2013年7月16日

マーケティングノウハウ

(1)需要創造型マーケティングが成長のカギ

日本経済が実質ゼロ成長に近い状態となり、多くの企業は先が見えなくなりつつある。しかし、目の前にある需要が少なくなるのを見て、早々に諦めてはいないだろうか。新たな分野に進出する方法もあるが、自社の本業やコア・コンピタンス(核となる技術)を捨ててまで業種転換しても意味がない。

業界で勝ち残るカギは、潜在需要を開拓できるかどうかであり、もっと言えば「需要を創り出す」ことが必要になる。

九州のある老舗菓子メーカーは、かつてバレンタインデーのお返しとして「ホワイトデー」を考案し、世に普及させたことで有名である。同社は主力製品であるマシュマロの販売を拡大するため、みやげ品以外で新たな 需要を創り出すことに成功した。


直接的な営業力で売り込むより、エンドユーザーの拡大や囲い込みを図っていく方が、企業の成長や業績の安定化につながる例は多い。

輸入大型バイクの専門ディーラーでは、ツーリング仲間のサークルを主宰して顧客を組織化した。またアニメキャラクターのプラモデルメーカーでは、映像コンテンツの配信を手掛けて顧客の裾野を広げている。


需要創造型のマーケティングとは、決して難しいことではない。中長期的な視点からエンドユーザーの立場で考えれば、いろいろなアイデアが沸いてくるはずだ。

あとはそれを実行に移せるかどうか。必要なのは「情熱と行動力」だけである。

 

(2)自社の強みを活かす新マーケット・新顧客の創造

★なぜ新マーケット・新顧客の創造が必要なのか?その要因から探ってみたい。

対外的要因
1.何もしないと企業の寿命は30年
企業および事業にはライフサイクルがある。何もせずに放っておくと、その寿命は30年程度(業種業態によっては10~20年)と言われている。故に生き残るには、時代の動向を見抜き素早く方向転換を行う、また目先のマイナスを覚悟して将来に対する布石を打つことが必要である。
2.顧客の購買意識の変化
大衆消費時代から高度選択時代へ変化している。とくに日本の消費者は、世界で一番厳しい目を持っていると言われるほどである。同じような品揃えやサービスでは顧客に逃げられてしまう。
3.情報化社会の到来
経済社会のあらゆる側面で情報化が急速に進んでおり、顧客の意識や価値観が多様化し、経済活動も高度化、複雑化している。

社内的要因
1.人材の流出
人材スカウト市場が急拡大し、魅力的な企業を求めて人材が活発に移動している。そのため魅力的な事業・商品が求められる。
2.後継者対策
後継者がいない企業が増加しており、その原因として企業の収益力が低く、事業としての魅力が乏しいことが挙げられる。その対策として魅力的な事業・商品が求められる。
3.社員の意識変化
新しいマーケットを開拓することや新しい顧客を創造することにより、社員のモチベーション向上やその会社で働く誇りを持たせる必要がある。

これらの要因により、新マーケット・新顧客の創造が必要になってくる。では具体的にどうすればよいかと言うと、まずは自社の経営資源を整理して「自社の真の強みを掴む」ことである。それを成長性のある新分野および顧客に提供するのである。

自社の強みが「どんな所で使いものになるか、役に立つのかわからない」といった企業が結構多い。

その場合、顧客に聞くのが近道である!

「なぜ自社と取引きしてくれているのか、自社の強みが活かせる分野はどこなのか」を徹底的にヒアリングすれば、ヒントが見えてくるはずである。

 

(3)社員満足度(ES)顧客満足度(CS)具体的には?

