだわりを持ち続けよう』

皆さんは数字で話す癖がついているだろうか?なぜこういった質問をするかというと、数字で語れない幹部が非常に多いからである。

数字に強い幹部であれば、「対目標比で98.5%、昨年対比は101.7%。差額は24万円、Aランク情報は約200万円分あるので、確実に詰めれば目標を達成します」と、即答できるはずである。このような数字で語れる幹部は、5人中1人もいれば良い方だ。

売上目標があっても利益目標がないと

●利益額に意識が向かないのはもちろん、計数能力を高めることは難しい。
●いくら儲かったのかがわからない。
●売上げ重視だから、値引きをしてでも受注に走るであろう。

その結果


ベンチマーク先企業の売上高経常利益率、粗利益率、労働分配率などと比較して、自社が目標とする数値を明確にする。そのためにも数値に対するこだわりを持ち続け、部下にも数字で語らせるように教育を徹底していくことが必要だ。

 

(121)『チームを動かすリーダーの基本』

リーダーが抑えておくべき基本を考えてみよう。

<基本1>事実を正しく把握すること(現状把握)

ポイントは、現実・現場・現品の三現主義で事実を掴むこと、鳥が空を飛んで全体から餌のありそうな場所を探したり、草むらに下りてきて虫を捕るかの如く、視点の高さをスムーズに調節することである。

<基本2>共通のモノサシを組織に浸透させること(価値判断基準を明確にし、組織で統一しておくこと)

ポイントは、共通のモノサシを現場が分かる言葉で理解・納得させることだ。組織は、経験や体験が異なる社員が集まったものである。共通の判断軸がなければ同じ方向に進めないのは言うまでもないだろう。

これができなければピント外れの対策を立ててしまう

一度あなた自身を振り返ってみよう。
  • ★部下の報告を鵜呑みにし、自分なりに事実を確認するステップを怠ることはないだろうか。
  • ★モノサシを浸透させずに毎回異なるその場対応を繰り返し、部下から信頼を失うようなことはないだろうか。

 

(122)『"実行"が阻害される6つの要因』

経営の転換期といわれる現在、成長戦略の再構築をはかっている企業が多い。「いかに戦略を構築するのか」ということへの意識を持っていても「いかに実行していくのか」という"実行度"について対策を立てていなければ、戦略は推進されない。

以下に、実行を阻害する代表的な要因を記載する。

1.重点欠乏症 「あれもこれも」と取り組まなければならないテーマがありすぎて重点が絞り込めず、結果的にやり切れない。問題の本質は何かを掘り下げ、「あれかこれか」で重点策を絞り込むこと。
2.方針展開欠乏症 会社方針を部門(チーム)に具体化することが出来ず、具体的にどう行動していくのかイメージが沸かずに実行力が低下する。部門方針策定のチェック機能、部門長・リーダーの方針策定能力を向上すること。
3.コミットメント欠乏症 戦略・方針・目標に対して「やらされ意識」が強く、主体的行動することが出来ない。第一線の社員が目標設定に参画するなど、理解・納得させることに注力する。
4.人材欠乏症 実行できる人材が配置されなければ、どれだけ素晴らしい戦略・方針でも推進されない。中堅・中小企業は人材不足なので適材適所の配置は難しいが、「過去の成功者へのこだわり」や「過度に能力を超えた」配置は戦略推進を低下させる。
5.プロセス管理欠乏症 どんなに精緻な計画を立てても、組織に管理能力が備わっていなければ機能しない。戦略・方針と同じく「あれもこれも」管理するのではなく、重点管理項目に特化することが重要である。
6.人材力向上策欠乏症 どれだけ方針どおりに行動し成果を上げても、それが適正に評価され、処遇にも反映されなければ社員のやる気を落としてしまう。また、日常における上司のフォロー(意欲・能力不足へのフォロー)も実行力を高めるため必要である。

 

(123)経営者必見『粗利率へのこだわり』

建設業界はどちらかというと粗利額発想であり、一人当たり月間200万円の粗利額を稼ぐという生産性基準を中心にマネジメントされているケースが多い。
このやり方はシンプルでわかりやすく管理コストも低いため、営業パーソンに目標を達成する力がある場合は良いマネジメントである。

しかしながら、「額」発想は「低粗利でも受注すれば良い」という考えになり、率を下げて受注することが慢性化すれば、結果的に生産性を下げ、企業としての競争力を失っていくことになる。
粗利率は利益の第一ボタンであり、競争力を表すバロメーターでもある。

粗利率低下の要因
1.トップが粗利率に対する関心が低い
経営者が"値決めは経営"ということ理解していない「トップの理解不足」
2.営業がライバルに仕事を取られるのが怖くて価格を下げすぎている
受注したいがために、勝手に値段を下げている「営業力不足」
3.粗利をコントロールする仕組みがない
粗利率を管理職がチェックしていない「管理力不足」
4.お客様の言いなりで値下げしている
競争力がある商品にもかかわらず、相見積りと言われて簡単に値下げしている「情報収集力不足」
5.商品戦略や競争力のある商品がない
市場の新商品を常に探していないという「商品力不足」
6.見積りでは儲かるはずであったが終わってみると赤字である
当初は大丈夫という報告であったが、結果は赤字という「原価管理力不足」

 

(124)『幹部社員を昇進させるポイント』

幹部社員昇進の最大のポイント
「経営者の価値判断に近づいた」と経営者が感じた時である。
 
重要なのは「売上が大きく落ちたことに対する危機感を、どれだけ幹部社員が持てるか」である。 つまり「マーケットをどう見るか」である。

その年だけの傾向なのか、今後もこの傾向が続くのか。続くのであれば、消費構造が変わってきているのであり、マーケットの縮小は進んで行く。
その場合、ここで来年の夏に向けての抜本的な対策を打たなければ、今期の業績だけでなく、来期の業績にも大きく影響するのである。

背負っているものが違う中で、トップと全く同じ価値判断基準を持つのは難しいが、近づかせることは出来るはずである!

 

(125)『お客様を知り客数を伸ばせ!』

小売業において売上高=客数×客単価という公式


客数×客単価どちらを優先すべきか


客数である

小売業のみならず全てのビジネスの原点は客数にあるのではないだろうか。
利益はお客様からによってのみもたらされるということは自明の理となっている。

損益分岐点客数
1.自社の存続のために必要な客数は何人なのか
2.何人のお客様の支持が必要なのか
3.今日は何人のお客様の要望(ニーズ)に応えることが出来たのか
4.お客様の支持を得られていない原因は何か

★全ての資料・フォーマットは「お客様を知る」という視点で作成されていなければならない。

大切なのは、自社の存続に必要なお客様の支持数は何人なのかをつかんで、日々の活動の中心に「お客様の視点」で考える習慣を身につけることにある。

 

(126)『社員の「不安感」を「不足感」へ』

先行きの見えない不安な時代だが、社員の「不安感」を「不足感」にうまく転換することで、元気に活動している企業の事例を紹介したい。

T社の顧客が属するマーケットが今後激減していくことが予想されるなか、社員は不安感を抱えていた。

そのため、今後の対策を検討する場が設けられた。会議に参加した社員の発言を要約すると「会社が方向性を示してくれないから、どう動いていいかわからなくて不安である」というものだった。これに対して社長は激怒した。

なぜなら、常日頃「どういう新しいお客」に「どういう自社の特殊工法」を提案するようにと、口酸っぱく言い続けていたからである。それが全く理解されていないのかと社長は嘆いた。

このような事態になった原因は、トップの出した方針が具体的な形で個人の日常活動にまで落とし込まれなかったことにある。会社の方向性をより具体化する方策を検討することとした。

主な内容
  • 1.新規案件の売上利益目標を明確にして、現状の5年計画に織り込んだ
  • 2.その数字に基づいた個人毎の毎月の行動数字(新規受注件数、新規提案件数、新規訪問率、新規に割く業務時間の目安等)を設定し、月次管理を行った

社長は「個人別の数値計画を必達すれば、必ず成長を継続できる」と力説した。 目の前の目標が明確になれば、そのギャップを埋める努力は可能である。まさに「不安感」を「不足感」にうまく転換できた好例と言えるだろう。

 

(127)『チームの完成度を高めよう!』

★企業において、まとまりのある完成度の高いチームをつくることが、強力なライバル企業に競り勝ち、競争力をつけていくことに繋がるのではないだろうか。

チームの完成度を高めるために必要な「チームマネジメントの心得4ヵ条」を記載する。

1.事前準備 サッカー日本代表においては、環境対応や強豪国とのトレーニングマッチなどの事前準備が思い出される。本番を想定したあらゆる準備を徹底的にすることで、納得性が高まり迷いがなくなる。そして課題を危機意識として共有することができる。
企業においても、リーダーはメンバーに危機意識を強く持たせ、チームワークを高める策を講じることが必要である。
2.ぶれない信念 チームが立てた目標に対し、リーダーはぶれずに闘うことが大事。ワールドカップ前の4連敗で、多くの批判を受けた日本代表であったが16強入りを果たした。目先のことでぶれていては逆境時に結束するのは不可能であっただろう。
環境条件は常に変わるのが世の常である。変化に対応するために戦術を変えて批判を受けようとも、リーダーは信念を貫くことが重要である。それにより逆境時も全員で目標に向かい、計り知れない底力を発揮する。
3.決断力 リーダーは"タイミングを逃さず、いかに決断ができるか"が重要である。最終的にその決断は賭けだが、リーダーの本気度はメンバーにすぐ伝わるものである。 決断したことに邁進する前に迷いが出てしまうリーダーは、それによってどれくらいチームの推進力が鈍り混乱するかを考えていただきたい。決断の意味を再確認し優柔不断を是正し、決断力を磨くべきである。
4.モチベーション チームが勝つために自分たちで何をするべきかを考えて動き、最後まで競争原理を持ち込みながら、勝利という目標のために結束し、チーム全員が高いモチベーションで闘う環境をつくった。これはベテランの控え選手がそのようなムードを作っていったことが大きい。企業に置き換えると、トップの考えをリーダーがわかりやすく部下に伝え、各自の役割と責任を理解させ、いかに全員で闘う雰囲気をつくれるかである。モチベーションの低い社員には、立場を理解した上でのアドバイスが効果的である。

 

(128)『老舗の秘訣』

★日本は、世界の中で老舗企業の多い国として知られています。老舗の老舗たるゆえん、これには色々な条件や要素が考えられますが、私は次に紹介する二つの言葉に集約できると思います。

『伝統は革新の連続』 単に伝統に甘えることなく、時代に合わせて変えていく(=革新)ことができているからこそ、長く続いているのだと思います。
『老舗っていうのは、客を大事にする店のことを言う』 利益を大事にして顧客を大事にしない企業が、社会から大事にされるわけがありません。

皆さま方の会社では日々、問い直していますか?
「自社は変化しているか?」
「自社の真の顧客は誰か?」
「その顧客が認める自社の提供する価値は何か?」
「自社の顧客をどんなに大事にしているか?」
 

どうやら、これを繰り返すことが100年、そして500年続く秘訣のように思います。

 

(129)経営改善の着眼点『業績責任を果たすとは』

業績をつくるとはどういうことか?
それは利益を生み出す全ての経営条件を整備することである。

 

業績責任とは?
ある会社の経営幹部は、自拠点の業績が悪い原因を販売力・商品力が弱く顧客基盤が悪いためだと嘆いている。この幹部は業績意識が欠けている。 与えられた条件でいかに業績をつくるか、利益を上げるかを考え自分の役割を果すこと。

 

★部門経営者としての経営意識を持たなければ責任はまっとうできない。

そのためには


★トップと同じ方向感覚(価値判断基準)を持つ、常にプラス発想で考える、現実処理能力+理想掲示能力を高めることが必要である。

以下の経営のバランス感覚を養っておかなければならない。
○攻守のバランス(営業・投資と管理)
○環境のバランス(市場動向・社会変化)
○時間のバランス(将来と現実のギャップ・先を見る目と今を見る目)
○経営資源のバランス(人・物・金・情報の有効活用)

★経営幹部は自社の経営基盤の現状をしっかりと把握して整備強化をし、 トップと価値判断基準を合わせていかなければならない

 

(130)『事業戦略は「選択」と「集中」』

★運送会社のM社は、事業を「選択」し、「集中」させて好業績を残している。

1.専用車輌への切り替え 従来の万能トラックではなく、重い・長いに特化した車輌への切り替えを図り、専門技術・ノウハウを構築。経験を積むことで荷物の特性を熟知し、さらなる運送品質を高めている。
2.コスト価値をかえる車輌の導入 通常、荷物を運ぶシャーシ(車輌)は20tであるが、M社は大重量の30tシャーシを導入した。80tの資材であれば20tシャーシ4台が必要であるが、3台で可能となった。1台あたりの単価はあがるが、使用台数を減らすことができたのである。 顧客視点で考えれば安全でコストをかけたくないものである。だからこそ1台あたりの単価はあがっても、トータルではコストダウンになる。
"tあたりいくら"が取引の常識である業界において、顧客のコストダウンに貢献している。
3.営業プロジェクトの立ち上げ 自社の品質体制、エコへの取組みなど、他社とどう違うかの資料を作成し、新たな顧客開拓に閉鎖的な業界の中で営業機能を強化した。

事業戦略は、T(テクノロジー:固有技術)×M(マーケット)である。自社が誇る技術(商品・ノウハウ)をどのマーケット(市場)にぶつけるかである。だからこそ、自社の誇れるものを集中して磨き上げ、どのマーケットを選択するかを見極める「選択」と「集中」が必要なのである。

 

(131)『活きた事業計画書をつくる3つの視点』

★事業計画書は戦略の設計図である。そこには経営者の「意志」がなくてはならない。あるいは、目標に確実に辿り着く具体的な道筋が描かれてなくてはならない。

~未来を照らす事業計画をつくるための3つの視点を考える。~

1.社会性~顧客の視点 まずは会社の軸をしっかりと定める。「わが社の存在価値」は何か?事業計画は数字の羅列であってはならない。数字は手段。その先の「生きる目的」がなければ、計画は無機質である。わが社は誰にどんな価値を提供する会社なのか?
スターバックスはコーヒーを通じて「サードプレイス(第3の場所)」を提供する。そのコンセプトはライバル他社と一線を画した価値を生み、従業員も活き活きと働き、顧客から愛され、社員からも愛される会社になろう。
2.戦略性~経営者の視点 社員がやる気になるために、計画はチャレンジングでなければならない。
先行きが見えない経営環境にあっては、現状の延長線上で考えると現状維持が精一杯となる。そこからは小手先の対策しか出てこない。
まず、「あるべき姿」を描こう。それから逆算して何をすべきか考える。現状とのギャップが戦略テーマであり、そこに抜本改革の知恵が眠っている。ユニクロを経営するファーストリテイリングは5兆円企業を目指している。戦略経営の極みと言えよう。
3.蓋然性~金融機関の視点 どんなに崇高なコンセプトを掲げても、いかにチャレンジングな戦略を描いても、「画に描いた餅」では意味がない。金融機関の視点で確実な策を講じることも重要。売上アップは「相手ある」の話なので、蓋然性は低い。社内でできるコストダウンの着眼が必要である。

 

(132)『大局観・戦略発想を鍛える』

自社の幹部の力量について、大局観や戦略発想の乏しさを嘆く経営者は少なくない。そもそも幹部は所属部門のマネジメントが主たる業務であり、日常の中で自社が置かれている環境や戦略展開について考える機会は皆無に等しい。大局観・戦略発想を鍛えたいならば、それ相応の機会提供が必要である。

~A社の事例を紹介したい。~

A社では毎年10月、来期方針の策定に向けたプロジェクト(名称:戦略策定プロジェクト)が発足する。それは、経営陣の指名を受けた各部の幹部・中堅社員10名程度で構成され、10月から12月にかけて3C分析(顧客・同業他社・自社の分析)、所属業界の動向分析、中長期ビジョンの確認、今期方針の実行状況チェック、SWOT分析などを行う。

プロジェクト会議は週1回のペースで開催され、普段は自部門の業務に没頭しているメンバーが、自社全体のことをさまざまな角度から分析する。

その分析内容は経営陣に上申され、1月初旬に開催される社長の年頭所感発表会でオープンになる。その内容と社長の年頭所感を踏まえ、各部の部門長は自部門の来期方針を作成するのである。
プロジェクトのメンバーは、年によって数名が入れ替わるため、数年内で少なくとも一度は、全ての幹部が全社的な視点から自社を分析し、戦略策定をする機会を得る。

そしてそのプロジェクトが、部門横断的な情報交換機能と、経営陣が志向しているビジョン・戦略・方針の理解促進機能を発揮していることに感銘を受けた。

★各社で是非展開していただきたい素晴らしい取り組みである。

 

(133)『どうして資金計画が必要なのか』

★決算書は重要でありながら決して万能ではなく、以下のような点には留意が必要である。

<貸借対照表> ・財産状況は分かるが、決算日当日の状況しかみえない
・借入金の返済計画がみえない
<損益計算書> ・投資の負担と回収状況がみえない
・借入元本の返済負担がみえない

つまり貸借対照表と損益計算書は、法人税などの税金計算には向いているが、資金不足を回避するための分析には向いていないのである。

★資金不足を回避するには、以下を明示する予想資金計画(キャッシュ・フロー計画)が必要で ある。

◆予想収入で全ての支払ができるか、また余裕資金はいくらあるか
◆いつ、いくら現金が不足するのか

予想資金計画は資金不足を回避するだけではなく、たとえば営業・製造などの各部門にキャッシュ・フロー目標を設定させることにも活用でき、在庫削減にも繋げることが可能である。
これらの理由からも資金計画は必要である。

 

(134)『魅力ある会社づくり』

★社員が会社に不満や不信を抱いて、お客さまの期待に応えられるわけがない。顧客満足(CS)の実現を望むなら、社員満足(ES)を優先し、魅力ある会社作りを目指していただきたい。

魅力ある会社の第一の条件
「経営者が魅力的であること」
小企業の場合は、経営者に起因するところが大である。
魅力ある経営者とは
「若  さ」・・・ 事業への「志」「情熱」「バイタリティ」などから来るものだ。
「包容力」・・・ 自分に対する徹底的な厳しさと他人に対する寛大さ、温かさから生まれるものだ。つまり人間の器の大きさである。それが強烈な求心力であり企業の魅力でもある。

 

魅力ある会社の第二の条件
「会社の将来性」
会社の将来性は何によって判断するか。
⇒一般的に「収益性」「生産性」「安定性」など。
しかしこれらの指標は、会社が過去に打った戦略の結果である。企業成長力の要になるものは、事業開発投資・商品開発投資・人材育成投資などの戦略的先行投資ができているかである。
成長する会社は、事業開発・商品開発費として売上高の2~3%、人材育成費は人件費の2~3%を予算化して、計画的に実施している。

 

(135)『"やりきる"組織への変貌』

★ほとんどの経営者は「マネジメントにおいて"PDCA"が大切」と認識しているであろう。だが多くの会社がP(計画)とD(実行)で終わっている。ではC(チェック)とA(改善)を推進し、階段を一歩一歩上るように、積み重ねるマネジメントをしていくにはどうすればいいか。


会議の議事録にある。

項目は「問題点」「対策」「担当」「期限」「チェック」の5項目のみ。
会議において挙がった問題点や取り組むテーマなどを「問題点」の項目に記載し、それに対する実行具体策、担当、期限を記載。チェックとは担当者の実施をチェックする者で、通常上司になる。

この議事録を次回の同会議において全てチェックし、完了したものについては削除、やり方を変えるべき項目については修正、新たな事項は追加する。このようにして、常に議事録を加筆修正し、やるべきことは何か、マネジメントすべきことは何かを常に明確にしておく。

  • ★「議事録のおかげでプレッシャーは大きくなったが、やるべきことが明確になった」
  • ★「誰がいつまでに何をやる」と文字で残されると、逃げ場がないためプレッシャーは大きくなる。しかしチーム会議では、リーダーからの微修正はあるものの、やるべきことと期限は自分で決めるので、モチベーションも高く維持できるのである。

★このように議事録は、PDCAを推進する上で非常に効果の高いツールである。

 

経営ノウハウ(4)

(136)『組織に活力を与える12ステップ』

経営方針とは
あるべき未来を実現するために、この1年の戦い方を共有すべきものである。不透明だからこそあるべき姿を明確にし、組織に活力を与える必要がある。

 

ステップ1 存在価値の再確認
わが社がなくなれば誰がどのように困るのか。この1点を常に明らかにする姿勢が方針策定のスタートになる。
ステップ2 ビジョンの設定
あるべき姿を具体化する。企業経営は厳しいマラソン競争であるが、ゴールのないマラソン競争が存在しないのと同様、目的なき経営があってはならない。
ステップ3 先見する
過剰と不足、主役交代などの変化・進化の潮流を正しく認識する。
ステップ4 現実の直視
顧客は変化、進化する以上、企業価値と顧客価値には常にギャップが生まれる。この事実から経営者は逃げてはいけない。
ステップ5 目標の設定
設定目標は2つ。1つは中長期的な到達目標。そしてもう1つは短期的な勝てる目標の設定である。中長期ビジョンの実現には、勝てる組織が必要でなる。それは勝ちグセから生まれる。なぜなら勝つことにより強くなるからである。
ステップ6 戦略の策定
どのポジションでNO.1となるかを明確にする。そのために「やらないことを決める」ことが欠かせない。これが戦略である。
ステップ7 組織化を行う
組織は戦略に従う。誰がやるかを明らかにする。
ステップ8 年度経営方針の策定
上記7つのステップを踏まずして策定した経営方針で、1年間組織が戦うことは難しい。
ステップ9 実行具体策の策定
具体的ステップと6W3Hは欠かせない。この際、大切なのは『プラン2』の準備である。これから実施する具体策を『プラン1』とすれば、それで達成できない場合の策。それが『プラン2』である。
ステップ10 方針管理の実施
少なくとも四半期に一度は方針管理を実施し、進捗状況を正しくチェックしなければならない。
ステップ11 修正と実行
目標未達の場合は、直ちに『プラン2』を実行に移さなければならない。 方針書は作品ではなく、目的達成の手段である。
ステップ12 信賞必罰

★構造転換期において、正しく方針を策定・運用する企業が「勝ち組」となるのだと認識したいものである。

 

(137)『"原因"と"手段"でピントを合わせよう!』

★部門方針、個人取り組み事項を作成する際の注意点を紹介したい。

会社の方針には「中期ビジョン」→「年度方針」→「部門方針」→「チーム方針」→「個人取り組み事項」という流れがある。

まずは「中期ビジョン・年度方針」と「前期の部門の反省」を踏まえて落とし込んでいく。
その反省時、"原因"と"結果"でとらえることがポイントである。反省の多くは、「売上高が昨対95%と未達であった・・・」とか「粗利益率が○○%と低迷した・・・」という"結果"ばかりを注視した内容になっているが、本当に大切なのは"原因"である。 それを反省欄に記入し、来期の対策へと活かすのである。

取り組み事項(実施事項)におけるポイントは、"手段"と"目標"で押さえる。
取り組み事項(実施事項)を作成するとなると、"目標"ばかりを記入する人が多く、その手段がよくわからな いケースが非常に多い。 例えば、「新規開拓○億円」、「新規訪問○件」、「コストダウン10%」等々。意気込みとしてはよくわかるが、上司やトップはどうやって達成しようとしているのかが一番知りたいのである。『"手段(プロセス)"がわからないのに、"結果"は信じられない』である。

