2013年7月22日

経営ノウハウ(1)

経営ノウハウ(2)

(47)業績先行システム

近年、「業績先行管理システム」導入の支援協力に携わることが増えてきた。先行管理とは、正確に先を読み、早く手を打つことである。先行管理の考えが定着した企業は強い。業種により異なるが、3カ月、6カ月、12カ月先の目標に対する差額を明確にすることで、ライバルより先に対策を打つことができるからである。

成功させるには、次の2点が大事
(1)継続は力なり
先行管理を導入しても、その効果はすぐに現れるわけではない。根気よく続けることが大切である。「1年目は何も考えずに、とにかく真剣に取り組んでみて下さい。2年目には先行管理の良さを分かっていただけるはずです。3年目になれば先行管理の素晴らしさを実感でき、4年もすれば先行管理の考え方が定着・習慣化します。『業績が悪いから、わが社でもやってみようか』という軽 い気持ちでは、導入してもムダに終わります。」
(2)「鬼」の存在
導入当初は、営業社員から「明日の数字も読めないのに、3カ月先なんて分かるわけないですよ」という声が上がり、真剣に取り組む姿勢が見られなかった。
しかし、A社には先行管理に明るいB営業部長という人がいた。B営業部長の強力なリーダーシップの下、フォロー・チェックの徹底により、今では先行管理が機能し始め、「目標は達成すべき数字」という意識が社員のなかに芽生え始めている。

先行管理の定着化は、ライバルより一歩先んじて行動するスピードを加速させる「強力な燃料」となり得るだろう。

 

(48)業績革新の着眼点『費用と投資』

業績をつくるための原則は。固定費を上回る限界利益を生み出すことで企業の業績はつくられる。すなわち、如何にして「固定費=費用をコントロールできるか」ということになる。

成長のカギはさまざまあるが、なかでも「費用と投資」の明確な使い分けが重要なカギではないだろうか。

2つのバランスが大切
・今の業績をつくる費用
・将来の業績をつくり上げるであろう投資
 

今だけでもいけない今の延長線上に未来がある。

今の業績をつくっている源泉は一体どこにあるのか、そして未来の利益をもたらせてくれる源泉をどうつくり上げるか、この2つの視点で現状の経営資源を見ていただきたい。

 

(49)利益率アップ事例『売る用途編』

攻めの手段である"商品の用途変更"によって、限界利益を向上させた企業事例を紹介します。

<事例>
包装資材メーカーのT社は2年間で限界利益率を約17%アップさせた。では、T社はその2年で何をしたのだろうか。主な実施策は以下 の3点である。
1.モノ売りではなく、機能を売ることに徹底追求
T社は、従来の販売ルートである食品・菓子メーカーのうち、「箱詰め作業」に人手をかけている中堅・中小企業クラスに注目した。そこで徹底したマーケティングを行い、既存製品である紙箱を改良し、「組みやすく、元へ戻しやすい箱」として製品化した。
また、通常なら購買責任者に提案するところを、顧客の経営トップに対して営業活動を展開し、「アルバイト人件費の削減効果」を訴求ポイントに採用提案を実施した結果、多くの企業で採用されたのである。"紙"という機能特性を最大限にPRした結果である。
2.従来の常識を変えた
T社は次に、最終消費者へ目を向けた。通常、紙箱は製品を「包む」ものであるが、T社はそうした従来の紙箱の"常識"を覆し、「包む」から「その場で使用する」へと用途を変えたのである。具体的に言うと、保冷機能を持たせて飲料品などを持ち運べるようにした。
さらに、中身の飲料品を取り出した後に、イスや小さなテーブル代わりに使えるように改良したことで、消費者の支持を得た。「包む」から『使用する』への発想の転換が生んだ成功と言える。
3.紙でないものを紙化(100%紙製を提案)
T社が次に提案したのは、通常はプラスチックやアルミ、鉄などで作られる製品を、紙で製作することを提案したのである。具体的な事例としては、紙の机やイスなどの家具製品や、金具を一切使わない扇子などが挙げられる。

 

★「用途を売る」には3つの商品用途を開拓すること★

レベルアップ
・機能の追加と変更
・業界常識の打破
・市場なきものへの挑戦

 

劇的な利益改善の可能性を秘める「用途開拓」に、いま一度着目していただきたい。

 

(50)限度主義の経営

戦後60年を経て、日本企業の大多数が事業承継期に突入している。


創業者から2代目への承継で"失敗"する中小企業が少なくない。

原因
創業者は・・・ ○カリスマ性
○会社の隅々まで理解
○経営のポイントを肌感覚で理解している
○ゼロから会社を立ち上げた経験と判断力がある
二代目は・・・ ○育った環境も過程も違う
○創業者と同じように経営をしようとするのは難しい
対策
企業を存続させる上で、重要なこと
組織経営であり、経営指標を用いた「限度主義の経営」を行うこと。
限度基準を設け、経営に反映させることがリスク回避のカギとなる。

限度主義のポイント
(1)人件費の限度
人員について基準を持たないため、売上げが伸びると安易に人員を増やし、業績が低迷すると人減らしに苦悩する企業をよく見る。売上高と限界利益のバランスで人件費をとらえていないからである。人員については次のような限度基準を設ける必要がある。
  • ●労働分配率(人件費/限界利益)の限度基準を設定し、その基準内で人件費をコントロールしていく。
  • ●人件費増加率<売上高増加率<限界利益増加率<経常利益増加率<自己資本増加率という序列を守っていく。
(2)予算制度と予算統制
経費削減は利益に直結する。経費は目的でなく「手段」であるが、基準を設けなければ、気が付いた時にはムダな経費だらけになってしまう。
経営は限られた経費やコストで成果を上げることが重要であり、経費とコストの勘定科目を総点検して限度を設ける必要がある。そのため、限度主義に立った予算制度と予算統制を実施することがポイントになる。
(3)投資限度
特に装置産業の経営においては、投資効率が重要となってくる。投資の失敗が企業の存続に大きな影響を及ぼすため、慎重な投資判断が求められる。その判断基準としては、次のような限度基準を用いるのが良い。
  • ●借入限度の設定......借入金依存率や月商倍率を超える投資はしない。
    例:借入金依存度(借入金/総資産)は30%以下、月商倍率3カ月以下
  • ●3期連続赤字の事業は撤退する
  • ●設備投資は減価償却費と経常利益の範囲内で行う。

 

(51)3つのマークを確認しよう

今の仕事のやり方を改善し、イキイキとした職業生活を送るために、自分自身の頭上に"3つのマーク"が付いているかを常に確認してみよう。
そのマークとは「?」「×」「!」の3つである。

1.「?」(疑問の精神)
「おや?」「おかしいな?」と気付く問題意識を持っていること。それが有効な問題発見につながるためには、しっかりとした目的意識に立脚することが前提となる。「健康でさわやかに、お役に立ちながら長生きする」という人生目的や企業目的を明快に掲げていると、それを阻害するものとして「問題」が直ちにクローズアップしてくる。
2.「×」(現状否定の精神)
今やっている方法や選んでいる方向が必ずしもベストではない。よりベター、ベストなものを目指して果敢に現状を否定すること。従来から行っていて、習慣になっているものの中にこそ、思い切った革新を必要とするものがある。時代が変わり、技術革新、ニーズ変化が起きる中、それに新たなる対応を図ること。
3.「!」(感動の精神)
予定や期待を上回る成果や出来事に人間は感動を覚える。「?」「×」で仕事の革新をすすめながら、この「!」をどれだけ多く付けることが出来るかが、生きがい、働きがいを決める。義務・責任感だけではなく、能力開発、使命感、成就感を伴う仕事だ。

 

(52)コミュニケーションの格差=業績格差である。

質の高いコミュニケーションとは
答えのない「問い」に対しても。両者が選択できる方策を形づくっていけることだ。
その際に有効なのは、「そもそも、その主張は、どのような問いに対してなされたものか」を考えることである。
「どのように手を打つか」という具体的に物事をとらえる視点を、「なぜそう思うか」という抽象的な視点に移行させることは、物事の本質にもう一度着目させることになる。
相手の主張を認めながらも、コミュニケーションの生産性が感じられずに共感が生まれない状況はよくあることだ。その中でもコミュニケーションの質を高めていくためには、そもそもの論点を意識することが非常に有効な手段である。
答えのない「問い」に対して、その時々でベストな回答を行うことも今のビジネスでは求められる。そのためにも、多くの情報をさまざまな角度から練り上げる「質の高いコミュニケーション」が、ますます重要となってこよう。

 

(53)業績革新の着眼点『筋肉質なチームを作る』

経営者は、業績が悪い理由を「環境」や「部下」の責任にしてはならない。

勝敗は、リーダーの采配によって決まると言っても過言ではない。

では、リーダーはチームの勝利を手にするために、どのように采配を振るっていけば良いのだろうか。その着眼点は次の通りである。


1.リーダー自身の習慣を変えよ

  • ●人は従来の延長線上で考え、行動することが多分にある。これは会社の体質・社風・風土なども同様である。リーダー自身の考えや行動を変えなければ、会社は変わらない。
  • ●リーダーは場当たり的な対応策ばかりを打たずに、まず自分自身をよく見つめ直し、習慣を変える努力をすることだ。

2.自社の常識は顧客にとって「非常識」という考えを植え付けよ

  • ●強いチームは、何事も顧客思考で考え、行動する習慣が身に付いている。顧客が何を求めているかを常に考える習慣を身に付ける。
  • ●行き当たりばったりの考えや行動では、顧客から満足されないのは当然である。顧客第一主義の徹底を図るには、すべての判断基準を顧客に置き、顧客にとって良いか悪いかの判断を常に繰り返すことで、顧客志向の習慣が身に付いてくる。

あえて難しいことから始めるのではなく、日常業務のなかから培っていけることを徹底し、実践に移すことで筋肉質なチームができあがってくる。

 

(54)経営者・幹部必見『形骸化した会議では企業成長はない』

「ただ開催しただけで、決定事項も何もない」という形骸化した会議
企業の成長はない
 
参加者全員が本当の意味で参加、検討できる会議に生まれ変わるには

1.会議資料は事前配布
各部門の持ち時間を10分とし、そのうち報告時間は2分のみである。
前月の反省点から今月実施することを報告する。参加した各メンバー全員から意見やアドバイスを受ける。
会議資料は事前に配布し、会議前に報告書を熟読してもらう。これにより各部門の成功事例や失敗事例が共有化でき、他部門との連携も強化される。
2.改善提案を会議に取り入れる
全社員に毎月、業務改善の提案を出してもらう。各部門会議で、「どの提案事項を経営会議に提出するか」を検討する。部門内の活性化につながり、常に改善することを考える風土ができる。
経営会議では各部門の提案事項から、
  • (1)顧客満足向上
  • (2)業務効率化・コストダウン
  • (3)社員満足
という3つのカテゴリーで、お客さま・会社・社員がより進化できるものを決定する。最優秀案は社内発表し、提案者本人はそれを誇りに思い、新たな提案へのモチベーションにつながっていく。社員から提出された提案事項は幹部陣が全て確認し、10日以内に返答する事が一番重要。

 

(55)業績革新の着眼点『クレームをチャンスに変える』

クレーム件数の集計はされているが、「記録」が目的となっており、クレームが分析や改善に活かされていないケースが多い。

クレームは「企業の宝」

企業の体質強化を図ることができる。

お客さまからのクレームは、企業が見落としていた製品の弱点をユーザーや消費者の立場から教えてもらい、より良い製品作りのチャンスを与えられることだと言える。

クレーム処理の際のポイント
1.件数カウント基準
発生件数を基準にカウントするのではなく、発生率と損害金額を比較基準にする。
2.原因の深堀り
作業者自身に不良発生の原因について、「『なぜ』5回繰り返し」と「6W3H」で考えさせる。
3.お客さまの納得を得られる有効な改善策の実施
改善策を検討する際、その内容がお客さまの納得を得られるレベルかどうかの視点で検討し、作業者が無理なく継続的に実施できる内容とする。

 

(56)業務改善の着眼点『気づきの大切さ』

常識が足りない」社員の改善には
「挨拶の重要性」から常識教育を教え込む。
できるまで徹底的に注意することが不可欠である。

 

「気づきの足りない」社員の改善には
「お客さまの大切さ」について、納得するまで教育することから始める。
「お客さま」という人は、こうしたことを嫌がる人だと"暗記"させるのである。

 

お客様の周囲を注意深く観察させる。
誰よりも早く気づき、誰よりも早く対応させる。
お客さまは感動する。

 

喜ぶお客さまを見て、自分自身も良い気持ちになることに気づく
ようやくお客さまに対する気づきの大切さを理解できる。

 

(57)経営者・幹部必見『あなたの会社の羅針盤は?』

『業績資料』が会社の羅針盤になるには

いくら資料を取り揃えても、肝心な業績が一目で分かるようになっていなければ意味がない。大切なことは情報の量や速さではなく、見せ方である。
例えば、年商90億円の化学薬品メーカーB社は、自社のコスト構造を
 ●総資本経常利益率
  ⇒売上高経常利益率・総資本回転率
  ⇒固定費・限界利益率
に分解して、コントロールしている。各部門においてはキーとなる指標を設定し(例:営業における1人当たり粗利益高)、現場で分かる指標に落とし込んで生産性指標として管理している。
この時、注意しなければならないのは、現場指標が上がれば、必ず会社全体の損益が変わる状態に設定することである。
年商40億円の住宅メーカーC社では、1枚のシートを見れば自社の経営状態が分かるように工夫している。中身についても、数字を単純に並べるだけでなく、できるだけグラフ化して直感的に理解できる状態にしている。

"経営の羅針盤"として舵取りができるように、常に分かりやすく、判断できる状態にしておく必要がある。自社の状態を聞かれた時、即座に答えられる環境をつくることが、業績改善への第一歩となります。

 

(58)『企業の背骨はしっかりしているか』

効率的に経営をしていく基礎であり、経営体質強化に必要不可欠な条件とは

①経営理念
②行動指針
③長期ビジョン
④中期経営計画
⑤年度方針
⑥年度予算
背骨がきちんと定められていることが大事

企業全体のベクトルの方向性を一致させること

経営理念→中期計画→年度方針→達成していくための仕事→行動・実績が評価され、給料が決まる

経営理念に基づいて、予算や評価・分配にまで一貫した思想で貫かれていて、一般社員にまでよく理解されていればいるほど、この善循環システムはうまく機能する。

 

(59)『魅力ある会社づくり』

優秀な人材を確保し、今後、自社の成長につながるような人材基盤を固めるにあたって、まずこれらのポイントが自社に備わっているか、見直してみよう!

1.経営者自身に魅力がある 経営者の魅力は何かと言えば、「若さ」「夢」「情熱」である。ここでいう若さは暦年齢ではなく、精神年齢である。目はキラキラと輝き、発言する言葉からは夢や情熱がほとばしるような人である。中小企業は社長自ら応募者に夢を語り、共に夢の実現に向かって働きたい人たちを採用することだ。
2.会社に将来性がある 現状は増収増益であっても、これは過去に打った手の結果である。将来に対しての先行開発投資(人材・商品・事業)を、どの程度行っているかで将来性は決まる。常に成長している会社は、売上げに対して5%~10%の先行開発投資をしている。
3.労働条件が整備されている 「水は低きに流れ、人は高きに流れる」と言われるように、優秀な人材を採用するためには、業界・地域・規模別に労働条件を比較、検討して給与・賞与・休日などの整備をすることである。
4.経営に参画できる 創業期の経営はトップダウン型・ワンマン経営が多いが、2代目、3代目の経営スタイルはミドルアップ型やボトムアップ型の方がうまく経営できる。経営に計画段階から参加することで、社員のやる気を向上させることができる。
5.自分の能力開発ができる 弊社で実施している社員のモラールサーベイでも、「仕事を通して自分の能力アップをしたい」という意見が90%以上を占める会社が多い。
能力アップができない会社では、退職者が続出している。社内教育・社外教育・海外視察などを通して自己啓発、レベルアップができる会社は、社員のやる気も向上し、魅力ある会社にもなる。

 

(60)業績向上に向けた予算管理体制の構築

予算と実績の差額や達成率を見ることだけが予算管理ではない。
予算の基本的な機能としては、次の3点が挙げられる。

1.計画機能 企業経営全般にわたる経営目標を達成するために、現状を細かく分析し将来の活動や優先順位を決定する。
2.調整機能 計画がバランスよく目標に向かって効果が発揮できるように調和を図る。
3.統制機能 計画に沿って予算が効果的に運用されているか、目標と実績を把握・検討して差異を分析しながら改善措置を行う。

予算と実績との差異がなぜ生じたのかを分析して、今後の改善に結び付けることが大切です。

予算差異分析の手順

各予算項目に対する責任の明確化

予算と実績の比較と差異額の算定

差異の原因分析

今後の見通しと対策の検討

業績向上に向けた予算管理体制を構築

 

(61)経営者・幹部必見『語り継ぐ経営~見える化の勧め』

年商30億円を超え、さらには事業承継が迫っているのであれば、社長の思いを語り継げる価値判断基準の伝承とそのための体系化・落とし込みが欠かせない。

経営執行の判断基準の棚卸し。自社の経営において、外してはならないカン・コツ・ツボ。社会に対する約束。人事憲章とも言うべき社員に対する思い。重点・集中・徹底の判断基準。危機管理のための超えてはいけない喫水線バランス。経営哲学はもとより理念の真の意味と行動基準。

「語り継ぐ経営」の具体的な内容
1.経営戦略の判断基準の棚卸し 2.経営執行の判断基準の棚卸し 3.業務判断フロー 4.自社の強みの分析 5.成長過程・成長要因分析 6.自社の固有技術とそれをぶつける成長マーケットの模索 7.未来指標(社会性・開発力・革新性・基盤安定度・危機回避力) 8.ビジョン体系 9.中期経営計画 10.人事憲章
これがそのまま経営風土改革の礎になる。要は、価値判断基準の「見える化」である。

 

(62)業績革新『"早朝清掃を徹底している"企業の業績は良い』

早朝清掃の徹底により得られる効果
(1)当たり前のことを当たり前にすることの重要性に気付く
企業の業績は毎日の積み重ねであり、一朝一夕にしてできるものではない。毎日の清掃を通じて、「当たり前のことを当たり前にする」ことで会社の業績が作られていることに、全社員が気付くのである。
(2)間違いを早く発見できる習慣が身に付く
清掃を毎日徹底することで「何が正しく、何が間違っているか」という価値判断が統一され、間違いを早く発見できる習慣が身に付く。これは経営トップからすれば、自分の目では見えない問題点が早く発見されるため、経営のスピードが上がることとなる。
(3)愛社精神が高まり「モノ」を粗末にしなくなる
毎日清掃を行うことで、「社有物を壊してはいけない」「会社を汚してはならない」という愛社精神が芽生える。ある特定のモノや場所をきれいにしておくと、人間は不思議とそのモノや場を大切にしたくなるものだ。これはほとんどの人間に共通した心理である。   
(4)一体感づくりができる
全社員でローテーションを組み、会社の隅々まで清掃を行うので、全社員が必ずトイレ清掃を順番に行うことになる。ある特定の人だけがトイレ清掃を行うことはないので、社員の間で不公平感が少なくなり、社内に一体感が生まれる。つまり、全社員で業績に貢献しているという一体感づくりにもつながっていくのである。
(5)朝から足並みを揃えて、気持ち良く仕事に入れる
朝から清掃に集中することで、「きれいになった」という爽快感が全社員に伝わり、足並みを揃えて気持ち良く仕事に入れる。

人間である以上、朝のコンディションの良し悪しはさまざまである。その点を十分にわきまえて、清掃を行いながら足並みを揃え、心体両面のコンディションを整えていくのである。

企業の業績は毎日の積み重ねであり、一朝一夕にしてできるものではない。毎日の清掃を通じて、「当たり前のことを当たり前にする」ことで会社の業績が作られていることに、全社員が気付くのである。

 

(63)経営者・幹部必見『基本動作の重要性を再認識する』

「なぜ基本動作が大切なのか」 「なぜ挨拶や言葉づかい、ビジネスマナーが大切なのか」 「なぜ掃除や2S(整理・整頓)が大切なのか」 ということを真に理解し、実践していこう!

いわゆる基本動作とは、
(1)すべての仕事に共通する基礎
(2)磨き抜かれた基本動作は企業信用を高めるもの
(3)頭で理解するのではなく、習慣として身に付けるもの
(4)永い間の熟練のエキスとして型決めされ、定着したもの
何のためにするのか、という目的がきちんと認識されていないため、何となく形だけまねている
基本動作がなぜ大切なのかというと、「人は1人では生きていけない。生きていくために必要不可欠なもの」であり、「人が他人(=社会)の評価と認知を受けるためのもの」だからではないだろうか。
基本の大切さ、当たり前のことを当たり前にする大切さを再認識し、実践していただきたい。

 

(64)経営者・幹部必見『投資内容を分析せよ』

企業が存続、成長発展するには常に
★今までのやり方を廃止・改善
★新しい構築
を行い環境変化に対応していかねばならない

 

改善や新しい試みをする「投資」の分類
1.業績(事業)拡大投資
本業や新事業を拡大していく投資。生産力を高める設備投資、営業力を高める営業拠点開設、人材補強など成長するために必要な投資。
2.現状維持(メンテナンス)投資
機械が正常通り動くようにする、古くなった車両を買い換えるなど、現状の業績を確保するために必要となる固定資産にかける投資。
3.コストダウン投資
作業性を高める機械導入、使用量を削減する備品購入などムダ・ムリ・ムラをなくすための経費削減・生産性向上に必要な投資。
4.コンプライアンス投資
品質管理システムなどの企業生命線管理、社会的責任を果たすための投資。
5.フレンドシップ投資
本業での収益は生まないが付き合いやしがらみといった社交的な投資。

自社の投資はどの分類に分かれ、成果に結びついているだろうか。
いずれにせよ、かけた投資コストを回収することが基本だ。

★どれだけの利益が年間出るのか
★効率改善により年間で経費をいくら削減できるのか
★いつから利益が出るのか
★シナジー効果はいくらあるのか

以上を考慮し、中長期で計画を立てる。

つまり、投資することにより自社の業績・風土がどう変わるのかを押さえることが重要なのである。

 

(65)業務改善の着眼点『営業部内メタボリックを解消せよ』

メタボリックを解消するには運動し、食生活を変えて行動改善と体質改善が必要である。 営業部隊も同様である。営業コストは大きな固定費だ。営業社員の動きが悪くなると、経費・人件費・在庫・借入金・クレームなどが増え、営業社員の稼ぎだけで固定費をカバーできなくなる。粗利益(または限界利益)に対して、営業に関する固定費比率(体脂肪率)が上がってくる。
したがって営業部隊も行動改善・体質改善を実行し、稼ぎ高を増やして利益を増やすか、固定費を削るしかない。

営業社員が意識しなければならない数字は
  • ★自分の必要稼ぎ高(粗利益または限界利益)を明確にすること。
  • ★「自分の年収+間接部門の人件費+その他経費」を含めて、月にいくら稼がないと赤字になるかを明確にすることだ。
  • ★業績不振を改善して体内脂肪を燃焼させ、筋肉体質(生産性向上)になるためには次の4つのステップが必要である。

1.現状認識
マーケット分析、業績分析、営業マネジメント分析、営業プロセス、行動分析、業務分析、商品分析、売上方程式の策定、営業動向による行動のギャップ分析、顧客分析、ライバル分析と勝敗要因分析
2.勝てる場と新しい勝ちパターンの発見
ボトルネックの解消(営業プロセスのボトル)、売れている営業社員のパターンの整理と共有化、先行管理システム・見える化の導入、ターゲットの選択、営業行動基準の数値化
3.決めたことを着実に実行するための組織体質改善
考え方を統一し、途中であきらめたり、方法を間違ったりしないために全営業社員に対してマネージャー研修、営業社員研修などトレーニングを実施
4.新しい勝ちパターンの実施、新マネジメントによる進捗管理

 

(66)『心技体のバランス』

企業生活における「心技体バランス」の指針
1.心・・・ 目的を明確に持ち、迷いなく邁進できるテーマを設定できているか。人生と仕事の接点、業績向上と個人の幸せ目標のリンケージ。組織としてメンバーが関心を持ち、集中できるビジョン・方針・目標の設計。
2.技・・・ 仕事の基本「ハタラキヤスク・ハタラク」(早く・速く、正しく、楽に、キレイに、安く、そしてハタを楽にする)の体得と、ストレスを溜めない十分なコミュニケーションの促進。そして明るくリラックスして取り組める権限委譲とチームワーク風土づくり。
3.体・・・ 健全な財務力を常に磨き、少々の環境変化にも揺るがない業績基盤、各人の健康増進。組織の若返りや後継経営体制づくり、新しい事業戦略の構築でリスクヘッジ型・予防医学的な経営に取り組む。

 

(67)経営幹部必見『"聞く"スキルを磨く』

ただ単に部下の声に耳を傾けろということではなく、相手の立場に立った"聞く"技術を身につけていただきたい。 以下はある会社で、事業収支計画書を作成したB課長が、直属の上司であるA常務に提出したときの会話である。
  • A常務「君はこの収支計画をどう思う?」
  • B課長「ええ、これでチーム一丸となって頑張っていこうと思います」
  • A常務「いやもちろん頑張ってもらわないと困るんだが・・・どうなんだ?」
  • B課長「ど、どうと申しますと・・・。恐らく大丈夫だと思いますが。」
  • A常務「そういうことを聞いているのではないんだ!しっかりと答えてくれないとこちらとしても承認を出せないよ。全く・・・もう一度見直してくれ。」

何をどう答えて良いかわからない聞き方をしておきながら、B課長が答えに詰まっていることにA常務は苛立ちを隠せないでいる。A常務のように「どうなんだ?」が口ぐせのようになっている人は多い。

相手が答えを絞りにくい曖昧な質問をしていることに気付かないまま、相手に明確な答えを示すように強制している矛盾に気付く必要がある。

別の事例を紹介しよう。ある営業会議での会話である。
  • C部長「この件について、何か意見は?」「誰も発言はないのか?」 「常日頃から、問題意識を高く持てと言ってるじゃないか!」
果たして、参加者の問題意識が本当に低いのであろうか?C部長が活発な意見が出るのを妨げ、誰も口を開けないようにしている可能性はゼロであろうか?さらに腕を組み、しかめっ面をした状態で言われたならどうであろうか?
  • ★ただでさえ上司にはものを言いにくい
  • ★その上、まるで責めるような口調で質問されたら威圧感を感じる
  • ★「私の意見はピントが外れていたらどうしよう」
  • ★「下手に口を開いたら怒鳴られるだけだ。ここは黙って誰かが発言するのを待とう」と、発言に対して消極的な態度になってしまう
  • ★自分の意見がC部長によって採点され、評価されることを恐れる
聞き方しだいでは、あなたのリーダーシップを発揮する上での能力が測られる。部下の姿勢を正す前に自らの"聞く"姿勢を正していただきたい。

 

(68)業績革新のための『振り返り・検討・整理のポイント』

業績革新の着眼点
事業領域 現在の事業領域自体が成長性・収益性を上げられる業界であるのかを検討し、事業領域のシフト・周辺領域への拡大・撤退の判断をする。
マーケット 標的ターゲットは明確か。また、そのターゲッティングの取り方は間違っていないか。自社が提供する付加価値を認め、購買力と成長力のある"ターゲット"とすべき顧客の特性は何かを検討する。
開発 売れる玉があるのか、陳腐化していないか、差別化ポイントはあるか。 商品開発、商材探し、サービス差別化を行い、新たな需要創造のため組織的に取り組んでいるかを検討する。
粗利率 利は元にあり、仕入利益を上げられているか。営業が販売現場で売り負けていないか。付加価値の取れる商品ミックス、商品の重点化が徹底されているか。
ビジネスモデル 構造的に利益が取れるようになっているか。BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)が必要でないか。ビジネスの全体像を俯瞰して再検討する。
オペレーション 経営資源の生産性が上がるオペレーションになっているか。工程・設備・動作・人材を改善する必要性はないかをチェックする。
外注活用 固定費の変動費化は図れないか。自社養成に時間とコストがかかる技術・工程を外部に任せられないか。外注の有効性を検討する。
管理利益 ミス・ロス・クレームによる工数や費用が発生していないか。
投資効率 経営資源全般への資金投入に対してのリターンを検討する。
ファイナンス 営業外の収益力はどうか。資金調達手法の見直しは必要ないか。資本力を活かして市場占有率を高められないかを検討する。

 

(69)『部下育成のロールプレイング』

ステップ1.
面談の目的を説明する
雑談はかえって緊張や警戒を生む。単刀直入に面談の趣旨について話をすること。
ステップ2.
問題について説明する
事実のみ話をし、自身の判断や感情を加えないようにする。
ステップ3.
話を聞く
  • ○受け入れる:「なるほど」「うんうん」など、目を見て相槌を打つ。
  • ○繰り返す:相手の言葉をそのまま繰り返す。
  • ○言い換える:自分の判断を加えるのではなく、相手の言葉を同じような意味の言葉に置き換える。
  • ○話を引き出す質問をする:「はい」「いいえ」で答えられないような質問をする。
  • ○黙っている:相手が話し終わったあと、すぐこちらから話をしない。黙っていることによって話を続けてくれる。
ステップ4.
問題点について同意を得る
相手が問題について認めない限り話を進めてはいけない。問題点が存在することについて同意が得られるまでステップ2・3を繰り返すこと。
ステップ5.
一緒に解決策を決める
こちらから解決策を一方的に押し付けないこと。一緒に解決策を決めることで2つのメリットがある。
  • (1)自分でできる現実的な方法を考えられる。
  • (2)押し付けの対策より自身で考えた対策のほうが確実に取り組む。
ステップ6.
自分の言葉でまとめさせる
最後に自分の言葉でまとめさせること。いつまでに何をすべきかがわかっているか、この問題に対してどのように思っているかがわかる。

このロールプレイングを機会に、部下との接し方を意識していただきたい。部下に対する発言のうち60%を指示・命令ではなく、褒めることや改善のためのアドバイスにし、その記録を残しておくことをお勧めする。

 

(70)経営者・幹部必見『基本通りが業績につながる!』

基本がなっていなくて赤字に陥っている企業が多い

基本通りに経営を改善した結果、見事に再建を果たした会社がある。
  • ・会議のスタート時間は遅れる
  • ・何のケジメもなく会議が始まる
  • ・会議の議事録は取らない
  • ・出席者は前回の会議で何を決めたかもよくわからずに参加している
  • ・朝礼はダラダラと長い
 

根本原因は社長自身の「危機感のなさ」にあった。


改善策「社長交代」と「経営を基本通りに行う」
  • ・会議は5分前集合。
  • ・ケジメをつけて会議を始め、司会・板書・議事録の役割を分担した。
  • ・会議の議事録を取り、6W3Hを明確にした。
  • ・次の会議の時にはその結果を厳しくチェック。
  • ・工場では5Sを徹底し、各部門の5S評価を毎週行い、不完全な部門を発表して改善を促した。


全社員が一丸となって「基本通りに仕事を行う」ことに取り組んだ結果、ついに1年後には5,000万円の黒字を達成した

全社員で取り組まなければなかなか成果は出ない。要は全社員で真面目「基本通りに仕事をする」ことが重要なのである。

 

(71)業績革新の着眼点『マネジメントサイクルは回っていますか?』

PDCAサイクルが回っていれば仕事は日々進化し、同じ失敗や問題は起こらない。
  • ○計画を立て実行しているが、チェックが出来ていない。
  • ○チェックまでは出来ているが、アクションが出来ていない⇒PDCAサイクルは回らない!
CA実行のポイント
結果を重視するということである。結果の前では言い訳は無用であり、厳しく現実を直視することから始まる。
次に原因分析
「なぜ」を繰り返すことによって本質に迫る。
本質に迫るためのポイント
プロセスを数値で押えることである。3点程度に原因を絞り込み、対策は誰が、何を、いつまでに実行するのかを具体的に決める。