★CSもESも確かに大切なのはわかるが、運用面では残念ながら「お題目」に終わっている企業も多いのではないだろうか。今回は、CSとESの具現化に取り組んでいる加工・製造会社であるA社の取組み事例を紹介したい。

1.CSへの取組み
  •  A社は売上10億円、従業員は40人といわゆる中小企業である。当然、大手と比べて技術力や設備、価格対応力には限界がある。しかしお客様に対して「安心して任せていただきたい」という思いから、次のことを完璧に実行している。
    •  (1)材料の仕入れ、加工、梱包の各過程で写真を撮り、細かく報告
    •  (2)現品よりも品質書類を先に提出
    •  (3)約束納期の1日前に納品
  •  これにより安心してお客様から仕事を任せていただいて、クレームがほどんどない体制が構築できている。

2.ESへの取組み
  •  A社の事務所にはキッズ・ルームが備えられている。小さな部屋に簡単な設備がある程度で、子供に対する人が専属でいるわけではない。しかし手が空いた社員が相手をしたり、工場に引率して親が働いている現場を実際に見せたりと、できる範囲で対応をしている。この「手作り感」が好評で、配偶者が病気の時など多くの社員が利用している。

CS、ESどちらの事例からも言える成功の要素
「具体的な実行策を社員に明示する」
「自分たちの身の丈にあった実行策にしぼる」
 

★ぜひ自社のCS、ESの具現化への着眼ポイントとして参考にしていただきたい!

 

(4)性格かつ迅速な見積もり

★企業のトップを務めていれば、さまざまな場面で重要な経営判断を迫られる。
そして多くの場合、十分な情報が手元にないまま、意思決定せざるを得ない。

経営判断をする上で押さえておきたいこと。
まずは計数情報はしっかりと押さえておく必要がある。儲かっているのかどうかがわかっていなければ、出費や投資をしてよいのかどうかもわからない。
大体の「勘」で分かっていたつもりでも、数字という厳然たる事実を見せられて、唖然としてしまうこともあり得る。数字は、恐ろしいものだ。思い込みや先入観を捨てて、しっかりと対応しなければならない。
自社の中で、どの商品・事業が儲かっていて、儲かっていないのかを知ることは、戦略を立てる上での基礎的な情報となる。これもまた、横着をせずにしっかりと検証する必要がある。

 

(5)「価値」の裏側にある期待

ビジネスに、とりわけマーケティングに取り組むのなら、顧客が自社の商品の何に対して金を払っているのか、よく見極めるべく考えておく必要がある。

よく言われるのは、商品という「モノ」ではなく、そこからもたらされる「価値」や「便益」に対して対価を払っているということだ。

とは言え、現実には、商品を購入する時点では、まだその「価値」や「便益」は実現していない。
長年にわたりコンサルティングの仕事をしてきたので、それについても同様に考えたことがある。

コンサルティングをしている時点では、その価値は、まだ実現していない。将来、きっと成果が上がるだろうという期待のもとに、料金を支払う。

将来へ向けての「期待」への対価を支払うことがあるのなら、将来の「不安の解消」も、対価の支払い対象となる。

 

(6)年商が1億円以下の企業の場合の立て直し方

★一番考えなければならないことは、いかに売上を増やすかです。

◇経費削減ではありません。そもそも、私どもにご相談にこられる企業のほとんどは、すでに経費削減はすでに十分すぎるほど行っているのです。

では、どうやって年商1億円を突破するか。
1.マーケティング力をつける。
2.ビジネスモデル(勝ちパターン)を構築する。
3.スポットの売上中心から継続的な売上中心にする。
4.組織力をつける。

 

1.マーケティング力をつける。 マーケティングやセールスの本をとにかく読みましょう。そして読んだだけではだめで、実践しましょう。自分の会社をだめにしている経営者を見ていると、とにかくマーケティングやセールスの知識がなく、「うちは人脈で営業している。」という答えが返ってくることが多いです。知識をつける、実践する、とにかくひたすらコレです。