★来期、何を重点に動くか?会社の利益向上のために、今、何が大切か?また、どうしたら持てる力を発揮できるか?──"原因"と"手段"を踏まえて考えていただきたい。

 

(138)『業績を正しく生み出そう』

★売上約30億円の卸売業A社がある。A社は1年前、あ と2ヵ月で資金ショートという倒産の危機寸前のところにいた。しかしな がら、役員以外は誰もこの現状を知らなかった。

そこで幹部全員と面談し、改革の火種となりえる人を探した。また危機感を共有してもらうために、業績数値を幹部以上にオープンにして、現状を詳しく説明した。現状を全く知らなかった幹部にとって非常にショックなことであり、当然のことながら青ざめていた。

収支バランスを取るために、人員削減を含む固定費削減を進める一方で、黒字にするためにはいくら売上が必要なのかを明確にした。幹部メンバーを筆頭に、目標売上数字に対して差額がどれだけあるのかを毎日徹底的に意識させ、その差額を埋めるために何をしなければならないのかを考え行動させた。

3ヵ月後、営業努力の甲斐もあって、単月黒字が32ヵ月ぶりに達成できた。単月黒字を発表した時には大きな歓声があがった。まさしく社内全体が同じ方向を向いて、目標に対して真摯に取り組む姿であり、バラバラだった組織がひとつになった瞬間である。全社員が笑顔になり、社内の空気が3ヵ月前と180度変わっていた。

あるべき姿と現状とのギャップを明確にすることで"正しい危機感"を与え、部下を同じ方向にどれだけ正しく向けられるかが、業績を正しく生み出す近道である。

1+1=2では組織は成り立たない。1+1を3や4、あるいはそれ以上にするために何をしなければならないのか。これを実現するのが幹部の役割である。

 

(139)『"経営のバックボーン"に歪みはないか』

経営方針について聞くと
  • ・「毎年内容があまり変わらない」
  • ・「経営計画書は年に数度しか見ない」
  • ・「実行したかどうかの評価をしていない」
  • ・「そもそも具体的に何をするかが明確となっておらず、評価できない」

 

経営とは
  • ★トップの考えを、幹部を通して、社員全員の協力(日常活動)により実現させること。その設計図を個人の行動計画まで落とし込まなければならない。

 

組織の設計図

○経営理念(存在目的、使命は何か)
○ビジョン(夢、目指すべき姿は何か)
○戦略(勝てる場の発見と勝つための条件づくり、競争優位の確立)
○目標(中期経営計画の作成)
○組織(戦略を実行する体制づくり)
○年度計画(全社方針を部門方針⇒個人目標へと落とし込む)
○実行と成果(PDCAにより計画を確実に実行)
○評価・分配(行動・スキル・成果を評価、給与は高く人件費は低く)

★ビジョンや戦略が不明確な企業は、目先の業績が中心の行動となり、企業体質そのものを変えていくという発想が不十分となる。単年度経営の弊害であり、目指すべき企業像へ体質強化させていく力、将来の業績のための行動がとれていない状態となる。

自社の、戦い方の設計図として再設計が必要ではないか、今一度見直していただきたい。

 

(140)『チェンジリーダーの条件(その1)』

ピンチをチャンスに変えることのできるリーダーを「チェンジリーダー」と名付けている。
通常、ピンチに遭遇したときにどのような対応をはかるかで、次の4タイプのリーダー像に分類できる。

1.PO(ピンチ・アウト)型 想定を超えるピンチ状況を迎えると、たちまち悪い結果を引き起こすタイプ。
リスクやクライシスへの感度が鈍く、修羅場体験も少なく、性格的にも弱い。
経営面では一極集中のスタイルが多い。つまり、得意先、商品、人材、立地、方法などが特定の部分に集中したままになっているケースだ。
2.PP(ピンチ・ピンチ)型 何とかしなければ危うい」と気付きながら、抜本対策が打てずに手をこまねいたまま、ジリ貧状態を招く優柔不断なタイプ。「ピンチだ。変えなければ」と口にするが、有効な実行具体策が出せない。
社歴の長い経営で、財務面での余裕があるケースに多く見られる。
3.PW(ピンチ・ダブルピンチ)型 行動力はすばらしく率先垂範で「良いと思えること」を矢継ぎ早に実行する現状認識力(問題の本質をつかむ力)が不足しており、成果につながらず、傷口を大きくしてしまうタイプ。行動優先の良き社風だが、構想力に欠け、右往左往する経営となる。
4.PC(ピンチ・チャンス)型 結果のみを求めすぎることなく、問題の本質を「原因→プロセス→結果」の流れでキチンと急所を押さえることができる。バランス感覚(大局観)と柔軟な発想力、さらに先見力を持ち、早めの対策を整然と打てるタイプ。
これが「チェンジリーダー」であり、ピンチをきっかけに組織のバージョンアップを成し遂げる経営を行う。

 

(141)『チェンジリーダーの条件(その2)』

★ピンチをチャンスに変えるチェンジリーダーが備えるべき心技体は"3V"で表わすことができる。それはVenture、Value、Vitalityの3つのキーワードである。それぞれを充実する方法は次の通り。

  • 1.心(Venture)
    ベンチャー魂というチャレンジ精神を持つ
攻め7割、守り3割。ゼロベース発想で挑む。そのために、

(1)「自分がやる」という覚悟をして退路を絶つ
(2)リーダーとしての目的と使命をハッキリさせる
(3)「ピンチはチャンス」というプラス発想で臨む
  • 2.技(Value)
    新価値創造のスキルをみがく
前例にとらわれず、活かすべき長所・特徴を明らかにし、柔軟にアイデアを発揮する。そのために、

(1)3つの目を持つ(鳥・虫・魚の目~大局観・分析眼・変化眼~)
(2)実行優先でやってみる(60点主義に立ち、走りながら修正していく)
(3)他人の知恵、異分野に学ぶ(素直さを持ち、絆を大切にする)
  • 3.体(Vitality)
    元気モデルとしての態度を示す
リーダーはいかなる時もメンバーを元気にする人。そのために、

(1)常に明るく元気な声・表情・態度を堅持する
(2)言葉選びに注意(本質を短く表わす)
(3)快食・快動・快心・快眠~一日決算主義~

「心→技→体→心・・・」と繰り返す。謙虚さと開き直りを両立させ、喜々として困難に立ち向かおう。「逃げない、投げない、諦めない」。「俺がやらねば誰がやる」の心意気だ。

 

(142)『リーダーの"仮説力"』

★QCストーリーや問題解決のために、「仮説の設定」という重要なステップがある。

QCストーリー
1.問題点の発生
 ⇒ 2.統計的データにもとづく問題点の実態分析
 ⇒ 3.問題の真因分析("なぜ"の5乗)
 ⇒ 4.あるべき姿の設定(問題点に対する正しい認識)
 ⇒ 5.仮説の設定(改善案・衆知の提言)
 ⇒ 6.メリットとデメリットの想定(検証)
 ⇒ 7.デメリットの対応策の検討(2次対策)
 ⇒ 8.改善実行プランの作成(ツール・スケジュール)
 ⇒ 9.実行推進(検証)
 ⇒10.歯止め策の策定

一番重要なステップは③問題の真因分析である。
なぜなら問題の真因をつかまない限り、どんな対応策を講じても根本的な解決にならないからである。

 

次に重要なステップが⑤仮説の設定(=仮説力)
「この問題に対して、もしこのような対策を講じたらどのようなメリットとデメリットが生じるのか」という「想定し得る状況設定」をすることである。

 

  • ★再発に歯止めがかからない不良・クレーム対策に対する仮説、集客ができず業績が上がらない要因に対する仮説、いつも目標にあと一歩で達成できない要因に対する仮説。
  • ★私たちの回りには常に「問題」と「要因(真因)」とそれに対する「仮説」が無限に存在する。

 

(143)『経営意識の高い幹部になろう』

企業の将来を見る場合、1年後であれば決算書、5年後であれば商品、10年後であれば人材と言われている。

★「企業の寿命は30年」と言われるように会社は潰れるように出来ているものであり、努力、工夫を怠らず管理をしなければ、継続発展できるものではない。トップとベクトルを合わせ、しっかりと築いていく人が幹部である。

1.トップと方向感覚を合わせる トップならどう考え、どう判断するのか。なぜトップはそう考え判断したのか、掘り下げて考える習慣をつける。
2.ワンランク上の仕事をする ワンランク上の仕事をするためには、自分の仕事を部下に任せないとオーバーワークとなってしまう。ワンランク上の仕事が出来ない幹部の共通点は、自分で仕事を抱え込んでしまうことである。
3.戦略発想を鍛える トップとベクトルを合わせ、重点を絞り込み、やるべき事を明確にする。NOW(今の責任を果しながら)・NEXT(次の手を打ち)・NEW(将来を考える)が大切である。
4.バランス感覚を養う 経営バランスが崩れると破綻してしまう。そうかと言って、バランスをとったままでは成長できない。あえてバランスを崩し、いかに大きくバランスさせるか。その復元力が大切である。
 ○攻めと守り(売上と利益、利益と経費、資産と負債資本のバランス)
 ○環境変化(市場・需要・ライバル動向と自社のバランス)
 ○時間(将来ビジョンと現実のバランス)
 ○経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報の効率的なバランス)

厳しい時代を勝ち残るために求められる幹部は、経営意識のある部門経営者である。 これらを踏まえ、経営者の視点で考え、行動できる幹部を目指していただきたい。

 

(144)『日本人は"団体戦"で力を発揮する』

東日本大震災は、経済環境をこれまでとは違った別のステージに変化させた。被災地に国をはじめとした行政の復興支援策が実施されている。

ここで経営者や幹部社員は「以前の経済環境には決して戻らない」と気づく必要がある。経営は環境適応業であり、どのような経済環境にも適応 していく自助努力が不可欠である。その施策の一つとして筆者が提唱するのは"個人戦から団体戦へのシフト"。推進ポイントは次の3点である。

1.目的・目標を共有する 日本人は個人としては弱いが、団体を組むと大きな力を発揮する特性がある。これは目的・目標を共有し、それに対して個々人が協力し合うからである。企業においては経営理念や企業ミッションが目的・目標の最上位概念であり、改めてそれらを全社員に徹底していくことである。
ただ、経営理念や企業ミッションはとかく漠然としがちであるため、経営者や幹部社員はそれを咀嚼して部下に発信し続け、「目的・目標を達成していくために、今、何が求められているか」を日常業務に落し込んでいくことが求められる。
  • 2.「ONE・FOR・ALL、ALL・FOR・ONE」のスピリッツを植付かせる
「一人ひとりはチーム(団体)のために頑張り、チーム(団体)は一人ひとりが成果を出せるように皆でサポートしていこう」という意味(ラグビー競技のスピリッツとして有名)である。
つまり「個人によって得意不得意はあっても、一つの目標に向かってそれぞれが得意な面で力を発揮しつつ、不得意な部分は互いにカバーし合って目標を達成していこう」という思いをチーム内に植付かせる。
  • 3.レベルアップするための仕掛けづくり
団体を構成する個々人がレベルアップするための仕掛けづくりに常に留意すること。特に次の5点が大切だ。
  • (1)良いことをした時は、全体の前で褒める(善悪の基準や期待している事を教える)
  • (2)計画立案に参加させ、発言の機会を与える(大きな視野で見させる)
  • (3)個々人の能力段階に応じて、効果的な教育訓練を行う
  • (4)能力を上回る仕事を与え、サポートして成功させる(自信をつけさせる)
  • (5)正直者がバカを見ないようにする(要領の良さではなく、努力するものが認められ、報われるという当り前の環境を作る)

 

(145)『心の在り方を変えよう』

結果が変わって自分が変わるというのは有り得ないのです。
自分が変わるから結果が変わる。
自分と結果のベクトルは、常に、「自分⇒結果」なのです。
結果を変えたければ、まずは自分が変わらなければならないということです。

 

自分が変わるためには、心の在り方を変える必要があります。

心の在り方は決断に影響を及ぼします。

決断は行動に影響を及ぼします。

行動は成功の度合いに影響を及ぼします。

つまり、心の在り方を変えれば、決断が変わり、決断が変われば、行動が変わります。
そして、行動が変われば、人生が変化するのです。

心の在り方が正しければ、必ず成功を収めることができるのです!

 

(146)『継続的改善の視点』

★企業が持続的成長を遂げるには、当然だが「継続的改善」を実践していかねばならない。それを展開しない限り、企業は永続など不可能である。では、"継続的改善"を実行するポイントは何か。組織・方針・人材という3つの視点から考察していきたい。

  • 1.<組織>
    顧客指向の組織を形成する
不確実性の高い事業環境において、何より優先すべきは顧客ニーズに対する誠実な配慮であり、そうしたニーズに応えられる柔軟性を、組織がどの程度備えているかを見極めることが重要である。
  • 2.<方針>
    イノベーションを喚起する
継続的改善には、時代環境に適応するためのイノベーション(技術革新)が必要となる。
イノベーションを引き起こすツールとして、「方針」は大変有用である。
●花王の「商品開発5原則」
 (1)社会的有用性の原則
 (2)創造性の原則
 (3)パフォーマンス・バイ・コストの原則
 (4)調査徹底の原則
 (5)流通適合性の原則
  • 3.<人材>
    実行力を高める
継続的改善には、人材の実行力が欠かせない。この実行力とは、経営者・管理職を問わない必須科目である。実行力に必要なのは、リーダー自身が組織に情熱を持って深く関与することだ。この"関与する"とは、建設的で一貫した質問を投げ続け、問題の核心をつかむことを言う。

 

(147)『プロジェクト成功の秘訣』

★ノーベル経済学賞を受賞した故ハーバート・サイモン教授が「計画のグレシャムの法則」なるものを著書の中で提唱し、プロジェクトに取り組む組織へ興味深いアドバイスを与えている。いわく「ルーティンワークは、ノンルーティンワークを駆逐する」。

ルーティンワーク
日常業務や通常業務を意味し、毎月あるいは毎日反復して行われる業務

 

ノンルーティンワーク
非日常業務・非通常業務を意味する。すなわち、プロジェクトタスクやクリエイティブワークのこと

 

★プロジェクトの遂行やクリエイティブな業務といった仕事が、企業の成長や革新にとって最も重要な要件であるにもかかわらず、担当者が日常業務に忙殺されて計画通りに進捗しなかったり、クオリティーが低下したりすることはよくあることだ。
そこで、プロジェクトを成功させている組織に共通する姿勢と取り組みを、以下に列挙する。参考にされたい。

プロジェクトを成功させる姿勢と取り組み
1.トップのプロジェクトに対する強靭な意志力
2.プロジェクトの具体的目的・目標の設定
3.プロジェクトリーダーの権限の明確化
4.メンバーのプロジェクトへの専業体制
5.通常の評価制度とは一線を画したプロジェクトメンバーへの評価基準の設定
6.プロジェクト終了後のメンバーへのキャリア保証

 

(148)『目標必達の為の業績先行管理』

★多くの企業は業績低迷にあえぎながら、"業績を向上したい""揚げた目標を達成したい"と考えている。それらを実現するために用いられる手法が、「業績先行管理」である。

遅行管理×
 ・・・  前月の結果を見て何が良かった、悪かったと議論する。
終わったことをいくら言っても手が打てない。
同時管理×
 ・・・  今月の売上げ状況を確認しても、すでに残り少なくなった時点で「当月の対策・・・」と言ったところで、打てる手など限られてしまう。
先行管理○
 ・・・  先行で3~6ヶ月先までの累積目標から、現在確定している売上げを差し引いた類型差額に対して対策を打つ。

あるシューズ卸会社は、かつては月次決算を行うも翌月の15日過ぎにやっと数字がまとまるという遅行管理で、気付けば売上げ未達の月が年間の大半を占めるといったジリ貧業績体質であった。 この体質を改善するために先行管理を導入したものの、初めから8カ月の先行管理ができたわけではない。ステップを踏んで1年半がかりで導入した。

まずは当月と翌月の2カ月間の累計差額対策から取り組み、3カ月→6カ月→8カ月と期間を延ばしていった。そして8カ月先行管理が定着してきた約2年後、毎月の売上げが目標の105~120%の割合でクリアできる強い体質に生まれ変わった。もう売上げ未達の月はなくなっていた。


同社が生まれ変わったポイントは、ライバルより先に手が打てるサイクルが出来上がったことにある。今より少し先までを見ることができれば、余裕を持って営業活動が行え、目標必達の強い体質が出来上がるのである。

 

(149)『前向きな姿勢を持て!』

★経営理念を持たない企業が結構多い。また、経営理念が形骸化している企業も実に多い。これでは働く社員はかわいそうである。

社員が前向きに取り組むためには
会社の理念を明確にうたうことだ。その上で方針を確定し、対策を打ち、実行・チェック・成果・結果を出すという流れを築くことである。

 

その時に大切なこと

悲観的な思考で事を運ぶと、必ずできない方向性で物事を考えてしまう。そういう考えになった場合は、すぐに「できるんだ!」という肯定的な考え方に変えることである。それにより「結果を出すためには何をしなければならないか?」という考え方になる。この考え方が「前向きな考え方」である。

「理念・方針」を末端の社員まで正確に説明し、納得させることも大切だ。これができる企業とできない企業では、大きな差が開く。

納得させるために必要なことは、幹部が完全に理解した上で、部下に説明する。そして方針に沿った実行具体策を部下に作成させるのである。

社員自身がつくった実行具体策になるので、社員は前向きに取り組むことができる。それでも、後ろ向きな発言をする者が出てきた時は、厳格な姿勢で幹部チェックをすることだ。

怒るのではなく、ヤル気を出させる言い方で背中を押す。そのためにも前向きに「できるんだ! やれるんだ!」という考えに自ら立ち、行動することが大切である。

 

(150)『"当たり前のことができる組織"づくり』

★A社は、産業用機器のマニュアルなどを専門に印刷・製本する年商8億円、従業員40名の印刷会社である。

創業以来、大手企業を顧客に持つという安心感からか、社員の間には危機感がほとんどなかった。営業担当者は顧客から注文が流れてくるのをただ待つだけの存在であり、工場は生産性を全く考慮しない職人集団であった。遅刻はする、始業と同時に生産スタートしない、気分次第で印刷するものを決める、何がどこにあるか分からない倉庫には在庫の山というありさまだった。まさに「当たり前のこと」ができない体質の企業であったと言える。業績も赤字、しかも債務超過という危機的な状態であった。

現社長の代になって信賞必罰の厳しい姿勢で経営に臨んだ。

これにより、遅刻の撲滅や計画通りの生産という基本的なことが定着した。 業績も黒字転換した。

「3S活動(整理・整頓・清掃)」を導入

3Sを行うことにより、職場は必要なものがすぐに取り出せる合理的な場所となり、また徹底継続することで、良い習慣が社内に形成されることとなった。また、仕事をしやすいように工夫をするという改善意識も芽生えた。これによりA社の企業体質は大きく好転した。

3S活動という少し遠回りに見える取り組みを通じた方が、結果的には早道の場合もある。一度、試してみてはいかがだろうか。

 

(151)『経営者は原点を語れ』

★B社研修会の目的を聞くと、親会社の役員が子会社のトップに就くとのことで、親会社からのしばりや圧力がかかるのではないかと幹部が危惧しており、この機会に経営スタンスを"はっきり、すっきり"させたいとの意向であった。

★研修会でB社社長は「親会社の中長期戦略には100%準拠するが、親会社とはいえ特別扱いや偏重はしない。わが社に移植するのは親会社の"イズム"のみだ。よって幹部が共有すべきは、そのイズムを継承したわが社の経営理念である。この理念を唯一の判断基準としマネジメントしていただきたい」と喝破した。

A社のイズムの概要は次の通りである。
清廉活発な企業風土を基盤に成長し続け、これをもって業界全体の発展に寄与する。

そのために
1.礼儀・礼節を重んずる
2.方針・目標・通達は即、実践
3.決定事項が不本意であっても全力投球
4.出来ない理由を考える前に出来る方策を考え、打ち出す
5.結果に対して責任を持ち、愚痴・言い訳はしない

理念が人を高みへ希求させる。社風は即席では創れない。経営者・経営幹部は日々、企業原点を"真剣"に語るべきである。

 

(152)『リーダーの命がけ』

★リーダーが具体的に取り組む「3つの命」★

1.使命
  • ・世の中の「お役に立つ」ことができるから存続できる。社会的な存在意義~企業使命感なくして真の成長はない。どこの誰の、どのようなニーズやウォンツに役立とうとして自社が存在するのかを、リーダーとして明快に示すことだ。法人客・個人客を問わず、経営資源を集中する具体的なターゲットとニーズを捉え直す必要がある。
2.宿命
  • ・成果(業績)で評価を受けるプロとしての宿命を知る。「お客さまに喜ばれました」と言いながら、赤字を生んだり代金回収が滞ったりするようでは、存続が危うくなる。
  • ・100点満点のない経営の世界では、トライアル&エラーの実践に取り組みながら、成果を帰るソリューションスキルが求められる。問題の本質をえぐり、解決ストーリーを組む設計力と実行パワーを磨くことである。
3.革命
  • ・過去と断絶し、未来からの視点で革新する。大転換の時期には、前例主義、ことなかれ主義では真の問題解決は望めない。潮流の変化の先にある未来像から自社、自部門を見つめ直し、抜本的に「捨てる、改める、導入する」の大局観と柔軟な発想力で臨むことだ。改善・改良方式の枠を超えるチャレンジである。

いよいよ「リーダーの命がけ」の時代が到来した。
「変化はチャンス」。理性的かつ情熱的な実践が成否を決めると言えよう。

 

(153)『社風は気付いたら"できている"』

先日、実施した営業研修での事例を紹介したい。

事前のヒアリングで確認した問題点は、「営業社員に自社のカラーがない」ことだった。
つまり中途採用者が多く、前職の営業スタイルを引きずっていることが原因と思われた。

トップから社員に至るまで、自分に責任が及ばぬように「それなりに説明(言い逃れ)できるかどうか」ばかりが重視されていた。
問題の営業社員も、目標への達成意欲より会社の指示事項をこなしたという"アリバイづくり"が優先され、その結果、慣れた前職の営業スタイルをだれも変えようとはしなかった。これが冒頭の真因であった。

「社風」とは、会社が決めて発信するものではなく、日々の業務の中で蓄積されるものである。それは手法の問題ではなく、根本的な考え方の統一である。研修も良いが、それ以前に考え方の問題か、スキルの問題かを押さえることが先決であり、日常業務における考え方の徹底ができていなければ、一時の花火で終わってしまう。

まず、日々の業務の「始末」ができているか、会議の決定事項をきっちりと進捗管理しているかなど、身の回りの物事から見渡し、自社にとって必要な「当たり前」がきっちりできているかどうかを確認してみてはいかがだろうか。

 

(154)『全社を挙げての意識改革』

★「これまでは、いくら危機意識をあおっても社員は動かなかった。社員と経営陣の思いが1つになった時、会社が変わりはじめた」。この言葉は、経営再建をお手伝いしたA社の経営者が口にした言葉である。

そもそも、経営者と社員は対立する関係にある。
与える側と与えられる側、命令する側と命令される側、実行させる側と実行させられる側である。
そのため人を動かす場合、どうしてもカネやポスト、命令といったトップダウン型のマネジメントが中心になってしまう。その結果、組織内には「やらされ意識」を持った指示待ち人間が多くなる。