マネジメントサイクル

 

仕事は失敗や改善の連続である。問題が起きることが悪いのではなく、改善しないことが悪いという意識付けを全社員にしていただきたい。チェックする前と同じような対策であれば、同じ問題が繰り返し発生することは明白である。

 

(72)組織活性化『協働を通じて、仕事の質を転換する』

★決められたことを間違いなく行なう仕事から、知恵を出し合い創造する仕事、つまり人間の「心」が大きく仕事に左右するようになってきている。

~このような現代では、組織での「協働」が重要となっている。~

★協働のもたらす効果が人間の「心」に火をつける、モチベーションの向上をもたらすことになるからだ。

協働による3つの効果
お互い足りないものを補い合う
「補完効果」
補完しあう中で、お互いに刺激が生まれ、新たな発見から組織としての活性度が高まる「相乗効果」へ結びつく。
「相乗効果」 協働を通じて、仕事の質が転換され組織が活性化される。
「成長効果」 活性度の高い組織は、自己を成長させる機会を与えてくれる組織としての価値を持ち、その組織に帰属することは成長の実感と予感を抱かせる。

組織活性度を高める施策「サンキュー&チェンジ・メッセージ」

自分以外のメンバーへの感謝や変化・成長をメッセージとして本人にフィードバックするものである。
  • ・感謝される=周囲・組織への貢献が承認された"と捉え、当然モチベーションが高まる。
  • ・成長した点がフィードバックされることで成長点を意識するので、モチベーションアップヘ効果絶大である。
  • ・さらには"自己の変化を認めてくれている"という気持ちは、本来人間の高次の欲求充足であるといわれ効果も予想以上に大きい。

 

(73)『組織経営と合議制の違い』

現在は動乱の時代に入っており、経営者1人だけの構想・実行力では経営は厳しく、さらなる組織経営化が必要であると言われている。

組織化を進めたい企業の多く
失敗

「合議制」

会社の方向性や方針・やるべきことを皆で決めることである。それ自体は悪いことではないのだろうが、私の知る限り結果としては、判断スピードの減退、過度な仕組み化(文章・会議の増加)、それに伴う実行力の低下ならびに時代対応スピードの低下を招く。
成功

「組織化」

責任を明確にした上で、複数の意思決定者を作り、衆知を結集しながらも決済範囲の中で、各責任者の責任において方向性を明示することである。

企業の業績を向上させることは、還元すればいかに実行力を上げるかに集約される。実行のための組織化であることを明確に意識し、合議制の愚に陥らないよう重々注意されたい。

 

(74)経営者・幹部必見『日系企業から学ぶ製造現場』

上海にある日系企業2社の製造現場の現地法人の代表者が口をそろえて言うには。

・個人主義的色合いが強く、日本におけるQCサークルやOJTは機能しにくい
・判断・決断を下せない役職者は蔑視される

日本の製造現場が学ぶべきポイント
(1)現場教育とチームワークこそ、国内製造業の強み
製造に携わる社員個々が行なう作業のレベルや力量・スキルには、さほど大きな差はないと思う。ただ、技能習熟にかかるスピードや、組織レベルの改善は国内製造業のほうが優れているという印象を受けた。この優位性がなくなれば、中国の人件費上昇が進むとはいえ、製造業が国内にしがみつく理由はますますなくなってしまう。
また組織レベルの改善は、国内の中堅製造業といえども、幹部自身に問題意識・改善意識がなければ、チームワークも発揮のしようがない。是非、この点を心にとどめていただきたい。
(2)わからないことを決めるのが判断力・決断力
日本には自分に委ねられた判断を、上司に投げて責任回避する傾向がある。前述したように2人の総経理は、その点を違いとして指摘された。背景には国民性の違いに加え、「報告・連絡・相談」に対する重要度の違いもあるのではないかと推察する。

幹部としてあるべき姿
問題意識・改善意識を高め、現状認識力・情報収集力を養い、製造現場をより活気あるものにする。

 

(75)『組織の活性化は「報・連・相」』

★職場内トップと幹部、上司と部下の不信感など、トラブルの原因のほと んどが「報・連・相」であり、これが常態となると不信から不満となる。不満が充満すると組織は崩壊する。そこで今一度「報・連・相」の基本と本質を考えてみたい。

<基本>
1.仕事の締めくくりであり、次のステップへの始まりである
2.業務の流れを円滑にする潤滑油である
3.作業能力を向上する場である
4.相手の立場と考え方を知り、チームワークを向上する場である
「報・連・相」が徹底しない』真因 ⇒ 基本、必要性を理解できていても本質を理解していない。
本質の第一は、価値判断である。何が大事なことか、トップや上司が何を求めているのか、何を報告しなければならないのか。これらの判断が自分の価値判断基準で行われる。したがって、各人の重要順位が上司やトップの求めるものと異った場合、ミスマッチが起こる。
第二の本質は、トップや上司指揮権の下に入りたくないといった人は「報・連・相」をしたくないものである。上司に対する信頼性がない場合など意識的に報告しない。

★「報・連・相」の徹底のためには、基本の教育と同時に社内の価値判断基準を明確にする。さらにトップと幹部、幹部と部下の信頼性を高める社内風土づくりと教育が課題である。

 

(76)経営者・幹部必見『課題先送りの体質になっていないか』

★"攻めは奇手あり、守りに王道あり"という言葉からもわかるとおり、不況期こそ原理原則に立ち返る時である。ぜひ自社の経営を振り返っていただきたい。

1.粗利益(限界利益)が低い→取扱商品に問題がないか?
2.粗利益は高いが営業利益が低い→マネジメント・生産性に問題がないか?
3.損益分岐点は高くないか?固定費は?自社のコスト構造を明確にしているか?

★等々、自社のコスト構造とそれを基にした経営指標の構築が必要である。 打つ手が遅れると業績回復が遅れる。不況期に考えていただきたいのは業種、規模、生産性の3点である。これらの点を踏まえて、自社の進むべき方向性をまとめていただきたい。
○規模に合わせた組織体制になっているか。
○粗利益に 占める労働分配率の見直しをしていただきたい。

 

(77)次代を生き抜く着眼点『大混迷時代を勝ち抜くための要件とは』

何も手を打たない巣篭もり戦法で好況の機会を待っているだけでは、現状打破はできそうもないということである。大混迷時代を勝ち抜くための要件として2点を取り上げてみる。

1.将来を見据えた先手先行経営:ビジョン(将来像)の明確化・共有化
『他人と過去は変えられない、しかし自分と未来は変えられる』我々が真にマネジメントすべきは、過ぎ去った過去よりも、変えられ得る多くの選択肢をもつ将来である。

『刻々と変化する環境動向のもと自社の将来姿を明確に描き、理想と現実のギャップを先手先行で課題化し、他社に先駆けて手を打っていく』そのような先手先行経営こそが、今のグローバルハイスピード社会においてとるべき経営姿勢である。
2.仕組みで運営する組織経営:経営組織(人と仕組み)の基盤確立
これからは価値観も含めて多くのことが絶え間なく変化する時代であり、それだけにトップ・経営陣は常に高い視点での戦略経営が求められる。従って、戦略経営の遂行に邁進できるよう、管理すべきことを仕組み化し、全員がそのルールを守り、トップ・経営陣は適時、要所だけを押さえていく、そのような組織経営への転換が欠かせない。

次代を生き抜く着眼点

目指すべき先が常にはっきりしている "ビジョン経営"
それを着実に推し進めていく"計画経営"
さらにその進捗を多くの目で追っていく "組織経営"

 

(78)経営幹部必見『当事者意識を持つこと』

評論家であれば、その結果に対する責任というものはない。しかし、経営幹部は現場で結果を出すことが仕事であるので、いくら評論がうまくても仕方がない。すでに起こった事象に対して得意気に「あれがいけなかった」「何故そんなことをしたのか」と言うのであれば、そうならないように予め手を打っておくことが当然、経営幹部には求められる。
他人事のように本プロジェクトに関わっていた幹部がいた。心の奥底では「実行するのは自分ではないから」と言わんばかりの態度であった。
ところが、総責任者に任命された後取り組み姿勢に変化が表れた。発言の1つひとつにも重みが出てきた。会議中も、計画を実現するためには「誰が」「いつまでに」「何をするべきか」を掘り下げて考えるようになった。つまり"当事者意識"が芽生えたのである。

何事にも常に"当事者意識"を持って取り組めているかどうかを、ぜひ自問自答していただきたい。

 

(79)『強い会社の社員とは』

強い会社(業績の良い会社)の社員に共通している点
○原因自分論である 強い会社の社員は目標が達成できなかったことについて、決して他人や環境のせいにせず、自分自身にその原因を追究して対策を講じている。弱い会社の社員はすぐに他人や環境のせいにしがちである。
○後ろ向きの発言をしない これは会議に出席すればよくわかる。強い会社の社員は後ろ向きの発言がなく、どうしたらできるのかといった前向きな発言が多い。弱い会社の社員は「無理です」「できません」といった後ろ向きな発言が飛び交う。
○数字(業績)に興味を持っている 強い会社の社員は幹部・一般社員までの全員が、直近の会社の業績(売上・利益)をよく知っている。弱い会社の社員は、営業部門の社員ですら前月の売上高を知らない状態である。
○価値判断基準が高い 強い会社の社員は目標に対して100%達成することを常に目指しており、最後まで妥協しない。弱い会社の社員は90%の達成でも「目標は達成していないがよくやった」と妥協しがちである。
○決めたことは必ず守る 強い会社の社員は、自分で決めたことや会議で決まったことについて、その期限や行動を必ず遵守する。弱い会社の社員は期限を守らず、誰かに言われるまで行動しない。
○問題に対する処理のスピードが速い 強い会社の社員は気づき能力が高く、小さな問題の段階で処理する。弱い会社の社員は問題が大きくなるまで放っておき、誰かが処理するだろうといった考えがある。
○陰口を言わない 強い会社の社員は意見や提案があれば、会議や面談の際に意見具申をする。弱い会社の社員は何も言わず、陰でマイナス発言をする組織破壊者が多い。

強い会社の社員は意見や提案があれば、会議や面談の際に意見具申をする。弱い会社の社員は何も言わず、陰でマイナス発言をする組織破壊者が多い。 経営者・経営幹部のリーダーシップのもと、方針の徹底や社員教育の実施、あるいは上下間のコミュニケーションができているかどうかで差が出てくる。あなたの会社の社員はどちらに当てはまりますか?

 

(80)業績革新の着眼点『粗利益こそ企業の競争力』

★粗利率の高い企業には「考える習慣」が身についており、仕入れ交渉力、商品開発力、販売企画力などを徹底的に磨いている結果が、高粗利につながっているのではないだろうか。 では、中小企業においていかに粗利率を高めていけいばいいのか。

粗利率を高めるポイント

1.価格は自社が決めるという考えを持つ

法律で規制された商品以外は、自社で商品の価格を決めることが出来る。適正価格とは、「顧客が納得して購入してくれる価格」のことであり、安易に「安売り」に走らず、「どれだけ高く売ることが出来るか」ということを真剣に考えることがスタートラインである。「安売り慣れの脳死状態」になっていないか確認していただきたい。

2.粗利が取れる商品を開発(仕入)する

粗利が取れる商品とは、顧客が価格を知らない商品である。そのためには常にアンテナを高く持ち、情報収集することが必要である。 今の時代、顧客が知らない商品を探すのは難しいテーマであるが、掃除機機能とエアコンを組み合わせたパナソニックの「おそうじロボエアコン」のように、「既存技術(商品)」の組み合わせによって新しい商品を生み出すことは十分可能である。

3.提案と情報を付加する

顧客に対して「商品説明が必要な商品」は、その分高く販売することが出来る。化粧品もスーパーやコンビニで売られている商品は安いが、百貨店で美容部員が接客すると高く売れる。ポイントは、買い手より売り手の方が情報を持っていることである。 そういった商品に重点を絞り、自社の社員の提案力と情報力の強化を図りながら、高粗利商品を販売できる人材力を磨くことも必要である。

 

(81)『ミステリーショッパー』

★ミステリーショッパーという手法がある。これは顧客に扮した調査員が店舗でサービスを受け、その結果をレポートとしてまとめるものである。このような調査を利用する外食企業も多い。 ミステリーショッパーは、自社の店舗について顧客視点でチェックを行ってくれ、非常に便利なものだが、今回は自社でできる店舗の現状認識の手法を解説する。

1.商品・接客・清掃 営業時間を時間帯ごとに朝・昼・昼過ぎ・夕方・夜間と分け、経営者自ら店舗を観察し"問題はないか"、"こうしたら良いのではないか"と仮説を立ててみる。これは客席と厨房、店舗の外と全てで行ってみる。
また来店されている顧客へ声をかけ、この項目について"良いところは何か""不便はないか"など聞いて回るのである。そして各項目についての発見をまとめていく。
2.スタッフ 社員・アルバイトリーダー・アルバイトについて、人間関係や指示事項、動きについて観察する。また在籍人数や、曜日・時間帯別に適性人員がいるのか、早期退職者や異常退職者がいないか確認する。トレーニングや退職防止活動、個人評価がきちんと行われているかもチェックし、従業員満足度を確認する必要がある。
3.売上動向 曜日・時間帯別の売上分析はもちろん、競合の状況や、CSアンケートとの比較、商品別の売上も検証する。
4.利益分析 財務会計上の人件費・原価についての分析だけでは利益分析とは言いがたい。原価率は棚卸原価と標準(理論)原価の差を算出し、廃棄もどのような理由で何がどれくらい廃棄になったのかを確認する必要がある。

これらの項目を、幹部が一日かけて調べ上げ問題点を整理することで解決策が見えてくる。店舗チェックを外部に委託するのも良いが、自ら店舗を見る能力を高めていかなければならない。

 

(82)『商品貢献度分析によるコスト圧縮』

★主要メーカーは消費不振に対応して、以下のように重点商品に開発と生産販売を集中しコスト圧縮を進めようとしている。

<重点商品の判断>

(1)商品の4区分(商品回転率=売上高÷平均在庫高)

①高粗利益率・高商品回転率...かせぎ筋商品:利益を支える重点商品
②低粗利益率・高商品回転率...売れ筋商品:品切れに注意する
③高粗利益率・低商品回転率...もうけ筋商品:利益の大きい商品
④低粗利益率・低商品回転率...不利な商品:切捨てを検討する

不況期の重点商品の優先順位は、①→②→③(④は廃止)である。②と③で、売れ筋商品を優先するのは、不況期にはできるだけ在庫を少なくするオペレーションが重要だからである。

(2)交差比率・貢献比率

重点商品を数字で判断する手法が、交差比率(粗利益率×商品回転率)・貢献比率(交差比率×売上高構成比)の算出である。交差比率・貢献比率の高い商品が重点商品である。
 
<在庫圧縮によるコスト削減>

(1)在庫圧縮目標の設定と貢献度基準での削減

①圧縮目標の設定...過去3年の在庫高推移→月別・商品別在庫目標の設定
②商品貢献ABC分析...商品貢献度分析→ランク別の商品管理方針の確定

(2)在庫圧縮の効果

①保管料・保険料・倉荷料・運搬費の削減
②在庫金利(支払利息)の削減(※)
③長期在庫・不良在庫処分費の削減
④管理人件費の削減

※商品在庫は、販売代金を回収しなければキャッシュにならないため、仕入から回収までの間に立替払いが発生する。これを運転資金といい、銀行借入で対応するケースが多いため、在庫が多いと在庫金利負担が大きくなる。

コスト圧縮といっても、さまざまな手法がある。商品貢献度分析という着眼でのコスト圧縮に、これらの手法を参考にしていただきたい。

 

(83)経営者・幹部必見『中期経営計画を策定する意味』

1."わが社がどこに向かって進むのか"という道標となる
社員は目先のことだけでなく、会社の将来を見据えながら自分の人生を考える。今後、どっちへ行くのかもわからない会社では、大事な人生を送る上で不安である。社外的には例を挙げると、企業にしっかりとした明確な中期経営計画があることで、金融機関に安心感を与えることができる。
2.経営の舵取り(方向修正)ができる
現状と5年後の計画数値とのギャップが、企業が中期的に取り組むべき戦略的ギャップである。中期的な方向性の下、段階的に単年度ごとの計画があり、それと現実との差がわかるからこそ企業が基準(あるべき姿)へと戻ることができるのである。
3.環境変化により計画が大幅に変わる場合、修正・見直しを図ることができる
どのような経営環境になってもしっかりと利益を出すことのできる計画を立てておくことが必要である。また、どのコースにおいても1年目、2年目と数字に乖離が出てくることもあり、その際には毎年の実績を加味し、修正可能なものにしておくことも必要である。

中期経営計画とは、具体的な経営の羅針盤としての機能を果すものであり、健全な経営を行っていく上で大事なツールなのである。

 

(84)業績革新の着眼点『収益モデルを徹底していますか?』

企業における収益性の第一指標は総資本経常利益率(経常利益÷総資本)
この総資本経常利益率を分解すると、総資本経常利益率=売上高経常利益率{経常利益÷売上高)×総資本回転率(売上高÷総資本)
つまるところ、企業の収益性は利益率と回転率の掛け算なのである。

自社の収益モデルの勝ちパターンが「高利益率型」なのか「高回転率型」なのかを明確にした上で、その儲け方を徹底して追求していくことが高収益への近道です。

 

(85)経営者・幹部必見『リーダーのスキルアップ』

創業者であるA氏のトップダウン経営で飛躍的に成長を遂げた。A氏は亡くなる直前、B氏を次期代表者に指名した。カリスマ創業者の背中を見て育ったB氏から聞いたのが、「人間万事塞 翁が馬(この世の全ての幸福や不幸は変転し予測できないことのたとえ)」 という言葉である。

リーダーは、ありとあらゆる場面でさまざまな危機に直面する。そのような状況になれば「もうだめだ・・・」と思い、マイナス発想になりそうなものだ。しかし、今起きている災いも長い目で見れば、良いのか悪いのかは分からないのである。
B氏は常に前向き・プラス思考で、リーダーとしての魅力にあふれているが、カリスマ創業者のマネはできないと言う。しかしB氏は1年中仕事のことを考え、「何をするか(どのような事業展開をするか)」もさることながら、「だれがやるか」と「人」にこだわっている。

そのため採用にこだわりを持ち、優秀な人材を採用しようと、志望者に対して自社の将来的なビジョン(会社がどこを目指して走っているのか)や求める人材像を語りかけている。

さまざまな新しい事業分野に挑戦し続けるB氏に学ぶべきポイントは次の3点にある。

・リーダーとして常に前向き・プラス思考
・リーダーとは常に問題意識を持って、最も考えている存在
・リーダーの使命は、今の社員より優秀な人材を採用すること

B氏のリーダー論は一例であり、人それぞれに違ったリーダー論を持っているであろう。しかし共通して言えることは、

どの世界でも"一流"と言われる人は「常に勝ち続けるため」に今を賭けており、個人のビジョンが確立されているからこそ、逆境から逃げないブレない強さを持っているということだ。

経営者・経営幹部はリーダーとしての強さを備え、「感性」「バランス」「人間力」を磨き、スキルアップを目指していただきたい。

 

(86)業務改善の着眼点『執務基本の徹底』

事務職が身につけるべき"執務の基本"

1.デスクワーク ○仕事の優先順位を「お客様・上司・自分の仕事」の順で決める。
○不必要な書類は分類し、すぐに処理する習慣をつける。
2.情報連絡 ○受けた情報は、口頭の時も必ずメモする習慣をつける。
○情報を連絡すべき先と、内容、重要度、タイミングなどを考え手段を選ぶ。
3.書類への認印
  • ○書類には必ず日付と認印があり、ないものは書類とはいえない。認印を押印することは目を通した書類に対する「責任の所在」を明らかにすることであり、正確な執務をする上で必ず必要となる。
  • ○不明な点がある場合は押印せず、その内容を確認する。
4.ビジネス文書の修得 ○できる限り簡潔に書き、内容は原則として1文書1件。
5.社内文書の取り扱い
  • ○配布物には、各人がわざわざ開ける必要のないようにパンチ穴を開けておく。つまり相手の立場に立った姿勢をとる。
  • ○ホチキスは、左(または右)の上角の一個所に省略する。
6.メモの書き方・使い方
  • ○上司への伺いなど口頭だけではなく、要点を簡明にメモしたものをもって通知すること。
  • ○用件の確認、備忘、経過および措置を明確にし、後日の参考にするためのものである。 ○閲覧または処理を終えれば、作成者に返却する。 ○返事、所見、措置などその結果を朱記することにより、作成者に対して行き届いた処置となる。

 

(87)『人的生産性を高める事例』

不況に対して、生き残りをかけて、各社(中小・中堅企業において)対応を進めている。コストダウン推進のためには、スピードと実行力が必要である。今回は、生産性の改善を実施している実行事例を以下に紹介する。

A社は、生産性を調整するために、人員数・日数・時間(残業のカット含む)の3つの要素から受注高の落込みをカバーし、生産性を維持している。

理論上ではあるが、これまで残業2時間のところを残業ゼロで運営した場合、稼働時間は80%に抑えた状態になる。さらに、人員数を80名にすると総労働時間を80%に抑えた状態になり、総労働時間が最終的に64%の状態となる。
A社では、現在週休3日での運営をしているため、結果として受注高が40%ダウンする前より生産性が向上した状態となっている。人的生産性を高める改善は、社員の意識に起因する部分が最も大きく、改善するためには難易度が高い項目でもある。

一般的に、人は仕事量で時間が決まるのではなく、持ち時間に仕事量をあわせる特性がある。例えば、80%の仕事量でも100%実施するための時間がかかるし、120%の仕事量でも100%の時間で仕事をこなすことも可能である。生産性を上げるためには、120%の仕事量を与えるのが最も早い手法である。

受注高が減少した今、ムダに時間を費やすのではなく、思い切って工場(ライン)を停止させる施策も必要ではないだろうか。最近では、週休3日などにより助成金を申請し、対応する企業も増えている。一度、現在のわが社の人的生産性がどういった状態になっているか算出し、対応を検討いただきたい。

 

(88)『経営理念の見直しと明確化』

経営理念の明確な会社は強く成長している。そこで今回は"経営理念の本質"について探求したい。

企業は何らかの仕事をしている集団である。それでは原点に戻って"仕事の本質"とは何かを考えてみたい

経済活動が高度化し、発展する中で、カネがあると何でも手に入る時代になると「仕事はカネを稼ぐもの」と錯覚されるようになった。現在、仕事をそのように捉えている人も少なくはない。
しかし"仕事の本質"はあくまで「人の役に立つこと」「人の役に立つモノを作ること」である。
経営理念は"企業の本質"を踏まえて「自社の存在価値は何か。何をもって社会に貢献するか」を明確にすることであり、自社の経営方針・戦略より優先すべきことである。

関東にある中小企業のメーカーA社は、経営理念を「重量物を明確に計る」ことにして事業展開をしていたが、ライバルと競合する中で業績は厳しく苦戦していた。創業者から事業承継をした二代目経営者は、経営理念 を見直して「健康を正確に計る」とした。A社は従来の体重計に機能を付加し「体脂肪計」の開発に成功した。 このA社は、"企業の本質"である「人の役に立つモノを作る」を追求し、経営理念を変更、明確にして新しい商品づくりに成功したのである。

経営理念は経営の原点である。頻繁に変更するものではないが、環境が激変する中で見直しをすることも必要である。

 

(89)トップセールスへの道『目標達成する考え方と行動』

目標達成できない営業マンがいる一方、同じ条件で目標達成している営業もいる。彼らは、単に運良く達成しているのではない。タイプは違えど、自分なりの考え方や行動基準を持ち、人間関係をうまく築いている。その一部を紹介する。

○目標管理の考え方・行動基準

1.年間訪問件数(過去の訪問件数、平均受注粗利高を分析)

<例>

昨年目標:¥50,000/昨年訪問件数:10件

1件あたりの平均粗利¥5,000

今期目標:¥100,000/今期訪問件数:20件

まずは王道で訪問件数を増やす。物理的に無理と判断した場合、営業のレベルアップ、もしくは1件当たりの粗利額アップという選択をする。

2.B(ベース)、N(ニューベース)、S(スポット)という切り口で、どこでどれだけ稼ぎ、そのために何をするのかの作戦を練る。

B:どの顧客でどれくらい受注できるか
N:何を、どれだけやらなくてはいけないか
S:何件、いくらの見込みを出すか

3.その他(ライバルに差をつける)

スピード対応、痒い所に手が届く対応など基本的なことではあるが、顧客が「ライバル会社より心地良い対応だ」と思っていただくことが大切である。
○人間関係

仕事でいうところの人間関係とは、信頼を得て常に情報を開示してくれ、優先的に注文をもらえるような関係を築きあげている状態である。

1.会話力

普段から広く話題を収集しておかなければならない。こちらからビジネスに限定せずいろいろな話題をまき、反応の良い話で広げ、相手のガードを下げる。

2.企画提案

「本当に御社のことを考えています」という点が見える提案。見せ方はパフォーマンスのひとつでもある。「ここまでやってくれた」というものであれば信用を築ける。また、足りない部分はそれを叩き台にして情報を得る。

3.その他(ライバルに差をつける)

スピード対応、痒い所に手が届く対応など基本的なことではるが、顧客が「ライバル会社より心地良い対応だ」と思っていただくことが大切である。

 

(90)『経営組織形態(機能別組織と事業別組織)』

機能(職能)別組織,社長,生産,営業,経理,人事,事務
会社規模が小さい中では、権限を経営トップに集中し、強いリーダーシップと統率を発揮できるというメリットがある。

しかし規模が大きくなったり、職場が地理的に拡散した場合、経営トップが直接業務を把握できなくなる。すると現場との間にコミュニケーションギャップが生じ、正確・迅速な意思決定やその実行が困難になり、本来、機能別組織形態が持つメリット自体がデメリットになってしまう。

このような機能別組織の限界を打破しようと、次に生まれてくる組織形態が事業別組織である。

事業別組織,社長,A事業所,B事業所,C事業所

経営トップが持っている権限を各事業部のトップへ大幅に移譲し、各事業部があたかもひとつの会社を運営しているかのようにする。事業編成の基準としては、製品別、顧客別、地域別で部門化するのが一般的である。

組織形態に正解はないといっていい。それぞれの形態を自社に当てはめた場合に発生しうるメリットとデメリットを予測し、次の手を打っていただきたい。

 

(91)経営者・幹部必見『理念実践型経営への挑戦』

北関東でスーパーマーケットを展開するA社のB社長は、創業した父親の突然の死により十分な事業承継期間を経ることなく、経営トップの座についた。それまでのA社は経営理念もなく、方針も曖昧なまま、創業社長のリーダーシップによって経営されてきた。2代目であるB社長は、その属人的経営から脱皮し、真の組織経営へと進化させなければ、自社の成長と未来はないと確信していた。

そこでB社長は、自ら創案した経営理念とクレドを全社員に浸透させ、価値観を共有するため、月2回の研修を実施し、その中で自らの熱い想いをダイレクトに社員に伝え続けている。B社長のコミュニケーション能力の高さと研修の継続により、社員は徐々に変化し、自主的に経営理念とクレドを実践する組織へと変革しつつある。

経営方針発表会では、改めて全社員に経営理念とクレドの趣旨・目的、それを創案するに至った背景を説明し、全社基本方針を伝えることにより、一致団結して戦っていく組織体制が固められ、社員の意欲が高揚した。

"経営理念・行動指針は浸透しているか?実践する組織であるか?伝える場があるか?"今一度自社を振り返っていただきだい。

「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」(本田宗一郎氏)

 

(92)『即指摘ができる上司』

「即指摘・即実行」が、大部分の中堅・中小企業に欠けているように思われる。仕事上でのルール違反が発生し、上司がそれに気づいたとき、部下に対して即座に注意できるだろうか?

「後ですれば良い」とか、「今はそのタイミングではない」など、先延ばしにすることが多いのではないだろうか。このようなことが蔓延している企業が非常に多い。これでは社内に混乱を招くのは必然である。

「即指摘」ができるようになるにはどうすれば良いのであろうか。
  • ★社内ルールの違反が生じた"瞬間"に注意・指摘することである。遅くとも1時間以内に。
    • ★理由も明確にしたうえで注意・指摘するのである。

 

注意・指摘できない上司が多い
上司が弱すぎる。なぜだろうか?部下に嫌われたくない、うまく説明ができない、自分もできていない、などが代表的な理由であろう。

 

どのような状況になろうとルール違反はルール違反なのである。自信を持ってどんどん注意・指摘することである。それに対し、文句を言ったり、行動しなかったり、自分に不利益なことがあったりしたら、それはその会社の仕組み・考え方が悪いのである。そのような会社には自分を信じ、喰らいついて改革していく姿勢が必要である。

ぜひ、悪いことは悪いといえる上司になろうではありませんか!

 

(93)『使えないマニュアル・使わないマニュアル』

マニュアルの存在価値は、『標準化・平準化』のためのひとつのツールである。

使えない、使わないマニュアルは意味を成さない。では、何が良くないのだろうか。

1.視線が高い
マニュアルを使う側の社員の皆さんに伺うと、『わかりにくく、実際の業務とズレを感じる』という声が大半である。換言すれば『マニュアルの視線が高すぎる』のである。
使わせる側に聞いてみると、課長、部長といった幹部社員が作成しているがゆえに、『これ位は書かなくてもわかるだろう』という箇所を、全て端折っている。経験値の低い社員には『これ位』の箇所が生命線である。この部分をのりこえられずに挫折を味わう社員は多い。
2.方針・目標と連動していない
方針・目標は毎年変えているにも関わらず、動きを示唆するマニュアルは連動せず変わらない。 例えば、業務処理の生産性指標や営業の活動基準を変えた時など、それに連動したマニュアルに変えなければ、トップが望む行動にはなかなか結びつかない。それは現場=お客様に近い場所になればなるほどかけ離れてくる。
マニュアル作りも社員教育に威力を発揮する。とくに経験値の低い社員が作成すると業界・商品の勉強にもなり、初心者にも優しい、きめ細かいマニュアルができる。幹部がそれにアドバイスを与えることで、より実践的な指導ができる。

マニュアルを使いこなし、業績を上げ、それを評価され、分配に連動して初めて、社員はその存在価値と威力を認識する。今一度、目次から見直されてはいかがでしょうか。

 

(94)『態度能力を磨く』

企業人においてそれぞれの役割や仕事の成果を高めるために必要な態度能力がある。 主なものを層別にしてポイントを整理すると、次のようになる。

態度能力を磨くポイント

分類 心構え 行動基準
階層別 リーダー ぶれないポリシーを持つ 威風堂々の表情・姿勢・話し方
マネージャー 目標を設定しPDCAを回す メンバーとの積極的なコミュニケーション
ナンバーツー(補佐役) トップの弱点をカバーする トップへの緻密な報・連・相
職種別 営業パーソン 顧客との信頼関係を作る 声・笑顔・マナーと誠実な提案
生産パーソン 品質・コスト・納期を革新する 規律・安全・スピードの体得
開発パーソン 新商品・新サービスを創造する 柔軟なアイデアと独自のこだわり

これらに加えて、業種特性や各社ごとの求める姿を整理することだ。それをマニュアルとして作成し、全社的な基準として浸透をはかる。具体的には教育体系への織り込み、OJTの基準、さらには人事考課制度にもリンクさせることが大切である。

 

(95)企業体質改善の着眼点 『報告できる人、できない人」

★チームワークを高めて仕事をするために必要なのがコミュニケーションであり、正確な上司の判断に欠かせないのが部下からの報告・連絡・相談だ。

「報告」が満足にできていない企業が多い!
原因
まずは「自分で何とかしよう」「上司や周囲を巻き込みたくない」と考え行動する。

 

「お客様第一」や「会社第一」「会社の信用第一」の考えが優先するのではない。残念ながら「自分第一」「自分が一番」なのである。

これが「顧客(他人)のせいにし、自分を正当化する」状態になると、その後のクレーム対処である事実関係の確認、原因の追究や善後策、今後の再発防止策づくりの妨げになる。

解決策

報告・相談の重要性、目的や意義を理解させることだ。

<報告・相談の重要性・目的・意義>
1.業務の流れを円滑にする潤滑油である
会社・部門の共通目標に全ての流れを集約し、総合力を発揮させる神経系統である。
2.仕事の能力を向上させる場である
報告や相談を行うことにより、自分の仕事についてのやり方・考え方が整理され、また相手の考え方・要望を素直に聞くことが、成長につながる。
3.チームワークを学ぶ場である
相手の立場と考え方を知り、その中で自分の役割を考え、全社的な視野に立って自らが果たすべき責任を発見することができる。

自分を変え、リズムを変え、流れを変えるためにも、チーム全員を「報告上手」に生まれ変わらせよう。

 

(96)工場改善のポイント!『5S・ムダ取りによる生産性改善』

多くの工場を見る中で、改善が進まない工場に共通する課題には以下のようなものである。

○5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が定着できない
○高い目標設定と挑戦(改善)をしていない
○発注(指示)のあった量を作る意識が強く、時間生産性・リードタイムへのこだわりが乏しい
○在庫・仕掛品の削減対策が弱い
○工場と営業の連携が悪く、製販調整機能が弱い

工場管理の基本である5Sとは、何のために行うのか?
最大の目的は"ムダの排除"にある。
なぜ5Sを徹底するとムダ削減が図れるのか?