2.ビジネスモデル(勝ちパターン)を構築する。

小年商企業を見ていると、勝ちパターンがない企業がほとんどです。勝ちパターンとは、例えば、この仕事では他社には負けない、この仕事は問合せが多いなど、その企業にとって売上の柱を作る、得意な仕事を言います。
その得意な仕事と、その仕事をとるための見込み客集客からセールス、受注獲得まで、一つ勝ちパターンを作ってしまうと、その会社の売上は一気に伸びます。ちなみに弊社は、事業再生コンサルティングの見込み客の集客から顧問契約、その後のコンサルティングのやり方まで、一つのビジネスモデルを作り、そこからの売上が8割を占めます。

3.スポットの売上中心から継続的な売上中心にする。

小年商企業を見ていると、その特徴の一つとして、継続的な売上が少なくスポットの売上でつないでいる、というところがあります。 継続的な売上とは、例えばBtoCの会社では、インターネットショップがあってそこに継続的なアクセスがあり毎月一定の売上が入ってきたり、BtoBの会社では、定期的に一定の受注がある取引先を抱えている、という状態の売上を言います。
継続的な売上のメリットは、一定の売上が計算しやすい、新規取引先を開拓するコストと時間がかからない、というところがあります。スポットの売上ばっかりだと、仕事がとれなければ売上0であり、営業を行い続けなければならずつらい、ということになります。いかに継続的な売上を増やしていくかが、売上を増やすポイントになります。ちなみに弊社は、顧問契約においての売上、面談相談においての売上、これらは継続的な売上となっており、9割以上の売上は継続的な売上、という状態です。
4.組織力をつける。 このポイントは、個人事業から、「企業」に脱皮するにはとても重要なポイントです。簡単に言うと、社長が社員に、仕事を任していく、ということです。

ちなみに私は、自分の仕事を

  • ・社内体制の構築
  • ・マーケティング活動
  • ・新規ビジネスの構築

これだけに決めています。ここには、日常の業務、が入りません。
社長が日ごろ得意先まわりを行う、経理や総務的な仕事を行う、というような状態ではだめです。なんでもやらなければならなくなり、すぐに社長はアップアップの状態になり、売上の伸びは止まってしまいます。社長の気持ちとしては「社員に仕事を任すより自分でやった方が正確だし早い。」となります。その気持ち、よく分かります。しかしそれでは会社の売上を増やすことはできません。社長は、社員に仕事を任せていかなければなりません。
社長が業務を行っていくのではなく、組織で業務を行っていくのです。

 

(7)ブランドコンセプトがぶれない

★事業戦略を考える際、まずは事業の「定義」を行なう必要がある。

定義

  • 少なくとも3つの角度で考える。
  • 1.誰を顧客ターゲットとするのか
  • 2.そのターゲットにどのような価値を提供するのか
  • 3.そのターゲットにどのような仕組みで価値を送り届けるのかだ。

特に重要なのは「提供価値」の部分
顧客からみて十分に魅力的であることが必要だ。言い換えれば、それは事業の「コンセプト」

 

コンセプトが決まれば、商品仕様や販売方法といったものも決まってくる。少なくとも、ちぐはぐにならないようにする必要がある。まずは「コンセプト」がぶれないことが、その大前提だ。

「お得意様」すなわち「リピート客」を作る秘訣は
「ブランドコンセプトがぶれない」
「ターゲットを明確にする」こと。
 

パークハイアットの例

パークハイアットは、「最上のサービス」こそが顧客への提供価値、ブランドコンセプトだとしているわけだ。それが「ぶれない」ために顧客は安心できるし、従業員にも浸透、徹底できる。

コンセプトがぶれないのは、顧客にとっても安心だが、それは従業員にとっても同様なのだ。 パークハイアットの支配人は、コンセプトがぶれないことにより「社員もじっくりと接客ノウハウを蓄積できる」としている。

教育で人を育てるという考え方もあるが、人が育つ環境を整備することは、それ以上に重要だ。「ブランドコンセプトがぶれない」 ことは、その環境の基盤が安定していることを意味し、だからこそ人が育つ。

 