今日のように環境変化が激しい場合には、組織も迅速に変化することが求められる。
そのためにも変化の現場に近い社員が、自分で考え、判断し、俊敏に行動することが不可欠である。指示待ちの受身組織では変化に対応できない。

また、そのような組織の中でいくら優れた戦略やビジョン、方針を打ち出しても、それは絵に描いたモチに終わる。重要なことは社員の意識改革である。社員を、自ら動く「自立型人材」にさせることである。

そのために経営陣が行うべきことは、「トップダウン型経営」から「参画型経営」に変えるという意識改革である。

★組織の目指すべき姿を共有化する「参画型経営」によって、経営陣と社員の境界線をなくし、社員に経営への参加意識を持たせる。その結果、社員と経営陣との関係は"Win-Lose"から「Win-Win」の関係へと変わり、業績向上と社員の働きがい向上が実現するのである。

冒頭で紹介したA社で、参画型経営に向けて取り組んだことは次の3点であった。

1.ビジョン・戦略の策定(策定プロセスへの参加と意思の共有化)
2.経営情報の発信と共有化(ガラス張り経営)
3.意思決定プロセスの整備(会議システムの整備)

結局、「経営陣の意識改革なくして社員の意識改革はなく、社員の意識改革なくして業績向上はない」のである。

 

(155)『コストダウンが進まない理由』

★現場においてはいくらトップが指示を出しても、なかなかコストダウンが進まないケースによく遭遇する。往々にして、それは調達・仕入れの現場でよく見られるが、現象を分析すると次の4つのケースにパターン化される。

1.コストダウンを正当に評価する制度がないケース
  • ○努力しても大きく評価されない
  • ○前年同様の取り組みを継続するだけで、調達のトラブルを恐れ新たなチャレンジをしていない
2.調達の体制・インフラが未整備のケース
  • ○「何を、どれくらい、いくらで、どこから、どういう条件と方法で、どの位の頻度で購入しているのか?」など情報が各部門間に分散し、調達の全体像を一元的に把握することができない
  • ○同じモノを複数部署で購入していたり、同一業者との取引を複数の担当窓口が行い、外部調達の全体像を把握することが困難となっている
  • ○調達(支払い)部門と利用部門が異なり、当事者意識が徹底されていない
3.試算や交渉のスキル、ノウハウが個人によりバラツキがあるケース
  • ○業者の市場構造・市場価格に関する情報が、組織的に収集・蓄積されていないため、価格の妥当性に関する判断がなされていない
  • ○業者との交渉ノウハウがなく、業者にとって都合の良い価格や契約を鵜呑みにしている
4.管理プロセスが未整備なケース
○当初に設定した購入価格を見直すこともなく、支払いが継続されている
  • ○新規業者との交渉が実行されておらず、既存業者が長期間固定化し、「持ちつ持たれつの関係」となっている

  • ★常に自社の現場がどのような状況にあるかを把握し、適切な対応を図っていく必要がある。

     

    (156)『経営者の時間管理術』

    ★経営者にはなすべきことが山ほどある。お得意様や株主、従業員、仕入れ先、役員など、すべてのステークホルダーの幸せを最大限求め続けるためには、1日24時間フル稼働したとしても十分ではない。
    ★そこで経営者は、限られた時間で最大限の成果を上げるための"時間管理術"を身に付ける必要がある。今回は、経営者の"時間管理術"について述べたい。

    1.明確な価値判断基準によって優先順位を付ける
    経営者の仕事はすべて重要である。しかし、それらは同時にはできない。したがって、1つずつ片付けることになる。そこで重要となるのが、明確な価値判断基準に基づいた、仕事の優先順位の付け方である。
    価値判断基準は、冒頭の「すべてのステークホルダーの幸せを最大限求め続ける」ということから考えるべきだ。会社が成長し、存続していくために、なすべきことを最優先事項に据えなければならない。そして「攻め」と「守り」の仕事を均等に時間配分する必要がある。
    2.集中できる時間を確保する
    経営者の仕事は、意思決定にかかわるものがほとんどを占める。このため、集中して考え、判断を下す必要がある。それにはだれにも邪魔されず、集中できる時間を確保しなければならない。だれからも連絡が入らない早朝や深夜、あるいは移動時間などを活用することである。
    3.判断は社長が行い、行動は幹部に任せる
    判断を下すことは社長の仕事である。だが、それを実行するのは幹部以下、社員の仕事である。時には旗振り役として社長が先陣を切って行動する必要もあるが、大半の仕事は幹部に権限委譲して任せていく必要がある。経営者は幹部が行き詰まった時に出て行けばいいのだ。
    会社の規模が大きくなればなるほど、経営者の意思決定の仕事は増えてくる。
    仕事を任せられる幹部社員を育てることは、経営者の任務でもある。

     

    (157)『基本と成長の4C』

    業務革新は
    「絶えず『顧客の視点』から経営をチェックする機能が、自社に組み込まれているか」が出発点
     

    各社はいろいろな業務革新 に取り組んでいるが、トップの意思の中心は自社の業務改善であり、顧客視点での業務革新に至っていない事例が多く見受けられる。

    流通業を例に業務革新2つの視点
    1.基本条件からの視点:基本の4C

    中堅マネジメント層が取り組むべき
    重点課題
    (流通業界で戦う中、有無を言わさず備えていなければならない条件)

    • (1)クリンリネス:Cleanliness
      お客さまを清潔な店舗で迎える体制になっているか。
      (お客さまは清潔かどうかを絶えず相対比較で判断する)
    • (2)コンビニエンス:Convenience
      お客さまから見て買いやすい品揃え、売り場になっているか。
    • (3)カスタマーサービス:Customer Service
      感じの良い接客ができているか。
    • (4)コンフォータブル:Comfortable

    (1)~(3)の実践と、音楽や空調などの環境提案により、お客さまが心地よく買い物ができる環境をつくっているか。
    2.成長条件からの視点:成長の4C

    「成長の4C」はトップマネジメント層
    が取り組むべき重点課題
    • (1)コラボレーション:Collaboration
      取引から「取組」への仕組みができているか。
    • (2)コントロール:Control
      マネジメント体制の確立ができているか。
    • (3)キャビネット:Cabinet
      マネジメントメンバーの育成は明確になっているか。
    • (4)キャッシュフロー:Cash Flow
      指標経営の確立ができているか。

    経営革新の最重要テーマは「顧客視点での業務革新」と言えるのではないだろうか。

     

    経営ノウハウ(5)『経営者にとっての重要事項』

    (158)成功イメージを明確にする重要なこと

    • 1.成功したい理由
    • 2.成功したときに得るもの(お金、名誉、地位、車、ブランド等)
    • 3.成功する時期(2015年4月とか自分が55歳になるまで等)
    • そして、とっても重要なのが
    • 4.成功したら、それが自分にとってどんな意味があるのか?
      どういう感情の状態を手に入れるのか?つまり、心の状態です。4番目の心の状態を知ることは、快楽のイメージを手に取るように感じることができるまで成功イメージを明確にしているということです。
    4番目の項目については、ぜひ覚えておいてください。

    もう1つ重要なことがあります。
    そのゴールを信じることができるか?

    ゴールというよりは、自分自身を信じることができるか?
    人は、信じることができてはじめて行動できます。何事も信じられないのであれば、人はそのための行動をとりません。
    自分でもできる!自分ならできる!と信じるには、どうすればいいのか?

    1つは、コミュニケーション能力です。

    わたしの意味するコミュニケーションは、他人とのコミュニケーションではありません。
    自分自身とのコミュニケーション能力です。
    そうです。自分自身といかにして自分を信じることができるようなコミュニケーションをとるか?です。

    簡単な言葉でいえば、それを解釈といいます。
    この解釈は、実は自分に対してどのような問いかけをするか?ということなんです。
    その問いかけの回答が解釈です。
    ですから、自分にとってよい解釈をするには、その回答にいたるための適切な質問をしなければなりません。

    何か自分に不都合なことが起こったとき、それに対して「どうして、こんなことが起こったのだろう?」「なぜ、自分ばかりこんなひどい目に」という質問を自分に問いかけると、その回答はネガティブなものになるでしょ?こういうときに「起こったことはしょうがない。さて、この状態からどのようにすれば・・・」という質問をしたらどうでしょう?
    きっと、その状況をよりよい状況に変えるための考えが生まれるはずです。
    こういう考えを繰り返すと、自分の状況は常に改善されていくので次第に自分に自信を持つようになります。
    2つ目は、自分が目指している成功モデルの人と付き合うことです。

    そして、それだけでなく自分と同じように、成功に向かって取り組んでいる人たちと付き合うことです。
    そこでは、交わす言葉が常に前向きです。また、お互い切磋琢磨するだけでなく、支援しあうマインドを持っています。
    「成功」という言葉は、タブーでもなければ、夢物語でもありません。
    当然のように語られています。
    そういう状況の中にいると、成功することが何も特別なことではなく普通のことになります。

    自分の能力と将来への確信をいつしか自然に持つようになるのです。

     

    (159)実行に移せないでいることについての考察

    理由
    明確なゴールを決めていないので、行動に移すための情熱とエネルギーがわかない。つまりモチベーションが起きないので、行動できない
    正当化
    正当化」も、その行動しない理由の1つです。
    正当化・・・これは、言い換えれば「言い訳」です。
    困ったことに、人というのは行動しない理由を正当化するのが非常に上手です。
     ・「明日からやろう」
     ・「今、時間が無いから仕方がない」
     ・「条件(お金等)が揃ってから、取り組もう」など

    正当化の結果は、きまって後悔です。後悔しないためには。


    1.まず、自分が正当化していることを認める。
    具体的には、自分が普段日常的に使っている正当化の言葉を紙に書き出します。
    言葉は、人の意識をコントロールするので、とても注意が必要です。
    だからこそ、自分の言い訳の言葉をしっかりと認識することが重要です。
    2.つぎにその言葉の結果、自分がどうなっているのか?を認識。
    その言葉が導いた自分の状況を正しく認識することです。
    それによって、生じた痛みを心から感じるのです。
    そして、二度と同じ過ちをするまいと誓うのです。
    3.最後に、自分が望む結果を実現している人との付き合いをはじめることです。または、自分の志と同じ志をもった向上心の高い人たちとのネットワークを築くことです。

     

    (160)会社のあり方を、真剣に考えよう

    社員であれば、自分が幸せに働らける環境を、自ら率先して創っていく。
    経営者なら事業を始めた、または会社に入社した頃にいだいた理想を思い出して、経営者としてできることを実行して欲しい。

    人生でもっとも活動的な時期の大半を仕事に費やします。
    なのでもし、幸せになりたいなら、自分が楽しくやりがいを持って働くことです。

    やりがいをもって働けば、当然仕事の成果もだせるでしょう。その場合、経済的にも精神的にも満たされるでしょう。幸せだし、モラル(道徳観)も必然的に高まると思います。

    そういう人が犯罪を犯すとはとても考えられません。
    こうして社会に秩序が育つのだと思うのです。

    会社は、人づくりの場です。会社は、人を作ることで、利益の分配(税金)と社会に秩序をもたらす重要な社会の公器だと思います。

     

    (161)「学習効果の高い読書のコツ」

    ★読書法については、たくさんの本が出版されていますが、今回わたしがお伝えするのは速読ではなく、本を読むときの意識の向け方です。

    ★それはどういう意識、立場でその本を読むか?ということになります。

    たとえば映画を例にとってお話しましょう。映画を観る目的は、ほとんどの場合、ご自身が楽しむことだと思います。映画を観賞するわけです。
    ところが映画評論家が映画を観るときは、映画を観賞するというより観察します。
    観察の目になると、映画の詳細から全容まで細かく記憶することになります。
    アマチュアは観賞の目をもち、プロは観察の目をもって物事を見ます。
    観客と映画関係者の違いは、このどちらの目をもって見るか?であり、それは目的意識の違いによって生じる違いです。

    本についても同じことがいえます。

    観察の目・・・この著者の言っていることの本質は何か?ここに書いてあることを自分の人生に置き換えると、どんなことがいえるだろうか?と考えて読むと、その本から得られることはとても大きな意味を持ちます。また、それは長く記憶に残ります。本は速く読むことが目的ではありません。大量の本を読むことも目的ではないはずです。1冊の本をじっくり観察して読む・・・その方がずっと実際に役立つのです。

    ★観察の目をもって読書するコツ

    本の内容を誰かに教えるつもりで読んでみることです。
    誰かに伝えようと思ったら、その本の読み方が違ってきますよ。
    その本に書いてあることの意味を、自分なりに理解しようと努めるようになります。
    試してみてくださいね

     

    (162)ネットを使ったニーズ調査:ミニチュア版のすすめ

    起業前の場合はお金もあまりないでしょうから、「無料」の個人むけブログサービスを使って、サイトを立ち上げましょう。ライブドアやココログといった、個人むけブログサービスを使うのです。

    そして、このサイト使って、将来取り扱おうとしている商品やサービスの「ミニチュア版」を販売してみましょう。

    将来、1回3万円のセミナーを販売するつもりだったら、内容を簡略化したCDセミナーを3千円で販売するのです。将来、1回300万円のコンサルティングを売るつもりだったら、1回3000円のメールコンサルティングを販売するのです。

    営業経験に乏しい人は、まずはネットでその商品やサービスのミニチュアを販売してみましょう。

    もしそのミニチュアが売れれば、市場のニーズは高いということですし、同時にネットを使った販売ノウハウを身につけることもできるのです。
    極論すれば、起業前にネットで「ミニチュア版」商品が売れない人は、起業後にもっと高い商品を売るのは難しいと思います。ミニチュア版を売るノウハウが身に付くまでは独立を見合わせた方がいいかもしれませんよ。

     

    (163)起業や新規事業のプランに工夫を

    起業や新規事業のプランを作るにあたり、損益分岐点や初期投資を抑えるための工夫をどれだけしているだろうか。

    固定費となる機器の減価償却費や初期投資を抑えることの工夫は、起業や新規事業を早期に軌道に乗せるには、欠かせない。

    ★実際のところ、まともに起業・新規事業のビジネスプランを立てようとすると、固定費や初期投資の負担が大きく、採算ベースに乗せることの難しさに圧倒されてしまうことも多い。

    ★しかし、勝負のしどころは、そこからだ。工夫や交渉等により、固定費・初期投資の金額を下げ、損益分岐点を下げ、投資回収期間を短縮する。
    商売人としてのセンスが問われる場面だとも言えるだろう。

    「セールスは断られた時から始まる」という言葉がある。ビジネスプランについても、「これでは採算が合わない」という状況から、本当の検討や練り上げが始まる。

     

    (164)経営者が理想論を語ること

    ★大きなビジョンを描いたり、高い目標を掲げることは、成功するために不可欠だとされている。しかし、それを公言するかどうかについては、賛否両論があるようだ。

    賛成

    公に宣言することで、どうしても達成せざるを得なくなるように自分を追い込む効果があると主張する。

    反対

    嫉妬などで妨害されるから、心の中に秘めておくべきだとする。
     

    正解

    状況に応じて

    ★リソー教育の岩佐実次会長兼社長
    「経営者が社外で自分の理想論を語るのはほどほどにしたほうがいい」というコメントが紹介 されている。
    社外で自社の言い分を訴えるには、「格好いいことを言うよりも、まずは合格実績や受講者獲得実績を示すこと」だという。

     

    (165)理想論「本気」か、それとも「逃げ」なのか

    理想論は

    「経営者の逃げになる」単なる格好つけだけではなく、現実を直視したくない気持ちの現われ。
     
    理想論を語ることは、大きなビジョンや目標を語ることにも通じるだろう。しかし、語るばかりで、さっぱり実行が伴わない人も多いようだ。

     

    成功本は

    世の中には、成功本の類を読み漁る人たちがいる。そこには、ビジョンや目標を掲げれば、成功できるとある。しかしそれは、必要条件であっても十分条件というわけではない。
     
    成功を夢見ることは大切だ。しかし人は、夢の中で生きるわけではない。いくら成功を夢見ても、それは現実の成功ではないのだ。 多くの成功本には、行動を起こすことの大切さが書かれているはずだが、なぜか読み飛ばされてしまうようだ。

     

    夢を見るというのは、心地よい。だからそこに、逃げ込みたくなる。ビジョンや理想論を語るなら、本気でそれを実現しようと考えているのか、それとも「逃げ」なのか、自らチェックしてみることが必要だ。

     

    (166)赤字を黒字に転換させる

    • ★単純に言えば、儲かっていないビジネスはやめ、儲かっているビジネスに集中すればよい。それをキチンと実行できれば、業績はしっかりと回復する。
    • ★利益率が高く、よく売れている商品があれば、それをどんどん伸ばしていく。逆に、利益率が低く、売上も芳しくない商品があれば、ラインアップからはずしていく。それが基本だ。

    • !しかし現実は、必ずしもそのような判断にはならない。売れている商品については、「これで良し」と安心してしまう。本当はもっと売れるのに、もったいないことだ。
    • !逆に、売れていない商品を問題視して、何とかもっと売ろうとして経営資源を投入する。売れている商品と比べれば、費用対効果の面では疑問視せざるを得ない。

    単純に利益や売上だけの問題ではなく、中長期的な戦略を踏まえれば、それも間違いでない。

    シェアが低い、すなわち売上が芳しくないとすれば、やめてしまえという考え方もできるが、伸ばす余地があると考えることもできる。それだけでどちらが間違っているとは言えず、それは判断の根拠次第だ。

    ポイントは「競争力」があるかどうかだ。
    一般的に、売上不振は競争力が低いことの表れだ。利益率の低さも、価格競争に対応せざるを得ないからであり、それもまた競争力の低さの反映となる。
    しかし、本来の競争力に比して、著しくシェアが低いとすれば、伸びる余地は大きいという判断になる。伸びるかどうかの判断の根拠は、市場シェアと競争力との対比にある。

     

    (167)「設計図」は世界に一つだけ、隣の会社の「設計図」は使えない

    成長している企業の「設計図」をマネしても、なぜか会社は伸びない。
    それもそのはず、『あなたの会社の「設計図」は世界に一つ』しか存在しません。

    会社が違えば、デキル社員の定義も異なります。その会社のビジネスに必要なスキル、マインド、コミュニケーション...。これら全てが同じ会社は、世界に二つとありません。

    あなたの会社が本当に必要なのはどんな設計図かを考えることが大切です。

     

    (168)自社を「何屋」と定義するか

    新分野への展開が容易かどうかは、活動領域の「壁」の厚さが影響する。「壁」が厚ければ、なかなか打破することはできない。「勝ち組」は、「壁」の存在に対する意識は希薄だと言えるだろう。

    「壁」や「限界」を設定するのは、自分自身のマインドセットに他ならない。企業の事業展開についても同じだ。企業のマインドセットとは、自社を「何屋」だと考えるかだ。

    時代の流れに乗り遅れてしまうようなマインドセット、すなわち自社が「何屋」だという定義に失敗すると、淘汰されてしまう危険性があるということになる。マインドセットが普遍的かどうか、検討してみる必要があるだろう。

     

    (169)明確な方針を打ち出す能力とは

    ★人間、なかなか「捨てる」ことはできない。企業を経営しているのなら、この売上も欲しいし、あの売上も欲しい。今回のケースなら、客数も増やしたいし、客単価も増やしたい。

    ★「二兎追う者は一兎をも得ず」という。戦略の要諦で言えば、「選択と集中」が大切だ。集中しなければ、どちらへも十分に前進することができない。

    マクドナルドの場合、「客数を増やす」という方針の下、「100円メニューの拡充」、「朝食や昼食後向けの新商品発売」、「コーヒー券の無料配布」といった具体策を打ち出している。
    「客数を増やす」という方針に集中するから、そのための「あの手この手」が充実する。ここまでやるか、というくらいにやれば、たいていのことなら成果は上がる。

    明確な方針を打ち出し、「選択と集中」を実現するには
    「選択肢」を挙げる必要がある。
    単純に「売上を増やす」ではなく、「顧客数を増やす」か「客単価を増やす」に分解することができなくてはならない。
    施策を打ち出すには、「顧客数を増やす」ための要素を分解し、挙げていく。その中で効果の高そうなものから順に選び、実行していく。
    そう考えると、「明確な方針を打ち出す能力」というものがあるとすれば、それは、本質を見極めたうえで成果を上げる要因を分析し、列挙し、評価する能力にほかならない。

     

    (170)企業に「適正サイズ」はない

    適正サイズを追求するのは、「都心で従来モデルのまま商売を続けると、いずれ固定費が収益を圧迫する慢性病に陥りかねない危険があるからだ」


    売上・粗利益が一定なら、固定費負担だけが増えれば利益は圧迫される。 そこで、固定費を減らすべく、適正サイズへとシフトしようというわけだ。環境が変われば、固定費も変動し、適正サイズも変わる。

    ある記事で挙げられている食品スーパーは、いずれも、従来よりも店舗を小型化する方向へ向かっている。固定費を減らすという観点では、当然のことだ。

    食品スーパーの場合、店舗のスクラップアンドビルドができる。だから、店舗を小型化しつつも、出店により、企業規模そのものは、拡大することができる。

    食品スーパーにとって、店舗は事業単位の一つに過ぎない。事業単位の適正サイズを追求するにしても、それがすなわち、企業としての適正サイズにつながるわけではないのだ。

    事業単位の適正サイズという概念はあっても、企業としての適正サイズという概念は、存在しない。「大きくするとつぶれる」のは、適正固定費サイズを超えた事業単位の存在を放置するからなのだ。

     

    (171)いかに分類の切り口をみつけるか

    ★小田急百貨店では、「重要度などに応じて売り場を3つに分類」するという。具体的には、自主編集売り場、一般的なブランド等の売り場、それらの中間的な売り場、の3つとなる。
    そして、自主編集売り場については正社員が、一般的なブランドについてはアパレルの派遣社員が、中間はそれらの混在となる。人件費の高い正社員は、最も利益率の高い売り場に集中させている。

    ビジネス戦略では

    原則として、資源を「強み」に集中させることで、最大のリターンを得ることを狙う。
    同じ量の資源を「弱み」分野に投入しても、得られるリターンは相対的に小さいと考えられるから。
     
    ★ごく当然の選択のようには見えるが、この戦略的意思決定を支える前提は、資源を投入する対象を的確に「分類」することだ。分類がしっかりと出来さえすれば、どのように資源を配分するかについては、教科書通りに行なえばよい。

    分類のヒントは
    「利益率」を見ていくことだ。利益率に明らかな差がつくような切り分け方をみつければ、それが分類の切り口になる。
     
    ★戦略の教科書は、資源配分にメリハリをつけろと教えるが、分類が既になされていることが前提で書かれている。理論を役立てるなら、まずは分類の切り口をしっかりとみつけることから始めなければならない。

     

    (172)仕事のインフルエンスを考える

    ★企業が店舗数の拡大や、システムの増強、ホテルの増築など、競争力や収益の向上を目指して取り組みを行う。しかし、何かを変えれば必ず、別の場所に影響(副作用)が出る。

    副作用のないよう、仕事を進める上で、常に3つのことを考えよう!