 

それは付加価値を生まない作業(歩く・探す・運ぶ・作り過ぎる・手直しする・不良を作るなど)を大きく減らすことができるからである。付加価値を生む作業とは、材料そのものに加工をしている瞬間のみであり、それ以外は必要ではあるがム ダな作業と定義できる。

また5Sにおける整頓(3T:定置化・定量化、定表示)を進めると、人の動きのムダ、物の停滞・運搬のムダが見えてくる。このムダを排除するのが改善の極意であり、リードタイム短縮、生産性向上へとつながる。

さまざまな改善委員会を立ち上げている会社があるが、基本である5Sを定着させることを最優先にしたほうが、改善成果がはるかに大きい。

生産現場における改善の基本的な進め方
 1.不用品の移動・処分
 2.道具類の定置化と置場表示
 3.消耗品・材料在庫の定置・定量化と表示
 4.仕掛品・製品在庫の定置・定量化、作業の流れ・物の流れの見える化
 5.汚れの発生源対策
 6.機械設備の点検・メンテナンス計画作成と実行

これらは全て5Sの実行課題であり、実行する中でムダ取り(仕掛品削減・リードタイム短縮)を行っていくのである。工場管理の基本に戻り、5Sの定着を一番の実行課題としていただきたい。

 

(97)『経営者の決断力』

~経営者が意思決定の際に陥る症状とは~

●優柔不断症
経営は意思決定の連続であり、決定は常にリスクを負う。しかし、決めるべきことを決めないことは、会社を潰す結果となる。したがって、優柔不断で意思決定をしない経営者は失格である。
●放し病
戦略や方針が決定されるが、その実行度が評価も見直しもされない決めっ放し病。さらに放置されると方針も仕組みも「自然死」する。
決断力
●決定事項の不実行
経営者が意思決定するが実行されない。決定は実行のスタートであり、実行されないことは組織に問題がある。とくに幹部人材と経営トップに意識のギャップがあり、現場に指示、情報が伝達されない。
●朝令暮改
現代の経営にはスピードが要求され、朝令暮改は意思決定に必要だとも言われるが、マイナスになる場合も多い。経営の意思決定が変われば、現場はそのことにより振り回される。決定事項に信頼感がなくなり、組織の実行力も弱くなる。

一般的な経営マネジメントの意思決定は判断力である。一方、決断とは意思決定する材料不足の中で、企業の存続を左右する大きなリスクをともなう判断、意思決定をすることである。経営者の陥る症状を意識した的確な決断力を養成しよう。

 

(98)『回らないPDCA』

PDCAが回らない要因は大きく分けて2つある。それはプランとチェックの段階に潜んでいる。

プランの段階での要因 「だいたい80%達成した」「ほぼ計画どおりできた」といった表現では、受け取り方はバラバラになる。正しくチェックするためには極力、数値化することが必要だ。達成率をコンマ以下のパーセントで表現できていれば、10人でチェックしても100人でチェックしても結果の認識は同じであるはずだ。
チェックの段階での要因

そもそもチェックの場がないというケースがある。またはチェックの場はあるものの、実際には結果確認のみで、正しいチェックになっていないということもある。

↓対応策

計画に対する差異を認識し、差異を埋めるために「誰が、いつまでに、何をするのか」を決定することが重要である。会議やミーティング、日常の報告・連絡・相談がチェックのための手段である。

組織を率いるリーダーが、計画達成の姿を具体的にイメージでき、部下に示すことができるかどうかが重要なのである。PDCAが回せない真の原因はスタートであるプランに中に潜んでいるのかもしれない。

 

経営ノウハウ(3)

(99)『リーダーシップの取れない幹部に未来はない』

<事例:年商約68億円、社員数約110人の卸売業A社>

B部長が就任した事業部は大赤字であり、部下全員が目標から逃げ、モチチベーションが低下していた。また会社のお荷物的な事業部であり、社長ですら「B部長でダメなら撤退しようか」と考えている状態であった。

B部長は現状を把握するため、部下全員と個別面談を行なった。部下から出てくる不平不満や愚痴の多さ、モチベーションの低さに驚きつつも、どこに問題の本質があるのか、なぜ赤字になっているのかを、事業部のデータなども分析しながら隈なく探した。

次に部下全員を集め、現状とあるべき姿のギャップ、また赤字脱却のために何をしなければならないのかをわかりやすく説明し、改善策を出した。 改善策には担当と期限が明確にされており、一つひとつ説明した後、頭を下げて協力を仰いだ。また、すべての情報をB部長に集まるようにするため、報・連・相(報告・連絡・相談)を部下に徹底させた。

「ピンチから逃げ出さなければ必ずチャンスになる」という信念のもと、B部長は「今、何が大切か」を常に考えながら的確に指示を出し、自ら率先垂範で部下に行動を示したのである。

そして1年後、数十万円ではあったが利益を出し、黒字を達成したのである。

B部長が逃げずに行なったことをまとめると、以下のとおりになる。

決めたことが実行されていない場合や、仕事から逃げた時には鬼になる一方、新規受注や単月の目標をクリアした時には仏のようにやさしくなり、部下と一緒に喜んだ。叱ると褒めるとをうまく織り交ぜながら、目的や目標に直面し、現実から逃げない体質をつくっていった。

1.トップの方針を理解(なぜ、自分がこの事業部を任せられたのか)
2.現状認識(問題の本質はどこにあるのか、第一ボタンを掛け違えないよう徹底的に分析)
3.改善策の発表(自らの事業部方針を立てた)
4.報・連・相の徹底を行なった(今、何が大切なのかを的確に判断するため。報告してこない部下には何度も何度も呼び出し報告させた)
5.率先垂範で部下に示した(ピンチから逃げない体質づくり)

"自分にも厳しく、部下には愛情をもって厳しく"を心がけることが大事なのである。リーダーシップの取れない幹部に未来はないであろう。

 

(100)『リーダーたるもの、前を見よ!』

人は変化できないことが赤字の原因とわかっていても、同じことを繰り返しているのである。

★ある会社では3年間赤字続きで、このままのやり方・行動ではだめだとわかっているのに、今までと同じマーケット、同じ顧客、同じ商品、同じ行動、同じ提案をしている。

原因
●「どうせ何を言っても社長(上司)は聞いてくれない」。
●新しいことを実行しようとする時、「これは前例がないから失敗すると思う」。
●「こういった理由でできないと思う」といった、できない理由を主張するリーダーが多く生息している。

問題点をそのままにしておくから弱みになる。問題点を把握し、解決する仕組みを構築すれば強みに変わるのである。

対策
●リーダーは、「どうすればできるのか」と考えていかなければ何も変わらない。
●今までしたことがないことを実行することで現状が変えられる。
●できないと思われることにチャレンジするから差別化になるのである。

リーダーシップとは・・・ 「今一番大切なことは何か」を的確に判断し、部下を前向きに動かし、結果として目標を達成させる総合力である。

 

(101)『物選び・人づくり・金づかい』

★企業経営は「物選び・人づくり・金づかい」である。時代が激変しているが、この三要素は変わらない原理原則だ。

1.物選び
企業経営の原点「WHAT」。何を事業とするのかが物選びである。自社の売上がダウンしているとすれば、市場環境・顧客ニーズにマッチングしていない証明である。企業は環境適応業であり、市場環境・顧客ニーズに合わせた「商品・技術・サービス」を開発・開拓することだ。
2.人づくり
事業戦略・商品戦略・技術開発戦略など立派な戦略を策定しても、「実行」するのは「人」である。人によって戦略成否は決まる。誰を担当にして、リーダー・責任者を誰にするか。人づくりの「妙(みょう)」である。
人は「経済的豊かさ」「精神的豊かさ」を求めて会社に入社する。経済的とは、賃金水準が他社と比較して若干高いレベルが必要であり、精神的とは社会的にも意義のある仕事をして、社内外から存在を認められることが豊かさにつながる。よくやった者への評価・分配のしくみが「人づくり」を左右する。
3.金づかい
企業の赤字は収益と経費のバランスが取れなくなった結果である。「出るを止めて、入るを計る」金づかいが必要。
財務三表と言われる貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)は企業経営の通信簿である。借入金は限度(月商3カ月分)を超えていないか、総資産利益率は何%か、自己資本比率は何%か、資金繰りに不安はないか?金使いの確認が必要だ。

 

(102)経営者必見『発想の転換と新事業』

この厳しい経済環境下でも「ピンチはチャンス」と考え、儲かる仕組み作りや次の事業を考えている経営者は多くいる。

A社は新事業を展開するのが非常にうまい会社で、社長にそのポイントを聞いてみたところ、以下の2点が大切とのことだった。

1.中小企業の幹部・社員は新事業を考えることはできても、何をやるかを決めて推進することはできないので、社長が新事業(何をするか)を決める。
2.何をするかを決めたら、新事業担当者に任せきるのではなく、自立できる所までは社長も一緒に汗をかいてすること。

社長が何をやりたいかがわからない時に、自社の幹部・社員の知恵を借りて実行するケースのほとんど
失敗
 

経営者がまず「何をやりたいか?」「何のためにするのか?」をよく考え、社員と一緒に行動することが大切である

 

(103)『企業体質を転換する5力』

経営環境が急変する中、自社の事業戦略の再構築を進めている企業は多い

どれだけ精緻な攻めの戦略を構築しても、それを展開するだけの企業体質が備わっていなければ、戦略の実行は図られないものである。

企業体質とは ・それぞれの企業で培われた社員の意識や行動スタイル
・経営者の価値観、業種特性
・組織体制
・評価の仕組み
・外部からのイメージ
・顧客の要求内容
などによって形成されるものである。

そこで提案したいのが「企業体質の転換」である

A社の体質転換5力
1.徹底力:会議の決定事項の実行度を、幹部が1週間後に店舗に訪問チェックする
2.変化対応力:全店舗四半期に一度、店内のレイアウト変更を実施する
3.現場力:幹部社員は月2回、店舗業務支援(店内販売業務)を実行する
4.共有化力:毎週1回幹部ミーティングを行い、現場情報を共有する
5.付加価値創造力:1人当たり月粗利100万円(現状70万円)に向けた取り組み強化

以上がA社の体質を転換させた「5力」である。あなたの会社の体質はどうであろうか?体質転換が必要であるならば、ぜひ自社の「5力」を見出すことをおすすめしたい。

 

(104)『"信頼"を築く3つの当たり前』

"信頼"とは特別なことではなく、ごく当たり前のことの積み重ねである。
言葉通り"○○さんを「信」じて仕事を依「頼」する"ことであり、社内外問わず基本動作ができていない人には仕事は来ないものである。

1.期限を守る
お客様に対して期限を守ることは当然であるが、社内における決定事項が期限どおりに守られていないことが多い。ひとつの仕事が遅れるとその後のアクションも遅れ、連鎖的に影響が出る。期限が決められている仕事は、どんなことがあってもそれまでにやり切ること。
2.質問に対して明確な回答をする
「○○の件はどうなったか」という質問に対して言い訳などに終始し、結局質問の内容に答えていないことが多い。 話は結論→理由→経緯の順で話すこと。
3.書類は正確に出す
やっつけ仕事や意欲に欠けていることが、書類の数字間違いや誤字・脱字の多さに表れる。出す前に自分でチェックし、第三者にもう一度チェックしてもらうこと。

以上3つのことはビジネスの世界では基本的で当たり前のことである。
「言われなくてもわかっている」「当たり前のことだ」と皆様も思われるでしょう。
しかし実際にできている人は少ない。安心して任せられる人とは「期限を守り、明確な回答をし、正確にすすめられる」人である。

 

(105)『5匹の鬼を従えよう』

★5匹の鬼をテーマに各々の着眼点を再度整理して、マネジメントのヒントに供したい。

1.「塊」(ターゲットとする客層というかたまりの決定)
団塊世代、そのジュニア、元気シニア、ミドル、ギャルなどの生活者の層、また大手、中堅、中小、零細などの規模別法人層や業種別の区分け。さらにアジア、中国、インド、都道府県などのエリア別もある。
2.「魅」(ターゲットに訴求する自社の魅力ポイントづくり)
品質、納期、価格、機能、効用、サービス、システム、人材などの要素を磨きながら、他社との違いを打ち出す力点を決め再構築する。
3.「魂」(トップやリーダーが迷わぬ魂を込める)
上層部に迷いがあれば、チームパワーを発揮できない。不退転で臨めるように、現状認識力と判断力を高めながら全エネルギーを集中させる。
4.「醜」(社会に背く醜い行為を防止する)
法律、ルール、マナーを守り、守らせる公明正大な風土を培っていく。 「法律は守るのが当たり前」という考えを浸透させ続ける
5.「魁」(他社にさきがけて着手し成功させる)
前例がないことに挑戦する勇気を持つ。成熟・衰退傾向を打破する「需要創造」への飽くなきフロンティア・スピリッツを奮い起こす。不便、不安、不快などの「不」に目を向けることで潜在ニーズ、ビジネスチャンスを発見できる。そして、すでに伸びている分野や新技術を自社に結合させることだ。

 

(106)『会議を見直す』

各社の会議に参加する機会が多いが、そこでよく遭遇する問題を紹介したい。
自社の会議改善のヒントとしていただきたい。

1.会議の開催日程が決まらない
毎月定例で開催される会議の日程が、開催日の1週間前になってようやく決まるという会社は多い。
せめて"来月の会議日程は今月決める"くらいの計画性はあっても良いと思うのだが、そうしない。
その理由として「その頃にならないと予定が立たない」ということをよく聞くが、このパターンだと忙しくなると会議参加率が間違いなく悪くなる。
さらに、直前で参加メンバーの日程調整をする役回りの人が必要になり、その調整の労力自体が無駄である。
2.時間生産性を気にするあまり、逆に議論が中途半端になる
「会議は1時間」と決めて行うのは良いのだが、所要時間を守ろうとするあまり議論が中途半端になっているケースもある。
戦略課題や営業対策などの協議は、1時間ではまとめきれないであろう。会議開催前の準備が不十分ならなおさらである。
難しい議題の会議は、時間を気にせず行える時間帯(夕方など)での開催といった工夫は必要だろう。
3.「何も変わらない」会議
「報告のみで議論がない」「結論が出ない」などがこのケース。
客観的に見て、"何が決まったのか""それで本当に業績向上や業務改善が図れるのか"疑問に感じてしまう。会議を振り返り、「誰が、いつまでに、何をやるのか」という要素がひとつもなければ、真の意味での会議とは言えないだろう。

 

(107)『企業体質改善の着眼点 全社で取り組む5S活動』

5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字から出来ている用語であり、ビジネスの世界で広く普及しているが、単なる社内の美化活動と誤解されていることが多い。5Sの真価は企業体質の改善にあると言える。
5S活動はその運用次第で、リーダー人材育成や組織風土改革を実現することが出来る。

全社的5S活動の成果

・組織としての全社員の意思統一
・管理職者と中堅クラスのリーダーシップ向上
・チームワークの強化
・方針や業務、在庫の見える化
・ムダの削減による業務およびスペースの効率化・・・など

 

(108)『非常事態時の経営計画を策定せよ』

これからの時代を生き残っていくためには、どのような経営計画が必要なのであろうか。

非常事態時の経営計画書を策定する際のポイントは、次のとおりである。

<見直しすべき着眼点とその内容>

販売・仕入・生産・資金・人員・投資・組織計画、関連・協力先との関係について、それぞれ見直しをかける必要がある。それぞれの内容については、営業収支で○ヵ月赤字が続いた場合は、○○までコストダウンを図るといった具合に、時間軸と実行内容を明確にして策定すると良い。

従来の経営計画とは、成長していくために目標を立てていけば良いものであった。すでにその考え方は過去の産物である。時代の流れが急に変化したとしても、それに合わせた計画をしっかり準備しておけば非常事態を乗り切り、これからの時代に成長もできるであろう。
この機会に「非常事態時」を乗り切れるような経営計画を策定していただきたい。

 

(109)自己啓発『"点火型"人間へ』

★自分のモチベーションをコントロールすることは非常に大変であるが、経営者に最も強く要求される能力は「パッション(情熱)」である。

情熱には次の5つの型がある。
1.自ら自分に火をつけられる「自燃型」
2.自ら燃えるどころか他人にも火をつけられる「点火型」
3.2の「点火型」にマッチを擦ってもらって燃える「可燃型」
4.全く燃えない「不燃型」
5.自分が燃えないどころか他人の火を消してしまう「消火型」

★当然ではあるが、経営者は「点火型」でなくてはならない。
★「情熱」なくして目的を達せられないのも明らかである。
★社員がヤル気を出すかどうかの8割が経営者の責任である。

社員の"業績をつくるピラミッド"

成果(業績),過程(プロセス),能力(スキル),姿勢(ヤル気)
左記図より、やはり情熱(=ヤル気)は必要であり、「自燃型」が望ましい。少なくとも「可燃型」でなければならない。
★社員からの不満のほとんどが愚痴に近い。 聞いている同僚たちのヤル気を削ぐ「消火型」の行為である。目の前の事象を前向きに捉えるか、後ろ向きに捉えるかは、その人自身の心の持ち方ひとつである。

 

(110)『企業体質改善の着眼点 3現・3即・3徹』

★改善・改革の心構えとして「3現・3即・3徹」という言葉がある。この意味は次の通り。

3現・・・現場・現実・現物 何かを変えたい!」と思ったら現状を知る必要がある。その時は、現場に出向き、現状の姿を捉え、具体的な事象を見て聞いてまとめるのである。そして全員が納得するまで原因をしっかり追求し、改善策を立てることが重要である。
そこまでして初めて3現が実行できたといえる。
3即・・・即時・即座・即応 「何か異常が起こった!」時には、すぐにその場で対応する癖をつけるべきである。異常だけでなく、「沢山の仕事をこなす時」もそうである。
すぐにその場で処理し、決して仕事を溜め込んではいけない。毎日コツコツと処理していけばほとんどこなすことができる。
3徹・・・徹頭・徹尾・徹底 「あきらめようかな?」と思ったら、徹頭・徹尾・徹底を自問自答していただきたい。これは「最初から最後まで徹底的にやりぬく!」、「とにかくやり通す!」という意味である。この迫力を常に抱いた前向きな人材が実に少ない。そのような人材を育て上げた企業は活き活きしていて風土も良い。また平均年齢が高くても活力があり、不況でもめげない強さがある。

★「3現・3即・3徹」を普段の仕事の中で意識し、実行したいものである。

 

(111)『どうなる?どうする?今が実力』

★自社を取り巻く環境変化が大きく変化している昨今、打開策を考える際


まず自社の正しい現状認識が必要である。

★なぜ赤字なのか?

原因は自社の商品・サービスの価値が顧客に受け入れられていないと考えること。
不景気で倒産する会社は世の中に1社もない。倒産するのは自社を取り巻く環境変化に対応できない会社であり、原因は会社の内部にある。

★ではその原因は何か?

1.強みが陳腐化している 会社には必ず他社にはない持ち味・強みがある。
圧倒的なものでなくとも他社と比較して優れている点である。
ただし過去の取り組みにしがみつき、進化させる努力がなくては、その他大勢の中の「価格競争」にあっという間に埋没してしまう。
「価格より価値」という土俵で勝負するためにも、磨くべき持ち味・強みをこの機会に社内で明確にすることだ。
2.弱みを磨く 従来からある強みだけで勝負できるほど、激変する環境変化は甘くない。
顧客により高いレベルアップを期待されている弱みを鍛える努力を怠ってはならない。
例えば、顧客からの要望への対応力が優れている場合、中小企業の営業現場では「呼ばれたら来る」とか「毎日訪問してる」といった基本的な日常業務活動だけでの優位性では、差別化は難しい。
訪問頻度より情報発信・提案力を求められている。
これらの全社的なバックアップ体制・底上げが必要だ。
3.開拓・開発に取り組む 需要予測をする。「もしこのままでいけば」という仮説を立て、業績の不足は何らかの取り組みで補わなければならない。今後どうなるのか?それに対してどうするのか? 今や成り行きだけでのオーダーやたまたま買う顧客は存在しない。本物しか生き残れない今が自社の実力と考えれば、必要な顧客数・受注量・販売高はどの程度か。そのように考えれば、新しい商品・サービス・取り組みの必要性が明確になる。

 

(112)『先行管理とスピード感』

★もし赤字体質であるなら、それを生み出している原因は何か?早期にその根本要因を見極め、改善していくことが重要になってくる。

原因
「先行で物事を考える力」に欠け、「スピード感がない」ことがほとんどである。
 
「先行で物事を考える力」とは、仕事のPDCAサイクルを回す意味において、来るべき業務量を考え、それを時間内に効率的に仕上げるのに必須の能力である。仕事の基本とも言えよう。

したがって会議ひとつにしても、その開催目的を考えるなら討議事項を決めたり、資料作成などが必要となる。その段取りを考えた場合、自然と毎月の開催時期が型決めされてくるはずである。

それが欠けているということは、組織全体が先行で物事を考える力が身についていないということであり、仕事のリズムが作れず、自然とスピードが遅くなってくるのである。

営業現場においては、攻めと守りの時間配分などのバランスが崩れるし、生産現場では生産計画を立てることができない。内部管理者においては、ムダ・ムラ・ムリが発生し、期限までに業務を仕上げていくことができなくなる。

※仕事の基本である「先行管理力」と「スピードある行動」をもって、黒字体質でこの難局を乗り切ろう!

 

(113)『自分自身の"強み"を認識しよう』

採用した新入社員の傾向として、以下の点を挙げている。

【業種:自動車販売業 年商:約200億 従業員:約400名】
  • 1.カーライフのソリューションを提供することが求められているのも関わらず、車をそれほど好きでない人が一部見られるようになった。
    (買手市場に環境が変化する中で、選ぶことができなかった)
  • 2.成長意欲は持っているが、役職にはつきたがらない人が増えてきた。
  • 3.給料は「ほどほどで良い」と思う人が増え、「実績主義よりもある程度は年功序列の方が良い」と考える人が増えてきた。
    (役職者になれば実績主義は止むを得ない)

これらより、近年の新入社員の傾向を表すキーワードは「ほどほど」と言えるのではないだろうか。

では、人材育成としてどのようなアプローチをしていけば良いのか。

個々の"強み"を本人に明確に認識させ、現場で活かせるように動機付けをしてあげることである。

早期に能力発揮をしてもらい、徐々に自信をつけてステップアップさせるためには、"弱み"を克服させるよりも"強み"を発揮させる方が、早く効果が見込めるであろう。

★"強み"を明確に認識させる方法★

1対1で今までの人生の中の成功体験を、インタビュー形式で語らせる方法である。

役割分担し、お互いに15分程度で良い。短時間でも自身の成功体験から引き出すので、自身で認識している"強み"と認識できていなかった"強み"が明確になる。その"強み"を現場でどのように活かすかということを考えさせるのである。

簡単だが効果の高い方法である。ぜひ実践されることをお勧めする。

個々の人間には必ず"強み"がある。

 

(114)『定時・定点で空間を切る』

一度来ていただいた方をリピーターや口コミで周りに宣伝していただけるようなお客様になっていただけるかが、成功の大きな分岐点である。

お客様はハードとソフトの両方を厳しく検証する。

教訓『定時・定点チェック』

『開店から閉店まで同じ品質でお客様を迎え、サービスを受けて(または商品を購入して)帰っていただく』ことに尽きる。
 
★店舗は時間の流れと共に状況が刻々と変わる。変化のスピードについていけないと店の外も中も荒れ、その荒れた状況をお客様は敏感に察知する。
定時・定点観測は、『いつ・どこに立ち・何を見て・判定し・その場、その時点で対処しきること』である。決してチェックリストに従いチェックするだけのことではない。長い時間をかけて行うことはできないので、店の時間を切り取る必要がある。

お勧めする取り組みは『5分で20個以上の"異常"を見つけることができるか』というチェックである

★これを毎日、定時に決めて行う。『何をチェックするのか、どの場所に立つか』ということを検証する過程で、しだいにお客様の視点に立つことができる。それはお客様に指摘された内容を、素直に再確認する行為に他ならない。

このように原点に立ち返ってこだわり抜くことで、お客様を固定ファンにできた店や業績が上がった店が増えている。

 

(115)『最も価値の高い仕事』

経営者や幹部にとって最も価値の高い仕事は
「社員の意識を変える」、もしくは「高いレベルで維持し続ける」ことだと考えている。

 

ところがこの"意識改革"が実に難しい。

部下の日常を思い出していただきたい。「報告をしない、整理整頓ができない、約束を守らない、時間にルーズ」など気になることはないだろうか?これら全ては人の行いであり、その行いはその人の意識次第である。実際ビジネスの世界では能力よりも意識の差が決め手となるケースが多い。

ところが、社員の懐に入ってまで意識を変えようとする経営者が意外に少ないのである。中間管理職などへの「人任せ」、あるいは「本人任せ」、しまいには「本人のせい」ということで諦めてしまっている。

もちろん、人は年齢を重ねるごとになかなか性格を変えられないというのも理解できる。しかしそれは、これまでの人生で経験したことが固定概念となって謙虚さを失くしてしまい、素直に人の話に耳を傾けたり、基本や原点に立ち戻れなくなったせいではないだろうか。言ってみれば年齢というよりもその人の意識の問題である。
さて、この意識を変えるには、それなりのショック療法が必要である。「タバコを止めなければ命を落としますよ」・・・医者からこのように言われたら、あなたはどうするだろうか。

「今のような考えや行動を真剣に改めてもらわないと、会社にいてもらう意味がないよ」・・・表現の仕方は考慮しなければならないが、こういった聞き流せないようなショックを社長や管理者が与えなければ、人は決して変わらないだろう。 本人が気づいて自ら変える(自己改革)ことに越したことはないが、それができないのであれば、上司が愛情を持って厳しく言い正すしかない。部下の意識を変える、高いレベルで維持させることこそ上司本来の仕事であり、それを避けてはいけない、逃げてはいけないということだ。

諦めてしまう前に、お互い真剣に向き合ったかを謙虚に反省すべきである。組織における改革は上層部から始まるもの。トップ自らが自己改革を行い、幹部の意識を変え、その幹部がさらに部下の意識を変える。組織の活性化は真に経営者・幹部にかかっている。

 

(116)『理念と実践』

理念だけでは生きられないが、理念がなければ生きる資格がない。

これは、理念が立派でも実践不足であれば生き残ることは難しいが、理念がないのなら「生きる資格」がないということである。

良い成果を獲得し続けるためのボルテージを保つには、
存在目的や使命をハッキリさせ、強い理念を持ち続けること。ハート、熱き思い、強い目的意識があってこそ、知恵と工夫のエネルギーも湧いてくものだ。

 

苦しい時、「何のためにこの仕事をやっているのか?」と脳裏をよぎったなら、
公明正大な指針が必要だ。
「ビジョン」「使命」「自己実現」という高い欲求の到達目標である。

 

★理念も実践も共に必要なものだ。それは、より多くの人々のためになる「良い成果」を実現するという使命感の確立と、現実的な問題解決のスキルアップに全社一丸となって取り組むことである。
上に立つ人の本音の利他精神と、不退転の実行力が強く求められる。

 

(117)『当事者意識が"ヤル気"を生む』

組織のために働く社員を育てたいと思うなら
社員が「自分が組織を経営している」という当事者意識を持たせることが大切である。
当事者意識とは働いている社員が「自分が主体的に仕事を動かしている」「自分が経営者の一人だ」と考えること。
そのような意識を持つと、自社の業績や仕事に対してさらに能力を発揮する。

 

社員に当事者意識を持たせるためのポイント
1.自社についての情報を与える
できる限り、自社の業績や経営陣が決めた情報を社員にオープンにする。
また、自社の歴史や会社の取り巻く経営環境などを考えさせ、自社の全体像を理解させる。
2.自社がどのように業績を上げているかを理解させる
自社の業績がどのように上がっているのか、顧客はどのような価値を求めて自社の商品やサービスを利用しているのか、それらがどのように自社の業績と結びついているのか、を理解させる。
3.新たなことに挑戦する行動を奨励する
失敗のリスクを恐れるのでなく、そのリスクを冒して新しいことに挑戦する ことを褒め称える。

社員には
 ★会社の方向性
 ★何のために自分達が仕事をしているのか
 ★自分の仕事にどのような意義があるのかを意識させること。

 

(118)『卓越したマネジメント力を身につけよ』

★卓越したマネジメント力を身につけることが必要不可欠になってきているが・・・

従来のやり方から脱却できていない企業の例
  • ●方針・目標がトップ方針と連鎖していない
  • ●管理指標が進捗率になっていて業績につながる指標になっていないために、目標を達成しても業績があがっていない
  • ●方針・目標管理もPDCAサイクル<Plan(計画)→Do(実施)→Check(問題点・原因究明)→Action(処置・対策)>をきちんと回さず、ひどい時には来年の方針・目標を策定するときに初めてサイクルを回す

方針・目標管理では、トップが経営方針・目標を設定し、それに基づき、各部門の管理・監督者が方針・目標を連鎖させる形で設定。さらに管理指標を達成すると業績があがるものにすることが必要だ。

管理サイクルを回すためにボードを利用し、ボードに方針・目標管理の書類をわかりやすく、見やすいレイアウトで表示・掲示する。その上でトップ、管理者が内容のレビューを行ながら、方針・目標管理のサイクルを回すことが必要である。

この活動の特色は、物と業務と管理を見えるようにしてマネジメントを行っていくことである。管理サイクルが見えることにより、PDCAの質が上がり、管理サイクルがスピードアップし、成果が上がるのである。

 

(119)『捨てる戦略』

P.F.ドラッカーがその著書の中で、「あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていない。そのために、あまりにわずかの企業しか明日のために必要な資源を手にしていない」と述べている。

急速に進行する陳腐化を踏まえ、成果を期待できない分野からの資源の引き上げを組織的に行い、資源を体系的に集中することが、成長戦略をつくる上での基本なのである。

「捨てる戦略」

1.コスト削減による、損益分岐点引き下げ戦略

(1)「顧客との取引条件の見直し」「仕入先の変更・集約・取引条件の見直し」等を行い、変動費の削減を図る。
(2)「組織のスリム化」「多階層の見直し」「営業拠点の統合」「人件費の削減」「借入金返済による金利削減」「設備費用の削減」等を行い、固定費の削減を図る。

2.止血による、収益拡大戦略

(1)本社費配賦前の赤字事業から撤退し、不採算を排除する。将来を見据えた健全な赤字事業であれば、撤退の対象とならないものもあろうが、客観的にみて「今、あえて推進する必要のないもの」「利益率の改善が見込めないもの」「トップの思いだけのもの」「片手間なもの」は撤退の対象となる。
(2)採算の取れていない「顧客」「商品」「エリア」からも撤退する。 これらの不採算を放置したまま事業を推進すると、本来注力すべき部分に経営資源を分配出来ず、事業の競争力が低下する。

捨てる」ことにより、今よりも収益体質になることを頭では解っていながらも、
・「過去からのしがらみ」
・「成功体験の踏襲」
・「現状を客観視出来ない体質」により、その意思決定がなかなか進まない企業は実に多い。

新たな可能性に経営資源を分散させる前に、日常を客観視し、「捨てる」による徹底的なウエイト・コントロールに取り組まれてはいかがだろうか?