(8)顧客コミュニケーションの目的とは

★現在、日本での多くの中小企業では<営業>と<マーケテイング>との区別が明確ではなく、見込顧客の集客から購入顧客への育成、販売までを営業担当者に任せており、マーケティング=集客設計を個別にきちんと行うという意識が低いのが現状です。

今後のネット社会では顧客に発見される=検索される会社になることが集客戦略で重要となります。 その際、あなたの会社が今まで以上にWEBマーケティングを意識することにより、適切な人員の配置や有能な 人材を登用できるかが企業の命運を分けることになります。

顧客コミュニケーションの究極の目的は
ファン顧客をいかに多くつくるか
 
★ファンになるお客様をつくる仕組みづくりをするための、顧客コミュニケーションの方法について、以下に、その内容を記していきます。

■顧客コミュニケーションのポイント
(1)顧客データベースを構築すること。(顧客名簿のことです。)
(2)年間の顧客ごとの売上高のランキング表
(3)顧客階層別のコミュニケーションの方法の設計

これらが整備されることで、例として

・「A」という商品に興味を持った顧客へ、次回はそれに付随する「B」を案内する。
・自分用の商品を買った顧客へは、次回は贈答品としての購入を提案する。
・前回購入分が消費される前に、追加購入の案内をする。
・前回コンタクトしてから一定の期間が経過した時点で、案内や確認を送付する。

★このようなことが、「会社として」「漏れることなく」できるようになります。

 

(9)顧客階層別コミュニケーションの設計方法

一度でも購入歴のあるお客様をリピートする仕組みから考える。

この仕組みがない状況で、新規の顧客を獲得しようとすることは危険です。
それは、例えるならばバケツに穴が空いた状況で次々に水を注ぐのと同じことです。

多くの会社においては、もっとも難易度が高く、コストのかかる「新規顧客」の獲得に多大な時間とコストと労力をかけてしまいます。

※一般には、新規顧客の獲得コストは、リピートの4倍から5倍、またはそれ以上のコストがかかると言われています。
まずはリピートしてくれるお客様をつくることの重要性を今一度ご認識ください。
集客戦略の中でも重要な見込顧客のフォローの仕組み

見込顧客とは、商品やサービスなどに興味があるが、今すぐに買わないお客様のことです。
通常の会社では売上が厳しくなると、今すぐに購入してくれるお客様を新規に求めます。

これが多くの企業が陥るワナです。

当然、今すぐ購入してくれるお客様はあなたの会社にとってうれしいことですが、その前に、抱えている商談の成約率や単価を上げることの方が成果は出やすいのです。

では、どうすれば成約率が上がるでしょうか?

これは恋愛に例えるなら、すぐに理解していただけると思います。
ある男性が、ひとりの女性に恋をして、その女性とお付き合いしたいと考えたときに、関係性が深まるコミニケーションをするステップを踏まず、いきなりお付き合いしてくださいと告白をしたとしても、断られるでしょう。

可能な限りのコミュニケーションを重ね、顧客との関係性を深めていかないとその次のステップには進みづらいのです。
※ある有名企業では、成約に至るまでの顧客とのコンタクト数は、7回とされているそうです。

要するに、すぐに売上に結びつかない、将来の見込客を育てられるか。新規顧客の獲得よりも、見込顧客の育成が重要なのです!

あなたの会社がこの見込顧客獲得を中心にマーケティングを行い

集客戦略とは
接点(メールアドレスなど)を獲得して、メールマガジン等を通じて自社の特徴やサービスの啓蒙とフォローを行いながらいかにその見込客に有益な情報を与える。
 

さらには、購入頂いた顧客にリピートしていただき、ファン顧客になっていただく。

  • ①あなたの会社がこのことを理解できたら、まずはひたすら最初のお客様との接点の獲得(見込顧客獲得)に注力してください。
  • ②そして、多くのファン顧客をつくり、安定的にファン顧客が次のお客様を口コミなどで紹介してくれる勝利の方程式をあなたの会社に是非構築してください。

 


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