    「プロセス(手順・方法)」
    「プロダクト(目指す成果)」
    「インフルエンス(影響)」

    ★どうやってやるか、どのような成果を目指すのかを頭に描き、必死になって仕事に取り組んだものの、結果として、周囲に大迷惑をかけてしまうといったことがあるのだ。

    何をすれば、何が起こるか。それを考えることこそ、戦略発想の根本だ。それをどれだけイメージし、不具合の発生を事前に予防できるか。
    視野の範囲の広さが求められる。

     

    (173)客単価重視から客数重視に転換すべき

    経営における「戦略」の定義では
    戦略が決定された状態とは、経営資源の配分が決まった状態だと言える。「配分」だから、数値化や比率化ができる。
     

    • ◆たとえば複数の事業単位や商品群、あるいは顧客ターゲット層を持つ場合、それらへの売上構成比率をどのように設定するかを考える。比率の数値をみれば、何を重点としているかがわかる。
    • ◆売上以外に、人員構成比率にも戦略が反映される。人員のいわゆる「直間比率」をどうするかといった問題等は、根本にある戦略に基づいて決まる。
    • ◆資金の配分についても同様だ。手持ち資金のうち、何に対してどれだけ投資するのか。戦略の意思決定なしに、それが決まるわけがない。また、その配分が決まらないうちは、戦略策定が完了していないということにもなる。
    • ◆売上に絞って考えてみると、それは「客数」と「客単価」の掛け算になる。同じ売上を稼ぐにも、それらの組み合わせは無限にある。そこにも戦略が反映される。

    何を重視するのかは、まさに戦略の問題だ。結果として売上が同じなら、「客数」で稼ごうと「客単価」で稼ごうと、かまわないではないか、ということにはならない。

     

    (174)管理の単位を細分化

    ある程度の事業基盤と売上規模があれば、赤字を黒字化するのは、あまり難しいことではない。新規事業を首尾よく成功させる方が、よほど大変だ。

    要は、儲からないことをやめて、儲かることだけをやる。いわゆる「選択と集中」を図る。これもまた、戦略策定が求められる。華々しく成長発展の姿を描くことだけが戦略策定なのではない。

    「儲からないことをやめて、儲かることだけをやる」という赤字脱出のセオリーを実行するには、「儲からないこと」「儲かること」を区別できるように、管理の単位を細分化しなければならない。

    「どこから手をつけたらよいか、わからない」となるのは、実は、管理の単位が大くくり過ぎるからなのだ。しかし細分化することで、その「どこか」を明確にすることができる

    管理の単位を細分化することで、ドンブリ勘定では見えなかったものが、見えてくるようになる。
    「どこから手をつけたらよいか、わからない」のなら、まずは管理単位の細分化から手をつけること。

     

    (175)「言ってること」と「やってること」の不整合

    戦略を策定したら、それを実現するべく組織を構築します。

    しかし、組織が戦略に整合していなければ、その戦略は実現しません。

    経営者の"本気"さを感じる時

    本気で戦略を実現しようと思うなら、戦略に応じて組織を変えなければなりません。本気度が低いと、社内のさまざまな人間関係等のしがらみで、組織をいじることに躊躇してしまいます。

    言ってみれば、戦略は"建前"で、組織は"本音"です。

    戦略や組織といった言葉を使うと、何やら高級ですが、"建前"や"本音"の使い分けは、社会の至るところでみられますね。

    要するに、「言っていること」と「やっていること」が整合しているのか、という話です。

     

    ・業績が低迷/停滞する本当の理由

    「業績が不振だ」といくら考えてもその根本的な原因を理解しない限り業績の 改善は有り得ません。 では、その根本的な原因とは何か?

    答えは簡単です。創業当時からずっと同じやり方で商売を続けて いるからです。いかがですか?10年、20年前とずっと同じやり方 で商売を続けていませんか?

    残念ながら、これら時流によって出現する商売を妨害する壁は、これまでと同じ 商売のやり方ではクリア出来ないものなのです。

    "壁"をクリア出来ない理由

    • ・競合他社が自社のマネをしてどんどん出てくる ⇒自社の『強み』がどんどん薄れる
    • ・商品やサービスに慣れたお客様のニーズが多様化してくる
    • ・強力な資本や個性的なビジネスモデルを持った企業が他社を 引き離し始める
      (※二極化が始まる)
    • ・『商品その物』ではなく、『提案(力)』や『情報提供(力)』 という非常に抽象的なモノが重要になってくる
      (※お客様は商品そのモノではなく、"有益な情報"に価値を 見出すようになる)

    対策
    ・「今後、何を強みとして商品・サービスの訴求をしていくべきか」
    ・「競合企業とのバッティングを避けるために採るべき戦略は何か」を検討すべきである。

     

    ・地場工務店の生き残り策

    地場工務店の生き残り策として、フランチャイズに加盟する方策はありますが、加盟できる工務店はほんの一握りに過ぎません。 何故かというと加盟金だけでも500万円前後の出費が必要であり、地場工務店にとってけっして小さな金額ではありません。 ましてモデルハウスを建てるとなると数千万以上の資金が必要となります。

    よくある話が「リフォーム分野」への進出です。
    リフォームはリフォームで大手の建材メーカーや、最近ではホームセンターまでもが参入し、競争が激しくなってきています。

     

    住宅建築業界向けの事業再生対策として、新たなビジネスモデルを作って、厳しい企業の事業再生に生かそうと、取り組んでいます。

    そのビジネスコンセプトとは
    ・他社との違いを明確にし、差別化をアピールする。
    ・受注の為に無理な値引きをしないで、適正利益を確保する。
    ・厳格な工程管理により、資金繰りを楽にする。(運転資金が必要ない)
    ・営業活動を行なわない。営業職を必要としない。

    中小建設会社の問題点を逆手にとったビジネスモデルです。
    大手建設業者にはできない、地方には地方の、中小企業には中小企業の「やり方」ってありますよ。

     

    ・地方工務店のマーケティングとは

    ★ある地方工務店の社長が「最近、ローコストビルダーにやられちゃって。」と私に愚痴をこぼします。やっぱり大手には敵わないのか、とか、どうせ大量仕入でコストが安いんだろう、なんて"感覚"で考えている社長さんは少なくありません。
    もう少し相手を研究してみて下さい。決してあなたの会社が劣っている訳ではなく、広告方法など戦略が違うだけだと気付く筈です。

    ★敢えて苦言を言わせて貰えば、工務店はマーケティング調査が足りません。
    「この町は不景気で着工戸数が減ってしまって・・・」調べてみるとこの地域、過去3年間ほとんど新築着工件数は変わっていないのです!

    要は戦略に長けたローコストビルダー達に食われていただけなのです。
    環境のせい、他人(他社)のせいにしていてはいつまでも変われませんよ。

    マーケティングとは「売れる仕組み」と言い換える事ができます。
    売れる仕組み作りには、その地域の市場調査は不可欠だと言えます。
    私はコンサルティングを受けた場合、必ずそこから入ります。その地域を知り、ライバルを知り、己を知らなければ勝てる筈ありません。

     

    ・中小企業の再生のためには

    ★経営者自らがやる気を出し、自社の再生のために動くことができれば、その企業は再生に向かうことができるでしょう。経営者や、その企業の人たちだけで会社が再生できれば、これほどすばらしいことはありません。

    では、自己の力だけで再生に向かうことのできる経営者、できない経営者(=専門家の力を借りた方がよい経営者)は、どこで見分けることができるのでしょうか。

    経営者がやる気があるか + 経営者が数字を見ることができるか

    会社が厳しい状態、というのは、イコール資金繰りが厳しい状態です。
    やる気があるといっても、経営者が数字を見ることができる、つまり財務・会計が分からなければ、自社を再生させることは困難です。 資金繰り改善、損益改善のためには何をすべきか。経営者が数字にうとく、財務・会計が分からないのでは、資金繰り改善・損益改善のしようがありません。

     

    ・「借りられたのでなんとかなりました。」

    ★時折経営者から聞かれる言葉に、「借りられたのでなんとかなりました。」と言って連絡が途絶えてしまった企業の多くが、後に倒産しています。

    問題の解決策は「銀行からお金を借りること」ではなく「経営を大きく変えること」です!!

    たまたま銀行から融資が受けられたからといって、「借りられたからなんとかなりました。」と安心し、経営改革をやめてしまう経営者は、早晩、決定的な危機状態に陥ってしまうことでしょう。 経営者の、あの決意はなんだったのか・・・。あの時の決意を保っていれば、倒産することもなかったのに・・・。

    自社を再生できる経営者は、たまたま銀行から融資が受けられたのであれば、「借りられたからなんとかなりました。」というのではなく「今回借入できたのは本当に運が良かった。これが最後のチャンスだと思って、経営を大きく変えていかなければ。」と思える経営者です。

    厳しい状況の企業が、銀行から融資を受けられるのは、本当に運が良いことです。そこはゴールではなく、あくまでスタートです。そこで安心してしまうと、最後のチャンスをつぶしてしまうことになり、倒産へ突き進んでしまいますよ。

     

    ・管理者不在

    会社の規模が多少でも大きくなってくると、社長は社内の全ての業務にまで目を行き届かせるのは困難になるので、管理者をおく必要があります。それが、会社が個人事業状態から組織になっていく、第1歩なのです。

    • ◇管理者は、その管理する業務が問題なく行われるように管理し、また必要に応じて、その上司もしくは社長に、報告を行う必要があります。
    • ◇いろいろな業務において、その管理者を決めないでいると、はたしてその業務が問題なく、しっかり行われたかどうか、あいまいになってしまいます。
    • ◇管理者(=責任者)がいないため、問題が起こっても誰にも注意できない状態となってしまいます。

    管理者不在、ということから起こる現象
    ・いつのまにか売掛金未入金の総額がふくらんでしまっていた。
    ・会社として重要な資産である顧客リストが作られていない。
    ・いつのまにか横領が発生していて会社のお金がごっそり抜かれていた。

    こう考えると、管理者を決め、その管理者に権限と責任を与え、業務の管理をしてもらう体制をしっかり作ることは、会社の運営において大変重要なこととなります。

    社長が全てを見る、ということは、会社がある程度の規模になってくると絶対に無理です。社長は部下に権限・責任を委譲していって、自分自身は会社を伸ばしていくための仕事に重点をおくべきです。

     

    ・会社を再生させるための第一歩

    ★資金繰りが厳しく、緊急状態に陥るとあせりが出て、経営者として冷静な判断ができなくなってしまいます。

    そのような場合に、冷静さを取り戻すために、むこう6カ月~1年ぐらいの、月次資金繰り予定を、資金繰り表に書き出します。また月次資金繰り計画とともに、むこう3カ月ぐらいの、日次資金繰り予定も資金繰り表に書き出します。
    人間の心理として、見えないものに対しては恐怖心が湧いてくるからです。資金繰りの状況が目に見えるだけでも、心が落ち着いてきます。

    資金繰りをまわすためには、銀行の返済を止めるところからはじまり、それで足りなければ、税金や社会保険の支払いを止めることも行い、それでも足りなければ、経費類や買掛金まで手をつけていくことになります。
    そのように、数か月先の資金繰りが見えてくるようになれば、経営者はだいぶ落ち着きを取り戻し、前向きな気持ちになっていきます。

    会社を再生させるには、まずは何よりも、経営者が落ち着きを取り戻し、前向きな気持ちになれるかどうかが、第一歩となります。

     

    ・事業再生のために必要な経営者の資質

    ■経営者の資質「精神力」「判断力」と「リーダーシップ」

    「会社と社員を守り抜く」という強い精神力を経営者が持てるかどうかが、会社を再生できるかどうかの一番の要素であると考えております。

    優秀な社長さんの場合 ダメな社長さんの場合
    「精神力」「判断力」について・・・・
    • ・強い志を持ち、常にポジティブ(積極的)に物事を考えられる。
    • ・時間の大切さを知っているので、決断も非常に早い。
    • ・社員に対して信頼を置いている。
    • ・猜疑心が強く、社員を信用していない。
    • ・優柔不断であり、肝心の決めごとを社員任せにする。
      当然、決断を先送りにしがち。
    • ・苦言を呈する社員を遠ざけ、イエスマンしか近づけない。
    「リーダーシップ」について・・・・
    • ・社員のさまざまな意見を聞き、その情報をもとに分析し、的を得た的確な判断を下せる。
    • ・社内の規律は厳しく、信賞必罰。
    • ・モチベーションが高く常にミッション(使命)を持ち続けている。
    • ・会社の未来像が明確に示されていて、社員にやる気を持たせる社風がある
    • ・社長であることを鼻にかけ社員の痛みが分からない。
      また分かろうとしない。
    • ・社内の規則がなく、指示命令系統が徹底していない。
    • ・失敗を社員のせいにしたがるため、社員からの忠誠心も薄い。
    • ・社員にいらだった表情や怒声をあげる。

     

    ・数十年前会社を失ってしまった経験からの言葉

    実は私自身も数十年前までダメ社長さんの典型であり、数十年前会社を失いました。

    その時のすべてを失った喪失感・孤独感は、死に体と同然であり、まだ必死で企業再生のために戦っていた時の方がどんなに精神的に充実感があったかを全国の社長さんに分かってもらい、私と同じ過ちを繰り返してもらいたくないのです。
    好況期には頼れる精神力・リーダーシップをいかんなく発揮し、事業も順調に進んでいたはずなのに、時代も変わり厳しい経済環境の中で会社経営が悪化し始めると、守りの経営に慣れていないせいか、社長さんの10人のうち10人ともその精神力及び判断力が鈍ってくるものです。
    本当に社長さんは攻めには強いのですが、守りに対しては非常に弱くなってしまいます。
    また、社長さんを取り巻く環境は非常に厳しく、他人には言えない悩み・いらだち・孤独感にさいなまれ、「経営」という道から「焦燥感という非経営」の道に行ってしまうものです。
    そうなると、お客様や社員及び金融機関に対して、見かけの冷静さを保っていくことが精一杯であり、そんな状態で相手に弱みを見せてしまえば、今まで築き上げた会社が、さらに窮地に追いやられてしまう悪循環に陥ってしまいます。
    会社経営に窮した数多くの社長さんにお会いするたびに、私はこのことを感するのです。
    しかし、「なんとしても会社を守り抜いて見せる」という強い意志をもった社長さんの会社は、必ず 再び蘇り復活していくことができます。
    冷静に物事を判断し、「経営」という道の原点に立ち戻ってください。
    たとえば起業した時のポジティブに富んだ、前向きな気持ちを思い出して下さい。

     

    ・経営者のスケジュール

    私がいつも思うこと。それは、企業の1年後、3年後の姿は、経営者が、現在どのような仕事を行っているか、それに左右されるのではないか、ということです。

    現在どのような仕事を行っているか、それが分かるようにするためにまずやるべきことは、経営者が自分自身の行動記録をとること、です。

    例えば、

    仕組み 10:40 - 13:35
    13:35 - 13:45
    13:45 - 13:50
    職務権限一覧見直し
    電話打合せ・社員S
    電話打合せ・社員S
    新規B 15:00 - 18:00 原稿執筆 売上向上マニュアル
    マーケ 18:45 - 21:00
    21:00 - 21:25
    インポート作業
    電話打合せ・社員O
    マーケ 21:30 - 22:55 セールスフォース効率化
    マーケ 22:55 - 23:25 セールスフォース・「申込人立場」入力作業

    「仕組み」「新規B」「マーケ」の言葉の意味は、後ほど説明します。

    経営者の限られた仕事時間の中で、増やしていくべき仕事は会社を良くしていくための仕事、会社を伸ばしていくための仕事です。

    一方、減らしていくべき仕事は、日常業務、事務作業、などです。これらは社員に任せていきます。

    ★まずは1ヶ月間、経営者は行動記録をつけてみましょう。

    行動記録を付け続けるコツ
    1.行動を行ったら必ずその場で記録を付けること。
    2.1つの行動を始める時、終える時に、必ず時計を見ること。です。

    次に、過去1カ月間の行動記録を見直してみます。
    そして、その行動記録を分類し、どの分類に、どれだけの時間をかけたかを計算してみます。

    A.会社を良くする仕事、会社を伸ばす仕事 B.A以外の仕事
    • A-1 マーケティング
       → 上記のスケジュールで「マーケ」で表示
      (ここでは、見込み客を集客することにつながる仕事を言うのであり、決して自分が営業を行う仕事、つまりセールスのことを言うのではない。)

    • A-2 社内体制の仕組み作り
       → 上記のスケジュールで「仕組み」で表示
      (組織が機能していくための、組織作り、管理者養成、規程・マニュアルや申請書整備など)

    • A-3 新規ビジネスの構築
       → 上記のスケジュールで「新規B」で表示
      (次の売上の柱を立ち上げ、大きくするための準備作業)
    • B-1 申請書類の回覧など事務作業
    • B-2 メールチェック
    • B-3 弊社にくる営業マンから営業を受けること
    • B-4 見込み客や顧客と直接会ったり電話したりするなどの営業活動
    • B-5 講演活動
    • B-6 Aには結びつかない社内会議や打合せ(結び付く仕事はAの仕事とする)

    というように、分けています。みなさんも、AとB、つまり会社を良くする仕事、会社を伸ばす仕事であるか、そうでないかで、分けてみてください。
    言い方を変えると、Aは経営者が中心にやらなければできない仕事、Bは経営者でなくてもできる仕事、というように分けることもできます。

    そして、経営者の時間の使い方が、Aの仕事が多くなるように、Bの仕事が少なくなるように、していきます。
    「この仕事は自分(経営者)でなくてもできる仕事ではないか?」
    という視点で、過去1カ月の行動記録から、振り返り、そして次の1カ月に生かしていくのです。次の1カ月に生かすためには、次の1カ月の、スケジューリングを行うことが必要となります。

    またこれは、「経営者」の時間の使い方であって、「社員」の時間の使い方ではありません。
    「社員」は、Bの仕事が多くあるのが通常です。
    ただ、「社員」でもAの仕事が増えてくると、その会社は強い会社となります。経営者としての仕事ができる社員が増えてくることにつながります。
    社員がAの仕事で成果をあげてもらうことができるよう、経営者としては教育をしていくべきですが、どうしても不向きの社員もいますので、そのような社員はBの仕事をしてもらうことにより、会社としての生産性を上げていきます。

    ★とにかくまずは、経営者が行動記録をとり、自分の時間の使い方を、会社を良くする仕事、会社を伸ばしていく仕事にいかに注げるか、それを考えて実践していくと、その会社の1年後、3年後、その会社は良い方向に向かっていくことでしょう。

     

    ・あなたの会社の「体質」を把握できているか

    <財務診断でわかること>

    • ・資金繰り表によると、営業キャッシュフロー、営業収支はプラスなのだからリスケで資金繰りがまわることが明らか。
    • ・このままだと、会社の現預金は数カ月後には底をつくが、決算書から新規借入が無理なのは明らか。リスケジュールだけでなく赤字事業撤退を同時に進めることができれば、資金繰りのメドはつく。
    • ・事業の赤字を解消すべく、新規事業を計画しているものの具体的な計画、特に資金計画がないため借入はまず無理だが、資金繰り表によると、ひとまずリスケジュールで資金繰りを落ち着かせることはできる。

    あなたの会社にお金を貸している、銀行をはじめとする金融機関は財務分析で得られた情報をベースにするのか?
    財務分析は「一定のルールでつくられその会社に融資を行うかどうかを検討する、金融機関といった外部の組織、つまり社外の人間がその会社を知ろうとした場合、少なくとも当初の段階では最も客観性を有するからです。

     

    ◇決算書は過去の体質分析
    ◇試算表で現在の体質を分析
    ◇資金繰り(計画)表は将来を分析
    左記3点を揃えれば銀行対応は一通りできる、ということはおさえてください。

     

    ・業務の進め方、プロセスの改善でみえる経営改善

    収益改善には
    売上をあげるか?
    粗利率をあげるか?
    経費を落とすか?
    この3点が基本
     +  私どもが行う財務診断では、会社の体質を知ることだけではなく、業務の進め方、プロセスの改善まで分析するケースがほとんどです。

     

    業務の進め方、プロセスの改善がみえて、はじめて経営改善方法が現実化でき、手元の現金が減っている状況を止め、キャッシュを増やすにはどうすべきか?が見えるのです。

    業務の進め方問題点
    問い合わせ客や見込み客のフォローがまったくされていない 顧客の平均単価はどれくらい?
    顧客の取引回数は?
    返品やキャンセル率はどうなのか?
    また、前年度と今年度の比較、そして、全体を構成する中で占める割合等を答えられなければ調べてください。
    経費削減 仕入原価、部品組み立て(アセンブリー)外注費、ロジスティックなど、一度も見直しをしたことがなかったが、交渉したら簡単に値下げできたケースは、弊社の顧問先をみても、1件や2件どころではないんですね。

    ★業務プロセスの欠陥に気が付かず、長年染み付いた「体質」や「クセ」で集客に投資をしても、そこでコストかけて新たに獲得した問い合わせ客や見込み客の何割かは、気がつかない内に脱落させてしまっています。
    自社の問題点を発見し、経営改善計画書に盛り込み、実行に移さなければなりません!
     

    『経営者の心構え』

    (176)収穫までの時間差に耐えられる強い意志を持つ!

    夢や目標はきちんと努力を続けさえすれば、多少時間がずれる事があっても必ず実現できる。

    どんな仕事でもそうですが、利益を生み出せるようになるためには、一定期間努力を継続することのできる行動力と忍耐力が必要です。


    収穫が得られようになるまでの時間差に耐えられるには


    本人の口から夢を語る!

    夢を語られるようになったリーダーはどんどん強くなります。

     

    (177)年収アップへの道

    本気で年収アップを望む!