 

(120)『数字へのこだわりを持ち続けよう』

皆さんは数字で話す癖がついているだろうか?なぜこういった質問をするかというと、数字で語れない幹部が非常に多いからである。

数字に強い幹部であれば、「対目標比で98.5%、昨年対比は101.7%。差額は24万円、Aランク情報は約200万円分あるので、確実に詰めれば目標を達成します」と、即答できるはずである。このような数字で語れる幹部は、5人中1人もいれば良い方だ。

売上目標があっても利益目標がないと

●利益額に意識が向かないのはもちろん、計数能力を高めることは難しい。
●いくら儲かったのかがわからない。
●売上げ重視だから、値引きをしてでも受注に走るであろう。

その結果


ベンチマーク先企業の売上高経常利益率、粗利益率、労働分配率などと比較して、自社が目標とする数値を明確にする。そのためにも数値に対するこだわりを持ち続け、部下にも数字で語らせるように教育を徹底していくことが必要だ。

 

(121)『チームを動かすリーダーの基本』

リーダーが抑えておくべき基本を考えてみよう。

<基本1>事実を正しく把握すること(現状把握)

ポイントは、現実・現場・現品の三現主義で事実を掴むこと、鳥が空を飛んで全体から餌のありそうな場所を探したり、草むらに下りてきて虫を捕るかの如く、視点の高さをスムーズに調節することである。

<基本2>共通のモノサシを組織に浸透させること(価値判断基準を明確にし、組織で統一しておくこと)

ポイントは、共通のモノサシを現場が分かる言葉で理解・納得させることだ。組織は、経験や体験が異なる社員が集まったものである。共通の判断軸がなければ同じ方向に進めないのは言うまでもないだろう。

これができなければピント外れの対策を立ててしまう

一度あなた自身を振り返ってみよう。
  • ★部下の報告を鵜呑みにし、自分なりに事実を確認するステップを怠ることはないだろうか。
  • ★モノサシを浸透させずに毎回異なるその場対応を繰り返し、部下から信頼を失うようなことはないだろうか。

 

(122)『"実行"が阻害される6つの要因』

経営の転換期といわれる現在、成長戦略の再構築をはかっている企業が多い。「いかに戦略を構築するのか」ということへの意識を持っていても「いかに実行していくのか」という"実行度"について対策を立てていなければ、戦略は推進されない。

以下に、実行を阻害する代表的な要因を記載する。

1.重点欠乏症 「あれもこれも」と取り組まなければならないテーマがありすぎて重点が絞り込めず、結果的にやり切れない。問題の本質は何かを掘り下げ、「あれかこれか」で重点策を絞り込むこと。
2.方針展開欠乏症 会社方針を部門(チーム)に具体化することが出来ず、具体的にどう行動していくのかイメージが沸かずに実行力が低下する。部門方針策定のチェック機能、部門長・リーダーの方針策定能力を向上すること。
3.コミットメント欠乏症 戦略・方針・目標に対して「やらされ意識」が強く、主体的行動することが出来ない。第一線の社員が目標設定に参画するなど、理解・納得させることに注力する。
4.人材欠乏症 実行できる人材が配置されなければ、どれだけ素晴らしい戦略・方針でも推進されない。中堅・中小企業は人材不足なので適材適所の配置は難しいが、「過去の成功者へのこだわり」や「過度に能力を超えた」配置は戦略推進を低下させる。
5.プロセス管理欠乏症 どんなに精緻な計画を立てても、組織に管理能力が備わっていなければ機能しない。戦略・方針と同じく「あれもこれも」管理するのではなく、重点管理項目に特化することが重要である。
6.人材力向上策欠乏症 どれだけ方針どおりに行動し成果を上げても、それが適正に評価され、処遇にも反映されなければ社員のやる気を落としてしまう。また、日常における上司のフォロー(意欲・能力不足へのフォロー)も実行力を高めるため必要である。

 

(123)経営者必見『粗利率へのこだわり』

建設業界はどちらかというと粗利額発想であり、一人当たり月間200万円の粗利額を稼ぐという生産性基準を中心にマネジメントされているケースが多い。
このやり方はシンプルでわかりやすく管理コストも低いため、営業パーソンに目標を達成する力がある場合は良いマネジメントである。

しかしながら、「額」発想は「低粗利でも受注すれば良い」という考えになり、率を下げて受注することが慢性化すれば、結果的に生産性を下げ、企業としての競争力を失っていくことになる。
粗利率は利益の第一ボタンであり、競争力を表すバロメーターでもある。

粗利率低下の要因
1.トップが粗利率に対する関心が低い
経営者が"値決めは経営"ということ理解していない「トップの理解不足」
2.営業がライバルに仕事を取られるのが怖くて価格を下げすぎている
受注したいがために、勝手に値段を下げている「営業力不足」
3.粗利をコントロールする仕組みがない
粗利率を管理職がチェックしていない「管理力不足」
4.お客様の言いなりで値下げしている
競争力がある商品にもかかわらず、相見積りと言われて簡単に値下げしている「情報収集力不足」
5.商品戦略や競争力のある商品がない
市場の新商品を常に探していないという「商品力不足」
6.見積りでは儲かるはずであったが終わってみると赤字である
当初は大丈夫という報告であったが、結果は赤字という「原価管理力不足」

 

(124)『幹部社員を昇進させるポイント』

幹部社員昇進の最大のポイント
「経営者の価値判断に近づいた」と経営者が感じた時である。
 
重要なのは「売上が大きく落ちたことに対する危機感を、どれだけ幹部社員が持てるか」である。 つまり「マーケットをどう見るか」である。

その年だけの傾向なのか、今後もこの傾向が続くのか。続くのであれば、消費構造が変わってきているのであり、マーケットの縮小は進んで行く。
その場合、ここで来年の夏に向けての抜本的な対策を打たなければ、今期の業績だけでなく、来期の業績にも大きく影響するのである。

背負っているものが違う中で、トップと全く同じ価値判断基準を持つのは難しいが、近づかせることは出来るはずである!

 

(125)『お客様を知り客数を伸ばせ!』

小売業において売上高=客数×客単価という公式


客数×客単価どちらを優先すべきか


客数である

小売業のみならず全てのビジネスの原点は客数にあるのではないだろうか。
利益はお客様からによってのみもたらされるということは自明の理となっている。

損益分岐点客数
1.自社の存続のために必要な客数は何人なのか
2.何人のお客様の支持が必要なのか
3.今日は何人のお客様の要望(ニーズ)に応えることが出来たのか
4.お客様の支持を得られていない原因は何か

★全ての資料・フォーマットは「お客様を知る」という視点で作成されていなければならない。

大切なのは、自社の存続に必要なお客様の支持数は何人なのかをつかんで、日々の活動の中心に「お客様の視点」で考える習慣を身につけることにある。

 

(126)『社員の「不安感」を「不足感」へ』

先行きの見えない不安な時代だが、社員の「不安感」を「不足感」にうまく転換することで、元気に活動している企業の事例を紹介したい。

T社の顧客が属するマーケットが今後激減していくことが予想されるなか、社員は不安感を抱えていた。

そのため、今後の対策を検討する場が設けられた。会議に参加した社員の発言を要約すると「会社が方向性を示してくれないから、どう動いていいかわからなくて不安である」というものだった。これに対して社長は激怒した。

なぜなら、常日頃「どういう新しいお客」に「どういう自社の特殊工法」を提案するようにと、口酸っぱく言い続けていたからである。それが全く理解されていないのかと社長は嘆いた。

このような事態になった原因は、トップの出した方針が具体的な形で個人の日常活動にまで落とし込まれなかったことにある。会社の方向性をより具体化する方策を検討することとした。

主な内容
  • 1.新規案件の売上利益目標を明確にして、現状の5年計画に織り込んだ
  • 2.その数字に基づいた個人毎の毎月の行動数字(新規受注件数、新規提案件数、新規訪問率、新規に割く業務時間の目安等)を設定し、月次管理を行った

社長は「個人別の数値計画を必達すれば、必ず成長を継続できる」と力説した。 目の前の目標が明確になれば、そのギャップを埋める努力は可能である。まさに「不安感」を「不足感」にうまく転換できた好例と言えるだろう。

 

(127)『チームの完成度を高めよう!』

★企業において、まとまりのある完成度の高いチームをつくることが、強力なライバル企業に競り勝ち、競争力をつけていくことに繋がるのではないだろうか。

チームの完成度を高めるために必要な「チームマネジメントの心得4ヵ条」を記載する。

1.事前準備 サッカー日本代表においては、環境対応や強豪国とのトレーニングマッチなどの事前準備が思い出される。本番を想定したあらゆる準備を徹底的にすることで、納得性が高まり迷いがなくなる。そして課題を危機意識として共有することができる。
企業においても、リーダーはメンバーに危機意識を強く持たせ、チームワークを高める策を講じることが必要である。
2.ぶれない信念 チームが立てた目標に対し、リーダーはぶれずに闘うことが大事。ワールドカップ前の4連敗で、多くの批判を受けた日本代表であったが16強入りを果たした。目先のことでぶれていては逆境時に結束するのは不可能であっただろう。
環境条件は常に変わるのが世の常である。変化に対応するために戦術を変えて批判を受けようとも、リーダーは信念を貫くことが重要である。それにより逆境時も全員で目標に向かい、計り知れない底力を発揮する。
3.決断力 リーダーは"タイミングを逃さず、いかに決断ができるか"が重要である。最終的にその決断は賭けだが、リーダーの本気度はメンバーにすぐ伝わるものである。 決断したことに邁進する前に迷いが出てしまうリーダーは、それによってどれくらいチームの推進力が鈍り混乱するかを考えていただきたい。決断の意味を再確認し優柔不断を是正し、決断力を磨くべきである。
4.モチベーション チームが勝つために自分たちで何をするべきかを考えて動き、最後まで競争原理を持ち込みながら、勝利という目標のために結束し、チーム全員が高いモチベーションで闘う環境をつくった。これはベテランの控え選手がそのようなムードを作っていったことが大きい。企業に置き換えると、トップの考えをリーダーがわかりやすく部下に伝え、各自の役割と責任を理解させ、いかに全員で闘う雰囲気をつくれるかである。モチベーションの低い社員には、立場を理解した上でのアドバイスが効果的である。

 

(128)『老舗の秘訣』

★日本は、世界の中で老舗企業の多い国として知られています。老舗の老舗たるゆえん、これには色々な条件や要素が考えられますが、私は次に紹介する二つの言葉に集約できると思います。

『伝統は革新の連続』 単に伝統に甘えることなく、時代に合わせて変えていく(=革新)ことができているからこそ、長く続いているのだと思います。
『老舗っていうのは、客を大事にする店のことを言う』 利益を大事にして顧客を大事にしない企業が、社会から大事にされるわけがありません。

皆さま方の会社では日々、問い直していますか?
「自社は変化しているか?」
「自社の真の顧客は誰か?」
「その顧客が認める自社の提供する価値は何か?」
「自社の顧客をどんなに大事にしているか?」
 

どうやら、これを繰り返すことが100年、そして500年続く秘訣のように思います。

 

(129)経営改善の着眼点『業績責任を果たすとは』

業績をつくるとはどういうことか?
それは利益を生み出す全ての経営条件を整備することである。

 

業績責任とは?
ある会社の経営幹部は、自拠点の業績が悪い原因を販売力・商品力が弱く顧客基盤が悪いためだと嘆いている。この幹部は業績意識が欠けている。 与えられた条件でいかに業績をつくるか、利益を上げるかを考え自分の役割を果すこと。

 

★部門経営者としての経営意識を持たなければ責任はまっとうできない。

そのためには


★トップと同じ方向感覚(価値判断基準)を持つ、常にプラス発想で考える、現実処理能力+理想掲示能力を高めることが必要である。

以下の経営のバランス感覚を養っておかなければならない。
○攻守のバランス(営業・投資と管理)
○環境のバランス(市場動向・社会変化)
○時間のバランス(将来と現実のギャップ・先を見る目と今を見る目)
○経営資源のバランス(人・物・金・情報の有効活用)

★経営幹部は自社の経営基盤の現状をしっかりと把握して整備強化をし、 トップと価値判断基準を合わせていかなければならない

 

(130)『事業戦略は「選択」と「集中」』

★運送会社のM社は、事業を「選択」し、「集中」させて好業績を残している。

1.専用車輌への切り替え 従来の万能トラックではなく、重い・長いに特化した車輌への切り替えを図り、専門技術・ノウハウを構築。経験を積むことで荷物の特性を熟知し、さらなる運送品質を高めている。
2.コスト価値をかえる車輌の導入 通常、荷物を運ぶシャーシ(車輌)は20tであるが、M社は大重量の30tシャーシを導入した。80tの資材であれば20tシャーシ4台が必要であるが、3台で可能となった。1台あたりの単価はあがるが、使用台数を減らすことができたのである。 顧客視点で考えれば安全でコストをかけたくないものである。だからこそ1台あたりの単価はあがっても、トータルではコストダウンになる。
"tあたりいくら"が取引の常識である業界において、顧客のコストダウンに貢献している。
3.営業プロジェクトの立ち上げ 自社の品質体制、エコへの取組みなど、他社とどう違うかの資料を作成し、新たな顧客開拓に閉鎖的な業界の中で営業機能を強化した。

事業戦略は、T(テクノロジー:固有技術)×M(マーケット)である。自社が誇る技術(商品・ノウハウ)をどのマーケット(市場)にぶつけるかである。だからこそ、自社の誇れるものを集中して磨き上げ、どのマーケットを選択するかを見極める「選択」と「集中」が必要なのである。

 

(131)『活きた事業計画書をつくる3つの視点』

★事業計画書は戦略の設計図である。そこには経営者の「意志」がなくてはならない。あるいは、目標に確実に辿り着く具体的な道筋が描かれてなくてはならない。

~未来を照らす事業計画をつくるための3つの視点を考える。~

1.社会性~顧客の視点 まずは会社の軸をしっかりと定める。「わが社の存在価値」は何か?事業計画は数字の羅列であってはならない。数字は手段。その先の「生きる目的」がなければ、計画は無機質である。わが社は誰にどんな価値を提供する会社なのか?
スターバックスはコーヒーを通じて「サードプレイス(第3の場所)」を提供する。そのコンセプトはライバル他社と一線を画した価値を生み、従業員も活き活きと働き、顧客から愛され、社員からも愛される会社になろう。
2.戦略性~経営者の視点 社員がやる気になるために、計画はチャレンジングでなければならない。
先行きが見えない経営環境にあっては、現状の延長線上で考えると現状維持が精一杯となる。そこからは小手先の対策しか出てこない。
まず、「あるべき姿」を描こう。それから逆算して何をすべきか考える。現状とのギャップが戦略テーマであり、そこに抜本改革の知恵が眠っている。ユニクロを経営するファーストリテイリングは5兆円企業を目指している。戦略経営の極みと言えよう。
3.蓋然性~金融機関の視点 どんなに崇高なコンセプトを掲げても、いかにチャレンジングな戦略を描いても、「画に描いた餅」では意味がない。金融機関の視点で確実な策を講じることも重要。売上アップは「相手ある」の話なので、蓋然性は低い。社内でできるコストダウンの着眼が必要である。

 

(132)『大局観・戦略発想を鍛える』

自社の幹部の力量について、大局観や戦略発想の乏しさを嘆く経営者は少なくない。そもそも幹部は所属部門のマネジメントが主たる業務であり、日常の中で自社が置かれている環境や戦略展開について考える機会は皆無に等しい。大局観・戦略発想を鍛えたいならば、それ相応の機会提供が必要である。

~A社の事例を紹介したい。~

A社では毎年10月、来期方針の策定に向けたプロジェクト(名称:戦略策定プロジェクト)が発足する。それは、経営陣の指名を受けた各部の幹部・中堅社員10名程度で構成され、10月から12月にかけて3C分析(顧客・同業他社・自社の分析)、所属業界の動向分析、中長期ビジョンの確認、今期方針の実行状況チェック、SWOT分析などを行う。

プロジェクト会議は週1回のペースで開催され、普段は自部門の業務に没頭しているメンバーが、自社全体のことをさまざまな角度から分析する。

その分析内容は経営陣に上申され、1月初旬に開催される社長の年頭所感発表会でオープンになる。その内容と社長の年頭所感を踏まえ、各部の部門長は自部門の来期方針を作成するのである。
プロジェクトのメンバーは、年によって数名が入れ替わるため、数年内で少なくとも一度は、全ての幹部が全社的な視点から自社を分析し、戦略策定をする機会を得る。

そしてそのプロジェクトが、部門横断的な情報交換機能と、経営陣が志向しているビジョン・戦略・方針の理解促進機能を発揮していることに感銘を受けた。

★各社で是非展開していただきたい素晴らしい取り組みである。

 

(133)『どうして資金計画が必要なのか』

★決算書は重要でありながら決して万能ではなく、以下のような点には留意が必要である。

<貸借対照表> ・財産状況は分かるが、決算日当日の状況しかみえない
・借入金の返済計画がみえない
<損益計算書> ・投資の負担と回収状況がみえない
・借入元本の返済負担がみえない

つまり貸借対照表と損益計算書は、法人税などの税金計算には向いているが、資金不足を回避するための分析には向いていないのである。

★資金不足を回避するには、以下を明示する予想資金計画(キャッシュ・フロー計画)が必要で ある。

◆予想収入で全ての支払ができるか、また余裕資金はいくらあるか
◆いつ、いくら現金が不足するのか

予想資金計画は資金不足を回避するだけではなく、たとえば営業・製造などの各部門にキャッシュ・フロー目標を設定させることにも活用でき、在庫削減にも繋げることが可能である。
これらの理由からも資金計画は必要である。

 

(134)『魅力ある会社づくり』

★社員が会社に不満や不信を抱いて、お客さまの期待に応えられるわけがない。顧客満足(CS)の実現を望むなら、社員満足(ES)を優先し、魅力ある会社作りを目指していただきたい。

魅力ある会社の第一の条件
「経営者が魅力的であること」
小企業の場合は、経営者に起因するところが大である。
魅力ある経営者とは
「若  さ」・・・ 事業への「志」「情熱」「バイタリティ」などから来るものだ。
「包容力」・・・ 自分に対する徹底的な厳しさと他人に対する寛大さ、温かさから生まれるものだ。つまり人間の器の大きさである。それが強烈な求心力であり企業の魅力でもある。

 

魅力ある会社の第二の条件
「会社の将来性」
会社の将来性は何によって判断するか。
⇒一般的に「収益性」「生産性」「安定性」など。
しかしこれらの指標は、会社が過去に打った戦略の結果である。企業成長力の要になるものは、事業開発投資・商品開発投資・人材育成投資などの戦略的先行投資ができているかである。
成長する会社は、事業開発・商品開発費として売上高の2~3%、人材育成費は人件費の2~3%を予算化して、計画的に実施している。

 

(135)『"やりきる"組織への変貌』

★ほとんどの経営者は「マネジメントにおいて"PDCA"が大切」と認識しているであろう。だが多くの会社がP(計画)とD(実行)で終わっている。ではC(チェック)とA(改善)を推進し、階段を一歩一歩上るように、積み重ねるマネジメントをしていくにはどうすればいいか。


会議の議事録にある。

項目は「問題点」「対策」「担当」「期限」「チェック」の5項目のみ。
会議において挙がった問題点や取り組むテーマなどを「問題点」の項目に記載し、それに対する実行具体策、担当、期限を記載。チェックとは担当者の実施をチェックする者で、通常上司になる。

この議事録を次回の同会議において全てチェックし、完了したものについては削除、やり方を変えるべき項目については修正、新たな事項は追加する。このようにして、常に議事録を加筆修正し、やるべきことは何か、マネジメントすべきことは何かを常に明確にしておく。

  • ★「議事録のおかげでプレッシャーは大きくなったが、やるべきことが明確になった」
  • ★「誰がいつまでに何をやる」と文字で残されると、逃げ場がないためプレッシャーは大きくなる。しかしチーム会議では、リーダーからの微修正はあるものの、やるべきことと期限は自分で決めるので、モチベーションも高く維持できるのである。

★このように議事録は、PDCAを推進する上で非常に効果の高いツールである。

 

経営ノウハウ(4)

(136)『組織に活力を与える12ステップ』

経営方針とは
あるべき未来を実現するために、この1年の戦い方を共有すべきものである。不透明だからこそあるべき姿を明確にし、組織に活力を与える必要がある。

 

ステップ1 存在価値の再確認
わが社がなくなれば誰がどのように困るのか。この1点を常に明らかにする姿勢が方針策定のスタートになる。
ステップ2 ビジョンの設定
あるべき姿を具体化する。企業経営は厳しいマラソン競争であるが、ゴールのないマラソン競争が存在しないのと同様、目的なき経営があってはならない。
ステップ3 先見する
過剰と不足、主役交代などの変化・進化の潮流を正しく認識する。
ステップ4 現実の直視
顧客は変化、進化する以上、企業価値と顧客価値には常にギャップが生まれる。この事実から経営者は逃げてはいけない。
ステップ5 目標の設定
設定目標は2つ。1つは中長期的な到達目標。そしてもう1つは短期的な勝てる目標の設定である。中長期ビジョンの実現には、勝てる組織が必要でなる。それは勝ちグセから生まれる。なぜなら勝つことにより強くなるからである。
ステップ6 戦略の策定
どのポジションでNO.1となるかを明確にする。そのために「やらないことを決める」ことが欠かせない。これが戦略である。
ステップ7 組織化を行う
組織は戦略に従う。誰がやるかを明らかにする。
ステップ8 年度経営方針の策定
上記7つのステップを踏まずして策定した経営方針で、1年間組織が戦うことは難しい。
ステップ9 実行具体策の策定
具体的ステップと6W3Hは欠かせない。この際、大切なのは『プラン2』の準備である。これから実施する具体策を『プラン1』とすれば、それで達成できない場合の策。それが『プラン2』である。
ステップ10 方針管理の実施
少なくとも四半期に一度は方針管理を実施し、進捗状況を正しくチェックしなければならない。
ステップ11 修正と実行
目標未達の場合は、直ちに『プラン2』を実行に移さなければならない。 方針書は作品ではなく、目的達成の手段である。
ステップ12 信賞必罰

★構造転換期において、正しく方針を策定・運用する企業が「勝ち組」となるのだと認識したいものである。

 

(137)『"原因"と"手段"でピントを合わせよう!』

★部門方針、個人取り組み事項を作成する際の注意点を紹介したい。

会社の方針には「中期ビジョン」→「年度方針」→「部門方針」→「チーム方針」→「個人取り組み事項」という流れがある。

まずは「中期ビジョン・年度方針」と「前期の部門の反省」を踏まえて落とし込んでいく。
その反省時、"原因"と"結果"でとらえることがポイントである。反省の多くは、「売上高が昨対95%と未達であった・・・」とか「粗利益率が○○%と低迷した・・・」という"結果"ばかりを注視した内容になっているが、本当に大切なのは"原因"である。 それを反省欄に記入し、来期の対策へと活かすのである。

取り組み事項(実施事項)におけるポイントは、"手段"と"目標"で押さえる。
取り組み事項(実施事項)を作成するとなると、"目標"ばかりを記入する人が多く、その手段がよくわからな いケースが非常に多い。 例えば、「新規開拓○億円」、「新規訪問○件」、「コストダウン10%」等々。意気込みとしてはよくわかるが、上司やトップはどうやって達成しようとしているのかが一番知りたいのである。『"手段(プロセス)"がわからないのに、"結果"は信じられない』である。

★来期、何を重点に動くか?会社の利益向上のために、今、何が大切か?また、どうしたら持てる力を発揮できるか?──"原因"と"手段"を踏まえて考えていただきたい。

 

(138)『業績を正しく生み出そう』

★売上約30億円の卸売業A社がある。A社は1年前、あ と2ヵ月で資金ショートという倒産の危機寸前のところにいた。しかしな がら、役員以外は誰もこの現状を知らなかった。

そこで幹部全員と面談し、改革の火種となりえる人を探した。また危機感を共有してもらうために、業績数値を幹部以上にオープンにして、現状を詳しく説明した。現状を全く知らなかった幹部にとって非常にショックなことであり、当然のことながら青ざめていた。

収支バランスを取るために、人員削減を含む固定費削減を進める一方で、黒字にするためにはいくら売上が必要なのかを明確にした。幹部メンバーを筆頭に、目標売上数字に対して差額がどれだけあるのかを毎日徹底的に意識させ、その差額を埋めるために何をしなければならないのかを考え行動させた。

3ヵ月後、営業努力の甲斐もあって、単月黒字が32ヵ月ぶりに達成できた。単月黒字を発表した時には大きな歓声があがった。まさしく社内全体が同じ方向を向いて、目標に対して真摯に取り組む姿であり、バラバラだった組織がひとつになった瞬間である。全社員が笑顔になり、社内の空気が3ヵ月前と180度変わっていた。

あるべき姿と現状とのギャップを明確にすることで"正しい危機感"を与え、部下を同じ方向にどれだけ正しく向けられるかが、業績を正しく生み出す近道である。

1+1=2では組織は成り立たない。1+1を3や4、あるいはそれ以上にするために何をしなければならないのか。これを実現するのが幹部の役割である。

 

(139)『"経営のバックボーン"に歪みはないか』

経営方針について聞くと
  • ・「毎年内容があまり変わらない」
  • ・「経営計画書は年に数度しか見ない」
  • ・「実行したかどうかの評価をしていない」
  • ・「そもそも具体的に何をするかが明確となっておらず、評価できない」

 

経営とは
  • ★トップの考えを、幹部を通して、社員全員の協力(日常活動)により実現させること。その設計図を個人の行動計画まで落とし込まなければならない。

 

組織の設計図

○経営理念(存在目的、使命は何か)
○ビジョン(夢、目指すべき姿は何か)
○戦略(勝てる場の発見と勝つための条件づくり、競争優位の確立)
○目標(中期経営計画の作成)
○組織(戦略を実行する体制づくり)
○年度計画(全社方針を部門方針⇒個人目標へと落とし込む)
○実行と成果(PDCAにより計画を確実に実行)
○評価・分配(行動・スキル・成果を評価、給与は高く人件費は低く)

★ビジョンや戦略が不明確な企業は、目先の業績が中心の行動となり、企業体質そのものを変えていくという発想が不十分となる。単年度経営の弊害であり、目指すべき企業像へ体質強化させていく力、将来の業績のための行動がとれていない状態となる。

自社の、戦い方の設計図として再設計が必要ではないか、今一度見直していただきたい。

 

(140)『チェンジリーダーの条件(その1)』

ピンチをチャンスに変えることのできるリーダーを「チェンジリーダー」と名付けている。
通常、ピンチに遭遇したときにどのような対応をはかるかで、次の4タイプのリーダー像に分類できる。

1.PO(ピンチ・アウト)型 想定を超えるピンチ状況を迎えると、たちまち悪い結果を引き起こすタイプ。
リスクやクライシスへの感度が鈍く、修羅場体験も少なく、性格的にも弱い。
経営面では一極集中のスタイルが多い。つまり、得意先、商品、人材、立地、方法などが特定の部分に集中したままになっているケースだ。
2.PP(ピンチ・ピンチ)型 何とかしなければ危うい」と気付きながら、抜本対策が打てずに手をこまねいたまま、ジリ貧状態を招く優柔不断なタイプ。「ピンチだ。変えなければ」と口にするが、有効な実行具体策が出せない。
社歴の長い経営で、財務面での余裕があるケースに多く見られる。
3.PW(ピンチ・ダブルピンチ)型 行動力はすばらしく率先垂範で「良いと思えること」を矢継ぎ早に実行する現状認識力(問題の本質をつかむ力)が不足しており、成果につながらず、傷口を大きくしてしまうタイプ。行動優先の良き社風だが、構想力に欠け、右往左往する経営となる。
4.PC(ピンチ・チャンス)型 結果のみを求めすぎることなく、問題の本質を「原因→プロセス→結果」の流れでキチンと急所を押さえることができる。バランス感覚(大局観)と柔軟な発想力、さらに先見力を持ち、早めの対策を整然と打てるタイプ。
これが「チェンジリーダー」であり、ピンチをきっかけに組織のバージョンアップを成し遂げる経営を行う。

 

(141)『チェンジリーダーの条件(その2)』

★ピンチをチャンスに変えるチェンジリーダーが備えるべき心技体は"3V"で表わすことができる。それはVenture、Value、Vitalityの3つのキーワードである。それぞれを充実する方法は次の通り。

  • 1.心(Venture)
    ベンチャー魂というチャレンジ精神を持つ
攻め7割、守り3割。ゼロベース発想で挑む。そのために、

(1)「自分がやる」という覚悟をして退路を絶つ
(2)リーダーとしての目的と使命をハッキリさせる
(3)「ピンチはチャンス」というプラス発想で臨む
  • 2.技(Value)
    新価値創造のスキルをみがく
前例にとらわれず、活かすべき長所・特徴を明らかにし、柔軟にアイデアを発揮する。そのために、

(1)3つの目を持つ(鳥・虫・魚の目~大局観・分析眼・変化眼~)
(2)実行優先でやってみる(60点主義に立ち、走りながら修正していく)
(3)他人の知恵、異分野に学ぶ(素直さを持ち、絆を大切にする)
  • 3.体(Vitality)
    元気モデルとしての態度を示す
リーダーはいかなる時もメンバーを元気にする人。そのために、

(1)常に明るく元気な声・表情・態度を堅持する
(2)言葉選びに注意(本質を短く表わす)
(3)快食・快動・快心・快眠~一日決算主義~

「心→技→体→心・・・」と繰り返す。謙虚さと開き直りを両立させ、喜々として困難に立ち向かおう。「逃げない、投げない、諦めない」。「俺がやらねば誰がやる」の心意気だ。

 

(142)『リーダーの"仮説力"』

★QCストーリーや問題解決のために、「仮説の設定」という重要なステップがある。

QCストーリー
1.問題点の発生
 ⇒ 2.統計的データにもとづく問題点の実態分析
 ⇒ 3.問題の真因分析("なぜ"の5乗)
 ⇒ 4.あるべき姿の設定(問題点に対する正しい認識)
 ⇒ 5.仮説の設定(改善案・衆知の提言)
 ⇒ 6.メリットとデメリットの想定(検証)
 ⇒ 7.デメリットの対応策の検討(2次対策)
 ⇒ 8.改善実行プランの作成(ツール・スケジュール)
 ⇒ 9.実行推進(検証)
 ⇒10.歯止め策の策定