    • ・年収アップを決意し、目標を設定し、紙に書くこと。
      目標を設定し紙に書いて毎日眺めると、達成できる確率が上がる。

    • ・年収目標の棒グラフを作成。
      年度ごとに実績の棒グラフをその横に記入していくことで、年収の推移、年収目標の達成状況が一目でわかる。
      この年収棒グラフは自分自身を励ます材料に大いに役立つ。

    • ・そして、毎日毎日願い続ける。
      毎日トイレに貼り眺めるなど。

     

    (178)住宅建設会社・工務店の業績アップ・会社再生

    ■今こそパートナーシップを

    ★今後、新設住宅の着工が増え続ける可能性は低いです。何せ日本は、人口は減少し、高齢化が進んでゆくわけですから。そのようなマーケット環境の中、生き延びる術として、その地域のパートナーシップを考えてみては如何でしょうか。

    簡単に言うと「不動産」+「設計事務所」+「工務店」の組み合わせ。

    ★単に"売れれば良い"ということではなく、その地域の"まちづくり"を意識して、地元の事業者が連携するのは、その地域に住むユーザー にアピールする絶好の機会だと思います。

    なんとなく家を建ててきた工務店も、これからは「設計・施工」のうたい文句がアダになりませんか?
    建築士の先生も「独りよがりの設計」では食べてゆくのが大変では
     
    不動産屋さんも、単に「土地」だけじゃなく、付加価値が必要では?
    みなさんの"強み""弱み"を生かし、補いながら、ひとつの事業を進めてみてはどうでしょう。 その地域の活性化、発展につながる事業は、社会的な意義もあり、そのような社会貢献的事業をおこなっている企業こそ、永続が可能な 企業となるような気がします。

     

    2013年7月17日

    営業ノウハウ

    2013年7月16日

    マーケティングノウハウ

    (1)需要創造型マーケティングが成長のカギ

    日本経済が実質ゼロ成長に近い状態となり、多くの企業は先が見えなくなりつつある。しかし、目の前にある需要が少なくなるのを見て、早々に諦めてはいないだろうか。新たな分野に進出する方法もあるが、自社の本業やコア・コンピタンス(核となる技術)を捨ててまで業種転換しても意味がない。

    業界で勝ち残るカギは、潜在需要を開拓できるかどうかであり、もっと言えば「需要を創り出す」ことが必要になる。

    九州のある老舗菓子メーカーは、かつてバレンタインデーのお返しとして「ホワイトデー」を考案し、世に普及させたことで有名である。同社は主力製品であるマシュマロの販売を拡大するため、みやげ品以外で新たな 需要を創り出すことに成功した。


    直接的な営業力で売り込むより、エンドユーザーの拡大や囲い込みを図っていく方が、企業の成長や業績の安定化につながる例は多い。

    輸入大型バイクの専門ディーラーでは、ツーリング仲間のサークルを主宰して顧客を組織化した。またアニメキャラクターのプラモデルメーカーでは、映像コンテンツの配信を手掛けて顧客の裾野を広げている。


    需要創造型のマーケティングとは、決して難しいことではない。中長期的な視点からエンドユーザーの立場で考えれば、いろいろなアイデアが沸いてくるはずだ。

    あとはそれを実行に移せるかどうか。必要なのは「情熱と行動力」だけである。

     

    (2)自社の強みを活かす新マーケット・新顧客の創造

    ★なぜ新マーケット・新顧客の創造が必要なのか?その要因から探ってみたい。

    対外的要因
    1.何もしないと企業の寿命は30年
    企業および事業にはライフサイクルがある。何もせずに放っておくと、その寿命は30年程度(業種業態によっては10~20年)と言われている。故に生き残るには、時代の動向を見抜き素早く方向転換を行う、また目先のマイナスを覚悟して将来に対する布石を打つことが必要である。
    2.顧客の購買意識の変化
    大衆消費時代から高度選択時代へ変化している。とくに日本の消費者は、世界で一番厳しい目を持っていると言われるほどである。同じような品揃えやサービスでは顧客に逃げられてしまう。
    3.情報化社会の到来
    経済社会のあらゆる側面で情報化が急速に進んでおり、顧客の意識や価値観が多様化し、経済活動も高度化、複雑化している。

    社内的要因
    1.人材の流出
    人材スカウト市場が急拡大し、魅力的な企業を求めて人材が活発に移動している。そのため魅力的な事業・商品が求められる。
    2.後継者対策
    後継者がいない企業が増加しており、その原因として企業の収益力が低く、事業としての魅力が乏しいことが挙げられる。その対策として魅力的な事業・商品が求められる。
    3.社員の意識変化
    新しいマーケットを開拓することや新しい顧客を創造することにより、社員のモチベーション向上やその会社で働く誇りを持たせる必要がある。

    これらの要因により、新マーケット・新顧客の創造が必要になってくる。では具体的にどうすればよいかと言うと、まずは自社の経営資源を整理して「自社の真の強みを掴む」ことである。それを成長性のある新分野および顧客に提供するのである。

    自社の強みが「どんな所で使いものになるか、役に立つのかわからない」といった企業が結構多い。

    その場合、顧客に聞くのが近道である!

    「なぜ自社と取引きしてくれているのか、自社の強みが活かせる分野はどこなのか」を徹底的にヒアリングすれば、ヒントが見えてくるはずである。

     

    (3)社員満足度(ES)顧客満足度(CS)具体的には?

    ★CSもESも確かに大切なのはわかるが、運用面では残念ながら「お題目」に終わっている企業も多いのではないだろうか。今回は、CSとESの具現化に取り組んでいる加工・製造会社であるA社の取組み事例を紹介したい。

    1.CSへの取組み
    •  A社は売上10億円、従業員は40人といわゆる中小企業である。当然、大手と比べて技術力や設備、価格対応力には限界がある。しかしお客様に対して「安心して任せていただきたい」という思いから、次のことを完璧に実行している。
      •  (1)材料の仕入れ、加工、梱包の各過程で写真を撮り、細かく報告
      •  (2)現品よりも品質書類を先に提出
      •  (3)約束納期の1日前に納品
    •  これにより安心してお客様から仕事を任せていただいて、クレームがほどんどない体制が構築できている。

    2.ESへの取組み
    •  A社の事務所にはキッズ・ルームが備えられている。小さな部屋に簡単な設備がある程度で、子供に対する人が専属でいるわけではない。しかし手が空いた社員が相手をしたり、工場に引率して親が働いている現場を実際に見せたりと、できる範囲で対応をしている。この「手作り感」が好評で、配偶者が病気の時など多くの社員が利用している。

    CS、ESどちらの事例からも言える成功の要素
    「具体的な実行策を社員に明示する」
    「自分たちの身の丈にあった実行策にしぼる」
     

    ★ぜひ自社のCS、ESの具現化への着眼ポイントとして参考にしていただきたい!

     

    (4)性格かつ迅速な見積もり

    ★企業のトップを務めていれば、さまざまな場面で重要な経営判断を迫られる。
    そして多くの場合、十分な情報が手元にないまま、意思決定せざるを得ない。

    経営判断をする上で押さえておきたいこと。
    まずは計数情報はしっかりと押さえておく必要がある。儲かっているのかどうかがわかっていなければ、出費や投資をしてよいのかどうかもわからない。
    大体の「勘」で分かっていたつもりでも、数字という厳然たる事実を見せられて、唖然としてしまうこともあり得る。数字は、恐ろしいものだ。思い込みや先入観を捨てて、しっかりと対応しなければならない。
    自社の中で、どの商品・事業が儲かっていて、儲かっていないのかを知ることは、戦略を立てる上での基礎的な情報となる。これもまた、横着をせずにしっかりと検証する必要がある。

     

    (5)「価値」の裏側にある期待

    ビジネスに、とりわけマーケティングに取り組むのなら、顧客が自社の商品の何に対して金を払っているのか、よく見極めるべく考えておく必要がある。

    よく言われるのは、商品という「モノ」ではなく、そこからもたらされる「価値」や「便益」に対して対価を払っているということだ。

    とは言え、現実には、商品を購入する時点では、まだその「価値」や「便益」は実現していない。
    長年にわたりコンサルティングの仕事をしてきたので、それについても同様に考えたことがある。

    コンサルティングをしている時点では、その価値は、まだ実現していない。将来、きっと成果が上がるだろうという期待のもとに、料金を支払う。

    将来へ向けての「期待」への対価を支払うことがあるのなら、将来の「不安の解消」も、対価の支払い対象となる。

     

    (6)年商が1億円以下の企業の場合の立て直し方

    ★一番考えなければならないことは、いかに売上を増やすかです。

    ◇経費削減ではありません。そもそも、私どもにご相談にこられる企業のほとんどは、すでに経費削減はすでに十分すぎるほど行っているのです。

    では、どうやって年商1億円を突破するか。
    1.マーケティング力をつける。
    2.ビジネスモデル(勝ちパターン)を構築する。
    3.スポットの売上中心から継続的な売上中心にする。
    4.組織力をつける。

     

    1.マーケティング力をつける。 マーケティングやセールスの本をとにかく読みましょう。そして読んだだけではだめで、実践しましょう。自分の会社をだめにしている経営者を見ていると、とにかくマーケティングやセールスの知識がなく、「うちは人脈で営業している。」という答えが返ってくることが多いです。知識をつける、実践する、とにかくひたすらコレです。

    2.ビジネスモデル(勝ちパターン)を構築する。

    小年商企業を見ていると、勝ちパターンがない企業がほとんどです。勝ちパターンとは、例えば、この仕事では他社には負けない、この仕事は問合せが多いなど、その企業にとって売上の柱を作る、得意な仕事を言います。
    その得意な仕事と、その仕事をとるための見込み客集客からセールス、受注獲得まで、一つ勝ちパターンを作ってしまうと、その会社の売上は一気に伸びます。ちなみに弊社は、事業再生コンサルティングの見込み客の集客から顧問契約、その後のコンサルティングのやり方まで、一つのビジネスモデルを作り、そこからの売上が8割を占めます。

    3.スポットの売上中心から継続的な売上中心にする。

    小年商企業を見ていると、その特徴の一つとして、継続的な売上が少なくスポットの売上でつないでいる、というところがあります。 継続的な売上とは、例えばBtoCの会社では、インターネットショップがあってそこに継続的なアクセスがあり毎月一定の売上が入ってきたり、BtoBの会社では、定期的に一定の受注がある取引先を抱えている、という状態の売上を言います。
    継続的な売上のメリットは、一定の売上が計算しやすい、新規取引先を開拓するコストと時間がかからない、というところがあります。スポットの売上ばっかりだと、仕事がとれなければ売上0であり、営業を行い続けなければならずつらい、ということになります。いかに継続的な売上を増やしていくかが、売上を増やすポイントになります。ちなみに弊社は、顧問契約においての売上、面談相談においての売上、これらは継続的な売上となっており、9割以上の売上は継続的な売上、という状態です。
    4.組織力をつける。 このポイントは、個人事業から、「企業」に脱皮するにはとても重要なポイントです。簡単に言うと、社長が社員に、仕事を任していく、ということです。

    ちなみに私は、自分の仕事を

    • ・社内体制の構築
    • ・マーケティング活動
    • ・新規ビジネスの構築

    これだけに決めています。ここには、日常の業務、が入りません。
    社長が日ごろ得意先まわりを行う、経理や総務的な仕事を行う、というような状態ではだめです。なんでもやらなければならなくなり、すぐに社長はアップアップの状態になり、売上の伸びは止まってしまいます。社長の気持ちとしては「社員に仕事を任すより自分でやった方が正確だし早い。」となります。その気持ち、よく分かります。しかしそれでは会社の売上を増やすことはできません。社長は、社員に仕事を任せていかなければなりません。
    社長が業務を行っていくのではなく、組織で業務を行っていくのです。

     

    (7)ブランドコンセプトがぶれない

    ★事業戦略を考える際、まずは事業の「定義」を行なう必要がある。

    定義

    • 少なくとも3つの角度で考える。
    • 1.誰を顧客ターゲットとするのか
    • 2.そのターゲットにどのような価値を提供するのか
    • 3.そのターゲットにどのような仕組みで価値を送り届けるのかだ。

    特に重要なのは「提供価値」の部分
    顧客からみて十分に魅力的であることが必要だ。言い換えれば、それは事業の「コンセプト」

     

    コンセプトが決まれば、商品仕様や販売方法といったものも決まってくる。少なくとも、ちぐはぐにならないようにする必要がある。まずは「コンセプト」がぶれないことが、その大前提だ。

    「お得意様」すなわち「リピート客」を作る秘訣は
    「ブランドコンセプトがぶれない」
    「ターゲットを明確にする」こと。
     

    パークハイアットの例

    パークハイアットは、「最上のサービス」こそが顧客への提供価値、ブランドコンセプトだとしているわけだ。それが「ぶれない」ために顧客は安心できるし、従業員にも浸透、徹底できる。

    コンセプトがぶれないのは、顧客にとっても安心だが、それは従業員にとっても同様なのだ。 パークハイアットの支配人は、コンセプトがぶれないことにより「社員もじっくりと接客ノウハウを蓄積できる」としている。

    教育で人を育てるという考え方もあるが、人が育つ環境を整備することは、それ以上に重要だ。「ブランドコンセプトがぶれない」 ことは、その環境の基盤が安定していることを意味し、だからこそ人が育つ。

     

    (8)顧客コミュニケーションの目的とは

    ★現在、日本での多くの中小企業では<営業>と<マーケテイング>との区別が明確ではなく、見込顧客の集客から購入顧客への育成、販売までを営業担当者に任せており、マーケティング=集客設計を個別にきちんと行うという意識が低いのが現状です。

    今後のネット社会では顧客に発見される=検索される会社になることが集客戦略で重要となります。 その際、あなたの会社が今まで以上にWEBマーケティングを意識することにより、適切な人員の配置や有能な 人材を登用できるかが企業の命運を分けることになります。

    顧客コミュニケーションの究極の目的は
    ファン顧客をいかに多くつくるか
     
    ★ファンになるお客様をつくる仕組みづくりをするための、顧客コミュニケーションの方法について、以下に、その内容を記していきます。

    ■顧客コミュニケーションのポイント
    (1)顧客データベースを構築すること。(顧客名簿のことです。)
    (2)年間の顧客ごとの売上高のランキング表
    (3)顧客階層別のコミュニケーションの方法の設計

    これらが整備されることで、例として

    ・「A」という商品に興味を持った顧客へ、次回はそれに付随する「B」を案内する。
    ・自分用の商品を買った顧客へは、次回は贈答品としての購入を提案する。
    ・前回購入分が消費される前に、追加購入の案内をする。
    ・前回コンタクトしてから一定の期間が経過した時点で、案内や確認を送付する。

    ★このようなことが、「会社として」「漏れることなく」できるようになります。

     

    (9)顧客階層別コミュニケーションの設計方法

    一度でも購入歴のあるお客様をリピートする仕組みから考える。

    この仕組みがない状況で、新規の顧客を獲得しようとすることは危険です。
    それは、例えるならばバケツに穴が空いた状況で次々に水を注ぐのと同じことです。

    多くの会社においては、もっとも難易度が高く、コストのかかる「新規顧客」の獲得に多大な時間とコストと労力をかけてしまいます。

    ※一般には、新規顧客の獲得コストは、リピートの4倍から5倍、またはそれ以上のコストがかかると言われています。
    まずはリピートしてくれるお客様をつくることの重要性を今一度ご認識ください。
    集客戦略の中でも重要な見込顧客のフォローの仕組み

    見込顧客とは、商品やサービスなどに興味があるが、今すぐに買わないお客様のことです。
    通常の会社では売上が厳しくなると、今すぐに購入してくれるお客様を新規に求めます。

    これが多くの企業が陥るワナです。

    当然、今すぐ購入してくれるお客様はあなたの会社にとってうれしいことですが、その前に、抱えている商談の成約率や単価を上げることの方が成果は出やすいのです。

    では、どうすれば成約率が上がるでしょうか?

    これは恋愛に例えるなら、すぐに理解していただけると思います。
    ある男性が、ひとりの女性に恋をして、その女性とお付き合いしたいと考えたときに、関係性が深まるコミニケーションをするステップを踏まず、いきなりお付き合いしてくださいと告白をしたとしても、断られるでしょう。

    可能な限りのコミュニケーションを重ね、顧客との関係性を深めていかないとその次のステップには進みづらいのです。
    ※ある有名企業では、成約に至るまでの顧客とのコンタクト数は、7回とされているそうです。

    要するに、すぐに売上に結びつかない、将来の見込客を育てられるか。新規顧客の獲得よりも、見込顧客の育成が重要なのです!

    あなたの会社がこの見込顧客獲得を中心にマーケティングを行い

    集客戦略とは
    接点(メールアドレスなど)を獲得して、メールマガジン等を通じて自社の特徴やサービスの啓蒙とフォローを行いながらいかにその見込客に有益な情報を与える。
     

    さらには、購入頂いた顧客にリピートしていただき、ファン顧客になっていただく。

    • ①あなたの会社がこのことを理解できたら、まずはひたすら最初のお客様との接点の獲得(見込顧客獲得)に注力してください。
    • ②そして、多くのファン顧客をつくり、安定的にファン顧客が次のお客様を口コミなどで紹介してくれる勝利の方程式をあなたの会社に是非構築してください。

     

    2013年7月10日

    コンサルタントノウハウ(1)

    (1)ダメなコンサルタントは自分の利益優先

    私の経験上、まっさきにダメと思うコンサルタントは
    コンサルタントとしての自分の利益(儲け)には執着するが、クライアントの成果に関心のない(薄い)コンサルタントです。

     

    自社利益が優先のコンサルタントは
    • 私がこれだけの日数を割く必要があるので、これだけの金額が必要です(それで御社にどの程度の利益があるかは知りません)
    • 私のもつノウハウはこれこれのシステムで、これこれの手順によって進めるので、これだけの期間と費用がかかります(それで御社側の事情がどうなのか、適合するのかは、知りません)
    • 私のやったコンサルティングは正しいし、ちゃんと訪問してやっているので、私は間違っていないです(それで御社の社員が理解できて効果が現れて評価されているのかどうかは知りません)
    • 私のコンサルティングに文句を言う前に、おたくの会社に問題があります(最初からそれをわかって引き受けたのでは??)といった空気を醸し出しています。

     

    ×成果がでなかったりトラブルになったり立場が悪くなると、自己弁護、相手への攻撃に走る傾向にあり、注意が必要だと思います。
    ×また他方で、決まったパッケージシステムのように、手順が設されていて、かかる工数(原価)ベースに値づけされているサービスは、クライアントの事情を無視している場合も多いように感じます。
    ×経営コンサルティングに関しては、個別の企業事情やニーズがまちまちで、あまりパッケージが通用するとは私は思っていません(パッケージサービス自体を否定している訳ではありませんので念のため)。

    企業がコンサルタントに実際に要望していることを考えると、その分野で経験や見識のあるコンサルタントが、オーダーメイドで対応せざるを得ないのが現実だと痛感します。

     

    (2)にぶい人は社員でもコンサルタントでも食えない

    ◆にぶいタイプの人間
    • 勘の悪い・空気を読めない
    • 相手の気持ちを察知できない
    • コンサルタントとしてリーダーシップを発揮できない
    • プロジェクトを引っ張る力はない
    • どこかぎくしゃくした印象・妙なところに執着心がある

    このコンサルタントと自社の仲間として一緒に働きたいと思うか?と自問すれば明白です。

    ◆素晴らしい仕事をするコンサルタント
    • コミュニケーションの勘所がよく・センスを感じさせる
    • 手抜きせずおごることなく、勤勉な印象を受けます
    • クライアントの利益に関心が高く。自分がどれだけ貢献できるだろうか?自分のノウハウでどこまで高いパフォーマンス(費用対効果としての結果)を出せるだろうか?と真剣に向き合っていることが分かるでしょう

     

    (3)職業病と没個性

    コンサルタントに悪意はなくとも、知らず知らずのうちに、「手順どおりに」汎用をベースにした提案書を作って「思考停止」しているのではないか?と思われるケースにも遭遇します。

    シナリオをつつがなく消化することが目的化してしまっているため、やってみた結果、毒にも薬にもならなかったという感じでしょうか。

    決っして間違ってはいないものの、どの会社にも当てはまるようなことが延々と述べられていたり、ちょっと経営学を知っている人ならわかるようなことを新たに発見したかのように教えられても、その場にちょっと冷たい空気が流れるような感じがします。
    事前に調べればわかるような、そのクライアントの会社情報や、製品・サービスには関心が薄く、トンチンカンな質問をしたりして、担当者を静かに怒らせるような場面も何度か経験しました。

     

    手順や型にはまるあまり、クライアントの姿を「率直に」見つめることができなくならないように気えをつけましょう!

     

    (4)『講演のコツと文章のコツ』

    お話と文章の違いといえば、文章は考えながら書けますが、話は考えながらできない。 その代わりお話は文章ほど組み立てがシビアでないので、多少はなしが前後しても表情や音声で理解してもらえるという利点があります。

    講演にはコツがあるそうです。

    「結論から始めよ、短く区切れ、適当に間をとれ」

    これはそのまま文章のコツでもあります。 この3つを心がけるだけで随分読みやすい文章になります。

    講演でこの3つを守れば講師として十分活躍できるように、ビジネス書やその他の一般書であれば十分著者としてやっていけます。 つまり講演と文章は基本が一緒ということです。

     

    (5)営業の基本で営業効率を上げる

    私が顧客ゼロ、売上ゼロからの出発にあたって取った営業作戦「同行訪問作戦」の成功を支えた要因をもう一度整理すると、以下のようになる。

    • 1.自分の専門分野を明らかにしたこと。
      (初期の頃の私の専門分野は「人事評価制度と賃金制度の改革」と「幹部社員研修」だった)
    • 2.会計事務所の社員に自分の専門分野を繰り返しアピールしたこと。
    • 3.同行訪問してくれる社員、紹介してくれる社員のメリットを考えたこと。そして、同行訪問の機会を得たこと。(門前払いされない状況を作ったこと)
    • 4.お客様の相談に乗るという場面を数多く作ったこと。相談相手として認めてもらえる状況を作ったこと。
    • 5.面談時間の70~80%を聞き役に回ったこと。
    • 6.聞き役に回ることで、相談のポイントをつかんだこと。
    • 7.タイミング良く、適切な質問をしたこと。
    • 8.お客様の気持ちが十分に高まった頃を見計らって、お客様が決断しやすいように、取り組みの提案をしたこと。

    考えてみると当たり前のことばかりなのであるが、仕事の取れない人はこの逆をやっている事が多い。たとえば次のようなことをしている。

    • 1.自分の専門分野に集中してアピールすることをせず、「あれもできます。これもできます。」などと言って、結局何が得意な人なのか分からなくしている。
    • 2.自分のメリットばかりを考え、協力してくれる人、紹介してくれる人のメリットを考えていない。
      (だから人の協力を引き出すことができない)
    • 3.お客様から見た時に、相談相手ではなく、売り込みをかけて来る相手として見られるような言動をしている。
      だから、お客様は心を開いてくれない。結果として仕事が取れない。
    • 4.面談時間の50%以上を、自分が話している。(やっぱり売り込みになっている)
    • 5.相手の欲求中心ではなく、自分の売り込み中心で商談を進めようとしている。
    • 6.質問をあまりしない。従って、お客様の欲求をつかみきれない。そして、平気でピントのはずれたセールストークを使ってしまう。
    • 7.お客様がしらけていることに気が付かない。気持ちが全く傾いていないのに売り込もうとする。詳しく説明しようとする。(説明すればするほどお客様の気持ちは離れて行く)

     

    このようなことを無意識のうちに行っていないか、自チェックして欲しい。

    すべて基本的な事ばかりであるが、この基本ができているかどうかによって、営業の効率が大きく左右されることになる。

     

    (6)自分の怠け心を撃退する効果的な独り言

    私も普通の人間ですから、時々楽をしたいと思う事があります。

    • 仕事を後回しにしようかな
    • 今日はこのへんでやめておこうかな

    そんな時、自分を勇気付け、あとひと踏んばりさせてくれる効果的な独り言があります。

    「今やる、すぐやる、最後までやる」という独り言です。

    このセリフを何回か繰り返すと、なぜかもうひと踏んばりできるようになるのです。

      稼げる人は
    • ◇「仕事を後回しにしない」
    • ◇「仕事の処理スピードが非常に速い」という特徴があるように思います。

    経営コンサルタントは、次々に問題を解決していかなければならないので、仕事を後回しにしない習慣を身に付けておく必要があります。 仕事の処理スピードをもっと速くすることに挑戦して行く必要があります。

    今やる、すぐやる、最後までやる!

     

    (7)分かりやすく利用しやすいフロントエンドサービスを準備する

    経営コンサルタントは、お客様の置かれている現状を把握し分析して、業績アップの具体策をアドバイスし、成果を上げて行く実力が要求されます。自分自身の客数アップを実現できない人が、お客様の客数アップを指導できるでしょうか?