一番重要なステップは③問題の真因分析である。
なぜなら問題の真因をつかまない限り、どんな対応策を講じても根本的な解決にならないからである。

 

次に重要なステップが⑤仮説の設定(=仮説力)
「この問題に対して、もしこのような対策を講じたらどのようなメリットとデメリットが生じるのか」という「想定し得る状況設定」をすることである。

 

  • ★再発に歯止めがかからない不良・クレーム対策に対する仮説、集客ができず業績が上がらない要因に対する仮説、いつも目標にあと一歩で達成できない要因に対する仮説。
  • ★私たちの回りには常に「問題」と「要因(真因)」とそれに対する「仮説」が無限に存在する。

 

(143)『経営意識の高い幹部になろう』

企業の将来を見る場合、1年後であれば決算書、5年後であれば商品、10年後であれば人材と言われている。

★「企業の寿命は30年」と言われるように会社は潰れるように出来ているものであり、努力、工夫を怠らず管理をしなければ、継続発展できるものではない。トップとベクトルを合わせ、しっかりと築いていく人が幹部である。

1.トップと方向感覚を合わせる トップならどう考え、どう判断するのか。なぜトップはそう考え判断したのか、掘り下げて考える習慣をつける。
2.ワンランク上の仕事をする ワンランク上の仕事をするためには、自分の仕事を部下に任せないとオーバーワークとなってしまう。ワンランク上の仕事が出来ない幹部の共通点は、自分で仕事を抱え込んでしまうことである。
3.戦略発想を鍛える トップとベクトルを合わせ、重点を絞り込み、やるべき事を明確にする。NOW(今の責任を果しながら)・NEXT(次の手を打ち)・NEW(将来を考える)が大切である。
4.バランス感覚を養う 経営バランスが崩れると破綻してしまう。そうかと言って、バランスをとったままでは成長できない。あえてバランスを崩し、いかに大きくバランスさせるか。その復元力が大切である。
 ○攻めと守り(売上と利益、利益と経費、資産と負債資本のバランス)
 ○環境変化(市場・需要・ライバル動向と自社のバランス)
 ○時間(将来ビジョンと現実のバランス)
 ○経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報の効率的なバランス)

厳しい時代を勝ち残るために求められる幹部は、経営意識のある部門経営者である。 これらを踏まえ、経営者の視点で考え、行動できる幹部を目指していただきたい。

 

(144)『日本人は"団体戦"で力を発揮する』

東日本大震災は、経済環境をこれまでとは違った別のステージに変化させた。被災地に国をはじめとした行政の復興支援策が実施されている。

ここで経営者や幹部社員は「以前の経済環境には決して戻らない」と気づく必要がある。経営は環境適応業であり、どのような経済環境にも適応 していく自助努力が不可欠である。その施策の一つとして筆者が提唱するのは"個人戦から団体戦へのシフト"。推進ポイントは次の3点である。

1.目的・目標を共有する 日本人は個人としては弱いが、団体を組むと大きな力を発揮する特性がある。これは目的・目標を共有し、それに対して個々人が協力し合うからである。企業においては経営理念や企業ミッションが目的・目標の最上位概念であり、改めてそれらを全社員に徹底していくことである。
ただ、経営理念や企業ミッションはとかく漠然としがちであるため、経営者や幹部社員はそれを咀嚼して部下に発信し続け、「目的・目標を達成していくために、今、何が求められているか」を日常業務に落し込んでいくことが求められる。
  • 2.「ONE・FOR・ALL、ALL・FOR・ONE」のスピリッツを植付かせる
「一人ひとりはチーム(団体)のために頑張り、チーム(団体)は一人ひとりが成果を出せるように皆でサポートしていこう」という意味(ラグビー競技のスピリッツとして有名)である。
つまり「個人によって得意不得意はあっても、一つの目標に向かってそれぞれが得意な面で力を発揮しつつ、不得意な部分は互いにカバーし合って目標を達成していこう」という思いをチーム内に植付かせる。
  • 3.レベルアップするための仕掛けづくり
団体を構成する個々人がレベルアップするための仕掛けづくりに常に留意すること。特に次の5点が大切だ。
  • (1)良いことをした時は、全体の前で褒める(善悪の基準や期待している事を教える)
  • (2)計画立案に参加させ、発言の機会を与える(大きな視野で見させる)
  • (3)個々人の能力段階に応じて、効果的な教育訓練を行う
  • (4)能力を上回る仕事を与え、サポートして成功させる(自信をつけさせる)
  • (5)正直者がバカを見ないようにする(要領の良さではなく、努力するものが認められ、報われるという当り前の環境を作る)

 

(145)『心の在り方を変えよう』

結果が変わって自分が変わるというのは有り得ないのです。
自分が変わるから結果が変わる。
自分と結果のベクトルは、常に、「自分⇒結果」なのです。
結果を変えたければ、まずは自分が変わらなければならないということです。

 

自分が変わるためには、心の在り方を変える必要があります。

心の在り方は決断に影響を及ぼします。

決断は行動に影響を及ぼします。

行動は成功の度合いに影響を及ぼします。

つまり、心の在り方を変えれば、決断が変わり、決断が変われば、行動が変わります。
そして、行動が変われば、人生が変化するのです。

心の在り方が正しければ、必ず成功を収めることができるのです!

 

(146)『継続的改善の視点』

★企業が持続的成長を遂げるには、当然だが「継続的改善」を実践していかねばならない。それを展開しない限り、企業は永続など不可能である。では、"継続的改善"を実行するポイントは何か。組織・方針・人材という3つの視点から考察していきたい。

  • 1.<組織>
    顧客指向の組織を形成する
不確実性の高い事業環境において、何より優先すべきは顧客ニーズに対する誠実な配慮であり、そうしたニーズに応えられる柔軟性を、組織がどの程度備えているかを見極めることが重要である。
  • 2.<方針>
    イノベーションを喚起する
継続的改善には、時代環境に適応するためのイノベーション(技術革新)が必要となる。
イノベーションを引き起こすツールとして、「方針」は大変有用である。
●花王の「商品開発5原則」
 (1)社会的有用性の原則
 (2)創造性の原則
 (3)パフォーマンス・バイ・コストの原則
 (4)調査徹底の原則
 (5)流通適合性の原則
  • 3.<人材>
    実行力を高める
継続的改善には、人材の実行力が欠かせない。この実行力とは、経営者・管理職を問わない必須科目である。実行力に必要なのは、リーダー自身が組織に情熱を持って深く関与することだ。この"関与する"とは、建設的で一貫した質問を投げ続け、問題の核心をつかむことを言う。

 

(147)『プロジェクト成功の秘訣』

★ノーベル経済学賞を受賞した故ハーバート・サイモン教授が「計画のグレシャムの法則」なるものを著書の中で提唱し、プロジェクトに取り組む組織へ興味深いアドバイスを与えている。いわく「ルーティンワークは、ノンルーティンワークを駆逐する」。

ルーティンワーク
日常業務や通常業務を意味し、毎月あるいは毎日反復して行われる業務

 

ノンルーティンワーク
非日常業務・非通常業務を意味する。すなわち、プロジェクトタスクやクリエイティブワークのこと

 

★プロジェクトの遂行やクリエイティブな業務といった仕事が、企業の成長や革新にとって最も重要な要件であるにもかかわらず、担当者が日常業務に忙殺されて計画通りに進捗しなかったり、クオリティーが低下したりすることはよくあることだ。
そこで、プロジェクトを成功させている組織に共通する姿勢と取り組みを、以下に列挙する。参考にされたい。

プロジェクトを成功させる姿勢と取り組み
1.トップのプロジェクトに対する強靭な意志力
2.プロジェクトの具体的目的・目標の設定
3.プロジェクトリーダーの権限の明確化
4.メンバーのプロジェクトへの専業体制
5.通常の評価制度とは一線を画したプロジェクトメンバーへの評価基準の設定
6.プロジェクト終了後のメンバーへのキャリア保証

 

(148)『目標必達の為の業績先行管理』

★多くの企業は業績低迷にあえぎながら、"業績を向上したい""揚げた目標を達成したい"と考えている。それらを実現するために用いられる手法が、「業績先行管理」である。

遅行管理×
 ・・・  前月の結果を見て何が良かった、悪かったと議論する。
終わったことをいくら言っても手が打てない。
同時管理×
 ・・・  今月の売上げ状況を確認しても、すでに残り少なくなった時点で「当月の対策・・・」と言ったところで、打てる手など限られてしまう。
先行管理○
 ・・・  先行で3~6ヶ月先までの累積目標から、現在確定している売上げを差し引いた類型差額に対して対策を打つ。

あるシューズ卸会社は、かつては月次決算を行うも翌月の15日過ぎにやっと数字がまとまるという遅行管理で、気付けば売上げ未達の月が年間の大半を占めるといったジリ貧業績体質であった。 この体質を改善するために先行管理を導入したものの、初めから8カ月の先行管理ができたわけではない。ステップを踏んで1年半がかりで導入した。

まずは当月と翌月の2カ月間の累計差額対策から取り組み、3カ月→6カ月→8カ月と期間を延ばしていった。そして8カ月先行管理が定着してきた約2年後、毎月の売上げが目標の105~120%の割合でクリアできる強い体質に生まれ変わった。もう売上げ未達の月はなくなっていた。


同社が生まれ変わったポイントは、ライバルより先に手が打てるサイクルが出来上がったことにある。今より少し先までを見ることができれば、余裕を持って営業活動が行え、目標必達の強い体質が出来上がるのである。

 

(149)『前向きな姿勢を持て!』

★経営理念を持たない企業が結構多い。また、経営理念が形骸化している企業も実に多い。これでは働く社員はかわいそうである。

社員が前向きに取り組むためには
会社の理念を明確にうたうことだ。その上で方針を確定し、対策を打ち、実行・チェック・成果・結果を出すという流れを築くことである。

 

その時に大切なこと

悲観的な思考で事を運ぶと、必ずできない方向性で物事を考えてしまう。そういう考えになった場合は、すぐに「できるんだ!」という肯定的な考え方に変えることである。それにより「結果を出すためには何をしなければならないか?」という考え方になる。この考え方が「前向きな考え方」である。

「理念・方針」を末端の社員まで正確に説明し、納得させることも大切だ。これができる企業とできない企業では、大きな差が開く。

納得させるために必要なことは、幹部が完全に理解した上で、部下に説明する。そして方針に沿った実行具体策を部下に作成させるのである。

社員自身がつくった実行具体策になるので、社員は前向きに取り組むことができる。それでも、後ろ向きな発言をする者が出てきた時は、厳格な姿勢で幹部チェックをすることだ。

怒るのではなく、ヤル気を出させる言い方で背中を押す。そのためにも前向きに「できるんだ! やれるんだ!」という考えに自ら立ち、行動することが大切である。

 

(150)『"当たり前のことができる組織"づくり』

★A社は、産業用機器のマニュアルなどを専門に印刷・製本する年商8億円、従業員40名の印刷会社である。

創業以来、大手企業を顧客に持つという安心感からか、社員の間には危機感がほとんどなかった。営業担当者は顧客から注文が流れてくるのをただ待つだけの存在であり、工場は生産性を全く考慮しない職人集団であった。遅刻はする、始業と同時に生産スタートしない、気分次第で印刷するものを決める、何がどこにあるか分からない倉庫には在庫の山というありさまだった。まさに「当たり前のこと」ができない体質の企業であったと言える。業績も赤字、しかも債務超過という危機的な状態であった。

現社長の代になって信賞必罰の厳しい姿勢で経営に臨んだ。

これにより、遅刻の撲滅や計画通りの生産という基本的なことが定着した。 業績も黒字転換した。

「3S活動(整理・整頓・清掃)」を導入

3Sを行うことにより、職場は必要なものがすぐに取り出せる合理的な場所となり、また徹底継続することで、良い習慣が社内に形成されることとなった。また、仕事をしやすいように工夫をするという改善意識も芽生えた。これによりA社の企業体質は大きく好転した。

3S活動という少し遠回りに見える取り組みを通じた方が、結果的には早道の場合もある。一度、試してみてはいかがだろうか。

 

(151)『経営者は原点を語れ』

★B社研修会の目的を聞くと、親会社の役員が子会社のトップに就くとのことで、親会社からのしばりや圧力がかかるのではないかと幹部が危惧しており、この機会に経営スタンスを"はっきり、すっきり"させたいとの意向であった。

★研修会でB社社長は「親会社の中長期戦略には100%準拠するが、親会社とはいえ特別扱いや偏重はしない。わが社に移植するのは親会社の"イズム"のみだ。よって幹部が共有すべきは、そのイズムを継承したわが社の経営理念である。この理念を唯一の判断基準としマネジメントしていただきたい」と喝破した。

A社のイズムの概要は次の通りである。
清廉活発な企業風土を基盤に成長し続け、これをもって業界全体の発展に寄与する。

そのために
1.礼儀・礼節を重んずる
2.方針・目標・通達は即、実践
3.決定事項が不本意であっても全力投球
4.出来ない理由を考える前に出来る方策を考え、打ち出す
5.結果に対して責任を持ち、愚痴・言い訳はしない

理念が人を高みへ希求させる。社風は即席では創れない。経営者・経営幹部は日々、企業原点を"真剣"に語るべきである。

 

(152)『リーダーの命がけ』

★リーダーが具体的に取り組む「3つの命」★

1.使命
  • ・世の中の「お役に立つ」ことができるから存続できる。社会的な存在意義~企業使命感なくして真の成長はない。どこの誰の、どのようなニーズやウォンツに役立とうとして自社が存在するのかを、リーダーとして明快に示すことだ。法人客・個人客を問わず、経営資源を集中する具体的なターゲットとニーズを捉え直す必要がある。
2.宿命
  • ・成果(業績)で評価を受けるプロとしての宿命を知る。「お客さまに喜ばれました」と言いながら、赤字を生んだり代金回収が滞ったりするようでは、存続が危うくなる。
  • ・100点満点のない経営の世界では、トライアル&エラーの実践に取り組みながら、成果を帰るソリューションスキルが求められる。問題の本質をえぐり、解決ストーリーを組む設計力と実行パワーを磨くことである。
3.革命
  • ・過去と断絶し、未来からの視点で革新する。大転換の時期には、前例主義、ことなかれ主義では真の問題解決は望めない。潮流の変化の先にある未来像から自社、自部門を見つめ直し、抜本的に「捨てる、改める、導入する」の大局観と柔軟な発想力で臨むことだ。改善・改良方式の枠を超えるチャレンジである。

いよいよ「リーダーの命がけ」の時代が到来した。
「変化はチャンス」。理性的かつ情熱的な実践が成否を決めると言えよう。

 

(153)『社風は気付いたら"できている"』

先日、実施した営業研修での事例を紹介したい。

事前のヒアリングで確認した問題点は、「営業社員に自社のカラーがない」ことだった。
つまり中途採用者が多く、前職の営業スタイルを引きずっていることが原因と思われた。

トップから社員に至るまで、自分に責任が及ばぬように「それなりに説明(言い逃れ)できるかどうか」ばかりが重視されていた。
問題の営業社員も、目標への達成意欲より会社の指示事項をこなしたという"アリバイづくり"が優先され、その結果、慣れた前職の営業スタイルをだれも変えようとはしなかった。これが冒頭の真因であった。

「社風」とは、会社が決めて発信するものではなく、日々の業務の中で蓄積されるものである。それは手法の問題ではなく、根本的な考え方の統一である。研修も良いが、それ以前に考え方の問題か、スキルの問題かを押さえることが先決であり、日常業務における考え方の徹底ができていなければ、一時の花火で終わってしまう。

まず、日々の業務の「始末」ができているか、会議の決定事項をきっちりと進捗管理しているかなど、身の回りの物事から見渡し、自社にとって必要な「当たり前」がきっちりできているかどうかを確認してみてはいかがだろうか。

 

(154)『全社を挙げての意識改革』

★「これまでは、いくら危機意識をあおっても社員は動かなかった。社員と経営陣の思いが1つになった時、会社が変わりはじめた」。この言葉は、経営再建をお手伝いしたA社の経営者が口にした言葉である。

そもそも、経営者と社員は対立する関係にある。
与える側と与えられる側、命令する側と命令される側、実行させる側と実行させられる側である。
そのため人を動かす場合、どうしてもカネやポスト、命令といったトップダウン型のマネジメントが中心になってしまう。その結果、組織内には「やらされ意識」を持った指示待ち人間が多くなる。

今日のように環境変化が激しい場合には、組織も迅速に変化することが求められる。
そのためにも変化の現場に近い社員が、自分で考え、判断し、俊敏に行動することが不可欠である。指示待ちの受身組織では変化に対応できない。

また、そのような組織の中でいくら優れた戦略やビジョン、方針を打ち出しても、それは絵に描いたモチに終わる。重要なことは社員の意識改革である。社員を、自ら動く「自立型人材」にさせることである。

そのために経営陣が行うべきことは、「トップダウン型経営」から「参画型経営」に変えるという意識改革である。

★組織の目指すべき姿を共有化する「参画型経営」によって、経営陣と社員の境界線をなくし、社員に経営への参加意識を持たせる。その結果、社員と経営陣との関係は"Win-Lose"から「Win-Win」の関係へと変わり、業績向上と社員の働きがい向上が実現するのである。

冒頭で紹介したA社で、参画型経営に向けて取り組んだことは次の3点であった。

1.ビジョン・戦略の策定(策定プロセスへの参加と意思の共有化)
2.経営情報の発信と共有化(ガラス張り経営)
3.意思決定プロセスの整備(会議システムの整備)

結局、「経営陣の意識改革なくして社員の意識改革はなく、社員の意識改革なくして業績向上はない」のである。

 

(155)『コストダウンが進まない理由』

★現場においてはいくらトップが指示を出しても、なかなかコストダウンが進まないケースによく遭遇する。往々にして、それは調達・仕入れの現場でよく見られるが、現象を分析すると次の4つのケースにパターン化される。

1.コストダウンを正当に評価する制度がないケース
  • ○努力しても大きく評価されない
  • ○前年同様の取り組みを継続するだけで、調達のトラブルを恐れ新たなチャレンジをしていない
2.調達の体制・インフラが未整備のケース
  • ○「何を、どれくらい、いくらで、どこから、どういう条件と方法で、どの位の頻度で購入しているのか?」など情報が各部門間に分散し、調達の全体像を一元的に把握することができない
  • ○同じモノを複数部署で購入していたり、同一業者との取引を複数の担当窓口が行い、外部調達の全体像を把握することが困難となっている
  • ○調達(支払い)部門と利用部門が異なり、当事者意識が徹底されていない
3.試算や交渉のスキル、ノウハウが個人によりバラツキがあるケース
  • ○業者の市場構造・市場価格に関する情報が、組織的に収集・蓄積されていないため、価格の妥当性に関する判断がなされていない
  • ○業者との交渉ノウハウがなく、業者にとって都合の良い価格や契約を鵜呑みにしている
4.管理プロセスが未整備なケース
○当初に設定した購入価格を見直すこともなく、支払いが継続されている
  • ○新規業者との交渉が実行されておらず、既存業者が長期間固定化し、「持ちつ持たれつの関係」となっている

  • ★常に自社の現場がどのような状況にあるかを把握し、適切な対応を図っていく必要がある。

     

    (156)『経営者の時間管理術』

    ★経営者にはなすべきことが山ほどある。お得意様や株主、従業員、仕入れ先、役員など、すべてのステークホルダーの幸せを最大限求め続けるためには、1日24時間フル稼働したとしても十分ではない。
    ★そこで経営者は、限られた時間で最大限の成果を上げるための"時間管理術"を身に付ける必要がある。今回は、経営者の"時間管理術"について述べたい。

    1.明確な価値判断基準によって優先順位を付ける
    経営者の仕事はすべて重要である。しかし、それらは同時にはできない。したがって、1つずつ片付けることになる。そこで重要となるのが、明確な価値判断基準に基づいた、仕事の優先順位の付け方である。
    価値判断基準は、冒頭の「すべてのステークホルダーの幸せを最大限求め続ける」ということから考えるべきだ。会社が成長し、存続していくために、なすべきことを最優先事項に据えなければならない。そして「攻め」と「守り」の仕事を均等に時間配分する必要がある。
    2.集中できる時間を確保する
    経営者の仕事は、意思決定にかかわるものがほとんどを占める。このため、集中して考え、判断を下す必要がある。それにはだれにも邪魔されず、集中できる時間を確保しなければならない。だれからも連絡が入らない早朝や深夜、あるいは移動時間などを活用することである。
    3.判断は社長が行い、行動は幹部に任せる
    判断を下すことは社長の仕事である。だが、それを実行するのは幹部以下、社員の仕事である。時には旗振り役として社長が先陣を切って行動する必要もあるが、大半の仕事は幹部に権限委譲して任せていく必要がある。経営者は幹部が行き詰まった時に出て行けばいいのだ。
    会社の規模が大きくなればなるほど、経営者の意思決定の仕事は増えてくる。
    仕事を任せられる幹部社員を育てることは、経営者の任務でもある。

     

    (157)『基本と成長の4C』

    業務革新は
    「絶えず『顧客の視点』から経営をチェックする機能が、自社に組み込まれているか」が出発点
     

    各社はいろいろな業務革新 に取り組んでいるが、トップの意思の中心は自社の業務改善であり、顧客視点での業務革新に至っていない事例が多く見受けられる。

    流通業を例に業務革新2つの視点
    1.基本条件からの視点:基本の4C

    中堅マネジメント層が取り組むべき
    重点課題
    (流通業界で戦う中、有無を言わさず備えていなければならない条件)

    • (1)クリンリネス:Cleanliness
      お客さまを清潔な店舗で迎える体制になっているか。
      (お客さまは清潔かどうかを絶えず相対比較で判断する)
    • (2)コンビニエンス:Convenience
      お客さまから見て買いやすい品揃え、売り場になっているか。
    • (3)カスタマーサービス:Customer Service
      感じの良い接客ができているか。
    • (4)コンフォータブル:Comfortable

    (1)~(3)の実践と、音楽や空調などの環境提案により、お客さまが心地よく買い物ができる環境をつくっているか。
    2.成長条件からの視点:成長の4C

    「成長の4C」はトップマネジメント層
    が取り組むべき重点課題
    • (1)コラボレーション:Collaboration
      取引から「取組」への仕組みができているか。
    • (2)コントロール:Control
      マネジメント体制の確立ができているか。
    • (3)キャビネット:Cabinet
      マネジメントメンバーの育成は明確になっているか。
    • (4)キャッシュフロー:Cash Flow
      指標経営の確立ができているか。

    経営革新の最重要テーマは「顧客視点での業務革新」と言えるのではないだろうか。

     

    経営ノウハウ(5)『経営者にとっての重要事項』

    (158)成功イメージを明確にする重要なこと

    • 1.成功したい理由
    • 2.成功したときに得るもの(お金、名誉、地位、車、ブランド等)
    • 3.成功する時期(2015年4月とか自分が55歳になるまで等)
    • そして、とっても重要なのが
    • 4.成功したら、それが自分にとってどんな意味があるのか?
      どういう感情の状態を手に入れるのか?つまり、心の状態です。4番目の心の状態を知ることは、快楽のイメージを手に取るように感じることができるまで成功イメージを明確にしているということです。
    4番目の項目については、ぜひ覚えておいてください。

    もう1つ重要なことがあります。
    そのゴールを信じることができるか?

    ゴールというよりは、自分自身を信じることができるか?
    人は、信じることができてはじめて行動できます。何事も信じられないのであれば、人はそのための行動をとりません。
    自分でもできる!自分ならできる!と信じるには、どうすればいいのか?

    1つは、コミュニケーション能力です。

    わたしの意味するコミュニケーションは、他人とのコミュニケーションではありません。
    自分自身とのコミュニケーション能力です。
    そうです。自分自身といかにして自分を信じることができるようなコミュニケーションをとるか?です。

    簡単な言葉でいえば、それを解釈といいます。
    この解釈は、実は自分に対してどのような問いかけをするか?ということなんです。
    その問いかけの回答が解釈です。
    ですから、自分にとってよい解釈をするには、その回答にいたるための適切な質問をしなければなりません。

    何か自分に不都合なことが起こったとき、それに対して「どうして、こんなことが起こったのだろう?」「なぜ、自分ばかりこんなひどい目に」という質問を自分に問いかけると、その回答はネガティブなものになるでしょ?こういうときに「起こったことはしょうがない。さて、この状態からどのようにすれば・・・」という質問をしたらどうでしょう?
    きっと、その状況をよりよい状況に変えるための考えが生まれるはずです。
    こういう考えを繰り返すと、自分の状況は常に改善されていくので次第に自分に自信を持つようになります。
    2つ目は、自分が目指している成功モデルの人と付き合うことです。

    そして、それだけでなく自分と同じように、成功に向かって取り組んでいる人たちと付き合うことです。
    そこでは、交わす言葉が常に前向きです。また、お互い切磋琢磨するだけでなく、支援しあうマインドを持っています。
    「成功」という言葉は、タブーでもなければ、夢物語でもありません。
    当然のように語られています。
    そういう状況の中にいると、成功することが何も特別なことではなく普通のことになります。

    自分の能力と将来への確信をいつしか自然に持つようになるのです。

     

    (159)実行に移せないでいることについての考察

    理由
    明確なゴールを決めていないので、行動に移すための情熱とエネルギーがわかない。つまりモチベーションが起きないので、行動できない
    正当化
    正当化」も、その行動しない理由の1つです。
    正当化・・・これは、言い換えれば「言い訳」です。
    困ったことに、人というのは行動しない理由を正当化するのが非常に上手です。
     ・「明日からやろう」
     ・「今、時間が無いから仕方がない」
     ・「条件(お金等)が揃ってから、取り組もう」など

    正当化の結果は、きまって後悔です。後悔しないためには。


    1.まず、自分が正当化していることを認める。
    具体的には、自分が普段日常的に使っている正当化の言葉を紙に書き出します。
    言葉は、人の意識をコントロールするので、とても注意が必要です。
    だからこそ、自分の言い訳の言葉をしっかりと認識することが重要です。
    2.つぎにその言葉の結果、自分がどうなっているのか?を認識。
    その言葉が導いた自分の状況を正しく認識することです。
    それによって、生じた痛みを心から感じるのです。
    そして、二度と同じ過ちをするまいと誓うのです。
    3.最後に、自分が望む結果を実現している人との付き合いをはじめることです。または、自分の志と同じ志をもった向上心の高い人たちとのネットワークを築くことです。

     

    (160)会社のあり方を、真剣に考えよう

    社員であれば、自分が幸せに働らける環境を、自ら率先して創っていく。
    経営者なら事業を始めた、または会社に入社した頃にいだいた理想を思い出して、経営者としてできることを実行して欲しい。

    人生でもっとも活動的な時期の大半を仕事に費やします。
    なのでもし、幸せになりたいなら、自分が楽しくやりがいを持って働くことです。

    やりがいをもって働けば、当然仕事の成果もだせるでしょう。その場合、経済的にも精神的にも満たされるでしょう。幸せだし、モラル(道徳観)も必然的に高まると思います。

    そういう人が犯罪を犯すとはとても考えられません。
    こうして社会に秩序が育つのだと思うのです。

    会社は、人づくりの場です。会社は、人を作ることで、利益の分配(税金)と社会に秩序をもたらす重要な社会の公器だと思います。

     

    (161)「学習効果の高い読書のコツ」

    ★読書法については、たくさんの本が出版されていますが、今回わたしがお伝えするのは速読ではなく、本を読むときの意識の向け方です。

    ★それはどういう意識、立場でその本を読むか?ということになります。

    たとえば映画を例にとってお話しましょう。映画を観る目的は、ほとんどの場合、ご自身が楽しむことだと思います。映画を観賞するわけです。
    ところが映画評論家が映画を観るときは、映画を観賞するというより観察します。
    観察の目になると、映画の詳細から全容まで細かく記憶することになります。
    アマチュアは観賞の目をもち、プロは観察の目をもって物事を見ます。
    観客と映画関係者の違いは、このどちらの目をもって見るか?であり、それは目的意識の違いによって生じる違いです。

    本についても同じことがいえます。

    観察の目・・・この著者の言っていることの本質は何か?ここに書いてあることを自分の人生に置き換えると、どんなことがいえるだろうか?と考えて読むと、その本から得られることはとても大きな意味を持ちます。また、それは長く記憶に残ります。本は速く読むことが目的ではありません。大量の本を読むことも目的ではないはずです。1冊の本をじっくり観察して読む・・・その方がずっと実際に役立つのです。

    ★観察の目をもって読書するコツ

    本の内容を誰かに教えるつもりで読んでみることです。
    誰かに伝えようと思ったら、その本の読み方が違ってきますよ。
    その本に書いてあることの意味を、自分なりに理解しようと努めるようになります。
    試してみてくださいね

     

    (162)ネットを使ったニーズ調査:ミニチュア版のすすめ

    起業前の場合はお金もあまりないでしょうから、「無料」の個人むけブログサービスを使って、サイトを立ち上げましょう。ライブドアやココログといった、個人むけブログサービスを使うのです。

    そして、このサイト使って、将来取り扱おうとしている商品やサービスの「ミニチュア版」を販売してみましょう。

    将来、1回3万円のセミナーを販売するつもりだったら、内容を簡略化したCDセミナーを3千円で販売するのです。将来、1回300万円のコンサルティングを売るつもりだったら、1回3000円のメールコンサルティングを販売するのです。

    営業経験に乏しい人は、まずはネットでその商品やサービスのミニチュアを販売してみましょう。

    もしそのミニチュアが売れれば、市場のニーズは高いということですし、同時にネットを使った販売ノウハウを身につけることもできるのです。
    極論すれば、起業前にネットで「ミニチュア版」商品が売れない人は、起業後にもっと高い商品を売るのは難しいと思います。ミニチュア版を売るノウハウが身に付くまでは独立を見合わせた方がいいかもしれませんよ。

     

    (163)起業や新規事業のプランに工夫を

    起業や新規事業のプランを作るにあたり、損益分岐点や初期投資を抑えるための工夫をどれだけしているだろうか。

    固定費となる機器の減価償却費や初期投資を抑えることの工夫は、起業や新規事業を早期に軌道に乗せるには、欠かせない。

    ★実際のところ、まともに起業・新規事業のビジネスプランを立てようとすると、固定費や初期投資の負担が大きく、採算ベースに乗せることの難しさに圧倒されてしまうことも多い。

    ★しかし、勝負のしどころは、そこからだ。工夫や交渉等により、固定費・初期投資の金額を下げ、損益分岐点を下げ、投資回収期間を短縮する。
    商売人としてのセンスが問われる場面だとも言えるだろう。

    「セールスは断られた時から始まる」という言葉がある。ビジネスプランについても、「これでは採算が合わない」という状況から、本当の検討や練り上げが始まる。

     

    (164)経営者が理想論を語ること

    ★大きなビジョンを描いたり、高い目標を掲げることは、成功するために不可欠だとされている。しかし、それを公言するかどうかについては、賛否両論があるようだ。

    賛成

    公に宣言することで、どうしても達成せざるを得なくなるように自分を追い込む効果があると主張する。

    反対

    嫉妬などで妨害されるから、心の中に秘めておくべきだとする。
     

    正解

    状況に応じて

    ★リソー教育の岩佐実次会長兼社長
    「経営者が社外で自分の理想論を語るのはほどほどにしたほうがいい」というコメントが紹介 されている。
    社外で自社の言い分を訴えるには、「格好いいことを言うよりも、まずは合格実績や受講者獲得実績を示すこと」だという。

     