    まずは、自分自身の顧客数を増やすことを実現させて下さい。そのためには
    分かりやすく利用しやすいフロントエンドサービスを準備して下さい。

     

    具体的には
    • (1)セミナーを開催することが、フロントエンドサービスに該当します。
      あなたが最も得意な分野で、見込み客が集まりそうなタイトルでセミナーを行ってみて下さい。 参加客は少なくても構いません。全力でセミナーを行い、情報を提供すれば、徐々に顧客が増えて行きます。 もしも、参加者を集める自身がなかったら、少人数のスタディグループや企業別研修会の講師を 引き受けるようにしてみて下さい。 たくさん引き受けるようにすれば、徐々に顧客が増えて行くようになります。
    • (2)比較的安い料金(または無料)で利用できる「お試しサービス」も有効です。
      まずは、安い料金(または無料)で利用してもらってみて、気に入ったら使い続けてくれるように導いて行けば良いのです。

    分かりやすく利用しやすいフロントエンドサービスを準備し、たくさんのタネをまくようにして下さい。

     

    (8)お客様を増やすための前提条件

    お客様を増やすための前提条件
     
    「明るく元気に笑顔で人に接する」
    「自信を持って人に接する」

    という当たり前のことです。

    どの業界でもそうだと思いますが、何となく暗い感じのする人、何となく自信のなさそうな人には人を引き寄せる魅力がありません。

    その結果、新規のお客様を増やして行くことに苦労してしまうのです。

    自分自身の仕事の実績が十分でなかったり、十分な売上が確保できていないことなどが原因で、そのような雰囲気になってしまうのかもしれませんが、これは気を付けなければなりません。誰でも始めはゼロからのスタートです。

    日々明るく元気に笑顔で人に接するようにして行きましょう。

    日々仕事に打ち込み、特定の分野で絶対的な自信が持てるようになって行きましょう。

     

    (9)一生自分を使ってくれる経営者を大切にする

    どんなに一生懸命仕事をしても、顧客は永久に使い続けてくれる訳ではありません。
    たとえば、次のような時、顧客は取引の中止を伝えてきます。

    • 1.期待していたサービスが受けられないと顧客が感じた時(欲求が満たされない時)
    • 2.料金に見合う価値を提供してもらえないと顧客が感じた時(費用対効果が悪いと感じた時)
    • 3.新しく得るものがなくなったと顧客が感じた時(マンネリ化を感じた時)
    • 4.自分が求めているものとコンサルタントが提供してくれるものがずれてきた時(求める相手が違うと思われた時)
    • 5.根本的な相性が悪い時、考え方が違い過ぎる時

    取引が中止になってしまったら、取引が中止になった理由を反省し、自分自身をもっと鍛えてもっと高めて行くようにしましょう。

    そして、取引を続けてくれている顧客に感謝し、必ず報いるのだという決意を固め、仕事に打ち込んで行きましょう。

    • 1・良き経営者との出会いはあなたの人生を好転させて行きます。
    • 2・あなたを一生使ってくれそうな経営者がいたら、その経営者を大切にして下さい。
    • 3・その経営者に対する感謝の念を強く持ちましょう。
    • 4・その経営者の幸せを願って、そしてその企業を必ず成長発展させるのだという熱意を持って、今日も全力で仕事に打ち込んで行きましょう。

     

    コンサルタントノウハウ(2)

    (10)思考回路の軌道修正をする!

    ★コンサルティングや社員研修をしていて痛感することの1つに

    「思考回路の良し悪しによって、結果に大きな違いが生じている」ということです。

    業績を上げられない人、仕事でいい結果が残せない人のほとんどが、思考回路に多くの欠陥を抱えています。

    自分の将来を良くしたいと思うのであれば、自分の人生をもっと豊かにして行きたいのであれば、自分自身の思考回路をより良い思考回路になるように軌道修正をしなければなりません。

    思考回路に欠陥のある人
    • ●仕事がうまく行かない原因を経営環境のせいにしたり、他人のせいにしたりする傾向が強いのです。
    • ●ガンコで人の意見を素直に吸収できない
    その結果、いつまで経っても自分の思考回路を修正できずに、失敗を繰り返すことになります。
     

     

    思考回路が優れた人
    • ●思考回路の軌道修正とレベルアップに挑戦し続ける
    業績を上げ、仕事でいい結果を出し続けることになります。

     

    「自分の思考回路は業績アップを実現させる思考回路になっているのだろうか?」と..。再点検してみて下さい。

     

    (11)コンサルタントノウハウを伝える

    ◆コンサルタントとして世の中に自分の持っているノウハウを伝える機会は、さまざまある。

    簡便な方法としてメルマガやブログ、書籍などあるが。

    もっと深く理解してもらおうとすれば、セミナーのような場で伝えた方が効果的かも知れない。ライブ環境では、本には書けなかったような話もできる。

    そのノウハウを用いて成果を出して欲しいと願うのなら、やはり個別のコンサルティングが望ましい。本やセミナーでは、一般論しか伝えられない。

    コンサルティングでこそノウハウのすばらしさが伝わるのに、書籍だけで評価・判断されるのは不本意です。

    • ◆これは、コンサルティングだけのことではないだろう。 せっかくの商品・サービスが、本来とは異なる利用のされ方をして価値を発揮できなかったとしたら、非常に残念に思う。

     

    (12)あのダメ社長を何とかしてください!

    • ◇「この人が社長じゃ、うまく行くはずない・・」と、頭を抱えるコンサルタントのあなた!
    • ◇「自分はコンサルタントに向いているのか?」と不安を感じているあなた!

    コンサルタント人生の転機になる、"一生モノの気づき"があるかもしれません。

    • ・顧問先がどんどん増える!
    • ・自信を持ってクライアントを支援できる!
    • ・厳しい状況のクライアントにも、全力で取り組める!
    • ・経験に乏しい分野でも、軸があるから迷わない!

    魔法のようだけど、誰もが納得するコンサル方法論があるのです。

    打開策
    「自分がこの社長以上に本気になること」!!

    その社長がどんなに頼りなくても、命をかけて経営をしようとしているわけです。
    そんな人を「この人が社長じゃ・・・」などと評価する資格など、私にあるはずがないということを気づかされ、「私は本気で取り組んでいたか」を反省しました。

    そして、「私は本気であなたを応援する」という姿勢でその後お会いした結果、何かしら、今までに感じられなかった信頼関係を築くことが出来たように思います。

    「お前は今目の前にいるクライアント以上に本気か?」と..。問い続けていきましょう!

     

    (13)コンサルタントにおける支援 5つの発見

    企業にコンサルティングするときのコツ

    お客様の企業にはじめて行くときには、以下の5つの項目を見つけましょう。

    • (1)相手企業の長所を見つける。
    • (2)相手企業が自信を持っている部分を見つける。
    • (3)相手企業の伸びているもの、部分を見つける。
    • (4)時流にあっているものをその企業の中から見つける。
    • (5)(1)~(4)を見つけられない時には、その企業のお客様が求めているものを見つける。

    そして、この5つのうちどれかを発見することができたら、それを徹底的に伸ばすための策を提案し、実行してもらいましょう。これだけで企業の業績は上がるでしょう。

     

    (14)営業しないで顧問先を増やす仕組

    ★まずは、この流れを作ることが、「仕組で顧問先を増やす」ために必要なのです。

    • 1.ダイレクトメールでセミナーの集客を図る
    • 2.セミナーを行う
    • 3.セミナー参加者の中から毎月もしくは2ヶ月に一度集まる定期的な勉強会に入会してもらう
    • その中で、お互いのことを深く理解していく
    • 4.顧問契約につながる

    !今のプロセスの中で、「営業」は何もしていません。 また、「お願い」もしていません。
    積極的な会計事務所ほど、ダイレクトメールを送り、「成果が出ない」と悩みます。ダイレクトメールを見ただけで、お客様は「ここに顧問をお願いしよう!」とは思いません。

    セミナーでは、自分たちの持っているノウハウを提供し、毎月の勉強会ではお 互いの情報交換を通じてお互いのことを深く知っていく・・・その結果が顧問 契約につながるのです。

     

    (15)「うまくいく研修」と「失敗する研修」のポイント

    研修は当日だけでない!

    研修の成果・効果は、研修当日よりも、むしろその事前準備と事後フォローにかかっていると言っても過言ではありません。

    • 経営者にとりましては、お金と社員の貴重な時間を実務ではなく、研修に当てる訳ですから、非常に強い目的があります。 その片方で、受ける側には、「今、なぜそのような研修を受けなければならないのか?」という気持ちがあります。 まず、そこをクリアーすることが大切です。
    •  その為に、研修企画担当の皆様は、根掘り葉掘り、経営者から、その動機を具体的に聞き取る必要があります。 経営者が、「今、なぜ、何のために、誰に、どこまでのレベルアップを期待して、そのような研修を受けさせる必要を感じたのか?」ということです。
    •  そして、あなた自身が、同じ会社の社員として受ける立場にも立って、納得出来るかどうかです。 納得出来なければ、受講生を説得することは出来ません。納得出来ないのであれば、納得出来るまで、意見具申をし、つめる必要があります。
    • ②企画書を作成する為に大切なこと
    •  「研修目的達成のゴールを明確にする」ことです。
    •  その目的の為にどこまでのレベルに持ち上げられればいいのかということです。 この部分が非常に曖昧なケースが多々あります。それでは、企画内容が曖昧なものになってしまいます。
    • そしてもし外部講師を委託されるのであれば、事前に何度もやり取りをして、自社の風土に合うか、受講生と肌が合うか、自分達の研修目的を全うできそうかということを納得出来るまでやり取りをして、見極める必要があります。
      研修を実施してからでは間に合いません。
    •  出来れば受講生に事前に個別に会ってもらい、受講生のテンションやレベル等を把握した上で、研修に臨んでもらうように出来ればベストです。
    •  ある会社で、受講生への事前ヒアリングで、「私は惰性で仕事をしています」、「ウチの会社・部署は退職者が多いんです、それは・・・」、「私はあと1年勤めて、辞めようと思います」というような話しが続々と出てきて、「これでは研修にならない」と判断し、経営者にお願いして、「処遇の改善等」のお願いをしてから、研修をさせて頂いたことがあります。
      研修を受ける前に、「受ける気」になってもらうことが肝要な事例です。
    • 研修後、受講生は、レベルが上ります。従いまして、上司の皆さんには、事前にも事後にも、どのような研修を実施して、本人達がどのように受講し、どのような感想をもったかを必ず伝えて下さい。。
    •  それがいわゆる、結果的に受け入れ側の研修になります。
    • 出来れば受講生は研修後2週間~1ヶ月の間に、フォロー研修を行って下さい。

    そのことで研修効果やその持続性が上ります。

     

    (16)<社員研修のヒント>

    • 1.研修目的を出来るだけ明確にすること。
    • 2.受講者の立場で十分に納得してもらい「受ける気」にさせること。
    • 3.フォロー研修による効果の持続性に注意を向けること。

    『研修担当者として留意すべき4つのポイント』

    • (1)研修の目的を明確にする
    • (2)研修は上層部から実施する
    • (3)アクションプランを作成する
    • (4)研修の効果測定をする

    1.研修の目的を明確にする

    研修の開催にあたり、まず大切なことは、研修開催の目的は何なのか、何のために研修を実施するのかを明確にすることである。当たり前といえば当たり前だが、実際は研修開催の目的が曖昧なこともよくあることだ。 研修担当者は、日々忙しい社員を招集し、研修を開催するのだから、研修を開催することによって、受講者に何を修得させるのかを明確すべきである。

    ところで、「研修」の語源をご存知だろうか?
    その答えは「研修」を訓読することによってよくご理解いただけると思う。
    「研修」の「研」を訓読すると、「とぐ、みがく」と読み、「研修」の「修」を訓読すると、「おさめる」と読む。

    このことから「研修」の意味は、「研修」を受講することによって、自分自身を「みがき:研く」→ブラッシュアップ

    職場(仕事)で活用できる知識や技術を「おさめる:修得」→スキルアップ

    つまり「自分自身を『研』き、知識や技術を『修』得」するという意味であることが、ご理解いただけると思う。したがって、何のための研修なのかを、受講者や関連部署にしっかり伝えることが肝要である。

    2.研修は上層部から実施する

    昨年、国内の大手自動車会社で営業スタッフ向けの研修を相当数担当させていただいた。当初は、ちょっと伸び悩んでいる営業スタッフを対象に、実施する予定だったが、研修ご担当者様と関係各位のご判断で、営業スタッフに対して実施する研修と同じ研修を、まず管理監督者(部長クラス)を対象に実施することになった。

    これは、極めて異例のことだが、正しい判断だと思っている。研修で学んだことを社内に定着させるために、まず同じ内容の研修を上級管理者である部長クラスに受講させ、研修の内容を理解させるためだ。

    どういうことかというと、受講者は研修を受講することで、さまざまな気づき(意識改革)がなされ行動(行動変容)をしようと思ったとき、そのこと(研修内容)を管理監督者が理解していてくれるのと、そうではない場合では研修の効果に大きな差がでるのは当然のことである。

    組織変革のために、何か新しい血を導入したいと思ったら、まず上層部の管理監督者の研修からスタートさせるのが得策であろう。

    実際、管理監督者の研修が修了した後、営業スタッフに研修を実施すると、受講者の営業スタッフから、「今、先生が言ったことと、まったく同じことを最近部長が話していました」というようなことが、度々あった。これらのことからも研修効果が充分に証明されていると確信している。

    ★<ポイント>→組織を変革するには、まず上級管理者から研修をスタートすること

    3.アクションプランを作成する

    受講者に対して、研修の最後にアクションプラン(行動計画)を立案させているだろうか?

    研修は言うもでもなく、研修を受講することにより、職場内で何らかの実効性(実現性、有効性、効率性、費用対効果、生産性)等を向上させ、業績や利益を拡大するためのものである。

    したがって、研修を受講したけれど、思考も行動も今までと変わらなければ、業績が拡大することもなく、研修を受講した意味がない。 ならば、受講後「はい、これで研修を修了します。お疲れさまでした。」で終わらせることなく、研修で修得したことを職場で活かすための方策や手段である行動計画をしっかりと立案させるべきである。

    また、自分の部下がどのような研修を受講し、何を感じ、どのように行動変容しようと考えているのか、その内容を直属の上司も確認できるような仕組みを構築するのが研修担当者の役割である。

    ★<ポイント>→研修修了後はアクションプランを作成させ、必ず上司にフードバックする

    4.研修の効果測定をする
    研修ご担当者の中には、研修の効果測定はできない。と思っている方がいるようだが、とんでもない誤解だ。下記表はカールパドリックという研究者が提唱した研修の「効果測定のステップ」をマトリクスにまとめたものだが参考にしていただきたい。

    レベル1
    受講者のリアクション(反応)
    レベル2
    受講者のラーニング (学習)
    レベル3
    受講者のビヘイビア (行動)
    レベル4
    受講者のリザルト  (成果)

     

    以上を、それぞれ測定するための方法と、実施率を諸外国と国内で比較したものである。あるディラーで、レベル4まで実施した結果、研修効果はリザルト(結果)まで確実に影響を及ぶことを実証している。

    レベル      項目             方法            実施率外国  実施率日本

    レベル1  リアクション   アンケートetc     86%           77%
    (反応)

    レベル2  ラーニング     テストetc           71%           22%
    (学習)

    レベル3  ビヘイビ  ア   インタビュー
    (行動)                        360度診断etc     65%           12%

    レベル4  リザルト         実績比較etc       49%           7%
    (結果)

     

    (17)トレーナーズ・トレーナーが教える研修成功虎の巻

    ※"トレーナーズ・トレーナー"とは「研修講師を養成するトレーナー」です。

    1)「企業様が望まれる成果を出せる研修講師かどうかの9つの見分け方」
    • (1)ヒアリング時、今回の研修で出したい成果、予算、期間等、お客様の要望等を的確に質問し、確認しているか?
    • (2)ヒアリング後、要望に沿った研修内容を提案しているか?
    • (3)提案内容に更に要望、修正、改良を申し出た場合、きちんと柔軟に対応してくれるか?
    • (4)人柄・・・これは、判断が難しいと思われますが、ひとつの判断材料として"誠実=言ったことを実行する"かどうか?と人相がいいかどうか?(笑)
    • (5)実績があるか?
    • (6)研修後、お客様満足度調査をしているか?
    • (7)受講生が人間である(=体内リズム、感情がある)と認識して、受講生のペースにあわせて、あるいは受講生を引き込む講義を展開しているか?
    • (8)研修(投資)費用以上の付加価値をお客様に与えているか?
    • (9)研修後、リピート依頼が来ているか?

    2)費用対効果の提案

    研修の成果はどうやって計ったらいいのでしょうか? 私は、ひとつの判断基準として、研修後のアンケート調査、研修後の売り上げ等を参考にしています。

    1年間終了時、幹部の方々から感想を頂きました。
    今までだったら自分の実績になるから、2店舗同時に出店できるなら、後先考えず、無理しても2店舗出店していました。
    でも、先生の話を伺って、バランスや本当にそれが、店舗で働いてくれる人、地域の人に喜ばれるのか?と考えるようになり、新たに雇う人の生活状態・経済状態も考えたら、近くに2店舗出店するのではなく、1店舗にまとめて出店したほうがいいと判断し、社長にもそれで提案し、1店舗の出店にしました。

    あのまま、これまでのように、無理して出店していたら、2店舗ともつぶしあいになったり、あるいは、2つのうち、1店舗はうまくいかなかったと思います。
    1店舗あたりの出店費用は2000万円ですので2000万円の赤字を出さずにすんだと思いました。
    先生の講義は、これまでの幹部研修と違い、リラックスからはじまり、私にとっては考え方、判断の仕方が変わり、すごく良かった。会社にとっても良かったと思います。」とおっしゃって下さいました。

    また、1年間の密度の濃い研修の3ヵ月後、お客様の会社に伺ったところ、「はじめての女性幹部ということで、なりふり構わずやってきましたが、最近、心にゆとりが出来て、身なりも気にするようになって、楽しくなったし、慢性の人材不足もみんなで話し合って、新人を幹部が、それぞれのキャラクターを活かして、1ヶ月きめ細かくしっかりサポートするようになったので、突然辞める人がほとんどいなくなりました」と言う声を頂きました。新人研修は、とても長い時間がかかります。それだけ、費用もかかります。

    講師として、費用対効果的に、やっとほっとできました。

    3)研修講師に依頼される際に、期待できる効果を直接講師に尋ねる。
    しっかり答えられる講師があなたのご期待・ご要望に応えられる講師だと私は思います。

    4)研修の適正人数

    あくまで感覚値ではありますが、研修の形式によって以下のような考えることができると思います。

    講演形式               ・・・  何名でも
    ペアワークのみ       ・・・  50名まで
    グループワーク主体  ・・・  30名まで

    対象者の人数や期待効果などと併せて企画する時に考えてみてください。

     

    (18)「人災」

    最近の企業には「人災」でありながらそれに気づかず、外部要因に転嫁して何も手を打っていない企業が多く、しかも「人」が原因のことはタブー視されています。

    中にいると解らない、気がつかない事かも知れませんが、結果は利益を収縮させているのです。
    • ◎コスト計算の間違え
    • ◎甘い仕入れ
    • ◎経費の見方
    • ◎売りたいがための安売り
    • ◎商品の欠点を見つけられたり
    • ◎納期遅れの値引きなど
    • 「人災」によるマイナスは限りがありません。

    如何にこれらマイナス要因を見つけ、改善することに企業の収益は掛かっているのです。
    せっかく作った利益を「人災のマイナス」で失っていることを、企業は本気に考えましょう!

    「人の能力」「失敗」は直接言ってはいけない様な雰囲気が何処の企業にもあります。
    このことが大きなブレーキなっている事を見直さなければなりません。

    是非一度、社内に目に見えないマイナス要因が存在している「はず」と思って見直してみて下さい。

     

    (19)「うまくいく研修」と「失敗する研修」のポイント

    外食業や宿泊業から教育研修の依頼を受けた実績の中から、いくつかの事例を取り上げてみましたので参考にして頂きたいと思います。

    ◎事例:1

    洋食ファミリーレストランを10数店経営している外食企業様より店長を対象とした教育研修を依頼され、内容を伺いしましたら、社長から「うちの店長は計数が弱いので、計数管理を教育して数値に明るい店長を育成して欲しい。」ということでした。

    現在の管理状況や問題点を整理し分析すると、社長の考えとは違って、固定費が高く利益が出にくい体質になっていること。 その結果、店長のモチベーションが上がらず目標数値に到達しないことがより重要な問題であることが解りましたので、先の店長教育研修の内容を「店舗貢献利益を追求する店長研修」に変えることを提案し実施いたしました。

    *計数管理に明るい店長を育成することは、もちろん大切なことですが、モチベーションを高めることがより重要なことに気づいて頂きたい。

    *店長の計数管理は、管理可能費と不可能費や税務会計とは違う管理会計等を整理した上で、目標数値を設定して教育を実施しすべきだと思います。


    ◎事例:2

    和風ダイニングを中心に経営しているチェーン店からは、こんな研修の依頼がありました。「接客サービスをレベルアップし顧客満足度を高めたいので、パート&アルバイトに接客サービスの研修をして欲しい。」ということでした。

    現状の接客サービスを評価するため、主な4、5店を観察しましたところ、店長やホール責任者の接客サービスのレベルが非常に低いことに驚きました。従って、店長や責任者から教わって仕事をしているパート&アルバイトさんのレベルはおのずと低いとことが判明しました。

    後日、社長を連れだし自社及び同業他社の店舗クリニックをし、現状を正しく認識してもらって研修の内容を「店長及び社員の接客サービスレベルアップ研修」とさせて頂き実施いたしました。

    *帳票や部下の報告だけでは判断できないことが現場に埋もれています。

    *会社は社長の、お店は店長の器より大きくなりません。


    ◎事例:3

    ある地方でアパレル関係のお店を数店経営している社長様よりの研修依頼で、その町の中心街にある店舗を飲食店に変えたいので「店長と調理長を連れて東京の話題店舗の視察研修をして頂きたい。」という依頼でした。

    話題店舗をリストアップし研修に連れて行くことは簡単ですが、本当にそれで良いのか、リサーチが目的なら戦略を考える立場の社長や幹部が対象ではないのか、と説明し理解を求め、私と社長と幹部数名で東京、横浜の話題店だけでなく繁盛店や目立たないけど力のあるお店の視察研修をいたしました。

    その後、コンセプトを固めてイタリアンパスタ店をオープンし盛業中です。

    *メディアを賑わす時流に乗ったトレンド店に惑わされず、本質を見極めてください。

    *経営者は戦略志向で、店長は戦術志向で経営すべきだと思います。


    このような例が意外と多いのが現状です。教育研修することが目的の自己満足型でなく、実施後の成果が経営課題の解決に寄与してこそコストパフォーマンスが得られます。研修内容を事前に講師の方と良く打ち合わせをして、成果の上がる研修を計画してみてください。

     

    (20)「質問スキル」について

    ★今までいろんな企業のミーティングへの参加や、現場担当者へのヒアリングを何度も行ってきましたが、その中で実際にあったケースで説明します。

    <ケース①>
    コンサルタント :「売上確保のために、Aという打ち手はいかがですか?」
    現場担当者  :「それは昨年もやってみたのですが失敗に終わっています」
    コンサルタント :「うまくいかなかった原因は何ですか?」
    現場担当者  :「・・・」

    このような簡単なやりとりだけで、担当者のビジネススキルと、問題意識のレベル差が判るものです。この場合は要するに深く考えて問題解決をするという習慣がないわけです。

    このケースにおける問題解決の方向性は、うまくいかなかった原因を追究して「やり方を変えてみる」か、あるいは「別の新たな打ち手」を考えるといった2つの方向性があることは誰でも分かることなのですが
    日常業務の多忙さもあって、現場では実行できていなかったりします。

     

    この状態を放置すると、そもそも問題解決のために分析を行うというステップがないために、一回実行して失敗したものはそのまま放置して、常に別の打ち手に走る方向(つまり楽な方向)に流れてしまうので、やがて打ち手が尽きて八方ふさがりになる訳です。

     

    <ケース②>
    コンサルタント :「この事業を回していくうえで、システム面の対応はできていますか?」
    現場担当者  :「できていますよ。半年後にはそのシステムが稼動します」
    コンサルタント :「本当に半年後でなければ対応できないのですか?システム担当に確認
                            しましたか?もっと早く稼動させる方法を考えましたか?」
    現場担当者  :「・・・」

    これは他部門から受けた情報を鵜呑みにしているケースです。システムの稼動開始までにかかる半年というリードタイムに対して発生するチャンスロスの意識が薄く、力ずくでもいいからなんとかもっと早くシステムを稼動させる方法を考えようとしていません。

    以上2つのケースには経験が浅いコンサルタントが陥りやすいワナが含まれています。

    経験が浅い
    コンサルタント
    「それって本当?」といった視点で状況確認をすることに慣れていません。結果、相手の発言をそのままに捉えてしまい、打ち手の方向性がどんどん狂ってきたり、効果的な打ち手を見逃してしまって内容の薄い提案しかできなくなっていることがあります。

     

    ほんの少し深く質問することで
    • ◎過去に失敗した打ち手でも、やり方を変えれば充分に効果があるものや、努力すればもっと早く対応できるものを発見できる。
    • ◎ミーティングの最中に、突っ込んだ質問をしたら成果物の精度が高くなる。
    • ◎意外な発見がある。

     

    ・資金調達コンサルタントの限界

    ★「あなたの会社が資金調達できるようにします。」をうたい文句にして、資金調達を売りにするコンサルティング会社は、多くあります。

    しかし
    資金調達を売り物にするコンサルティング会社の弱点は、その企業が赤字が出たり、債務超過となったりする場合など、苦境に陥った時に、資金調達ができなくなることです。

     

    資金調達コンサルティング会社のイメージ

    企業の業況がまずまずの時
    通常の資金調達の可能性70%

    資金調達コンサルティング会社によって

    資金調達の可能性を80%へ
    企業が赤字や債務超過に陥った時
    通常の資金調達の可能性2%

    資金調達コンサルティング会社よって

    資金調達の可能性を5%へ

     

    • ◎中には、企業が赤字や債務超過に陥った時でも、資金調達の可能性を80%へ上げるコンサルタントもいますが、それは、決算書の偽造によって銀行を欺いて資金調達を行う、と考えて間違いないでしょう。
      コンサルタントでなく悪質融資ブローカーです。
    • ◎犯罪行為を犯さない、通常の資金調達コンサルタントは、赤字や債務超過に陥った企業で、資金調達を行うことは、95%(いやそれ以上)、無理なのです。

    そもそも、赤字に陥った企業は

    • ○赤字を黒字にする対策を行うことが問題解決策。
    • ×赤字を埋めるために資金調達を行うことはなんの問題解決策でもありません。
    • ◎資金調達コンサルタントを、業績がまずまずの企業が、資金調達の可能性を高めるために、活用するのはよいでしょう。
    • ×しかし、赤字や債務超過の企業が、資金調達コンサルタントをあてにするのは無理があります。相談する相手が違うのです。

     

    ・危機感のない経営者

    ★私の会社には、日々、厳しい状況に陥っている中小企業の経営者が、ご相談にこられます。

    私どもの相談員は、その企業の「ダメ」なところをどんどん突いていく、遠慮なしの面談相談を行うため、ほとんどの経営者は「このままではだめなんだ」という危機意識をいだかれます。

    会社の立て直しをどうやって行うか、話し合います。

    それを実行していくだけなのですが、

    危機意識が再び薄れてしまい、また基に戻ってしまうのです。

    自分の会社を厳しい状況にしてしまったのは、経営者自身です。同じことをやっていては、ますます厳しい状況になってしまい、いずれ会社は破綻してしまいます。
     
    経営者が180度、変わらなければならないのです。
     
    まずは、経営者の変革です。それができなければ、立ち直ることはできせん!

     

    ・状況は厳しいが誰も相談相手がいない・・・

    ★資金繰りが厳しく、将来の展望が見えないのに、相談相手が誰もいないのであれば、経営者としてとても苦しいでしょう。ただそれでも、全く相談相手がいないわけではないでしょう。

    相談相手には、次の人が考えられます。

    ・弁護士                                 ・コンサルタント
    ・税理士(顧問税理士)            ・金融機関
    ・取引先
    ・家族・親族・知人                    ・役員や社員

    1.弁護士 弁護士に相談すると、ありがちなのが「破産して楽になりましょう。」と、破産を勧められるパターンです。弁護士は、法律の専門家です。法律的にどうすればよいか考えてくれますが、ただ破産する前にやれることがいっぱいあるにも関わらず、一律的に破産を勧めがちなのが弁護士です。
    自分の会社をなんとか立て直したい経営者にとって、弁護士はよき相談相手なのでしょうか・・・
    2.税理士 ほとんどの中小企業には、顧問税理士がいます。顧問税理士は、自社の状況をよく知る立場にいます。そのため多くの経営者が、顧問税理士に相談します。
    しかし、税理士は税金の専門家、会計の専門家であって、資金繰りの専門家でもなく、銀行対策の専門家でもなく、会社再生の専門家でもありません。
    経営者が本当に相談したいことに対し、適切な答えを期待できるでしょうか。
    3.金融機関 あなたの会社に融資をしてくれている銀行などの金融機関は、言うまでもなく、あなたの会社の利害関係者です。
    なんとかしたいと相談すると、金融機関にとって最も損しない方法を、あたかもあなたの会社が良いように見せかけて、アドバイスしてきます。
    裏では、金融機関が損しないように、考えています。はたして金融機関は、相談相手としてどうでしょうか?
    4.取引先 あなたの会社の仕入先・外注先・販売先である取引先。取引先も、言うまでもなくあなたの会社の利害関係者です。特にその相談相手が仕入先や外注先であったら、売掛債権があなたの会社に対し存在するために、その仕入先・外注先が最も損しない方法を、考えるでしょう。
    当たり前です。相手も商売ですから。
    また、信用不安が起こりやすいのが、取引先からです。下手したら相談した取引先から、あなたの会社が厳しいといううわさを広められ、あなたの会社の信用不安が起こってしまいます。
    5.コンサルタント 「コンサルタント」と言っても、専門分野はいろいろです。マーケティングに強いコンサルタント、人事に強いコンサルタント、財務に強いコンサルタント等です。なんでもコンサルタントに相談すればよい、というものではありません。まずはそのコンサルタントが、何に強いのかを見る必要があります。
    資金繰りが厳しい中小企業であったら、資金繰りに強いコンサルタント、会社再生・事業再生に強いコンサルタントが、適した相談相手となります。
    6.家族・親族・知人 家族・親族であれば、よほど仲の悪い相手でないかぎり、経営者であるあなたの相談に、親身になって答えてくれるでしょう。厳しい状況である今こそ、家族・親族の団結が必要です。
    しかし、資金繰りが厳しい状況でどうやって問題を解決するか、その家族・親族は経験あるでしょうか?相談相手が知人であっても、同じことが言えます。
    7.役員や社員 役員や社員は、自分の会社が倒産してしまったら収入がなくなることもあり、一緒になって問題解決を考えてくれるでしょう。
    ただ、資金繰りが厳しい状況でどうやって問題を解決するか、その役員や社員に経験はあるでしょうか?
    また、絶対に信頼できる人でないかぎり、自社が厳しい状況を他の社員に漏らし、そこから社内の士気が一気に下がることもあり、注意が必要です。

    このように、厳しい状況に陥ってしまった経営者にとって、相談相手として考えられる人は多くあれど、一番相談すべき相手として考えると、どの相手も一長一短があります。

    ※私どもは企業再生コンサルタント会社であり、厳しい状況に陥った中小企業経営者から毎月多数の相談をお引き受けしておりますが、相談相手として良い、と思うのであれば、ご連絡ください。

     

    ・企業再生・事業再生

    建築会社再生の話なんですが、今までの借り入れが年商規模まで膨らみ、自力再建が困難になったケースです。

    こうなると私的整理、法的整理(民事再生法等)を問わず、スポンサーが必要となってきます。

    スポンサーには事業会社もあれば、再生ファンドもあります。
    どちらにしても、金を出して貰うからには"口も出される"のは覚悟しなければなりません。

    しかし、その事を理解できない経営者が少なくないのです。

    • ◎もちろん事情は様々でしょうが、そのような事態になったのは、少なからず社長の経営が間違っていたからであり、経営責任は取らなければなりません。
    • ◎それでも中小企業の場合「社長が居てこそ」的な意味合いから、経営者が続投することは珍しくありません。

    それでも勘違いする社長が出てくるのです。

    我々コンサルタントがスポンサー候補を探してきても、あれは嫌だ、これは嫌だ、と言い出す社長がいます。

    本来なら自ら再生計画の陣頭指揮を執り、スポンサーにプレゼンし、頭を下げてお願いする立場にあるハズですし、そうすべきです。

    しかも、こういう社長は事業再生計画書なんか見ちゃいません。経理が作った計画書を、我々と一緒に始めて見ているなんて、珍しくありません。

    そういう会社の場合、スポンサー候補も次々と辞退してしまいます。
    スポンサーは慈善団体ではありません、投資家なのです。

    ×そうなると幾ら優れた技術があり、優秀な社員が居ても「企業再生」は叶わないのです。
    まずはスポンサーを必要とする事態にならないようにするのが大事です。
    しかし、そのような事態になった場合、社長自らが変われないと、経営者の地位だけじゃなく、手塩に掛けた事業そのものを失います。

    外部に経営的なアドバイスを求めることになった場合には、社長が「自分から変わる覚悟」をもって下さい。

     

    ①銀行から聞かれたことのないことを聞かれた

    ★中小企業経営者の方からご相談いただいていて、よく質問されるのが、 「融資を受けている銀行からこんなことを聞かれたんだけど、銀行は何を意図しているのか?」

    例えば、今まで言われたことがないのに、次のようなことを銀行から言われた場合、

    ○最近の試算表を提出してほしい。
    融資先の最近の業況チェックのために、銀行は融資先企業から、定期的に試算表の提出を受けてそれをチェックしようとします。
    試算表を今まで提出していないのであれば、その方が珍しいことなのです。
    融資を受けている銀行に対して、銀行から言われなくても試算表を出すと、銀行からの信頼は高まることでしょう。
    ○他銀行の借入明細を見せてほしい。
    他行がどのように融資をしているのかを見ることは、銀行員にとっては基本中の基本と言えるぐらい、重要なことです。
    他行は融資を絞ってきているのか、もしくは他行は積極的なのか。
    他行が積極的に融資を出しているのならまだしも、融資を絞ってきているのなら、その企業の資金繰りは厳しい方向に向かい、要警戒、ということになります。
    他行の借入明細はどうなのか、時系列で見てどうなのかは、銀行が融資先企業に、当たり前に聞くことなのです。

    経営者としては「銀行は何を考えているのだろうか・・・」と、疑心暗鬼になってしまいがちですが、たいていの場合は、銀行が知っておくべき、当たり前のことを聞いているだけ、ということです。
    不安に思わないで、正々堂々と答えましょう。

     

    ・再生できる企業、再生できない企業の見分け方とは?

    ★私が、資金繰りが厳しい中小企業経営者から「はたして私の会社、再生できるものでしょうか?」とよく相談されますが再生できる企業、再生できない企業の判断基準は

    本業の事業自体で利益が出るかどうか、せめてトントンかどうか、です。

    企業において、現金預金が外に出ていく原因は、大きく分けて次の2つです。

    1.融資の返済    2.事業の赤字

    融資の返済について

    事業がトントンもしくは黒字の企業であれば、事業で稼ぐ利益以上の融資返済があれば、現金預金は毎月、減少していくことになります。 その場合、定期的に銀行から融資を受けて、現金預金の量を回復させなければなりません。

    しかし業況の悪化などで銀行から融資が受けられない企業では、資金繰りはまわならないことになります。その場合、とるべき手段は銀行と交渉して融資の返済を毎月0円近くに抑えること、いわゆるリスケジュールを行う必要があります。

    そして、融資の返済が0円近くになった企業は、融資の返済で現金預金が外に出ていくことはなくなります。
    資金繰りがまわらない状態から、まわる状態への転換です。これは何より、経営者の心に余裕を持たせることになります。こうなれば、心に余裕を持つことができた経営者は経営改善に力を入れていくことができるでしょう。
    事業の赤字について

    一方、事業が赤字の企業。リスケジュールを行うことによって融資の返済で現金預金が外に出ていかなくなっても、事業の赤字で現金預金が外に出ていってしまえば、毎月、現金預金が減少していくことになります。

    事業を見直し、黒字化、せめてトントンの状態にまでしなければなりません。
    こう考えると、再生できる企業、再生できない企業の見分けかたは、

    現状、事業が黒字もしくはトントンであるかどうか、ということになります。


    ここで気がつくのは、受けている融資の金額が大きいとか、融資の返済ができないとか、そういうことは、再生できる企業かどうかの判断基準には関係ない、ということです。

    あくまで、事業が黒字もしくはトントンか。現状赤字であれば、改善努力によって事業がトントンまでもっていけるかどうか、です。

     

    ・講演からわかること

    ★講演後のアンケートでは次のようなご指摘をよくうけます。

    「話の中でアー、エーが多い。」 →私はアー、エーでごまかすことが多かったので、意識して言わないようにしました。
    「もっと具体的事例を盛り込んでほしい。」 →確かに、具体的事例を入れていかないと話に説得力がないので、講演の構成を考えるときに、ここで何を言おう、という具体的事例を用意しておいて、話を引きつけられるように心がけるようにしました。
    「講演の中で、基本的なこと、当たり前のことを話していることが多いように感じる。」

    「私どものコンサルティングでは、経営における基本的なこと、例えば毎月試算表を作り数字を把握し経営に生かしていくことや、きちんと営業活動を行うこと、これら経営を行っていく上で当たり前にできなければならないことができていないところをできるようにしていくスタンスをとることが多いため、私自身が、講演において、その感覚で基本的な内容を中心に話してしまっている。」

    「一方で、講演、特にお金を払ってまで講演を聞きにくる方は意識の高い方が多く、経営の基本は当然やっているので、もっと深い話を聞きたいのではないか。」

    講演を聞きにくる方


    しっかりした経営ができているため、資金繰りにおいても万全であり、外部のコンサルタントは特に必要としない。

    ここから何が応用できるかというと、経営者として自分の会社を良く経営していくには、経営について高い意識をもって、自己流ではなく、本を読んだり講演に参加したりして勉強を積み重ねていくのと、勉強したことをすぐに実践していくべきではないか、そういった経営者の会社は、良い経営となりやすいのではないか、ということです。

    経営者として重要なのは、投資→リターンという意識。
    例えば3万円の講演があったら、それを「費用」と思わず「投資」として意識し、その3万円の何十倍、何百倍ものリターンをもたらすぞ、ということを思える経営者が、成功するのではないでしょうか。

     

    ・ビジネス書出版の注意点

    ビジネス書はそのテーマに応じて温度差はあるものの、日常のビジネスシーンで起こりうることに焦点を当て、そのソリューションを記しています。

    一冊の本で扱える問題と示しうる解決策には限りがあります。一方、発生する問題は千差万別、解決策はケースバイケース。

    しかし、一般に日常発生する問題のほとんどは限られたケースで占められます。したがって、この限られたケースに対する解決策さえ示されていれば、日常のビジネスには十分役立つことになります。

    もし発生件数の90%が10種類のテーマでしかなく、残り10%の中に90種類のテーマがあったとしたら、ビジネス書が扱うテーマは初めの10だけです。残りの90テーマはより高度な専門書の分野になります。

    したがって

    ×めったに起こらない問題を念頭に置き、議論を複雑にしたり語尾に懐疑を滲ませたりすることは、却って読者の理解を妨げ実用に適さないものとなりビジネス書としては扱いかねます。

    問題を明確に設定し解決策をきっちりと言い切ることが、ビジネス書には特に重要なポイントなのです。

     

    ・言い切るためには

    断定することには大なり小なりリスクがつきまといます。といって逃げてばかりでは読者も聴衆もつかめません。言い切る覚悟が必要です。

    言い切るためには


    「やったことがないことについて意見を言うのは心もとない。だからやったことのあることだけを話すことにした。講演のときは自分の体験を基に話す。

    「聞いている人にとって自分の体験が参考になるかどうかはわからないが、自分としては根拠のあることなので言い切るだけの自信はある。

    他所の会社に行ったときは、状況が違うわけだから自分の経験がどこまで通用するか見通しがつかず一層不安だ。
    しかし、同じ人間のやること、それぞれの局面では大きな違いはない。自分にも似たような体験はなかったか、思い出してみれば必ずどこかで似たようなことがあった。それが根拠になる。まったく経験のないことならわかりませんといえばいい。

     

    2013年2月 8日

    記事のタイトル

    新規で記事を書きます。

    2013年2月 7日

    企業遺伝子再生ワークショップ

    どんな企業にも良いところはあります。御社特有の強みを再発見し、次代を見据えた変革を促します!!

    日本の中小企業は年々減少を続け、事業主の平均年齢も50歳代後半と高年齢化しています。事業承継ならぬ事業主承継の問題は深刻です。一方では、グローバル経済の進展やインターネットに代表される情報化社会は益々進展しています。ビジネス環境が激変する中、従来の枠組みを取り払った新しいビジョン、新しいリーダーに託された、新しい経営が求められています。
    継続経営で培われた経営の遺伝子DNAを、時代変革に順応させるプログラムです。

    2013年1月30日

    新着コラム

    企業経営に役立つ情報やノウハウなどをお届けします。

    円滑化法終了に向けての出口戦略プログラムNEW

    コンサルタントノウハウ-1NEW

    私の経験上、まっさきにダメと思うコンサルタントはコンサルタントとしての自分の利益(儲け)には執着するが、クライアントの成果に関心のない(薄い)コンサルタントです。


    コンサルタントノウハウ-2NEW

    コンサルティングや社員研修をしていて痛感することの1つに「思考回路の良し悪しによって、結果に大きな違いが生じている」ということです。


    マーケティングノウハウNEW

    需要創造型マーケティングが成長のカギ。日本経済が実質ゼロ成長に近い状態となり、多くの企業は先が見えなくなりつつある。


    営業ノウハウNEW

    問題解決能力を身につけるための質問。説明不足から起こる問題が多く見受けられるものです。


    経営ノウハウ-1NEW

    迅速な行動、顧客へのサービス、実効性のあるイノベーションの実現こそが重要である。しかし、こうしたことは、社員全員の関与・確約(コミットメント)なしには、決して実現されないのである。


    経営ノウハウ-2NEW

    近年、「業績先行管理システム」導入の支援協力に携わることが増えてきた。先行管理とは、正確に先を読み、早く手を打つことである。先行管理の考えが定着した企業は強い。


    経営ノウハウ-3NEW

    B部長が就任した事業部は大赤字であり、部下全員が目標から逃げ、モチチベーションが低下していた。また会社のお荷物的な事業部であり、社長ですら「B部長でダメなら撤退しようか」と考えている状態であった。


    経営ノウハウ-4NEW

    経営方針とはあるべき未来を実現するために、この1年の戦い方を共有すべきものである。不透明だからこそあるべき姿を明確にし、組織に活力を与える必要がある。


    経営ノウハウ-5NEW

    成功イメージを明確にする重要なこと 1.成功したい理由、2.成功したときに得るもの(お金、名誉、地位、車、ブランド等)、3.成功する時期(2007年4月とか自分が37歳になるまで等)


    財務ノウハウ-1NEW

    ★中小企業経営者の方からご相談いただいていて、よく質問されるのが、「融資を受けている銀行からこんなことを聞かれたんだけど、銀行は何を意図しているのか?」


    財務ノウハウ-2NEW

    1.銀行の担当者の話では、経常収支を非常に重視しているということですが、経常収支と営業キャツシュフローとどういう違いがあるのですか?