    (165)理想論「本気」か、それとも「逃げ」なのか

    理想論は

    「経営者の逃げになる」単なる格好つけだけではなく、現実を直視したくない気持ちの現われ。
     
    理想論を語ることは、大きなビジョンや目標を語ることにも通じるだろう。しかし、語るばかりで、さっぱり実行が伴わない人も多いようだ。

     

    成功本は

    世の中には、成功本の類を読み漁る人たちがいる。そこには、ビジョンや目標を掲げれば、成功できるとある。しかしそれは、必要条件であっても十分条件というわけではない。
     
    成功を夢見ることは大切だ。しかし人は、夢の中で生きるわけではない。いくら成功を夢見ても、それは現実の成功ではないのだ。 多くの成功本には、行動を起こすことの大切さが書かれているはずだが、なぜか読み飛ばされてしまうようだ。

     

    夢を見るというのは、心地よい。だからそこに、逃げ込みたくなる。ビジョンや理想論を語るなら、本気でそれを実現しようと考えているのか、それとも「逃げ」なのか、自らチェックしてみることが必要だ。

     

    (166)赤字を黒字に転換させる

    • ★単純に言えば、儲かっていないビジネスはやめ、儲かっているビジネスに集中すればよい。それをキチンと実行できれば、業績はしっかりと回復する。
    • ★利益率が高く、よく売れている商品があれば、それをどんどん伸ばしていく。逆に、利益率が低く、売上も芳しくない商品があれば、ラインアップからはずしていく。それが基本だ。

    • !しかし現実は、必ずしもそのような判断にはならない。売れている商品については、「これで良し」と安心してしまう。本当はもっと売れるのに、もったいないことだ。
    • !逆に、売れていない商品を問題視して、何とかもっと売ろうとして経営資源を投入する。売れている商品と比べれば、費用対効果の面では疑問視せざるを得ない。

    単純に利益や売上だけの問題ではなく、中長期的な戦略を踏まえれば、それも間違いでない。

    シェアが低い、すなわち売上が芳しくないとすれば、やめてしまえという考え方もできるが、伸ばす余地があると考えることもできる。それだけでどちらが間違っているとは言えず、それは判断の根拠次第だ。

    ポイントは「競争力」があるかどうかだ。
    一般的に、売上不振は競争力が低いことの表れだ。利益率の低さも、価格競争に対応せざるを得ないからであり、それもまた競争力の低さの反映となる。
    しかし、本来の競争力に比して、著しくシェアが低いとすれば、伸びる余地は大きいという判断になる。伸びるかどうかの判断の根拠は、市場シェアと競争力との対比にある。

     

    (167)「設計図」は世界に一つだけ、隣の会社の「設計図」は使えない

    成長している企業の「設計図」をマネしても、なぜか会社は伸びない。
    それもそのはず、『あなたの会社の「設計図」は世界に一つ』しか存在しません。

    会社が違えば、デキル社員の定義も異なります。その会社のビジネスに必要なスキル、マインド、コミュニケーション...。これら全てが同じ会社は、世界に二つとありません。

    あなたの会社が本当に必要なのはどんな設計図かを考えることが大切です。

     

    (168)自社を「何屋」と定義するか

    新分野への展開が容易かどうかは、活動領域の「壁」の厚さが影響する。「壁」が厚ければ、なかなか打破することはできない。「勝ち組」は、「壁」の存在に対する意識は希薄だと言えるだろう。

    「壁」や「限界」を設定するのは、自分自身のマインドセットに他ならない。企業の事業展開についても同じだ。企業のマインドセットとは、自社を「何屋」だと考えるかだ。

    時代の流れに乗り遅れてしまうようなマインドセット、すなわち自社が「何屋」だという定義に失敗すると、淘汰されてしまう危険性があるということになる。マインドセットが普遍的かどうか、検討してみる必要があるだろう。

     

    (169)明確な方針を打ち出す能力とは

    ★人間、なかなか「捨てる」ことはできない。企業を経営しているのなら、この売上も欲しいし、あの売上も欲しい。今回のケースなら、客数も増やしたいし、客単価も増やしたい。

    ★「二兎追う者は一兎をも得ず」という。戦略の要諦で言えば、「選択と集中」が大切だ。集中しなければ、どちらへも十分に前進することができない。

    マクドナルドの場合、「客数を増やす」という方針の下、「100円メニューの拡充」、「朝食や昼食後向けの新商品発売」、「コーヒー券の無料配布」といった具体策を打ち出している。
    「客数を増やす」という方針に集中するから、そのための「あの手この手」が充実する。ここまでやるか、というくらいにやれば、たいていのことなら成果は上がる。

    明確な方針を打ち出し、「選択と集中」を実現するには
    「選択肢」を挙げる必要がある。
    単純に「売上を増やす」ではなく、「顧客数を増やす」か「客単価を増やす」に分解することができなくてはならない。
    施策を打ち出すには、「顧客数を増やす」ための要素を分解し、挙げていく。その中で効果の高そうなものから順に選び、実行していく。
    そう考えると、「明確な方針を打ち出す能力」というものがあるとすれば、それは、本質を見極めたうえで成果を上げる要因を分析し、列挙し、評価する能力にほかならない。

     

    (170)企業に「適正サイズ」はない

    適正サイズを追求するのは、「都心で従来モデルのまま商売を続けると、いずれ固定費が収益を圧迫する慢性病に陥りかねない危険があるからだ」


    売上・粗利益が一定なら、固定費負担だけが増えれば利益は圧迫される。 そこで、固定費を減らすべく、適正サイズへとシフトしようというわけだ。環境が変われば、固定費も変動し、適正サイズも変わる。

    ある記事で挙げられている食品スーパーは、いずれも、従来よりも店舗を小型化する方向へ向かっている。固定費を減らすという観点では、当然のことだ。

    食品スーパーの場合、店舗のスクラップアンドビルドができる。だから、店舗を小型化しつつも、出店により、企業規模そのものは、拡大することができる。

    食品スーパーにとって、店舗は事業単位の一つに過ぎない。事業単位の適正サイズを追求するにしても、それがすなわち、企業としての適正サイズにつながるわけではないのだ。

    事業単位の適正サイズという概念はあっても、企業としての適正サイズという概念は、存在しない。「大きくするとつぶれる」のは、適正固定費サイズを超えた事業単位の存在を放置するからなのだ。

     

    (171)いかに分類の切り口をみつけるか

    ★小田急百貨店では、「重要度などに応じて売り場を3つに分類」するという。具体的には、自主編集売り場、一般的なブランド等の売り場、それらの中間的な売り場、の3つとなる。
    そして、自主編集売り場については正社員が、一般的なブランドについてはアパレルの派遣社員が、中間はそれらの混在となる。人件費の高い正社員は、最も利益率の高い売り場に集中させている。

    ビジネス戦略では

    原則として、資源を「強み」に集中させることで、最大のリターンを得ることを狙う。
    同じ量の資源を「弱み」分野に投入しても、得られるリターンは相対的に小さいと考えられるから。
     
    ★ごく当然の選択のようには見えるが、この戦略的意思決定を支える前提は、資源を投入する対象を的確に「分類」することだ。分類がしっかりと出来さえすれば、どのように資源を配分するかについては、教科書通りに行なえばよい。

    分類のヒントは
    「利益率」を見ていくことだ。利益率に明らかな差がつくような切り分け方をみつければ、それが分類の切り口になる。
     
    ★戦略の教科書は、資源配分にメリハリをつけろと教えるが、分類が既になされていることが前提で書かれている。理論を役立てるなら、まずは分類の切り口をしっかりとみつけることから始めなければならない。

     

    (172)仕事のインフルエンスを考える

    ★企業が店舗数の拡大や、システムの増強、ホテルの増築など、競争力や収益の向上を目指して取り組みを行う。しかし、何かを変えれば必ず、別の場所に影響(副作用)が出る。

    副作用のないよう、仕事を進める上で、常に3つのことを考えよう!

    「プロセス(手順・方法)」
    「プロダクト(目指す成果)」
    「インフルエンス(影響)」

    ★どうやってやるか、どのような成果を目指すのかを頭に描き、必死になって仕事に取り組んだものの、結果として、周囲に大迷惑をかけてしまうといったことがあるのだ。

    何をすれば、何が起こるか。それを考えることこそ、戦略発想の根本だ。それをどれだけイメージし、不具合の発生を事前に予防できるか。
    視野の範囲の広さが求められる。

     

    (173)客単価重視から客数重視に転換すべき

    経営における「戦略」の定義では
    戦略が決定された状態とは、経営資源の配分が決まった状態だと言える。「配分」だから、数値化や比率化ができる。
     

    • ◆たとえば複数の事業単位や商品群、あるいは顧客ターゲット層を持つ場合、それらへの売上構成比率をどのように設定するかを考える。比率の数値をみれば、何を重点としているかがわかる。
    • ◆売上以外に、人員構成比率にも戦略が反映される。人員のいわゆる「直間比率」をどうするかといった問題等は、根本にある戦略に基づいて決まる。
    • ◆資金の配分についても同様だ。手持ち資金のうち、何に対してどれだけ投資するのか。戦略の意思決定なしに、それが決まるわけがない。また、その配分が決まらないうちは、戦略策定が完了していないということにもなる。
    • ◆売上に絞って考えてみると、それは「客数」と「客単価」の掛け算になる。同じ売上を稼ぐにも、それらの組み合わせは無限にある。そこにも戦略が反映される。

    何を重視するのかは、まさに戦略の問題だ。結果として売上が同じなら、「客数」で稼ごうと「客単価」で稼ごうと、かまわないではないか、ということにはならない。

     

    (174)管理の単位を細分化

    ある程度の事業基盤と売上規模があれば、赤字を黒字化するのは、あまり難しいことではない。新規事業を首尾よく成功させる方が、よほど大変だ。

    要は、儲からないことをやめて、儲かることだけをやる。いわゆる「選択と集中」を図る。これもまた、戦略策定が求められる。華々しく成長発展の姿を描くことだけが戦略策定なのではない。

    「儲からないことをやめて、儲かることだけをやる」という赤字脱出のセオリーを実行するには、「儲からないこと」「儲かること」を区別できるように、管理の単位を細分化しなければならない。

    「どこから手をつけたらよいか、わからない」となるのは、実は、管理の単位が大くくり過ぎるからなのだ。しかし細分化することで、その「どこか」を明確にすることができる

    管理の単位を細分化することで、ドンブリ勘定では見えなかったものが、見えてくるようになる。
    「どこから手をつけたらよいか、わからない」のなら、まずは管理単位の細分化から手をつけること。

     

    (175)「言ってること」と「やってること」の不整合

    戦略を策定したら、それを実現するべく組織を構築します。

    しかし、組織が戦略に整合していなければ、その戦略は実現しません。

    経営者の"本気"さを感じる時

    本気で戦略を実現しようと思うなら、戦略に応じて組織を変えなければなりません。本気度が低いと、社内のさまざまな人間関係等のしがらみで、組織をいじることに躊躇してしまいます。

    言ってみれば、戦略は"建前"で、組織は"本音"です。

    戦略や組織といった言葉を使うと、何やら高級ですが、"建前"や"本音"の使い分けは、社会の至るところでみられますね。

    要するに、「言っていること」と「やっていること」が整合しているのか、という話です。

     

    ・業績が低迷/停滞する本当の理由

    「業績が不振だ」といくら考えてもその根本的な原因を理解しない限り業績の 改善は有り得ません。 では、その根本的な原因とは何か?

    答えは簡単です。創業当時からずっと同じやり方で商売を続けて いるからです。いかがですか?10年、20年前とずっと同じやり方 で商売を続けていませんか?

    残念ながら、これら時流によって出現する商売を妨害する壁は、これまでと同じ 商売のやり方ではクリア出来ないものなのです。

    "壁"をクリア出来ない理由

    • ・競合他社が自社のマネをしてどんどん出てくる ⇒自社の『強み』がどんどん薄れる
    • ・商品やサービスに慣れたお客様のニーズが多様化してくる
    • ・強力な資本や個性的なビジネスモデルを持った企業が他社を 引き離し始める
      (※二極化が始まる)
    • ・『商品その物』ではなく、『提案(力)』や『情報提供(力)』 という非常に抽象的なモノが重要になってくる
      (※お客様は商品そのモノではなく、"有益な情報"に価値を 見出すようになる)

    対策
    ・「今後、何を強みとして商品・サービスの訴求をしていくべきか」
    ・「競合企業とのバッティングを避けるために採るべき戦略は何か」を検討すべきである。

     

    ・地場工務店の生き残り策

    地場工務店の生き残り策として、フランチャイズに加盟する方策はありますが、加盟できる工務店はほんの一握りに過ぎません。 何故かというと加盟金だけでも500万円前後の出費が必要であり、地場工務店にとってけっして小さな金額ではありません。 ましてモデルハウスを建てるとなると数千万以上の資金が必要となります。

    よくある話が「リフォーム分野」への進出です。
    リフォームはリフォームで大手の建材メーカーや、最近ではホームセンターまでもが参入し、競争が激しくなってきています。

     

    住宅建築業界向けの事業再生対策として、新たなビジネスモデルを作って、厳しい企業の事業再生に生かそうと、取り組んでいます。

    そのビジネスコンセプトとは
    ・他社との違いを明確にし、差別化をアピールする。
    ・受注の為に無理な値引きをしないで、適正利益を確保する。
    ・厳格な工程管理により、資金繰りを楽にする。(運転資金が必要ない)
    ・営業活動を行なわない。営業職を必要としない。

    中小建設会社の問題点を逆手にとったビジネスモデルです。
    大手建設業者にはできない、地方には地方の、中小企業には中小企業の「やり方」ってありますよ。

     

    ・地方工務店のマーケティングとは

    ★ある地方工務店の社長が「最近、ローコストビルダーにやられちゃって。」と私に愚痴をこぼします。やっぱり大手には敵わないのか、とか、どうせ大量仕入でコストが安いんだろう、なんて"感覚"で考えている社長さんは少なくありません。
    もう少し相手を研究してみて下さい。決してあなたの会社が劣っている訳ではなく、広告方法など戦略が違うだけだと気付く筈です。

    ★敢えて苦言を言わせて貰えば、工務店はマーケティング調査が足りません。
    「この町は不景気で着工戸数が減ってしまって・・・」調べてみるとこの地域、過去3年間ほとんど新築着工件数は変わっていないのです!

    要は戦略に長けたローコストビルダー達に食われていただけなのです。
    環境のせい、他人(他社)のせいにしていてはいつまでも変われませんよ。

    マーケティングとは「売れる仕組み」と言い換える事ができます。
    売れる仕組み作りには、その地域の市場調査は不可欠だと言えます。
    私はコンサルティングを受けた場合、必ずそこから入ります。その地域を知り、ライバルを知り、己を知らなければ勝てる筈ありません。

     

    ・中小企業の再生のためには

    ★経営者自らがやる気を出し、自社の再生のために動くことができれば、その企業は再生に向かうことができるでしょう。経営者や、その企業の人たちだけで会社が再生できれば、これほどすばらしいことはありません。

    では、自己の力だけで再生に向かうことのできる経営者、できない経営者(=専門家の力を借りた方がよい経営者)は、どこで見分けることができるのでしょうか。

    経営者がやる気があるか + 経営者が数字を見ることができるか

    会社が厳しい状態、というのは、イコール資金繰りが厳しい状態です。
    やる気があるといっても、経営者が数字を見ることができる、つまり財務・会計が分からなければ、自社を再生させることは困難です。 資金繰り改善、損益改善のためには何をすべきか。経営者が数字にうとく、財務・会計が分からないのでは、資金繰り改善・損益改善のしようがありません。

     

    ・「借りられたのでなんとかなりました。」

    ★時折経営者から聞かれる言葉に、「借りられたのでなんとかなりました。」と言って連絡が途絶えてしまった企業の多くが、後に倒産しています。

    問題の解決策は「銀行からお金を借りること」ではなく「経営を大きく変えること」です!!

    たまたま銀行から融資が受けられたからといって、「借りられたからなんとかなりました。」と安心し、経営改革をやめてしまう経営者は、早晩、決定的な危機状態に陥ってしまうことでしょう。 経営者の、あの決意はなんだったのか・・・。あの時の決意を保っていれば、倒産することもなかったのに・・・。

    自社を再生できる経営者は、たまたま銀行から融資が受けられたのであれば、「借りられたからなんとかなりました。」というのではなく「今回借入できたのは本当に運が良かった。これが最後のチャンスだと思って、経営を大きく変えていかなければ。」と思える経営者です。

    厳しい状況の企業が、銀行から融資を受けられるのは、本当に運が良いことです。そこはゴールではなく、あくまでスタートです。そこで安心してしまうと、最後のチャンスをつぶしてしまうことになり、倒産へ突き進んでしまいますよ。

     

    ・管理者不在

    会社の規模が多少でも大きくなってくると、社長は社内の全ての業務にまで目を行き届かせるのは困難になるので、管理者をおく必要があります。それが、会社が個人事業状態から組織になっていく、第1歩なのです。

    • ◇管理者は、その管理する業務が問題なく行われるように管理し、また必要に応じて、その上司もしくは社長に、報告を行う必要があります。
    • ◇いろいろな業務において、その管理者を決めないでいると、はたしてその業務が問題なく、しっかり行われたかどうか、あいまいになってしまいます。
    • ◇管理者(=責任者)がいないため、問題が起こっても誰にも注意できない状態となってしまいます。

    管理者不在、ということから起こる現象
    ・いつのまにか売掛金未入金の総額がふくらんでしまっていた。
    ・会社として重要な資産である顧客リストが作られていない。
    ・いつのまにか横領が発生していて会社のお金がごっそり抜かれていた。

    こう考えると、管理者を決め、その管理者に権限と責任を与え、業務の管理をしてもらう体制をしっかり作ることは、会社の運営において大変重要なこととなります。

    社長が全てを見る、ということは、会社がある程度の規模になってくると絶対に無理です。社長は部下に権限・責任を委譲していって、自分自身は会社を伸ばしていくための仕事に重点をおくべきです。

     

    ・会社を再生させるための第一歩

    ★資金繰りが厳しく、緊急状態に陥るとあせりが出て、経営者として冷静な判断ができなくなってしまいます。

    そのような場合に、冷静さを取り戻すために、むこう6カ月~1年ぐらいの、月次資金繰り予定を、資金繰り表に書き出します。また月次資金繰り計画とともに、むこう3カ月ぐらいの、日次資金繰り予定も資金繰り表に書き出します。
    人間の心理として、見えないものに対しては恐怖心が湧いてくるからです。資金繰りの状況が目に見えるだけでも、心が落ち着いてきます。

    資金繰りをまわすためには、銀行の返済を止めるところからはじまり、それで足りなければ、税金や社会保険の支払いを止めることも行い、それでも足りなければ、経費類や買掛金まで手をつけていくことになります。
    そのように、数か月先の資金繰りが見えてくるようになれば、経営者はだいぶ落ち着きを取り戻し、前向きな気持ちになっていきます。

    会社を再生させるには、まずは何よりも、経営者が落ち着きを取り戻し、前向きな気持ちになれるかどうかが、第一歩となります。

     

    ・事業再生のために必要な経営者の資質

    ■経営者の資質「精神力」「判断力」と「リーダーシップ」

    「会社と社員を守り抜く」という強い精神力を経営者が持てるかどうかが、会社を再生できるかどうかの一番の要素であると考えております。

    優秀な社長さんの場合 ダメな社長さんの場合
    「精神力」「判断力」について・・・・
    • ・強い志を持ち、常にポジティブ(積極的)に物事を考えられる。
    • ・時間の大切さを知っているので、決断も非常に早い。
    • ・社員に対して信頼を置いている。
    • ・猜疑心が強く、社員を信用していない。
    • ・優柔不断であり、肝心の決めごとを社員任せにする。
      当然、決断を先送りにしがち。
    • ・苦言を呈する社員を遠ざけ、イエスマンしか近づけない。
    「リーダーシップ」について・・・・
    • ・社員のさまざまな意見を聞き、その情報をもとに分析し、的を得た的確な判断を下せる。
    • ・社内の規律は厳しく、信賞必罰。
    • ・モチベーションが高く常にミッション(使命)を持ち続けている。
    • ・会社の未来像が明確に示されていて、社員にやる気を持たせる社風がある
    • ・社長であることを鼻にかけ社員の痛みが分からない。
      また分かろうとしない。
    • ・社内の規則がなく、指示命令系統が徹底していない。
    • ・失敗を社員のせいにしたがるため、社員からの忠誠心も薄い。
    • ・社員にいらだった表情や怒声をあげる。

     

    ・数十年前会社を失ってしまった経験からの言葉

    実は私自身も数十年前までダメ社長さんの典型であり、数十年前会社を失いました。

    その時のすべてを失った喪失感・孤独感は、死に体と同然であり、まだ必死で企業再生のために戦っていた時の方がどんなに精神的に充実感があったかを全国の社長さんに分かってもらい、私と同じ過ちを繰り返してもらいたくないのです。
    好況期には頼れる精神力・リーダーシップをいかんなく発揮し、事業も順調に進んでいたはずなのに、時代も変わり厳しい経済環境の中で会社経営が悪化し始めると、守りの経営に慣れていないせいか、社長さんの10人のうち10人ともその精神力及び判断力が鈍ってくるものです。
    本当に社長さんは攻めには強いのですが、守りに対しては非常に弱くなってしまいます。
    また、社長さんを取り巻く環境は非常に厳しく、他人には言えない悩み・いらだち・孤独感にさいなまれ、「経営」という道から「焦燥感という非経営」の道に行ってしまうものです。
    そうなると、お客様や社員及び金融機関に対して、見かけの冷静さを保っていくことが精一杯であり、そんな状態で相手に弱みを見せてしまえば、今まで築き上げた会社が、さらに窮地に追いやられてしまう悪循環に陥ってしまいます。
    会社経営に窮した数多くの社長さんにお会いするたびに、私はこのことを感するのです。
    しかし、「なんとしても会社を守り抜いて見せる」という強い意志をもった社長さんの会社は、必ず 再び蘇り復活していくことができます。
    冷静に物事を判断し、「経営」という道の原点に立ち戻ってください。
    たとえば起業した時のポジティブに富んだ、前向きな気持ちを思い出して下さい。

     

    ・経営者のスケジュール

    私がいつも思うこと。それは、企業の1年後、3年後の姿は、経営者が、現在どのような仕事を行っているか、それに左右されるのではないか、ということです。

    現在どのような仕事を行っているか、それが分かるようにするためにまずやるべきことは、経営者が自分自身の行動記録をとること、です。

    例えば、

    仕組み 10:40 - 13:35
    13:35 - 13:45
    13:45 - 13:50
    職務権限一覧見直し
    電話打合せ・社員S
    電話打合せ・社員S
    新規B 15:00 - 18:00 原稿執筆 売上向上マニュアル
    マーケ 18:45 - 21:00
    21:00 - 21:25
    インポート作業
    電話打合せ・社員O
    マーケ 21:30 - 22:55 セールスフォース効率化
    マーケ 22:55 - 23:25 セールスフォース・「申込人立場」入力作業

    「仕組み」「新規B」「マーケ」の言葉の意味は、後ほど説明します。

    経営者の限られた仕事時間の中で、増やしていくべき仕事は会社を良くしていくための仕事、会社を伸ばしていくための仕事です。

    一方、減らしていくべき仕事は、日常業務、事務作業、などです。これらは社員に任せていきます。

    ★まずは1ヶ月間、経営者は行動記録をつけてみましょう。

    行動記録を付け続けるコツ
    1.行動を行ったら必ずその場で記録を付けること。
    2.1つの行動を始める時、終える時に、必ず時計を見ること。です。

    次に、過去1カ月間の行動記録を見直してみます。
    そして、その行動記録を分類し、どの分類に、どれだけの時間をかけたかを計算してみます。

    A.会社を良くする仕事、会社を伸ばす仕事 B.A以外の仕事
    • A-1 マーケティング
       → 上記のスケジュールで「マーケ」で表示
      (ここでは、見込み客を集客することにつながる仕事を言うのであり、決して自分が営業を行う仕事、つまりセールスのことを言うのではない。)

    • A-2 社内体制の仕組み作り
       → 上記のスケジュールで「仕組み」で表示
      (組織が機能していくための、組織作り、管理者養成、規程・マニュアルや申請書整備など)

    • A-3 新規ビジネスの構築
       → 上記のスケジュールで「新規B」で表示
      (次の売上の柱を立ち上げ、大きくするための準備作業)
    • B-1 申請書類の回覧など事務作業
    • B-2 メールチェック
    • B-3 弊社にくる営業マンから営業を受けること
    • B-4 見込み客や顧客と直接会ったり電話したりするなどの営業活動
    • B-5 講演活動
    • B-6 Aには結びつかない社内会議や打合せ(結び付く仕事はAの仕事とする)

    というように、分けています。みなさんも、AとB、つまり会社を良くする仕事、会社を伸ばす仕事であるか、そうでないかで、分けてみてください。
    言い方を変えると、Aは経営者が中心にやらなければできない仕事、Bは経営者でなくてもできる仕事、というように分けることもできます。

    そして、経営者の時間の使い方が、Aの仕事が多くなるように、Bの仕事が少なくなるように、していきます。
    「この仕事は自分(経営者)でなくてもできる仕事ではないか?」
    という視点で、過去1カ月の行動記録から、振り返り、そして次の1カ月に生かしていくのです。次の1カ月に生かすためには、次の1カ月の、スケジューリングを行うことが必要となります。

    またこれは、「経営者」の時間の使い方であって、「社員」の時間の使い方ではありません。
    「社員」は、Bの仕事が多くあるのが通常です。
    ただ、「社員」でもAの仕事が増えてくると、その会社は強い会社となります。経営者としての仕事ができる社員が増えてくることにつながります。
    社員がAの仕事で成果をあげてもらうことができるよう、経営者としては教育をしていくべきですが、どうしても不向きの社員もいますので、そのような社員はBの仕事をしてもらうことにより、会社としての生産性を上げていきます。

    ★とにかくまずは、経営者が行動記録をとり、自分の時間の使い方を、会社を良くする仕事、会社を伸ばしていく仕事にいかに注げるか、それを考えて実践していくと、その会社の1年後、3年後、その会社は良い方向に向かっていくことでしょう。

     

    ・あなたの会社の「体質」を把握できているか

    <財務診断でわかること>

    • ・資金繰り表によると、営業キャッシュフロー、営業収支はプラスなのだからリスケで資金繰りがまわることが明らか。
    • ・このままだと、会社の現預金は数カ月後には底をつくが、決算書から新規借入が無理なのは明らか。リスケジュールだけでなく赤字事業撤退を同時に進めることができれば、資金繰りのメドはつく。
    • ・事業の赤字を解消すべく、新規事業を計画しているものの具体的な計画、特に資金計画がないため借入はまず無理だが、資金繰り表によると、ひとまずリスケジュールで資金繰りを落ち着かせることはできる。

    あなたの会社にお金を貸している、銀行をはじめとする金融機関は財務分析で得られた情報をベースにするのか?
    財務分析は「一定のルールでつくられその会社に融資を行うかどうかを検討する、金融機関といった外部の組織、つまり社外の人間がその会社を知ろうとした場合、少なくとも当初の段階では最も客観性を有するからです。

     

    ◇決算書は過去の体質分析
    ◇試算表で現在の体質を分析
    ◇資金繰り(計画)表は将来を分析
    左記3点を揃えれば銀行対応は一通りできる、ということはおさえてください。

     

    ・業務の進め方、プロセスの改善でみえる経営改善

    収益改善には
    売上をあげるか?
    粗利率をあげるか?
    経費を落とすか?
    この3点が基本
     +  私どもが行う財務診断では、会社の体質を知ることだけではなく、業務の進め方、プロセスの改善まで分析するケースがほとんどです。

     

    業務の進め方、プロセスの改善がみえて、はじめて経営改善方法が現実化でき、手元の現金が減っている状況を止め、キャッシュを増やすにはどうすべきか?が見えるのです。

    業務の進め方問題点
    問い合わせ客や見込み客のフォローがまったくされていない 顧客の平均単価はどれくらい?
    顧客の取引回数は?
    返品やキャンセル率はどうなのか?
    また、前年度と今年度の比較、そして、全体を構成する中で占める割合等を答えられなければ調べてください。
    経費削減 仕入原価、部品組み立て(アセンブリー)外注費、ロジスティックなど、一度も見直しをしたことがなかったが、交渉したら簡単に値下げできたケースは、弊社の顧問先をみても、1件や2件どころではないんですね。

    ★業務プロセスの欠陥に気が付かず、長年染み付いた「体質」や「クセ」で集客に投資をしても、そこでコストかけて新たに獲得した問い合わせ客や見込み客の何割かは、気がつかない内に脱落させてしまっています。
    自社の問題点を発見し、経営改善計画書に盛り込み、実行に移さなければなりません!
     

    『経営者の心構え』

    (176)収穫までの時間差に耐えられる強い意志を持つ!

    夢や目標はきちんと努力を続けさえすれば、多少時間がずれる事があっても必ず実現できる。

    どんな仕事でもそうですが、利益を生み出せるようになるためには、一定期間努力を継続することのできる行動力と忍耐力が必要です。


    収穫が得られようになるまでの時間差に耐えられるには


    本人の口から夢を語る!

    夢を語られるようになったリーダーはどんどん強くなります。

     

    (177)年収アップへの道

    本気で年収アップを望む!