    財務ノウハウ-3NEW

    貸借対照表においては、右下にある「純資産」がプラスでなければ、融資を受けられる可能性はほぼ0になります。


    財務ノウハウ-4NEW

    あなたの会社を担当する銀行員が仕事ができる人かどうかをどう見分けるか。問題は、その担当者が、「仕事ができる」人か、「仕事ができない」人か、それにより、あなたの会社において、影響が出てくる、ということです。


    財務ノウハウ-5NEW

    リスケジュールのタイミングをどう判断するか。リスケジュールにおいて重要なのは、そのタイミングです。このタイミングは、早すぎても遅すぎてもいけません。


    財務ノウハウ-6NEW

    銀行が融資審査を行う時に、その企業がどのような事業を行っているか、は融資審査において重要なことの一つです。以下の事業を行っている企業は、銀行は嫌って、融資を出すことはなかなかないでしょう。


    財務ノウハウ-7NEW

    ある銀行で借入(運転資金)があり、この不況で返済が苦しく、利息のみの返済をしておりましたところ、あるときに「信用保証協会にまわす」といって、銀行員は用意しておりました利息を受け取らずに帰りました。


    2013年1月29日

    CNCとは

    企業にとって、今は乱世です。激変する経済環境の下で、企業はいり機で生き抜き、そしてGoing Concern!未来永劫継続して存続しなければなりません。
    そのためには、「強い企業」でなくてはならず、「あるべき企業像(ビジョン)に立ち向かう強い意志」が必要です。

    しかし、経営の現場では、やるべき事ができていないケースが非常に多く見られます。CNCは、そんな企業ニーズに対応するために生まれた現場感覚を大切にしたプロのコンサルタント集団です。

    経営の原理原則を身につけ、企業の「全体最適」を実現する実践ノウハウを持った各専門分野のスペシャリストが、総力を上げて経営課題を解決し、【創業支援】【再建・再生支援】【成長拡大支援】【事業継続支援】から【経営基盤の構築】を実現します。

    2013年1月28日

    経営支援

    タイトル 概要説明 対象者
    BSCによる経営基盤構築 企業ビジョンの実現・目標の達成を目指し、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点の4つの視点から戦略を策定し、PDCAサイクルを回して経営基盤を構築する法を習得していただきます。 経営者・経営幹部・管理職
    自社の方向性の「見える化」 世の中の状況を見極め、自社の能力を客観的に判断して、自社の進むべき方向性を見つけ出す方法を習得していただきます。 経営者・経営幹部・管理職
    社長よ、腹をくくれ! 経営の真髄を見抜き、抵抗に屈することなく、自らの信念を貫き通す本物の経営者が企業を引っ張る。現状打破を心から願う経営者に送る熱いメッセージ 経営者
    取締役によるマネジメント経営 経営者の参謀である取締役の条件、ミッションと役割及び責任、取締役による経営戦略等、真の取締役としての押さえるべき着眼点をわかり易く解説します 経営者・経営幹部
    ビジネスプラン作成実務 経営計画は、経営者の意志に「期限と金額をつけること」。それには自社の「あるべき姿」を描く。あるべき姿と現実のギャップを埋めるための計画が経営計画である。経営計画作成上の留意点をわかり易く解説します 経営者・経営幹部・管理職
    経営基盤構築セミナー 景気不景気に関わりなく着実に成長している企業の共通点は、「経営理念・ビジョン・経営戦略・中期経営計画」が明確で、それに基づいて社員のやることが経営方針に落とし込まれ、社員の日々の行動まで徹底していることです。本講座は、「経営理念・ビジョン・経営戦略・中期経営計画」の経営基盤の構築を目的としています。 経営者・経営幹部・管理職
    経営理念の作り方 企業という組織に集まった人々は、考え方や能力はすべて異なります。このような様々な人が集まる組織に強固な1本の串を通し、結束させてゆくための土台となるのが経営理念です。すべての企業活動の原動力、行動指針となる経営理念作りをサポートします。 経営者
    倒産回避法 倒産寸前まで追い込まれてしまった企業が再生するにはどうしたら良いか。資金繰りが苦しい企業が資金繰りを一気に楽にするにはどうしたら良いか。会社が危機的状況に陥らないためにはどうしたら良いか。この研修は、一般の研修と違い、講師自身が再生現場で取り組んできた企業再生の実務をお伝えします。 経営者・経営幹部
    倒産寸前から立ち直れる土俵際セミナー 本講座は、資金繰りをうまく回していく方法、資金繰りを一気に改善させるリスケジュール交渉ノウハウ、リスケ後も経営改善しない場合どうすべきか、追いつめられた企業の生き延びる方法、会社の建て直し法、緊急時の資金調達、銀行に自分の会社を良く見せる方法、不動産を他人に渡さないテクニック、会社を倒産させる経営者の特徴、粉飾決算をやっている会社が知っておくべき事、資金繰り難・会社再建の相談相手、倒産寸前の企業が生き延びるためには等の内容で、実際に倒産寸前から脱出した実務内容をお伝えします。 経営者
    "脱・資金調達難
    ~どんぶり勘定・ハッタリ・勘のずさんな経営体質による借金経営から科学的経営へ~"
    "建設市場の「エリアレス化」、金融機関からの「淘汰の波」、これらの問題を乗り越えなければ企業の存続は難しい。今こそ「建設経営・再生」に動き出さなければなりません。 建設業における改善のキーワードは「原価管理」ですが、その管理方法についてその特徴を正しく理解して、原価管理システムを構築しなければ、効果的には機能せず成果も上がりません。本講座は、「管理の利益」の追求で「建設経営の体質改善」による安定経営を目的としています。講座内容は、すべて再生現場実例を題材にしており、座学ではないことを理解して受講ください。本講座は、経営者自ら戦うことにより甦る建設業のための講座です。" 建設業経営者・経営幹部

    経営支援

    タイトル 概要説明 対象者
    経営基盤構築 3~5年後の経営計画(数値・戦略・戦術)はできていますか? 経営計画は会社のあるべき姿を実現するための道しるべとなるものです。あるべき姿への到達アプローチとして、経営計画が必要になります。また、作成した経営計画をモニタリングする体制を構築し、社内にPDCAサイクルを根付かせることにより、会社の発展の可能性を見出し、的確な方向づけを行うことができるようになります。 社長の思いを実現できる経営基盤の構築をご支援をいたします。 経営者・経営幹部・管理職
    事業承継 企業経営者に求められる大きな役割として、企業の存続が重要です。事業を後継者に引き継ぐには、いろいろと手法が考えられます。 事業承継は急に準備して間に合うものではありません。長期的な視野に立った事業承継をお手伝いいたします。 経営者
    企業再生 受注低迷、利益幅減少、赤字決算、債務超過、資金ショート。企業倒産はなるべくしてなる。このような倒産に至る各段階で手を打つ事が大事。現実を直視する勇気をもって、早く手を打つべきである。再生の絶対条件はスピード。事業力・財務力・組織力・意思決定での経営革新プログラムにより再生脱出のご支援を致します。 現状打破を心から願っている経営者
    先行管理体制構築 企業の体質強化には先行管理が必須である。ただ数値管理や財務手当をしただけでは会社は上向かない。体質強化のための先行管理・キャッシュフロー経営の手法を伝授いたします。 経営者・経営幹部・管理職
    予実管理 予算数値は、立てれば良いというものではありません。予算は達成して初めて成果となります。予実管理の目的は、会社の経営状態を管理し経営をコントロールすることであり、経営問題と経営課題を解決し、企業のあるべき姿を実現する為の経営管理の仕組みです。予算達成のために、戦略や活動の修正を行うPDCAサイクルを廻すまでの仕組み構築をお伝え致します。 経営者・経営幹部・管理職

    経営支援

    タイトル 概要説明 対象者
    経営者養成講座 本講座では、戦略経営、戦略マーケティング、戦略財務、戦略法務、戦略人事・組織、戦略オペレーション、戦略情報システム、戦略リーダーシップの全8科目の講義を受講します。並行して、希望者には各種分析レポートを提示及び貴社の経営戦略策定サポートを致します。 講義でインプットした知識と分析レポートを活用します。 経営者・経営幹部・管理職
    経営コンサルタント養成講座 本講座の目的は、経営コンサルティング事業成功のためのノウハウ・営業のしくみづくり・失敗しやすいポイントの事前把握・開業後の人脈やネットワークづくり、コンサルタントと実務家の違いやコンサルティングの商品・スキル・ツール、顧客獲得のマーケティング等を習得頂き、コンサルタントとしての経営基盤の構築です。 経営コンサルタントを目指す方

    財務

    タイトル 概要説明 対象者
    融資獲得に有利な決算書作成 銀行が貸したくなる決算書へ貴社の決算書を変貌させるコツをお伝えいたします。 経営者・経営幹部・管理職・財務経理部門
    思うように資金調達をする方法 銀行の貸し出しの仕組を知り、銀行折衝力を向上させるヒントをお伝えいたします。現状の銀行の置かれている環境もお伝えいたします。 経営者・経営幹部・管理職・財務経理部門
    リスケからの復活 金融円滑化法により、全金融機関でリスケへの対応が緩くなっています。しかしながら、リスケは経営課題の解決にはなりません。リスケからの脱出方法をお話しいたします。 経営者・経営幹部・管理職・財務経理部門
    キャッシュフロー経営に転換せよ 売上重視の経営は「勘定あって銭足らず」の状況を作り出す。健全経営はキャッシュフロー経営である。キャッシュフロー経営における戦略的資金調達の手法をわかり易く解説します 経営者・経営幹部・管理職・財務経理部門
    財務管理の重要性 「財務管理」とは、資本の調達と運用の計画を立て、統制すること。企業経営上、財務管理の知識は不可欠です。会計処理業務、債権・債務管理業務、資産・資金管理業務、管理会計業務、予算管理業務等の財務管理業務における重要ポイントをわかり易く解説します 経営者・経営幹部・管理職・財務経理部門
    決算書分析のポイント 経営者・経営幹部が決算書を読めなくては経営はできない。貸借対照表(B/S)損益計算書(P/L)キャッシュフロー計算書(C/F)の簡単な分析方法から会計事務所の職員として知らなくては仕事にならない決算書・附属明細書の読み方、税務申告書の活用法まで、決算書分析のポイントをわかり易く解説します 経営者・経営幹部・管理職・財務経理部門
    ノウハウ本には書いていない節税方法 間違った節税をしている会社が多いのをご存じですか?この研修は、①節税していないまたはできていない会社②やるべき節税方法を間違えている③節税したのにお金が増えない等の企業に対して「節税の目的は会社に残るお金を増やすこと」をテーマに、なるべく専門用語を使わず理解しやすいようにお伝えします。 経営者・経営幹部・管理職・財務経理部門

    財務支援

    タイトル 概要説明 対象者
    財務改善 売上が伸びているのに一向に利益が上がらない・・・こんな悩みをお持ちではありませんか?財務の考え方を根本から変える必要があるかもしれません。 ポイントはキャッシュフローと損益分岐です。この2点を意識した財務体質に改善していきましょう。銀行の担当者が重視するのもこのポイントになります。 経営者・経営幹部・管理職・財務経理部門
    資金調達支援
    (間接金融)
    貴社のビジネスの継続性・成長性を維持していくために、メインバンク含め貴社のお付き合いのある金融機関(ノンバンク含む)からの事業資金の調達をお手伝いいたします。 金融機関はどこにポイントを絞って企業を見ているのか?金融機関が使う各付けを上げるためにはどうすればいいのか?資金を調達するための事業計画とは?金融機関対策を具体的にご支援いたします。 経営者・経営幹部・財務経理部門
    資金調達支援
    (直接金融)
    銀行借入に依存しない、直接金融(株式・社債)による資金調達方法が多様化しています。財務体質も改善し、企業成長戦略に非常に有効な資金調達をご支援いたします。 経営者・経営幹部・財務経理部門

    業務改革

    タイトル 概要説明 対象者
    業務改善/改革 現状の業務には多くのムダが潜んでいます。このムダが潜んだまま、業務の効率化を実行しようとしても、思った成果を出すことはできません。 経営目標を達成するために,業務内容やその流れ(ビジネス・プロセス)を分析し最適になるように、業務内容や業務の流れ、組織構造を分析、最適化することをご支援いたします。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員
    食品衛生の7S 食品業界では、消費者の「食に対する安全・安心」志向に如何に対処するかが問われています。 企業風土として品質管理に対する責任感や遵法意識が根付いていない企業は生き残れません。 食品業界がやらなければならない「食に対する安全・安心」を実現するための仕組みつくりをご支援いたします。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員

    業務改革

    タイトル 概要説明 対象者
    業務改善の進め方 業務改善の基本を学び、自ら問題を発見でき改善を実践できる力を身に付けていただきます。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員
    食品衛生の7S 食品業界がやらなければならない「食に対する安全・安心」を実現するための仕組みつくりを身に付けていただきます。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員
    ABC/ABM ABC(Activity Based Costing)とは、ビジネスを細分化し、活動ごとのコストを分析・評価する手法です。ABCを実践して、無駄な業務を削減し、業務を最適化する方法を習得していただきます。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員

    マーケティング

    タイトル 概要説明 対象者
    商品戦略 貴社の既存の商品・サービスはマーケットニーズに合致していますか?新規事業の計画は市場で本当に必要とされているものですか? 商品開発は、明確なマーケティング戦略が必要です。ブランディング・チャネル戦略を活用し、市場で勝てる商品・サービス開発をご支援いたします。        経営者・経営幹部・管理職・一般社員

    営業支援

    タイトル 概要説明 対象者
    営業活動の「見える化」の実践 営業業務の標準化を図り、営業業務の「見える化」することにより営業活動の効率化を図る方法を習得していただきます。 経営者・経営幹部・営業部門長・営業部員

    営業支援

    タイトル 概要説明 対象者
    営業活動の「見える化」 営業業務の「見える化」により、営業業務の標準化を図り、営業メンバー間のコミュニケーション能力向上や顧客との折衝能力向上、営業業務の効率化をご支援をいたします。 営業部員

    マネジメント

    タイトル 概要説明 対象者
    企業におけるリスクマネジメント実務 リスクマネジメントを組織内で実践するために必要なのは、経営トップから従業員一人一人に至るまで、リスクマネジメントを正しく理解し、その必要性を認識することです。この研修においては、リスクマネジメントを正しく理解すること、リスクマネジメントが必要とされる時代背景をしっかりと認識すること目的としています。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員
    リスクマネジメント実務 企業全体として管理すべきリスクの優先順位付けを行い、経営計画にリスク対策を組み込み、企業収益を最大化するための統合リスクマネジメントを行う管理職を養成します。また、リスクマネジメントの必要性を理解し、現場で実践する基本的知識を習得します。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員
    基本動作の徹底による社風構築 仕事のミス・クレームの原因は基本動作の欠落にあり、「基本動作」の徹底でほとんどの問題は解決されます。基本動作の徹底によりお客様や自分の周りの人々に感動を与えることができ、職場の空気が変わり、それが業績向上にも繋がります。その「基本動作」を体質化することによって、社風の構築をすることが狙いです。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員
    会議改革 "そもそも会議とは、どのような場なのでしょうか。結果を出すことが会議のあるべき姿であり、議題を会議時に初めて上げるようなことでは結果は出ません。本講座は、結果が出せる会議構築をし、会議改革から会社改革へのアプローチを身に付けて頂きます。 " 経営者・経営幹部・管理職・一般社員

    マネジメント

    タイトル 概要説明 対象者
    営業マネジメント 営業部門の責任は、売上金額ではなく受注時利益です。この受注利益を獲得するための管理の仕組みの構築ををご支援いたします。 経営者・経営幹部・営業部門長
    原価管理 会社の経費の中で1番大きい、また1番削減できる原価。この原価管理の取り組みによって利益は大幅に改善できる。現実に改善した実例をふんだんに織り込んだ内容を徹底公開。 経営者・経営幹部・現場管理者
    財務管理 財務管理は、資金の流れに即して企業経営の管理を行うものであり、日常の経営活動から得られる資金で廻すのが本来の姿です。営業情報、現場情報から資金繰り安定のための仕組み構築のご支援をいたします。 経営者・経営幹部・財務管理者

    人財育成

    タイトル 概要説明 対象者
    実践ロジカルシンキング ロジカルシンキングの手法を身につけ、「考える力(思考力)」と「伝える力」を身に付けていただきます。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員

    人財育成

    タイトル 概要説明 対象者
    ロジカルシンキング どんなに知識を詰め込んでも、「考える力(思考力)」が不足していると実践の場(業務)で活かすことができません。ロジカルシンキングの手法を身につけ、「顧客との折衝能力向上」、「業務の効率化」を実現することをご支援いたします。 経営者・経営幹部・管理職・一般社員

    IT化支援

    タイトル 概要説明 対象者
    プロジェクト管理 スケジュール管理、コスト管理、契約管理などの作業を担当し、貴社のプロジェクト管理を支援いたします。 システム開発プロジェクトのお客様側のプロジェクトマネージメントに参画します。開発ベンダーからの成果物のレビューやスケジュール管理などを行うことにより、リスクや問題点を早期に発見し、その解決をご支援します。 プロジェクトメンバー
    IT化企画 ビジネス環境の変化を的確に捉え、最適な業務プロセスの構築から、システム導入効果を最大化するIT化の企画立案をご支援します。 経営者・経営幹部・管理職

    2013年1月26日

    機能・目的別

    弊社が支援させていただきました実績の一部を、機能・目的別に紹介いたします。


    業界・業種別

    弊社が支援させていただきました実績の一部を、業界・業種別に紹介いたします。


    機能・目的別 一覧

    経営支援

    ・大手広告社...社内ベンチャー分社設立の事業プラン作成及び上場支援

    ・建築工事業会社...設立支援~経営顧問

    ・管工事業会社...経営再建・再生~5か年計画による分社化支援及び経営基盤構築支援

    ・大手商社グループ...日本版SOX法対策支援プロジェクト

    ・不動産販売会社...財務体質強化支援及び事業計画書作成支援

    ・建築・設備・内装業会社...経営再建・再生

    ・土木工事会社...組織風土診断及び組織活性化支援

    ・運送会社...資金調達支援及び経営再建・再生

    ・食品加工販売会社...新工場新設に伴う設備投資に関する事業計画作成支援

    ・木材全般・住宅総合資材・設備機器卸売会社...経営基盤構築支援

    ・紙卸会社...経営再建・再生~経営基盤構築支援

    ・金属加工工作機械製造会社...経営基盤の見直し~経営基盤再構築支援

    ・一般貨物運送会社...潜在的経営課題抽出と事業計画・アクションプラン策定支援

    ・冷凍食品製造会社...財務基盤強化及び経営基盤再構築支援

    ・染織・藍染加工製造会社...中期経営計画策定支援~経営基盤構築支援

    ・酒類・食料品販売会社...経営再建・再生

    ・食肉加工卸売業...経営再建・再生

    ・一般貨物運送業...経営再建・再生~5か年計画による分社化支援及び経営基盤構築支援

    ・Web制作会社...外部人材の請負契約の適正化支援

    ・中古車販売会社...資金調達支援及び新事業部立ち上げ支援

    ・飲食店経営会社...店舗別財務体質強化。新業態出店支援

    ページトップ

    財務支援

    ・不動産販売・建築会社...資金調達支援及び財務体質強化支援

    ・中古車販売業...資金調達支援

    ・飲食店運営業...資金調達支援

    ・システム開発業...資金調達支援

    ・躯体工事業...資金調達支援

    ・不動産業...資金調達支援

    ・生鮮品販売業...資金調達支援

    ・環境プラント設備業...資金調達支援

    ページトップ

    業務改革

    ・衛生設備会社...成果主義導入による業務改革

    ・運送会社...経営再建・成果主義導入による業務改革

    ・食品会社(海外)...食品衛生の7S導入支援

    ・電子部品製造会社...間接業務の業務改善

    ・電化製品総合商社...成果主義導入による業務改革

    ・コンサルティング会社...オフショア開発先の調達・運用支援

    ページトップ

    マーケティング

    ・大手コンサルティング会社...自社の顧客ニーズ発掘共同取組

    ページトップ

    営業支援

    マネジメント

    IT化支援

    ・大手総合燃料商社...ERP導入のPMO支援

    ・電子部品製造会社...生産管理システム導入支援

    ページトップ

    人財育成

    その他

    業界・業種別 一覧

    サービス業

    ・大手広告社...社内ベンチャー分社設立の事業プラン作成及び上場支援

    ・大手コンサルティング会社...自社の顧客ニーズ発掘共同取組

    ・Web制作会社...外部人材の請負契約の適正化支援

    ・コンサルティング会社...オフショア開発先の調達・運用支援

    ・飲食店経営会社...店舗別財務体質強化。新業態出店支援

    ・飲食店運営業...資金調達支援

    ページトップ

    製造業

    ・木工加工業会社...経営再建・再生

    ・金属加工工作機械製造会社...経営基盤の見直し~経営基盤再構築支援

    ・染織・藍染加工製造会社...中期経営計画策定支援~経営基盤構築支援

    ・電子部品製造会社...間接業務の業務改善

    ・電子部品製造会社...生産管理システム導入支援

    ページトップ

    運送業

    ・運送会社...経営再建・成果主義導入による業務改革

    ・運送会社...資金調達支援及び経営再建・再生

    ・一般貨物運送会社...潜在的経営課題抽出と事業計画・アクションプラン策定支援

    ・一般貨物運送業...経営再建・再生~5か年計画による分社化支援及び経営基盤構築支援

    ページトップ

    流通・小売業

    ・木材全般・住宅総合資材・設備機器卸売会社...経営基盤構築支援

    ・紙卸会社...経営再建・再生~経営基盤構築支援

    ・中古車販売会社...資金調達支援及び新事業部立ち上げ支援

    ・中古車販売業...資金調達支援

    ページトップ

    金融業

    不動産業

    ・不動産販売会社...財務体質強化支援及び事業計画書作成支援

    ・不動産業...資金調達支援

    ページトップ

    IT

    ・システム開発業...資金調達支援

    ページトップ

    商社

    ・大手商社グループ...日本版SOX法対策支援プロジェクト

    ・電化製品総合商社...成果主義導入による業務改革

    ページトップ

    設備業

    ・衛生設備会社...成果主義導入による業務改革

    ・環境プラント設備業...資金調達支援

    ページトップ

    食品

    ・食品加工販売会社...新工場新設に伴う設備投資に関する事業計画作成支援

    ・冷凍食品製造会社...財務基盤強化及び経営基盤再構築支援

    ・酒類・食料品販売会社...経営再建・再生

    ・食肉加工卸売業...経営再建・再生

    ・食品会社(海外)...食品衛生の7S導入支援

    ・生鮮品販売業...資金調達支援

    ページトップ

    建設業

    ・建築工事業会社...設立支援~経営顧問

    ・管工事業会社...経営再建・再生~5か年計画による分社化支援及び経営基盤構築支援

    ・建築・設備・内装業会社...経営再建・再生

    ・不動産販売・建築会社...資金調達支援及び財務体質強化支援

    ・土木工事会社...組織風土診断及び組織活性化支援

    ・躯体工事業...資金調達支援

    ページトップ

    その他

    ・大手総合燃料商社...ERP導入のPMO支援

    ページトップ

    2013年1月25日

    株式会社ホクリツ加工様

    昨年、当社は2年越しの不動産不況に加え、リーマンショック後の経済の落ち込みにより売上は半分以下となり会社をどのように存続していくか悩んでおりました。

    そんな時澤田研究所の澤田先生を紹介してもらい、会社の存続と立て直しについて相談しました.。

    先生は会社は決して潰してはならない事、 又経営者のやる気があれば立て直しは必ず出来る旨の話をされました。 私は早速コンサルタント契約を結び先生の指導の下、私1人の 判断ではなかなか断行出来なかった資産の売却、金融機関の預金の取り崩し、借り入れの1本化等々の改革でスリムな体質に改善されました。

    又、先生の提案で新事業の立ち上げも始まりました。それを本業と共に車の両輪にして立て直しにまい進してまいります。

    平成22年5月21日
    株式会社 ホクリツ加工  代表取締役 竹内修一

    株式会社アシスト東経様

    澤田先生に指導頂くようになってもう五年が経ちます。
    当時の弊社は、売上は伸びていたのですが利益が出せない状況でした。

    またそれまでの私の会社経営が間違っていなかったか、これからどう修正しなければならないのかを外部の方に診ていただきたいという思いもありました。

    当初、お二方を紹介していただきました。面談の後、どちらが弊社に合っているのか私に合っているのかを考え、共に歩む関係が築けると感じた澤田先生にお願いすることにしました。
    当時の弊社は会社の目標も給与体系も売上重視でした。
    澤田先生の指導は原価意識を全社員に持たせ、ベクトルを合わせ、成果(結果)は全社員で責任を分かち合うというものでした。

    それまで何気なく仕事をしていた社員が目的を持って仕事に取り組むようになり、私自身も目標とその結果を追い続ける重要性に気付かされました。
    取り組みの成果はすぐに表れました。今の経済状況でもなんとか二年後のことが考えられるのも澤田先生の指導のおかげです。

    現在も「経営基盤の構築」に取り組み中です。十年後のアシスト東経がしっかり地に足をつけた企業となるために基礎を築いていこうと考えています。
    もう少しの間澤田先生の力を借りながら社会に還元できる企業を目指します。

    平成22年6月2日
    株式会社 アシスト東経  代表取締役 橋本周二

    大協和工業株式会社様

    澤田先生とは知り合ってから7年になります。

    以前の弊社は売上結果重視の経営を続けていたのですが、先行管理とキャッシュフロー経営の重要性を先生から徹底的にご指導して頂き、古い経営体質を改善することができました。

    また、経営課題の抽出と、目標必達へ向けてのマネジメントの策定。予実評価の徹底(PDCA)など、いままで管理がなされていなかった弊社の問題点もご指摘・指導して頂きました。
    「自力経営支援」を自らのミッションとして掲げる先生の指導は、時に厳しい言葉となって弊社経営陣に投げかけられます。しかし、その熱意に答える努力を積み重ねていく事で、現在の会社組織へと成長する事ができたと感謝しております。
    まだまだ様々な課題を抱える弊社ではありますが、先生の御指導の元、これからも着実に成長を続けて行きたいと考えております。

    平成22年6月10日
    大協和工業株式会社 代表取締役 関根英明

    2013年1月24日

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    2013年1月18日

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