    • ・年収アップを決意し、目標を設定し、紙に書くこと。
      目標を設定し紙に書いて毎日眺めると、達成できる確率が上がる。

    • ・年収目標の棒グラフを作成。
      年度ごとに実績の棒グラフをその横に記入していくことで、年収の推移、年収目標の達成状況が一目でわかる。
      この年収棒グラフは自分自身を励ます材料に大いに役立つ。

    • ・そして、毎日毎日願い続ける。
      毎日トイレに貼り眺めるなど。

     

    (178)住宅建設会社・工務店の業績アップ・会社再生

    ■今こそパートナーシップを

    ★今後、新設住宅の着工が増え続ける可能性は低いです。何せ日本は、人口は減少し、高齢化が進んでゆくわけですから。そのようなマーケット環境の中、生き延びる術として、その地域のパートナーシップを考えてみては如何でしょうか。

    簡単に言うと「不動産」+「設計事務所」+「工務店」の組み合わせ。

    ★単に"売れれば良い"ということではなく、その地域の"まちづくり"を意識して、地元の事業者が連携するのは、その地域に住むユーザー にアピールする絶好の機会だと思います。

    なんとなく家を建ててきた工務店も、これからは「設計・施工」のうたい文句がアダになりませんか?
    建築士の先生も「独りよがりの設計」では食べてゆくのが大変では
     
    不動産屋さんも、単に「土地」だけじゃなく、付加価値が必要では?
    みなさんの"強み""弱み"を生かし、補いながら、ひとつの事業を進めてみてはどうでしょう。 その地域の活性化、発展につながる事業は、社会的な意義もあり、そのような社会貢献的事業をおこなっている企業こそ、永続が可能な 企業となるような気がします。

     

    2013年7月17日

    営業ノウハウ

    2013年7月16日

    マーケティングノウハウ

    (1)需要創造型マーケティングが成長のカギ

    日本経済が実質ゼロ成長に近い状態となり、多くの企業は先が見えなくなりつつある。しかし、目の前にある需要が少なくなるのを見て、早々に諦めてはいないだろうか。新たな分野に進出する方法もあるが、自社の本業やコア・コンピタンス(核となる技術)を捨ててまで業種転換しても意味がない。

    業界で勝ち残るカギは、潜在需要を開拓できるかどうかであり、もっと言えば「需要を創り出す」ことが必要になる。

    九州のある老舗菓子メーカーは、かつてバレンタインデーのお返しとして「ホワイトデー」を考案し、世に普及させたことで有名である。同社は主力製品であるマシュマロの販売を拡大するため、みやげ品以外で新たな 需要を創り出すことに成功した。


    直接的な営業力で売り込むより、エンドユーザーの拡大や囲い込みを図っていく方が、企業の成長や業績の安定化につながる例は多い。

    輸入大型バイクの専門ディーラーでは、ツーリング仲間のサークルを主宰して顧客を組織化した。またアニメキャラクターのプラモデルメーカーでは、映像コンテンツの配信を手掛けて顧客の裾野を広げている。


    需要創造型のマーケティングとは、決して難しいことではない。中長期的な視点からエンドユーザーの立場で考えれば、いろいろなアイデアが沸いてくるはずだ。

    あとはそれを実行に移せるかどうか。必要なのは「情熱と行動力」だけである。

     

    (2)自社の強みを活かす新マーケット・新顧客の創造

    ★なぜ新マーケット・新顧客の創造が必要なのか?その要因から探ってみたい。

    対外的要因
    1.何もしないと企業の寿命は30年
    企業および事業にはライフサイクルがある。何もせずに放っておくと、その寿命は30年程度(業種業態によっては10~20年)と言われている。故に生き残るには、時代の動向を見抜き素早く方向転換を行う、また目先のマイナスを覚悟して将来に対する布石を打つことが必要である。
    2.顧客の購買意識の変化
    大衆消費時代から高度選択時代へ変化している。とくに日本の消費者は、世界で一番厳しい目を持っていると言われるほどである。同じような品揃えやサービスでは顧客に逃げられてしまう。
    3.情報化社会の到来
    経済社会のあらゆる側面で情報化が急速に進んでおり、顧客の意識や価値観が多様化し、経済活動も高度化、複雑化している。

    社内的要因
    1.人材の流出
    人材スカウト市場が急拡大し、魅力的な企業を求めて人材が活発に移動している。そのため魅力的な事業・商品が求められる。
    2.後継者対策
    後継者がいない企業が増加しており、その原因として企業の収益力が低く、事業としての魅力が乏しいことが挙げられる。その対策として魅力的な事業・商品が求められる。
    3.社員の意識変化
    新しいマーケットを開拓することや新しい顧客を創造することにより、社員のモチベーション向上やその会社で働く誇りを持たせる必要がある。

    これらの要因により、新マーケット・新顧客の創造が必要になってくる。では具体的にどうすればよいかと言うと、まずは自社の経営資源を整理して「自社の真の強みを掴む」ことである。それを成長性のある新分野および顧客に提供するのである。

    自社の強みが「どんな所で使いものになるか、役に立つのかわからない」といった企業が結構多い。

    その場合、顧客に聞くのが近道である!

    「なぜ自社と取引きしてくれているのか、自社の強みが活かせる分野はどこなのか」を徹底的にヒアリングすれば、ヒントが見えてくるはずである。

     

    (3)社員満足度(ES)顧客満足度(CS)具体的には?

    ★CSもESも確かに大切なのはわかるが、運用面では残念ながら「お題目」に終わっている企業も多いのではないだろうか。今回は、CSとESの具現化に取り組んでいる加工・製造会社であるA社の取組み事例を紹介したい。

    1.CSへの取組み
    •  A社は売上10億円、従業員は40人といわゆる中小企業である。当然、大手と比べて技術力や設備、価格対応力には限界がある。しかしお客様に対して「安心して任せていただきたい」という思いから、次のことを完璧に実行している。
      •  (1)材料の仕入れ、加工、梱包の各過程で写真を撮り、細かく報告
      •  (2)現品よりも品質書類を先に提出
      •  (3)約束納期の1日前に納品
    •  これにより安心してお客様から仕事を任せていただいて、クレームがほどんどない体制が構築できている。

    2.ESへの取組み
    •  A社の事務所にはキッズ・ルームが備えられている。小さな部屋に簡単な設備がある程度で、子供に対する人が専属でいるわけではない。しかし手が空いた社員が相手をしたり、工場に引率して親が働いている現場を実際に見せたりと、できる範囲で対応をしている。この「手作り感」が好評で、配偶者が病気の時など多くの社員が利用している。

    CS、ESどちらの事例からも言える成功の要素
    「具体的な実行策を社員に明示する」
    「自分たちの身の丈にあった実行策にしぼる」
     

    ★ぜひ自社のCS、ESの具現化への着眼ポイントとして参考にしていただきたい!

     

    (4)性格かつ迅速な見積もり

    ★企業のトップを務めていれば、さまざまな場面で重要な経営判断を迫られる。
    そして多くの場合、十分な情報が手元にないまま、意思決定せざるを得ない。

    経営判断をする上で押さえておきたいこと。
    まずは計数情報はしっかりと押さえておく必要がある。儲かっているのかどうかがわかっていなければ、出費や投資をしてよいのかどうかもわからない。
    大体の「勘」で分かっていたつもりでも、数字という厳然たる事実を見せられて、唖然としてしまうこともあり得る。数字は、恐ろしいものだ。思い込みや先入観を捨てて、しっかりと対応しなければならない。
    自社の中で、どの商品・事業が儲かっていて、儲かっていないのかを知ることは、戦略を立てる上での基礎的な情報となる。これもまた、横着をせずにしっかりと検証する必要がある。

     

    (5)「価値」の裏側にある期待

    ビジネスに、とりわけマーケティングに取り組むのなら、顧客が自社の商品の何に対して金を払っているのか、よく見極めるべく考えておく必要がある。

    よく言われるのは、商品という「モノ」ではなく、そこからもたらされる「価値」や「便益」に対して対価を払っているということだ。

    とは言え、現実には、商品を購入する時点では、まだその「価値」や「便益」は実現していない。
    長年にわたりコンサルティングの仕事をしてきたので、それについても同様に考えたことがある。

    コンサルティングをしている時点では、その価値は、まだ実現していない。将来、きっと成果が上がるだろうという期待のもとに、料金を支払う。

    将来へ向けての「期待」への対価を支払うことがあるのなら、将来の「不安の解消」も、対価の支払い対象となる。

     

    (6)年商が1億円以下の企業の場合の立て直し方

    ★一番考えなければならないことは、いかに売上を増やすかです。

    ◇経費削減ではありません。そもそも、私どもにご相談にこられる企業のほとんどは、すでに経費削減はすでに十分すぎるほど行っているのです。

    では、どうやって年商1億円を突破するか。
    1.マーケティング力をつける。
    2.ビジネスモデル(勝ちパターン)を構築する。
    3.スポットの売上中心から継続的な売上中心にする。
    4.組織力をつける。

     

    1.マーケティング力をつける。 マーケティングやセールスの本をとにかく読みましょう。そして読んだだけではだめで、実践しましょう。自分の会社をだめにしている経営者を見ていると、とにかくマーケティングやセールスの知識がなく、「うちは人脈で営業している。」という答えが返ってくることが多いです。知識をつける、実践する、とにかくひたすらコレです。

    2.ビジネスモデル(勝ちパターン)を構築する。

    小年商企業を見ていると、勝ちパターンがない企業がほとんどです。勝ちパターンとは、例えば、この仕事では他社には負けない、この仕事は問合せが多いなど、その企業にとって売上の柱を作る、得意な仕事を言います。
    その得意な仕事と、その仕事をとるための見込み客集客からセールス、受注獲得まで、一つ勝ちパターンを作ってしまうと、その会社の売上は一気に伸びます。ちなみに弊社は、事業再生コンサルティングの見込み客の集客から顧問契約、その後のコンサルティングのやり方まで、一つのビジネスモデルを作り、そこからの売上が8割を占めます。

    3.スポットの売上中心から継続的な売上中心にする。

    小年商企業を見ていると、その特徴の一つとして、継続的な売上が少なくスポットの売上でつないでいる、というところがあります。 継続的な売上とは、例えばBtoCの会社では、インターネットショップがあってそこに継続的なアクセスがあり毎月一定の売上が入ってきたり、BtoBの会社では、定期的に一定の受注がある取引先を抱えている、という状態の売上を言います。
    継続的な売上のメリットは、一定の売上が計算しやすい、新規取引先を開拓するコストと時間がかからない、というところがあります。スポットの売上ばっかりだと、仕事がとれなければ売上0であり、営業を行い続けなければならずつらい、ということになります。いかに継続的な売上を増やしていくかが、売上を増やすポイントになります。ちなみに弊社は、顧問契約においての売上、面談相談においての売上、これらは継続的な売上となっており、9割以上の売上は継続的な売上、という状態です。
    4.組織力をつける。 このポイントは、個人事業から、「企業」に脱皮するにはとても重要なポイントです。簡単に言うと、社長が社員に、仕事を任していく、ということです。

    ちなみに私は、自分の仕事を

    • ・社内体制の構築
    • ・マーケティング活動
    • ・新規ビジネスの構築

    これだけに決めています。ここには、日常の業務、が入りません。
    社長が日ごろ得意先まわりを行う、経理や総務的な仕事を行う、というような状態ではだめです。なんでもやらなければならなくなり、すぐに社長はアップアップの状態になり、売上の伸びは止まってしまいます。社長の気持ちとしては「社員に仕事を任すより自分でやった方が正確だし早い。」となります。その気持ち、よく分かります。しかしそれでは会社の売上を増やすことはできません。社長は、社員に仕事を任せていかなければなりません。
    社長が業務を行っていくのではなく、組織で業務を行っていくのです。

     

    (7)ブランドコンセプトがぶれない

    ★事業戦略を考える際、まずは事業の「定義」を行なう必要がある。

    定義

    • 少なくとも3つの角度で考える。
    • 1.誰を顧客ターゲットとするのか
    • 2.そのターゲットにどのような価値を提供するのか
    • 3.そのターゲットにどのような仕組みで価値を送り届けるのかだ。

    特に重要なのは「提供価値」の部分
    顧客からみて十分に魅力的であることが必要だ。言い換えれば、それは事業の「コンセプト」

     

    コンセプトが決まれば、商品仕様や販売方法といったものも決まってくる。少なくとも、ちぐはぐにならないようにする必要がある。まずは「コンセプト」がぶれないことが、その大前提だ。

    「お得意様」すなわち「リピート客」を作る秘訣は
    「ブランドコンセプトがぶれない」
    「ターゲットを明確にする」こと。
     

    パークハイアットの例

    パークハイアットは、「最上のサービス」こそが顧客への提供価値、ブランドコンセプトだとしているわけだ。それが「ぶれない」ために顧客は安心できるし、従業員にも浸透、徹底できる。

    コンセプトがぶれないのは、顧客にとっても安心だが、それは従業員にとっても同様なのだ。 パークハイアットの支配人は、コンセプトがぶれないことにより「社員もじっくりと接客ノウハウを蓄積できる」としている。

    教育で人を育てるという考え方もあるが、人が育つ環境を整備することは、それ以上に重要だ。「ブランドコンセプトがぶれない」 ことは、その環境の基盤が安定していることを意味し、だからこそ人が育つ。

     

    (8)顧客コミュニケーションの目的とは

    ★現在、日本での多くの中小企業では<営業>と<マーケテイング>との区別が明確ではなく、見込顧客の集客から購入顧客への育成、販売までを営業担当者に任せており、マーケティング=集客設計を個別にきちんと行うという意識が低いのが現状です。

    今後のネット社会では顧客に発見される=検索される会社になることが集客戦略で重要となります。 その際、あなたの会社が今まで以上にWEBマーケティングを意識することにより、適切な人員の配置や有能な 人材を登用できるかが企業の命運を分けることになります。

    顧客コミュニケーションの究極の目的は
    ファン顧客をいかに多くつくるか
     
    ★ファンになるお客様をつくる仕組みづくりをするための、顧客コミュニケーションの方法について、以下に、その内容を記していきます。

    ■顧客コミュニケーションのポイント
    (1)顧客データベースを構築すること。(顧客名簿のことです。)
    (2)年間の顧客ごとの売上高のランキング表
    (3)顧客階層別のコミュニケーションの方法の設計

    これらが整備されることで、例として

    ・「A」という商品に興味を持った顧客へ、次回はそれに付随する「B」を案内する。
    ・自分用の商品を買った顧客へは、次回は贈答品としての購入を提案する。
    ・前回購入分が消費される前に、追加購入の案内をする。
    ・前回コンタクトしてから一定の期間が経過した時点で、案内や確認を送付する。

    ★このようなことが、「会社として」「漏れることなく」できるようになります。

     

    (9)顧客階層別コミュニケーションの設計方法

    一度でも購入歴のあるお客様をリピートする仕組みから考える。

    この仕組みがない状況で、新規の顧客を獲得しようとすることは危険です。
    それは、例えるならばバケツに穴が空いた状況で次々に水を注ぐのと同じことです。

    多くの会社においては、もっとも難易度が高く、コストのかかる「新規顧客」の獲得に多大な時間とコストと労力をかけてしまいます。

    ※一般には、新規顧客の獲得コストは、リピートの4倍から5倍、またはそれ以上のコストがかかると言われています。
    まずはリピートしてくれるお客様をつくることの重要性を今一度ご認識ください。
    集客戦略の中でも重要な見込顧客のフォローの仕組み

    見込顧客とは、商品やサービスなどに興味があるが、今すぐに買わないお客様のことです。
    通常の会社では売上が厳しくなると、今すぐに購入してくれるお客様を新規に求めます。

    これが多くの企業が陥るワナです。

    当然、今すぐ購入してくれるお客様はあなたの会社にとってうれしいことですが、その前に、抱えている商談の成約率や単価を上げることの方が成果は出やすいのです。

    では、どうすれば成約率が上がるでしょうか?

    これは恋愛に例えるなら、すぐに理解していただけると思います。
    ある男性が、ひとりの女性に恋をして、その女性とお付き合いしたいと考えたときに、関係性が深まるコミニケーションをするステップを踏まず、いきなりお付き合いしてくださいと告白をしたとしても、断られるでしょう。

    可能な限りのコミュニケーションを重ね、顧客との関係性を深めていかないとその次のステップには進みづらいのです。
    ※ある有名企業では、成約に至るまでの顧客とのコンタクト数は、7回とされているそうです。

    要するに、すぐに売上に結びつかない、将来の見込客を育てられるか。新規顧客の獲得よりも、見込顧客の育成が重要なのです!

    あなたの会社がこの見込顧客獲得を中心にマーケティングを行い

    集客戦略とは
    接点(メールアドレスなど)を獲得して、メールマガジン等を通じて自社の特徴やサービスの啓蒙とフォローを行いながらいかにその見込客に有益な情報を与える。
     

    さらには、購入頂いた顧客にリピートしていただき、ファン顧客になっていただく。

    • ①あなたの会社がこのことを理解できたら、まずはひたすら最初のお客様との接点の獲得(見込顧客獲得)に注力してください。
    • ②そして、多くのファン顧客をつくり、安定的にファン顧客が次のお客様を口コミなどで紹介してくれる勝利の方程式をあなたの会社に是非構築してください。

     

    2013年7月10日

    コンサルタントノウハウ(1)

    (1)ダメなコンサルタントは自分の利益優先

    私の経験上、まっさきにダメと思うコンサルタントは
    コンサルタントとしての自分の利益(儲け)には執着するが、クライアントの成果に関心のない(薄い)コンサルタントです。

     

    自社利益が優先のコンサルタントは
    • 私がこれだけの日数を割く必要があるので、これだけの金額が必要です(それで御社にどの程度の利益があるかは知りません)
    • 私のもつノウハウはこれこれのシステムで、これこれの手順によって進めるので、これだけの期間と費用がかかります(それで御社側の事情がどうなのか、適合するのかは、知りません)
    • 私のやったコンサルティングは正しいし、ちゃんと訪問してやっているので、私は間違っていないです(それで御社の社員が理解できて効果が現れて評価されているのかどうかは知りません)
    • 私のコンサルティングに文句を言う前に、おたくの会社に問題があります(最初からそれをわかって引き受けたのでは??)といった空気を醸し出しています。

     

    ×成果がでなかったりトラブルになったり立場が悪くなると、自己弁護、相手への攻撃に走る傾向にあり、注意が必要だと思います。
    ×また他方で、決まったパッケージシステムのように、手順が設されていて、かかる工数(原価)ベースに値づけされているサービスは、クライアントの事情を無視している場合も多いように感じます。
    ×経営コンサルティングに関しては、個別の企業事情やニーズがまちまちで、あまりパッケージが通用するとは私は思っていません(パッケージサービス自体を否定している訳ではありませんので念のため)。

    企業がコンサルタントに実際に要望していることを考えると、その分野で経験や見識のあるコンサルタントが、オーダーメイドで対応せざるを得ないのが現実だと痛感します。

     

    (2)にぶい人は社員でもコンサルタントでも食えない

    ◆にぶいタイプの人間
    • 勘の悪い・空気を読めない
    • 相手の気持ちを察知できない
    • コンサルタントとしてリーダーシップを発揮できない
    • プロジェクトを引っ張る力はない
    • どこかぎくしゃくした印象・妙なところに執着心がある

    このコンサルタントと自社の仲間として一緒に働きたいと思うか?と自問すれば明白です。

    ◆素晴らしい仕事をするコンサルタント
    • コミュニケーションの勘所がよく・センスを感じさせる
    • 手抜きせずおごることなく、勤勉な印象を受けます
    • クライアントの利益に関心が高く。自分がどれだけ貢献できるだろうか?自分のノウハウでどこまで高いパフォーマンス(費用対効果としての結果)を出せるだろうか?と真剣に向き合っていることが分かるでしょう

     

    (3)職業病と没個性

    コンサルタントに悪意はなくとも、知らず知らずのうちに、「手順どおりに」汎用をベースにした提案書を作って「思考停止」しているのではないか?と思われるケースにも遭遇します。

    シナリオをつつがなく消化することが目的化してしまっているため、やってみた結果、毒にも薬にもならなかったという感じでしょうか。

    決っして間違ってはいないものの、どの会社にも当てはまるようなことが延々と述べられていたり、ちょっと経営学を知っている人ならわかるようなことを新たに発見したかのように教えられても、その場にちょっと冷たい空気が流れるような感じがします。
    事前に調べればわかるような、そのクライアントの会社情報や、製品・サービスには関心が薄く、トンチンカンな質問をしたりして、担当者を静かに怒らせるような場面も何度か経験しました。

     

    手順や型にはまるあまり、クライアントの姿を「率直に」見つめることができなくならないように気えをつけましょう!

     

    (4)『講演のコツと文章のコツ』

    お話と文章の違いといえば、文章は考えながら書けますが、話は考えながらできない。 その代わりお話は文章ほど組み立てがシビアでないので、多少はなしが前後しても表情や音声で理解してもらえるという利点があります。

    講演にはコツがあるそうです。

    「結論から始めよ、短く区切れ、適当に間をとれ」

    これはそのまま文章のコツでもあります。 この3つを心がけるだけで随分読みやすい文章になります。

    講演でこの3つを守れば講師として十分活躍できるように、ビジネス書やその他の一般書であれば十分著者としてやっていけます。 つまり講演と文章は基本が一緒ということです。

     

    (5)営業の基本で営業効率を上げる

    私が顧客ゼロ、売上ゼロからの出発にあたって取った営業作戦「同行訪問作戦」の成功を支えた要因をもう一度整理すると、以下のようになる。

    • 1.自分の専門分野を明らかにしたこと。
      (初期の頃の私の専門分野は「人事評価制度と賃金制度の改革」と「幹部社員研修」だった)
    • 2.会計事務所の社員に自分の専門分野を繰り返しアピールしたこと。
    • 3.同行訪問してくれる社員、紹介してくれる社員のメリットを考えたこと。そして、同行訪問の機会を得たこと。(門前払いされない状況を作ったこと)
    • 4.お客様の相談に乗るという場面を数多く作ったこと。相談相手として認めてもらえる状況を作ったこと。
    • 5.面談時間の70~80%を聞き役に回ったこと。
    • 6.聞き役に回ることで、相談のポイントをつかんだこと。
    • 7.タイミング良く、適切な質問をしたこと。
    • 8.お客様の気持ちが十分に高まった頃を見計らって、お客様が決断しやすいように、取り組みの提案をしたこと。

    考えてみると当たり前のことばかりなのであるが、仕事の取れない人はこの逆をやっている事が多い。たとえば次のようなことをしている。

    • 1.自分の専門分野に集中してアピールすることをせず、「あれもできます。これもできます。」などと言って、結局何が得意な人なのか分からなくしている。
    • 2.自分のメリットばかりを考え、協力してくれる人、紹介してくれる人のメリットを考えていない。
      (だから人の協力を引き出すことができない)
    • 3.お客様から見た時に、相談相手ではなく、売り込みをかけて来る相手として見られるような言動をしている。
      だから、お客様は心を開いてくれない。結果として仕事が取れない。
    • 4.面談時間の50%以上を、自分が話している。(やっぱり売り込みになっている)
    • 5.相手の欲求中心ではなく、自分の売り込み中心で商談を進めようとしている。
    • 6.質問をあまりしない。従って、お客様の欲求をつかみきれない。そして、平気でピントのはずれたセールストークを使ってしまう。
    • 7.お客様がしらけていることに気が付かない。気持ちが全く傾いていないのに売り込もうとする。詳しく説明しようとする。(説明すればするほどお客様の気持ちは離れて行く)

     

    このようなことを無意識のうちに行っていないか、自チェックして欲しい。

    すべて基本的な事ばかりであるが、この基本ができているかどうかによって、営業の効率が大きく左右されることになる。

     

    (6)自分の怠け心を撃退する効果的な独り言

    私も普通の人間ですから、時々楽をしたいと思う事があります。

    • 仕事を後回しにしようかな
    • 今日はこのへんでやめておこうかな

    そんな時、自分を勇気付け、あとひと踏んばりさせてくれる効果的な独り言があります。

    「今やる、すぐやる、最後までやる」という独り言です。

    このセリフを何回か繰り返すと、なぜかもうひと踏んばりできるようになるのです。

      稼げる人は
    • ◇「仕事を後回しにしない」
    • ◇「仕事の処理スピードが非常に速い」という特徴があるように思います。

    経営コンサルタントは、次々に問題を解決していかなければならないので、仕事を後回しにしない習慣を身に付けておく必要があります。 仕事の処理スピードをもっと速くすることに挑戦して行く必要があります。

    今やる、すぐやる、最後までやる!

     

    (7)分かりやすく利用しやすいフロントエンドサービスを準備する

    経営コンサルタントは、お客様の置かれている現状を把握し分析して、業績アップの具体策をアドバイスし、成果を上げて行く実力が要求されます。自分自身の客数アップを実現できない人が、お客様の客数アップを指導できるでしょうか?

    まずは、自分自身の顧客数を増やすことを実現させて下さい。そのためには
    分かりやすく利用しやすいフロントエンドサービスを準備して下さい。

     

    具体的には
    • (1)セミナーを開催することが、フロントエンドサービスに該当します。
      あなたが最も得意な分野で、見込み客が集まりそうなタイトルでセミナーを行ってみて下さい。 参加客は少なくても構いません。全力でセミナーを行い、情報を提供すれば、徐々に顧客が増えて行きます。 もしも、参加者を集める自身がなかったら、少人数のスタディグループや企業別研修会の講師を 引き受けるようにしてみて下さい。 たくさん引き受けるようにすれば、徐々に顧客が増えて行くようになります。
    • (2)比較的安い料金(または無料)で利用できる「お試しサービス」も有効です。
      まずは、安い料金(または無料)で利用してもらってみて、気に入ったら使い続けてくれるように導いて行けば良いのです。

    分かりやすく利用しやすいフロントエンドサービスを準備し、たくさんのタネをまくようにして下さい。

     

    (8)お客様を増やすための前提条件

    お客様を増やすための前提条件
     
    「明るく元気に笑顔で人に接する」
    「自信を持って人に接する」

    という当たり前のことです。

    どの業界でもそうだと思いますが、何となく暗い感じのする人、何となく自信のなさそうな人には人を引き寄せる魅力がありません。

    その結果、新規のお客様を増やして行くことに苦労してしまうのです。

    自分自身の仕事の実績が十分でなかったり、十分な売上が確保できていないことなどが原因で、そのような雰囲気になってしまうのかもしれませんが、これは気を付けなければなりません。誰でも始めはゼロからのスタートです。

    日々明るく元気に笑顔で人に接するようにして行きましょう。

    日々仕事に打ち込み、特定の分野で絶対的な自信が持てるようになって行きましょう。

     

    (9)一生自分を使ってくれる経営者を大切にする

    どんなに一生懸命仕事をしても、顧客は永久に使い続けてくれる訳ではありません。
    たとえば、次のような時、顧客は取引の中止を伝えてきます。

    • 1.期待していたサービスが受けられないと顧客が感じた時(欲求が満たされない時)
    • 2.料金に見合う価値を提供してもらえないと顧客が感じた時(費用対効果が悪いと感じた時)
    • 3.新しく得るものがなくなったと顧客が感じた時(マンネリ化を感じた時)
    • 4.自分が求めているものとコンサルタントが提供してくれるものがずれてきた時(求める相手が違うと思われた時)
    • 5.根本的な相性が悪い時、考え方が違い過ぎる時

    取引が中止になってしまったら、取引が中止になった理由を反省し、自分自身をもっと鍛えてもっと高めて行くようにしましょう。

    そして、取引を続けてくれている顧客に感謝し、必ず報いるのだという決意を固め、仕事に打ち込んで行きましょう。

    • 1・良き経営者との出会いはあなたの人生を好転させて行きます。
    • 2・あなたを一生使ってくれそうな経営者がいたら、その経営者を大切にして下さい。
    • 3・その経営者に対する感謝の念を強く持ちましょう。
    • 4・その経営者の幸せを願って、そしてその企業を必ず成長発展させるのだという熱意を持って、今日も全力で仕事に打ち込んで行きましょう。

     

    コンサルタントノウハウ(2)

    (10)思考回路の軌道修正をする!

    ★コンサルティングや社員研修をしていて痛感することの1つに

    「思考回路の良し悪しによって、結果に大きな違いが生じている」ということです。

    業績を上げられない人、仕事でいい結果が残せない人のほとんどが、思考回路に多くの欠陥を抱えています。

    自分の将来を良くしたいと思うのであれば、自分の人生をもっと豊かにして行きたいのであれば、自分自身の思考回路をより良い思考回路になるように軌道修正をしなければなりません。

    思考回路に欠陥のある人
    • ●仕事がうまく行かない原因を経営環境のせいにしたり、他人のせいにしたりする傾向が強いのです。
    • ●ガンコで人の意見を素直に吸収できない
    その結果、いつまで経っても自分の思考回路を修正できずに、失敗を繰り返すことになります。
     

     

    思考回路が優れた人
    • ●思考回路の軌道修正とレベルアップに挑戦し続ける
    業績を上げ、仕事でいい結果を出し続けることになります。

     

    「自分の思考回路は業績アップを実現させる思考回路になっているのだろうか?」と..。再点検してみて下さい。

     

    (11)コンサルタントノウハウを伝える

    ◆コンサルタントとして世の中に自分の持っているノウハウを伝える機会は、さまざまある。

    簡便な方法としてメルマガやブログ、書籍などあるが。

    もっと深く理解してもらおうとすれば、セミナーのような場で伝えた方が効果的かも知れない。ライブ環境では、本には書けなかったような話もできる。

    そのノウハウを用いて成果を出して欲しいと願うのなら、やはり個別のコンサルティングが望ましい。本やセミナーでは、一般論しか伝えられない。

    コンサルティングでこそノウハウのすばらしさが伝わるのに、書籍だけで評価・判断されるのは不本意です。

    • ◆これは、コンサルティングだけのことではないだろう。 せっかくの商品・サービスが、本来とは異なる利用のされ方をして価値を発揮できなかったとしたら、非常に残念に思う。

     

    (12)あのダメ社長を何とかしてください!

    • ◇「この人が社長じゃ、うまく行くはずない・・」と、頭を抱えるコンサルタントのあなた!
    • ◇「自分はコンサルタントに向いているのか?」と不安を感じているあなた!

    コンサルタント人生の転機になる、"一生モノの気づき"があるかもしれません。

    • ・顧問先がどんどん増える!
    • ・自信を持ってクライアントを支援できる!
    • ・厳しい状況のクライアントにも、全力で取り組める!
    • ・経験に乏しい分野でも、軸があるから迷わない!

    魔法のようだけど、誰もが納得するコンサル方法論があるのです。

    打開策
    「自分がこの社長以上に本気になること」!!

    その社長がどんなに頼りなくても、命をかけて経営をしようとしているわけです。
    そんな人を「この人が社長じゃ・・・」などと評価する資格など、私にあるはずがないということを気づかされ、「私は本気で取り組んでいたか」を反省しました。

    そして、「私は本気であなたを応援する」という姿勢でその後お会いした結果、何かしら、今までに感じられなかった信頼関係を築くことが出来たように思います。

    「お前は今目の前にいるクライアント以上に本気か?」と..。問い続けていきましょう!

     

    (13)コンサルタントにおける支援 5つの発見

    企業にコンサルティングするときのコツ

    お客様の企業にはじめて行くときには、以下の5つの項目を見つけましょう。

    • (1)相手企業の長所を見つける。
    • (2)相手企業が自信を持っている部分を見つける。
    • (3)相手企業の伸びているもの、部分を見つける。
    • (4)時流にあっているものをその企業の中から見つける。
    • (5)(1)~(4)を見つけられない時には、その企業のお客様が求めているものを見つける。

    そして、この5つのうちどれかを発見することができたら、それを徹底的に伸ばすための策を提案し、実行してもらいましょう。これだけで企業の業績は上がるでしょう。

     

    (14)営業しないで顧問先を増やす仕組

    ★まずは、この流れを作ることが、「仕組で顧問先を増やす」ために必要なのです。

    • 1.ダイレクトメールでセミナーの集客を図る
    • 2.セミナーを行う
    • 3.セミナー参加者の中から毎月もしくは2ヶ月に一度集まる定期的な勉強会に入会してもらう
    • その中で、お互いのことを深く理解していく
    • 4.顧問契約につながる

    !今のプロセスの中で、「営業」は何もしていません。 また、「お願い」もしていません。
    積極的な会計事務所ほど、ダイレクトメールを送り、「成果が出ない」と悩みます。ダイレクトメールを見ただけで、お客様は「ここに顧問をお願いしよう!」とは思いません。

    セミナーでは、自分たちの持っているノウハウを提供し、毎月の勉強会ではお 互いの情報交換を通じてお互いのことを深く知っていく・・・その結果が顧問 契約につながるのです。

     

    (15)「うまくいく研修」と「失敗する研修」のポイント

    研修は当日だけでない!

    研修の成果・効果は、研修当日よりも、むしろその事前準備と事後フォローにかかっていると言っても過言ではありません。

    • 経営者にとりましては、お金と社員の貴重な時間を実務ではなく、研修に当てる訳ですから、非常に強い目的があります。 その片方で、受ける側には、「今、なぜそのような研修を受けなければならないのか?」という気持ちがあります。 まず、そこをクリアーすることが大切です。
    •  その為に、研修企画担当の皆様は、根掘り葉掘り、経営者から、その動機を具体的に聞き取る必要があります。 経営者が、「今、なぜ、何のために、誰に、どこまでのレベルアップを期待して、そのような研修を受けさせる必要を感じたのか?」ということです。
    •  そして、あなた自身が、同じ会社の社員として受ける立場にも立って、納得出来るかどうかです。 納得出来なければ、受講生を説得することは出来ません。納得出来ないのであれば、納得出来るまで、意見具申をし、つめる必要があります。
    • ②企画書を作成する為に大切なこと
    •  「研修目的達成のゴールを明確にする」ことです。
    •  その目的の為にどこまでのレベルに持ち上げられればいいのかということです。 この部分が非常に曖昧なケースが多々あります。それでは、企画内容が曖昧なものになってしまいます。
    • そしてもし外部講師を委託されるのであれば、事前に何度もやり取りをして、自社の風土に合うか、受講生と肌が合うか、自分達の研修目的を全うできそうかということを納得出来るまでやり取りをして、見極める必要があります。
      研修を実施してからでは間に合いません。
    •  出来れば受講生に事前に個別に会ってもらい、受講生のテンションやレベル等を把握した上で、研修に臨んでもらうように出来ればベストです。
    •  ある会社で、受講生への事前ヒアリングで、「私は惰性で仕事をしています」、「ウチの会社・部署は退職者が多いんです、それは・・・」、「私はあと1年勤めて、辞めようと思います」というような話しが続々と出てきて、「これでは研修にならない」と判断し、経営者にお願いして、「処遇の改善等」のお願いをしてから、研修をさせて頂いたことがあります。
      研修を受ける前に、「受ける気」になってもらうことが肝要な事例です。
    • 研修後、受講生は、レベルが上ります。従いまして、上司の皆さんには、事前にも事後にも、どのような研修を実施して、本人達がどのように受講し、どのような感想をもったかを必ず伝えて下さい。。
    •  それがいわゆる、結果的に受け入れ側の研修になります。
    • 出来れば受講生は研修後2週間~1ヶ月の間に、フォロー研修を行って下さい。

    そのことで研修効果やその持続性が上ります。

     

    (16)<社員研修のヒント>

    • 1.研修目的を出来るだけ明確にすること。
    • 2.受講者の立場で十分に納得してもらい「受ける気」にさせること。
    • 3.フォロー研修による効果の持続性に注意を向けること。

    『研修担当者として留意すべき4つのポイント』

    • (1)研修の目的を明確にする
    • (2)研修は上層部から実施する
    • (3)アクションプランを作成する
    • (4)研修の効果測定をする

    1.研修の目的を明確にする

    研修の開催にあたり、まず大切なことは、研修開催の目的は何なのか、何のために研修を実施するのかを明確にすることである。当たり前といえば当たり前だが、実際は研修開催の目的が曖昧なこともよくあることだ。 研修担当者は、日々忙しい社員を招集し、研修を開催するのだから、研修を開催することによって、受講者に何を修得させるのかを明確すべきである。

    ところで、「研修」の語源をご存知だろうか?
    その答えは「研修」を訓読することによってよくご理解いただけると思う。
    「研修」の「研」を訓読すると、「とぐ、みがく」と読み、「研修」の「修」を訓読すると、「おさめる」と読む。

    このことから「研修」の意味は、「研修」を受講することによって、自分自身を「みがき:研く」→ブラッシュアップ

    職場(仕事)で活用できる知識や技術を「おさめる:修得」→スキルアップ

    つまり「自分自身を『研』き、知識や技術を『修』得」するという意味であることが、ご理解いただけると思う。したがって、何のための研修なのかを、受講者や関連部署にしっかり伝えることが肝要である。

    2.研修は上層部から実施する

    昨年、国内の大手自動車会社で営業スタッフ向けの研修を相当数担当させていただいた。当初は、ちょっと伸び悩んでいる営業スタッフを対象に、実施する予定だったが、研修ご担当者様と関係各位のご判断で、営業スタッフに対して実施する研修と同じ研修を、まず管理監督者(部長クラス)を対象に実施することになった。

    これは、極めて異例のことだが、正しい判断だと思っている。研修で学んだことを社内に定着させるために、まず同じ内容の研修を上級管理者である部長クラスに受講させ、研修の内容を理解させるためだ。

    どういうことかというと、受講者は研修を受講することで、さまざまな気づき(意識改革)がなされ行動(行動変容)をしようと思ったとき、そのこと(研修内容)を管理監督者が理解していてくれるのと、そうではない場合では研修の効果に大きな差がでるのは当然のことである。

    組織変革のために、何か新しい血を導入したいと思ったら、まず上層部の管理監督者の研修からスタートさせるのが得策であろう。

    実際、管理監督者の研修が修了した後、営業スタッフに研修を実施すると、受講者の営業スタッフから、「今、先生が言ったことと、まったく同じことを最近部長が話していました」というようなことが、度々あった。これらのことからも研修効果が充分に証明されていると確信している。

    ★<ポイント>→組織を変革するには、まず上級管理者から研修をスタートすること

    3.アクションプランを作成する

    受講者に対して、研修の最後にアクションプラン(行動計画)を立案させているだろうか?

    研修は言うもでもなく、研修を受講することにより、職場内で何らかの実効性(実現性、有効性、効率性、費用対効果、生産性)等を向上させ、業績や利益を拡大するためのものである。

    したがって、研修を受講したけれど、思考も行動も今までと変わらなければ、業績が拡大することもなく、研修を受講した意味がない。 ならば、受講後「はい、これで研修を修了します。お疲れさまでした。」で終わらせることなく、研修で修得したことを職場で活かすための方策や手段である行動計画をしっかりと立案させるべきである。

    また、自分の部下がどのような研修を受講し、何を感じ、どのように行動変容しようと考えているのか、その内容を直属の上司も確認できるような仕組みを構築するのが研修担当者の役割である。

    ★<ポイント>→研修修了後はアクションプランを作成させ、必ず上司にフードバックする

    4.研修の効果測定をする
    研修ご担当者の中には、研修の効果測定はできない。と思っている方がいるようだが、とんでもない誤解だ。下記表はカールパドリックという研究者が提唱した研修の「効果測定のステップ」をマトリクスにまとめたものだが参考にしていただきたい。

    レベル1
    受講者のリアクション(反応)
    レベル2
    受講者のラーニング (学習)
    レベル3
    受講者のビヘイビア (行動)
    レベル4
    受講者のリザルト  (成果)

     

    以上を、それぞれ測定するための方法と、実施率を諸外国と国内で比較したものである。あるディラーで、レベル4まで実施した結果、研修効果はリザルト(結果)まで確実に影響を及ぶことを実証している。

    レベル      項目             方法            実施率外国  実施率日本

    レベル1  リアクション   アンケートetc     86%           77%
    (反応)

    レベル2  ラーニング     テストetc           71%           22%
    (学習)

    レベル3  ビヘイビ  ア   インタビュー
    (行動)                        360度診断etc     65%           12%

    レベル4  リザルト         実績比較etc       49%           7%
    (結果)

     

    (17)トレーナーズ・トレーナーが教える研修成功虎の巻

    ※"トレーナーズ・トレーナー"とは「研修講師を養成するトレーナー」です。

    1)「企業様が望まれる成果を出せる研修講師かどうかの9つの見分け方」
    • (1)ヒアリング時、今回の研修で出したい成果、予算、期間等、お客様の要望等を的確に質問し、確認しているか?
    • (2)ヒアリング後、要望に沿った研修内容を提案しているか?
    • (3)提案内容に更に要望、修正、改良を申し出た場合、きちんと柔軟に対応してくれるか?
    • (4)人柄・・・これは、判断が難しいと思われますが、ひとつの判断材料として"誠実=言ったことを実行する"かどうか?と人相がいいかどうか?(笑)
    • (5)実績があるか?
    • (6)研修後、お客様満足度調査をしているか?
    • (7)受講生が人間である(=体内リズム、感情がある)と認識して、受講生のペースにあわせて、あるいは受講生を引き込む講義を展開しているか?
    • (8)研修(投資)費用以上の付加価値をお客様に与えているか?
    • (9)研修後、リピート依頼が来ているか?

    2)費用対効果の提案

    研修の成果はどうやって計ったらいいのでしょうか? 私は、ひとつの判断基準として、研修後のアンケート調査、研修後の売り上げ等を参考にしています。

    1年間終了時、幹部の方々から感想を頂きました。
    今までだったら自分の実績になるから、2店舗同時に出店できるなら、後先考えず、無理しても2店舗出店していました。
    でも、先生の話を伺って、バランスや本当にそれが、店舗で働いてくれる人、地域の人に喜ばれるのか?と考えるようになり、新たに雇う人の生活状態・経済状態も考えたら、近くに2店舗出店するのではなく、1店舗にまとめて出店したほうがいいと判断し、社長にもそれで提案し、1店舗の出店にしました。

    あのまま、これまでのように、無理して出店していたら、2店舗ともつぶしあいになったり、あるいは、2つのうち、1店舗はうまくいかなかったと思います。
    1店舗あたりの出店費用は2000万円ですので2000万円の赤字を出さずにすんだと思いました。
    先生の講義は、これまでの幹部研修と違い、リラックスからはじまり、私にとっては考え方、判断の仕方が変わり、すごく良かった。会社にとっても良かったと思います。」とおっしゃって下さいました。

    また、1年間の密度の濃い研修の3ヵ月後、お客様の会社に伺ったところ、「はじめての女性幹部ということで、なりふり構わずやってきましたが、最近、心にゆとりが出来て、身なりも気にするようになって、楽しくなったし、慢性の人材不足もみんなで話し合って、新人を幹部が、それぞれのキャラクターを活かして、1ヶ月きめ細かくしっかりサポートするようになったので、突然辞める人がほとんどいなくなりました」と言う声を頂きました。新人研修は、とても長い時間がかかります。それだけ、費用もかかります。

    講師として、費用対効果的に、やっとほっとできました。

    3)研修講師に依頼される際に、期待できる効果を直接講師に尋ねる。
    しっかり答えられる講師があなたのご期待・ご要望に応えられる講師だと私は思います。

    4)研修の適正人数

    あくまで感覚値ではありますが、研修の形式によって以下のような考えることができると思います。

    講演形式               ・・・  何名でも
    ペアワークのみ       ・・・  50名まで
    グループワーク主体  ・・・  30名まで

    対象者の人数や期待効果などと併せて企画する時に考えてみてください。

     

    (18)「人災」

    最近の企業には「人災」でありながらそれに気づかず、外部要因に転嫁して何も手を打っていない企業が多く、しかも「人」が原因のことはタブー視されています。

    中にいると解らない、気がつかない事かも知れませんが、結果は利益を収縮させているのです。
    • ◎コスト計算の間違え
    • ◎甘い仕入れ
    • ◎経費の見方
    • ◎売りたいがための安売り
    • ◎商品の欠点を見つけられたり
    • ◎納期遅れの値引きなど
    • 「人災」によるマイナスは限りがありません。

    如何にこれらマイナス要因を見つけ、改善することに企業の収益は掛かっているのです。
    せっかく作った利益を「人災のマイナス」で失っていることを、企業は本気に考えましょう!

    「人の能力」「失敗」は直接言ってはいけない様な雰囲気が何処の企業にもあります。
    このことが大きなブレーキなっている事を見直さなければなりません。

    是非一度、社内に目に見えないマイナス要因が存在している「はず」と思って見直してみて下さい。

     

    (19)「うまくいく研修」と「失敗する研修」のポイント

    外食業や宿泊業から教育研修の依頼を受けた実績の中から、いくつかの事例を取り上げてみましたので参考にして頂きたいと思います。

    ◎事例:1

    洋食ファミリーレストランを10数店経営している外食企業様より店長を対象とした教育研修を依頼され、内容を伺いしましたら、社長から「うちの店長は計数が弱いので、計数管理を教育して数値に明るい店長を育成して欲しい。」ということでした。

    現在の管理状況や問題点を整理し分析すると、社長の考えとは違って、固定費が高く利益が出にくい体質になっていること。 その結果、店長のモチベーションが上がらず目標数値に到達しないことがより重要な問題であることが解りましたので、先の店長教育研修の内容を「店舗貢献利益を追求する店長研修」に変えることを提案し実施いたしました。

    *計数管理に明るい店長を育成することは、もちろん大切なことですが、モチベーションを高めることがより重要なことに気づいて頂きたい。

    *店長の計数管理は、管理可能費と不可能費や税務会計とは違う管理会計等を整理した上で、目標数値を設定して教育を実施しすべきだと思います。


    ◎事例:2

    和風ダイニングを中心に経営しているチェーン店からは、こんな研修の依頼がありました。「接客サービスをレベルアップし顧客満足度を高めたいので、パート&アルバイトに接客サービスの研修をして欲しい。」ということでした。

    現状の接客サービスを評価するため、主な4、5店を観察しましたところ、店長やホール責任者の接客サービスのレベルが非常に低いことに驚きました。従って、店長や責任者から教わって仕事をしているパート&アルバイトさんのレベルはおのずと低いとことが判明しました。

    後日、社長を連れだし自社及び同業他社の店舗クリニックをし、現状を正しく認識してもらって研修の内容を「店長及び社員の接客サービスレベルアップ研修」とさせて頂き実施いたしました。

    *帳票や部下の報告だけでは判断できないことが現場に埋もれています。

    *会社は社長の、お店は店長の器より大きくなりません。


    ◎事例:3

    ある地方でアパレル関係のお店を数店経営している社長様よりの研修依頼で、その町の中心街にある店舗を飲食店に変えたいので「店長と調理長を連れて東京の話題店舗の視察研修をして頂きたい。」という依頼でした。

    話題店舗をリストアップし研修に連れて行くことは簡単ですが、本当にそれで良いのか、リサーチが目的なら戦略を考える立場の社長や幹部が対象ではないのか、と説明し理解を求め、私と社長と幹部数名で東京、横浜の話題店だけでなく繁盛店や目立たないけど力のあるお店の視察研修をいたしました。

    その後、コンセプトを固めてイタリアンパスタ店をオープンし盛業中です。

    *メディアを賑わす時流に乗ったトレンド店に惑わされず、本質を見極めてください。

    *経営者は戦略志向で、店長は戦術志向で経営すべきだと思います。


    このような例が意外と多いのが現状です。教育研修することが目的の自己満足型でなく、実施後の成果が経営課題の解決に寄与してこそコストパフォーマンスが得られます。研修内容を事前に講師の方と良く打ち合わせをして、成果の上がる研修を計画してみてください。

     

    (20)「質問スキル」について

    ★今までいろんな企業のミーティングへの参加や、現場担当者へのヒアリングを何度も行ってきましたが、その中で実際にあったケースで説明します。

    <ケース①>
    コンサルタント :「売上確保のために、Aという打ち手はいかがですか?」
    現場担当者  :「それは昨年もやってみたのですが失敗に終わっています」
    コンサルタント :「うまくいかなかった原因は何ですか?」
    現場担当者  :「・・・」

    このような簡単なやりとりだけで、担当者のビジネススキルと、問題意識のレベル差が判るものです。この場合は要するに深く考えて問題解決をするという習慣がないわけです。

    このケースにおける問題解決の方向性は、うまくいかなかった原因を追究して「やり方を変えてみる」か、あるいは「別の新たな打ち手」を考えるといった2つの方向性があることは誰でも分かることなのですが
    日常業務の多忙さもあって、現場では実行できていなかったりします。

     

    この状態を放置すると、そもそも問題解決のために分析を行うというステップがないために、一回実行して失敗したものはそのまま放置して、常に別の打ち手に走る方向(つまり楽な方向)に流れてしまうので、やがて打ち手が尽きて八方ふさがりになる訳です。

     

    <ケース②>
    コンサルタント :「この事業を回していくうえで、システム面の対応はできていますか?」
    現場担当者  :「できていますよ。半年後にはそのシステムが稼動します」
    コンサルタント :「本当に半年後でなければ対応できないのですか?システム担当に確認
                            しましたか?もっと早く稼動させる方法を考えましたか?」
    現場担当者  :「・・・」

    これは他部門から受けた情報を鵜呑みにしているケースです。システムの稼動開始までにかかる半年というリードタイムに対して発生するチャンスロスの意識が薄く、力ずくでもいいからなんとかもっと早くシステムを稼動させる方法を考えようとしていません。

    以上2つのケースには経験が浅いコンサルタントが陥りやすいワナが含まれています。

    経験が浅い
    コンサルタント
    「それって本当?」といった視点で状況確認をすることに慣れていません。結果、相手の発言をそのままに捉えてしまい、打ち手の方向性がどんどん狂ってきたり、効果的な打ち手を見逃してしまって内容の薄い提案しかできなくなっていることがあります。

     

    ほんの少し深く質問することで
    • ◎過去に失敗した打ち手でも、やり方を変えれば充分に効果があるものや、努力すればもっと早く対応できるものを発見できる。
    • ◎ミーティングの最中に、突っ込んだ質問をしたら成果物の精度が高くなる。
    • ◎意外な発見がある。

     

    ・資金調達コンサルタントの限界

    ★「あなたの会社が資金調達できるようにします。」をうたい文句にして、資金調達を売りにするコンサルティング会社は、多くあります。

    しかし
    資金調達を売り物にするコンサルティング会社の弱点は、その企業が赤字が出たり、債務超過となったりする場合など、苦境に陥った時に、資金調達ができなくなることです。

     

    資金調達コンサルティング会社のイメージ

    企業の業況がまずまずの時
    通常の資金調達の可能性70%

    資金調達コンサルティング会社によって

    資金調達の可能性を80%へ
    企業が赤字や債務超過に陥った時
    通常の資金調達の可能性2%

    資金調達コンサルティング会社よって

    資金調達の可能性を5%へ

     

    • ◎中には、企業が赤字や債務超過に陥った時でも、資金調達の可能性を80%へ上げるコンサルタントもいますが、それは、決算書の偽造によって銀行を欺いて資金調達を行う、と考えて間違いないでしょう。
      コンサルタントでなく悪質融資ブローカーです。
    • ◎犯罪行為を犯さない、通常の資金調達コンサルタントは、赤字や債務超過に陥った企業で、資金調達を行うことは、95%(いやそれ以上)、無理なのです。

    そもそも、赤字に陥った企業は

    • ○赤字を黒字にする対策を行うことが問題解決策。
    • ×赤字を埋めるために資金調達を行うことはなんの問題解決策でもありません。
    • ◎資金調達コンサルタントを、業績がまずまずの企業が、資金調達の可能性を高めるために、活用するのはよいでしょう。
    • ×しかし、赤字や債務超過の企業が、資金調達コンサルタントをあてにするのは無理があります。相談する相手が違うのです。

     

    ・危機感のない経営者

    ★私の会社には、日々、厳しい状況に陥っている中小企業の経営者が、ご相談にこられます。

    私どもの相談員は、その企業の「ダメ」なところをどんどん突いていく、遠慮なしの面談相談を行うため、ほとんどの経営者は「このままではだめなんだ」という危機意識をいだかれます。

    会社の立て直しをどうやって行うか、話し合います。

    それを実行していくだけなのですが、

    危機意識が再び薄れてしまい、また基に戻ってしまうのです。

    自分の会社を厳しい状況にしてしまったのは、経営者自身です。同じことをやっていては、ますます厳しい状況になってしまい、いずれ会社は破綻してしまいます。
     
    経営者が180度、変わらなければならないのです。
     
    まずは、経営者の変革です。それができなければ、立ち直ることはできせん!

     

    ・状況は厳しいが誰も相談相手がいない・・・

    ★資金繰りが厳しく、将来の展望が見えないのに、相談相手が誰もいないのであれば、経営者としてとても苦しいでしょう。ただそれでも、全く相談相手がいないわけではないでしょう。

    相談相手には、次の人が考えられます。

    ・弁護士                                 ・コンサルタント
    ・税理士(顧問税理士)            ・金融機関
    ・取引先
    ・家族・親族・知人                    ・役員や社員

    1.弁護士 弁護士に相談すると、ありがちなのが「破産して楽になりましょう。」と、破産を勧められるパターンです。弁護士は、法律の専門家です。法律的にどうすればよいか考えてくれますが、ただ破産する前にやれることがいっぱいあるにも関わらず、一律的に破産を勧めがちなのが弁護士です。
    自分の会社をなんとか立て直したい経営者にとって、弁護士はよき相談相手なのでしょうか・・・
    2.税理士 ほとんどの中小企業には、顧問税理士がいます。顧問税理士は、自社の状況をよく知る立場にいます。そのため多くの経営者が、顧問税理士に相談します。
    しかし、税理士は税金の専門家、会計の専門家であって、資金繰りの専門家でもなく、銀行対策の専門家でもなく、会社再生の専門家でもありません。
    経営者が本当に相談したいことに対し、適切な答えを期待できるでしょうか。
    3.金融機関 あなたの会社に融資をしてくれている銀行などの金融機関は、言うまでもなく、あなたの会社の利害関係者です。
    なんとかしたいと相談すると、金融機関にとって最も損しない方法を、あたかもあなたの会社が良いように見せかけて、アドバイスしてきます。
    裏では、金融機関が損しないように、考えています。はたして金融機関は、相談相手としてどうでしょうか?
    4.取引先 あなたの会社の仕入先・外注先・販売先である取引先。取引先も、言うまでもなくあなたの会社の利害関係者です。特にその相談相手が仕入先や外注先であったら、売掛債権があなたの会社に対し存在するために、その仕入先・外注先が最も損しない方法を、考えるでしょう。
    当たり前です。相手も商売ですから。
    また、信用不安が起こりやすいのが、取引先からです。下手したら相談した取引先から、あなたの会社が厳しいといううわさを広められ、あなたの会社の信用不安が起こってしまいます。
    5.コンサルタント 「コンサルタント」と言っても、専門分野はいろいろです。マーケティングに強いコンサルタント、人事に強いコンサルタント、財務に強いコンサルタント等です。なんでもコンサルタントに相談すればよい、というものではありません。まずはそのコンサルタントが、何に強いのかを見る必要があります。
    資金繰りが厳しい中小企業であったら、資金繰りに強いコンサルタント、会社再生・事業再生に強いコンサルタントが、適した相談相手となります。
    6.家族・親族・知人 家族・親族であれば、よほど仲の悪い相手でないかぎり、経営者であるあなたの相談に、親身になって答えてくれるでしょう。厳しい状況である今こそ、家族・親族の団結が必要です。
    しかし、資金繰りが厳しい状況でどうやって問題を解決するか、その家族・親族は経験あるでしょうか?相談相手が知人であっても、同じことが言えます。
    7.役員や社員 役員や社員は、自分の会社が倒産してしまったら収入がなくなることもあり、一緒になって問題解決を考えてくれるでしょう。
    ただ、資金繰りが厳しい状況でどうやって問題を解決するか、その役員や社員に経験はあるでしょうか?
    また、絶対に信頼できる人でないかぎり、自社が厳しい状況を他の社員に漏らし、そこから社内の士気が一気に下がることもあり、注意が必要です。

    このように、厳しい状況に陥ってしまった経営者にとって、相談相手として考えられる人は多くあれど、一番相談すべき相手として考えると、どの相手も一長一短があります。

    ※私どもは企業再生コンサルタント会社であり、厳しい状況に陥った中小企業経営者から毎月多数の相談をお引き受けしておりますが、相談相手として良い、と思うのであれば、ご連絡ください。

     

    ・企業再生・事業再生

    建築会社再生の話なんですが、今までの借り入れが年商規模まで膨らみ、自力再建が困難になったケースです。

    こうなると私的整理、法的整理(民事再生法等)を問わず、スポンサーが必要となってきます。

    スポンサーには事業会社もあれば、再生ファンドもあります。
    どちらにしても、金を出して貰うからには"口も出される"のは覚悟しなければなりません。

    しかし、その事を理解できない経営者が少なくないのです。

    • ◎もちろん事情は様々でしょうが、そのような事態になったのは、少なからず社長の経営が間違っていたからであり、経営責任は取らなければなりません。
    • ◎それでも中小企業の場合「社長が居てこそ」的な意味合いから、経営者が続投することは珍しくありません。

    それでも勘違いする社長が出てくるのです。

    我々コンサルタントがスポンサー候補を探してきても、あれは嫌だ、これは嫌だ、と言い出す社長がいます。

    本来なら自ら再生計画の陣頭指揮を執り、スポンサーにプレゼンし、頭を下げてお願いする立場にあるハズですし、そうすべきです。

    しかも、こういう社長は事業再生計画書なんか見ちゃいません。経理が作った計画書を、我々と一緒に始めて見ているなんて、珍しくありません。

    そういう会社の場合、スポンサー候補も次々と辞退してしまいます。
    スポンサーは慈善団体ではありません、投資家なのです。

    ×そうなると幾ら優れた技術があり、優秀な社員が居ても「企業再生」は叶わないのです。
    まずはスポンサーを必要とする事態にならないようにするのが大事です。
    しかし、そのような事態になった場合、社長自らが変われないと、経営者の地位だけじゃなく、手塩に掛けた事業そのものを失います。

    外部に経営的なアドバイスを求めることになった場合には、社長が「自分から変わる覚悟」をもって下さい。

     

    ①銀行から聞かれたことのないことを聞かれた

    ★中小企業経営者の方からご相談いただいていて、よく質問されるのが、 「融資を受けている銀行からこんなことを聞かれたんだけど、銀行は何を意図しているのか?」

    例えば、今まで言われたことがないのに、次のようなことを銀行から言われた場合、

    ○最近の試算表を提出してほしい。
    融資先の最近の業況チェックのために、銀行は融資先企業から、定期的に試算表の提出を受けてそれをチェックしようとします。
    試算表を今まで提出していないのであれば、その方が珍しいことなのです。
    融資を受けている銀行に対して、銀行から言われなくても試算表を出すと、銀行からの信頼は高まることでしょう。
    ○他銀行の借入明細を見せてほしい。
    他行がどのように融資をしているのかを見ることは、銀行員にとっては基本中の基本と言えるぐらい、重要なことです。
    他行は融資を絞ってきているのか、もしくは他行は積極的なのか。
    他行が積極的に融資を出しているのならまだしも、融資を絞ってきているのなら、その企業の資金繰りは厳しい方向に向かい、要警戒、ということになります。
    他行の借入明細はどうなのか、時系列で見てどうなのかは、銀行が融資先企業に、当たり前に聞くことなのです。

    経営者としては「銀行は何を考えているのだろうか・・・」と、疑心暗鬼になってしまいがちですが、たいていの場合は、銀行が知っておくべき、当たり前のことを聞いているだけ、ということです。
    不安に思わないで、正々堂々と答えましょう。

     

    ・再生できる企業、再生できない企業の見分け方とは?

    ★私が、資金繰りが厳しい中小企業経営者から「はたして私の会社、再生できるものでしょうか?」とよく相談されますが再生できる企業、再生できない企業の判断基準は

    本業の事業自体で利益が出るかどうか、せめてトントンかどうか、です。

    企業において、現金預金が外に出ていく原因は、大きく分けて次の2つです。

    1.融資の返済    2.事業の赤字

    融資の返済について

    事業がトントンもしくは黒字の企業であれば、事業で稼ぐ利益以上の融資返済があれば、現金預金は毎月、減少していくことになります。 その場合、定期的に銀行から融資を受けて、現金預金の量を回復させなければなりません。

    しかし業況の悪化などで銀行から融資が受けられない企業では、資金繰りはまわならないことになります。その場合、とるべき手段は銀行と交渉して融資の返済を毎月0円近くに抑えること、いわゆるリスケジュールを行う必要があります。

    そして、融資の返済が0円近くになった企業は、融資の返済で現金預金が外に出ていくことはなくなります。
    資金繰りがまわらない状態から、まわる状態への転換です。これは何より、経営者の心に余裕を持たせることになります。こうなれば、心に余裕を持つことができた経営者は経営改善に力を入れていくことができるでしょう。
    事業の赤字について

    一方、事業が赤字の企業。リスケジュールを行うことによって融資の返済で現金預金が外に出ていかなくなっても、事業の赤字で現金預金が外に出ていってしまえば、毎月、現金預金が減少していくことになります。

    事業を見直し、黒字化、せめてトントンの状態にまでしなければなりません。
    こう考えると、再生できる企業、再生できない企業の見分けかたは、

    現状、事業が黒字もしくはトントンであるかどうか、ということになります。


    ここで気がつくのは、受けている融資の金額が大きいとか、融資の返済ができないとか、そういうことは、再生できる企業かどうかの判断基準には関係ない、ということです。

    あくまで、事業が黒字もしくはトントンか。現状赤字であれば、改善努力によって事業がトントンまでもっていけるかどうか、です。

     

    ・講演からわかること

    ★講演後のアンケートでは次のようなご指摘をよくうけます。

    「話の中でアー、エーが多い。」 →私はアー、エーでごまかすことが多かったので、意識して言わないようにしました。
    「もっと具体的事例を盛り込んでほしい。」 →確かに、具体的事例を入れていかないと話に説得力がないので、講演の構成を考えるときに、ここで何を言おう、という具体的事例を用意しておいて、話を引きつけられるように心がけるようにしました。
    「講演の中で、基本的なこと、当たり前のことを話していることが多いように感じる。」

    「私どものコンサルティングでは、経営における基本的なこと、例えば毎月試算表を作り数字を把握し経営に生かしていくことや、きちんと営業活動を行うこと、これら経営を行っていく上で当たり前にできなければならないことができていないところをできるようにしていくスタンスをとることが多いため、私自身が、講演において、その感覚で基本的な内容を中心に話してしまっている。」

    「一方で、講演、特にお金を払ってまで講演を聞きにくる方は意識の高い方が多く、経営の基本は当然やっているので、もっと深い話を聞きたいのではないか。」

    講演を聞きにくる方


    しっかりした経営ができているため、資金繰りにおいても万全であり、外部のコンサルタントは特に必要としない。

    ここから何が応用できるかというと、経営者として自分の会社を良く経営していくには、経営について高い意識をもって、自己流ではなく、本を読んだり講演に参加したりして勉強を積み重ねていくのと、勉強したことをすぐに実践していくべきではないか、そういった経営者の会社は、良い経営となりやすいのではないか、ということです。

    経営者として重要なのは、投資→リターンという意識。
    例えば3万円の講演があったら、それを「費用」と思わず「投資」として意識し、その3万円の何十倍、何百倍ものリターンをもたらすぞ、ということを思える経営者が、成功するのではないでしょうか。

     

    ・ビジネス書出版の注意点

    ビジネス書はそのテーマに応じて温度差はあるものの、日常のビジネスシーンで起こりうることに焦点を当て、そのソリューションを記しています。

    一冊の本で扱える問題と示しうる解決策には限りがあります。一方、発生する問題は千差万別、解決策はケースバイケース。

    しかし、一般に日常発生する問題のほとんどは限られたケースで占められます。したがって、この限られたケースに対する解決策さえ示されていれば、日常のビジネスには十分役立つことになります。

    もし発生件数の90%が10種類のテーマでしかなく、残り10%の中に90種類のテーマがあったとしたら、ビジネス書が扱うテーマは初めの10だけです。残りの90テーマはより高度な専門書の分野になります。

    したがって

    ×めったに起こらない問題を念頭に置き、議論を複雑にしたり語尾に懐疑を滲ませたりすることは、却って読者の理解を妨げ実用に適さないものとなりビジネス書としては扱いかねます。

    問題を明確に設定し解決策をきっちりと言い切ることが、ビジネス書には特に重要なポイントなのです。

     

    ・言い切るためには

    断定することには大なり小なりリスクがつきまといます。といって逃げてばかりでは読者も聴衆もつかめません。言い切る覚悟が必要です。

    言い切るためには


    「やったことがないことについて意見を言うのは心もとない。だからやったことのあることだけを話すことにした。講演のときは自分の体験を基に話す。

    「聞いている人にとって自分の体験が参考になるかどうかはわからないが、自分としては根拠のあることなので言い切るだけの自信はある。

    他所の会社に行ったときは、状況が違うわけだから自分の経験がどこまで通用するか見通しがつかず一層不安だ。
    しかし、同じ人間のやること、それぞれの局面では大きな違いはない。自分にも似たような体験はなかったか、思い出してみれば必ずどこかで似たようなことがあった。それが根拠になる。まったく経験のないことならわかりませんといえばいい。

     


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